説明

燃焼装置

【課題】燃料比例弁5を用いて燃料供給量を調節している燃焼装置1において、装置コストの増大を低く抑えながら、燃焼開始時に空燃比が崩れてCOの発生量が増大したり、振動燃焼が発生することを防止する。
【解決手段】ガス燃料と燃焼用空気を供給することによって燃焼を行う燃焼装置1であって、燃焼用空気の供給は空気供給通路2を通じて燃焼装置1に接続している送風機3を作動することにより行い、燃料の供給は燃料供給経路11に設けた燃料供給量を比例的に制御する燃料比例弁5によって供給量を調節しており、前記空気供給通路2には空気供給通路内を流れる空気圧力を検出するための空気圧検出導管6を接続し、前記燃料比例弁5は空気圧検出導管6を通じて伝わる空気の圧力に基づいて開度の調節を行うようにしている燃焼装置において、燃焼装置による燃焼を開始する場合、空気圧検出導管6内の圧力を一時的に低下させる制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃焼用空気の供給量に連動させてガス燃料の供給量を調節する燃料比例弁を設けている燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス燃料と燃焼用空気によって燃焼を行う燃焼装置では、ガス燃料を供給する燃料供給経路に燃料比例弁を設け、燃料比例弁の開度を調節することで燃料供給量を調節することが、ひろく行われている。また送風機から供給する燃焼用空気の供給量を調節する手段としては、送風機にインバータ装置を設けるなどして送風機の回転速度を調節したり、空気供給通路内にダンパを設けて通路断面積を変更することで行っている。
【0003】
燃料比例弁による燃料供給量の調節は、燃焼用空気供給量と燃料供給量をそれぞれ検出しておき、燃焼用空気供給量と燃料供給量が一定の比率(空燃比)を保つように制御する。燃焼用空気供給量に対して燃料供給量が不足する場合には弁の開度を大きくすることで燃料供給量を増加し、燃焼用空気供給量に対して燃料供給量が過剰となる場合には弁の開度を小さくすることで燃料供給量を減少する。燃料比例弁を用い、燃焼用空気供給量に比例させて燃料供給量を調節することにより、燃料と空気の比率を適正に保つことができる。
【0004】
ところが、燃料比例弁は、弁の開度を変更した結果として現れる燃料供給量を検出し、検出結果に基づいてさらに弁の開度を調節するフィードバック制御を行うものであるため、操作に遅れが生じる。燃焼開始時は、燃料比例弁を閉じており燃料を供給していないという状態から、その時の燃焼用空気供給量に対応する燃料供給量(定格燃料供給量)まで急激に増加する必要がある。燃焼開始時には燃料比例弁の開度を急速に開くことになるため、定格燃料供給量を通り過ぎ、燃料供給量が過剰となるオーバーシュートが発生するという問題があった。燃料供給量のオーバーシュートが発生した場合、空気供給量に対して燃料供給量が過剰となるため、COの発生量が増大したり、振動燃焼による振動燃焼音が発生するなどの問題があった。
【0005】
燃焼開始時に燃料過剰による振動燃焼などが発生することは、空気供給量を多く設定しておくことによって解消することができる。適正な燃焼を行うことのできる燃焼範囲は一定の幅を持っており、燃料又は燃焼用空気が多少変動しても、燃焼範囲内にあれば適正な燃焼を行うことができる。振動燃焼などの不具合は、燃焼範囲から外れることによって発生するため、オーバーシュートが発生しても燃焼範囲内に維持できれば適正な燃焼を行うことができる。通常燃焼時には燃焼範囲内であるが空気比率が高めとなるようにしておき、燃焼開始時にオーバーシュートが発生しても燃料比率は高めとなるが燃焼範囲からは外れないように、空気供給量を初めから高く設定しておけば、燃焼開始時の振動燃焼などを防ぐことはできる。
【0006】
しかしこの場合、燃焼時の空気の比率を高くすると、燃焼時における燃焼ガス量が多くなるために活用することのできる熱量が減少し、効率が低下することになるという問題があった。なお、燃焼開始時のみ空気供給量を多くするように空気量を調節すれば、燃焼時における効率の低下も防止することができる。しかしそのためには、燃焼時用の燃焼用空気量と燃焼開始時用の燃焼用空気量のそれぞれに調節することができるように、空気供給量を調節する手段が必要となり、その分だけ装置コストが上昇することになるということが問題であった。
【0007】
また、特開2004−150647号公報に記載があるように、パイロットバーナによる燃焼に加えてメインバーナによる燃焼を開始する場合には、パイロットバーナへの燃料供給量を削減することで、燃焼装置全体としての燃料供給量を一時的に削減するという手段もある。しかしこの場合、パイロットバーナ用燃料供給路に燃料供給量削減手段を設けることが必要となる。
【特許文献1】特開2004−150647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、燃料比例弁を用いて燃料供給量を調節している燃焼装置において、装置コストの増大を低く抑えながら、燃焼開始時に空燃比が崩れてCOの発生量が増大したり、振動燃焼が発生するといった問題が発生することを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、ガス燃料と燃焼用空気を供給することによって燃焼を行う燃焼装置であって、燃焼用空気の供給は空気供給通路を通じて燃焼装置に接続している送風機を作動することにより行い、燃料の供給は燃料供給経路に設けた燃料供給量を比例的に制御する燃料比例弁によって供給量を調節しており、前記空気供給通路には空気供給通路内を流れる空気圧力を検出するための空気圧検出導管を接続し、前記燃料比例弁は空気圧検出導管を通じて伝わる空気の圧力に基づいて開度の調節を行うようにしている燃焼装置において、燃焼装置による燃焼を開始する場合、空気圧検出導管内の圧力を一時的に低下させる制御を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記燃焼装置において、空気圧検出導管に空気逃がし弁を設け、空気圧検出導管内から空気を逃がすことができるようにしておき、燃焼装置による燃焼を開始する際には、空気逃がし弁を開くことで、燃焼開始時に空気圧検出導管内の圧力を一時的に低下させる制御を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記燃焼装置において、燃料比例弁によるガス燃料供給開始直後のガス燃料供給量にオーバーシュートが発生している間は空気逃がし弁を開いておき、オーバーシュートが収まるころには空気逃がし弁を閉じる制御を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記燃焼装置において、燃焼装置にはパイロットバーナとメインバーナを設け、メインバーナ燃焼開始時には先にパイロットバーナによるパイロット燃焼を開始、次にパイロットバーナの火炎を利用してメインバーナによる燃焼を開始し、メインバーナの燃焼を開始後にはパイロット燃焼を停止するようにしており、パイロット燃焼開始に合わせて空気逃がし弁を開き、パイロット燃焼停止に合わせて空気逃がし弁を閉じる制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、燃焼開始時に空気圧検出導管の圧力を一時的に低下させるようにしているため、空気圧検出導管の圧力に基づいている燃料比例弁では燃焼開始時の燃料供給量を通常燃焼時よりも減少させることになる。そのため、燃焼開始時に燃料供給量のオーバーシュートが発生しても、振動燃焼などの不具合が発生するほどに燃料が過剰になるということを防止できる。空気圧検出導管の圧力低下は、空気逃がし弁によって行うようにしており、単純な開閉弁である空気逃がし弁によって空気圧検出導管の圧力を調節することができるため、低コストで燃焼開始時の燃料供給量設定値の減少を行うことができる。
【0014】
また、オーバーシュートが収まった後は空気逃がし弁を閉じるようにしているため、燃焼開始時のオーバーシュートによる燃料過剰を防止するとともに、その後の通常燃焼時に空気比率が高くなることも防止することができる。そのため、燃焼開始時の振動燃焼など防止と、通常燃焼時の効率低下防止を両立することができる。空気逃がし弁の開制御は、燃焼開始直前に始まり燃焼開始直後に停止するパイロット燃焼にあわせて行うなど、他の制御と同じに設定しておくことで、空気逃がし弁の開時間を制御するタイマ装置などは不要となり、制御を単純化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明の燃焼装置をボイラに設けた場合におけるボイラ装置のフロー図、図2と図3は本発明における各装置の作動状況とメイン燃料供給量を示したタイムチャートであり、図2は第一の実施例、図3は第二の実施例を示している。また図4と図5は本発明の実施の有無による違いを説明するためのものであり、図4は従来例におけるタイムチャート、図5は右側には燃焼開始時の燃料供給量調節を行っていない場合の燃料供給量、左側には燃焼開始時の燃料供給量調節を行った場合の燃料供給量を記している。
【0016】
まず図1に基づいて説明する。図1のボイラは上部にガス燃料によって燃焼を行う燃焼装置1を設ける。燃焼装置1には、メインバーナ9とパイロットバーナ8の2つのバーナを設けている。メインバーナ9及びパイロットバーナ8への燃焼用空気の供給は、押し込み式の送風機3によって行う。燃焼装置1には空気供給通路2を接続しており、送風機3からの燃焼用空気は空気供給通路2を通して燃焼装置1へ送る。燃焼装置1への燃料供給は、燃料供給経路4を途中で2つに分岐し、メイン燃料供給経路11を通してメインバーナ9へ送る経路と、パイロット燃料供給経路12を通してパイロットバーナ8へ送る経路を設けている。メイン燃料供給経路11の途中にはメイン燃料比例弁5、パイロット燃料供給経路12の途中にはパイロット弁10を設けており、メイン燃料比例弁5及びパイロット弁10を開くことで燃料の供給を行う。メイン燃料比例弁5及びパイロット弁10の開閉制御は燃焼制御装置13にて行い、燃焼制御装置13は送風機3の作動も制御するようにしておく。
【0017】
また、送風機3からの空気を燃焼装置1へ送る空気供給通路2には、空気圧検出導管6を接続しておき、空気圧検出導管6の他端はメイン燃料比例弁5に接続している。メイン燃料比例弁5は、燃焼制御装置13から開指令を受けて開くものであるが、弁の開度は空気圧検出導管6内の圧力に比例して開く比例弁としている。燃焼装置1へ送る燃料用空気量が少ない場合には、空気圧検出導管6内の圧力は低くなるため、メインバーナ9へ送る燃料量は少なくなり、燃焼装置1へ送る燃料用空気量が多い場合には、空気圧検出導管6内の圧力は高くなるため、メインバーナ9へ送る燃料量は多くなる。
【0018】
ただし、空気圧検出導管6には空気逃がし弁7を設けており、空気逃がし弁7によって空気圧検出導管6内の圧力を変更することができるようにしている。空気逃がし弁7の開閉制御も燃焼制御装置13によって行っており、空気逃がし弁7を開くと、空気圧検出導管6内の空気が排出されるため、空気圧検出導管6内の圧力は低下する。メイン燃料比例弁5は、空気供給通路2を通して燃焼装置1へ送る空気量を直接検出しているのではなく、空気圧検出導管6内の圧力にて間接的に検出しているものである。そのため、空気逃がし弁7を開いている場合には、空気供給通路2内を通して燃焼装置1へ送っている空気量は同じであっても、空気圧検出導管6内の圧力が低下している分だけメイン燃料比例弁5の開度を小さくし、燃料供給量を少なくすることになる。空気逃がし弁7を開いている場合の燃料供給量は、空気供給通路2を通して燃焼装置1へ実際に供給している空気量に対する燃料量(所定の空燃比)よりも少なくなる。
【0019】
次に図2のタイムチャートに基づいて説明する。本実施例はボイラの燃焼装置に関するものであり、ボイラで発生している蒸気圧力が低いことを圧力センサーにて検出した場合に燃焼を開始し、蒸気圧力が高くなったことを圧力センサーで検出した場合に燃焼を停止する。図では、蒸気圧力が所定値よりも高いため、燃焼は行っていない状態から開始している。時間Aにおいて圧力センサーにて燃焼必要圧力になったことを検出すると、ボイラは燃焼を行うことになり、燃焼に向けた準備を開始し、最初に送風機3の作動を始める。ボイラの場合、燃焼開始前に送風機のみを稼働することで燃焼室内を換気する工程(プレパージ)を行う。換気の工程が時間Bで終了すると点火の工程に移り、点火トランスの作動とパイロット弁10の開制御を行う。点火トランスはパイロットバーナ8の燃焼部へ向けて電気スパークを発生して点火するためのものであり、点火トランスの作動とパイロット弁10の開制御を行うことで、パイロットバーナ8によるパイロット燃焼が始まる。点火トランスはパイロットバーナ8によるパイロット燃焼開始後に停止しておき、時間Cになると燃焼工程となりメインバーナ9による燃焼を開始する。
【0020】
メインバーナ9による燃焼は、メイン燃料比例弁5を開きメインバーナ9へ燃料を供給することで行う。メインバーナ9への燃料供給を行うと、パイロットバーナ8の火炎がメインバーナ9へ伝わり、メインバーナ9での燃焼が始まる。そしてメイン燃焼を開始する時には空気逃がし弁7を開き、空気圧検出導管6における圧力を通常よりも低くしておく。空気逃がし弁7を開くのは、時間Cから時間Dまでの所定時間tの間とし、所定時間tの値は3秒としている。図5に記しているように、メイン燃料比例弁5の開から燃料供給量のピークまでは1〜2秒、メイン燃料比例弁5の開からオーバーシュートの影響が収まるまでの時間は3〜5秒であったため、所定時間tの値は3秒程度の短時間で十分である。なお、所定時間tは、短すぎるとオーバーシュート中に燃料供給を増加することになり、長すぎると空気過剰の状態での燃焼時間が長くなるが、1〜2秒程度の変動は許容することができる。
【0021】
メイン燃料比例弁5は、燃料供給量が空気圧検出導管6の空気圧に対して適正な空燃比(定格量)となるように弁の開度を開いていくものであり、弁の開度を大きくした結果として現れる燃料供給量を検出し、検出結果に基づいてさらに弁の開度を調節するフィードバック制御を行うことで定格量に調節する。しかしフィードバック制御は、操作に対する結果を検出し、その結果に基づいて次の操作を行うために時間差があり、燃料供給量を急激に増大していく燃焼開始時の場合には、定格量を通り過ぎるオーバーシュートが発生する。
【0022】
図4・図5に記載しているように、燃焼開始(メイン燃料比例弁開制御)直後に燃料供給量が急増し、定格燃料供給量を越え、さらに一定の幅を持った燃焼範囲の上限値も越えて、燃焼用空気供給量に対する燃料供給量が適正値に対して大幅に高くなると、空気不足の状態で燃焼することになる。この場合、燃焼状態の悪化によってCO発生量が増大したり、振動燃焼が発生することになっていた。しかし、本発明では、空気逃がし弁7を開くことで空気圧検出導管6の圧力を通常よりも低下させており、メイン燃料比例弁5は空気圧検出導管6の空気圧が低下すれば、供給する燃料量も低下することになる。そのため、燃焼開始直後にはオーバーシュートが発生していても燃焼範囲の上限値までは上昇しておらず、燃料の比率が過剰となるほどまでは燃料が増加しないようにすることができている。
【0023】
なお、空気逃がし弁7を開くことで空気圧検出導管6の圧力を低下させている場合、メイン燃料比例弁5を開いた直後に発生するオーバーシュートが収まると、燃料供給量を削減している分だけ燃焼用空気の供給量が多くなり、燃料の比率は定格量よりも低い値(燃焼範囲の下限に近い値)となる。そのため、オーバーシュートが収まった頃に空気逃がし弁7を閉じ、空気圧検出導管6の圧力を上昇させる。空気逃がし弁7を閉じると、空気圧検出導管6内の圧力が上昇し、メイン燃料比例弁5における弁の開度は、空気圧検出導管6の圧力に比例させているため、空気圧検出導管6の圧力が上昇すればメイン燃料供給量は増加する。その後の通常燃焼期には、燃料供給量は定格量付近に維持した状態で燃焼を行っており、時間Eで圧力センサーによる燃焼要求がOFFになると、メイン燃料比例弁5を閉じ、燃焼を停止して換気(ポストパージ)を行い、時間Fで送風機の稼働も停止している。
【0024】
図3は第二の実施例に関するものであり、第二実施例を図3に基づいて説明する。第二実施例である図3も、第一実施例である図2と同様に、蒸気圧力が所定値よりも高いため、燃焼は行っていない状態から開始している。時間Aにおいて圧力センサーにて燃焼必要圧力になったことを検出すると、ボイラは燃焼を行うことになり、燃焼に向けた準備を開始し、最初に送風機3の作動を始める。換気の工程が時間Bで終了すると点火の工程に移り、点火トランスの作動とパイロット弁10の開制御を行うとともに、第二実施例では空気逃がし弁7の開制御を行っている。
【0025】
点火トランスはパイロットバーナ8によるパイロット燃焼開始後に停止し、時間Cになると燃焼工程となり、メインバーナ9による燃焼(メイン燃焼)を開始する。メインバーナ9による燃焼は、メイン燃料比例弁5を開きメインバーナ9へ燃料を供給することで行う。この時、空気逃がし弁7を開き空気圧検出導管6における圧力を通常よりも低くしているため、空気圧検出導管6の圧力に比例するメイン燃料比例弁5では、通常よりも燃料供給量を少なく制御することになる。メイン燃料比例弁5を開いた直後には燃料供給量が設定値より大きくなるオーバーシュートが発生する。しかし、燃料供給量の設定を少なくすることによって、オーバーシュートが発生していても、燃焼範囲の上限よりも燃料供給量が過剰になって振動燃焼などの不具合が発生することは防止できる。
【0026】
空気逃がし弁7を開くことで空気圧検出導管6の圧力が低下している場合、メイン燃料比例弁5を開いた直後に発生するオーバーシュートが収まると、燃料供給量を削減している分だけ燃焼用空気の供給量が多くなり、燃料の比率は定格量よりも低い値(燃焼範囲の下限に近い値)となる。そのため、オーバーシュートが収まったころに空気逃がし弁7を閉じ、空気圧検出導管6の圧力を上昇させる。空気逃がし弁7を閉じると、空気圧検出導管6内の圧力が上昇し、メイン燃料比例弁5における弁の開度は、空気圧検出導管6の圧力に比例させているため、空気圧検出導管6の圧力が上昇すればメイン燃料供給量は増加する。第二実施例ではメイン燃料比例弁5を開いた時間Cからパイロット弁10を閉じる時間Dまでの時間は4秒としているため、4秒間はメイン燃料の供給量を少なく設定することになる。
【0027】
なお、時間Bの点火工程時に空気逃がし弁7を開いても、燃焼工程となる時間Cまでの間はメイン燃料比例弁5は開いていないために、点火工程時に空気逃がし弁7を開いたことによる特別な作用は発生しない。第二実施例では、空気逃がし弁7を開くのはメイン燃料比例弁5を開いた時より設定時間tが経過するまでの間としており、第二実施例では空気逃がし弁7を開くのはパイロットバーナ8による燃焼を行っている時間としている点が相違している。しかし、メイン燃料比例弁5を閉じている場合には空気圧検出導管6内の圧力を変更してもメイン燃料比例弁5は閉じたままであるため、両者の燃焼状態については相違していない。第二実施例のパイロット弁10を開いている間だけ空気逃がし弁7を開く場合は、制御が簡単になるという利点がある。パイロットバーナ8によるパイロット燃焼は、メインバーナ9によるメイン燃焼開始の前に燃焼を開始し、メインバーナ9による燃焼開始の後で燃焼を停止するものであるため、パイロット弁10が開いている時間のみ空気逃がし弁7を開くようにしても、メイン燃焼開始時に燃料供給が過剰になることを防止できる。そしてこのようにすれば、空気逃がし弁7を開いておく時間はパイロット弁10が開いている時間に設定することができるため、空気逃がし弁を閉じる時期を検出するためのタイマーを設ける必要がないため、より低コストで本発明を実現することができる。なお、空気逃がし弁7の開タイミングの検出は、上記のパイロット弁10に合わせるほか、送風機の作動開始に合わせて行ったり、点火トランスの作動開始に合わせて行うようにしてもよい。
【0028】
以上のように、本発明では、燃焼開始時に空気圧検出導管6の圧力を低下させることによって燃料供給量を一時的に減少させるようにしているため、燃料比例弁の特性による燃料供給量のオーバーシュートが発生しても、振動燃焼などの不具合が発生するほどに燃料が過剰になることを防止できる。そして、燃焼開始時に空気圧検出導管6の圧力を低下させることによって燃料供給量を一時的に減少させるようにしているため、メイン燃料比例弁5とは別に燃焼開始時における燃料供給量を調節するための装置を設けるなどの方策をとる場合に比べ、低コストで燃料比率が過剰になることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の燃焼装置をボイラに設けた場合におけるボイラ装置のフロー図
【図2】第一実施例におけるメイン燃料供給量を示したタイムチャート
【図3】第二実施例におけるメイン燃料供給量を示したタイムチャート
【図4】従来例におけるメイン燃料供給量を示したタイムチャート
【図5】従来例と本発明におけるメイン燃料供給量の比較図
【符号の説明】
【0030】
1 燃焼装置
2 空気供給通路
3 送風機
4 燃料供給経路
5 メイン燃料比例弁
6 空気圧検出導管
7 空気逃がし弁
8 パイロットバーナ
9 メインバーナ
10 パイロット弁
11 メイン燃料供給経路
12 パイロット燃料供給経路
13 燃焼制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス燃料と燃焼用空気を供給することによって燃焼を行う燃焼装置であって、燃焼用空気の供給は空気供給通路を通じて燃焼装置に接続している送風機を作動することにより行い、燃料の供給は燃料供給経路に設けた燃料供給量を比例的に制御する燃料比例弁によって供給量を調節しており、前記空気供給通路には空気供給通路内を流れる空気圧力を検出するための空気圧検出導管を接続し、前記燃料比例弁は空気圧検出導管を通じて伝わる空気の圧力に基づいて開度の調節を行うようにしている燃焼装置において、燃焼装置による燃焼を開始する場合、空気圧検出導管内の圧力を一時的に低下させる制御を行うことを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼装置において、空気圧検出導管に空気逃がし弁を設け、空気圧検出導管内から空気を逃がすことができるようにしておき、燃焼装置による燃焼を開始する際には、空気逃がし弁を開くことで、燃焼開始時に空気圧検出導管内の圧力を一時的に低下させる制御を行うことを特徴とする燃焼装置。
【請求項3】
請求項2に記載の燃焼装置において、燃料比例弁によるガス燃料供給開始直後のガス燃料供給量にオーバーシュートが発生している間は空気逃がし弁を開いておき、オーバーシュートが収まるころには空気逃がし弁を閉じる制御を行うことを特徴とする燃焼装置。
【請求項4】
請求項2に記載の燃焼装置において、燃焼装置にはパイロットバーナとメインバーナを設け、メインバーナ燃焼開始時には先にパイロットバーナによるパイロット燃焼を開始、次にパイロットバーナの火炎を利用してメインバーナによる燃焼を開始し、メインバーナの燃焼を開始後にはパイロット燃焼を停止するようにしており、パイロット燃焼開始に合わせて空気逃がし弁を開き、パイロット燃焼停止に合わせて空気逃がし弁を閉じる制御を行うことを特徴とする燃焼装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate