説明

燃焼装置

【課題】 籾殻等の穀物の収穫廃棄物や農産廃棄物などの植物性可燃物を、手間や時間をかけずに効率よく燃焼させて完全に炭化した燃焼灰を得られるようにする。
【解決手段】 粒状体の植物性可燃物4を燃焼させる燃焼部3と、この燃焼部3へ植物性可燃物4を連続的に供給する供給部2とを備える。燃焼部3は、植物性可燃物4が供給部2よりエアーとともに送り込まれてくる前室31と、前室31の上部に配設された燃焼室34と、燃焼室34の上部に連通された排出路36と、排出路36の下方に配設された燃焼灰集積室37とを有する。前室31と燃焼室34とは火格子33によって仕切られ、側部には前室31と燃焼室34の双方に連通して循環流を形成する連通路35が設けられる。前室31に噴出したエアーは、連通路35を介して燃焼室34に流入し、形成される循環流の中で植物性可燃物4が完全燃焼するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農産物の生産過程で排出される植物性可燃物を効果的に燃焼させる燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
農産物や食物の生産現場においては、収穫物や製品を得るまでに様々な廃棄物が出るものである。例えば、稲作においては、稲刈り後の脱穀、籾摺りの過程を経て玄米を得るが、この過程で大量に発生する籾殻は、非常に嵩張るため堆積・保管場所に困るものであり、有効な利用手立ても確立されておらず、集めて野外で燃やしたり、一般ごみとともに焼却処分されたりしていた。
【0003】
また、従来、籾殻は燃やして炭化させ、燻炭として育苗箱の底に敷くなど土壌改良剤として使用されることもあった。しかし、燻炭を作るのは手間のかかる作業であるため、実際には単に焼却処分されていることが多く、また、籾殻をそのまま田畑に鋤込んで肥料として用いても自然腐蝕しにくく、有効な利用方法がなかった。
【0004】
出願人は、このような実状にかんがみて、無駄のない天然資源の活用が求められる中、農産物の生産過程で大量に排出されて廃棄物となるこのような資源を有効に利用できるように、燃焼して炭化させ、また、その燃焼過程で発生する熱も同時に利用できるような装置の創作に至った。農産物の生産過程で排出される廃棄物は、籾殻に限らずどのようなものも比較的燃焼効率が悪く、燃焼具合にばらつきを生じやすいという問題点があった。
【0005】
従来、このような燃焼処理を行うための装置について、例えば特許文献1には、廃棄木材を燃焼させる燃焼室を備えた燃焼炉について記載されている。この種の燃焼炉は、筒状の燃焼室と、燃焼室からの排気ガスを排気する排気塔と、燃焼物を投入するための開口部を備えて、燃焼物を投入しやすいように開口部を大きく設けてある。また、燃焼物の投入作業をしやすいように、作業する人が立つためのスタンドを設けてある。
【特許文献1】特開2002−195529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような従来の燃焼炉の場合、燃焼物を燃焼させる間、作業者は燃焼炉の傍に待機して頻繁に燃焼物を投入したり、燃焼具合を確認したりしなければならず、燃焼作業が完了するまで燃焼炉から離れることができなかった。また、前記の籾殻のような細かな粒状体の燃焼物の場合、燃焼室に順次上から投入していく形態では、燃焼している籾殻の上に新たな籾殻が堆積し、燃焼室の下部では籾殻が塊になって、うまく燃焼しきれないことが懸念されるものである。このように籾殻等の穀物の収穫廃棄物や農産廃棄物は、燃焼させて処分したり焼却灰を利用したりするにも、多くの手間の時間を要して非効率的であり、また不完全な燃え残りもできやすく、なかなか実施しにくいものであった。また、籾殻等を燃焼させる際に発生する熱を、有効に利用する手立てもなかった。
【0007】
そこで本発明は、上記のような事情にかんがみてなされたものであり、籾殻等の穀物の収穫廃棄物や農産廃棄物などの植物性可燃物を、手間や時間をかけずに効率よく燃焼させて完全に炭化した燃焼灰を得られるようにし、これと同時に、燃焼により発生した熱を有効に利用できるようにして、植物性可燃物を新たな資源として有効活用するための装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、本発明に係る燃焼装置は、粒状体の植物性可燃物を燃焼させる燃焼部と、この燃焼部へ植物性可燃物を連続的に供給する供給部を備え、前記燃焼部は、植物性可燃物が前記供給部よりエアーとともに送り込まれてくる前室と、前室の上部に配設された燃焼室と、燃焼室の上部に連通された排出路と、排出路の下方に配設された燃焼灰集積室とを有し、前室と燃焼室とは着火材を載置可能な火格子によって仕切られるとともに、前室と燃焼室の両側部には、前室と燃焼室の双方に連通して循環流を形成する連通路が設けられて、前室に噴出されたエアーが連通路を介して燃焼室に流入し、これらの前室、連通路および燃焼室に循環する循環流の中で植物性可燃物が完全燃焼するように構成されたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は前記燃焼装置において、前記供給部は、送風機を備えて、この送風機によるエアーを前記前室へ強制的に送り込むとともに前室内に植物性可燃物を送出する供給パイプが接続され、この供給パイプの先端部が前室において連通路との連通口に向けて配設されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は前記燃焼装置において、前記燃焼室は、高さ方向に長い燃焼空間を有して形成されており、この燃焼空間における下部側面に前記連通路が接続されているとともに、上部側面に前記排出路に連通する排出口が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は前記燃焼装置において、前記供給部は、植物性可燃物が投入される円筒状の供給容器と、この供給容器の底部を構成して容器底辺に沿って回転する回転板を備え、供給容器の底部側面には投入された植物性可燃物を一定量ずつ送り出す送出口が設けられるとともに、回転板には供給容器の内部に配された略円錐形状または略円錐台形状の盛り上げ部が立設されており、回転板を回転させながら植物性可燃物を盛り上げ部の裾部と供給容器の内側面との間を通して送出口から供給容器の外へ排出し、燃焼部へ送ることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は前記燃焼装置において、前記供給部は、供給容器の外周部に、前記送出口に接続されて供給パイプの受口へ植物性可燃物を送る供給案内路が設けられていることを特徴とする。
【0013】
このような本発明により、籾殻等の穀物の収穫廃棄物や農産廃棄物などの植物性可燃物を、手間や時間をかけずに効率よく燃焼させて完全に炭化した燃焼灰を得られるようにし、これと同時に、燃焼により発生した熱を有効に利用できるようにして、植物性可燃物を新たな資源として有効活用することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
上述のように構成される本発明の燃焼装置によれば、籾殻等の穀物の収穫廃棄物や農産廃棄物などの植物性可燃物を、コスト、手間および時間をかけずに効率よく燃焼させて完全に炭化した燃焼灰を得られるようにし、これと同時に、燃焼により発生した熱を有効に利用可能であり、植物性可燃物を新たな資源として有効活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る燃焼装置を実施するための最良の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1〜図8は本発明の燃焼装置の一実施形態を示し、図1は燃焼装置を模式的に示した断面図、図2は燃焼装置における供給部の斜視図、図3は供給部の上面図である。また、図4は燃焼装置における燃焼部の断面図であり、図5は燃焼部の斜視図、図6は燃焼部の側面図、図7は図6におけるA−A断面図、図8は燃焼部の前室の一例を示す分解図である。
【0017】
本発明の燃焼装置1は、植物性可燃物を燃焼させて燃焼灰を得たり、燃焼過程で発生する廃熱を熱源として利用したりするものである。燃焼装置1は、植物性可燃物4を燃焼させる燃焼部3と、この燃焼部3へ植物性可燃物4を連続的に供給する供給部2を備えている。
【0018】
燃焼に用いられる植物性可燃物4は、米を収穫する過程で大量に得られる籾殻が最適であるが、籾殻などの収穫廃棄物のほか、例えば、おが屑、藁屑、木質ペレット樹木や農産物の皮などの粉砕物等の農産廃棄物でも可能であり、粒状体の植物性可燃物であればどのようなものであってもよい。
【0019】
植物性可燃物4を燃焼の前段階で、燃焼部3へと供給する供給部2は、円筒状の供給容器21を備えて形成されている。図1および図2に示すように、供給容器21は円筒状に形成されて、4本の脚部22が側面から延設されて立設されている。脚部22の上部は、ボルト状の軸部221が同軸上に設けられており、供給容器21の固定板21aの固定孔(図示省略)に挿通されている。そして、軸部221に対して固定板21aが上下両側からナット締結されている。このナット締結位置を軸方向に調節することにより、供給容器21の設置高さを調整することができる。
【0020】
供給容器21の底部は、別体の回転板23が底辺に沿って備えられて、容器底部を構成している。この供給容器21は、植物性可燃物4が随時投入されて貯留される。供給容器21は、上部が開放されており、必要に応じて適宜の蓋部材を用いて閉止することも可能である。
【0021】
供給容器21の底部に備えられた回転板23は、供給容器21の底辺に沿って回転するように構成されている。すなわち、例示の場合には、図示するように、立設支持された供給容器21の下部空間にモータ24が設けられ、このモータ24に回転板23が接続されて、回転駆動することができるように構成されるとともに、供給容器21の底部に当接支持されている。
【0022】
これにより、立設支持された供給容器21は脚部22に安定的に支持固定された状態のまま、底部の回転板23だけがモータ24によって一定方向に所定の回転数で回転する。また、供給容器21の底部側面には、一部が開口形成されて送出口25となされ、投入された植物性可燃物4を一定量ずつ排出しうるようになっている。
【0023】
また、回転板23には、供給容器21の内部に方向に立設された盛り上げ部26が備えられている。盛り上げ部26は、供給容器21内において、略円錐形状または略円錐台形状をなすように回転板23の上面に一体的に立設されている。
【0024】
これにより、回転板23をモータ24によって回転させながら供給容器21内の植物性可燃物4が回転撹拌されるとともに、盛り上げ部26に沿って下方へ順次送られる。そして、植物性可燃物4は、盛り上げ部26の斜面261と供給容器21の内側面との間を通して、順次、送出口25方向へと送り込まれ、送出口25から供給容器21の外へ排出される。
【0025】
図1〜3に示されるように、供給容器21の外側には、前記の燃焼部3へと植物性可燃物4を送る供給パイプ27および供給パイプ27の受口271が配設されている。そして、供給容器21の外周部には、供給容器21の側面の送出口25の外側に接続させて、供給パイプ27の受口271へ植物性可燃物4を案内するための供給案内路28が設けられている。供給パイプ27は適宜の配管材を利用可能であり、可撓性を有するパイプを用いることが好ましい。
【0026】
供給案内路28は、ガイド板281,281を受口271に向けて配設することにより、送出口25から排出された植物性可燃物4が、回転する回転板23によって送られながら受口271へと導かれるように形成されている。例示の形態では、ガイド板281,281が、供給容器21の外周面に接線方向に対向配置されている。受口271は、上部が開放した漏斗状の容器であり、下流端が供給パイプ27に接続されている。
【0027】
これにより、かかる供給部2においては、モータ24を駆動させて回転板23を供給容器21の底部で回転させながら、供給容器21内の植物性可燃物4を送出口25から順次排出して、供給パイプ27により燃焼部3へ送ることができる。このとき、供給容器21内においては、盛り上げ部26が設けられていることにより、植物性可燃物4が塊状になったり、滞留したりすることなく、円滑に送出し続けることができる。
【0028】
また、上記の回転板23は、供給容器21の底部に密接に配設されてもよいが、必要に応じて、供給容器21の設置高さを微調整して、供給容器21と回転板23との間に隙間を設けるようにしてもよい。この場合、軸部221のナット締結位置を上下方向に調節して、供給容器21の高さを調整する。すると、供給容器21と回転板23との隙間からも、植物性可燃物4を排出することができ、送出口25の開口の大きさにかかわらず、送出量を決定することができる。
【0029】
図3に示すように、供給案内路28のガイド板281は、外側に配設されたガイド板281が供給容器21の外周部を接線方向に覆うように配設されている。このため、送出口25以外の箇所から植物性可燃物4が排出されても、回転板23の回転作用と相まって、ガイド板281が植物性可燃物4を回転板23上で回収して、円滑に受口271へと導くことが可能となっている。
【0030】
また、例示の供給部2では、植物性可燃物4の供給路に送風機29が備えられて、この送風機29によるエアーとともに、植物性可燃物4を燃焼部3へと送り込むようになっている。送風機29は、供給パイプ27の基端部(受口271の下流端部)に配設されて、供給パイプ27にエアーを噴出可能となっている。送風機29には、植物性可燃物4をエアーとともに燃焼部3へと送るものであればどのようなものであってもよく、空気輸送を可能にする多種のブロワ、コンプレッサー等でも可能である。
【0031】
これに対し、燃焼部3は、図4に示すように、植物性可燃物4が最初に送り込まれてくる前室31と、この前室31の上部に配設された燃焼室34と、燃焼室34の上部に連通された排出路36と、排出路36の下方に配設された燃焼灰集積室37とを有する構成となっている。
【0032】
前室31は、平面視矩形状に枠組みされており、外側面には供給部2からの供給パイプ27の接続が可能な接続パイプ32が挿通配管されている。接続パイプ32は、適宜の管径で形成され、先端部が前室31内の奥行き方向に1/4〜1/2程度まで差し込まれていることが好ましい。例示の形態では、接続パイプ32の先端部は、前室31の幅に対して約1/4分だけ差し込まれている。これにより、接続パイプ32に供給パイプ27が接続されると、送風機29によるエアーとともに植物性可燃物4が、この前室31へ強制的に送り込まれてくる。
【0033】
前室31の底面は、例えば耐火れんがなどの耐火材が敷設されており、燃焼部3内の昇温にも対応できるようになっている。また、図4、5および図7に示すように、前室31の上面は、多数の長孔が形成された火格子(ロストル)33が、水平に配設されている。火格子33には、植物性可燃物4を燃焼させるための着火材を載置することができる。この火格子33により前室31が仕切られて、その上部に燃焼室34が設けられている。
【0034】
燃焼室34は、前室31の上部に延長状に設けられ、高さ方向に長い燃焼空間を有して形成されている。この燃焼室34では、前室31に送り込まれた植物性可燃物4が流入し、燃焼する。燃焼室34の外部に接する下部側面には、火格子33に着火材を投入するための着火口341が設けられている。また、燃焼部3内における燃焼室34と前室31との両側部には、前室31と燃焼室34の双方に連通して循環流を形成する連通路35が設けられている。
【0035】
図4、5に示すように、連通路35は、燃焼室34と前室31とにまたがって高さ方向に設けられた流路であり、燃焼室34と前室31の側面に連通口351、351がそれぞれ設けられて接続されている。連通路35は、前室31に噴出されたエアーが、連通路35を介して上昇して燃焼室34に流入し、これらの前室31、連通路35および燃焼室34に循環する循環流を形成するように作用する。前記接続パイプ32の先端部(供給パイプ27の先端部)は、連通路35の下側連通口351に向かって配設され、ほぼ同軸上に位置している。これにより、前室31に噴出されたエアーは、連通路35に流入しやすいように形成されている。
【0036】
また、図8に示すように、メンテナンス性を考慮し、前室31は、燃焼部3に対して別体で形成されて、燃焼室34の下部に嵌め込み設置する形態により、着脱自在に設けられていてもよい。この場合、前室31は、貫通孔311および下側連通口351を有して枠組みされた周壁312と、接続パイプ32、および脚331を有する火格子33により分解可能に構成されていることが好ましい。火格子33には多数の長孔332が設けられている。
【0037】
燃焼室34の上端部内側面には、排出路36に連通する排出口361が設けられている。これにより、燃焼室34に形成される循環流の中で植物性可燃物4が燃焼し、完全燃焼した燃焼灰5は燃焼室34を上昇して、この排出口361から排出されるように構成されている。
【0038】
図5に示すように、燃焼部3において、燃焼室34と燃焼灰集積室37とは隣接して形成されており、燃焼室34の上端部と燃焼灰集積室37との間に、排出口361および排出路36が介装されている。排出路36は、排出口361の周囲と燃焼灰集積室37とを区画するように、仕切り板を配して形成されている。これにより、排出口361から排出された燃焼灰5は、排出路36に沿って下方へ導かれ、そのまま下方へ舞い落ちて、燃焼灰集積室37内に集められることになる。集められた燃焼灰5は、燃焼灰集積室37に堆積され、必要に応じて取り出すことができる。
【0039】
また、燃焼室34の上部または側部に、熱交換器(図示省略)を設けることができる。これにより、例えば、熱交換器内を循環する送水管と貯湯タンクとによって湯水を効果的に得ることもでき、また燃焼釜を設けて余熱による釜として用いることもできる。
【0040】
このように構成される燃焼装置1では、供給部2から順次連続的に前室31へと供給された、例えば籾殻(植物性可燃物)4は、火をつけた古紙などの着火材を着火口341へ投入したり、直接着火バーナー等を用いたりすることによって着火される。着火後、着火口341が蓋閉めされる。
【0041】
前室31および燃焼室34においては、供給パイプ27からのエアーの噴出により籾殻4が循環流に乗って舞いながら燃焼する。噴出したエアーの多くは連通路35に入り、連通路35の内壁面に沿って上昇し、上側連通口351を通って燃焼室34へ流入する。また噴出したエアーの一部は、前室31の内壁に衝突して火格子33を通して燃焼室34へ流入する。
【0042】
燃焼室34では、籾殻4にエアーが当たりながら対流しているので、籾殻4は効率的に燃焼する。すなわち、籾殻4のような粒状体の可燃物は、塊状になりやすく、むら無く燃焼させることが難しいものであるが、供給パイプ27から送られてくるエアーによって籾殻4は塊にならず、ばらばらになって燃焼室34に入ってくる。これにより、燃焼室34の内部で多量の籾殻4は燃焼しやすい状態を形成することができている。また、順次流入してくるエアーが前室31から燃焼室34において広範囲に分散して、籾殻4の燃焼効率をさらに高めるようになっている。
【0043】
籾殻4は燃焼して燃焼灰5となる。完全燃焼することにより重量が極めて小さくなった燃焼灰5だけが、上昇流に乗って上方へ押し上げられ、上部の排出口361へ導かれていく。したがって、籾殻4の燃焼に要する作業は、供給容器21に籾殻4を投入して、着火口341から一度着火するだけであり、投入した全ての籾殻4を連続的かつ自動的に効率よく燃焼させて燃焼灰5を得ることができる。また、常に新たなエアーが燃焼室34に供給されているので、燃焼にともなって、植物性可燃物4の燃焼灰5や未燃焼物が火格子33に付着したり、火格子33からの燃焼灰5の落下や植物性可燃物4の流通を阻害したりするようなことがなく、高い燃焼効率を確保することができる。その結果、作業性が非常によく、手間もかからずに、簡単に植物性可燃物4を燃焼させることが可能となっている。
【0044】
なお、本発明において各部の構成や構造は上記の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上記の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。
【実施例】
【0045】
本実施形態に係る燃焼装置1における主要部分の寸法は、次のとおりである。
【0046】
供給部2において、供給容器21は直径が400mmの円筒体であり、高さ800mmの大きさで形成された鋼製管体である。モータ24は、回転数3400rpm、最大風量6.0m/mim、最大静圧85mmAqの出力0.1kWのファンを用いることができる。
【0047】
また、燃焼部3において、前室31および燃焼室34は250mm×250mmの平面矩形により形成されている。そのうち、前室31は高さ100mmを有し、燃焼室34は高さ1200mmを有して形成されている。また、これらの前室31および燃焼室34にまたがって排泄される連通路35は、50mm×50mmの平面形状であり、高さ415mmで形成されている。上下の連通口351の相互間は、350mmの離間距離が設けてある。各連通口351は幅および高さが65mmの大きさで形成されている。
【0048】
排出口361は、燃焼室34の上部に幅200mm、高さ100mmの大きさで設けられる。また、燃焼灰集積室37は、600mm×400mmの平面形状かつ高さ1300mmで十分な大きさをもって形成されている。
【0049】
供給パイプ27および接続パイプ32は、内径が40〜43mmのものが好ましい。接続パイプ32の先端部は、前室31の内部に奥行き方向に60mm挿入されている。また、火格子33は前室31の大きさに合わせて設けられる。
【0050】
植物性可燃物4として、籾殻を燃焼装置1により燃焼させ、得られた燃焼灰は、ポラゾン活性が高く、シリカを多量に含んでいる。このため、燃焼灰は、従来のように農業用に用いるだけでなく、例えばセメント、モルタル等に混和して高強度混和剤として用いることが可能であり、フィルタ材料に添加して空気清浄フィルタ等の多様な利用方法がある。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、収穫廃棄物や農産廃棄物などからなる粒状体の植物性可燃物を新規な資源として有効に利用するのに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る燃焼装置の一実施形態を模式的に示した断面図である。
【図2】前記燃焼装置における供給部の斜視図である。
【図3】前記燃焼装置における供給部の上面図である。
【図4】前記燃焼装置における燃焼部の断面図である。
【図5】前記燃焼装置における燃焼部の斜視図である。
【図6】前記燃焼装置における燃焼部の側面図である。
【図7】図6におけるA−A断面図である。
【図8】前記燃焼部の前室の一例を示す分解図である。
【符号の説明】
【0053】
1 燃焼装置
2 供給部
21 供給容器
22 脚部
23 回転板
24 モータ
25 送出口
26 盛り上げ部
27 供給パイプ
271 受口
28 供給案内路
281 ガイド板
29 送風機
3 燃焼部
31 前室
32 接続パイプ
33 火格子
34 燃焼室
341 着火口
35 連通路
351 連通口
36 排出路
361 排出口
37 燃焼灰集積室
4 植物性可燃物(籾殻)
5 燃焼灰

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状体の植物性可燃物を燃焼させる燃焼部と、この燃焼部へ植物性可燃物を連続的に供給する供給部を備える燃焼装置であって、
前記燃焼部は、植物性可燃物が前記供給部よりエアーとともに送り込まれてくる前室と、前室の上部に配設された燃焼室と、燃焼室の上部に連通された排出路と、排出路の下方に配設された燃焼灰集積室とを有し、
前室と燃焼室とは着火材を載置可能な火格子によって仕切られるとともに、前室と燃焼室の両側部には、前室と燃焼室の双方に連通して循環流を形成する連通路が設けられて、前室に噴出されたエアーが連通路を介して燃焼室に流入し、これらの前室、連通路および燃焼室に循環する循環流の中で植物性可燃物が完全燃焼するように構成されたことを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼装置において、
前記供給部は、送風機を備えて、この送風機によるエアーを前記前室へ強制的に送り込むとともに前室内に植物性可燃物を送出する供給パイプが接続され、この供給パイプの先端部が前室において連通路との連通口に向けて配設されていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の燃焼装置において、
前記燃焼室は、高さ方向に長い燃焼空間を有して形成されており、この燃焼空間における下部側面に前記連通路が接続されているとともに、上部側面に前記排出路に連通する排出口が設けられていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の燃焼装置において、
前記供給部は、植物性可燃物が投入される円筒状の供給容器と、この供給容器の底部を構成して容器底辺に沿って回転する回転板を備え、供給容器の底部側面には投入された植物性可燃物を一定量ずつ送り出す送出口が設けられるとともに、回転板には供給容器の内部に配された略円錐形状または略円錐台形状の盛り上げ部が立設されており、
回転板を回転させながら植物性可燃物を盛り上げ部の裾部と供給容器の内側面との間を通して送出口から供給容器の外へ排出し、燃焼部へ送ることを特徴とする燃焼装置。
【請求項5】
請求項4に記載の燃焼装置において、
前記供給部は、供給容器の外周部に、前記送出口に接続されて供給パイプの受口へ植物性可燃物を送る供給案内路が設けられていることを特徴とする燃焼装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−14354(P2010−14354A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175343(P2008−175343)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(391039128)
【Fターム(参考)】