説明

燃焼装置

【課題】本発明は、点火時の着火性、及び、点火してから一定時間経過するまでの燃焼状態を改善でき燃焼装置を提供することを目的とした。
【解決手段】送風機3と、調圧装置6と、下流側に複数の分岐路9a〜9gを備えた燃料供給路9と、分岐路9a〜9gの一部又は全部に設けられた開閉弁21a〜21gと、燃焼空間14と、制御手段によって構成されている。調圧装置6は、一次圧をもって供給された燃料ガスを、所定の信号圧に応じた二次圧に調節して吐出するものであり、信号圧は送風機3の下流側から検知され、信号圧に応じた二次圧は、燃料ガスが通過する流路から検知される。信号圧の検知位置近傍には、必要に応じて信号圧を変動させることが可能な圧変動板12が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器等に使用される燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭に給湯器が普及している。一般家庭用の給湯器は、一台の給湯器をもって多数の箇所から給湯することが必要である。例えば、家屋内の台所、浴室、洗面台に給湯栓やシャワーがあり、一台の給湯器をもってこれらに湯を供給する。また、浴槽に対して湯張りをしたり、浴槽内の残り湯を追い焚きする機能を備えた家庭用給湯器も多い。
【0003】
このように家庭用の給湯器は、複数の箇所で湯が使用されることから、要求される湯量や湯温が頻繁に変わる。そのため、給湯器に内蔵される燃焼装置は、給湯量や給湯温度の変化に合わせて燃焼量を変化させる必要がある。
そのため、家庭用の給湯器に内蔵される燃焼装置では、燃焼量を変化させるために、ガス比例弁を備えている。即ち、燃焼装置の燃料供給路に比例弁を設け、必要とされる発熱量に応じて比例弁の開度を調節し、燃料たるガス量を制御することによって燃焼量を変化させている。
【0004】
また、燃焼装置の形式の一つとして、全一次空気式と称される燃焼装置がある。全一次空気式の燃焼装置では、燃焼に必要な空気の殆どを予めバーナ内で混合し、炎孔から混合ガスを放出して燃焼に供される。
特許文献1には、燃料ガス供給路に比例弁を有した全一次空気式の燃焼装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−214622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、全一次空気式の燃焼装置は、前記したように、燃焼に必要な空気の殆どを予めバーナ内で混合するものであるから、バーナに供給する空気量とバーナに供給する燃料ガスの比率(空燃比と称される)は、許容される誤差が小さい。
【0007】
そのため、従来技術の燃焼装置においては、空燃比を許容範囲内に収めるために、燃料ガス比例弁の開度の目標値と、送風機の回転数の目標値を設定し、燃料ガス比例弁の実際の開度等が目標値と一致するように電気的に制御している。
即ち、従来技術においては、燃料ガス比例弁の開度を、その目標開度と一致する様に制御し、同時に送風機の回転数が目標回転数と一致するように制御している。
【0008】
そして、要求される燃焼量が変化した場合は、それぞれの目標値を演算し直し、同時に送風機の回転数が新たな目標値と一致するように制御する。
【0009】
しかしながら、従来技術の構造によると、要求される燃焼量が変化した場合、燃料ガス比例弁の開度と送風機の回転数とが新たな目標値に一致するまでの間、空燃比が許容範囲を外れることとなり、不安定な状態で燃焼が行われる。そのため、従来技術の燃焼装置には、燃焼量を変化させる際の過渡期に、燃焼状態が不安定になるという解決すべき技術的課題がある。
【0010】
また、従来技術の燃焼装置では、燃料ガス比例弁が必須であるが、燃料ガス比例弁は電気制御される精密機械であり、一般的に高価である。そのため、燃料ガス比例弁を省略したいという要求がある。
【0011】
そこで本発明者らは、燃料ガス供給路に均圧弁を設け、均圧弁の圧力信号を送風機から取り出す構成の燃焼装置を試作した。
ここで、均圧弁は、一次圧をもって供給されたガスを二次圧に減圧して吐出する調圧装置であって、圧力を信号として導入する信号圧導入口を有し、信号圧導入口から導入される圧力に応じた二次圧に減圧して吐出する調圧装置である。
【0012】
本発明者らが試作した燃焼装置では、圧力信号を送風機から取り出しているので、送風量の増減に追従して燃料ガスの供給圧力が変化する。そのため、燃焼量を変化させる際の過渡期に、燃焼状態が不安定になるという技術的課題が解決される。また、試作した燃焼装置では、送風機の送風量を変化させることによって燃焼量を変化させることができるので、燃料ガス比例弁は必ずしも必要ではない。
【0013】
しかしながら、試作した燃焼装置は、調圧装置により、常に空気と燃料ガスとの比率が一定に制御されるため、点火時の着火性、及び、点火してから一定時間経過するまでの燃焼状態に不満があった。ここで、一般的に、点火時の着火性を向上させるためには、通常燃焼時の空燃比よりも燃料ガスの比率を高くすることが好ましいとされている。また、点火後、一定時間が経過するまでは、振動燃焼を伴う燃焼状態となる場合があるため、前記とは逆に、通常燃焼時の空燃比よりも燃料ガスの比率を低くするとことが好ましいとされている。
即ち、試作した燃焼装置によれば、通常燃焼時の空燃比を基準とすると、必要に応じて、通常燃焼時の空燃比より燃料ガスの比率を増減させる制御が難しかった。
【0014】
そこで本発明は、試作した燃焼装置をさらに改良するものであり、点火時の着火性、及び、点火してから一定時間経過するまでの燃焼状態を改善できる燃焼装置を開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、送風機と、調圧装置と、燃料供給路と、燃焼空間と、制御手段とを有し、燃焼供給路を通過した燃料ガスを燃焼空間で燃焼させる燃焼装置であって、前記調圧装置は、一次圧をもって供給された燃料ガスを、所定の信号圧に応じた二次圧に調節して吐出するものであり、前記信号圧は、送風機又は送風機の下流側から検知され、前記信号圧に応じた二次圧は、燃料ガスが通過する流路における所定の位置から検知され、前記信号圧又は信号圧に応じた二次圧の検知位置近傍には、検知圧を変動させることが可能な圧力変動手段が設けられ、前記圧力変動手段は、前記制御手段により検知圧が変動するように制御可能であることを特徴とする燃焼装置である。
【0016】
本発明の燃焼装置では、調圧装置が採用されており、当該調圧装置は、送風機又は送風機の下流側から検知された所定の信号圧に応じた二次圧に調節して吐出する構成とされている。
ここで、先に説明したように、試作した燃焼装置では、常に信号圧と、調圧装置における燃料ガスの吐出圧とがほぼ等しくなるように燃料ガスの二次圧を調節しているため、必要に応じて空気と混合する燃料ガスの比率を増減させる制御が難しかった。そのため、例えば点火時の着火性が悪かったり、点火してから一定時間が経過するまでの間、振動燃焼等が発生する等の問題があった。
そこで、本発明の燃焼装置では、信号圧又は信号圧に応じた二次圧の検知位置近傍に圧力変動手段を設け、信号圧又は信号圧に応じた二次圧の検知圧を変動させる制御を可能とする構成としているため、必要に応じて通常燃焼時の空燃比よりも燃料ガスの比率を変動させることができる。
【0017】
即ち、本発明の燃焼装置によれば、例えば、圧力変動手段を信号圧の検知側に配した場合は、空気の流れを検知位置に向かわせるように圧力変動手段を制御することで、当該検知位置に送風の動圧が作用するため、送風機の回転数を上げることなく信号圧を上昇させることができ、通常燃焼時の空燃比より燃料ガスの比率を高めた制御が可能となる。また、空気の流れを検知位置に向かわせないように圧力変動手段を制御することで、当該検知位置に送風の動圧が作用しないため、本来の送風機の回転数に応じた信号圧(静圧)を調圧装置に導入でき、通常燃焼時の空燃比で燃焼させることを可能とする。さらに、本発明の燃焼装置によれば、この特性を応用すると、通常燃焼時には、空気の流れが若干検知位置に向かうように圧力変動手段を制御しておけば(若干動圧が作用する制御)、通常燃焼時より信号圧を上昇させる場合には、圧力変動手段により空気をより検知位置に向かわせる制御をすることで、当該検知位置には動圧がより作用し、反対に通常燃焼時の信号圧より信号圧を降下させる場合には、圧力変動手段により空気を検知位置に向かわせないように制御をすることで、当該検知位置には動圧が殆ど作用せず静圧が作用する。これにより、調圧装置により一定に制御された空燃比を、必要に応じて変化させる制御が可能となる。
【0018】
一方、圧力変動手段を二次圧の検知側に配した場合は、圧力変動手段を燃料ガスの流れを検知位置に向かうように制御することで、当該検知位置に動圧が作用するため、実際に流路を流れる燃料ガスの本来の二次圧(静圧)より大きな圧力が検知され、当該二次圧(と信号圧が等しくなるように調節される。そのため、燃焼空間に供給される燃料ガスは通常燃焼時の空燃比の比率より小さくなる。また、燃料ガスの流れを検知位置に向かわないように制御することで、当該検知位置には動圧が殆ど作用せず静圧が作用するため、燃料ガスは信号圧に応じた本来の二次圧を調圧装置に導入することができる。そのため、通常燃焼時の空燃比と同等の燃料ガスの比率となる。即ち、前記同様、この特性を応用すると、通常燃焼時には、圧力変動手段を燃料ガスの流れに対して若干動圧が作用されるように制御しておけば、通常燃焼時の空燃比より燃料ガスの比率を減少させる制御を行う場合には、燃料ガスの流れが検知位置により向かうように圧力変動手段の制御をし、反対に通常燃焼時の空燃比より燃料ガスの比率を増加させる制御を行う場合には、燃料ガスの流れが検知位置に向かわないように圧力変動手段の制御をすることで、前記同様、調圧装置により一定に制御された空燃比を、必要に応じて変化させる制御が可能となる。
従って、本発明の燃焼装置によれば、圧力変動手段を検知位置の近傍に配して制御することで、必要に応じて通常燃焼時の空燃比からずらした比率の燃料ガスに調節できるため、点火時の着火性を向上させたり、点火してから一定時間が経過するまでの間の振動燃焼等を低減することが可能となる。
【0019】
請求項2に記載の発明は、前記圧力変動手段は、圧変動板とアクチュエータとを有し、当該アクチュエータを駆動させて圧変動板を回転させることで、検知圧が変動することを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置である。
【0020】
かかる構成によれば、圧変動板をアクチュエータにより回転させて、空気又は燃料ガスの流れ方向を変更し、検知圧を変動させることができるため、必要に応じて容易に、通常燃焼時の空燃比より燃料ガスの比率を増減させることができる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、前記圧力変動手段は、燃焼空間における点火時に、検知圧が増大するように制御されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃焼装置である。
【0022】
かかる構成によれば、点火時において、通常燃焼時の空燃比から燃料ガスの比率を増大させることが可能となるため、着火性を確実に向上させることができる。なお、点火時とは、燃焼空間に火炎を発生させる前後のタイミングを含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、点火時の着火性、及び、点火してから一定時間経過するまでの燃焼状態を改善できる。さらに、開閉弁等を用いて燃焼量が変化された場合であっても、燃焼状態が不安定になるという技術的問題を解決した燃焼装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る燃焼装置を示す構成図である。
【図2】圧変動板の制御状況をしめす概念図で、(a)は燃焼安定位置、(b)は動圧増加位置、(c)は動圧減少位置である。
【図3】本発明の実施形態に係る燃焼装置の点火時における動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る燃焼装置の動作を示すフローチャートであり、燃焼中に要求される燃焼量が減少した場合の動作について説明するものである。
【図5】圧変動板の位置を変えた概略図で、(a)は送風方向下流側、(b)は送風方向上流側である。
【図6】本発明の燃焼装置の変形例を示す構成図である。
【図7】本発明の燃焼装置の変形例を示す構成図である。
【図8】本発明の燃焼装置の変形例を示す構成図である。
【図9】本発明の燃焼装置の変形例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態の燃焼装置について説明する。なお、以下の説明において、上下左右の位置関係は、特に断りのない限り、図面を基準として説明する。
図1に示す燃焼装置1は、図示しない給湯器に内蔵され、熱交換器4等を加熱するものであり、図示しない制御装置と、燃焼装置本体2と、送風機3と、燃料供給路形成部材5及び調圧装置(以下、均圧弁とも言う)6によって構成されている。
【0026】
本実施形態で採用する送風機3は、シロッコファンやターボファンのように、ケーシング内に回転羽根が設けられたものである。また、送風機3を回転させるモータは、直流モータ又はインバータ制御された交流モータであり、回転数を増減することができる。
【0027】
燃焼装置本体2は、バーナケース7内に20本のバーナ8a〜8tを内蔵したものである。バーナケース7内において、20本のバーナ8a〜8tは、7の群19に区分されている。即ち、図1に示すように、第一群19aは4本のバーナ8a〜8dが属し、第二群19bは4本のバーナ8e〜8hが属し、第三群19cは3本のバーナ8i〜8kが属し、第四群19dは2本のバーナ8l〜8mが属し、第五群19eは2本のバーナ8n〜8oが属し、第六群19fは2本のバーナ8p〜8qが属し、第7群19gは3本のバーナ8r〜8tが属する。なお、本実施形態で採用するバーナ8a〜8tは、全て同一形状のものであり、容量は等しい。
【0028】
バーナケース7は、図1に示すように、上下二段に分けられ、区切りを基準とした空気の流れ方向下流側がバーナ装着部10として機能し、上流側が空気流路形成部11として機能する。なお、空気流路形成部11は、バーナ8a〜8tに空気を導入する流路として機能し、送風路37の一部とされている。また、バーナ装着部10の上部側では、火炎を発生させることができる。即ち、バーナ装着部10の上部側は、燃焼空間14として機能する。
【0029】
バーナ装着部10は7室に区分されており、当該7室には、前記したように、バーナ8a〜8tが前記室毎に設定された数に振り分けられて、挿入されている。
また、バーナ8a〜8tは、端部にそれぞれ空気・ガス導入口18が設けられている。バーナ8a〜8tの上面部には、図示しない炎孔が形成されている。即ち、前記炎孔は、バーナ8における混合ガスの流れ方向最下流に配されており、燃焼空間14に向けて火炎を発生させることができる。
【0030】
本実施形態では、各バーナ8a〜8tの空気・ガス導入口18の近傍にノズル20a〜20tがあり、当該ノズル20a〜20tから各バーナ8a〜8t内に燃料ガスが導入される。また、空気流路形成部11が各バーナ8a〜8tの端部と連通しており、空気流路形成部11から空気・ガス導入口18を経て各バーナ8a〜8tに空気が導入される。
【0031】
そして、空気・ガス導入口18から空気と燃料ガスが導入されると、バーナ8a〜8t内を通過しつつ、両者が混合され、前記炎孔から混合ガスが放出される。
【0032】
燃料供給路形成部材5は、前記した各ノズル20a〜20tを経て、各バーナ8a〜8tに燃料ガスを供給する燃料供給路9を有する部材である。
燃料供給路9は、燃料ガスの流れ方向下流側に7条に形成された分岐路9a〜9gを備えており、燃料ガスの流れ方向上流側では、全ての分岐路9a〜9gに至る燃料ガスが共通して流れる共通路9yを備えている。分岐路9a〜9gは、流路が平面状に分岐するものが採用されている。
【0033】
各分岐路9a〜9gの先端側(燃料ガスの流れ方向上流側)では、各分岐路9a〜9gの開口端が集まって開口端群22を構成している。開口端群22は、各分岐路9a〜9gの断面積の比率が維持された断面積とされている。
【0034】
また、燃焼空間14においては、群19毎に燃焼面積が分割されている。具体的には、燃焼面積は、群19の数に応じて分割されており、7分割されている。
従って、本実施形態の燃焼装置1によれば、各バーナ8a〜8tにおいて、均一した大きさの火炎を発生させると共に、各分割面積15a〜15gにおいて、均一した燃焼を行うことが可能となる。
【0035】
また、燃料供給路形成部材5の分岐路9a〜9gの中途には、それぞれ公知技術の開閉弁(電磁弁)21a〜21gが設けられている。
【0036】
次に、本実施形態で採用する調圧装置6について説明する。
【0037】
調圧装置6は、具体的には均圧弁であり、減圧弁の一種であり、一次圧をもって供給された燃料ガスを二次圧に減圧して吐出する調圧装置である。ただし、一般の減圧弁は、設定された一定の圧力に二次圧を調圧するのに対し、本実施形態で採用する均圧弁は、信号圧に応じて吐出圧が変動する点で異なる。
【0038】
具体的には、本実施形態に採用された調圧装置6は、圧力を信号として導入する信号圧導入口(基礎信号圧導入部)32と、燃料供給路9における二次圧を導入する二次圧導入口(二次圧導入部)29とを有し、一次圧の燃料ガスを信号圧導入口32から導入される信号圧(基礎信号圧とも言う)と二次圧導入口29から導入される二次圧とが所定の関係を満足するように減圧して吐出する調圧装置である。即ち、調圧装置6は、図1に示すように、ガス導入口30とガス吐出口31及び二次圧導入口29と信号圧導入口32を備え、ガス導入口30から導入された燃料ガスを減圧してガス吐出口31から吐出するものであるが、ガス吐出口31から吐出される燃料ガスの圧力が、信号圧導入口32の圧力と二次圧導入口29の圧力との関係に依存して変化するものである。
【0039】
調圧装置6は、図1に示すように、外殻6h内にガス通路が形成され、さらにガス通路の開度を調整する弁体6aと、ダイヤフラム6b、スプリング6c、調節機構6dなどが内蔵されたものである。
ダイヤフラム6bは、外殻6hの内部で信号圧室6iを形成する。そして、信号圧室6iに信号圧導入口32が設けられている。そして、信号圧導入口32は、信号圧導通管35を介して、送風機3に接続されている。そのため、信号圧室6iには、信号圧導入口32から導入される信号圧が掛かる。これにより、ダイヤフラム6bの信号圧室6i側の面(一方の面)には、当該面に信号圧が掛かる。
【0040】
また、ダイヤフラム6bの信号圧室6iと対向する側(他方の面)に形成された二次圧室6jには、二次圧導入口29が設けられている。二次圧室6jは、二次圧導通管34を介して二次側の燃料供給路9と連通している。従って、ダイヤフラム6bは、信号圧Ptと燃料供給路9の二次圧P2の圧力差を受ける。本実施形態では、信号圧Ptと共通路9yの下流側の二次圧P2の圧力差を受ける。
また、スプリング6cは、ダイヤフラム6bを支えるものであり、スプリング6cの強さは調節機構6dによって調節される。
【0041】
弁体6aは、前記したように、ガス通路の開度を調節するものであり、軸6mを介してダイヤフラム6bに接続されている。
そのため、本実施形態に採用された調圧装置6によると、例えば、調圧装置6に導入される燃料ガスの一次圧P1が上昇したときには、その圧力変動に伴って二次圧(共通路9yにおける圧力)P2も上昇するが、二次圧P2の圧力変動に伴って弁体6aが下方に移動する。即ち、二次圧導入口29に導入される二次圧P2と、ダイヤフラム6bを挟んで対向する側に掛かる信号圧Ptとの圧力均衡が一時的に崩壊し、二次圧P2が信号圧Ptより大きくなり、上昇した二次圧P2によりダイヤフラム6bが下方に膨出する。これにより、弁体6aが下方に移動し、燃料ガスの通過面積が狭められるため、当該狭められた通過面積を通過した燃料ガスの二次圧P2は降下して、再び信号圧Ptとほぼ等しくなるように調節される。
【0042】
また、信号圧Ptが上昇したときには、その圧力変動に伴って弁体6aが上方に移動し、二次圧P2が上昇側に変動して信号圧Ptとほぼ等しくなるように調節される。即ち、二次圧導入口29に導入される二次圧P2と、ダイヤフラム6bを挟んで対向する側に掛かる信号圧Ptとの圧力均衡が一時的に崩壊し、信号圧Ptが二次圧P2より大きくなり、上昇した信号圧Ptによりダイヤフラム6bが上方に膨出する。これにより、弁体6aが上方に移動し、燃料ガスの通過面積が拡げられるため、当該拡げられた通過面積を通過した燃料ガスの二次圧P2は上昇側に変動して、当該二次圧P2は再び信号圧Ptとほぼ等しくなるように調節される。このようにして、調圧装置6の一次圧P1や信号圧Ptが変動した場合においても、共通路9yの下流側の二次圧P2が信号圧Ptとほぼ等しくなるように調節される。
【0043】
前記した調圧装置6は、ガス導入口30が図示しない燃料ガス供給源に接続されている。また、調圧装置6のガス吐出口31は、燃料供給流路部材5の共通路9y側の一方の端部(燃料ガスの流れ方向上流側端部)に接続されている。なお、共通路9yの他方側の端部(燃料ガスの流れ方向下流側端部)には、分岐路9a〜9gが接続されている。
また、共通路9yには、下流側(燃料ガスの流れ方向)に二次圧取出部28が設けられ、二次圧取出部28と調圧装置6の二次圧導入口29の間が二次圧導通管34によって接続されている。なお、本実施形態では、二次圧導入口29と二次圧取出部28を二次圧導通管34によって一体的に形成した構成としているが、二次圧導通管34は、二次圧導入口29と二次圧取出部28に図示しないボルトやナット等の固定手段を用いて、接続可能とした構成としても構わない。そのようにすることで、既存の燃焼装置において取り付け可能となるため、製造コストを低減することができる。
【0044】
また、調圧装置6の信号圧は、送風機3の吐出側から検知される。即ち、図1に示すように、送風機3とバーナケース7の中間部分から検出されている。従って、送風機3とバーナケース7の中間部分(送風路37)に信号圧取出部33が設けられ、信号圧取出部33と調圧装置6の信号圧導入口32の間が信号圧導通管35によって接続されている。
【0045】
ここで、本実施形態の燃焼装置1では、信号圧取出部33の近傍で、信号圧取出部33と対向する位置に圧変動板(圧力変動手段)12が設けられている。圧変動板12は、信号圧取出部33から検知される信号圧を増減させることが可能なものである。
圧変動板12は、長方形状の薄板で、長手方向の中心を基準に、長手方向端部が信号圧取出部33側に近接又は離反する方向に回転するものである。即ち、圧変動板12は、送風路37の空気の流れる方向との交差角度が変化するように制御することで、調圧装置6に導入される信号圧を増減させることができるものである。また、圧変動板12は、公知技術の図示しないステッピングモータ(圧力変動手段,アクチュエータ)を駆動手段としており、当該ステッピングモータを駆動することで圧変動板12を回転させている。なお、前記ステッピングモータは、図示しない制御手段により制御されており、当該制御手段より信号を受信した際に、駆動するものである。
【0046】
上記した実施形態では直動式の均圧弁6を示したが、本発明では、例えば図示しないパイロット式の均圧弁であってもよい。
【0047】
次に、燃焼装置1の機能について説明する。
本実施形態の燃焼装置1では、送風機3を回転させると共に開閉弁21を開きバーナ8に燃料と空気を導入し、バーナ8内で両者を混合し、バーナ8の図示しない炎孔から燃料ガスと空気の混合ガスを放出させ、燃焼空間14で火炎を発生させる。
【0048】
即ち、送風機3を回転させることによって、バーナケース7内に送風を行う。送風機3から吐出された送風は、一旦、バーナケース7内の空気流路形成部11に入る。そして、空気流路形成部11に導入された空気は、空気流路形成部11から各バーナ8a〜8tの端部に至り、空気・ガス導入口18から各バーナ8a〜8tに空気が供給される。
【0049】
ここで、各バーナ8a〜8tに導入される空気の量に注目すると、バーナ8a〜8tに導入される空気量は、バーナ8a〜8tの空気・ガス導入口18近傍の空気圧力と、空気・ガス導入口18の開口面積と、バーナ8a〜8tの内部抵抗と、バーナ8a〜8tの下流側の抵抗(排気抵抗)及び大気圧の関数となる。
空気・ガス導入口18の開口面積は、燃焼中に変化しない。また、バーナ8a〜8tの内部抵抗も一定である。さらに、バーナ8a〜8tの空気の流れ方向下流側の抵抗(排気抵抗)と大気圧についても、ほぼ一定であると見なすことができる。
【0050】
そのため、バーナ8a〜8tに導入される空気量の変化は、空気・ガス導入口18近傍の送風圧力の変化との相関関係が最も高いものとなる。さらに、バーナ8a〜8tに導入される空気量の変化は、空気・ガス導入口18近傍の圧力変化だけによって変化すると考えても、実用上差し支えないと言える。
また、空気・ガス導入口18近傍の圧力は、バーナ8a〜8tの圧力損失等を無視するならば、送風機3の吐出圧力によって決定されると言える。
【0051】
一方、燃料ガスは、燃料ガス供給源から調圧装置6に入り、調圧装置6で減圧される。そして、調圧装置6を出た燃料ガスは、燃料供給路形成部材5の燃料供給路9に入り、分岐路9a〜9gを通過し、ノズル20から吐出される。各ノズル20は、いずれも各バーナ8a〜8tの空気・ガス導入口18に臨む位置に設けられており、ノズル20から吐出されたガスは、空気・ガス導入口18から各バーナ8a〜8t内に入り、空気と混合されて図示しない炎孔から放出される。そして、燃焼空間14において、火炎を発生させる。
【0052】
ここで、各バーナ8a〜8tに導入される燃料ガスの量に注目すると、バーナ8a〜8tに導入される燃料ガスの量は、分岐路9a〜9gを通過する燃料ガスの量である。
分岐路9a〜9gを通過する燃料ガスの量は、分岐路9a〜9gの燃料ガスの流れ方向上流側のガス圧と、分岐路9a〜9gの開口面積と、分岐路9a〜9gの内部抵抗と、ノズル20の開口径と、ノズル20の吐出側の雰囲気圧力の関数となる。
【0053】
分岐路9a〜9gの燃料ガスの流れ方向上流側のガス圧と、分岐路9a〜9gの開口面積と、分岐路9a〜9gの内部抵抗と、ノズル20の開口径は、一定であって、燃焼中に変化することはない。また、ノズル20の吐出側の雰囲気圧力についても変化は小さい。
そのため、バーナ8a〜8tに導入される燃料ガスの流量変化は、分岐路9a〜9gの燃料ガスの流れ方向上流側の燃料ガスの圧力変化と最も高い相関関係がある。即ち、バーナ8a〜8tに導入される燃料ガスの流量は、分岐路9a〜9gの燃料ガスの流れ方向上流側のガス圧だけで決まると考えても、実用上差し支えないと言える。
【0054】
また、本実施形態の燃焼装置1では、調圧装置6の信号圧は、送風機3の吐出側から検知され、当該信号圧に応じて、調圧装置6と接続された共通路9yの二次圧を変化させることができる。さらに、本実施形態の燃焼装置1では、前記したように、送風路37に圧変動板12が設けられ、信号圧取出部33から検知される信号圧を変化させることができる。
【0055】
ここで、本実施形態では、通常燃焼時には、図2(a)に示すように、圧変動板12の一方の端部(送風方向下流側)が、信号圧取出部33に対して若干近接する配置とされており(燃焼安定位置)、若干空気の流れを信号圧取出部33に向かうように制御して、若干の動圧を作用させて通常燃焼の空燃比を制御している。即ち、信号圧取出部33から検知される信号圧を増加させたい場合は、図2(b)に示すように、圧変動板12を信号圧取出部33に対してさらに近接する方向(送風路37の空気の流れ方向と、圧変動板12との交差角度を大きくする方向)に回転させて信号圧取出部33に空気がより向かう配置(動圧増加位置)に制御して、検知位置に作用する動圧を増加させ、反対に、信号圧取出部33から検知される信号圧を減少させたい場合は、図2(c)に示すように、圧変動板12を信号圧取出部33に対して離反する方向(送風路37の空気の流れ方向と、圧変動板12との交差角度を小さくする方向)に回転させて信号圧取出部33に空気が向かわない配置(動圧減少位置)に制御して、検知位置に作用する動圧を減少させる。
【0056】
即ち、圧変動板12により、調圧装置6に導入される信号圧を、送風機3から検知される本来の信号圧から変化させることが可能である。具体的に説明すると、図2(b)に示すように、空気の流れを信号圧取出部33に向かうように圧変動板12を制御することで、送風機3の回転数を上げることなく信号圧導入口32に導入される信号圧を上昇させることができるため、当該上昇された信号圧に応じた燃料ガスが燃料供給路9に供給される。即ち、通常燃焼時の空燃比より燃料ガスの比率を高めた制御が可能となる。これにより、本実施形態の燃焼装置1によれば、点火時における、着火性を向上させたり、点火から一定時間が経過するまでの間に発生する恐れがある振動燃焼や、開閉弁21a〜21gのいくつかを開放して、通常燃焼時に燃焼量を増加させる際に生じる燃焼状態の不安定を低減できる。
【0057】
また、図2(c)に示すように、通常燃焼時よりも空気の流れを信号圧取出部33に向かわないように圧変動板12を制御することで、本来の送風機3の回転数に応じた信号圧(静圧)を調圧装置に導入できるため、当該信号圧(静圧)に応じた燃料ガスが燃料供給路9に供給される。即ち、通常燃焼時の空燃比よりも燃料ガスの比率を減少させる制御が可能となる。これにより、点火から一定時間が経過するまでの間に発生する恐れがある振動燃焼や、開閉弁21a〜21gのいくつかを閉止して、通常燃焼時に燃焼量を減少させる際に生じる燃焼状態の不安定を低減できる。
【0058】
上記したように、本実施形態の燃焼装置1では、バーナ8a〜8tに導入される空気の量と、燃料ガスの量とが、共に送風機3の吐出圧(信号圧取出部33における信号圧にほぼ等しい)によって変化する。そのため、送風機3の吐出圧が増加して、バーナ8a〜8tに導入される空気の量が増大すると、調圧装置6の信号圧が上昇して、調圧装置6からの燃料ガスの吐出圧が上昇し、燃料供給路9を流れる燃料ガスの量が増大するため、バーナ8a〜8tに導入される燃料ガスの量も増加する。換言すると、本実施形態の燃焼装置1では、バーナ8a〜8tに導入される空気の量が増減すると、これに伴ってバーナ8a〜8tに導入される燃料ガスの量も増減する。従って、本実施形態では、通常燃焼時においては、バーナ8a〜8tに導入される空気量と燃料ガス量の比率は常に一定である。
【0059】
また、本実施形態では、圧変動板12を制御することで、擬似的に信号圧導入口32に導入される信号圧を増減させることが可能である。従って、擬似的な信号圧により、燃料供給路9を流れる燃料ガスの量を増減させて、空燃比を変動させることができる。即ち、本実施形態の燃焼装置1によれば、空燃比を一定に維持するだけではなく、必要に応じて空燃比を変動させて、前記したような合理的な燃焼を行うことが可能となる。
【0060】
また、バーナ8a〜8tに導入される空気量と燃料ガス量の比率は、バーナ8a〜8tの空気・ガス導入口18の面積等と、ノズル20の開口径等によって決まる。本実施形態では、燃料ガスを燃焼させるに足る空気量が、空気・ガス導入口18から導入されるように、空気・ガス導入口18の面積等と、ノズル20の開口径等が設定されている。
【0061】
そのため、本実施形態では、各バーナ8a〜8tに対して、通常燃焼時においては常に適切な比率で空気と燃料ガスが導入することができ、混合ガスを図示しない炎孔から放出させて、燃焼空間14で火炎を発生させることができる。そして、前記したように、必要に応じて、圧変動板12を制御することで、燃料ガスの比率を増減させることもできる。
また、燃焼量の増減は、送風機3の送風量を変化させることによって行うことができ、前記した調圧装置6により、空気量と燃料ガス量の比率を一定にすることができる。そのため、送風機3の回転数を増加し、送風量を増加させると、バーナ8a〜8tに導入される空気量が増大すると共に燃料ガスの量も増加し、燃焼量が増加する。逆に、送風機3の回転数を減少し、送風量を減少させると、バーナ8a〜8tに導入される空気量が減少すると共に燃料ガスの量も減少し、燃焼量が減少する。
【0062】
次に、本実施形態の燃焼装置1を燃焼させる際の手順について説明する。
【0063】
本実施形態の燃焼装置1では、図3のフローチャートに従って説明すると、図示しない制御装置は、燃焼空間14で燃焼が行われていない場合、燃焼要求を待機する(ステップ1)。例えば、図示しない給湯器に燃焼装置1が採用されている場合であれば、カランを開く等の操作によって給湯要求が生じ、燃焼要求が発生する。
ステップ1で燃焼要求があると、ステップ2に進み、点火前の予備送風を行う。即ち、プレパージを実行する。
具体的には、ステップ2でタイマを起動し、送風機3を回転して送風を開始する(ステップ3)。これにより、全バーナ8a〜8tに送風がなされる。
【0064】
そして、ステップ4でプレパージに要する時間が終了すると、ステップ5に移行して、圧変動板12を前記した動圧増加位置まで回転させる。より具体的には、図示しない制御手段により、検知圧取出部33に導入される圧力が増大する(動圧)位置に圧変動板12を制御した状態にする。そして、ステップ6で、全て又は一部の開閉弁21a〜21gを開き、燃料供給路9に燃料ガスを供給する。
【0065】
ステップ6で、燃料ガスが燃料供給路9に供給されると、ステップ7に移行し、図示しないイグナイタ等で点火する。そして、ステップ8で、点火され、燃焼状態にあるか否かが確認される。ステップ8で、燃焼状態にあることが確認されると、ステップ9に移行し、再びタイマを起動し、圧変動板12を動圧減少位置まで回転させる(ステップ10)。ここで、点火してから一定時間が経過するまでの間は、振動燃焼が発生しやすい場合がある。そのため、送風機3の空気の流れを信号圧に向かわないように制御し、信号圧取出部33に作用する動圧を減少させて、通常燃焼時の空燃比より燃料ガスの比率を低下させている。
【0066】
そして、ステップ11で点火してから一定時間の経過が確認されると、圧変動板12を前記した燃焼安定位置まで回転させる(ステップ12)。より具体的には、通常燃焼時の圧変動板12の位置であり、信号圧取出部33に若干動圧が作用する位置に圧変動板12を制御した状態である。
【0067】
次に、燃焼中に要求される燃焼量が減少した場合の動作について説明する。
【0068】
図4のフローチャートに従って説明すると、ステップ1では、燃焼量の要求に変化があったかが確認される。ステップ1で、燃焼量の変化要求が確認されると、ステップ2に移行し、燃焼量が減少させるか否かが確認される。
そして、燃焼量を減少すると判断された場合、ステップ3に移行し、燃焼運転が停止されるか否かが確認される。ステップ3で、燃焼運転は停止されないと判断されると、開状態の開閉弁21の一部が閉止される(ステップ4)。
【0069】
ここで、先にも説明したように、通常燃焼から一部の開閉弁21を閉止して、燃焼領域を減少させた場合、燃焼供給路9の圧力が増加し、通常燃焼時の空燃比より燃料ガスの比率が増加して、一時的に燃焼状態が不安定になる場合がある。
そのため、ステップ5では、タイマを起動し、送風機3から検知する信号圧を減少させて、燃料ガスの比率を減少させる制御を行う。即ち、ステップ6で、圧変動板12を動圧減少位置まで回転させる。そして、ステップ7で、一定時間の経過が確認されると、再び圧変動板12を燃焼安定位置まで回転させる(ステップ8)。
【0070】
一方、ステップ2で燃焼量が減少されると判断されなかった場合には、ステップ12に移行し、燃焼量が増加されるか否かが確認される。そして、ステップ12で、燃焼量の増加が確認されると、閉止状態の開閉弁21の一部又は全部が開かれる(ステップ13)。
ここで、先にも説明したように、通常燃焼から一部の開閉弁21を開けて、燃焼領域を増加させた場合、燃焼供給路9の圧力が減少し、通常燃焼時の空燃比より燃料ガスの比率が減少して、一時的に燃焼状態が不安定になる場合がある。
【0071】
そのため、ステップ14では、タイマを起動し、送風機3から検知する信号圧を増加させて、燃料ガスの比率を増加させる制御を行う。即ち、ステップ15で、圧変動板12を動圧増加位置まで回転させる。そして、ステップ16で、一定時間の経過が確認されると、再び圧変動板12を燃焼安定位置まで回転させる(ステップ17)。
【0072】
なお、ステップ3で燃焼運転の停止が確認されると、ステップ9に移行して、開状態の閉止弁21を全部閉止し、燃焼が停止される(ステップ10)。そして、再び、図4のフローチャートのステップ1で待機することとなる。
【0073】
上記実施形態では、圧変動板12を信号圧取出部33の近傍で、信号圧取出部33と対向する位置に配した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図5に示すように、上記実施形態で示した圧変動板12の位置(二点鎖線)から送風方向下流側(図5(a))又は上流側(図5(b))にずらした配置であっても構わない。即ち、圧変動板12を制御して、信号圧取出部33に検知される圧力を変化できる配置であれば構わない。
【0074】
上記実施形態では、二次圧取出部28を燃料供給路9の共通路9yに配した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図6に示すように、共通路9yの下流側の分岐路9a〜9gのいずれに配した構成であっても構わない。この場合、燃焼中、燃料ガスの流れが阻止されない分岐路9a〜9gのいずれかを選択することが好ましい。換言すると、燃焼中、閉止することがない閉止弁21が設けられたいずれかの分岐路9a〜9gを選択することが好ましい。これにより、開閉弁21a〜21gのいずれかを閉止した場合であっても、正確な空燃比を維持することができる。
【0075】
上記実施形態では、信号圧取出部33の近傍に圧変動板12を設け、信号圧を変動させる構成を示したが、本発明はこれに限定されず、燃料ガスが流れる流路に圧変動板12を設ける構成であっても構わない。
例えば、図7に示すように、調圧装置6に導入する二次圧を燃料共通路9に設けた二次圧取出部28から検知する場合は、圧変動板12は当該二次圧取出部28の近傍に配する。圧変動板12の配置については、上記実施形態とほぼ同様とする。即ち、通常燃焼時の圧変動板12は、燃料ガスの流れを若干二次圧取出部28に向かわせて、若干動圧を検知させる配置とされている。しかしながら、燃料ガスの流量を増減させる制御方法については、上記実施形態と若干異なるため、以下に説明する。
【0076】
圧変動板12を二次圧の検知側に配した場合は、燃料ガスの流れを二次圧取出部28に向かわせるように圧変動板12を制御すると、二次圧取出部28から検知される二次圧は、実際に燃料供給路9を流れる燃料ガスの本来の二次圧より大きくなる。即ち、調圧装置6に導入される擬似的な二次圧(動圧)が、送風機3からの信号圧に調節されるため、燃焼空間14に供給される燃料ガスは通常燃焼時の空燃比の比率より少なくなる。即ち、このような制御を実行することで、上記実施形態で示した、圧変動板12を、空気の流れを信号圧取出部33に向かわせないように回転させて、静圧を検知して得る効果と同様の効果を得ることができる。
また、燃料ガスの流れを二次圧取出部28に向かわせないように圧変動板12を制御すると、二次圧取出部28から検知される二次圧は、信号圧に応じて吐出された燃料ガス本来の二次圧となる。即ち、調圧装置6に導入される擬似的な二次圧(静圧)が、送風機3からの信号圧に調節されるため、燃焼空間14に供給される燃料ガスは通常燃焼時の空燃比の比率より多くなる。即ち、このような制御を実行することで、上記実施形態で示した、圧変動板12を、空気の流れを信号圧取出部33に向かわせるように回転させて、動圧を検知して得る効果と同様の効果を得ることができる。
従って、本構成によれば、圧変動板12を制御することで、必要に応じて通常燃焼時の空燃比からずれた比率の燃料ガスに調節できるため、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0077】
また、図8に示すように、調圧装置6の吐出側の二次圧が信号圧導入部32に導入される信号圧に調節される調圧装置6を備えた燃焼装置1の場合は、調圧装置6の吐出側に設けられた二次圧取出部28の近傍に配する。このような構成とすることで、前記同様、必要に応じて通常燃焼時の空燃比からずれた比率の燃料ガスに調節できるため、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0078】
上記実施形態では、バーナ8の数が異なる7の群19を備え、各群19に1本の分岐路9a〜9gが配された構成を示したが、本発明はこれに限定されず、図9に示すように、バーナ8の数と分岐路9の数が等しい構成であっても構わない。
【0079】
上記実施形態では、点火前に圧変動板12を圧力増加位置に制御する構成を示したが、本発明はこれに限定されず、点火後すぐに圧変動板12を圧力増加位置に制御する構成であっても構わない。具体的には、図3のフローチャートのステップ8(19)の点火後からステップ10(21)の送風量調整が開始されるまでである。
【0080】
上記実施形態では、燃焼量を増減させるために開閉弁21を制御する場合、開閉弁21を制御した後に圧変動板12を圧力増加位置又は圧力減少位置に制御する構成を示したが、本発明はこれに限定されず、開閉弁21を制御する直前に圧変動板12を圧力増加位置又は圧力減少位置に制御する構成であっても構わない。具体的には、図4のフローチャートのステップ3(12)からステップ4(13)の間のタイミングである。
【0081】
上記実施形態では、図示しないアクチュエータとしてステッピングモータを用いた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、サーボモータやリミットスイッチ付のモータなどを圧変動板12の駆動源として用いた構成であっても構わない。
【0082】
上記実施形態では、圧変動板12を燃焼安定位置と、動圧増加位置と、動圧減少位置の3段階で制御する構成を示したが、本発明はこれに限定されず、動圧増加位置と動圧減少位置の間に1以上の段階を追加した構成であっても構わない。
【0083】
上記実施形態では、点火から一定時間が経過するまでの間に、圧変動板12を動圧減少位置に制御する構成を示したが、本発明はこれに限定されず、動圧増加位置に制御する構成であっても構わない。即ち、点火の後から燃焼状態が安定するまでに発生し得る振動燃焼などの不安定な燃焼状態を低減できればよい。
【符号の説明】
【0084】
1 燃焼装置
3 送風機
6 調圧装置(均圧弁)
8 バーナ
9 燃焼供給路
9a〜9g 分岐路
11 圧変動板(圧力変動手段)
14 燃焼空間
21 開閉弁(電磁弁)
28 二次圧取出部
29 二次圧導入口(二次圧導入部)
32 信号圧導入口(信号圧導入部)
33 信号圧取出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機と、調圧装置と、燃料供給路と、燃焼空間と、制御手段とを有し、
燃焼供給路を通過した燃料ガスを燃焼空間で燃焼させる燃焼装置であって、
前記調圧装置は、一次圧をもって供給された燃料ガスを、所定の信号圧に応じた二次圧に調節して吐出するものであり、
前記信号圧は、送風機又は送風機の下流側から検知され、
前記信号圧に応じた二次圧は、燃料ガスが通過する流路における所定の位置から検知され、
前記信号圧又は信号圧に応じた二次圧の検知位置近傍には、検知圧を変動させることが可能な圧力変動手段が設けられ、
前記圧力変動手段は、前記制御手段により検知圧が変動するように制御可能であることを特徴とする燃焼装置
【請求項2】
前記圧力変動手段は、圧変動板とアクチュエータとを有し、
当該アクチュエータを駆動させて圧変動板を回転させることで、検知圧が変動することを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記圧力変動手段は、燃焼空間における点火時に、検知圧が増大するように制御されることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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