説明

燐光変換発光装置

【課題】波長変換発光デバイスを提供する。
【解決手段】半導体発光デバイスが、波長変換物質と組み合わされる。半導体発光デバイスは、第一ピーク波長の第一光を放出するように形成される。波長変換物質は、第一光の少なくとも一部を吸収し、且つ、第二ピーク波長の第二光を放出するように形成される。幾つかの実施形態では、第一の波長変換物質は、(Ba1-xSrx2-y-0.5zSi58ーzz:Euy2+、ここに、0.2<x<0.3、(Ba1-xCax2-y-0.5zSi58ーzz:Euy2+、ここに、0.01<x<0.2、又は、M2Si5-aa8ーaa:Eu2+、ここに、M=Sr,Ba,Ca;A=Al,B,Ga,Sc;且つ0.01<a<0.2である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して波長変換発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードを含む発光デバイスは、光のスペクトルの特定領域にピーク波長を有する光を発生させることができるよく知られた固体デバイスである。LEDは、典型的には、照明器、指示器及び表示器として使用される。スペクトルの青色からUVの範囲で、ピーク波長を中心として比較的狭い帯域内で光を効率的に放出することができる、III族窒化物系材料を主成分とするLEDが開発されてきた。青色−UV光が、可視光の他の色に比べて高い光エネルギーを有するため、III族窒化物LEDによって発生される、かかる光をより長い波長を有する光を商事させるように容易に変換することができる。第一のピーク波長を有する光(「一次光」)を、ルミネッセンスとして知られた方法を使用して、より長いピーク波長を有する光(「二次光」)に変換することができることは当該技術においてよく知られている。ルミネッセンス法は、光ルミネッセンス燐光物質によって一次光を吸収し、一次光は、燐光物質の原子を励起し、二次光を放出する。二次光のピーク波長、及び(短波長で)ピーク波長を中心にした波長帯域は、燐光物質に依存する。燐光物質の種類を、特定のピーク波長を有する二次光をもたらすように選択することができる。当該技術において、所望の波長範囲で光を効率的に変換し、且つ、III族窒化物発光デバイスの作動温度に耐えることができる燐光物質のような波長変換物質が必要とされる。
【0003】
ボグナー(Bogner)等に付与された米国特許第(US)6649946号が、要約に、「光源が、ニトリドケイ酸塩(nitridosilicate)タイプのMXSiYz:Eu、ここに、Mは、グループGa、Sr、Baから選択された少なくとも一つのアルカリ土類金属であり、かつ、z=2/3x+4/3y、のホスト結晶(host lattice)を有する黄色から赤色発光燐光物質を使用する。」と記載する。タマキ(Tamaki)等に付与された欧州特許第(EP)1433831A1号は、要約に、「一般式LXY((2/3)X+(4/3)Y):R、又は、LXYZ((2/3)X+(4/3)Y-(2/3)Z):R(ここに、Lは、Mg、Ca、Sr、Ba及びZnからなるII族元素から選択された少なくとも一つ以上であり、Mは、C、Si及びGeのうちSiが必須であるIV族元素から選択された一つ以上であり、Rは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er及びLuのうちEuが必須である希土類元素から選択された少なくとも一つ以上である。)によって表される・・・ニトリド燐光物質(nitride phosphor)」と記載する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、波長変換物質と組み合わせた半導体発光デバイスを含む。半導体発光デバイスは、ピーク波長の第一の光を放出するように形成される。第一波長変換物質は、第一光の少なくとも一部を吸収し、第二ピーク波長の第二光を放出する。ある実施形態では、第一波長変換物質は、(Ba1-xSrx2-y-0.5zSi58-zz:Euy2+、ここに、0.2<x<0.3、(Ba1-xCax2-y-0.5zSi58-zz:Euy2+、ここに、0.01<x<0.2、又は、M2Si5-aa8-aa:Eu2+、ここに、M=Sr,Ba,Ca;A=Al,B,Ga,Sc;かつ0.01<a<0.2である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】色度図の一部分を示す。
【図2】Sr2Si58:Eu2+の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す。
【図3】200及び500時間85℃で350mAで駆動した、Sr2Si58:Eu2+と、(Ba,Sr)2Si58:Eu2+の異なる組成の、を含む燐光物質変換LEDに関する発光強度の光誘導減少のプロットである。
【図4】(Ba,Sr)2Si58:Eu2+の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す。
【図5】(Ba0.95Cax0.051.96Si58:Eu2+の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す。
【図6】(Ba0.75Sr0.251.96Si4.9Al0.17.90.1:Eu0.04、の発光スペクトルである。
【図7】本発明の実施形態を示す。
【図8】本発明の実施形態を示す。
【図9】本発明の実施形態を示す。
【図10】Ba2Si58:Eu2+0.035及び(Ba0.95Ca0.052Si58:Eu2+0.02の発光スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
赤色発光燐光物質、及びオレンジ色発光燐光物質が特に有用である。赤色発光ダイオード及びオレンジ色発光ダイオードを作るのに普通に使用されるこの材料系では、ピーク波長がより長く、即ち、より赤くなるので、ダイオードの効率が一般的に減退する。かかるデバイスの効率は、交通信号灯及び自動車のライトのような、かかる普通の用途で経験される温度の極端な状態で更に悪化する。特に、かかる用途では、赤色発光燐光物質によって変換される青色又はUV光を放出する発光ダイオードは、赤色発光ダイオードに勝る性能を示す。さらに、赤色発光燐光物質、及びオレンジ色発光燐光物質は、照明用途、及びバックライティング用途のような、白色光を必要とする用途に有用である。
【0007】
本発明の実施形態によれば、ポンプ光源から高温及び高照度で長く機能する新しいオレンジ色発光燐光物質及び赤色発光燐光物質を開示する。かかる燐光物質は、オレンジ色光、赤色光又は白っぽい光を放出し、且つ、オレンジ色発光燐光物質又は赤色発光燐光物質だけを含む系において、又は、白色光を放出し、且つ、オレンジ色発光燐光物質又は赤色発光燐光物質に加えて、一つ以上の波長変換物質を含む系において、例えば、青色発光ダイオード又はUV発光ダイオードによって励起される。図1は、色度図の一部分を示す。領域201の燐光物質は黄色光を放出し、領域202の燐光物質は、交通信号灯及び自動車の方向指示灯に有用な黄色光及び琥珀色光を放出し、領域203の燐光物質は、交通信号灯、自動車の尾灯、及びバックライトのような、白色を必要とする用途における赤色成分として有用な赤色光を放出する。プランク軌跡は204で示され、白色光は領域20.5に示される。
【0008】
本発明者は、正確な式M2Si58:Eu2+という燐光物質を開示し、ここに、Mは、Sr、Ba及びCaの一つ以上であり、高温又は高ポンプ照度で悪い性能を示す。図2は、Sr2Si58:Eu2+の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す。唯一のアルカリ土類としてSrを有するこの式は、赤色波長の強い発光ピークにより、望ましい発光スペクトルを有する。しかしながら、Sr2Si58:Eu2+の性能は、図3に示すように、ポンプ光の強度が増大すると、特に、動作温度が上昇すると、時間とともに著しく低下する。特に、本発明者は、100及び200時間、85℃で、350mAで作動させた、Sr2Si58:Eu2+を含む燐光物質変換LEDが、それぞれ、47%及び59%の発光効率の減少を示したことを観察した。300℃の高温で作動された、10W/cm2の同様の光パワー密度によって照明される同様のデバイスは、たった12時間の照明時間内に61%低下した。Sr2Si58:Eu2+の発光を、図1の点206で示す。
【0009】
Baの追加は、(Ba,Sr)2Si58:Eu2+の燐光物質の式という結果となり、高温及び高ポンプ光強度で燐光物質の性能安定を高める。図3は、(Ba,Sr)2Si58:Eu2+の燐光物質中のBaの百分率を増加すると、発光効率の損失が減少し、燐光物質にBaを加えることは、燐光物質の温度安定性及び光安定性を改善すること示す。しかしながら、Baの成分が増加すると、発光スペクトルのピークが、より短い波長の方へ好ましくなくずれする。ある実施形態では、許容できる安定性及び発光スペクトルが、0.75より大きいBa対Srの割合によって達成される。特に、好ましい安定性及び発光スペクトルが、式(Ba1-xSrx2Si58:Eu2+、ここに、0.2<x<0.3、の燐光物質で観察される。図4は、(Ba,Sr)2Si58:Eu2+の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す。(Ba,Sr)2Si58:Eu2+の幾つかの式を、図1に点207で示す。
【0010】
Srの代わりにBa及びCaを用いると、(Ba,Ca)2Si58:Eu2+の燐光物質の式となり、高温及び高ポンプ光強度で燐光物質の性能安定性が増加する。好ましい安定性及び発光スペクトルが、式(Ba1-xCax2Si58:Eu2+、ここに、0.01<x<0.2、の燐光物質で観察される。Caを含む実施形態では、50%より大きいCaの成分が、異なる望ましくない結晶構造をもたらすので、Ca成分は50%未満に限定されるのがよい。図10は、Ba2Si58:Eu2+0.035及び(Ba0.95Ca0.052Si58:Eu2+0.02の発光スペクトルを示す。Ba及びCa燐光物質は、Eu2+の低濃度で、Ba燐光物質と実質的に等しい発光スペクトルを有する。あるいはEu2+の低濃度のため、5%のCaを含む燐光物質は、Ca無しの燐光物質よりも優れた温度安定性を示し、200℃で、(Ba0.95Ca0.052Si58:Eu2+0.02は、80%の効率を示し、一方、Ba2Si58:Eu2+0.035は、65%の効率を示す。図5は、(Ba0.95Ca0.051.96Si58:Eu2+0.04の励起及び発光スペクトルを示す。(Ba,Ca)2Si58:Eu2+の二つの式を図1に点208で示す。
【0011】
Ba、Ca及びSrの各々を含めば、(Ba,Ca,Sr)2Si58:Eu2+の燐光物質の式となり、高温及び高ポンプ光強度で燐光物質の性能安定性が増す。
【0012】
上述したM2Si58:Eu2+の燐光物質のあるものの安定性が、Eu2+のドーピングレベルを減少させることによって改善される。Eu2+のドーピングレベルが減少すると、発光スペクトルピークが、より短い波長の方へ好ましくなくずれる。高温及び高ポンプ光強度での有利な安定性及び許容できる発光スペクトルが、0.2%乃至4%、好ましくは、0.75%乃至4%のEu2+濃度について観察された。
【0013】
或る実施形態では、処理中に、酸素が、上述したM2Si58:Eu2+燐光物質に知らないうちに混入する。これらの実施形態は、例えば、(Ba1-xCax2-y-0.5zSi58-zz:Euy2+、及び、(Ba1-xSrx2-y-0.5zSi58-zz:Euy2+によって、より正確に記載される。これらの成分は、窒素に対して約5原子%まで酸素を含有し、酸素が窒素に置き換わる。或る実施形態では、Z≦0.5である。
【0014】
ある実施形態では、Al及びOが加えられて、(Sr1-x-yBaxCay2Si5-aAla8-aa:Eu2+の燐光物質の式となり、燐光物質の安定性及びスペクトルを改善する。図6は、Sr1.96Si58:Eu2+0.04、及び、Sr1.96Si3Al262:Eu2+0.04の発光スペクトルを示す。Al及びOの追加は、発光スペクトルをより赤色波長の方へ好ましくずらして、発光スペクトルを広げ、ルミネッセンスのストークスシフトを増大させる。さらに、粒子の成長を促進する高酸素液相が、望ましい高い結晶度を有する燐光物質となるOを含む燐光物質の合成中に観察された。しかしながら、Al及びOの添加はまた、熱消光温度の低下という結果をもたらす。かくして、Alの最適な成分は、望ましいストークスシフト及び結晶度をもたらす程大きいが、燐光物質の熱消光温度を著しく低下させるほど大きくない成分である。好ましい実施形態では、Al成分の最適範囲は、0.01≦a≦0.2である。Alの代わりにB、Ga及びScを用いてもよいし、或いはAlの他に添加してもよい。Oを含む燐光物質の式では、O2-が、欠陥状態を引き起こすN3-に置き換えられる。Al、B、Ga及び/又はSc成分の添加は、これらの欠陥状態を補償し、より安定な燐光物質となる。上記の最適なAl成分範囲は、合成中、燐光物質に受け入れられるOを補償するのに必要とされるAlの量に相当する。
【0015】
上述した燐光物質の幾つかは、以下のように合成される。
【0016】
(Ba0.75Sr0.251.96Si4.90.17.90.1:Eu0.04の合成:BaCO3、SrCO3、Eu23及び等モル量の炭素の混合物を1000℃で成形ガス(H2/N2=9/95)の流れの中で焼成することによって準備された100gのBa0.75Sr0.25O:Eu0.02と、61.43gのアモルファス窒化ケイ素(アルファアーサー(Alfa Aesar)より入手可能、98%)と、10.63gのグラファイト(アルファアーサー、微結晶グレード)と、0.5gのAlN(アルファアーサー)とを、100mlのイソプロパノールと湿式で混合し、乾燥雰囲気中で乾燥し且つ均質化する。前駆物質混合物をタングステンボートに注ぎ、次いで、流れる成形ガス(H2/N2=9/95)中で1450℃で4時間焼成する。加熱速度は、1400℃まで150k/hであり、1450℃まで10k/hである。冷却後、燐光物質を粉砕することによって均質化し、流れる成形ガス(H2/N2=9/95)中で1450℃で再び2時間焼成する。次いで、燐光物質を、1時間、イソプロパノール中で、イットリア安定化ジルコニア球(直径2mm)で微粉砕する。次いで、微粉砕した燐光物質を、引き続いて、酢酸、水及びエタノールで洗浄し、最後に、100℃で乾燥する。
【0017】
(Ba0.75Sr0.251.96Si4.90.17.90.1:Eu0.04の合成:BaCO3、SrCO3、Eu23及び等モル量の炭素の混合物を1000℃で成形ガス(H2/N2=9/95)の流れの中で焼成することによって準備された100gのBa0.75Sr0.25O:Eu0.02と、61.43gのアモルファス窒化ケイ素(アルファアーサー(Alfa Aesar)より入手可能、98%)と、10.63gのグラファイト(アルファアーサー、微結晶グレード)と、0.88gのα−BN(レーデルデハエン(Riedl de Haen))とを、100mlのイソプロパノールと湿式で混合し、乾燥雰囲気中で乾燥し且つ均質化する。前駆物質混合物をタングステンボートに注ぎ、次いで、流れる成形ガス(H2/N2=9/95)中で1450℃で4時間焼成する。加熱速度は、1400℃まで150k/hであり、1450℃まで10k/hである。冷却後、燐光物質を粉砕することによって均質化し、流れてい成形ガス(H2/N2=9/95)中で1450℃で再び2時間焼成する。次いで、燐光物質を、1時間、イソプロパノール中で、イットリア安定化ジルコニア球(直径2mm)で微粉砕する。次いで、微粉砕した燐光物質を、引き続き、酢酸、水及びエタノールで洗浄し、最後に、100℃で乾燥する。
【0018】
(Ba0.95Ca0.051.96Si58:Eu0.04の合成:窒素雰囲気中で700℃でBa金属(米国ミズーリ州セントルイスのアルドリッチ(Aldrich))の窒化によって得られるBa32と、Ca32(ドイツ国カールスルーエのアルファアーサー(Alfa Asear))と、アモルファスSi34(98%、アルファアーサー)と、EuF3(アルドリッチ)とを使用して、(Ba0.95Ca0.051.96Si58:Eu0.04を合成する。グローブボックス内で、42.09gのBa32、0.763gのCa32、27.22gのSiN及び1.290gのEuF3を磁器製の乳鉢内で混合する。混合物を、タングステン製るつぼ内で、流れる成形ガス(H2/N2=9/95)中で1400℃で4時間焼成し、再び粉砕し二度目の焼成をする。出来上がったオレンジ色の粉末を、酢酸、水及び2−プロパノールで洗浄し、未反応成分及び微粒子を除去する。
【0019】
上述した燐光物質は、幾つかの利点を提供する。それらの燐光物質は、高温及び/又は高ポンプ光強度で作動させたとき、在来のSr2Si58:Eu2+よりも安定である。上記の燐光物質の多くについて、高温及び高ポンプ光強度によって引き起こされるスペクトルのいかなる変化も可逆であり、燐光物質よって放出される光の色が、使用時間の経つにつれて著しく変化することは予想されないことを指示している。かかる燐光物質は、バックライティング用途のような、燐光物質によって放出された色の正確さを必要とする用途に特に有用である。さらに、上記の燐光物質の多くは、Y3Al512:Ceのような、在来の燐光物質よりも広い励起スペクトルを有する。例えば、上述した燐光物質の幾つかは、410nmよりも短い波長まで広がる励起スペクトルを有する。410nmデバイスをポンプとして使用することは、特に、赤色光又はオレンジ色光を必要とする用途に有益である、というのは、410nmでは、燐光物質層を通して漏れるいかなる光も、合成光の色の見た目を変えず、且つ、例えば、燐光物質による、又はフィルタによる完全な吸収によって、スペクトルから完全に除去する必要がないからである、というのは、410nmの光は、UV光の漏れを管理する多くの安全規制を受けないからである。
【0020】
図4は、上述した燐光物質の一つ又は二つ以上を有するデバイスの第1実施例を示す。一つ又は二つ以上の燐光物質を含む燐光物質層44が、基板42上にn型領域40、活性領域38、p型領域36を有する発光ダイオードを覆う。コンタクト34を、n型領域及びp型領域上に形成し、次いで、発光ダイオードをひっくり返し、相互接続32によってサブマウント30上に電気的且つ物理的に接続する。発光デバイスは、フリップチップになる必要がなく、光が基板を介してではなく、半導体デバイス層を介してデバイスから取り出されるように、向けられるのがよい。
【0021】
燐光物質層44中の一つ又は二つ以上の燐光物質は、例えば、電子ビーム蒸着法、熱蒸着法、高周波スパッタリング法、化学的気相成長法、又は、原子層エピタキシー法によって、薄膜として付着させてもよいし、例えば、米国特許第6650044号に記載されたスクリーン印刷法、ステンシル法によって、又は、米国特許第6576488号に記載された電気泳動めっき法によって、LED1上に相似層として付着させてもよい。薄膜は、米国特許第6696703号により詳細に記載されている。米国特許第6696703号、第6650044号、及び第6576488号の各々を、ここに、援用する。典型的に、単一の大きな燐光物質粒子として振る舞う薄膜と対照的に、相似層中の燐光物質は、一般的に、多燐光物質粒子として振る舞う。さらに、薄膜は、典型的には、燐光物質以外の物質を含まない。相似層は、しばしば、例えば、二酸化ケイ素のような、燐光物質以外の物質を含む。
【0022】
図5は、上述した一つ又は二つ以上の燐光物質を有するデバイスの第2実施例を示す。 図5のデバイスは、ベース25によって支持されたサブマウント(図示せず)上に最適に取り付けられ、且つ、リード線21に電気的に接続された、発光ダイオード24を含む、パッケージ発光ダイオードである。レンズ22が、発光ダイオード24を保護する。燐光物質は、レンズ22と発光ダイオード24との間の空間に注入されるカプセル材料26中に分散される。カプセルは、例えば、シリコン、エポキシ、又は、燐光物質を受け入れるのに適した他の有機物質又は無機物質であるのがよい。
【0023】
図6は、上述した燐光物質の一つ又は二つ以上を有するデバイスの第3実施例、すなわち、燐光物質が一つ又は二つ以上のLEDから間隔を隔てた表示装置を示す。図6に示した装置は、ここに、援用される、「二次元アレイLEDを使用するLCDバックライト」と題した、2003年10月3日に提出された、出願番号第10/678,541号に、より詳細に記載されている。
【0024】
図6は、LCDディスプレイの側面図である。LED24のアレイが、バックライト26の後パネルに配置される。バックライト26は、散乱カバープレート40で覆われる。散乱体40は、例えば、光を散乱させるためのざらざらにした表面を有するアクリル又はガラスで作られる。変形例として、散乱体40は、アクリル又はガラスシートと共に、光散乱粒子を有してもよい。多くの種類の散乱体が知られ、バックライトと共に使用することができる。バックライトの光出力が、散乱体無しで、十分に散乱していれば、透明プレートを散乱体40の代わりに使用することができる。例えば、3Mによって生産された、例えば、輝度向上フィルム、二重輝度向上フィルムのような、輝度又は効率を高めるための追加のフィルム(図示せず)を、LCDの直前に、散乱体の上に使用してもよい。
【0025】
バックライト26の背面及び側壁は、高反射材料で覆われる。背面の白色散乱反射フィルム(例えば、日本国の東レによって生産された、E60L)、及び、側壁の鏡のような反射材料(例えば、ドイツ国のアラノド(Alanod)によって生産されたミロマテリアル(Miro material))を用いて、よい結果が得られているが、他の形態も役立つ。使用される材料は、好ましくは、90%より高い高反射係数を有するべきである。これらの高反射係数材料を使用することによって、高い再利用効率が達成される。これは、輝度向上フィルムが使用されるときに特に重要である、というのは、輝度向上フィルムは、最初のパスでは使用することができず、且つ、第二、第三のパス中、LCDの出力に寄与するために再利用される必要がある光を反射するからである。
【0026】
LCDパネル14が、バックライト26の前に配置される。LCDパネル14は、第一偏光フィルタと、液晶層の選択した領域を横切る電界を発生させるための薄膜トランジスタアレイと、液晶層と、RGB色フィルタアレイと、第二偏光フィルタと、を有する在来のLCDがよい。カラーフィルタアレイは、赤色サブピクセル、緑色サブピクセル、及び青色サブピクセルを有する。LCDパネル14とバックライト26との間に、輝度向上フィルム(BEF:brightness enhancement film)又は偏光回復フィルム(DBEF:polarization recovery film)のような、追加のフィルムを使用することができる。
【0027】
LED24は、一般的に、青色又はUV発光LEDである。上述した燐光物質の一つ又は二つ以上を含む燐光物質層39は、LED24上に直接ではなく、カバープレート40上に形成される。ある実施形態では、異なる燐光物質層が、カバープレート40の異なる表面に形成される。カバープレート40は、燐光物質によって行われる散乱の量に応じて、散乱体であってもよし、なくともよい。燐光物質からバックライト26の後ろに放出された光は、バックライト26に使用されるフィルムの高反射率により、LEDチップに入るよりも、より大きい再利用効率を有するから、燐光物質層39をLED24から間隔を隔てることは魅力的である。再利用効率に加えて、燐光物質は、LED近くの高温に耐える必要がなく、LEDと化学的に適合する必要がなく、適合可能な燐光物質の数を増やし、かつ、潜在的に効率及び装置の寿命を向上させる。青色バックライトを、異なる種類の色フィルタをとともに、広範囲の異なるディスプレイに使用することができ、かつ、燐光物質層の薄さ及び燐光物質濃度だけを、特定のLCDに適合するように最適にしなければならないので、ロジスティクスの観点から、この解決策も魅力的である。
【0028】
図4、図5、及び図6に示したデバイスの幾つかの実施形態では、上述した燐光物質の一つが、唯一の波長変換物質としてデバイスに含まれる。燐光物質によって放出される光と混合する、発光ダイオードからの未変換光の量は、燐光物質を含有する層の、燐光物質の厚さ量のような、特性によって決定される。デバイスからの組合せ青色光と燐光物質からの黄色光が白っぽく見えるように、例えば、青色発光デバイスは、十分な量の青色光を、燐光物質を通して漏らすように形成された黄色発光燐光物質層を含むのがよい。または、青色又はUV発光デバイスが、未変換光がほとんど或いは全く燐光層から漏れ出ず、かつ、組合せ光が燐光物質によって放出された光と同じ色であるように形成された単一の燐光物質層を含んでもよい。幾つかの実施形態では、光の一部の波長、例えば、燐光物質によって変換されなかった任意のポンプ光を濾波して除くための色素のようなフィルタ材料を、デバイスに組み込んでもよい。フィルタ材料の使用は、2002年9月27日提出された、「波長変換半導体発光デバイスの選択的濾波」と題した、出願番号第10/260090号により詳細に記載され、そして、これをここに援用する。フィルタを、例えば、UVポンプを有するデバイスにおいて変換されたUV光を濾波して除くために、或いは、燐光物質変換光をより赤く見えるようにするためにより短い波長を濾波して除くために、使用してもよい。
【0029】
図4、図5及び図6に示したデバイスの幾つかの実施形態では、上述した燐光物質の一つが、他の波長変換物質と組み合わされる。例えば、青色発光ダイオードを、黄色又は緑色発光燐光物質、及び赤色発光燐光物質と組み合わせてもよい。他の適当な黄色又は緑色発光燐光物質の例は、例えば、Lu3Al512:Ce3+及びY3Al512:Ce3+を含む、(Lu1-x-y-a-bxGdy3(Al1-zGaz512:Cea3+Prb3+、ここに、0<x<1,0<y<1、0<Z≦0.1、0<a≦0.2、且つ0<b≦0.1と、例えば、SrSi222:Eu2+を含む、(Sr1-a-bCabBac)Sixyz:Eua2+(a=0.002−0.2、b=0.0−0.25、c=0.0−0.25、x=1.5−2.5、y=1.5−2.5、z=1.5−2.5)と、例えば、SrGa24:Eu2+を含む、(Sr1-u-v-xMguCavBax)(Ga2-y-zAlyInz4):Eu2+と、(Sr1-xBax2SiO4:Eu2+と、を含む。他の適当な赤色発光燐光物質の例は、例えば、CaS:Eu2+及びSrS:Eu2+を含む、(Ca1-xSrx)S:Eu2+、ここに、0<x≦1と、例えば、Lu23:Ce3+を含む、(Lu1-xLnx23:Ce3+、ここに、Lnは、Y、Lu、Gd、Scの組から選択できる、とを含む。
【0030】
別の実施形態では、UV発光ダイオードを、青色発光燐光物質、黄色又は緑色発光燐光物質、及び、赤色発光燐光物質と組み合わせてもよい。適当な黄色又は緑色発光燐光物質と、適当な赤色発光燐光物質は、上に列挙されている。適当な青色発光燐光物質の例が、例えば、Ba3MgSi28:Eu2+を含む、例えば、MgSrSiO4:Eu2+と、(Sr1-x-yCaxBay3MgSi38:Eu2+と、BaMgAl1017:Eu2+とを含む。
【0031】
一つより多い燐光物質を有するデバイスでは、個々の燐光物質を、互いに混合してもよいし、混合物として適用してもよいし、別々の層又は領域に分離してもよい。
【0032】
本発明を詳細に説明してきたので、当業者は、開示を考慮すれば、個々に説明した発明の概念の範囲から逸脱することなく本発明に変更を行うことができることを認識するであろう。したがって、本発明の範囲は、図示し、且つ説明した特定の実施形態に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一ピーク波長の第一光を放出するように形成された半導体発光デバイスと、
(Ba1-xCax2-y-0.5zSi58-zz:Euy2+、ここに、0.01<x<0.2、0.002≦y≦0.04、z≦0.5、からなる第一波長変換物質と、を有し、前記第一波長変換物質は、第一光の少なくとも一部を吸収し、第二ピーク波長の第二光を放出するように形成される、構造。
【請求項2】
前記第一光又は第二光の少なくとも一部を吸収し、第三ピーク波長の第三光を放出する第二波長変換物質を更に有する、請求項1記載の構造。
【請求項3】
前記第二波長変換物質は、(Lu1-x-y-a-bxGdy3(Al1-zGaz512:Cea3+Prb3+、ここに、0<x<1、0<y<1、0<z≦0.1、0<a≦0.2、且つ、0<b≦0.1、Lu3Al512:Ce3+、Y3Al512:Ce3+、(Sr1-a-bCabBac)Sixyz:Eua2+(a=0.002−0.2、b=0.0−0.25、c=0.0−0.25、x=1.5−2.5、y=1.5−2.5、z=1.5−2.5)、SrSi222:Eu2+、及び、SrGa24:Eu2+の一つからなる、請求項2記載の構造。
【請求項4】
前記構造は、白く見える、第一光、第二光及び第三光からなる複合光を放出する、請求項2記載の構造。
【請求項5】
第一光、第二光及び第三光の少なくとも一部を吸収し、第四ピーク波長の第四光を放出するように形成された第三波長変換物質を更に有する、請求項2記載の構造。
【請求項6】
前記第三波長変換物質は、MgSrSiO4:Eu2+、Ba3MgSi28:Eu2+、及びBaMgAl1017:Eu2+の一つからなる、請求項5記載の構造。
【請求項7】
前記構造は、白く見える、第一光、第二光、第三光及び第四光からなる複合光を放出する、請求項5記載の構造。
【請求項8】
第一ピーク波長の第一光を放出するように形成された半導体発光デバイスと、
(Ba1-xCax2Si58:Eu2+、ここに、0.01<x<0.2、からなる第一波長変換物質と、を有し、前記第一波長変換物質は、第一光の少なくとも一部を吸収し、第二ピーク波長の第二光を放出するように形成される、構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−184440(P2012−184440A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−138029(P2012−138029)
【出願日】平成24年6月19日(2012.6.19)
【分割の表示】特願2005−357694(P2005−357694)の分割
【原出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(500507009)フィリップス ルミレッズ ライティング カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (197)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】