説明

片口金蛍光ランプ

【課題】片口金蛍光ランプにおいて、耐衝撃、耐振動の信頼性が高く、装着のための回転トルクも低くなり、操作性が良く、さらには、中途半端な装着状態で放置されることのない、ねじ込み式のものとする。
【解決手段】片口金蛍光ランプ1は、フィラメントを内蔵した発光管2に口金3を突設しており、ソケット20の接触部21〜24に電気的に接触する接触部5〜8を備えた。接触部6は、接触部22に螺合し、ねじ山を兼ねたものとなっている。これにより、ランプ1のソケット20への機械的保持をねじ込み螺合により行い、かつ、4箇所でソケットと接触させるので、ランプ1の衝撃や振動によるソケット20からの落下の不安定性がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス管にフィラメントを備えた発光管と、口金を有する片口金蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、白熱電球と同じ口金を有し、その発光部に蛍光ランプを備える電球型蛍光ランプがあり、その中でも、発光管が螺旋状に形成されたものが知られている(例えば、特許文献1,2,3など参照)。このような電球型蛍光ランプは、ランプ管内に点灯回路を内蔵しているので、ランプ端子が2極でよいため、スパイラル状の蛍光管を用いながらも、白熱電球と同じねじ込み式の口金(所謂、E型口金)を使用している。ところが、ランプ管内に点灯回路を内蔵していない、片口金蛍光ランプとする場合は、ランプ端子が4極必要であることから、従来の所謂、E型口金は使用できない。
【特許文献1】特開2003−83360号公報
【特許文献2】特開2003−263972号公報
【特許文献3】特開2003−173760号公報
【0003】
このような片口金蛍光ランプのランプソケットへの装着操作方式は、次の3種類が一般的に知られている。
(1)ランプ軸方向の挿抜により、ランプ端子をソケット接触部に保持・接触させるもの、
(2)ランプ軸方向への挿入後、回転によってランプ端子をソケット接触部に保持・接触させるもの(口金の突起がソケットのバネを乗り越える等の構成による)、
(3)ランプ軸方向への挿入によってランプ端子をソケット接触部に電気的接触を行った後、ソケット自体を回転させるなど、別の操作により機械的に保持させるもの
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような片口金蛍光ランプにおける上記操作方式には、それぞれ対応して次のような問題があった。
(1)ランプのサイズ、質量によっては、衝撃や振動による落下安全性に不安がある。
(2)衝撃や振動によるランプ脱落防止のための保持力を、装着の回転トルクによって出さなければならないため、この装着トルクが比較的高くなる。特に、螺旋状の発光管を有するランプにおいては、回転トルクを与え難い構造のため、別の操作方式が望ましい。
(3)ランプを挿入した時点で電気的接触が得られ、かつ機械的にもランプピンとソケットの接触部との接触力により仮保持されるため、器具形態によっては、仮保持のまま放置され、ランプ落下につながる虞がある。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、耐衝撃、耐振動の信頼性が高く、装着のための回転トルクも低くなり操作性が良く、さらには、中途半端な装着状態で放置されることのない、ねじ込み式の片口金蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、フィラメントを内蔵した発光管に口金を突設してなる片口金蛍光ランプであって、ソケットに螺合するねじ山と、該ソケットと電気的に接触する4箇所の接触部とを備えたものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の片口金蛍光ランプにおいて、前記接触部は、それぞれランプ中心軸からの半径が異なる位置に設けられたものである。
請求項3の発明は、請求項2に記載の片口金蛍光ランプにおいて、ランプ中心軸方向に見て発光管に近い接触部はランプ中心軸から遠く、前記発光管から遠い接触部はランプ中心軸から近くになるように、それぞれ階段状に設けられたものである。
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の片口金蛍光ランプにおいて、前記接触部の一部が、前記ねじ山により形成されているものである。
請求項5の発明は、請求項4に記載の片口金蛍光ランプにおいて、前記ねじ山に設けた接触部と一体に前記フィラメントを収納する金属製の収納部を設けたものである。
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の片口金蛍光ランプにおいて、前記発光管が、ガラス菅を旋回軸廻りに螺旋状に旋回して形成されているものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、ランプのソケットへの機械的保持をねじ込み螺合により行い、かつ、4箇所の接触部によるソケットへ接触を取るので、上記の装着操作方式に比べて、衝撃や振動による落下の不安定性がなくなると共に、ランプ脱落防止のための保持力を得るための螺合時の装着トルクが小さくて済み、さらに、仮保持のまま放置されることが無くなる。
請求項2によれば、ランプの回転動作によっても、4箇所の接触部が同じ箇所を通ることがないため、ソケットとの接触構造を容易にすることができる。
請求項3によれば、接触部同士がランプ軸方向に位置ずれしているため、径方向の絶縁距離が小さくても十分に絶縁を取ることができ、従って、また片口金蛍光ランプ及びこれを保持するソケットの径を小さくすることができる。
請求項4の発明によれば、口金の筐体部分にねじ山を設ける必要がなく、筐体の構造が簡単で外観もシンプルになり、また、ランプねじ込みによる軸力を、接触部のねじ山形状で受けることになるため、径方向の接触力だけではなく、ランプ中心軸方向の接触力を受けることができ、より接触信頼性が向上する。
請求項5の発明によれば、ねじ山は金属性のため熱伝導性が高く、このねじ山と−体でフィラメントを収納する収納部を容易に設けることができる。この収納部により、最も温度が高くなるフィラメントの熱を、ねじ山を伝ってソケットのねじ山へ逃がすことができる。
請求項6の発明によれば、ねじ込み操作のために過大なトルクが必要ないので、ガラス管が旋回軸廻りに旋回して形成された、トルクを与えにくい螺旋状の発光管であっても、容易にランプを着脱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る片口金蛍光ランプについて図面を参照して説明する。図1乃至図4は、それぞれ第1の実施形態に係る片口金蛍光ランプ1を示す。なお、図3には、片口金蛍光ランプ1が装着されるソケット20を併せて示している。片口金蛍光ランプ1(以下、ランプという)は、ガラス管が旋回軸Cの廻りに螺旋状に形成されフィラメントを内蔵した発光管2と、この発光管2に突設して成る略筒状の口金3とを備え、口金3の底面には、互いに電気的に絶縁された、複数箇所(本例では4箇所)の導電部材で成る給電用の接触部5,6,7,8を備える。これら接触部5,6,7,8は、それぞれランプ旋回軸C(中心軸)からの半径が異なる位置に設けられ、ランプ1がソケット20に装着されたとき、ソケット20に設けられた導電部材で成る接触部21,22,23,24にそれぞれ電気的に接触する。なお、ソケット20側に点灯回路が設けられる。
【0009】
前記接触部6は、口金3の外形より小径であって旋回軸C方向に突出形成した部分に、ねじ山を兼ねて形成され、ソケット20側のねじ山を兼ねた接触部22の内径に螺合され、機械的保持が成される。また、接触部5は、前記ねじ山を兼ねた接触部6の底面中央部に設けられている。接触部7及び接触部8は、旋回軸C方向に突出するピン形状であり、それぞれ中心から半径r1,r2の位置に互いに軸心を挟んで反対側に配設されている。ソケット20側の接触部23及び接触部24は、前記接触部7及び接触部8が適度な圧接力をもって内接し得るように円筒状に形成されている。接触部23及び接触部24の上端部は、接触部7及び接触部8を受け入れ易いように斜めに形成されている。なお、接触部23及び接触部24は、接触部7及び接触部8が外接し得るように設けられてもよい。
【0010】
ランプ1側の接触部7及び接触部8は、ピン形状でなく、円筒状に形成してもよい。この場合は、ソケット20側の接触部23,24は板ばねを用いればよい。また、ランプ1側の接触部5,6についても、ねじ山を兼ねたものでなく、全てピンで形成してもよい。この場合、口金3の外形面に機械的結合のためのねじ山が設けられる。また、ランプ1及びソケット20は、それぞれ、ねじの切り始め位置と接触部位置を固定すれば、円筒状の接触部は、全周に形成される必要はなく、一部にのみ設けられればよい。
【0011】
また、ランプ1の口金3の筐体部分は、図4に示されるように、ねじ山のない口金外郭3aと、この口金外郭3a内に嵌合され、フィラメントを内蔵した発光管2の端部を収納する収納部を構成する収納壁部3bとを備える。この収納壁部3bは、ねじ山を兼ねた接触部6と一体に金属製で構成される。この収納壁部3bに、フィラメントの回りの発光管2のガラス部分を当接させることで、フィラメントでの発熱を効率的にねじ山を兼ねた接触部6に伝熱してソケット20側に放熱することができる。
【0012】
上記実施形態のランプ1においては、ランプ1のソケット20への機械的保持をねじ込み螺合により行い、かつ、4箇所の接触部5,6,7,8によりソケット20の接触部21,22,23,24へ接触させるので、衝撃や振動による落下の不安定性がなくなり、しかも、ランプ脱落防止のための保持力を得るための螺合時の装着トルクが小さくて済み、さらには、仮保持のまま放置されるといったことが無くなる。また、ランプ1の回転動作時に、4箇所の接触部が同じ箇所を通らないので、ソケット20との接触構造を簡単にすることが可能となる。また、口金3の筐体部分に、ねじ山を設ける必要がないので、筐体構造が簡単で外観もシンプルになる。また、ランプ1のねじ込みによる軸力を、接触部6のねじ山形状で受けることになるため、径方向の接触力だけではなく、ランプ中心軸方向の接触力を受けることができ、接触の信頼性が一層向上する。
【0013】
また、フィラメントを内蔵する発光管2の端部を収納する収納壁部3bは、金属性で熱伝導性の高い、ねじ山兼接触部6と−体に容易に構成することができる。このため、最も温度が高くなるフィラメントの発熱を、ねじ山を伝熱してソケット20のねじ山兼接触部22に逃がすことができる。さらにまた、ランプ1は、ねじ込み操作により装着するものであって、装着に過大なトルクを必要としないので、ガラス管で成る発光管2が旋回軸廻りに旋回して形成されていてトルクを与えにくいにも関わらず、容易にランプ1を着脱することができる。
【0014】
図5は第2の実施形態に係る片口金蛍光ランプ1を示し、図6は同ランプ1のソケット30への装着状態を示し、図7は同ランプ1のソケット30の接触部との接触状態を示す。このランプ1は、口金3の底面側に旋回軸C方向に段階状の接触部15,16,17,18を備えている。これらのうち、接触部16,17,18は、旋回軸C方向に見て発光管2に近いものほどランプ中心軸から遠く、発光管2から遠いものほどランプ中心軸から近くになるように円周面状に設けられている。接触部15は、旋回軸C方向の突出部先端面に設けられている。また、口金3には、ソケット30と螺合されるねじ山3cが形成されている。ソケット30側には、ソケット本体31にランプ1のねじ山3cが螺合されるねじ山32が形成され、さらには、ランプ1の接触部15,16,17,18と接触し得る位置に、板ばね形状の接触部35,36,37,38が設けられている。
【0015】
上記実施形態のランプ1においては、接触部15,16,17,18同士がランプ軸方向に位置ずれしているので、径方向の絶縁距離が小さくても、十分に絶縁を取ることができ、従って、ランプ1及びこれを保持するソケット30の径を小さくすることができる。なお、本発明は、上記実施例の構成に限られることなく、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る片口金蛍光ランプの斜視図。
【図2】同ランプの底面図。
【図3】同ランプのソケットへの装着を示す側断面図。
【図4】同ランプの部分破談斜視図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る片口金蛍光ランプの斜視図。
【図6】同ランプのソケットへの装着状態を示す断面図。
【図7】同ランプのソケットの接触部との接触状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0017】
1 片口金蛍光ランプ
2 発光管
3 口金
3b 収納壁部
5,6,7,8 ランプ側の接触部
15,16,17,18 ランプ側の接触部
20 ソケット
21,22,23,24 ソケット側の接触部
30 ソケット
35,36,37,38 ソケット側の接触部
C 旋回軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラメントを内蔵した発光管に口金を突設してなる片口金蛍光ランプであって、
ソケットに螺合するねじ山と、該ソケットと電気的に接触する4箇所の接触部とを備えたことを特徴とする片口金蛍光ランプ。
【請求項2】
前記接触部は、それぞれランプ中心軸からの半径が異なる位置に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の片口金蛍光ランプ。
【請求項3】
ランプ中心軸方向に見て発光管に近い接触部はランプ中心軸から遠く、前記発光管から遠い接触部はランプ中心軸から近くになるように、それぞれ階段状に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の片口金蛍光ランプ。
【請求項4】
前記接触部の一部は、前記ねじ山により形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の片口金蛍光ランプ。
【請求項5】
前記ねじ山に設けた接触部と一体に前記フィラメントを収納する金属製の収納部を設けたことを特徴とする請求項4に記載の片口金蛍光ランプ。
【請求項6】
前記発光管は、ガラス菅を旋回軸廻りに螺旋状に旋回して形成されてていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の片口金蛍光ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−173101(P2007−173101A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−370520(P2005−370520)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】