説明

片開き扉のロック機構

【課題】 簡単な機構で片開き扉をロックして、強風が吹いても開閉しない片開き扉のロック機構を提供するものである。
【解決手段】 先端側にねじ部10A、10Bを設けた小径部11を形成し、後端側に大径部12を形成した回転つまみ13の小径部11を、片開き扉5の取付け孔23に貫通させて、大径部11の先端と扉5の前面との間に取付けたリング部14と、前記ねじ部10Aに取付けたナット17と扉5の背面との間に取付けた大径シム15とで扉5を両側から挟持し、前記ナット17の先端にストッパー18を突設すると共に、ねじ部10Bの先端に回動片19を取付けて、回転つまみ13を回転させることにより、回動片19を一体に回動させて、前記ストッパー18により停止した状態で、回動片19の先端が扉5の内側の段部25に係止するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、墓前に設置する石材製の収納箱などに取付けた片開き扉のロック機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
墓前には、線香を供える香炉や、花立てなどが一般に設置されているが、近年、花立てと湯飲みや線香を保管する収納箱とを兼用したものが開発されている。これは例えば図6ないし図9に示すように石材で形成されたコ字形本体部1の上部に、花立て孔2を形成し、コ字形本体部1の内側の収納部3の片側に側板4を取付け、収納部3を囲むように、ここに平面L形状をなす片開き扉5が開閉自在に設けられている。この片開き扉5には扉開閉のためつまみ6が前面に取付けられている。
【0003】
しかしながら、この片開き扉5はロックする機構がないため、図8および図9に示すように片開き扉5を閉じておいても、強風が吹くと風で開閉し、その時の石材の衝突音が騒音となるばかりか、風や砂、埃などが内部に侵入して汚れる問題があった。また骨壺を保管する納骨室に、キーロックを取付けて施錠する構造のもの(特許文献1)もあるが、これは構造が複雑で、鍵を紛失した時に開くことができない問題がある。
【特許文献1】特開2003ー47556
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題を改善し、簡単な機構で片開き扉をロックして、強風が吹いても開閉しない機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1記載の片開き扉のロック機構は、先端側にねじ部を設けた小径部を形成し、後端側に大径部を形成した回転つまみの小径部を、片開き扉に開孔した取付け孔に貫通させ、前記大径部の先端と扉前面との間に取付けたリング部と、前記ねじ部に取付けたナットと扉背面との間に取付けたシムとで扉を両側から挟持し、前記ナットの先端にストッパーを突設すると共に、ねじ部の先端に回動片を取付けて、回転つまみを回転させることにより、回動片を一体に回動させて、前記ストッパーにより停止した状態で、回動片の先端が扉枠の内側に係止するようにしたことを特徴とするものである。
【0006】
本発明の請求項2記載の片開き扉のロック機構は、回転つまみの大径部を、外周にねじ山を形成した円柱部の先端にフランジを形成した内側部材と、前記ねじ山と螺合するねじ孔を中心に形成したキャップ部材とで構成すると共に、前記内側部材のフランジにねじ孔を貫通させて、ここに先端がリング部に当接するねじ棒を前後進自在に取付けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る請求項1記載の片開き扉のロック機構によれば、片開き扉を閉じて、回転つまみを回転させると、回動片も同時に回転して、ストッパーで停止し、この状態で回動片の先端は扉枠の内側に係合してロックされるので、強風によって扉が開くことがなく衝突音も発生せず、風や砂、埃などの侵入を確実に防止することができる。
【0008】
また請求項2記載の片開き扉のロック機構によれば、キャップ部材を取外してから、内側部材のフランジに取付けたねじ棒を捩って回転させると、この先端がリング部の前面から離れて内側部材が回転可能となり、この先端に取付けた回動片により扉のロックや解除ができる。使用後は、再びねじ棒を回転させると先端がリング部の前面に当接して回転つまみが固定され回転しなくなる。この後、内側部材にキャップ部材を被せて螺合させると、ねじ棒の位置が外部から見えず、構造の分からない他人が回転つまみを回そうとしても、扉は鍵が掛ってロックされた状態となっているので開けられることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の実施の一形態を図1および図2を参照して詳細に説明する。この片開き扉のロック機構は図1に示すように、先端側に外径の異なる2段のねじ部10A、10Bを設けた小径部11が形成され、後端側に大径部12が形成された回転つまみ13の、前記小径部11にリング部14と大径シム15が取付けられている。また前記大径のねじ部10Aにはナット17が螺合し、このナット17の前面に棒状のストッパー18が突設されている。また小径のねじ部10Bには板状の回動片19が小径のシム20、20に挟持して取付けられ、スプリング座金21を介して小径のナット22により固定されている。
【0010】
この片開き扉のロック機構の取付け方法は図2に示すように、片開き扉5の端部側に回転つまみ取付け孔23を開孔し、ここに円筒体24を挿着する。また扉枠となる側板4の先端内側にも段部25を形成しておく。次に回転つまみ取付け孔23に挿着した円筒体24に、回転つまみ13のリング部14を取付けた小径部11を貫通させて、片開き扉5の内側から大径シム15を小径部11に取付けて、ナット17をねじ部10Aに螺合させて締付けていくと、大径部12の先端と扉5の前面との間に取付けたリング部14と、前記ねじ部10Aに取付けたナット17と扉5の背面との間に取付けた大径シム15との間で扉5が両側から挟持されて回転つまみ13が回転自在に支持される。
【0011】
この後、先端の小径のねじ部10Bに、シム20、板状の回動片19、シム20、スプリング座金21および小径のナット22の順に取付けて、回動片19を固定する。
【0012】
このように構成した片開き扉のロック機構は、片開き扉5を閉じて回転つまみ13を左側に回転させると、回動片19も同時に回転して、ストッパー18で停止し、この状態で回動片19の先端は側板4の段部25に係合してロックされる。この結果、強風によって片開き扉5が開くことがないので、従来のように片開き扉5の衝突音が発生せず、風や砂、埃などの侵入を確実に防止することができる。
【0013】
図3ないし図5は本発明の他の実施の形態を示すもので、回転つまみ13の大径部12を、外周にねじ山27を形成した円柱部28の先端にフランジ29を形成した内側部材30と、前記ねじ山27と螺合するねじ孔31を中心に形成したキャップ部材32とを組み合わせて構成されている。更に前記内側部材30のフランジ29にはねじ孔31が前後方向に貫通して開孔され、ここに六角溝34を形成したねじ棒33が前後進自在に取付けられ、この先端がリング部14に当接して固定されるようになっている。
【0014】
この構成の片開き扉のロック機構は、図3に示すように片開き扉5を閉じた状態から開く時には、図4および図5に示すようにキャップ部材32を捩って、内側部材30の円柱部28から取外すと、フランジ29のねじ孔31に挿着したねじ棒33が図5に示すように露出する。
【0015】
このねじ棒33の先端には図5に示すように六角溝34が形成されているので、図4に示すように六角レンチ35を差し込んでねじ棒33を緩めて後退させると、この先端がリング部14の前面から離れて内側部材30が回転可能になる。この後、内側部材30を回転させると、先端の回動片19が段部25から外れて片開き扉5を開くことができる。
【0016】
片開き扉5を閉じた後は、再び内側部材30を逆に回転させると、回動片19によりロックされる。この後、図4に示すように六角レンチ35をねじ棒33の六角溝34に差し込んでねじ込んでいくと、この先端がリング部14の前面に当接して回転つまみ13が固定され、回転しなくなる。
【0017】
この後、再び図3に示すようにキャップ部材32を円柱部28に被せてねじ山27に螺合させると、回転つまみ13を回しても回転しない。従って、ねじ棒33の位置が外部から見えないので、構造の分からない他人が回転つまみ13を回して片開き扉5を開けようとしても、鍵が掛ってロックされた状態となっているので開けられない。また市販の六角レンチ35があれば、特定の鍵がなくても使用者は開けられるので、鍵の紛失による問題も少ない。
【0018】
なお上記説明では、片開き扉5が右開きの場合について説明したが、左開きの扉にも適用することができる。また回動片19の取付け構造は上記構成に限らず回転つまみ13の先端に、一体に取付けられていれば他の構造でも良い。またねじ棒33は六角溝34を形成したものに限らず、マイナス溝やプラス溝を形成し、ドライバーで回転させるようにした構造でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0019】
なお上記説明では墓前に設置する花立てを兼用した収納箱に適用した場合について示したが、片開き構造の扉であれば、他の収納箱にも広く使用ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の一形態による片開き扉のロック部材を示す斜視図である。
【図2】図1のロック部材を片開き扉に取付けたロック機構を示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態による片開き扉に取付けたロック機構を示す断面図である。
【図4】図3の状態からキャップ部材を取外した状態を示す断面図である。
【図5】図4のキャップ部材を取外した状態を示す正面図である。
【図6】花立てを兼用した収納箱の片開き扉を開いた状態を示す斜視図である。
【図7】図6の断面図である。
【図8】図6の収納箱の片開き扉を閉じた状態を示す正面図である。
【図9】図8の断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 コ字形本体部
2 花立て孔
3 収納部
4 側板
5 片開き扉
6 つまみ
10A、10B ねじ部
11 小径部
12 大径部
13 回転つまみ
14 リング部
15 大径シム
17 ナット
18 ストッパー
19 回動片
20 シム
21 スプリング座金
22 ナット
23 回転つまみ取付け孔
24 円筒体
25 段部
27 ねじ山
28 円柱部
29 フランジ
29 内側部材
31 ねじ孔
32 キャップ部材
33 ねじ棒
34 六角溝
35 六角レンチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側にねじ部を設けた小径部を形成し、後端側に大径部を形成した回転つまみの小径部を、片開き扉に開孔した取付け孔に貫通させ、前記大径部の先端と扉前面との間に取付けたリング部と、前記ねじ部に取付けたナットと扉背面との間に取付けたシムとで扉を両側から挟持し、前記ナットの先端にストッパーを突設すると共に、ねじ部の先端に回動片を取付けて、回転つまみを回転させることにより、回動片を一体に回動させて、前記ストッパーにより停止した状態で、回動片の先端が扉枠の内側に係止するようにしたことを特徴とする片開き扉のロック機構。
【請求項2】
回転つまみの大径部を、外周にねじ山を形成した円柱部の先端にフランジを形成した内側部材と、前記ねじ山と螺合するねじ孔を中心に形成したキャップ部材とで構成すると共に、前記内側部材のフランジにねじ孔を貫通させて、ここに先端がリング部に当接するねじ棒を前後進自在に取付けたことを特徴とする請求項1記載の片開き扉のロック機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−321516(P2007−321516A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155598(P2006−155598)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(396004512)ベルストン株式会社 (9)
【Fターム(参考)】