説明

物体を搬送する装置

果物等の物体(1)を搬送する装置であって、第1の循環コンベヤと、第2の循環コンベヤとを備える。第1の循環コンベヤにはディアボロ等の搬送部材(2)が連結され、コンベヤの走行方向から見たときに一方は下流に、他方は上流に配置される少なくとも2つの搬送部材によって搬送位置が決定され、第2の循環コンベヤには、搬送部材同士の間から物体を受け取る複数のグリッパハンド(7)を備える物品キャリアが接続され、第2のコンベヤは第1のコンベヤの直近に配置される。搬送部材は、少なくとも一つのグリッパハンドによる物体の受け取り時に物体を支持する面に、コンベヤに直交する方向の複数の溝(4)を備え、グリッパハンドはそれぞれ複数のフィンガー(8)を備える。フィンガー同士の間の距離は、搬送部材の溝同士の間の距離に対応し、グリッパハンドによる物体の受け取り時に、フィンガーは少なくとも部分的に物体の下方であって溝の溝端部(6)内に位置する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブルに記載の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような装置として、EP687508に開示されたものが知られている。この公報に記載の分類装置は、実質的に2つ、すなわち第1のローラコンベヤと該ローラコンベヤの端部上方から走る第2のローラコンベヤとを備える。分類装置は輸送部材として一対のグリッパ部材の組み合わせからなるグリッパを備え、各グリッパは品物、物体、すなわち物品、例えば果物、より具体的にはりんご、洋ナシ、パプリカ、キウィフルーツ、および桃等をローラコンベヤから慎重に受け取り、これらの物品をさらに放出および包装のための適切な排出位置まで搬送する。特に果物などのデリケートな物品を分類する市場では、これらのグリッパは搬送する物品が損傷するのを防止/回避するのに非常に効果的で良好な結果が得られた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、寸法の異なる物体をつかむ場合にはどうしても損傷が発生してしまう。例えば大きな果物の場合、一対のグリッパ部材の弾力による締め付け動作により果物に傷みがでる可能性がある。一方、例えばキウィフルーツのような小さな果物は、受け取り後に、一対のグリッパ部材が底面で互いに接触してもまだグリッパ部材の間から転がり出てしまう。従って、キウィフルーツ等の把持にも支障がでてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述したような構成を有する、とくにデリケートな物体を搬送する装置をさらに改良するために、本発明による装置は次のような特徴を有する。すなわち、搬送部材は、少なくとも一つのグリッパハンドによる物体の受け取り時に物体を支持する面に、コンベヤに直交する方向の複数の溝を備え、グリッパハンドはそれぞれ複数のフィンガーを備え、フィンガー同士の間の距離は、搬送部材の溝同士の間の距離と対応し、グリッパハンドによる物体の受け取り時に、フィンガーは少なくとも部分的に物体の下方であって溝の溝端部内に位置する。
【0005】
このような溝を備えた搬送部材とグリッパハンドの組み合わせにより、あらゆる種類の果物を受け取ることができるという利点があり、このような組み合わせを有する分類装置にはさまざまな用途がある。グリッパハンドを適切にカップ状の支持部材に形成することにより、挟み込んで把持することが回避できる。
【0006】
さらなる形態において、本発明は次のような特徴を有する。すなわち、搬送部材はディアボロであって、その外周面の少なくとも半分には複数の溝が設けられ、ディアボロはさらにディアボロを方向付けるガイドを備え、ガイドは受け取りガイド上を通過して外周面の半分が上方になるように位置付けられる。
【0007】
これにより、搬送部材とグリッパハンドが常に相対的に正しい位置を取ることができる。
【0008】
とくに、本発明は、複数の溝が実質的に一列に並ぶ複数の溝端部を備えることを特徴とする。
【0009】
さらに、単一の物品すなわち物体用の物品キャリアは2つのグリッパハンドからなり、これらのグリッパハンドは両側から溝端部の内側方向に移動し、受け取り時に物品すなわち物体を支持する。
【0010】
より具体的には、2つのコンベヤは一方が他方の上になるように一列に配置され、複数のグリッパハンドは、それぞれ実質的に同じ寸法である。複数のグリッパハンドは、重量測定ユニットに接続される。上方ガイドが設けられ、少なくとも実質的にグリッパハンドによる物体の受け取り直後に、上方ガイドによってグリッパハンドは上方に運ばれ、グリッパハンドと受け取られた物体は搬送部材の少なくともわずかな距離上方に配置される。
【0011】
上記構成により、物体受け取り直後にさらに傷つけてしまうことがない。これは、グリッパハンドが運ばれる経路と搬送部材の経路とが全く異なるためである。
【0012】
図面を参照しながら、本発明の詳細を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1のコンベヤの搬送部材の斜視図。
【図2】第1のコンベヤの2つの搬送部材と、第2のコンベヤに連結されたグリッパハンドの斜視図。
【図3】物体の受け取り前、受け取り中、受け取り後の搬送部材とグリッパハンドの側面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
各図面において、同一の部材には同一の参照符号を付している。
図1において、物体1、例えば果物や球体等の物品すなわち品物が2つの搬送部材2の上に置かれており、これらによって搬送位置が規定されている。図示の実施の形態では、搬送部材はディアボロから形成される。各ディアボロはアクスル3を備え、アクスルは通常、点検のためにカメラを通過するときにディアボロ、ひいては搬送物体を回転させる回転軸として機能する。
【0015】
通常水平に配置されたこれらのアクスル3により、ディアボロは循環コンベヤ(不図示)に接続される。物体1は循環コンベヤにより、次の処理、具体的には包装のために例えば放出ユニット、とくに放出包装経路へと搬送される。これらのディアボロ2には、アクスルに平行であって搬送方向に直交するように複数の溝4が設けられている。これらの溝は溝端部6を備えている。図示の形態では、実質的に横並びとなる溝端部6を備えた複数の溝を用いており、溝同士はつながっていない。図示の形態では、ディアボロを構成する一対の部材の両方に、このような複数の溝が形成されている。
【0016】
図2には、支持面の一部分にのみ複数の溝が設けられたディアボロ2と、グリッパハンド7とが示されている。これらのグリッパハンド7はその先端にフィンガー8を備え、これらのフィンガーはちょうど溝の上にそれぞれ配置されている。搬送位置に相当する中央の位置には、若干大きなフィンガーが設けられている。図示の状態では、2つのグリッパハンドは同様の大きさであり、循環コンベヤ(不図示)に連結されて運ばれる。この循環コンベヤは搬送部材のコンベヤの上方に一列になるように配置される。一対のグリッパハンドはその開放位置が示されており、この位置からグリッパハンドはフィンガーを溝に挿通した状態で互いに近づくように移動することができ、その後、物体すなわち物品を支持することができる。
【0017】
図3にまた、上記組み合わせの側面図を示す。ここでは、グリッパハンド7による物体1の受け取り直前、受け取り中、および受け取り後の状態を示している。複数の物体1のうちの一部は第1の循環コンベヤに運ばれるディアボロ上に置かれ、残りの物体は第2の循環コンベヤのグリッパハンド7によって受け取られている。さらに、受け取りガイド10、具体的には勾配が示されている。この勾配に従ってディアボロの側面のガイド9が回転し、ディアボロを方向付けてディアボロを構成する各部材5を溝が上方になるように配置する。グリッパハンド7と溝とが正確に並んでいると、2つのグリッパハンドが互いに近づく方向に移動する際にフィンガーがちょうど溝の中に滑り込む。このようにして物体1を支持し、受け取ることができる。その後すぐに、グリッパハンドは上方ガイド(不図示)によって図に矢印で示すように上方に導かれ、グリッパハンドで受け取られた物体は、第1のコンベヤから少なくともわずかな距離上方に配置される。これにより、種々の損傷を防止することができる。
【0018】
一実施の形態として図示してはいないが、各グリッパが2つのグリッパハンドの代わりに単一のグリッパハンドを備える形態もある。ディアボロローラを運ぶ第1のコンベヤと、グリッパハンドを運ぶ第2のコンベヤが隣りあわせで配置され、物体は単一のグリッパハンドによって第1のコンベヤから持ち上げられる。グリッパハンドにはディアボロ内の溝内に到達する複数のフィンガーが設けられている。
【0019】
また、グリッパハンドの移動および退避の詳細な方法の説明もしていないが、これは種々の手法により実現できる。例えば、カムとカム従動部材を用いたり、またはバネ、具体的には引張バネや圧縮バネを用いることができ、取付や固定方法に応じて決定する。
【0020】
図示の形態に対して若干の変形が可能であり、これも添付の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲内に属することはも当業者には明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
果物等の物体を搬送する装置であって、
第1の循環コンベヤと、
第2の循環コンベヤとを備え、
前記第1の循環コンベヤにはディアボロ等の搬送部材が連結され、前記コンベヤの走行方向から見たときに一方は下流に、他方は上流に配置される少なくとも2つの搬送部材によって搬送位置が決定され、
前記第2の循環コンベヤには、前記搬送部材同士の間から前記物体を受け取る複数のグリッパハンドを備える物品キャリアが接続され、前記第2のコンベヤは前記第1のコンベヤの直近に配置され、
前記搬送部材は、少なくとも一つのグリッパハンドによる物体の受け取り時に前記物体を支持する面に、前記コンベヤに直交する方向の複数の溝を備え、
前記グリッパハンドはそれぞれ複数のフィンガーを備え、
前記フィンガー同士の間の距離は、前記搬送部材の前記溝同士の間の距離に対応し、前記グリッパハンドによる前記物体の受け取り時に、前記フィンガーは少なくとも部分的に前記物体の下方であって前記溝の溝端部内に位置することを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記搬送部材はディアボロであって、その外周面の少なくとも半分には複数の溝が設けられ、前記ディアボロはさらに前記ディアボロを方向付けるガイドを備え、前記ガイドは受け取りガイド上を通過して前記外周面の半分が上方になるように位置付けられることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の装置において、
前記複数の溝は実質的に一列に並ぶ複数の溝端部を備えることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置において、
単一の物品すなわち物体用の前記物品キャリアは2つのグリッパハンドからなり、これらのグリッパハンドは両側から前記溝端部の内側方向に移動し、受け取り時には2つで前記物品すなわち物体を支持することを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置において、
前記2つのコンベヤは一方が他方の上になるように一列に配置されることを特徴とする装置。
【請求項6】
少なくとも請求項4に記載の装置において、
前記複数のグリッパハンドは、それぞれ実質的に同じ寸法であることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の装置において、
前記複数のグリッパハンドは、重量測定ユニットに接続されることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の装置において、
上方ガイドをさらに備え、少なくとも実質的に前記グリッパハンドによる物体の受け取り直後に、前記上方ガイドによって前記グリッパハンドは上方に運ばれ、前記グリッパハンドと前記受け取られた物体は前記搬送部材の少なくともわずかな距離上方に配置されることを特徴とする装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−502762(P2007−502762A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523799(P2006−523799)
【出願日】平成16年8月16日(2004.8.16)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000580
【国際公開番号】WO2005/016799
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(500513033)エフ ピー エス フーヅ プロセッシング システムス ベスロテン フェンノートシャップ (12)
【Fターム(参考)】