説明

物体搬送用保護カバー

【課題】部品点数が少なく、その管理も簡易となり、しかも物体の梱包作業も簡単かつ効率的であり、梱包した物体の運搬も容易である物体搬送用保護カバーを提供する。
【解決手段】上部に開口3を有する物体収納用の袋体2と、前記袋体2の内部に収納した物体Aの対向する2側面の外側に位置する前記袋体2の対向する緊締具取付け領域5a、5bのそれぞれに設けられた少なくとも1対の長尺な緊締索6a、6bと、前記緊締具取付け領域5a、5bに設けられている各緊締索6a、6bの各自由端部6af、6bfを反対側の緊締具取付け領域5b、5aにおいて緊締する緊締索固定手段9とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体搬送用保護カバーに係り、家具等の比較的大型の物体の搬送に好適な物体搬送用保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、家具等の比較的大型の物体を搬送する場合には、家具等を保護するために家具等のコーナ部分に布団或は毛布等を当てがつてロープ等により固定していた。このような当て物をするには、作業に手数がかかり効率的でなく、物体の保護機能も不十分であった。
【0003】
そこで、家具等の物体の上部と下部とをそれぞれ布製で箱状の保護部材によって覆うとともに、両の保護部材の間を筒状の保護部材によって物体を覆い、保護部材の外側を締着ベルトによって締めるように止着する保護カバーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】実開平06−27678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記従来例においては、保護部材として上下の箱状の保護部材と筒状の保護部材の3点必要であり、部品点数が多く、その管理が煩雑であり、しかも物体の梱包作業が複雑であり、作業効率が悪いという不都合があった。
【0006】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、部品点数が少なく、その管理も簡易となり、しかも物体の梱包作業も簡単かつ効率的であり、梱包した物体の運搬も容易である物体搬送用保護カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の物体搬送用保護カバーは、上下部に開口を備えた筒状のカバー本体と、前記カバー本体の内部に収納した物体の対向する2側面の外側に位置する前記カバー本体の対向する緊締具取付け領域のそれぞれに設けられた少なくとも1対の長尺な緊締索であり、一方の緊締具取付け領域に設けられた緊締索は上端部が前記緊締具取付け領域の上部に固着され、自由端部が前記カバー本体の下部の開口を経て反対側の緊締具取付け領域に到達する長さとされているとともに非緊締時に緊締索の中間部で折り返されて前記上端部の近傍に仮止め可能に形成されており、他方の緊締具取付け領域に設けられた緊締索は下端部が前記緊締具取付け領域の下部に固着され、自由端部が前記カバー本体の上部の開口を経て反対側の緊締具取付け領域に到達する長さとされているとともに非緊締時に緊締索の中間部で折り返されて前記下端部の近傍に仮止め可能に形成されている緊締索と、前記緊締具取付け領域に設けられている各緊締索の各自由端部を反対側の緊締具取付け領域において緊締する緊締索固定手段とを有することを特徴とする。このようにしたことにより本発明の物体搬送用保護カバーによれば、1個の袋体に全構成要素が取付けられているので部品点数が少なく、その管理も簡易となり、しかも物体の梱包作業も緊締索の自由端部を緊締索固定手段によって固定することにより行なわれるので簡単かつ効率的となあり、梱包した物体の運搬も緊締索を利用して容易に行なうことができる。
【0008】
また、本発明の他の態様における物体搬送用保護カバーは、各緊締索が折り返し部の近傍を前記カバー本体の緊締具取付け領域に固着されていることを特徴とする。このようにしたことにより本発明の物体搬送用保護カバーによれば、緊締具取付け領域の両端部において固着されている緊締索を把持して梱包した物体を簡単に搬送することができる。
【0009】
また、本発明の他の態様における物体搬送用保護カバーは、緊締索の自由端部が、緊締索と自由端部とに設けた面ファスナによって仮止め可能に形成されていることを特徴とする。このようにしたことにより本発明の物体搬送用保護カバーによれば、緊締索を途中で折り返して自由端部を面ファスナによって仮止めした収納状態としたり、当該自由端部を反対側の緊締具取付け領域に設けられている緊締索固定手段に固定して緊締状態とすることが簡単に可能である。
【0010】
また、本発明の他の態様における物体搬送用保護カバーは、緊締索固定手段が、緊締具取付け領域に取付けられた緊締索が挿通自在な2個の環体であることを特徴とする。このようにしたことにより本発明の物体搬送用保護カバーによれば、緊締索の自由端部を2個の環体に挿通して簡単に緊締状態とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の物体搬送用保護カバーはこのように形成され作用するために、部品点数が少なく、その管理も簡易となり、しかも物体の梱包作業も簡単かつ効率的であり、梱包した物体の運搬も容易である等の優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を図1から図3について説明する。
【0013】
図1から図3は本発明の物体搬送用保護カバーの1実施形態を示す。
【0014】
本実施形態の物体搬送用保護カバー1は、上下部に開口3a、3bを有する物体収納用の筒状のカバー本体2を有している。このカバー本体2の素材は、可撓性を有するとともに内部に収容する家具等の物体Aを保護できる素材であれば如何なる素材をも用いることができる。例えば、表裏の布材の間に緩衝部材aを装填するとともにキルティング加工を施したものを利用するとよい。
【0015】
このカバー本体2の内部に収納した物体Aの対向する2側面(本実施形態においては、直方体状の物体Aの対向する2側面)の外側に位置するカバー本体2の対向する緊締具取付け領域5a、5bのそれぞれに、少なくとも1対(3本以上としてもよい)の長尺な緊締索6a、6bが固着されている。
【0016】
一方の緊締具取付け領域5aに設けられた緊締索6aは、上端部6auが緊締具取付け領域5aの上部に縫製7等によって固着され、自由端部6afがカバー本体2の底部4を経て反対側の緊締具取付け領域5bに到達する長さに形成されている。緊締索6aの緊締具取付け領域5aの下端部の位置において縫製7されてカバー本体2に固着されている。緊締索6aの上端部6auの近傍の外面と、自由端部6afの外面には互いに着脱自在とされる雌雄の面ファスナ8、8(例えば、マジックテープ(登録商標))が縫製等により固着されており、非緊締時の収容時に緊締索6aを中間部で折り返して両面ファスナ8、8を仮止めすることにより、自由端部6afを緊締索6aの上端部6auの近傍に仮止め可能に形成されている。
【0017】
他方の緊締具取付け領域5bに設けられた緊締索6bは反対側の緊締索6aと上下を逆にして形成されている。即ち、緊締索6bは、下端部6blが緊締具取付け領域5bの下部に縫製7等によって固着され、自由端部6bfがカバー本体2の開口3を経て反対側の緊締具取付け領域5aに到達する長さに形成されている。緊締索6bの緊締具取付け領域5bの上端部の位置において縫製7されてカバー本体2に固着されている。緊締索6bの下端部6blの近傍の外面と、自由端部6bfの外面には互いに着脱自在とされる雌雄の面ファスナ8、8が縫製等により固着されており、非緊締時の収容時に緊締索6bを中間部で折り返して両面ファスナ8、8を仮止めすることにより、自由端部6bfを緊締索6bの下端部6blの近傍に仮止め可能に形成されている。
【0018】
緊締索6aの上端部6auの近傍および緊締索6bの下端部6blの近傍には、それぞれ反対側の緊締索6a、6bの自由端部6af、6bfを緊締する緊締索固定手段としての2個の環体9、9が取付け紐10によって固着されている。これらの環体9には各緊締索6a、6bが挿通自在な大きさに形成されている。
【0019】
次に、本実施形態の物体搬送用保護カバー1の作用を説明する。
【0020】
本実施形態においては直方体状の家具等の物体Aを搬送する場合について説明する。
【0021】
まず、図3に示すように一方の緊締具取付け領域5aに固着されている緊締索6aの自由端部6afをカバー本体2の下部の開口3bの下方を通して他方の緊締具取付け領域5bに固着されている環体9にゆるく止着させた状態にして、上部の開口3aより物体Aを袋体2内に入れる。これにより筒状のカバー本体2が物体Aの外形形状に沿って断面矩形の筒状になる。続いて、ゆるく止着させた状態の緊締索6aの自由端部6afを更に引いて強く止着させる。これにより物体Aのカバー本体2内への梱包が終了される。なお、緊締索6aの物体Aが載せられる部分にウレタン材等の保護当て部材(図示せず)を取付けて、物体Aの底部の保護を行なうようにしてもよい。必要に応じて、他方の緊締索6bの自由端部6bfを物体Aの上面を通して同様に環体9に強く止着するとよい。これにより自由状態において、カバー本体2を物体Aの側面に沿って保持することができる。また、緊締索6bと物体Aとの間に保護用の毛布等を介装させるとよい。
【0022】
この梱包終了状態において、各緊締索6a、6bのカバー本体2の上下部に縫製7されている部分の間の非縫製部分を把持して、カバー本体2と一緒に物体Aを搬送するとよい。
【0023】
本実施形態においては、図1および図3に示すように、物体Aの梱包に利用しない緊締索6bを中間で折り曲げて自由端部6bfを面ファスナ8により仮止めすることにより、コンパクトに収容することができる。
【0024】
また、本実施形態の物体搬送用保護カバー1を利用しない場合には、図1の仮想線に示すように、もう一方の緊締索6aを中間で折り曲げて自由端部6afを面ファスナ8により仮止めすることにより、コンパクトに収容させるようにするとよい。
【0025】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて変更することができる。例えば、カバー本体2の下部の開口3b部分を覆う底部(図示せず)を設けて、物体Aの底部全体を内部に収容するように形成してもよい。更に、その底部の形状を矩形以外の円形等のように物体Aの形状に合わせるとよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の物体搬送用保護カバーの1実施形態を示す側面図
【図2】図1の右側面図
【図3】本発明の物体搬送用保護カバーの1実施形態を示す斜視図
【符号の説明】
【0027】
1 物体搬送用保護カバー
2 袋体
3 開口
4 底部
5a、5b 緊締具取付け領域
6a、6b 緊締索
6af、6bf 自由端部
8 面ファスナ
9 環体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下部に開口を備えた筒状のカバー本体と、
前記カバー本体の内部に収納した物体の対向する2側面の外側に位置する前記カバー本体の対向する緊締具取付け領域のそれぞれに設けられた少なくとも1対の長尺な緊締索であり、一方の緊締具取付け領域に設けられた緊締索は上端部が前記緊締具取付け領域の上部に固着され、自由端部が前記カバー本体の下部の開口を経て反対側の緊締具取付け領域に到達する長さとされているとともに非緊締時に緊締索の中間部で折り返されて前記上端部の近傍に仮止め可能に形成されており、他方の緊締具取付け領域に設けられた緊締索は下端部が前記緊締具取付け領域の下部に固着され、自由端部が前記カバー本体の上部の開口を経て反対側の緊締具取付け領域に到達する長さとされているとともに非緊締時に緊締索の中間部で折り返されて前記下端部の近傍に仮止め可能に形成されている緊締索と、
前記緊締具取付け領域に設けられている各緊締索の各自由端部を反対側の緊締具取付け領域において緊締する緊締索固定手段と
を有することを特徴とする物体搬送用保護カバー。
【請求項2】
前記各緊締索は折り返し部の近傍を前記カバー本体の緊締具取付け領域に固着されていることを特徴とする請求項1に記載の物体搬送用保護カバー。
【請求項3】
前記緊締索の自由端部は、緊締索と自由端部とに設けた面ファスナによって仮止め可能に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物体搬送用保護カバー。
【請求項4】
前記緊締索固定手段は、緊締具取付け領域に取付けられた緊締索が挿通自在な2個の環体であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の物体搬送用保護カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−99335(P2007−99335A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−291054(P2005−291054)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000110882)ニチモウ株式会社 (52)
【Fターム(参考)】