説明

物品の仕分け設備

【課題】シューの破損を早期に発見でき、物品の仕分けの異常を防止できる物品の仕分け設備を提供することを目的とする。
【解決手段】物品の仕分け設備10は、回転駆動装置、搬送経路を周回する無端チェーン14、物品を載せて搬送するための複数のスラット18、およびスラット18に取り付けられたシュー20を備える。シュー20の破損を判定するための判定装置を備える。判定装置は、シュー20の回転軸42または案内ローラ44の通過の有無を検出することによって、シュー20が破損しているか否かを判定するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の搬送途中で仕分けをおこなう物品の仕分け設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物流業界において種々の仕分け設備が開発・開示されている(下記の特許文献1など)。仕分け設備100は、物品16を載せて搬送するための複数のスラット18やスラット18に取り付けられたシュー20を備える(図10、図11)。
【0003】
スラット18は、無端チェーン14に取り付けられる。無端チェーン14は駆動スプロケット12aと従動スプロケット12bとの間に張られる。駆動スプロケット12aにモータが設けられている。モータによって駆動スプロケット12aが回転して、無端チェーン14が周回する。
【0004】
スラット18は、物品16の搬送方向に対して直交方向を向いている。スラット18と無端チェーン14の間に移動ローラ24とサイドローラ26が設けられている。無端チェーン14が周回することによって、移動ローラ24がスラット用レール28に沿って移動する。また、サイドローラ26が、横向き案内面30に案内される。
【0005】
シュー20は、載置面32側の上部34、その反対側の下部36、および上部34と下部36をつなげる側部38を備える。シュー20は、搬送方向に対する直交方向から断面視して1周しており、またスラット18の一部を1周するように取り付けられる。シュー20は、載置面32に物品16が載せられるときに、スラット18のいずれか一端に配置されている。上部34が物品16を横押しする。下部36はシュー20をスラット18に沿って移動させるために用いられる。下部36には、回転軸42が設けられ、回転軸42に案内ローラ44が自由に回転できるように取り付けられている。
【0006】
仕分け設備100には、シュー20を移動させるために、図12の分岐案内部102が複数設けられている。分岐案内部102は、直進用案内レール50、移動案内レール52、および振り分け手段104を備える。振り分け手段104に電磁石56が備えられる。案内ローラ44は磁性体を備え、電磁石56に給電されると案内ローラ44が電磁石56に吸引される。案内ローラ44は移動案内レール52に案内され、シュー20がスラット18に沿って移動する。このとき、シュー20が物品16を搬送方向に対して直交方向に横押しする。物品16が横押しされると、物品16は分岐コンベヤ48に移送される。
【0007】
電磁石56に給電されなければ、案内ローラ44は直進用案内レール50に沿って直進する。シュー20はスラット18に沿って移動することはない。
【0008】
電磁石56に対する給電の有無を決定するために、パルスエンコーダ106によって物品16の移動距離を判別する方法が特許文献1に採用されている。パルスエンコーダ106が従動スプロケット12bの回転軸に取り付けられている。パルスエンコーダ106が計数したパルス数によって無端チェーン14の移動距離を計算する。物品16が所定位置を通過してからのパルス数によって物品の移動距離を算出する。この算出によって、物品16が所定の電磁石56まで到達した距離になった時に電磁石56に給電をおこなう(図13)。シュー20がスラット18に沿って移動して、物品16が搬送方向に対して横押しされる。
【0009】
シュー20の破損があると物品16を仕分けできなくなる。例えば、シュー20の案内ローラ44が破損すると、振り分け手段104でレール50,52の選択ができなくなる。シュー20の上部34が正常であれば、一見してシュー20の破損を認識できない。そのためにシュー20の破損を見過ごすこととなり、物品16を所望の分岐コンベヤ48に送ることができない。物品16の分岐ができないため、物品16をリジェクト用コンベアで上流側に戻し、再び物品16の仕分けをおこなうこととなる。
【0010】
また、無端チェーン14の伸びによって、物品16の移動距離の計算結果が実際の移動距離と異なる場合が生じる。パルス数の補正などをおこなっても、完璧ではない。各シュー20の位置を把握できなければ、破損したシュー20を探し出すのに時間がかかり、復旧に時間がかかる。物品16の仕分け効率が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−249121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、シューの破損を早期に発見でき、物品の仕分けの異常を防止できる物品の仕分け設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の物品の仕分け設備は、回転駆動装置と、前記回転駆動装置によって、物品の搬送経路に沿って周回する無端チェーンと、前記無端チェーンに取り付けられ、帯状になった物品の載置面を有する複数の物品支持体と、前記物品支持体に取り付けられ、物品支持体に沿って移動することによって物品を押すことができる物品横押し体と、前記物品横押し体を搬送方向に沿って直進させるための直進用案内レールと、前記物品横押し体を物品支持体に沿って移動させるための移動案内レールと、前記物品横押し体を直進用案内レールまたは移動案内レールのいずれかに振り分ける手段と、前記物品横押し体の通過の有無を検出することによって、物品横押し体の破損の有無を判定する判定装置とを備える。
【0014】
回転駆動装置が回転して、無端チェーンが搬送経路を周回する。無端チェーンに物品支持体が取り付けられており、物品支持体も周回する。物品支持体の上に物品が載せられ、物品が搬送される。搬送途中の分岐ポイントで物品横押し体が物品を横押しする。判定装置が物品横押し体の通過の有無を検出して、物品横押し体の破損の有無を判定する。
【0015】
前記物品横押し体は、前記載置面の反対側に設けられて、直進用案内レールまたは移動案内レールに沿って移動する回転体と、前記回転体が取り付けられる回転体の軸とを備える。前記判定装置が回転体または回転体の軸の通過の有無を検出することにより、物品横押し体の破損の有無を判定する。
【0016】
前記物品支持体を検出する検出装置を備える。前記検出装置が物品支持体を検出したタイミングで、判定装置が回転体または回転体の軸の通過の有無を検出することによって、物品支持体ごとに物品横押し体の破損を判定する。
【0017】
破損と判断された前記物品横押し体は、振り分ける手段による直進用案内レールまたは移動案内レールへの振り分け対象から除外される。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、物品支持体のそれぞれに検出板を取り付けて、検出板を検出装置で検出することによって物品支持体の位置を把握できる。無端チェーンが伸びることによって物品支持体の位置を間違えることが無くなる。物品横押し体の有無を検出する時に、間違った物品横押し体を検出することを防止できる。物品横押し体を検出することによって、物品横押し体の破損の有無が分かり、物品の仕分けの異常を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の物品の仕分け設備における検出板を示した図である。
【図2】物品の搬送を示す図である。
【図3】検出装置を備えた分岐案内部を示す図である。
【図4】スラットと検出板の位置関係を示す図である。
【図5】検出装置を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は上面図である。
【図6】物品がスラットに載せられてから分岐されるまでを示す図である。
【図7】コンピュータと各制御装置との通信接続を示す図である。
【図8】判定装置からのデータに基づいてコンピュータで作成された表であり、(a)はコンピュータで作成された表を示し、(b)は操作者の選択によってシューの使用不可を色分けした表を示す図である。
【図9】被検出体としてサイドローラの回転軸を延長させた図である。
【図10】従来の物品の仕分け設備におけるスラットおよびシューを示す図である。
【図11】従来の物品の搬送を示す図である。
【図12】従来の分岐案内部を示す図である。
【図13】従来のパルスをカウントして分岐させる図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の物品の仕分け設備について図面を用いて説明する。図面は模式的に示しており、実際の大きさとは異なる場合がある。搬送される物品は、直方体または立方体として説明する。
【0021】
図1、図2に示す本発明の物品の仕分け設備10は、回転駆動装置12a、搬送経路を周回する無端チェーン14、物品16を載せて搬送するための複数のスラット(物品支持体)18、およびスラット18に取り付けられたシュー(物品横押し体)20を備える。
【0022】
回転駆動装置12aは、駆動スプロケットなどである。以下、駆動スプロケットを符号12aで示す。駆動スプロケット12aの駆動源としてモータが使用される。また、駆動スプロケット12aと所定間隔を隔てて従動スプロケット12bを設ける。駆動スプロケット12aと従動スプロケット12bが搬送経路の両端部分となる。
【0023】
無端チェーン14が駆動スプロケット12aと従動スプロケット12bにかみ合わされる。駆動スプロケット12aが回転することによって、無端チェーン14が搬送経路に沿って周回する。周回する無端チェーン14への接触事故を防止するために、無端チェーン14の周囲にカバー22を設ける。
【0024】
スラット18は、無端チェーン14に取り付けられている。無端チェーン14は2本であり、スラット18が無端チェーン14の間に掛け渡される。無端チェーン14は、搬送経路の両側部分になる。無端チェーン14が搬送経路を周回するため、スラット18も搬送経路を周回する。
【0025】
スラット18の両端部には、それぞれサイドブラケット23が取り付けられる。サイドブラケット23は板状で、折り曲げられて、搬送方向視した断面がL字型になっている。このL字型は、載置面32に対して同一方向を向いた水平部分x1と載置面32に対して直交方向を向いた直交部分y1とである。直交部分y1の端部がスラット18の端部に、差し込み、ねじ止め、または溶接などで取り付けられる。サイドブラケット23には移動ローラ24とサイドローラ26が取り付けられる。また、各スラット18において、少なくとも1つのサイドローラ26の代わりに検出板60が取り付けられる。後述するように、検出板60は、スラット18の位置を把握するためのものである。
【0026】
スラット18を支持するために、フレーム27を備える。フレーム27には、移動ローラ24が移動するためのスラット用レール28とサイドローラ26が案内されるための横向き案内面30を備える。フレーム27は、アルミ押し出し成形材などで構成する。上記のカバー22は、フレーム27に取り付けられる。移動ローラ24とサイドローラ26によって、スラット18の周回を安定させる。
【0027】
スラット18は帯状に形成した物品16の載置面32を有する。スラット18の長さ方向は、物品16の搬送方向に対して直交方向である(図6)。複数のスラット18が搬送方向に並べられている。通常、物品16に比べてスラット18の幅(搬送方向の長さ)が狭いため、物品16は複数のスラット18にまたがるようにして置かれる。説明においてスラット18の端部は、帯状の端部とする。
【0028】
シュー20は、載置面32側の上部34、その反対側の下部36、および上部34と下部36をつなげる側部38を備える。シュー20は、搬送方向に対する直交方向から断面視して1周しており、またスラット18の一部を1周するように取り付けられる。シュー20は、載置面32に物品16が載せられるときに、スラット18のいずれかの端部に配置されている。シュー20は、物品16を横押しする時以外はスラット18の端部に配置されている。上部34、下部36および側部38は、いずれもスラット18に固定はされない。シュー20がスラット18に沿って移動できる。
【0029】
シュー20の上部34は、搬送方向に対して傾斜した面40を備えている。この傾斜した面40によって物品16を搬送方向に対して直交方向に押す。シュー20の下部36は、回転軸42および回転軸42に取り付けられた案内ローラ(回転体)44を備える。案内ローラ44は、搬送方向に対して直進または斜方向に進む。案内ローラ44が斜方向に進んだ時、シュー20はスラット18に沿って移動する。
【0030】
物品16を仕分けするために複数の分岐案内部46が設けられる(図3)。分岐案内部46でシュー20が搬送方向の直交方向に物品16を押し、物品16を分岐コンベヤ48に導く。またシュー20を搬送方向に沿って直進させて、物品16の分岐をおこなわないこともできる。
【0031】
分岐案内部46には、案内ローラ44の軌道となる2種類のレールが設けられる。これらのレールは、案内ローラ44を搬送方向に沿って直進させるための直進用案内レール50、および案内ローラ44を搬送方向に対して斜方向に移動させるための移動案内レール52である。
【0032】
直進用案内レール50は、搬送経路の両側に設けられる。直進用案内レール50は、分岐案内部46以外にも設けられており、搬送方向に沿った1本のレールとなっている。移動案内レール52は、搬送方向に対して斜方向を向いている。両レール50,52は、搬送方向に対して直交方向を向いた横連結部材53に取り付けられる。案内ローラ44が振り分け手段54に導かれるように、振り分け手段54の上流側に直進用案内レール50と平行に並んだ始端案内レール51が設けられ、案内ローラ44はその間を通過する。
【0033】
案内ローラ44の材料は磁性体が含まれる。また、案内ローラ44の軌道を選択するために、振り分け手段54を備える。振り分け手段54は、電磁石56および永久磁石58によって案内ローラ44を吸着する装置である。電磁石56は、一部が直進用案内レール50と対向し、徐々に直進用案内レール50から離れるようになっている。永久磁石58は、電磁石56と連続しており、移動案内レール52の端部まで伸びている。
【0034】
電磁石56に給電をおこなって案内ローラ44を吸着すると、永久磁石58を介して移動案内レール52に案内ローラ44を導く。電磁石56に給電をおこなわなければ、案内ローラ44の吸着はなく、案内ローラ44は直進用案内レール50に沿って直進する。電磁石56を使用するため、分岐の切り替えを瞬時におこなえる。
【0035】
移動案内レール52に沿って案内ローラ44が斜方向に移動することによって、シュー20がスラット18に沿って移動し、物品16を側方から押す。物品16が徐々にスラット18の端部に移動して、スラット18の側方に設けられた分岐コンベヤ48に移送される。
【0036】
なお、移動したシュー20を元の位置に戻すために、搬送経路の復路に、2本の直進用案内レール50の間を案内ローラ44が移動できるレールを設け、該レールによって、シュー20を元の位置に戻す。物品16がスラット18の上に載せられた時、シュー20はスラット18の決められた端部に配置されている。
【0037】
電磁石56への給電の有無を決定するために、所望のシュー20が振り分け手段54まで来たことを検出する必要がある。そのため本発明は、上記のようにスラット18に検出板60を取り付け、この検出板60を検出する検出装置62を備える。検出板60を検出するタイミングによって、スラット18の位置を把握する。
【0038】
検出板60は、載置面32の反対側の端部に設けられる。端部に設けることによってシュー20の移動の邪魔にならない。例えば、従来のサイドローラ26が配置された位置、すなわちサイドブラケット23に検出板60を取り付ける。取り付け方法は、ボルト59などを使用したねじ止めや溶接が挙げられる。検出板60は板状であり、平面が搬送方向に対して同一方向にあり、かつ、載置面32に対して垂直方向を向くようにする。
【0039】
図1では、検出板60を折り曲げて、搬送方向視した断面をL字型にしている。このL字型は、載置面32と同一方向を向いた水平部分x2と載置面32に直交方向を向いた直交部分y2である。直交部分y2が検出に利用される。また、水平部分x1にねじ山を設け、サイドブラケット23の水平部分x1と検出板60の水平部分x2とが重ね合わされて、ボルト59によって検出板60をサイドブラケット23に取り付けている。水平部分x1にねじ山を設ける代わりにナットを用いても良い。ボルト59の代わりに溶接によって取り付けたり、水平部分x1と水平部分x2に爪や穴などを設けて掛け止めや嵌め合わせなどして固定しても良く、その固定方法は特に問わない。さらに、サイドブラケット23をL字型に折り曲げず、搬送方向視した断面をI字型にしても良い。サイドブラケット23のスラット18の取り付けられない端部を検出板60として使用する。いずれの構成であっても、平面が搬送方向に対して同一方向にあり、かつ、載置面32に対して垂直方向を向いた板が、スラット18の端部に取り付けられた構成と同じになる。
【0040】
図4に示すように、1つのスラット18aは両端部に検出板60を設けて、それ以外のスラット18b、18cは一端部または他端部のいずれかに検出板60を設ける。両端部に検出板60が設けられたスラット18aを基準とする。基準のスラット18aの検出板60が検出装置62で検出されると、最初から検出板60の計数をおこなう。スラット18が1周するたびに計数が繰り返される。
【0041】
なお、特にスラットを区別して説明しない場合、符号18a,18b,18cは符号18として説明する。スラット18aを1番として、搬送方向に沿って順番に番号が増えることとする。この番号は、スラット18に取り付けられたシュー20と検出板60に共通とする(図6)。
【0042】
一端部に検出板60を有するスラット18bと他端部に検出板60を有するスラット18cは交互に並べられる。スラット18bは、他端部にサイドローラ26が設けられる。スラット18cは、一端部にサイドローラ26が設けられる。1つの検出装置62は、連続して同一端部の検出板60を検出しないため、検出時間に余裕がある。物品16の高速搬送に対応できる。
【0043】
検出装置62は、振り分け手段54よりも搬送方向の上流側に設けられる。振り分け手段54の上流側に直進用案内レール50と平行に始端案内レール51が設けられており、始端案内レール51の上流端に検出装置62が配置される。検出板60を検出後にシュー20の振り分けをおこなうためである。検出装置62と振り分け手段54との距離は、検出板60を検出するための時間、物品16の搬送速度、電磁石56への給電時間などを考慮して決定する。
【0044】
検出装置62は2つであり、検出板60の移動経路に設けられる。図1に示すように案内ローラ44よりもスラット18の端部側に検出板60が設けられるため、図3では直進用案内レール50よりも搬送経路の外側方向に検出装置62を設けている。基準のスラット18aの2枚の検出板60が同時に検出できるように配置する。スラット18が搬送方向に対して直交方向を向いているため、搬送方向に対する直交線上に2つの検出装置62が配置される。基準のスラット18aと他のスラット18b、18cで検出される検出板60の数が異なるため、基準のスラット18aを他のスラット18b、18cと区別することができる。
【0045】
検出装置62は、(a)検出板60を検出し、(b)検出板60のカウントをおこない、(c)カウントした値を振り分け手段54に送る。スラット18の幅、スラット18同士の間隔、および検出装置62から振り分け手段54までの距離は設計時に決定されており、これらの値は変化することはない。これらの値によって、検出装置62から振り分け手段54までのスラット18の数が既知となる。
【0046】
振り分け手段54に検出板60のカウントされた値を送り、カウントされた値から上記スラット18の数を減算することによって、振り分け手段54は振り分け手段54に到達しているスラット18の番号が分かる。従来のパルスを使用した方法とは異なるため、スラット18のずれが生じにくい。
【0047】
上記の減算をおこなった場合、0やマイナスとなる場合がある。スラット18の総数は設計時に既知である。0になった場合、スラット18の総数とする。マイナスになった場合、スラット18の総数からマイナスになった分だけ減算する。
【0048】
検出装置62は、光を発する発光手段64および光を受光する受光手段66を備える(図5(a),(b))。発光手段64は、レーザーダイオードや発光ダイオードなどを使用する。受光手段66はフォトダイオードやフォトトランジスタなどを使用する。発光手段64と受光手段66とを一定間隔で対向させる。発光手段64と受光手段66との間を検出板60が通過する(図5(b))。
【0049】
発光手段64で発せられた光は受光手段66で受光される。発光手段64と受光手段66との間を検出板60が通過する時、受光手段66への光が遮光される。この遮光によって検出板60の通過を検出できる。
【0050】
検出装置62の発光手段64と受光手段66は、それぞれ2個にして、搬送方向に並べる。各検出装置62は、検出板60を2回検出する。各受光手段66で遮光される時間のずれによって、検出板60の移動方向が分かる。検出板60が搬送方向に対して順方向に移動している場合、検出板60を検出するたびに1を加算する。基準のスラット18aを検出するたびに、基準のスラット18aを1として、加算をおこなう。
【0051】
検出板60が搬送方向に対して逆方向に移動している場合、検出板60を検出するたびに1を減算する。スラット18の総数が既知であるため、基準のスラット18aを検出した次のスラット18の番号を総数として、その後、総数から減算をおこなう。何らかの原因でスラット18を逆方向に移動させても、スラット18の位置を正確に認識することができる。
【0052】
シュー20の破損を判定するための判定装置92を備える。判定装置92は、シュー20の回転軸42または案内ローラ44の通過の有無を検出することによって、シュー20が破損しているか否かを判定するものである。
【0053】
搬送経路における検出装置62よりも下流側に判定装置92を設ける。検出装置62の下流側に移動案内レール52があり、本発明では、移動案内レール52のある位置に設けられている。検出装置62で検出板60を検出して、カウントをおこなう時間を考慮して検出装置62と判定装置92の距離を決定する。図3では、判定装置92は、移動案内レール52の下流付近の位置に設けられている。
【0054】
判定装置92は、発光手段94aと受光手段94bを備える。発光手段94aは、レーザーダイオードや発光ダイオードなどを使用する。受光手段94bは、フォトダイオードやフォトトランジスタなどを使用する。発光手段94aで発した光が受光手段94bで受光される。この光は、回転軸42または案内ローラ44が通過する2本の直進用案内レール50の間を通過する。そのために、直進用案内レール50および移動案内レール52に開口や切り欠きを設け、光が開口や切り欠きを通過するように発光手段94aと受光手段94bを配置する。この光は、シュー20の通過時に、回転軸42または案内ローラ44によって遮光される。遮光によってシュー20、特にシュー20の下部36が正常であることを判断できる。なお、移動案内レール52の無い位置に判定装置92を設けた場合、直進用案内レール50にのみ開口や切り欠きを設けて、2本の直進用レール50の間を光が通過するようにする。
【0055】
上記のように設計時にスラット18の幅やスラット18の間隔は既知であり、さらに検出装置62から判定装置92までの距離も既知である。これらの値によって、検出装置62から判定装置92までのスラット18の数も既知となる。このスラット18の数を検出装置62がカウントした値から減算すれば、判定装置92に到達しているスラット18の番号になる。なお、減算した値が0やマイナスになった場合については、上述した振り分け手段54の場合と同様である。
【0056】
検出装置62から判定装置92に検出板60をカウントした値を送り、判定装置92は、カウントした値からスラット18の数を減算する。スラット18とそのスラット18に取り付けられたシュー20とは番号を一致させるため、シュー20を検出した時のそのシュー20の番号が分かる。
【0057】
判定装置92は、上記の演算をおこなうタイミングとシュー20による遮光のタイミングとの同期を取る。シュー20の番号ごとにシュー20の正常または異常を対応させるためである。演算をおこなった際、シュー20の回転軸42または案内ローラ44を検出すれば、演算によって求めた番号のシュー20は正常であることが分かる。反対に、回転軸42または案内ローラ44を検出できなければ、演算で求めた番号のシュー20は、異常であることが分かる。
【0058】
演算をおこなうタイミングとシュー20による遮光のタイミングとの同期を取ったが、他のタイミングであったも良い。検出装置62で検出板60を検出したタイミングとシュー20による遮光のタイミングとの同期を取ってもよい。
【0059】
各シュー20の正常または異常のデータは、後述するようにコンピュータに送り、コンピュータで処理される。
【0060】
スラット18の上に物品16xの投入後、物品16xが所定位置P1を通過したことを検出するための発光手段68と受光手段70を備える(図6)。発光手段68と受光手段70は上記の検出装置62と同様のものであっても良い。遮光によって物品16xを検出する。また、その所定位置P1には、上記の検出装置62が設けられる。物品16xを検出した時にカウントされた番号のスラット18に物品16xが載せられていることが分かる。
【0061】
スラット18に物品16xを載置する前に、物品16y、16zは搬入コンベヤ72で搬送される。搬送コンベヤ72には、物品16zの幅と長さ計測するための光電スイッチ74、76が設けられている。搬送方向に対して光が垂直方向になった光電スイッチ74と、搬送方向に対して光が斜方向になった光電スイッチ76を使用する。搬送速度と各光電スイッチ74,76の遮光時間によって物品16zの幅と長さを計算する。物品16zの幅と長さを計算して、物品16を移送させる時のシュー20の数を決定する。
【0062】
物品16zの幅と長さを求める手段は、光電スイッチ74,76を使用する以外に、ディジタルカメラで物品16zの撮影をして、画像処理によって物品16zの幅と長さを求めても良い。なお、物品を特に区別して説明しない場合、符号16x、16y、16zは符号16として説明する。
【0063】
検出装置62、振り分け手段54、判定装置92、駆動スプロケット12a、発光手段68、受光手段70などの上述した各手段の動作を制御するコンピュータ80を備える(図7)。コンピュータ80は、ソフトウェア、ハードウェア、またはその両方によって、後述するような動作をおこなう。
【0064】
コンピュータ80は、仕分け設備10を制御する制御装置82aと通信をおこなう。また、この制御装置82aから検出装置62などの制御装置82b、82c、82d、82e、82fへ通信をおこなう。各制御装置82a、82b、82c、82d、82e、82fとしては、PLC(Programmable Logic Controller)などが挙げられる。検出装置62、振り分け手段54、判定装置92は複数あるため、制御装置82b、82c、82dも各検出装置62、振り分け手段54、判定装置92に設けられる。
【0065】
コンピュータ80からの指令に基づいて検出装置62などが駆動する。例えば、コンピュータ80から制御装置82aに分岐をおこなう振り分け手段54および物品16が載せられたスラット18の番号を送信する。制御装置82aから振り分け手段54の制御装置82cにスラット18の番号が送信される。振り分け手段54は、所定の番号で電磁石56に給電をおこなうことが可能となる。
【0066】
検出装置62などの駆動状況がコンピュータ80に送られ、コンピュータ80のモニタに表示される。例えば、各検出装置62が検出したスラット18の番号が送られる。コンピュータ80は、上述した方法で、スラット18の番号から振り分け手段54や判定装置92に到達しているスラット18の番号を求めたり、受光手段70の遮光された時間のずれから物品16の搬送速度や搬送方向を求めても良い。
【0067】
なお、コンピュータ80から直接的に各手段の制御装置82a,82b,82c,82dに指令を送る構成であっても良い。コンピュータ80は分岐コンベヤ48や搬入コンベヤ72などの他の装置も総合的に制御をおこなっても良い。搬入コンベヤ72の光電スイッチ74,76からのデータもコンピュータ80に送られる。
【0068】
判定装置92からコンピュータ80に送られるデータは、シュー20ごとの正常または異常を示すデータである。コンピュータ80は、このデータに基づいて図8(a)に示すような表96を作成して、モニタに表示しても良い。この表96は、各シュー20の正常または異常を色分けしている。図8(a)では、0257,0258,0259の番号のシュー20に異常が発生していることが分かる。操作者は、異常の発生したシュー20を容易に見分けることができる。
【0069】
いずれかのシュー20に異常が発生した場合、コンピュータ80から警報装置に信号を送って、警報などを発するようにしても良い。
【0070】
また、表96のシュー20を選択することによって、コンピュータ80は選択されたシュー20の使用を停止するようにしても良い。コンピュータ80は、使用停止になったシュー20も色分けされるようにする。図8(b)では、0257と0258の番号のシュー20を選択したため、その番号が色分けされ、そのシュー20が使用停止となる。
【0071】
上記のようにコンピュータ80に送られるデータによって、物品16が載せられたスラット18の番号が分かる。物品16が載せられたスラット18のシュー20の中に使用停止のシュー20が含まれれば、コンピュータ80は、振り分け手段54にスラット18の番号を送信しない。分岐のためのシュー20の移動をおこなわず、物品16を直進させる。物品16は搬送経路を直進した後、リジェクト用コンベアで上流側に戻し、再び物品16の仕分けをおこなう。
【0072】
さらに、コンピュータ80は、使用停止になったシュー20を選択することによって、選択されたシュー20の使用を再開できるようにしても良い。使用再開になったシュー20は、正常または異常の色と同じようにする。シュー20の選択は、シュー20ごとにおこなえるようにしても良いし、複数のシュー20を一括して選択できるようにしても良い。
【0073】
次に、物品の仕分け装置10の動作について説明する。(1)物品16y、16zが搬入コンベヤ72からスラット18の上に移送される。搬入コンベヤ72では、物品16zの大きさなどが測られる。
【0074】
(2)スラット18に移送された物品16xは、搬送経路に沿って搬送される。搬送開始直後の所定位置P1で物品16xが検出され、そのときに検出板60もカウントされる。カウントされた値のスラット18に物品16xが載せられており、物品16xとスラット18とを関連づける。このとき、物品16xにバーコードなどの識別マークを添付している場合、その識別マークを読み取る。
【0075】
(3)物品16xを分岐させる分岐案内部46の振り分け手段54に、物品16xが載せられたスラット18の番号をコンピュータ80から送信する。
【0076】
(4)検出装置62は検出板60を検出するたびにカウントをおこない、その値を振り分け手段54に送る。搬送方向に対して順方向に物品が搬送されている場合、検出板60を検出するごとに番号を増加させる。基準となるスラット18aの検出板60を検出するたびにカウントした値をリセットして、最初から番号を増加させる。
【0077】
振り分け手段54は、上述したように、カウントされた値から所定数を減算する。振り分け手段54の電磁石56の位置P2に到達しているスラット18の番号を認識する。
【0078】
(5)分岐をおこなうための所定の番号になれば、振り分け手段54は電磁石56に給電をおこなう。給電によってシュー20の下部36の案内ローラ44が移動案内レール52に導かれる。シュー20がスラット18に沿って移動する。シュー20が物品16xを押し、物品16xは分岐コンベヤ48に導かれる。
【0079】
電磁石56に給電がなければ、案内ローラ44は直進用レール50に沿って移動する。シュー20がスラット18に沿って移動することはない。
【0080】
(6)搬送方向における検出装置62よりも下流の判定装置92でシュー20の下部36の有無を判断する。判定装置92は、検出装置62からカウントされた値を受信し、さらに回転軸42または案内ローラ44の検出をおこなう。カウントされた値から所定数を減算した値が、検出されたシュー20の番号となる。検出された番号のシュー20は、正常であることが確認できる。検出されたシュー20を使用して物品16xの仕分けを継続することができる。
【0081】
カウントされた値を受信して所定の減算をした時に、回転軸42または案内ローラ44を検出できなければ、減算された番号のシュー20の回転軸42または案内ローラ44が破損して、失われていることが分かる。
【0082】
(7)判定装置92からコンピュータ80に各シュー20の正常または異常のデータを送る。なお、検出装置62や振り分け手段54などの他の装置の駆動状況のデータもコンピュータ80に送られる。
【0083】
(8)コンピュータ80は受信した上記データを使用して、各シュー20の正常または異常を色分けした表96を作成する。そして、コンピュータ80は作成した表96をモニタに表示する。操作者が表示されたシュー20の番号を選択した場合、コンピュータ80は選択されたシュー20の使用を停止する。
【0084】
以上のように、シュー20の異常を検出することによって、物品16の仕分けの異常を防止できる。物品16の仕分け中の事故も防止できる。また、無端チェーン14の伸びに関係なく、検出板60によって異常なシュー20の番号を適格に把握でき、異常なシュー20の番号間違いを防止できる。
【0085】
以上、本発明について実施形態を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、判定装置92は発光手段94aと受光手段94bを使用した非接触のセンサーであったが、機械的な接触式のセンサーであっても良い。回転軸42または案内ローラ44が機械的なセンサに接触すると、シュー20の下部36が正常であることが分かる。
【0086】
判定装置92の位置は、検出装置62の下流側に限定されない。検出装置62の上流側であっても良い。この場合、上述した判定装置92がおこなう演算は、加算となる。すなわち、カウントされた値に所定値を加算する。
【0087】
判定装置92は、各検出装置62ごとに設ける必要はなく、搬送経路に少なくとも1つ設けられれば良い。
【0088】
異常の発生したシュー20を表96で示した後、操作者がシュー20の番号を選択して、その番号のシュー20を使用停止にしたが、コンピュータ20は異常の発生したシュー20を自動的に使用停止にしても良い。
【0089】
従来からあるサイドローラ26を取り付ける回転軸60bを延長することによって、サイドローラ26から突出した回転軸60bを検出板60の代わりとする(図9)。この場合、サイドローラ26はスラット18の両端部に設けられる。その他、被検出体として遮光できるものであれば、形状などは限定されない。
【0090】
検出板60が取り付けられる位置は、スラット18の端部に限定されない。物品16の搬送、スラット18の移動、シュー20の移動に邪魔にならない位置であればどの位置であっても良い。
【0091】
検出装置62は、発光手段64と受光手段66をそれぞれ2つ使用したが、それぞれ1つであっても良い。検出板60が移動している方向を検出することはせず、単純に検出板60の通過のみを検出する。また、光を利用した非接触の検出に限定されず、検出板60の接触による検出をおこなっても良い。
【0092】
検出装置62で検出板60の検出およびカウントをおこなっていたが、検出した信号を振り分け手段54に送り、振り分け手段54でカウントをおこなっても良い。また、コンピュータ80でカウントをおこない、コンピュータ80の指令で振り分け手段54が電磁石56に給電できるようにしても良い。
【0093】
振り分け手段54は、電磁石56を使用したが、機械的に直進用レール50または移動案内レール52に振り分けるスイッチであっても良い。
【0094】
物品の仕分け設備10は、搬送経路の一方側に分岐コンベヤ48を備えたものに限定されず、搬送経路の両側に分岐コンベヤ48を備えたものであっても良い。2本の移動案内レール52が交差して、その両方に振り分け手段54が設けられる。振り分け手段54の電磁石56の給電のタイミングは、上記の説明と同じである。
【0095】
また、物品16を分岐コンベヤ48に移送する時に、物品16が搬送経路に対して傾斜したが、物品16を搬送経路に対して平行方向を保ったまま、分岐コンベヤ48に移動させるものであっても良い。この場合、移動案内レール52が複数平行に配置され、移動案内レール52ごとに振り分け手段54が設けられ、同時に振り分け手段54の電磁石56が給電される。この給電のタイミングは、上記の説明と同じである。
【0096】
スラット18、シュー20、および検出板60の表面に、検出板60の番号を表示しても良い。操作者が各スラット18でのシュー20の位置や移動するシュー20の番号を認識できるようにする。
【0097】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【符号の説明】
【0098】
10:物品の仕分け設備
12a:駆動スプロケット(回転駆動装置)
12b:従動スプロケット
14:無端チェーン
16、16x、16y、16z:物品
18、18a、18b、18c:スラット(物品支持体)
20:シュー(物品横押し体)
32:載置面
42:回転軸
44:案内ローラ(回転体)
46:分岐案内部
50:直進用案内レール
52:移動案内レール
54:振り分け手段
56:電磁石
58:永久磁石
60:検出板(被検出体)
62:検出装置
64:発光手段
66:受光手段
92:判定装置
94a:発光手段
94b:受光手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動装置と、
前記回転駆動装置によって、物品の搬送経路に沿って周回する無端チェーンと、
前記無端チェーンに取り付けられ、帯状になった物品の載置面を有する複数の物品支持体と、
前記物品支持体に取り付けられ、物品支持体に沿って移動することによって物品を押すことができる物品横押し体と、
前記物品横押し体を搬送方向に沿って直進させるための直進用案内レールと、
前記物品横押し体を物品支持体に沿って移動させるための移動案内レールと、
前記物品横押し体を直進用案内レールまたは移動案内レールのいずれかに振り分ける手段と、
前記物品横押し体の通過の有無を検出することによって、物品横押し体の破損の有無を判定する判定装置と、
を備えた物品の仕分け設備。
【請求項2】
前記物品横押し体は、
前記載置面の反対側に設けられて、直進用案内レールまたは移動案内レールに沿って移動する回転体と、
前記回転体が取り付けられる回転体の軸と、
を備え、
前記判定装置が回転体または回転体の軸の通過の有無を検出することにより、物品横押し体の破損の有無を判定する請求項1の物品の仕分け設備。
【請求項3】
前記物品支持体を検出する検出装置を備え、
前記検出装置が物品支持体を検出したタイミングで、判定装置が回転体または回転体の軸の通過の有無を検出することによって、物品支持体ごとに物品横押し体の破損を判定する
請求項1または2の物品の仕分け設備。
【請求項4】
破損と判断された前記物品横押し体は、振り分ける手段による直進用案内レールまたは移動案内レールへの振り分け対象から除外される請求項3の物品の仕分け設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−35941(P2012−35941A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175621(P2010−175621)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】