説明

物品の搬送装置

【課題】 無端状のままエンドレスチェーンの取外しを行なえるようにすること
【解決手段】 機枠31に対して片持ち支持された一対のスプロケットと、一対のスプロケットに掛け渡されたエンドレスチェーン18と、エンドレスチェーンの下側に配置されるチェーンレール50と、チェーンレールを上下方向に移動させる上下移動機構61,62と、一対のスプロケットの少なくとも一方を搬送方向に沿って移動可能とし、両スプロケットの間隔を変更可能とするシリンダと、を備える。下方位置に位置するチェーンレールは、エンドレスチェーンから離反して横方向の移動を許容する。このようにチェーンレールを下方位置に位置させると共に、シリンダを動作させてスプロケットを後退させ両スプロケットの間隔を短くする。よって、スプロケットに掛け渡されたエンドレスチェーンは、そのまま前方に取り外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装機に用いられる物品の搬送装置に関し、より具体的には、エンドレスチェーンの所定間隔ごとにフィンガーを取り付けたフィンガーコンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
包装機の一形態であるピロー包装機は、以下のような構成を備えている。まず、原反ロールに巻き取られた帯状フィルムを連続して製袋器に供給し、その製袋器を通過させる際に筒状に製袋された筒状フィルムを形成する。また、この製袋器の上流側には被包装物搬送供給装置を配置し、その被包装物搬送供給装置から所定間隔毎に搬送される被包装物が、製袋器内に供給される。これにより、被包装物が製袋器内を通過すると、筒状フィルム内に所定間隔毎に収納されることになり、その被包装物は筒状フィルムとともに搬送される。そして、その搬送方向に沿って、センターシール装置並びにエンドシール装置が配置されている。センターシール装置は、筒状フィルムのフィルム重合端をシールするものである。エンドシール装置は、筒状フィルムを進行方向横方向(前後の被包装物が存在していない部分)にシールするとともに、カットすることで、先端の被包装物が収納された筒状フィルムの部分を後続の筒状フィルムから分離し、包装体を製造するようになる。
【0003】
被包装物搬送供給装置は、被包装物を一定間隔ごとに搬送し、包装機本体の製袋器内に供給させることから、通常、フィンガーコンベア装置が用いられる(特許文献1参照)。このフィンガーコンベア装置は、前後に配置されたスプロケットと、その複数のスプロケットに掛け渡されたエンドレスチェーンと、そのエンドレスチェーンに所定ピッチ毎に取り付けられた複数の押送フィンガーとにより構成される。これにより、物品の後面に押送フィンガーが突き当たると、押送フィンガーの移動に伴い、物品も前進移動する。
【0004】
更に、特許文献2等に開示されているように、搬送面に沿ってその下方所定位置には、エンドレスチェーンを受けるガイドレールが配置される。エンドレスチェーンは、このガイドレールの上面に接触してエンドレスチェーンが滑るように移動することで、エンドレスチェーンは下方に垂れ下がることなく水平状態で安定して移動する。更に、このガイドレールは、左右一対の外プレート(内プレート)間に入り込み、これにより、エンドレスチェーンの横方向の移動も規制し、エンドレスチェーンが安定して移動するように構成される。
【特許文献1】特開2001-354212号公報
【特許文献2】特開2003−212329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ピロー包装機における搬送装置では、例えば食品を搬送する場合において、搬送装置を常に清潔に保つために、搬送装置の洗浄を行う必要がある。係る場合に、エンドレスチェーンをスプロケットから取り外し、当該エンドレスチェーンやそれに取り付けられた押送フィンガーを清掃したり、エンドレスチェーンを取り外して空間が空いた被包装物搬送供給装置(搬送装置)側を清掃したりする。また、このように清掃に限ることはなく、部品交換等のメンテナンスにおいても、エンドレスチェーンを取り外す必要が生じることがある。
【0006】
エンドレスチェーンの場合、前後にてスプロケットの歯がしっかりと嵌っているとともに、上記のガイドレール(チェーンレール)によりエンドレスチェーンの上下・左右方向の移動が規制されることも相まって、エンドレスチェーンをそのまま(無端状のまま)取り外すことはできず、エンドレスチェーンを構成する所定の継ぎ手リンクに装着されたクリップや割ピン等の固定部材を取り外してチェーンを分断し、1本の帯状のチェーンにした状態で取り外している。そして、清掃・メンテナンス等の処理が終了したならば、係る1本の帯状のチェーンを前後のスプロケットに掛け渡し、その帯状のチェーンの端部同士を継ぎ手リンクにより連結して無端状のエンドレスチェーンにしている。従って、継ぎ手リングの着脱に特殊な工具が必要となり、エンドレスチェーンの着脱作業が非常に煩雑で、時間もかかるという問題がある。
【0007】
本発明は、エンドレスチェーンを備えた搬送装置において、大掛かりな分解作業等を必要としないで清掃や部品交換等のメンテナンスのために容易にエンドレスチェーンの取外し等を行うことのできる物品の搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明に係る物品の搬送装置は、(1)機枠に対して片持ち支持された前後一対のスプロケットと、その一対のスプロケットに掛け渡されたエンドレスチェーンと、そのエンドレスチェーンの下側に配置されるチェーンレールと、そのチェーンレールを上下方向に移動させる上下移動機構と、前記エンドレスチェーンに取り付けられた複数の押送フィンガーと、前記一対のスプロケットの少なくとも一方を搬送方向に沿って移動可能とし、両スプロケットの間隔を変更可能とする移動手段と、を備え、前記上下移動機能により上方位置に位置する前記チェーンレールは、前記エンドレスチェーンに接触可能となってそのエンドレスチェーンの横方向の移動を規制し、下方位置に位置する前記チェーンレールは、前記エンドレスチェーンから離反して前記横方向の移動を許容するように構成され、前記移動手段による前記スプロケットの移動距離は、そのスプロケットの歯部が前記エンドレスチェーンから離脱できる距離とした。
【0009】
これにより、上下移動機構により、チェーンレールを下方位置に位置させると、エンドレスチェーンは、チェーンレールによる規制から解除され、横方向、つまり、機枠から離反する方向(手前側)への移動が可能となる。さらに、移動手段によって、両スプロケットの間隔を短くすることで、スプロケットとエンドレスチェーンのかみ合いを解除することができる。よって、エンドレスチェーンを分解することなく、無端状のまま手前側に取り外すことができる。
【0010】
(2)前記上下移動機構は、前記チェーンレールを支持し、前記搬送方向と直交する面内で正逆回転する回転腕部材と、少なくとも、前記チェーンレールが上方位置に位置するときに、前記回転腕部材の姿勢を固定する固定手段(実施形態では、”トグルレバー67”+”固定具69”)と、を備えるとよい。このようにすると、簡単な構成でチェーンレールを上下方向に移動させることができるとともに、通常の使用状態ではチェーンレールを上方位置に位置させた状態を保持し、エンドレスチェーンに対する移動の規制を確実に行なえる。なお、本実施形態では、重心を回転中心よりも外側にずらすことで、固定手段による固定を解除すると、自重により回転腕部材が回転し、チェーンレールを下降移動させるようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、固定手段による固定を解除した後で、例えば、実施形態のようなハンドル等を把持し、それを下げることで手動による下降移動をさせるようにしても良い。もちろん、これ以外にも、自動的(所定の動力を用いて)昇降移動させるようにしても良い。
【0011】
(3)前記移動手段は、シリンダーから構成され、そのシリンダーの圧力を一定に制御することで、前記エンドレスチェーンのテンションの調整制御も行なえるようにするとよい。このようにすると、エンドレスチェーンの着脱に伴うスプロケットの移動を簡単に行なうことができると共に、通常の運転時におけるエンドレスチェーンへのテンションの調整も自動的に行なうことができるので好ましい。
【0012】
(4)前記エンドレスチェーンに対して一定間隔で位置決め用のローラを設け、前記一対のスプロケットの少なくとも一方に、前記位置決め用のローラと符合するカムを設けるとよい。”カム”は、実施形態では”ガイドボス41(凹部41a)”に対応する。このようにすると、エンドレスチェーンを取り外した後、スプロケットに装着するに際し、位置決め用のローラをカムに連係させるようにすることで、簡単に位置合わせを行なうことができる。なお、実施形態では、位置決め用ローラは押送フィンガーの取り付け位置に合わせてエンドレスチェーンに取り付けるようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、エンドレスチェーンの任意の位置に位置決め用ローラを取り付けることができる。
【0013】
(5)前記移動手段により移動するスプロケットとともに移動する部材の位置を検出する位置検出手段を設け、その位置検出手段の出力に基づき、前記エンドレスチェーンが一定長さ以上伸びたことを検出するように構成するとよい。位置検出手段は、リミットスイッチや近接センサその他のセンサのように自動的に検出するものでも良いし、目盛り53bのように人間の目視により検出するための手段でも良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、エンドレスチェーンを簡単に取り外すことができるので、搬送装置の清掃や部品交換等のメンテナンスが短時間で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の物品の搬送装置の一実施形態が実装されるピロー包装機10は、包装機本体11と、その包装機本体11に対して帯状の包装フィルムを連続して供給するフィルム供給装置12と、包装機本体11の上流側に配置され、その包装機本体11に対して物品たる被包装物13を所定間隔毎に供給する被包装物搬送供給装置14とを備えている。この被包装物搬送供給装置14が、物品の搬送装置を構成する。
【0016】
フィルム供給装置12は、帯状フィルム15をロール状に巻き取った原反ロール16に対し、図示省略する駆動モータ(サーボモータ等の速度制御可能なモータ)の出力を連係し、原反ロール16の回転速度を適宜制御しながら一定速度で包装機本体11に供給する。また、図示省略しているが、原反ロール16から包装機本体11に至る所定位置に各種のローラを配置し、原反ロール16から送り出された帯状フィルム15は、そのローラに掛け渡されることで、所定の経路を通って包装機本体11に導かれる。もちろん、本発明では、必ずしも原反ロール16に駆動モータを連係する必要はなく、包装フィルムの搬送経路上にフィードローラを設け、引き出すようにしても良い。
【0017】
被包装物搬送供給装置14は、前後に配置されたスプロケット17,17′と、その複数のスプロケット17,17′に掛け渡されたエンドレスチェーン18と、そのエンドレスチェーン18に所定ピッチ毎に取り付けられた複数の押送フィンガー19とにより構成される。これにより、被包装物13の後面に押送フィンガー19が突き当たると、押送フィンガー19の移動に伴い、被包装物13も前進移動する。
【0018】
包装機本体11は、供給される帯状フィルム15を筒状フィルム21に整袋する製袋器20と、その製袋器20の下流側に配置されたセンターシール装置24と、そのセンターシール装置24の下流側に配置され、筒状フィルム21を搬送するベルトコンベア23と、ベルトコンベア23の上方に配置された上側抑えベルト25と、ベルトコンベア23の下流側に配置されたエンドシール装置30と、エンドシール装置30の下流側に配置された搬出コンベア26と、を備えている。
【0019】
製袋器20は、フィルム供給装置12から連続して供給される帯状フィルム15を通過させることで、帯状フィルム15の両側端縁部15a同士を接触(重合)させるとともに、筒状となった筒状フィルム21に整袋するものである。また、被包装物搬送供給装置14から包装機本体11に対して順次供給される被包装物13は、製袋器20内に挿入される。これにより、製袋器20に供給された被包装物13は、筒状フィルム21内に所定間隔ごとに配置されることになる。
【0020】
センターシール装置24は、重合された帯状フィルム15の両側端縁部15aをシールする。このセンターシール装置24は、帯状フィルム15の両側端縁部15aを両側から挟み込み、熱シールする。
【0021】
上側抑えベルト25は、エンドシール装置30の上流側の直近に配置されており、筒状フィルム21内の被包装物13が上方に持ち上がるのを抑制し、水平状態を保持しながら搬送できるようにしている。
【0022】
エンドシール装置30は、筒状フィルム21に対し、進行方向と直交する方向、つまり、横断する方向にシールすると共にカットするものである。そのシール・カットするフィルム部位は、前後の被包装物13の間の所定位置である。これにより、エンドシール装置30を通過することで、筒状フィルム21の先頭部分は、後続から分離され、包装体27が製造される。エンドシール装置30は、トップシーラ30aのシール面同士が対向した状態を保持しながら所定の軌跡で公転移動するボックスモーションタイプのものとしたが、回転式のエンドシール装置もある。
【0023】
以下、被包装物搬送供給装置14について説明する。図2,図3に示すように、エンドレスチェーン18は、機枠31に片持ち支持された状態で回転するようになっている。すなわち、駆動側のスプロケット17は、図4,図5に示すように、機枠31の正面に取り付けられた軸受け部32に回転自在に挿入された回転軸33の一端に駆動用のスプロケット17を取り付け、その回転軸33の他端に傘歯車34を連結している。そして、この傘歯車34は、歯車35に連係され、図示省略の動力伝達機構を介して駆動モータに連係される。よって、その駆動モータの回転力がスプロケット17に伝達され、スプロケット17が回転駆動する。そして、スプロケット17の歯部17aにエンドレスチェーン18が噛み合っているので、スプロケット17の回転に伴いエンドレスチェーン18も回転する。
【0024】
押送フィンガー18は、その下方部位において、ピン37を用いてエンドレスチェーン18に回転可能に連結される。また、このピン37には、同軸で円盤状の位置決めローラ36が取り付けられる。また、押送フィンガー19の下端近傍(ピン37の連結部位よりもエンドレスチェーン18の内側)には、リンク機構を構成する連結バー38の一端がピン39にて連結される。この連結バー38の他端は、エンドレスチェーン18の所定位置(押送フィンガー18の取り付け位置から一定距離だけ進行方向後方位置)にピン40にて連結される。ピン39,40にて連結することで、各部において所定角度範囲内で正逆回転可能となる。よって、水平方向に移動しているときには、図5等に示すように押送フィンガー19は起立した状態となり、スプロケット17,17′に沿って旋回移動する際には、連結バー38の他端が接続されたピン40と押送フィンガー19が接続されたピン37の前後方向の間隔が狭まることから、連結バー38によってピン39を進行方向前方に付勢し、それに伴い押送フィンガー19が進行方向後方側に倒れ込むようになる。なお、スプロケット17を所定角度回転したならば上記と逆方向に動作し、押送フィンガー19が徐々に起立するように動作させる。係る押送フィンガー19の姿勢が適宜変更(起立状態→転倒→起立状態に復帰)させるための機構は、従来と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0025】
また、駆動側のスプロケット17の正面側に、ガイドボス41を連結している。このガイドボス41は、ネジにてスプロケット17に取り付けられているので、スプロケット17と一体になって回転する。このガイドボス41は、円盤状の本体の外周縁の所定位置に、中心側に向けて窪んだ凹部41aを設けた形状となる。本実施形態では、凹部41aは、180度間隔で2カ所に設けている。そして、この凹部41aは、円弧状に斬りかかれた形状となり、この凹部41a内に、押送フィンガー19のエンドレスチェーン18への取り付け位置に設置された位置決めローラ36が入り込むようになっている。つまり、ガイドボス41の円周の半分(凹部41a間の円弧の距離)と、押送フィンガー19のフィンガーピッチがほぼ一致しており、押送フィンガー19がスプロケット17に沿って移動する際には、位置決めローラ36が凹部41a内に入り込んだ状態でスプロケット17の回転に伴い移動する。そして、後述するようにエンドレスチェーン18をスプロケット17から離脱した後、再度スプロケット17に掛け渡す際には、位置決めローラ36がオア部41aに符合するような位置関係でセットする。これにより、エンドレスチェーン18の取り外し前後で関係なく位置決めが行なわれる。
【0026】
一方、進行方向後方側の従動側のスプロケット17′は、機枠31に片持ち支持されるとともに、進行方向後方側に向けて所定のテンションがかかるように構成される。具体的には、図6,図7に拡大して示すように、機枠31の進行方向後方側所定位置にシリンダ51を取り付ける。このシリンダ51のシリンダロット51aは、進行方向前方に向けて往復移動するように配置される。シリンダロット51aの先端に連結プレート52の下方部位を取り付け、その連結プレート52の上方部位に細長な矩形状のスライドブロック53の一端を連結する。このスライドブロック53は、エンドレスチェーン18に沿って平行に配置され、進行方向(軸方向)に前後進移動可能に配置される。具体的には、機枠31の天面にガイドレール56を取り付け、そのガイドレール56にスライドブロック53の上面に設けたスライダ57を移動自在に連結することで、スライドブロック53を機枠31に対して吊り下げ支持するとともに、水平状態を保持したままで移動できるようにしている。そして、このスライドブロック53の先端53aに、片持ち支持状でエンドレスチェーン18側(正面側)に突出するように軸部54を連結し、その軸部54の先端に軸受け部55を介して従動側のスプロケット17′を取り付ける。これにより、スプロケット17′は、スライドブロック53ひいては機枠31に片持ち支持されることになる。
【0027】
さらに、シリンダ52を動作させ、シリンダロット51aを往復移動させると、それに追従してスライドブロック53も前後進移動する。よって、従動側のスプロケット17′も前後進移動する。従って、通常の状態から、シリンダ52を動作させ、シリンダロット51aを大きく突出する(伸ばす)方向に移動させると、スライドブロック53ひいてはスプロケット17′は進行方向前方に大きく移動し、図7中二点鎖線で示す位置に移動する。すると、図10に示すように、両スプロケット17,17′の間隔が短くなることから、エンドレスチェーン18は下方にたるむようになる。
【0028】
また、シリンダ51を上記と逆方向に動作させ、シリンダロット51aをシリンダ51の内部に収納する方向(シリンダロッド51a先端が進行方向後方側に移動する方向)に移動させると、スライドブロック53も進行方向後方側に移動し、スプロケット17′を図7中実線で示す基の位置に復帰させることができる。
【0029】
また、使用に伴いエンドレスチェーン18が延びた場合、エンドレスチェーン18に一定のテンションを与えるべく、両スプロケット17,17′の間隔を長くする必要があるが、本実施形態では、シリンダロッド51aを適宜シリンダ51の本体内に収納していくことでスプロケット17,17′間の距離を長くし、テンションをかけることができる。そして、シリンダ51が、内部圧力が一定になるように制御するようにしているので、結果として、エンドレスチェーン18に常に一定のテンションがかかるように自動的に調整される。
【0030】
さらに、エンドレスチェーン18は、一定長さ以上伸びると、破損のおそれもあるので交換などする必要がある。そこで、スライドブロック53の正面所定位置にメモリ53bを設け、そのメモリ53bと機枠31の位置関係等から、エンドレスチェーン18の伸び具合を監視することができるようにしている。さらにまた、シリンダロッド51aの先端位置と、スライドブロック53の先端53a(スプロケット17′)の位置関係も一意に定まっているので、例えば、シリンダロッド51aの先端位置を検出するセンサ(マイクロスイッチや、近接センサ等)を所定位置に設け、シリンダロッド51aの先端をそのセンサが検出した場合に、交換時期に来たこと通知するようにしても良い。
【0031】
一方、図8,図9に示すように、機枠31の正面側上方所定位置には、第1上板46と第2上板47を所定の間隔をおいて平行に配置し、両上板46,47にて搬送面を構成する。これら両上板46,47間には、空間48が形成され、その空間48から押送フィンガー19の先端(上端)が上方に突出し、搬送面上に至り、両上板46,47上に置かれた被包装物13を押送する。機枠31側の第2上板47は、機枠31に固定され、第1上板は、手前側に取り外し可能(図9参照)に、機枠31に連結される。また、第1上板46の下面手前には、前面カバー49が連結されている。第1上板46,前面カバー49は一体になって取り外したり、取り付けたりすることができる。
【0032】
エンドレスチェーン18は、一般的なローラーチェーンを用いて構成され、外リンク44と内リンク45とを交互に連結し、適宜位置に配置した継ぎ手リンクによりローラーチェーンの両端を連結して無端状のエンドレスチェーン18を構成する。よく知られているように、内リンク45は、ローラ45aの両端に内プレート45bが配置され構成をとる。そして、搬送面側(上方)を移動するエンドレスチェーン18の下方直近位置に、チェーンレール50が配置される。このチェーンレール50は、その上面に設けた凸部(レール部)50aの上面が、内リンク45のローラ45aに接触してエンドレスチェーン18の下方へのたるみを抑止し、凸部50aの両サイドが内リンク45の内プレート45b間に入り込み、横方向の移動を抑制するようになっている。これにより、エンドレスチェーン自体が延伸性が無く、ねじり等もないことも相まって、エンドレスチェーン18は垂直平面内で安定して回転運動がされる。係る機構は、従来のものと基本的に同様である。
【0033】
ここで本実施形態では、チェーンレール50を、機枠31に対して回転腕部材61を介して回転移動可能に連結している。つまり、回転腕部材61は、クランク状に形成され、具体的には、機枠31を基準として前方(エンドレスチェーン18側)に突出する下腕部61aと、下腕部61aの基端側(機枠31側)から上方に伸びる垂直壁部61bと、その垂直壁部61bの上端から後方側(下腕部61aと反対側)に伸びる上腕部61cと、を備えた形状から成り、下腕部61aと上腕部61cとは、平行に設定されている。そして、下腕部61aと垂直壁部61bとの境界部分にて、軸受け機構62を介して機枠31に回転可能に連係されている。
【0034】
また、図8に示すように、軸受け機構62から機枠31の上面までの距離と、垂直壁部61bの長さをほぼ等しくしており、下腕部61a並びに上腕部61cが水平姿勢をとる状態では、上腕部61cは、機枠31の上面に接触(近接)する。この状態で、トグルレバー67にて固定される。つまり、トグルレバー67の先端67aに取り付けた固定具69が、上腕部61cの後方側に設けた貫通孔61c′内に挿入されることで、その回転腕部材61の回転が抑止され、その姿勢が、図8に示す状態で固定される。また、図8に示すようにトグルレバー67がロックされた状態では、固定具69が、機枠31の上面に設けたセンサ68の上面(検出部)68aに接触する。この接触したことをセンサ68が検出し、検出信号が出力される。なお、センサ68は、磁気センサその他の近接センサを用い、固定具69の近接を検出するものでも良いし、感圧センサ・リミットスイッチ等を用いて固定具69が接触するのを検出するものでも良い。さらには、固定具69の少なくともした面を金属板等の導電材料で形成し、センサ68の上面68aに露出する電極に接触子で導通させることで、固定具69の接触を検出するなど、各種の方式を採ることができる。そして、このセンサ68から上記の検出信号が出力されない限り、制御プログラムがインターロックされ、駆動モータ等が動作しないようにセーフティ制御されている。
【0035】
一方、下腕部61aの先端には、取り付け金具63を介してチェーンレール50を装着する。図2,図3に示すように、トグルレバー67,回転腕部材61等のチェーンレール50の支持機構は、機枠31に複数箇所に点在するように設けており、1つのチェーンレール50を複数の支持機構で支持するようになっている。そして、図8に示すように、回転腕部材61が、トグルレバー67,固定具69にて固定され、下腕部61aが水平状態となっている場合、チェーンレール50の凸部50aがエンドレスチェーン18(内リンク45の内プレート45b間に入り込み、エンドレスチェーン18を支持するようになっている。
【0036】
この状態から、トグルレバー67の操作部67bを把持して上に持ち上げると、固定具69が上腕部61cの貫通孔61c′から離脱する。すると、回転腕部材61は、その重心が軸受け機構62よりも前方(チェーンレール50側)に位置しているので、自重により軸受け機構62を回転中心として下腕部61aの先端側が下方に移動する方向に回転する。これにより、図9に示すように、チェーンレール50も下降移動し、エンドレスチェーン18から離反する。よって、チェーンレール50は、下側で支持されたチェーンレール50が無くなるので、下方に撓むとともに、横方向の規制もなくなる。
【0037】
よって、この状態で上述したように、シリンダ51を操作してスプロケット17′を進行方向前方に移動させて前後のスプロケット17,17′の間隔を短くする。そして、スプロケット17,17′に掛け渡されているエンドレスチェーン18の部分を、そのスプロケット17,17′の歯部から離反する方向に引っ張るとともに、手前側に移動する(チェーンレール50が離脱しているので、手前側への移動が可能となる)ことで、エンドレスチェーン18を無端状のままスプロケット17,17′から取り外すことができる。もちろん、エンドレスチェーン18を取り外す作業を行なう前には、第1上板46,
【0038】
なお取り外したエンドレスチェーン18をスプロケット17,17′に取り付ける際には、図9に示すように、チェーンレール50を下方に移動させるとともに、スプロケット17′をスプロケット17側に移動させた状態のままエンドレスチェーン18を両スプロケット17,17′に掛け渡す。このとき、エンドレスチェーン18に取り付けた位置決め用ローラ36が、ガイドボス41の凹部41a内に符合するように位置あわせをしつつ取り付ける。この状態で、シリンダ51を動作させ、シリンダロッド51aを後退させて従動側のスプロケット17′を駆動側のスプロケット17から離反させると、従動側のスプロケット17′が適宜回転しながら移動し、エンドレスチェーン18はピンと張った状態となる。
【0039】
そして、チェーンレール50の所定位置に取り付けたハンドル64を把持し、それを上方に持ち上げると、チェーンレール50は上昇移動し、それに追従して回転腕部材61は軸受け機構62を回転中心として上記と逆方向に回転し、下腕部61aが上昇する。これにより、回転腕部材61は、図8に示すように両腕部61a,61cが水平状態の姿勢となるとともに、チェーンレール50がエンドレスチェーン18の下側所定位置には入り込むので、その姿勢のままトグルレバー67の操作部を把持して下方に移動させることで、固定具69にて上腕部61cを固定する。なお、このエンドレスチェーンの取り付け作業は、シリンダ51によるスプロケット17′の移動よりも先に、ハンドル64の操作によりチェーンレール50の上方移動を先に行なっても良い。
【0040】
上記の実施形態では、チェーンレール50を回転腕部材61を用いて回転移動しながら上下方向に移動するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば直線的に昇降移動させてもよい。要は、チェーンレールが上下方向に移動し、上方位置でチェーンレールがエンドレスチェーンに接触可能となって横方向の移動を規制し、下方位置でチェーンレールがエンドレスチェーンから離反してエンドレスチェーンの横方向の移動を許容するようになっていれば、その移動時の軌跡や、移動させるための機構は任意である。但し、本実施形態の構成を採ると、簡単な構成で実現でき、その操作も簡便となるので好ましい。
【0041】
上述した実施形態では、いずれもピロー包装機に適用した場合を示しているが、本発明はこれに限ることはなく、四方シール包装機,深絞り包装機その他の各種の包装機に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の搬送装置(被包装物搬送供給装置)が実装される包装機の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る搬送装置(被包装物搬送供給装置)の一実施形態を示す正面図である。
【図3】本発明に係る搬送装置(被包装物搬送供給装置)の一実施形態を示す平面である。
【図4】駆動側のスプロケット部分を示す断面図である。
【図5】駆動側のスプロケット付近を示す正面図である。
【図6】従動側のスプロケット付近を示す正面図である。
【図7】従動側のスプロケット付近を示す平面図である。
【図8】チェーンレール50を上下移動させる上下移動機構を示す断面図(上方(上昇)位置)である。
【図9】チェーンレール50を上下移動させる上下移動機構を示す断面図(下方(下降)位置)である。
【図10】作用を説明する図である。
【符号の説明】
【0043】
10 ピロー包装機
11 包装機本体
12 フィルム供給装置
13 被包装物
14 被包装物搬送供給装置
17 スプロケット(駆動側)
17a 歯部
17′ スプロケット(従動側)
18 エンドレスチェーン
19 押送フィンガー
21 筒状フィルム
24 センターシール装置
30 エンドシール装置
31 機枠
36 位置決め用ローラ
41 ガイドボス
41a 凹部
50 チェーンレール
51 シリンダ
51a シリンダロッド
61 回転腕部材
67 トグルレバー
69 固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機枠に対して片持ち支持された前後一対のスプロケットと、
その一対のスプロケットに掛け渡されたエンドレスチェーンと、
そのエンドレスチェーンの下側に配置されるチェーンレールと、
そのチェーンレールを上下方向に移動させる上下移動機構と、
前記エンドレスチェーンに取り付けられた複数の押送フィンガーと、
前記一対のスプロケットの少なくとも一方を搬送方向に沿って移動可能とし、両スプロケットの間隔を変更可能とする移動手段と、
を備え、
前記上下移動機能により上方位置に位置する前記チェーンレールは、前記エンドレスチェーンに接触可能となってそのエンドレスチェーンの横方向の移動を規制し、下方位置に位置する前記チェーンレールは、前記エンドレスチェーンから離反して前記横方向の移動を許容するように構成され、
前記移動手段による前記スプロケットの移動距離は、そのスプロケットの歯部が前記エンドレスチェーンから離脱できる距離としたことを特徴とする物品の搬送装置。
【請求項2】
前記上下移動機構は、前記チェーンレールを支持し、前記搬送方向と直交する面内で正逆回転する回転腕部材と、少なくとも、前記チェーンレールが上方位置に位置するときに、前記回転腕部材の姿勢を固定する固定手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の物品の搬送装置。
【請求項3】
前記移動手段は、シリンダーから構成され、そのシリンダーの圧力を一定に制御することで、前記エンドレスチェーンのテンションの調整制御も行なえるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の物品の搬送装置。
【請求項4】
前記エンドレスチェーンに対して一定間隔で位置決め用のローラを設け、
前記一対のスプロケットの少なくとも一方に、前記位置決め用のローラと符合するカムを設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の物品の搬送装置。
【請求項5】
前記移動手段により移動するスプロケットとともに移動する部材の位置を検出する位置検出手段を設け、
その位置検出手段の出力に基づき、前記エンドレスチェーンが一定長さ以上伸びたことを検出するように構成したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の物品の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−203056(P2009−203056A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−49521(P2008−49521)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】