説明

物品の物流システム及び物品の物流方法

【課題】業者間において物品の取引決定などをスムーズに行うことができるようにする。
【解決手段】物品4を第1業者Aから第2業者Bに納入することによって第1業者Aと第2業者Bと業者間で物品4の取引を行う物品の物流システムであって、物品4に無線通信機が取り付けられ、無線通信機と無線通信を行う無線用送受信機が設けられており、無線通信機と無線用送受信機との無線通信が不能となった物品4に対し、業者間での取引成立の決定を行う取引決定手段12を有する受注元管理サーバ10を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業者間で物品の取引を行う物流システム及び物品の物流方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な物品を第1業者から第2業者に納入して第1業者と第2業者との業者間(企業間)で物品の取引を行う物流システムとして、例えば、特許文献1に示すものがある。
特許文献1は、発注側企業が受注側企業に対して物品の発注を行い、受注側企業は発注側企業に対して物品を発送し、物品が発注側企業に到着したとき、受注側企業と発注側企業との取引が成立するシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−171020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すように、受注側企業が物品を発注側企業に納入すると企業間(業者間)で物品の決済(代金の決済)などが行われるのが一般的であるが、従来の技術では、企業間での物品の決済は複雑化してきている。
企業間では、物品の取引成立を簡素化したいという要望が高まってきているものの、十分に満足できるシステムが存在していないのが実情である。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、業者間において物品の取引決定などをスムーズに行うことができる物品の物流システム及び物品の物流方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、物品を第1業者から第2業者に納入することによって前記第1業者と前記第2業者との業者間で物品の取引を行う物品の物流システムであって、前記物品に無線通信機が取り付けられ、前記無線通信機と無線通信を行う無線用送受信機が設けられており、前記無線通信機と前記無線用送受信機との無線通信が不能となった物品に対し、前記業者間での取引成立の決定を行う取引決定手段を有する管理サーバを備えている点にある。
【0007】
前記物品は保管場所に一時的に保管され、前記無線用送受信機は前記保管場所の周囲又は保管場所に設けられており、前記取引決定手段は、保管場所に一時的に保管されている物品が前記保管場所から離れることによって当該物品に取り付けられた無線通信機と前記無線用送受信機との無線通信が不能になったとき、保管場所から離れた当該物品に対して取引成立を決定することが好ましい。
【0008】
前記無線通信機には物品の固有情報が保存されていると共に、当該固有情報をネットワークを介して前記管理サーバに送信するように構成され、管理サーバにも物品の固有情報が保存されており、前記取引決定手段は、前記管理サーバに保存された固有情報と前記無線通信機から送信された物品の固有情報とを比較することによって無線通信が不能となった無線通信機が取り付けられた物品を抽出し、抽出した物品を取引の対象であるとして前記取引成立を決定することが好ましい。
【0009】
前記取引決定手段によって取引成立が決定された物品の代金を、前記第1業者から前記第2業者に請求する代金請求手段を備えることが好ましい。
前記代金請求手段が前記第2業者に代金の請求を行うと、前記第2業者に代金の決済を実行させる決済手段を備えることが好ましい。
本発明の他の手段は、第1業者が有する物品を第2業者に納入し、この第2業者に納入した物品に対して第1業者と前記第2業者と業者間で取引を行う物品の物流方法であって、前記第2業者に納入する物品に無線通信を行うことができる無線通信機を取り付け、前記無線通信機と無線通信を行う無線用送受信機を第1業者に設けておき、前記物品に取り付けた無線通信機と前記無線用送受信機との間の無線通信が不能となったときに、当該物品に対する取引を前記業者間で決定する点にある。
【0010】
前記第2業者に納入する物品を保管場所に一時的に保管しておくと共に、この保管場所にある物品に取り付けた無線通信機と無線通信が行えるように前記無線用送受信機を当該保管場所又は保管場所の周囲に設けておき、前記保管場所にある物品を当該保管場所から移動させて第2業者に納入する際に、物品に取り付けた無線通信機と無線用送受信機との無線通信が不能になると当該物品に対する取引を前記業者間で決定することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1及び請求項6によれば、保管場所から物品が無くなったことを無線通信機と無線用送受信機との無線通信によって検知するだけで、物品に対する業者間での取引決定を行うことができ、物品の取引決定を非常に簡単に行うことができる。
請求項2及び請求項7によれば、保管場所に一時的に保管されている物品を運び出して保管場所から離れてしまうと、物品は発注元である第2業者に発送されているとみなすことができ、物品の発送をもって物品の取引決定を簡単に行うことができる。
【0012】
請求項3によれば、物品に設定された固有情報を基に簡単に保管場所にある物品と保管場所から無くなった物品とを簡単に抽出することができる。
請求項4によれば、物品に対する代金の請求を簡単に行うことができる。
請求項5によれば、物品に対する決済を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】物品の物流システムの全体構成図である。
【図2】家電製品を保管する状態を示したものである。
【図3】(a)管理サーバに家電製品に関する情報が保存されている例を示したもので、(b)物品用固有情報が管理サーバに入力された例を示したもので、(c)管理用固有情報と物品用固有情報とを比較した結果を示したものである。
【図4】物品の物流システムにおいて家電製品の発注から家電製品の代金決済までをまとめたものである。
【図5】物品の物流システムにおいて家電製品の発注から家電製品の代金決済までの変形例をまとめたものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、物品の物流システムの全体構成図を示したものである。
本発明の物品の物流システム1は、一の業者(第1業者という)Aから他の業者(第2業者という)Bに物品4を納入し、納入した物品4に対して第1業者Aと第2業者Bとの間で取引を行うものである。なお、本発明の物品4の物流システム1は、単に第1業者Aから第2業者Bに物品4を運送(移動)するというものだけに留まらず、物品4の取引の成立までを含むものである。
【0015】
第1業者Aは、例えば、家電製品(物品4)などを製造する製造メーカであり、第2業者Bは、例えば、製造メーカから家電製品を仕入れて販売する家電量販店である。
製造メーカAでは、まず、家電量販店Bからの家電製品4の発注を受けると、その発注に応じて家電製品4を製造する。製造した家電製品4は、製造メーカAに設置された物流センター(倉庫)5に一時的に保管されることになる。
【0016】
図2は、家電製品4を保管する状態を示したものである。
図2(a)に示すように、倉庫5内では、様々な種類の家電製品4が保管されており、家電製品4の納入先、家電製品4の種類等に応じて当該家電製品4の保管場所6が分けられている(区分されている)。
図2(b)は、家電量販店Bに納入する家電製品4を一時的に保管する保管場所6の拡大図を示している。保管場所6に保管された各家電製品4には無線通信機7が取り付けられている。無線通信機7は、例えば、自ら電波を発信するアクティブ型の無線機である。この無線通信機7には、家電製品4に関する情報(物品関連情報)が保存されている。即ち、無線通信機7には、家電製品4を特定するための固有情報(IDや製造番号など)、家電製品4の型番、納入先等の物品関連情報が保存されている。
【0017】
無線通信機7は、自ら保持している物品関連情報を無線通信によって無線用送受信機8に定期的に送信するように構成されている。この実施形態では、物品関連情報のうち、少なくとも固有情報を無線通信機7に送信するようになっている。
無線用送受信機8は、保管場所6内又は保管場所の周囲に設置されている。無線用送受信機8は、保管場所6内に家電製品4があるとき、当該家電製品4に取り付けた無線通信機7と無線通信が行えるようになっている。また、無線通信機7と無線用送受信機8との無線通信範囲は、ほぼ保管場所6の大きさと同じに設定されており、家電製品4が保管場所6から外へと出た場合は、家電製品4に取り付けた無線通信機7と無線用送受信機8とは無線通信が不能、即ち、無線通信が途絶えるようになっている。
【0018】
本発明の物品の物流システム1及び物品の物流方法では、無線通信機7と無線用送受信機8とが途絶えることを用いることによって家電製品の取引成立を行うことを特徴としている。
例えば、家電製品4が保管場所6にあって無線通信機7と無線用送受信機8との無線通信(データのやりとり)が行える状態では、製造メーカAと家電量販店Bとの間(業者間ということがある)での家電製品4の取引は成立していないとする。一方、家電製品4が保管場所6から外に出て無線通信機7と無線用送受信機8との無線通信が途絶えると、家電製品4の取引が成立(取引成立)したとしている。
【0019】
以下、物品の物流システム1について詳しく説明する。物品の物流システム1の説明に合わせて物品の物流方法についても説明する。
物品の物流システム1は、無線通信機7と無線用送受信機8との他に物品4(家電製品)を管理する管理サーバ10(受注元管理サーバ)を備えている。
図3(a)に示すように、受注元管理サーバ10には、家電製品4(物品4)をどこからどこに納入するかといったことが分かるように家電製品4の取引に必要な情報(取引関連情報)が保存されている。例えば、受注元管理サーバ10には、家電製品4の固有情報、家電製品4の納入先、家電製品4の納入時期、家電製品4の価格、取引成立の有無等が保存されている。なお、説明の便宜上、受注元管理サーバ10に保存された家電製品4の固有情報は管理用固有情報とし、無線通信機7に保存された固有情報は物品用固有情報とする。
【0020】
保管場所6に設置された無線用送受信機8と、受注元管理サーバ10とはネットワーク11を介してアクセス可能となっている。無線用送受信機8は、無線通信機7から送信された固有情報(物品用固有情報)を受信すると、ネットワーク11を介して受注元管理サーバ10に送信するようになっている。
一方、受注元管理サーバ10は、物品用固有情報を受信すると当該受注元管理サーバ10に保存されている管理用固有情報との突き合わせを行って、受信した物品用固有情報と同じである管理用固有情報があると、当該物品用固有情報を有する家電製品4は保管場所6にあると判断する。そして、受注元管理サーバ10は、保管場所6に家電製品4があると判断すると、製造メーカAと家電量販店Bとの取引は成立していないとする。
【0021】
また、受注元管理サーバ10内に保存された管理用固有情報と同じ物品用固有情報を受信しなかった場合、受注元管理サーバ10は、当該物品用固有情報を有する家電製品4は保管場所6から出て保管場所6に無いと判断する。そして、受注元管理サーバ10は、保管場所6に家電製品4が無いと判断すると、製造メーカAと家電量販店Bとの取引は成立したとする。
【0022】
つまり、受注元管理サーバ10は、無線通信機7と無線用送受信機8との無線通信が不能となって、物品用固有情報が受信できなくなると、当該物品用固有情報を有する家電製品4に対し、業者間での取引成立の決定を行う取引決定手段12を有している。
次に、受注元管理サーバ10(取引決定手段12)、無線通信機7、無線用送受信機8の詳しい動作について図3を用いて説明する。
【0023】
図3(a)に示すように、受注元管理サーバ10に保管場所6にある家電製品4の管理用固有情報を含む取引関連情報が保存されていたとする。保管場所6にある全ての家電製品4に取り付けた無線通信機7と無線用送受信機8との無線通信を行い、図3(b)に示す物品用固有情報が無線用送受信機8を介して受注元管理サーバ10に入力されたとする。
【0024】
ここで、取引決定手段12は、図3(a)に示す受注元管理サーバ10に保存された管理用固有情報と無線通信機7から送信された図3(b)に示す物品用固有情報とを比較する。
そして、取引決定手段12は、管理用固有情報と物品用固有情報とを比較して、同じ保管場所6にも関わらず、受信することができなかった物品用固有情報を抽出する。取引決定手段12は、例えば、図3(a)に示す管理用固有情報と、図3(b)に示す物品用固有情報とを比較したときは、図3(c)に示すように、3つの物品用固有情報(「10008」,「10009」,「10010」)が受注元管理サーバ10にて受信できなかったものであると抽出して、このように抽出された3つの物品用固有情報を有する家電製品4が取引の対象であると特定する。
【0025】
つまり、取引決定手段12は、管理用固有情報と物品用固有情報とを比較して無線通信が不能となった無線通信機7が取り付けられた家電製品4を抽出することにより、抽出された物品4が取引の対象であると特定して取引成立を決定する。
言い換えれば、取引決定手段12は、製造後に保管場所6に一時的に保管した家電製品4が所定時間後に運び出されて保管場所6から離れることにより、当該家電製品4に取り付けられた無線通信機7と前記無線用送受信機8との無線通信が不能になると、保管場所6から離れた当該家電製品4(運び出された家電製品)に対して取引成立を決定している。
【0026】
取引決定手段12によって取引成立が決定すると、管理サーバ10に保存された取引関連情報のうち、取引成立となった家電製品に対応する取引成立の有無が書き換えられる(取引未成立「×」から取引成立「○」)。これによって、どの家電製品が取引成立の有無が分かるようになっている。
さて、受注元管理サーバ10は、代金請求手段13と、決済手段14とを備えている。
【0027】
代金請求手段13は、取引決定手段12によって家電製品4の取引成立を決定すると取引成立を決定した家電製品4の代金を家電量販店Bに請求する。
この代金請求手段13は、例えば、取引成立となった家電製品4の価格等を当該受注元管理サーバ10から読み出し、家電製品4の価格等を含む請求書データ(請求書)を、家電量販店B側に設置された発注元管理サーバ15に送信する。この発注元管理サーバ15は、請求書データを受信すると当該請求書データを保存する。発注元管理サーバ15にはネットワーク11等を介して家電量販店Bの別の発注元端末(コンピュータ等)16が接続可能となっていて、発注元端末16が請求書データを受信できるようになっている。発注元端末16が請求書データを受信すると表示装置に請求書データに基づいて請求書の内容が表示されるようになっていて、請求書の内容を確認することができる。
【0028】
発注元端末16は、管理用サーバに対して請求書データに基づく請求書の回答(請求書の受け取りや請求の了解)を行えるようになっている。発注元管理サーバ15は、発注元端末16から請求書の回答があると受注元管理サーバ10に当該請求書に対する回答を送信する。
決済手段14は、代金請求手段13によって家電量販店Bに家電製品4の代金の請求を行い、家電量販店Bから請求書に対する回答(請求の了解)があると、家電製品4の代金の決済を実行するものである。
【0029】
受注元管理サーバ10(決済手段14)は、家電量販店Bの発注元管理サーバ15に決済を通知すると共に、発注元管理サーバ15に対して決済を行うように指示する。発注元管理サーバ15(家電量販店B)は、受注元管理サーバ10から決済の指示があると、家電量販店Bから製造メーカAに対して自動的に製造メーカAの銀行口座への振り込み、家電量販店Bの銀行口座から製造メーカAの銀行口座への振り替え、家電量販店Bが代金の支払手形(手形債務)を発行するなどのことを行う。なお、決済する方法は、これに限らず、どのような方法であってもよい。例えば、受注元管理サーバ10(決済手段14)によって、直接、家電量販店Bが有する銀行口座等の決済を行ってもよい。
【0030】
図4は、物品の物流システム1において家電製品4の発注から家電製品4の代金決済までをまとめたものである。
図4に示すように、家電量販店Bから家電製品4の発注を行う(S1)と、製造メーカAは家電製品4を製造して、家電製品4を一時的に保管場所6に保管する(S2)。家電量販店Bに納入する家電製品4の取引関連情報(家電製品4の固有情報、家電製品4の納入先、家電製品4の納入時期、家電製品4の価格)が受注元管理サーバ10に入力されて保存される(S3)。
【0031】
家電製品4が保管場所6に置かれると、定期的(例えば、数分単位、数時間単位、数日単位)に家電製品4に取り付けた無線通信機7と無線用送受信機8との無線通信を繰り返し行う(S4)。無線通信機7と無線用送受信機8との無線通信が繰り返し行われる毎に無線用送受機機8は、少なくとも家電製品4の物品用固有情報を受注元管理サーバ10に送信する(S5)。受注元管理サーバ10(取引決定手段12)は、無線用送受信機8(無線通信機7)から送信された物品用固有情報に基づいて、家電製品4の取引決定を行う(S6)。
【0032】
つまり、受注元管理サーバ10は、保管場所6にある家電製品4が当該保管場所6から外に持ち出されることで、保管場所6から家電製品4が無くなると、保管場所6から無くなった家電製品4を家電量販店Bに納入したとみなし、当該家電製品4に対して業者間の取引を決定する。
次に、家電製品4の取引決定がなされると、受注元管理サーバ10(代金請求手段13)は、家電製品4に対する請求書データを家電量販店B(発注元管理サーバ15)に送る(S7)。家電量販店Bから請求の了解が得られると(S8)、受注元管理サーバ10(決済手段14)は、代金の決済を実行する(S9)。
【0033】
以上、物品の物流システム1は、物品4(家電製品4)に無線通信機7が取り付けられ、無線通信機7と無線通信を行う無線用送受信機8が設けられており、無線通信機7と前記無線用送受信機8との無線通信が不能となった物品4に対し、業者間での取引成立の決定を行う取引決定手段12を有する受注元管理サーバ10を備えている。
これによれば、保管場所6から物品4が無くなったことを無線通信機7と無線用送受信機8との無線通信によって検知するだけで、物品4に対する業者間での取引決定を行うことができ、物品4の取引決定を非常に簡単に行うことができる。
【0034】
即ち、保管場所6に一時的に保管されている物品4が保管場所6から離れると、物品4は発注元である第2業者Bに発送されたことが自動的に分かるため、第2業者Bに発送されたことをもって物品4の取引を自動的に決定している。
図5は、物品の物流システム1において家電製品4の発注から家電製品4の代金決済までをまとめた変形例である。なお、図4と異なる部分のみ説明する。他の部分は図4に示した内容と同じである。
【0035】
図5に示すように、上述した説明では、家電製品4が発注された際に、家電製品4の取引に必要な情報を入力するとしているが、この変形例では、家電製品4が保管場所6に置かれたときに、家電製品4の取引関連情報の一部を取得することとしている。
具体的には、製造された家電製品4が移動して保管場所6に置かれると、無線通信機7と無線用送受信機8との無線通信が行われ(S10)、まず、無線通信機7から少なくとも物品用固有情報を無線用送受信機8が取得する。無線用送受信機8は、保管場所6を特定できる保管場所用固有情報と、取得した物品用固有情報を受注元管理サーバ10に送信する(S11)。
【0036】
受注元管理サーバ10は、保管場所用固有情報を基に家電製品4の納入先を割り出す(S12)と共に、無線用送受信機8から送信された物品用固有情報を管理用固有情報として保存する(S13)。受注元管理サーバ10が管理用固有情報を保存した後は、定期的に家電製品4に取り付けた無線通信機7と無線用送受信機8との無線通信を繰り返し行い(S4)、上述したようにS5〜S9と同様な処理を行う。
【0037】
図5の変形例では、物品用固有情報や保管場所6を無線通信により取得していたため、取引関連情報を受注元管理サーバ10に入力する一部の作業を省略することができる。また、固有情報のみならず他の情報も送るようにすれば、保管場所6に置くだけで家電量販店Bに納入する家電製品4の情報を受注元管理サーバ10に知らせることができ、この点からも家電製品4の管理が行い易い。
【0038】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
上述した実施形態では、第1業者Aを家電を製造する製造メーカA、第2業者Bを家電量販店Bとしているが、これに限定されないのは当然のことである。第1業者Aは、例えば、衣服を製造する衣服製造メーカA、食品を製造する食品製造メーカA、機械、半導体、電気電子部品、医薬品などを製造する様々な製造メーカAであってもよいし、製造メーカAでなくても卸売などの中間業者でも出版社及びその取り次ぎを行う店舗などでもよい。第2業者Bは、第1業者Aから物品4を発注して取り寄せるものであれば、どのような業者でもよい。また、物品4も家電製品4に限定されず、取引対象となるものであれば、衣服、食品、機械、半導体、電気電子部品、医薬品、本など何でもよい。
【0039】
受注元管理サーバ10は、製造メーカA(第1業者)に設置するのが好ましいが、設置場所は限定されない。また、発注元管理サーバ15は、発注を行う家電量販店(第2業者)に設置するのが好ましいが、設置場所は限定されない。
上記の実施形態では、無線通信機7は、自ら電波を発信するアクティブ型の無線機であったが、自ら電波を発信せず無線用送受信機8からの電波によって情報を送信するパッシブ型の無線機であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 物流システム
4 物品(家電製品)
5 倉庫
6 保管場所
7 無線通信機
8 無線用送受信機
10 管理サーバ(受注元管理サーバ)
11 ネットワーク
12 取引決定手段
13 代金請求手段
14 決済手段
15 発注元管理サーバ
16 発注元端末
A 第1業者(製造メーカ)
B 第2業者(家電量販店)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を第1業者から第2業者に納入することによって前記第1業者と前記第2業者との業者間で物品の取引を行う物品の物流システムであって、
前記物品に無線通信機が取り付けられ、前記無線通信機と無線通信を行う無線用送受信機が設けられており、
前記無線通信機と前記無線用送受信機との無線通信が不能となった物品に対し、前記業者間での取引成立の決定を行う取引決定手段を有する管理サーバを備える物品の物流システム。
【請求項2】
前記物品は保管場所に一時的に保管され、前記無線用送受信機は前記保管場所の周囲又は保管場所に設けられており、
前記取引決定手段は、保管場所に一時的に保管されている物品が前記保管場所から離れることによって当該物品に取り付けられた無線通信機と前記無線用送受信機との無線通信が不能になったとき、保管場所から離れた当該物品に対して取引成立を決定することを特徴とする請求項1に記載の物品の物流システム。
【請求項3】
前記無線通信機には物品の固有情報が保存されていると共に、当該固有情報をネットワークを介して前記管理サーバに送信するように構成され、管理サーバにも物品の固有情報が保存されており、
前記取引決定手段は、前記管理サーバに保存された固有情報と前記無線通信機から送信された物品の固有情報とを比較することによって無線通信が不能となった無線通信機が取り付けられた物品を抽出し、抽出した物品を取引の対象であるとして前記取引成立を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の物品の物流システム。
【請求項4】
前記取引決定手段によって取引成立が決定された物品の代金を、前記第1業者から前記第2業者に請求する代金請求手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品の物流システム。
【請求項5】
前記代金請求手段が前記第2業者に代金の請求を行うと、前記第2業者に代金の決済を実行させる決済手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の物品の物流システム。
【請求項6】
第1業者が有する物品を第2業者に納入し、この第2業者に納入した物品に対して第1業者と前記第2業者との業者間で取引を行う物品の物流方法であって、
前記第2業者に納入する物品に無線通信を行うことができる無線通信機を取り付け、前記無線通信機と無線通信を行う無線用送受信機を第1業者に設けておき、前記物品に取り付けた無線通信機と前記無線用送受信機との間の無線通信が不能となったときに、当該物品に対する取引を前記業者間で決定する物品の物流方法。
【請求項7】
前記第2業者に納入する物品を保管場所に一時的に保管しておくと共に、この保管場所にある物品に取り付けた無線通信機と無線通信が行えるように前記無線用送受信機を当該保管場所又は保管場所の周囲に設けておき、前記保管場所にある物品を当該保管場所から移動させて第2業者に納入する際に、物品に取り付けた無線通信機と無線用送受信機との無線通信が不能になると当該物品に対する取引を前記業者間で決定する請求項6に記載の物品の物流方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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