説明

物品の集積包装方法及び装置

【課題】 被梱包物たる物品の多段積載ができ自動包装に好適な物品の集積包装装置及び方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 開口縁を拡げた空の袋体Bを開口状態で該開口縁が外側に垂れるようにして該袋体を下面側で支持する少なくとも対向せる水平上縁が設けられた袋支持部13Bと、それぞれの水平上縁から下方に延びる側案内部13Cと、両方の側案内部間に位置し袋体へ収容された被梱包物たる物品Pの重量を袋体の下面で支持する底支持部材14とを有する集積包装装置において、底支持部材14は高さ方向で上記水平上縁の位置もしくはその近傍の最上位置から下方へ降下可能となっており、該底支持部材14は、物品Pが逐次重ねて袋体B内に収められる都度、該物品の高さ毎降下し、所定数の物品の収容後に、最上位置へ復帰するように、駆動装置17が接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋体へ被梱包物たる物品を収容、特に被梱包物を多段に集積収容し、これを包装する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の被梱包物たる物品を、段ボール等の箱へ箱詰めするのに先立ち、袋体で梱包する装置が特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1の装置は、段ボールと同様の大きさの通い箱を有し、底面に吸引孔が形成されている。空の袋体を通い箱の上開口縁から外側に張り出すようにしてこの通い箱に配した後、上記吸引孔にて袋体を吸引すると、該袋体は通い箱の内面に密着し、開口状態が保持される。この状態で、複数の物品を袋体内へ収容すると、物品は上記通い箱で支持される。
【0004】
したがって、この特許文献1の装置によると、通い箱の内面に吸引密着された袋体へ物品が容易に収めることができると共に、複数の物品を崩すことなく袋を封止して、これを段ボール等へ移すことができる。
【特許文献1】特開平8−301230
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の装置にあっては、包装の自動化には不向きである。その理由は、複数の被梱包物たる物品を通い箱内の袋体へ順次集積収容するとき、物品を作業者の手により袋体の底部に配することとなるからである。仮りに、搬送装置で物品を袋体の開口、すなわち通い箱の開口位置へもたらしても、物品を通い箱の開口位置から落下させなければならない。落下により、物品の落下位置そして姿勢は不定となり、きちんと包装できないばかりか、物品自体が損傷することもある。これは、段ボール等と同様な大きさの通い箱の高さが大きい程、顕著である。
【0006】
又、物品自体が上方から手で把持できないものもあり、又、物品が部分重ねして一列に配列したものを一組として収容するときには、その配列を崩さずに把持することができない。かかる場合には、物品の箱体内の袋体へ収容することができなくなってしまう。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、物品の自動集積包装に適用可能な装置及び方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る集積包装装置は、開口縁を拡げた空の袋体を開口状態で該開口縁が外側に垂れるようにして該袋体を下面側で支持する少なくとも対向せる水平上縁が設けられた袋支持部と、それぞれの水平上縁から下方に延びる側案内部と、両方の側案内部間に位置し袋体へ収容された被梱包物たる物品の重量を袋体の下面で支持する底支持部材とを有している。
【0009】
かかる集積包装装置において、本発明では、底支持部材は高さ方向で上記水平上縁の位置もしくはその近傍の最上位置から下方へ降下可能となっており、該底支持部材は、物品が逐次重ねて袋体内に収められる都度、物品の高さ毎降下し、所定数の物品の収容後に、最上位置へ復帰するように、駆動装置が接続されていることを特徴としている。
【0010】
このような本発明装置によると、物品の集積包装は次の要領で行われる。
【0011】
(1)開口縁を拡げた空の袋体を、袋支持部の対向水平上縁により、上記開口縁が外側に垂れ下がるようにして袋体の下面で支持せしめる。
【0012】
(2)袋支持部の対向水平上縁から下方に延びる側案内部間に位置する底支持部材を上記水平上縁位置の高さにもたらし、袋体の上に第一段目をなす被梱包物たる物品を配し、袋体へ収容されたこれらの物品の重量を袋体の下面を上記底支持部材で支持する。
【0013】
(3)底支持部材を上記物品の第一段目の高さに相当する分だけ降下させる。
【0014】
(4)第二段目をなす物品を第一段目の上に重ねて配し、再び物品の高さの分だけ底支持部材を降下させる。
【0015】
(5)上記(3),(4)の要領で第三段目以降についても、物品を逐次重ねて袋体内に収め、物品の収容の都度、該物品の高さの分だけ上記底支持部材を降下させる。
【0016】
(6)所定段数の物品の収容後に、底支持部材を最上位置へ上昇せしめ、しかる後に物品を複数収容せる袋体を底支持部材から取り出して、必要であれば袋体を封止して包装する。
【0017】
このように、本発明では、物品の収容毎に、すなわち各段の配置毎に底支持部材が物品の高さ(一つの段の高さ)分だけ降下せるので、高さ方向で一定位置で物品が収容される。したがって、物品を落下投入させることなく安定して定位置に配せるため、袋体内への物品の供給の自動化が可能となる。
【0018】
本発明において、袋支持部と側案内部とは上方に開口せる箱体の一部として一体に設けることができる。その場合、袋支持部は箱体の開口周縁の対向上縁として、側案内部は周方向で該対向上縁に対応して位置する側壁として、それぞれ形成される。
【0019】
本発明において、集積包装装置は、横方向で袋支持部の対向上縁の内側位置に押込片を備え、該押込片は、高さ方向にて、該押込片の下端が上記対向上縁よりも上方位置から底支持部材の位置まで昇降自在となっていることが好ましい。押込片で袋体を押込むことにより袋体を物品の外面に沿って成形できる。その場合、押込片は物品が袋体へ収容される毎に降下するように駆動を受けることがさらに好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、このように、袋体の底を支える底支持部材が、袋体への物品の収容の毎に、該物品の高さ分だけ降下するようにしたので、物品の収容が袋体への落下を伴うことなく一定位置で行えるので、物品の集積包装が物品の姿勢を崩したり損傷をもたらすことなく、自動化が適用できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面にもとづき本発明の実施形態を説明する。本実施形態の集積包装装置10には、被梱包物たる物品を該集積包装装置10まで搬送するコンベア装置30が接続されている。
【0022】
集積包装装置10は、不動の基台11に垂立して設けられた支柱12により支持される略直方体の箱体13と、該箱体13内で該箱体の底壁13Aと平行に配された板状の底支持部材14とを有している。
【0023】
一体に形成されている上記箱体13は、開口周囲上縁が袋体を支持する袋支持部13Bとして、又、上記開口周囲上縁から下方に延びる周壁が袋体の側面を案内する側案内部13Cとして機能する。すなわち、袋体Bが空の状態で袋支持部13Bで支持されて該袋体Bの開口縁が箱体13の外側に垂れ下がり、袋体Bの底が箱体13内にあって上記底支持部材14上に配され、この袋体の底へ順に積載され収容される物品の重量が上記底支持部材14で支持される。そして、この底支持部材14は最上位置(図1にて二点鎖線で示される位置)から物品の一回の積載高さ分だけ積載時毎に段階的に降下する。側案内部13Cは、積載された物品が崩れないように支持しつつ降下時の案内を行う。上記袋支持部13Bと側案内部13Cは、上記の機能を充足すれば、袋支持部材そして側案内部材として、それぞれ別部材に形成され、例えば、前者が周囲方向に延びる横棒状部材そして後者が該横棒状部材と底壁とを結合する縦棒状部材として設けられ、全体に単純な骨組体に形成されることもできる。
【0024】
上記底支持部材14は、上記箱体3の底壁13Aの下面から垂下して設けられた二つのスリーブ15により上下自在に案内される軸体16が該底支持部材14の下面に取付けられている。かくして、底支持部材14は上下方向に移動可能に支持されている。
【0025】
上記軸体16の下端面16Aには、基台11を貫通して上下動する軸状の駆動部材17の上端面17Aが当接している。この駆動部材17は、底支持部材14及び軸体16の重量と底支持部材14が受ける袋体及び物品の重量とを支え、上述のごとく最上位置から物品の高さ寸法毎に段階的に降下し、最下位置まで降下すると上記最上位置まで戻るように、図示しない駆動源及び機構により駆動される。
【0026】
上記箱体13の上方位置には、押込装置20が昇降自在に設けられている。該押込装置20は、下方に向け開口せる箱状体が上記コンベア装置20に向く側壁だけが除去されて形成される枠体21から成り、該枠体21内には該枠体21の上壁21Aと平行な押圧板22が配されている。上記枠体21は、上記箱体13の側壁内面との間に間隙を形成しながら該箱体13内に進入する大きさとなっている。
【0027】
上記枠体21は、上方に延びるロッド23が取りつけられており、所定時に図示しないシリンダ装置等により下方に降下する。この降下は上記底支持部材14の降下時もしくはその直後に行われ、該枠体21の下縁が上記底支持部材14の降下位置レベルまで達する。
【0028】
上記枠体21はその各側壁が下縁で袋体Bを下方へ押し込む機能を有しており、枠体でなくとも各側壁が周方向で区分された押込片として形成されていてもよい。この場合、押込片は少なくとも対向して二つの位置に設けられることが好ましい。
【0029】
上記押圧板22は、上記枠体21の上壁21Aを貫通して上下するロッド24が取付けられていて、ロッド24の作動時に上下動する。
【0030】
ベルトコンベア30は、位置が不動のローラ31,32,33と、図示しないレールにより案内されて水平方向に移動可能なローラ34、35とを有し、これらのローラ31〜35に対しベルト36が張設されA方向に走行している。移動可能な前進用ローラ34は、図1に見られるように、箱体13開口上縁の僅か上方位置で、一つの周壁(側案内部)の外方の二点鎖線で示される後退位置から該一つの周壁を越えて対向周壁の近傍の前進位置(実線で図示の位置)まで前進する。これに対し、後退用ローラ35は、上記前進用ローラ34の後退位置よりも後方の前進位置(実線で図示の位置)から二点鎖線で示される後退位置まで後退する。上記前進用ローラ34が前進すると後退用ローラ35もベルト36に引かれて前進し、後退用ローラ35が後退すると前進用ローラ34もベルト36に引かれて後退する。かくして、一定張力のもとでA方向に走行するベルト36はその上面の範囲(搬送範囲)が箱体13内に及ぶ状態と箱体13外となる状態とを交互に繰り返す。後退用ローラ35の後退速度は、早戻り機構により、前進ローラ34の前進速度よりも大きく設定されている。
【0031】
上記前進ローラ34が前進位置に達したときから後退位置に帰るまでの間、上記押圧板22は降下位置にあるように設定されている。
【0032】
次に、このような構成の本実施形態装置による物品の集積包装の要領を図3,4をも参照しつつ説明する。
【0033】
(1)先ず、後退用ローラ35が後退して前進ローラ34が箱体13外の位置に、枠体21及び押圧板22が上昇位置に、そして底支持部材14が上昇位置にある状態(図3(A)参照)で、空の袋体Bの内面が上面となるようにして上記底支持部材14上にそして袋体Bの開口縁が箱体13外で垂立するようにして該袋体Bを設定する。
【0034】
(2)次に、被梱包物たる物品Pをベルト36上の後部位置から前方へ搬送しながら、前進ローラ34を前進位置へ移動させる。物品Pはベルト36の前進方向で箱体13の範囲内にもたらされる。この時点でベルト36自体の駆動は停止され搬送状態ではなくなる。このとき押圧板22が降下し、図3(B)における二点鎖線の位置で該物品Pを上方から押えつける。
【0035】
(3)この状態で、後退ローラ35の後退により前進ローラ34をも後退させる(図3(C),(D)参照)。この前進ローラ34の後退時には、ベルト36の上面は、前端側から物品Pと次第に接触しなくなりその接触面積が減少して行く(図3(C)参照)が、その際、物品Pとの相対移動がなく摩擦は生じない。したがって物品Pの姿勢を崩すことも、表面を傷めることもなく、物品Pは上記底支持部材14上の袋体B内へ静かに載置される。その後、押圧板22は、図3(D)の二点鎖線の位置まで上昇する。
【0036】
(4)次に、底支持部材14を軸体16を介して支持している駆動部材17が上記物品Pの高さ分だけ降下する。したがって、これに伴い底支持部材14もそれだけ降下し、その結果、底支持部材14上の物品Pの上面位置は箱体13の開口上縁位置となる(図3(E)参照)。この時点で、枠体21が降下し、その下縁で袋体Bを上記底支持部材14の位置まで押し込む。このとき袋体Bは、箱体13の側壁すなわち袋支持部13Bによって開口状態に維持されている。
【0037】
(5)しかる後、枠体21は押圧板22と共に上昇し原位置へ戻り、既述の(1)〜(4)の要領で、次の物品Pをすでに載置された物品Pの上にもち込み(図3(F)参照)、ベルト36を後退させながら(図3(G)参照)、物品Pを二段に積載する(図3(H)参照)。なお、図2に示した前進用ローラ34の挿入側が、開口している枠体21であれば、必ずしも原位置へ戻る必要はない。このような動作を繰り返して物品Pは、所定段数まで積載される(図4(A)参照)。
【0038】
(6)最後に、底支持部材14は最上位まで上昇して袋体B内の積載物品Pをもち上げると共に袋体Bの開口縁が上方に引き上げられ(図4(B)参照)、その後、上記物品Pは袋体Bと共に箱体13外に取り出されて、作業台W上で袋体Bが封止され、包装体が完成する。なお、上記物品Pは、枠体21に対し側壁のない開放側から箱体13外に取り出される。
【0039】
本発明において、物品は、ベルトによる一回当りの搬入が一個でなくとも複数個でもよい。例えば、複数個の物品をベルト上に配列配置すれば、この複数個の物品はその配列形態を崩すことなく底支持部材の面に拡げた袋体の上へ載置でき、この搬入を繰り返すことにより、配列された複数個の物品を多段に積載できる。本発明は、このような配列を崩さずに積載できるという大いなる効果をもたらす。
【0040】
又、本発明において、実施形態の説明で理解できるように、押圧板や押込装置は必須ではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態装置の概要構成を示す断面図である。
【図2】図1装置の斜視図である。
【図3】図1装置において、袋体内へ物品を所定段数まで搬入積載する工程を(A)〜(H)にて順に示す図である。
【図4】物品を袋体へ搬入積載終了後、袋体を封止するまでの工程を(A)〜(C)にて順に示す図である。
【符号の説明】
【0042】
13 箱体
13B 袋支持部
13C 側案内部
14 底支持部材
17 駆動装置(駆動部材)
21 押込片(枠体)
B 袋体
P 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口縁を拡げた空の袋体を開口状態で該開口縁が外側に垂れるようにして該袋体を下面側で支持する少なくとも対向せる水平上縁が設けられた袋支持部と、それぞれの水平上縁から下方に延びる側案内部と、両方の側案内部間に位置し袋体へ収容された被包装物たる物品の重量を袋体の下面で支持する底支持部材とを有する物品の集積包装装置において、底支持部材は高さ方向で上記水平上縁の位置もしくはその近傍の最上位置から下方へ降下可能となっており、該底支持部材は、物品が逐次重ねて袋体内に収められる都度、該物品の高さ毎降下し、所定数の物品の収容後に、最上位置へ復帰するように、駆動装置が接続されていることを特徴とする物品の集積包装装置。
【請求項2】
袋支持部と側案内部とは上方に開口せる箱体の一部として一体に設けられ、袋支持部は箱体の開口周縁の対向上縁として、側案内部は周方向で該対向上縁に対応して位置する側壁として、それぞれ形成されていることとする請求項1に記載の物品の集積包装装置。
【請求項3】
集積包装装置は、横方向で袋支持部の対向上縁の内側位置に押込片を備え、該押込片は、高さ方向にて、該押込片の下端が上記対向上縁よりも上方位置から底支持部材の位置まで昇降自在となっていることとする請求項1に記載の物品の集積包装装置。
【請求項4】
押込片は物品が袋体へ収容される毎に降下するように駆動を受けることとする請求項3に記載の物品の集積包装装置。
【請求項5】
開口縁を拡げた空の袋体を、少なくとも対向水平上縁が設けられた袋支持部により、上記開口縁が外側に垂れるようにして袋体の下面で支持し、それぞれの水平上縁から下方に延びる側案内部間に位置する底支持部材で、袋体へ収容された被包装物たる物品の重量を袋体の下面で支持する物品の集積包装装置において、物品を逐次重ねて袋体内に収め、物品の収容の都度、該物品の高さ毎上記底支持部材を降下させ、所定数の物品の収容後に、底支持部材を最上位置へ上昇せしめ、しかる後に物品を複数収容せる袋体を底支持部材から取り出して、袋体を封止して梱包することを特徴とする物品の集積包装方法。
【請求項6】
袋体への物品の収容毎に、横方向で袋支持部の内側位置で、押込片により袋体を底支持部材の位置まで押込めることとする請求項5に記載の物品の集積包装方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−27620(P2006−27620A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204754(P2004−204754)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(595159530)昭和電工プラスチックプロダクツ株式会社 (16)
【出願人】(393027121)株式会社ファブリカトヤマ (27)
【Fターム(参考)】