説明

物品ホルダ

【課題】単純な構成とするとともに重量の大きい物品にも対応できる物品ホルダを提供する。
【解決手段】本発明の一形態にかかる物品ホルダ1は、対象物品2が載置される物品載置部14を有するとともに、車載装置33に係合するロアホルダ10と、前記ロアホルダ10の上方で前記対象物品2の背面部及び側部の少なくともいずれかを支持するアッパホルダ20と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の物品を自動車に保持するための物品ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車室内において、携帯電話機やAV機器用リモコン等の物品を保持する物品ホルダとして、物品の背面を支える背面部と、物品の側面を支える左右一対のアーム部と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この物品ホルダは、例えば、車輌のダッシュボード等の起立した面に両面テープ等の取付手段を用いて固定されており、例えば物品の側面に当接する突起等の保持機構を有する一対のアーム部により、物品を挟持して物品を保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−181462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術では、次のような問題がある。すなわち、上述の物品ホルダは両面テープ等の取付手段によって車輌の起立した面に取り付けられてアーム部により物品の側部を挟持する構成であるため、重量の大きい物品を安定して支持することが困難である。このため、重量の大きい物品に対応するためには保持機構が複雑かつ大型なものとなってしまう。
【0005】
そこで本発明は、単純な構成とするとともに重量の大きい物品にも対応できる物品ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態にかかる物品ホルダは、対象物品が載置される物品載置部を有するとともに、車載装置に係合するロアホルダと、前記ロアホルダの上方で前記対象物品の背面部及び側部の少なくともいずれかを支持するアッパホルダと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の他の一形態にかかる物品ホルダは、前記ロアホルダは、車室内に設けられるベンチレータに係合するベンチレータ係合部を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の他の一形態にかかる物品ホルダは、前記アッパホルダは、前記対象物品の背後に配置される後壁部と、前記対象物品の両側部に配置される一対のアーム部と、を備え、前記後壁部は前記ロアホルダ上に支持されることを特徴とする。
【0009】
本発明の他の一形態にかかる物品ホルダは、前記一対のアーム部の少なくとも一方は、前記対象物品の側部を保持する閉状態と、前記対象物品を着脱可能に開放する開状態とで切り替え可能に構成されたことを特徴とする。
【0010】
本発明の他の一形態にかかる物品ホルダは、前記ベンチレータ係合部材は、ベンチレータの一部を構成する筒状のシリンダ部を備え、前記物品載置部は前記シリンダ部の上面に形成され、前記対象物品の下部を収容可能な凹部を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の他の一形態にかかる物品ホルダは、前記ベンチレータは、軸方向に沿って配置される複数の円筒状部材と、前記円筒状部材の車室内側の開口端に配置される化粧枠部材と、を有して構成され、前記シリンダ部は前記軸方向に沿って前記複数の円筒状部材の間に組みつけられ、前記凹部が前記複数の円筒状部材との間に配置されることを特徴とする。
【0012】
本発明の他の一形態にかかる物品ホルダは、複数の前記ベンチレータがその軸方向と交差する方向に並列して設けられ、前記ロアホルダの前記ベンチレータ係合部材は、前記シリンダ部をその軸方向と交差する方向に並列して一体に複数備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、単純な構成とするとともに重量の大きい物品にも対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態にかかる物品ホルダを車輌に取り付けた状態の斜視図。
【図2】同実施形態にかかる物品ホルダの側面図。
【図3】同実施形態にかかる物品ホルダの分解斜視図。
【図4】同実施形態にかかるアッパホルダの閉状態を示す斜視図。
【図5】同実施形態にかかるアッパホルダの開状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態かかる物品ホルダ1について、図1乃至図5を参照して説明する。また、各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。また、図中矢印X、Y、Zは互いに直交する3方向を示しており、Xは幅方向、Zは上下方向にそれぞれ沿っている。また、矢印Nは軸方向に沿っている。
【0016】
図1乃至図3に示すように、本実施形態にかかる物品ホルダ1は、車載装置であるベンチレータ33に係合して物品2の下部を支持するロアホルダ10と、ロアホルダ10の上方に配置され物品2の上部を支持するアッパホルダ20と、を備えている。保持される物品2として例えばディスプレイや電子書籍端末を例示するがこれに限られるものではない。
【0017】
図1に示すように、自動車などの車輌の車室内前部の中央部分にはコンソール部30が設けられている。コンソール部30にはカーナビゲーションシステム31やオーディオ機器32、空調用の空気を吹出すためのベンチレータ33等が設けられ、クラスタパネル34が表装されている。
【0018】
図1及び図2に示すように、クラスタパネル34は例えば樹脂製で湾曲したプレート状の部材からなり、車載装置を設置するための複数の開口34aが形成されている。これらの開口34aからそれぞれディスプレイや操作部が露出するようにカーナビゲーションシステム31やオーディオ機器32等が組み込まれている。カーナビゲーションシステム31の下方には例えば2個の円形状開口が車幅方向に並列配置され、この円形状開口に一対の丸型のベンチレータ33が、その吹き出し口側部分を露出して組み込まれている。
【0019】
図3及び図4に示すように、一対のベンチレータ33は、同軸の円筒状をした樹脂製の外筒部材41及び内筒部材42と、内筒部材42の手前側端部に設けられたルーバー羽根43と、内筒部材42の手前側端部の周囲を覆う化粧枠部材44と、をそれぞれ備えている。さらに、軸方向に沿って配置される一対の外筒部材41と一対の内筒部材42の間にはロアホルダ10が挟持されて組み込まれる。
【0020】
ロアホルダ10はベンチレータ係合部としてのフレーム部材11を有している。フレーム部材11は、軸が平行に延びる一対の円筒状のシリンダ部12が幅方向に並列配置され、幅方向に延びるプレート状の接続部13によって連結されている。フレーム部材11は例えば樹脂成形品で一体形成されている。一対のシリンダ部12は、一対のベンチレータ33の外郭の一部を構成する部品としてベンチレータ33の外筒部材41と内筒部材42との間に組み込まれている。内筒部材42はシリンダ部12に対して手前側から嵌合され、外筒部材41はシリンダ部12に対して奥方から嵌合される。
【0021】
ルーバー羽根43は例えば2枚の羽根部材を有し、内筒部材42の手前側端にて回動することにより風向きを変更するとともに内筒部材42の手前側端部を開閉する。化粧枠部材44は例えば樹脂製のリング状部材からなり、内筒部材42の手前側端に嵌合する。さらにルーバー羽根と内筒部材42との側部間には、軸受部材やスペーサ部材などが設けられている。
【0022】
クラスタパネル34にベンチレータ33及びロアホルダ10を組み付けた状態において、シリンダ部12の前部は開口部34aから突出した内筒部材42の外周を覆っている。シリンダ部12の後部は開口部34aに挿通され、外筒部材41の一部の外周を覆っている。フレーム部材11はクラスタパネル34の開口部34aから車室内に向かって突出し、図中矢印Nに沿って延び斜め上方に向かって傾斜して配置される。フレーム部材11の手前側端縁は化粧枠部材44の外周縁部分と連続している。
【0023】
フレーム部材11の車室内突出部分の上面には物品載置部14が設けられている。物品載置部14はシリンダ部12の外周上部が下方に凹み形成された溝15(凹部)を有している。溝15はベンチレータ33の軸方向において外筒部材41と内筒部材42の間に挟まれて配置される。
【0024】
図2に示すように、溝15は、その上方の開口端15aよりも下方の底部15bの方が車室内手前(軸方向一端)側に配置されるように傾斜している。また、上方の開口端15aが底部15bよりも溝幅が広くなるように構成されている。ベンチレータ33を車輌に組み込んだ状態では、一対の並列したベンチレータ33の外周上面において、一対のシリンダ部12の溝15が車幅方向に連続する。この溝15に、物品2の下部2aが収容され、挟持される。
【0025】
物品載置部14よりも奥(軸方向他端)側には、アッパホルダ20の後壁部21が載置されるアッパホルダ載置部16が設けられる。
【0026】
図1乃至図5に示すように、アッパホルダ20は、物品2の背面部2bに配置される後壁部21と、物品2の側部2cに配置される左右一対のアーム部22,23と、を備え、支持する物品2の形状や位置、姿勢に応じて物品2の背面部2b及び側部2cの少なくともいずれかを支持するようになっている。アッパホルダ20はアッパホルダ載置部16上に載置され、下方から支持されている。例えばこの実施形態においてはクラスタパネル34に設置されたカーナビゲーションシステム31の前部に位置決めされ、ベンチレータ33を構成するフレーム部材11上に支持されている。
【0027】
後壁部21は例えば樹脂製の矩形板状を成し、幅方向一端側の上部に固定アーム22が形成され、幅方向他端側の上部に可動アーム23用の取付片24が形成されている。
【0028】
固定アーム22は、後壁部21に一体に形成されている。固定アーム22は、後壁部21の一端側に幅方向に延び、屈曲して前方に向って延び、さらに屈曲して内側に延びており、上面視コ字状に構成されている。この固定アーム22により、載置された物品の一方の側部を保持する。
【0029】
可動アーム23は、後壁部21の一端側に一体形成された一対の取付片24と、上面視L字状のアーム片25と、アーム片25を後壁部21に軸支するロッド26と、アーム片25の回動を規制するロックピン27と、ロックピン27をロック方向に付勢するコイルスプリング28と、を備えて構成されている。
【0030】
上下一対の取付片24は後壁部21の一端側から幅方向に突出形成された板状部材であり、後壁部21と一体に形成されている。一対の取付片24はロッド26が挿通される挿通孔24aをそれぞれ有している。
【0031】
アーム片25は、その基端部分に上下一対の取付部25aを有しており、この取付部25aに形成された挿通孔25bにロッド26が挿通される。さらにアーム片25には、ロックピン27の細長部27aが進退可能に挿入される収容部25cが形成されている。
【0032】
ロッド26は上端に係合部26aを有し、軸部分の両端側部分26bは断面視円形状に構成され、中途部分26cは断面細長形状に構成されている。中途部分26cの断面の長辺の長さは、円形部27eの径よりも僅かに小さく、スリット部27dの幅よりも大きくなっている。中途部分26cの断面の短辺の長さは、スリット部27dの幅よりも僅かに小さくなっている。
【0033】
ロッド26は、取付片24の挿通孔24a、アーム片25の挿通孔25b、及びロックピン27の挿通孔27cに挿通され、アーム片25を後壁部21に対して回動可能に連結する。
【0034】
ロックピン27は、平面視長方形状の細長部27aと、平面視半円形状の押圧部27bとを一体に備え、上下方向に貫通する挿通孔27cを有している。挿通孔27cはスリット部27dと円形部27eを有し、円形部27eにロッド26があるときは回動可能に、スリット部27dにロッド26がある時は回動が規制されるようになっている。細長部27aの先端部分にはコイルスプリング28を収容する収容部27fが形成されている。
【0035】
図4に示す閉状態において、ロックピン27は、細長部27aの先端部がアーム片25の収容部25cに挿入され、先端の収容部27fに収められたコイルスプリング28によってロック方向(図4中の矢印とは反対の方向)に常時付勢されている。アーム片25は前方に延び、さらに屈曲して内側に向かって延びており、物品2の他方の側部を保持するようになっている。このときロッド26の中途部分26cはロックピン27のスリット部27dの位置にあり回動が規制されている。
【0036】
例えば物品2の設置時や交換時などには、この閉状態から操作者がロックピン27の押圧部27bをコイルスプリング28の付勢力に抗して図中矢印の方向に押すと、ロッド26の中途部分26cが円形部27eの位置に至り回動可能となる。そしてアーム片25を回動して外側に開くことにより、図5に示す開状態となる。このときロッド26の中途部分26cはスリット部27dに対して回動しているため細長いスリット部27dには進入できないようになっており、円形部27eの位置に保持される。物品2の設置や交換が終了したら、アームを閉じ方向に回動させると、コイルスプリング28の付勢力でロックピン27が移動し、再び図4の閉状態に戻る。
【0037】
上記のように構成された物品ホルダ1を車輌に設置した状態では、図1及び図2に示すように車輌前部のコンソール部30に設置されるベンチレータ33の外郭を構成する一部として、ロアホルダ10のシリンダ部12がクラスタパネル34から手前側に向かって突き出ている。このシリンダ部12の中途部分には幅方向に延びる溝15が形成され、物品載置部14を形成している。さらにシリンダ部12の物品載置部14よりも奥側のアッパホルダ載置部16に、アッパホルダ20の後壁部21が載置され、カーナビゲーションシステム31の前部に後壁部21が起立した状態で保持されている。
【0038】
物品2は、例えば下部2aが溝15に収められて挟持され、背面部2bが後壁部21上端に支持されるように斜めに立て掛けられ、両側部2cが固定アーム22及び可動アーム23に保持される。
【0039】
本実施形態に係る物品ホルダ1は、単純な構成で、重量の大きい物品にも対応することが可能となる。すなわち、ベンチレータ33の複数の部材41,42間にシリンダ状のフレーム部材11を挿入するだけで簡単に車輌に取り付けることができるので、大きな設計変更をする必要がなく、汎用性が高い。また、車輌に追加する部品数が少ないため、シンプルで、かつデザイン性に優れている。
【0040】
さらに、物品2をロアホルダ10とその後方かつ上方に配置されたアッパホルダ20により保持する構成としたことで、例えば書籍閲覧端末やディスプレイのようにプレート状の物品2を傾斜して立て掛けるような姿勢として、運転席や助手席から見やすい斜め上向きの角度に簡単に保持でき、しかも安定的に支持できる。また、背面を立てかけ、側部を保持解除可能に支えるアッパホルダ20により容易に位置決め及び着脱ができるとともに、種々の形状及び大きさの物品に対応できる。
【0041】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。また、各部の具体的構成や材質等は上記実施形態に例示したものに限られるものではなく適宜変更可能である。
【0042】
たとえば、上記実施形態ではロアホルダ10のフレーム部材11上にアッパホルダ20の後壁部21の下部が載置された例を示したが、アッパホルダ20の取り付けはこれに限られない。例えばアッパホルダ20をクラスタパネル33の一部に載置してもよいし、ボルト等の取り付け手段を用いて固定してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…物品ホルダ、2…物品、10…ロアホルダ、11…フレーム部材、
12…シリンダ部、13…接続部、14…物品載置部、15…溝(凹部)、
16…アッパホルダ載置部、20…アッパホルダ、21…後壁部、22…固定アーム、
23…可動アーム、30…コンソール部、33…ベンチレータ(車載装置)、
34…クラスタパネル、41…外筒部材、42…内筒部材、44…化粧枠部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物品が載置される物品載置部を有するとともに、車載装置に係合するロアホルダと、
前記ロアホルダの上方で前記対象物品の背面部及び側部の少なくともいずれかを支持するアッパホルダと、を備えたことを特徴とする物品ホルダ。
【請求項2】
前記ロアホルダは、車室内に設けられるベンチレータに係合するベンチレータ係合部を有することを特徴とする請求項1記載の物品ホルダ。
【請求項3】
前記アッパホルダは、前記対象物品の背後に配置される後壁部と、前記対象物品の両側部に配置される一対のアーム部と、を備え、
前記後壁部は前記ロアホルダ上に支持されることを特徴とする請求項1または2記載の物品ホルダ。
【請求項4】
前記一対のアーム部の少なくとも一方は、前記対象物品の側部を保持する閉状態と、前記対象物品を着脱可能に開放する開状態とで切り替え可能に構成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の物品ホルダ。
【請求項5】
前記ベンチレータ係合部材は、ベンチレータの一部を構成する筒状のシリンダ部を備え、
前記物品載置部は前記シリンダ部の上面に形成され、前記対象物品の下部を収容可能な凹部を有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか記載の物品ホルダ。
【請求項6】
前記ベンチレータは、軸方向に沿って配置される複数の円筒状部材と、前記円筒状部材の車室内側の開口端に配置される化粧枠部材と、を有して構成され、
前記シリンダ部は前記軸方向に沿って前記複数の円筒状部材の間に組みつけられ、前記凹部が前記複数の円筒状部材との間に配置されることを特徴とする請求項5記載の物品ホルダ。
【請求項7】
複数の前記ベンチレータがその軸方向と交差する方向に並列して設けられ、
前記ロアホルダの前記ベンチレータ係合部材は、前記シリンダ部をその軸方向と交差する方向に並列して一体に複数備えることを特徴とする請求項5または6記載の物品ホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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