説明

物品仕分方法と物品仕分装置

【課題】従来のベルトを回転させて物品を排出させるものは、一つひとつの物品搬送体をベルトコンベヤとして構成する必要があったため複雑化し、高コスト化と難メンテナンスという課題があった。
【解決手段】多数の物品搬送体を無端状に連結してなる搬送コンベヤの物品搬送体に物品を一つずつ載せて搬送させ、個々の物品の仕分情報に基づいて物品搬送体の搬送経路途中に設けられた任意の仕分口に物品を排出させて仕分する場合において、一つひとつの物品を搬送方向前後に配置させた対となる物品支持具の上に跨がせて載せて搬送し、任意の仕分口において対となる物品支持具を略水平面内で互いが開く様に回転駆動させて両支持具上に跨がせて載せた物品を略水平に送り出しながら排出する様にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多数の物品をその仕分情報に基づいて仕分するための仕分装置に関するものであり、各種装置において物品を水平に送り出して仕分用のベルトコンベヤやターンテーブル、シュータなどに振分けするのに利用できるものである。一つの例として野菜や果実等の傷み易い物品を仕分する選別機として使用できるものである。
【背景技術】
【0002】
多数の物品をライン搬送してライン途中の仕分口に設けられた仕分用コンベヤなどに振り分けする装置として物品の種類、大きさ、形状に応じて多種多様なものがある。この中で野菜や果物等の物品を等階級別に仕分する選別機に関していえば、次の様な構造があった。
【0003】
果菜、果実に多く用いられるものとしては、例えば特公平07-073694号広報の第5図に示す様な、仕分対象の物品をトレー状の物品搬送体に載せて搬送し、途中の仕分口のところでトレー状の物品搬送体が下方に開いて物品を落として仕分するものがある。物品搬送体の形状は果菜、果実の形状に合わせて様々であり、トマトや桃等の球形に近いものではバケット状の物品搬送体を仕分口のところで横に傾動させて載せた物品を搬送方向横方向に転がして排出するものがある。これら装置では仕分口から排出された物品は仕分用の受け箱(テーブル)やターンテーブル或はベルトコンベヤに乗り継がせるようになっていた。
【0004】
前記仕分装置は物品を落下させたり転がしたりするため、品物に傷み等を生じる虞があり、ベルトで物品を水平に排出できる様にしたものがある。例えば特開2010-115654号広報に示す様に、物品を載せて搬送する個々の物品搬送体の搬送面にベルトが設けられ、仕分口のところでベルトが回転されて搬送ライン横に排出される様になっており、同仕分口には排出される物品を引き継いで搬送する仕分用ベルトコンベヤが設けられている。この場合、走行する物品搬送体から排出され物品が安定的に仕分用ベルトコンベヤに引き継がれる様にするため間に物品の排出方向に沿って斜めのベルトコンベヤを配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平07-073694号広報。
【特許文献2】特開2010-115654号広報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のものでは物品搬送体が下に開いて物品を下に落下させるため、物品の種類によっては傷付けたり破損させたりする虞があった。またバケット式のものでも物品搬送体が横に倒れて物品を横方向に転倒させて排出するため、品物によって傷んだり破損したりすることがあった。また落下や転倒の際に物品の向きが上や下、右や左と様々になり、受け箱やターンテーブルなどからの取り出しに不便があった。特に取り出した物品を整然と箱詰めする様な場合は、物品の向きを上向きにそろえることから作業能率の低下を招くことがあり、また長時間の作業では腱鞘炎などを煩う虞もあった。
【0007】
特許文献2に示すベルト式のうち、特に間に斜めのベルトコンベヤを配置するものは、載せた物品をそのままの姿勢で仕分用コンベヤに乗り継がせることができるが、物品搬送体の一つひとつがベルトコンベヤとなっており、小さな果菜や果実を選別するためのものとしては構造的なコスト高が課題となる。また物品搬送体を清掃する場合に、ベルトがあるときれいに清掃しにくく、一つひとつ物品搬送体からベルトを外すことも困難なため、清掃しにくかった。またこのベルト式は排出方向と反対側のベルト上面に品物排出の際の転倒防止用突起物が設けられているが、これがあると物品を搬送ラインの左右どちらか一方向にしか排出できないため、仕分用コンベヤをラインの片側にしか設けることができず、仕分口を増やすと仕分装置全長が長くなってしまった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
多数の物品搬送体1を無端状に連結してなる搬送コンベヤ2の物品搬送体1に物品3を一つずつ載せて搬送させ、個々の物品3の仕分情報に基づいて物品搬送体1の搬送経路途中に設けられた任意の仕分口4に物品3を排出させて仕分する方法であって、一つひとつの物品3を搬送方向前後に配置させた対となる物品支持具5、6の上に跨がせて載せて搬送し、任意の仕分口4において対となる物品支持具5、6を略水平面内で互いが開く様に回転駆動させて両支持具5、6上に跨がせて載せた物品3を略水平に送り出しながら排出する様にした。
【0009】
物品3を一つずつ載せて搬送可能な物品搬送体1が無端状に多数連結されてなる搬送コンベヤ2を備え、物品3の仕分情報に基づいて物品搬送体1により搬送される物品3を搬送ライン途中に設けられた複数の仕分口4に送り出して仕分する仕分装置であり、前記各物品搬送体1は、2つの対となる物品支持具5、6が搬送方向前後に対向配置され且つそれぞれ搬送方向前後の回転軸7、8を支点に略水平面内で回動可能であり、これら対となる物品支持具5、6はその上に物品3を跨がせて載せ置き可能なるものであり、搬送コンベヤ2の各仕分口4付近には物品3の仕分情報に基づいて任意の対となる物品支持具5、6を略水平面内で開く様に回動駆動させ、その上に載せられた物品3を搬送方向横方向に送り出しながら略水平排出可能とする排出用駆動装置9を備えたものである。
【0010】
前記物品搬送体1は、対となる物品支持具5、6の上面に、載せ置く物品3が転倒しないように支持するための支持部10が形成されているものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の物品仕分方法には次のような効果がある。
(1)対となる物品支持具を略水平面内で回動させるだけの簡潔な構造で物品を略水平に送り出して仕分口に排出可能である。従って装置を安価に製作できるようになる。
(2)特に物品支持具を構造的に薄いものとすれば、各仕分口に設けられる受け箱やベルトコンベヤ、ターンテーブル等の仕分用受け具の上面すれすれに物品を送り出すことができ、物品を殆ど落下させずに乗り移すことが可能となる。
(3)物品支持具の上面に物品の形状に合わせて転がり防止の凹凸や壁面を設けてもそれらが邪魔すること無く物品を略水平に送り出すことができるので、転がり易い球形の物品でも安全に搬送して仕分可能である。
(4)物品支持具はプラスチックやステンレスなど耐久性があり且つ衛生管理が容易な素材だけで容易に製作可能であり、ベルト等も必要なく、従ってメンテナンスや衛生管理にも優れる。
(5)物品支持具の回転方向を反転させるだけで搬送方向の左右どちらにも物品を排出させることが可能である。
【0012】
本発明の物品仕分装置には次のような効果がある。
(1)対となる物品支持具が搬送方向前後に対向配置され且つそれぞれ搬送方向前後の回転軸を支点に略水平面内で回動可能であり、これら対となる物品支持部品はその上に物品を跨がせて載せ置き可能なるものであり、搬送コンベヤの各仕分口付近には物品の仕分情報に基づいて任意の対となる物品支持部品を略水平面内で開く様に回動駆動させ、その上に載せられた物品を搬送方向横方向に送り出しながら略水平排出可能とする駆動装置を備えてなるものであり、前記仕分方法を容易に実現できる。
(2)対となる物品支持具の上面に、載せ置く物品が転倒しないように支持するための支持部が形成されているため、搬送中に物品搬送体が転倒したり姿勢を崩したりするのを防止できる。
(3)支持部が設けられていても物品支持具が開く際に同支持部が一緒に開く様にすることができるので、どの様な形状の物品でも搬送し仕分できる装置を提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本件発明の物品仕分方法と物品仕分装置の第1の実施形態を示した斜視図であり、仕分口付近の部分拡大図。
【図2】図1の物品仕分装置における物品搬送体の分解斜視図。
【図3】図1の物品仕分装置における全体の概略を示した平面図。
【図4】図1の仕分装置における仕分口部分を示した部分平面図であり、(a)は排出動作の初期時点での状態を示す説明図、(b)は排出動作の完了時点での状態を示す説明図。
【図5】本発明の物品仕分方法と物品仕分装置における物品搬送体の第2の実施形態を示した斜視図。
【図6】本発明の物品仕分方法と物品仕分装置における物品搬送体の第3の実施形態を示した平面図。
【図7】本発明の物品仕分方法と物品仕分装置における物品搬送体の第4の実施形態を示した平面図。
【図8】本発明の物品仕分方法と物品仕分装置における物品搬送体の第5の実施形態を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜4に本発明の仕分方法と仕分装置の第1の実施形態を示す。図1の3はトマトやリンゴ、桃などの略球形状の果実、果菜であり、本実施形態において仕分の対象となる物品である。図1の2は物品3を載せて搬送する仕分装置の搬送コンベヤである。同コンベヤ2は図1、2に示す様に無端状に構成されて同図の矢印a方向に駆動されるチェーン20に一定の間隔で多数の物品搬送体1が取り付けられてなる。チェーン20は図3に示す様に長尺な仕分装置の前後両端に配置された従動スプロケット21と駆動スプロケット22とに架けられており、装置後部のモータ23が接続された駆動スプロケット22によって図中の矢印a方向に所定の速度で駆動されるようになっている。この搬送コンベヤ2の搬送経路の途中には図3、4に示す様に物品3の大きさや色などを計測するセンサ24が設けられており、またセンサ24より下流側の部分には複数の仕分口4が設けられている。仕分口4は搬送コンベヤ2の左右両側にあり、各仕分口4には図3に示す様にトラック状に周回する搬送面25を有する仕分用コンベヤ26や仕分用ターンテーブル27が設けられている。そして各仕分口4には物品3の排出位置に対応させて物品搬送体1から物品3を排出させるための排出用駆動装置9が設けられている。本実施形態では仕分口4に図3に示したもの以外に、各種のベルトコンベヤや細身のローラを敷き詰めたローラコンベヤを配置することもでき、しかも各種のものを複数組み合わせて配置することもできる。なお、どの様な場合でも、物品3の排出個所においてその物品送り出し方向とコンベヤでの乗り継ぎ箇所でのコンベヤ搬送方向を略一致させて配置すると良い。
【0015】
前記各物品搬送体1は図1、2に示す様にチェーン20に上から被せる様に取り付けられる取付金具30と、同金具30の上にチェーン20の長手方向前後方向に対向する様に取り付けられる2つの物品支持具5、6を備える。前記取付金具30は図1、2に示す様に、図示されていないネジ等の接合手段によりチェーン20の図示されていないアタッチメントに止めらている。図2に示す様に取付金具30の上面前後2カ所には丸穴31、32が設けられており、穴31、32の上部に物品支持具5、6が水平面内で回転自在となるように取り付けられている(図1に示した様に回転軸7、8を支点として回転自在となっている。)。取付金具30の穴31、32の内側には物品支持具5、6と連結されて一緒に回動自在となる回転盤33、34が取り付けられている。各回転盤33、34の下面には下向きにピン35、36が突設されている。両ピン35、36は、左右に丸ロッド37、38が付いたスライド部材39の前後両端の長穴40、41に差し込まれている。一方、スライド部材39の左右の丸ロッド37、38は取付金具30の左右側面に形成された丸穴42、43にスライド自在に差し込まれており、丸ロッド37を矢印b方向に押すとスライド部材39が取付金具30の内側で同b方向にスライドして回転盤33、34を連動して矢印e方向に回動し、反対に丸ロッド38を矢印c方向に押すとスライド部材39が同c方向にスライドして回転盤33、34を連動して矢印f方向に回動する様になっている。よって丸ロッド37を矢印b方向に押すと物品支持具5、6が図中の矢印e方向に回転され、丸ロッド38を矢印c方向に押すと物品支持具5、6が図中の矢印f方向に回転される。物品支持具5、6の回転角度θはスライド部材39のスライド可能範囲内に規制されており、この場合は物品支持具5、6は最大で左右にそれぞれ65度回転できる様にしてある。また前記スライド部材39の丸ロッド37、38にはそれぞれコイルスプリング44、45が取り付けられており、丸ロッド37の矢印b方向への押しを解除すると圧縮されていた丸ロッド38側のスプリング45の復元力によりスライド部材39が矢印c方向に押し戻されて物品支持具5、6の回転角度θを0に戻し、反対に丸ロッド38の矢印c方向への押しを解除すると圧縮されていた丸ロッド37側のスプリング44の復元力によりスライド部材39が矢印b方向に押し戻されて物品支持具5、6の回転角度θを0に戻すようになっている。即ち丸ロッド37、38のいずれも押されていないときは、スライド部材39が取付金具30の幅方向中央に保持され、物品支持具5、6は回転角度θが0に保たれるようになっている。なお本発明では物品支持具5、6の回動方法は以上の説明のものに限られず、ギア機構やカム機構、リンク機構を用いたものであってもよく、さらには電磁石や永久磁石を用いて吸着力や反発力を利用したりしてもよく、またさらに単一の回転軸7、8を支点とした単純な回転でなくても良い。
【0016】
図2に示す物品支持具5、6はプラスチックなど樹脂素材で一体成型されてなるものであり、上に物品3を跨がせて載せて搬送可能な大きさを有している。しかも同支持具5、6の上面には、両支持具5、6を回転させていない状態の角度θが0の状態、即ち両支持具5、6が完全に向き合う状態で、二つ向き合って略カップ状の凹みとなる様に、それぞれ半カップ状の支持壁面46、47を形成させてあり、これら支持壁面46、47が物品3を倒れない様に支持させる支持部10となっている。また両支持具5、6の対向する部分の下縁48、49はそれぞれの回転軸7、8を中心とした円弧状に形成されている。なお、本物品支持具5、6は全体をゴムなど柔軟性のある素材を用いて成型してもよく、或は表層のみを柔軟性素材とし、それ以外を硬質の樹脂素材で成型するような複合構造としても良い。さらに材料には各種抗菌素材などを利用することもできる。ところで前記支持壁面46、47の下縁48、49を挟んで両側の傾斜面は物品3を支持するための壁として機能するだけでなく、例えば図2において物品支持具5、6が矢印c方向に開かれる際には矢印b方向の傾斜面が物品3を矢印c方向に押し出す手段として機能し、同様に物品支持具5、6が矢印b方向に開かれる際には矢印c方向の傾斜面が物品3を矢印b方向に押し出す手段として機能するようになっている。このような物品支持具5、6の形状は、物品3が略球形である場合に、同物品3を安定的に支持しつつ排出時に排出を助けるという二つの機能を兼ねる。
【0017】
図1、3、4に示す様に搬送コンベヤ2の途中の各仕分口4には、図4(a)、(b)に示す様に物品3の仕分け情報に基づいて物品支持具5、6を回動駆動させるための排出用駆動装置9を設けてある。各排出用駆動装置9はPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)などの制御機器からの信号を受けて動作するようになっており、この場合、図3に示す搬送コンベヤ2の途中に設けられた外観センサ24が物品3の仕分基準となる大きさ色、形状を判別して物品3の仕分情報を生成し、PLCが物品搬送体1の位置情報とその上の物品3の仕分情報とを管理し、PLCに事前セットされた仕分条件に基づいて任意の物品搬送体1の丸ロッド37或は38を操作し、任意の物品3を所定の仕分口4に排出し、仕分する様になっている。排出用駆動装置9は搬送コンベヤ2の脇に設けてあり、物品搬送体1の丸ロッド37或は丸ロッド38を押すことで物品搬送体1の物品支持具5、6を回動する様になっている。より具体的には直動アクチュエータ50の直動ピン51の先端にガイドレール部材52が取り付けられており、PLCが直動アクチュエータ50をオンすると、直動ピン51が突き出してガイドレール部材52を図中の矢印c方向に移動し、そこを通過する物品搬送体1の丸ロッド38(37)をガイドレール部材52により徐々に矢印c方向に移動し、物品支持具5、6を徐々に回動させるようになっている。直動アクチュエータ50をオフすると(物品3を排出しない時)、直動ピン51が引っ込んでガイドレール部材52を図中の仮想線で示される待機位置に移動し、通過する物品搬送体1の丸ロッド38(37)を押さない様になっている。
【0018】
図3に示す様に搬送コンベヤ2の各仕分口4には、水平面内でトラック状に周回する搬送面25を有する構造の仕分用コンベヤ26と、円形のテーブルが一定速度で回転する構造の仕分用ターンテーブル27を設けてある。前記仕分用コンベヤ26は、トップチェーンやテーブルトップチェーンと呼ばれるものであり、図示されていないチェーンリンクの上部に図1に示された様な形の金属板55が取り付けられてなるものであり、図示されていないスプロケットとガイドレールにより駆動、ガイドされて水平面内で周回する帯状の搬送面25を構成するようになっている。また本件発明では金属板55の上にクッションシートを貼付けて物品3の当りをソフトにしたり、或は摩擦係数の低いシート材を貼付けて滑りを良くしたり、表面にくぼみを設けて物品3の転がりを防止したり、或はこれらを組み合わせた構造にすることもできる。また抗菌素材のシートを貼付けるようなこともできる。
【0019】
図3に示す仕分用コンベヤ26の搬送面25及び仕分用ターンテーブル27の上面56は、物品搬送体1の物品支持具5、6の底面57、58(図1)よりわずか(例えば5mm程度)だけ下げて配置してあり、図1に示す様に物品支持具5、6が開いたときに同支持具5、6が前記搬送面25や上面56の上すれすれにせり出し、物品支持具5、6が開いたときにその上の物品3を殆ど落下させることなく乗り継がせることができる様にしてある。さらに図4(a)、(b)に示す様に、物品搬送体1から排出される物品3が仕分用コンベヤ26に乗り継ぐ時の凡その位置で、物品3の速度ベクトルVzと仕分用コンベヤ26のカーブ部分の速度ベクトル(同Vz)がほぼ一致する様にしてある。即ち速度ベクトルVxで移動する物品搬送体1から横向きに速度ベクトルVyで排出される物品3の速度ベクトルVzに一致して仕分用コンベヤ26のカーブ部分に乗り継ぐことができる様に位置を設定してあり、またターンテーブル27の場合も同様に、物品3の速度ベクトルと乗り継ぎ位置でのテーブル27の速度ベクトルとが凡そ一致する様に、ターンテーブル27の据付け位置を調整してある。本件発明ではこれら仕分用コンベヤ26やターンテーブル27を物品3の乗り継ぎに適した速度で常時回転する様にしても良いが、物品3が乗り継ぐ間の一定時間だけ回転する間欠運転としても良い。この場合は仕分用コンベヤ26やターンテーブル27は排出用駆動装置9と連動するように前記PLCでオンオフ駆動されるようにする。本件発明においては仕分口4のところに滑り台のようなシュートを設けることもできる。前記に詳しく説明した仕分用コンベヤ26やターンテーブル27と比べて物品3の乗り継ぎ姿勢は崩れやすくなるが、安価であるため一部の仕分口4に設けると低コストで排出口を大きく増やすことができる。
【0020】
図5に本発明の仕分方法と仕分装置における物品搬送体1の第2の実施形態を示す。これは実施形態1の取付金具30の上に取り付ける物品支持具5、6をそれぞれ略扇形の金属板60としたものであり、平らな金属板60の上に物品3を倒れない様に支持するための三角錐状の突起物61を2つずつ設けて支持部10を構成したものである。一つひとつの突起物61はソフトな素材で作成してあり、物品3を置いたときにその重量で変形し、大きな物品3から小さなものまで安全に支持できる様にしてある。さらにこの突起物61は物品支持具5、6が図中の矢印f方向に開いた際には符号63で示す方のものが物品3を後ろから確実に押して物品3が金属板60上に残らないようにし、反対に物品支持具5、6が図中の矢印e方向に開いた際には符号62で示す方のものが物品3を後ろから確実に押して物品3が金属板60上に残らないようにする役割を兼ねる。本実施形態において取付金具30及び内部の構造は実施形態1に同じに作成することができる。なお物品3が例えば箱の様なもので且つ金属板60の開閉で確実に物品3を排出できる場合には突起物61を一切設けなくてもよい。
【0021】
図6に本発明の仕分方法と仕分装置における物品搬送体1の第3の実施形態を示す。これは実施形態1の取付金具30の上に取り付ける物品支持具5、6の回転軸7、8を図示されている様にそれぞれ左右方向にオフセットし、物品支持具5、6を図中の矢印f方向に回動したときに物品3を図中の矢印b方向に斜めに排出できる様にしたものである。この場合、図中の矢印a方向に移動する物品搬送体1から排出される物品3の排出方向が静止座標系から見たときに矢印c方向になるため、仕分口4に設けるベルトコンベヤを搬送コンベヤ2と直行させて、即ち矢印c方向に物品3を搬送する様にベルトコンベヤなどを配置することができる。
【0022】
図7に本発明の仕分方法と仕分装置における物品搬送体1の第4の実施形態を示す。これは実施形態1の取付金具30の上に取り付ける物品支持具5、6をそれぞれ略短冊状の金属板65で構成するとともに、各金属板65を平行する2本のリンク66、67で回動する様に取り付けたものである。前記リンク66はそれぞれ回転軸7、8により回転駆動される様になっており、図中の矢印f方向に回動されると両端が回転自在に取り付けられたリンク67とにより、2枚の短冊状の金属板65を互いの平行状態を保ったまま図中の矢印b方向に突き出しながら互いの間隔が広がる様に移動して、上に載せた物品3を図中の矢印b方向に移動しながら開いた金属板65から払い出される。本件発明では物品支持具5、6を単純な回転でなくリンク部品を介在させるなどして回動するようにしても良い。また本件発明では略短冊状の金属板65が図7の矢印a方向と直行する矢印b方向でなく図6の様に進行方向に対して若干後ろ向きの矢印b方向になる様にしてもよい。
【0023】
図8に本発明の仕分方法と仕分装置における物品搬送体1の第5の実施形態を示す。これは実施形態1の取付金具30の上に取り付ける物品支持具5、6の回転軸7、8を鉛直でなくわずかに内向きに傾けたものであり、物品支持具5、6が完全な水平面内で回転するのではなく、同図に示す様に少し傾いて回転する様にしたものである。本件発明においては二つの物品支持具5、6に物品3を跨がせて載せて搬送可能であり、且つ物品支持具5、6を回動させることで載せた物品を略水平に送り出し可能であれば、同図の様に回転軸7、8を傾けるなどしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の物品仕分方法及び物品仕分装置は前記の実施形態で説明した果菜や果実に限られず各種産業分野において物品をベルトコンベヤやターンテーブル、シュータ、受け箱などの各種仕分用具に仕分する装置に応用・利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 物品搬送体
2 搬送コンベヤ
3 物品
4 仕分口
5 物品支持具
6 物品支持具
7 回転軸
8 回転軸
9 排出用駆動装置
10 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の物品搬送体を無端状に連結してなる搬送コンベヤの物品搬送体に物品を一つずつ載せて搬送させ、個々の物品の仕分情報に基づいて物品搬送体の搬送経路途中に設けられた任意の仕分口に物品を排出させて仕分する方法であって、一つひとつの物品を搬送方向前後に配置させた対となる物品支持具の上に跨がせて載せて搬送し、任意の仕分口において対となる物品支持具を略水平面内で互いが開く様に回転駆動させて両支持具上に跨がせて載せた物品を略水平に送り出しながら排出する様にしたことを特徴とする物品仕分方法。
【請求項2】
物品を一つずつ載せて搬送可能な物品搬送体が無端状に多数連結されてなる搬送コンベヤを備え、物品の仕分情報に基づいて物品搬送体により搬送される物品を搬送ライン途中に設けられた複数の仕分口に送り出して仕分する仕分装置であり、前記各物品搬送体は、2つの対となる物品支持具が搬送方向前後に対向配置され且つそれぞれ搬送方向前後の回転軸を支点に略水平面内で回動可能であり、これら対となる物品支持具はその上に物品を跨がせて載せ置き可能なるものであり、搬送コンベヤの各仕分口付近には物品の仕分情報に基づいて任意の対となる物品支持具を略水平面内で開く様に回動駆動させ、その上に載せられた物品を搬送方向横方向に送り出しながら略水平排出可能とする排出用駆動装置を備えたことを特徴とする物品仕分装置。
【請求項3】
請求項2記載の物品仕分装置において、物品搬送体が、対となる物品支持具の上面に、載せ置く物品が転倒しないように支持するための支持部が形成されていることを特徴とする物品仕分装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−75735(P2013−75735A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215743(P2011−215743)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(710007548)
【Fターム(参考)】