説明

物品収容ケース

【課題】物品収容ケースの大きさ(容積)を変化させることができるようにする。
【解決手段】すべての筒状体(10A,10B,10C,10D)は、相互に対応する横断面形状を有し、隣順の2つの筒状体からなる組み合わせのすべてにおいて、先順の筒状体の横断面が後順の筒状体の横断面の内部に収容され得る関係にあるとともに、先順の筒状体と後順の筒状体とが、両者がほぼ同一高さ位置に位置する略同一高さ関係と、後順の筒状体が先順の筒状体よりも高い位置に位置する上昇位置関係との間を相対的に変位可能に、当該先順の筒状体の壁部12と当該後順の筒状体の壁部12とが、可撓性を有する連結シート50によって連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品が収容されるケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の物品を輸送等するために、ケース(容器,箱)が使用される場合が多い。
保冷状態・保温状態を維持しつつ搬送するためには、断熱効果を有するケースが使用される。
【0003】
従来の物品収容ケースとしては、例えば、次のようなものがある。
その物品収容ケースは、底部,相対向する一対の第1壁部,相対向する一対の第2壁部,蓋部を有している。それらは、各々、表裏一対の合成樹脂のシートの隙間に断熱材が配設されて形成されている。
底部は長方形状をしている。各第1壁部(その下縁部)は、底部の各短辺に結合されている。各第2壁部(その下縁部)は、底部の各長辺に結合されている。また、隣接する第1壁部・第2壁部(その側縁部)同士も結合されている。
蓋部(その一縁部)は、一方の第2壁部(その上縁部)に対して開閉可能に設けられている。
【0004】
ところで、物品収容ケース内に収容される物品については、それが少ない又は小さい場合(全体としての体積が小さい場合)がある一方で、多い又は大きい場合(全体としての体積が大きい場合)もある。
そこで、物品が多い又は大きい場合を想定して、大きい物品収容ケース(正確には、容積が大きい物品収容ケース)を用意すると、物品が少ない又は小さい場合には、内部に空きの空間が生じて、省スペースが図れないこととなる。
また、種々の大きさ(容積)の物品収容ケースを用意しておくのも効率が悪い。
【0005】
なお、本発明に関連する技術分野において、特許文献1に開示された先行技術も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−11865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、大きさ(容積)を変化させることができる物品収容ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、請求項1に係る発明は、内側の収容空間に物品が収容される物品収容ケースであって、複数の筒状体を有し、前記すべての筒状体は、相互に対応する横断面形状を有し、前記複数の筒状体のうち最先順の筒状体には底部が設けられており、前記複数の筒状体における隣順の2つの筒状体からなる組み合わせのすべてにおいて、先順の筒状体の横断面が後順の筒状体の横断面の内部に収容され得る関係にあるとともに、先順の筒状体と後順の筒状体とが、両者がほぼ同一高さ位置に位置する略同一高さ関係と、後順の筒状体が先順の筒状体よりも高い位置に位置する後順高位置関係との間を相対的に変位可能に、当該先順の筒状体と当該後順の筒状体とが、可撓性を有する連結材によって連結されている、物品収容ケースである。
【0009】
「両者がほぼ同一高さ位置に位置する」には、「両者が同一高さ位置に位置する」も含まれるものとする。
「連結材」には、シート状のものの他、紐状のもの等が適用され得る。
【0010】
筒状体の高さについては、すべての筒状体がほぼ同一(同一を含む)の高さを有している態様が代表例であるが、それに限らず、すべて又は一部の筒状体が、他の筒状体と異なる高さを有していてもよい。
その場合は、隣接する2つの筒状体の組み合わせにおける「両者がほぼ同一高さ位置に位置する略同一高さ関係」「後順の筒状体が先順の筒状体よりも高い位置に位置する後順高位置関係」については、各々の所定の高さ部位を基準に判断されることとなる。
【0011】
この発明の物品収容ケースでは、次の作用効果が得られる。
この物品収容ケースでは、複数の筒状体における隣順の2つの筒状体からなる組み合わせのすべてにおいて、先順の筒状体と後順の筒状体とは、連結材によって連結されつつ、略同一高さ関係(両筒状体がほぼ同一高さ位置に位置する関係)と後順高位置関係(後順の筒状体が先順の筒状体よりも高い位置に位置する関係)との間を相対的に変位可能である。
このため、隣順の2つの筒状体からなる組み合わせの各々において、両筒状体がいずれかの高さ関係となることによって、物品収容ケース全体としての高さが変化することとなる。
このようにして、この物品収容ケースでは、収容される物品(その合計)の体積(高さ)に応じて、高さを調整することが可能となる。
すなわち、収容される物品(その合計)の体積が大きい(高さが高い)場合には、全体の高さが高い状態とされることによって、その物品を収容することが可能であるとともに、収容される物品(その合計)の体積が小さい(高さが低い)場合には、全体の高さが低い状態とされることによって、省スペースが図られることになる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の物品収容ケースであって、前記複数の筒状体は、各々、複数の壁部を有する角筒状をなし、前記連結材は、前記複数の筒状体における隣順の2つの筒状体からなる組み合わせのすべてにおいて、先順の筒状体の壁部の幅にほぼ対応する幅を有する連結シートである、物品収容ケースである。
【0013】
「ほぼ対応する」には「対応する」も含まれるものとする。
連結シート(連結材)については、角筒状の筒状体のすべての壁部に対応する態様に限らず、一部の壁部に対応する態様もあり得る。
すなわち、筒状体が長方形断面を有する四角筒状の場合、一対の長辺及び一対の短辺のすべてに対応する態様に限らず、一対の長辺又は一対の短辺のみに対応する態様もあり得る。
【0014】
この発明の物品収容ケースでは、請求項1に係る発明の物品収容ケースの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この物品収容ケースでは、連結材が、複数の筒状体における隣順の2つの筒状体からなる組み合わせのすべてにおいて、先順の筒状体の壁部の幅に少なくともほぼ対応する幅を有する連結シートである。
このため、この連結シートによって、両筒状体が確実に連結される。
また、仮に、後順の筒状体の下縁部が先順の筒状体の上縁部よりも高い位置にも位置し得る態様の場合でも、連結シートがすべての壁部に対応する態様の場合には、隣接する連結シートの間から収容された物品が抜け出る(物品収容ケースの内部から脱落する)おそれが低いこととなる。
【0015】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る発明の物品収容ケースであって、前記複数の筒状体における隣順の2つの筒状体からなる組み合わせのすべてにおいて先順の筒状体と後順の筒状体とが前記略同一高さ関係にある基本状態において、前記複数の筒状体のうち最後順の筒状体と最先順の筒状体とを相対的変位不能に結合する結合材が設けられている、物品収容ケースである。
【0016】
この発明の物品収容ケースでは、請求項1又は請求項2に係る発明の物品収容ケースの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この物品収容ケースが基本状態(複数の筒状体における隣順の2つの筒状体からなる組み合わせのすべてにおいて、先順の筒状体と後順の筒状体とが略同一高さ関係にある状態)の際において、結合材によって最後順の筒状体と最先順の筒状体とが相対的変位不能に結合されることによって、複数の筒状体における隣順の2つの筒状体からなる組み合わせのすべてにおいて、後順の筒状体が先順の筒状体よりも高い位置に変位することが防止される。
こうして、この物品収容ケースは、基本状態に維持されることとなる。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに係る発明の物品収容ケースであって、前記複数の筒状体のうち最後順の筒状体には、その内部空間を遮る状態と遮らない状態との間を変位可能に遮障材が設けられている、物品収容ケースである。
【0018】
この発明の物品収容ケースでは、請求項1〜請求項3のいずれかに係る発明の物品収容ケースの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この物品収容ケースがいずれかの昇伸状態(すなわち、少なくとも、最後順の筒状体が最先順の筒状体よりも高い位置に位置する状態)の際に、遮障材が最後順の筒状体の内部空間を遮る状態とされることによって、その遮障材が収容された物品の上部に当接し、最後順の筒状体が下降することが防止される。
こうして、この物品収容ケースは、その所定の昇伸状態に維持される。
【0019】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明の物品収容ケースであって、前記遮障材は、前記最後順の筒状体の内部のうちの相反する位置に設けられた一対の紐材である、物品収容ケースである。
【0020】
この発明の物品収容ケースでは、請求項1〜請求項3のいずれかに係る発明の物品収容ケースの作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
すなわち、この物品収容ケースでは、一対の紐材同士が結合されることによって、その結合された両紐材が最後順の筒状体の内部空間を遮る状態となり、収容された物品の上部にその紐材が当接し、最高順の筒状体が下降することが防止される。
こうして、この物品収容ケースは、容易に所定の昇伸状態に維持される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例の物品収容ケースを示す斜視図である。基本状態を示す。
【図2】本発明の一実施例の物品収容ケースを示す斜視図である。最大限の昇伸状態を示す。
【図3】本発明の一実施例の物品収容ケースを示す分解斜視図(そのうち、昇伸状態の際に上側に位置する要素を示す図)である。
【図4】本発明の一実施例の物品収容ケースを示す分解斜視図(そのうち、第1筒状体及び第4筒状体を示す図)である。
【図5】本発明の一実施例の物品収容ケースにおける第3筒状体及び第4筒状体等の位置関係を示す部分拡大縦断面図である。(a)は、略同一高さ関係の状態を示し、(d)及び(e)は、最大限の後順高位置関係の状態を示す。(b)及び(c)は、その間の状態を示す。(e)は、第4筒状体及び第3筒状体が一体となって上昇した状態を示す。
【図6A】本発明の一実施例の物品収容ケースを示す縦断面図である。基本状態を示す。
【図6B】本発明の一実施例の物品収容ケースを示す縦断面図である。中程度の昇伸状態を示す。
【図6C】本発明の一実施例の物品収容ケースを示す縦断面図である。最大限の昇伸状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の一実施例である物品収容ケースについて、図面に基づいて説明する。なお、その物品収容ケースが水平面に載置された状態に基づいて説明する。
【0023】
図1〜図4に示すように、この物品収容ケースは、4つの筒状体(第1〜第4筒状体)10A〜10D,3組の連結シート50(連結材)を有している。
この物品収容ケースでは、4つの筒状体(第1〜第4筒状体)10A〜10Dがいわゆる「いれこ」状態に組み合わされている。
そして、この物品収容ケースは、基本状態(図1,図6A)と最大限の昇伸状態と(図2,図6C)との間(その中間の状態を含む)を変相可能である。
【0024】
図2及び図6Cに示すように、第1筒状体(最先順の筒状体)10Aは、この物品収容ケースが昇伸状態の際に最も下に位置する筒状体である。図1及び図4に示すように、第1筒状体10Aには、底部20が設けられている。
図2及び図6Cに示すように、第2筒状体10B,第3筒状体10Cは、この物品収容ケースが昇伸状態の際に、下から2番目,3番目に位置する筒状体である。
第4筒状体(最後順の筒状体)10Dは、この物品収容ケースが昇伸状態の際に、最も上に位置する筒状体である。図1及び図3等に示すように、第4筒状体10Dには、蓋部40が開閉可能に設けられている。
【0025】
図1〜図4に示すように、4つのすべての筒状体(第1〜第4筒状体)10A〜10Dは四角筒状をしており、相互に対応する長方形状の横断面形状を有している。
すなわち、各筒状体10A〜10Dは、2対の壁部12(一対の長辺壁部12a,一対の短辺壁部12b)を有している。
すべての筒状体10A〜10Dは、ほぼ同一の高さを有している。
【0026】
次に、4つのすべての筒状体(第1〜第4筒状体)10A〜10Dのうちの隣順の2つの筒状体の関係について説明する。第3筒状体10Cと第4筒状体10Dとの組み合わせを中心に説明する。
【0027】
図1〜図3,図6A〜図6Cに示すように、第3筒状体(先順の筒状体)10Cの横断面における外側の大きさは、第4筒状体(後順の筒状体)10Dの横断面における内側の大きさよりも若干小さなものとされている。
すなわち、第3筒状体(先順の筒状体)10Cの横断面は、第4筒状体(後順の筒状体)10Dの横断面の内部に収容され得る関係にある。これは、両筒状体10C,10Dを連結する連結シート50(後述)の存在するスペースも考慮した上でのことである。
【0028】
上述のことは、隣順の2つの筒状体からなる他の組み合わせについても同様である。
すなわち、第2筒状体10Bの横断面は、第3筒状体10Cの横断面の内部に収容され得る関係にある。また、第1筒状体10Aの横断面は、第2筒状体10Bの横断面の内部に収容され得る関係にある。
【0029】
図2,図3,図5,図6A〜図6Cに示すように、第3筒状体10Cと第4筒状体10Dとは、4枚(2対)1組の連結シート50(50a,50b)によって連結されている。
すべての連結シート50は、合成樹脂によって形成され、可撓性を有している。すべての連結シート50は、矩形状をしている。連結シート50が本発明の連結材に該当する。
【0030】
図2及び図3に示すように、一方の一対の連結シート50aは、第3筒状体10Cの一対の長辺壁部12aと第4筒状体10Dの一対の長辺壁部12aとを各々連結している。
その各連結シート50aの幅は、第3筒状体10Cの各長辺の長さ(各長辺壁部12aの幅)にほぼ対応している(正確には、連結シート50aの幅の方が若干短い)。
他方の一対の連結シート50bは、第3筒状体10Cの一対の短辺壁部12bと第4筒状体10Dの一対の短辺壁部12bとを各々連結している。
その各連結シート50bの幅は、第3筒状体10Cの各短辺の長さ(各短辺壁部12bの幅)に対応している(正確には、連結シート50bの幅の方が若干短い)。
【0031】
図2及び図5に示すように、各連結シート50の一端部(基端部)は、第3筒状体(先順の筒状体)10Cの各壁部12の外面の上縁部近傍に結合されている。
各連結シート50の他端部(先端部)は、第4筒状体(後順の筒状体)10Dの各壁部12の内面のほぼ中央高さ部分に結合されている。
【0032】
図3及び図5に示すように、各連結シート50の長さ(高さ)は、各筒状体10A〜10D(図2,図6A〜図6Cも参照)の高さのほぼ半分である。
正確には、各連結シート50のうち、第3筒状体10C及び第4筒状体10Dに対する結合のための結合代(しろ)(いずれも図3において二点鎖線で示す)を除いた部分、すなわち、両結合代(しろ)の間の部分の長さ(高さ)が、各筒状体10A〜10Dの高さのほぼ半分(半分より若干短い)である。
【0033】
こうして、図5に示すように、隣順の2つの筒状体の組み合わせである第3筒状体(先順の筒状体)10Cと第4筒状体(後順の筒状体)10Dとは、略同一高さ関係(図5(a))と最大限の後順高位置関係(図5(d)(e))との間を相対的に変位可能である。
【0034】
図5(a)に示すように、略同一高さ関係とは、第3筒状体(先順の筒状体)10Cと第4筒状体(後順の筒状体)10Dとがほぼ同一高さ位置に位置する関係である。
図5(b)〜(e)に示すように、後順高位置関係とは、第4筒状体(後順の筒状体)10Dが第3筒状体(先順の筒状体)10Cよりも高い位置に位置する関係である。
【0035】
図5(a)に示すように、第3筒状体10Cと第4筒状体10Dとが略同一高さ関係の状態においては、両筒状体10C,10Dを連結する各連結シート50の基端部(第3筒状体10Cと結合されている部分)は、その先端部(第4筒状体10Dと結合されている部分)よりも高い位置に位置する。その状態で、各連結シート50は、ほぼ鉛直な平面状となっている。
【0036】
一方、図5(d)及び(e)に示すように、第3筒状体10Cと第4筒状体10Dとが最大限の後順高位置関係の状態においては、両筒状体10C,10Dを連結する各連結シート50の先端部(第4筒状体10Dと結合されている部分)は、その基端部(第3筒状体10Cと結合されている部分)よりも高い位置に位置する。その状態で、各連結シート50は、ほぼ鉛直な平面状となっている。
また、その状態で、第4筒状体10Dの下縁部と第3筒状体10Cの上縁部とがほぼ一致する(第4筒状体10Dの下縁部の方が、第3筒状体10Cの上縁部より若干低い)。
【0037】
また、図5(b)及び(c)に示すように、第3筒状体10Cと第4筒状体10Dとが略同一高さ関係と最大限の後順高位置関係との間(すなわち、中程度の後順高位置関係等)の状態においては、両筒状体10C,10Dを連結する各連結シート50は、その基端部とその先端部との間の部分において折れ曲がった状態となる。
【0038】
上述のことは、隣順の2つの筒状体からなる他の組み合わせについても同様である。
すなわち、図6A〜図6Cに示すように、第2筒状体10Bと第3筒状体10Cとは、4枚(2対)1組の連結シート50によって連結されている。
また、第1筒状体10Aと第2筒状体10Bとは、4枚(2対)1組の連結シート50によって連結されている。
【0039】
図1,図2,図4に示すように、第1筒状体10Aの各長辺壁部12aの外面には、各々、結合片22が設けられている。各結合片22は、その基縁部において、各長辺壁部12aの外面の下縁部(幅方向におけるほぼ中央部)に対して回動可能(姿勢変位可能)に結合されている。
各結合片22の幅は、第1筒状体10Aの各長辺の長さ(各長辺壁部12aの幅)にほぼ対応している。
図4に示すように、各結合片22の内面には、面ファスナ(オス)23(結合材)が設けられている。
第1筒状体10Aの各長辺壁部12aの外面には、各結合片22の面ファスナ(オス)23に対応して、面ファスナ(メス)24が設けられている。
また、同じく図4に示すように、第1筒状体10Aの各短辺壁部12bの内面のうちの上縁部近傍(短辺壁部12bの幅方向におけるほぼ中央部)には、各々、面ファスナ(メス)27(結合材)が設けられている。
【0040】
図1〜図4に示すように、蓋部40は、その一縁部において、第4筒状体10Dの一方の長辺壁部12aの上縁部に対して回動可能に結合されている。
蓋部40には、蓋本体部42及び折り曲げ部44がある。
蓋本体部42は、第4筒状体10Dの開口部に対応している。折り曲げ部44の内面には、面ファスナ(オス)45が設けられている。
折り曲げ部44の面ファスナ(オス)45に対応して、第4筒状体10Dの他方の長辺壁部12aの外面のうちの上縁部近傍には、面ファスナ(メス)35が設けられている。
【0041】
第4筒状体10Dの各長辺壁部12aの外面のうちの下縁部近傍には、面ファスナ(メス)33(結合材)が設けられている。各面ファスナ(メス)33は、第1筒状体10Aの各結合片22の面ファスナ(オス)23に対応している。
また、第4筒状体10Dの各短辺壁部12bには、各々、結合片36が設けられている。
各結合片36は、可撓性を有するとともに、その基端部において、各短辺壁部12bの上縁部近傍(内面)の中央部(短辺壁部12bの幅方向における中央部)に対して回動可能(姿勢変位可能)に結合されている。
図4に示すように、各結合片36の内面には、面ファスナ(オス)37(結合材)が設けられている。各面ファスナ(オス)37は、第1筒状体10Aの面ファスナ(メス)27に対応している。
【0042】
図1〜図4に示すように、第4筒状体10Dには、一対の紐材60が設けられている。
各紐材60は、その基端部において、第4筒状体10Dの各短辺壁部12bの上縁部近傍(内面)の中央部(短辺壁部12bの幅方向における中央部)に対して取り付けられている。各紐材60は可撓性を有している。この一対の紐材60が本発明の遮障材に該当する。
なお、各紐材60の基端部は各結合片36の基端部よりも上側に位置し、各紐材60及び各結合片36が第4筒状体10Dの内部に位置する状態で、紐材60よりも結合片36の方が下側(短辺壁部12bの内面の側)に位置する。
【0043】
図4に示すように、一方の紐材60の先端部及びその近傍にわたって面ファスナ(オス)61が設けられている。それに対応して、他方の紐材60の先端部及びその近傍にわたって面ファスナ(メス)62が設けられている。
図1及び図3に示すように、両紐材60は、通常においては、重力に基づいて、第4筒状体10Dの各短辺壁部12bの内面(図1)又は外面(図3)にほぼ沿って下方に垂れた状態にある。
一方、図2,図6B(二点鎖線),図6C(実線)に示すように、使用者の操作によって、両紐材60は、第4筒状体10Dの断面を横切った状態で、面ファスナ(オス)61・面ファスナ(メス)62において、着脱可能に相互に結合され得る。
【0044】
次に、この物品収容ケースの使用方法及び作用効果について説明する。
図1及び図6Aに示すように、収容される物品が少ない又は小さい場合(全体としての体積が小さい場合)には、この物品収容ケースは基本状態とされる。
すなわち、隣順の2つの筒状体からなる組み合わせのすべてにおいて、両筒状体が略同位置高さ関係にある。すなわち、第1筒状体10Aと第2筒状体10Bとが略同一高さ関係にあり、第2筒状体10Bと第3筒状体10Cとが略同一高さ関係にあり、第3筒状体10Cと第4筒状体10Dとが略同一高さ関係にある。
こうして、この物品収容ケースの全体としての高さが、第1筒状体10Aの高さとなっている。
【0045】
その状態で、図1に示すように(図4も参照)、第1筒状体10Aの各結合片22(面ファスナ(オス)23)が、第4筒状体10D(面ファスナ(メス)33)に対して結合される。
また、第4筒状体10Dの各結合片36(面ファスナ(オス)37)が、第1筒状体10A(面ファスナ(メス)27)に対して結合される。
このようにして、第1筒状体10Aと第4筒状体10Dとが、相対的変位不能に結合される。
こうして、この物品収容ケースは基本状態に維持される。すなわち、第4筒状体10D等が上方に変位するように操作されても、先順の筒状体に対して相対的に上方に変位することが阻止されている。
【0046】
一方、図2,図6B,図6Cに示すように、収容される物品が多い又は大きい場合(全体としての体積が大きい場合)には、この物品収容ケースは昇伸状態とされる。
その際は、まずは、第1筒状体10Aと第4筒状体10Dとの結合が解除される。
すなわち、図4に示すように、第1筒状体10Aの各結合片22(面ファスナ(オス)23)が、第4筒状体10D(面ファスナ(メス)33)から剥離され、適宜、第1筒状体10A(面ファスナ(メス)24)に対して結合される。また、第4筒状体10Dの各結合片36(面ファスナ(オス)37)が、第1筒状体10A(面ファスナ(メス)27)から剥離される。
【0047】
そして、使用者によって第4筒状体10Dが上方に変位するように操作されることに基づいて、この物品収容ケースは、一般的には、次のように、昇伸状態に変相する。
まず、図5(a)→(b)→(c)→(d)に示すように、第4筒状体10Dが、第1〜第3筒状体10A〜10Cに対して上昇する。
図5(d)に示すように第4筒状体10Dが第3筒状体10Cに対して最も高い位置に位置した(両筒状体10C,10Dが最大限の後順高位置関係となった)後は、次に、図5(e)及び図6Bに示すように、第4筒状体10D及び第3筒状体10Cが一体となって、第1・第2筒状体10A,10Bに対して上昇する。
第3筒状体10Cが第2筒状体10Bに対して最も高い位置に位置した(両筒状体10B,10Cが最大限の後順高位置関係となった)後は、第4筒状体10D〜第2筒状体10Bが一体となって、第1筒状体10Aに対して上昇する。
そして、最終的には、図2及び図6Cに示すように、第2筒状体10Bが第1筒状体に対して最も高い位置に位置する(両筒状体10A,10Bが最大限の後順高位置関係となる)こととなり、この物品収容ケースは最大限の昇伸状態となる。
【0048】
すなわち、図2及び図6Cに示すように、最大限の昇進状態とは、隣順の2つの筒状体からなる組み合わせのすべてにおいて、両筒状体が最大限の後順高位置関係にある状態である。すなわち、第1筒状体10Aと第2筒状体10Bとが最大限の後順高位置関係にあり、第2筒状体10Bと第3筒状体10Cとが最大限の後順高位置関係にあり、第3筒状体10Cと第4筒状体10Dとが最大限の後順高位置関係にある。
そして、この物品収容ケースが最大限の昇伸状態にある際には、この物品収容ケースの全体の高さは、第1〜第4筒状体10A〜10Dの高さの合計とほぼ同一である。
【0049】
なお、上述のように、この物品収容ケースが基本状態から昇進状態に変相する操作が行われる際には、図6Aに示すように、収容される物品(収容される物品のすべてのうちの一部の場合を含む)Bが、この物品収容ケース(第1筒状体10A)に予め収容されていることが有効である。
その場合は、その重みによって、上述の操作の際に、第1筒状体10Aを含んだ物品収容ケース全体が基本状態のまま上昇することが確実に阻止されて、この物品収容ケースは、円滑に昇進状態に変相する。
【0050】
図6B及び図6Cに示すように、この物品収容ケースが基本状態以外の状態の場合、すなわち、最大限の昇伸状態(図6C)、又は、中程度の昇伸状態(図6B)等(基本状態と最大限の昇伸状態との間の状態)の場合には、収容されるべき物品のすべてがこの物品収容ケースに収容された後に、次のようにされる。
すなわち、一対の紐材60が、ほぼ水平に延びた状態で、その面ファスナ(オス)61・面ファスナ(メス)62において相互に結合される。
こうして、結合状態の両紐材60は、ほぼ水平に延びつつ、第4筒状体10Dの断面を横切る状態となる(その状態が図6Bでは二点鎖線で示され、図6Cでは実線で示されている)。
このため、重力に基づいて第4筒状体10Dが下降しようとする際に、その結合状態の紐材60が、収容された物品B(その上部)に対して当接し、第4筒状体10Dが下降することが阻止される。
こうして、この物品収容ケースは、所定の昇進状態に維持される。
【0051】
なお、この物品収容ケースが基本状態から昇進状態に変相される際に、隣順の筒状体間の摩擦によって、前述のようには各筒状体が上昇しない場合もある。
すなわち、例えば、第4筒状体10Dが上昇する際に、第4筒状体10Dが第3筒状体10Cに対して最も高い位置となる(両筒状体10C,10Dが最大限の後順高位置関係となる)前の段階で、第3筒状体10C等も上昇する場合もあり得る。
そのようにして各筒状体が上昇して、この物品収容ケースが最大限ではない昇進状態とされて使用されていた場合においては、その後、震動等によって、中間の筒状体が下降する場合もある。
しかしながら、上述のように結合状態の紐材60によって第4筒状体10Dが下降することは阻止され、この物品収容ケースの全体の高さは、所定のものに維持される。
これも「所定の昇進状態に維持される」の一態様である。
【0052】
また、いずれにおいても、この物品収容ケースに物品が収容された後に、蓋部40(図1,図2等)が閉じられ、折り曲げ部44(面ファスナ(オス)45)が第4筒状体10Dの長辺壁部12a(面ファスナ(メス)35)に対して結合され、この物品収容ケースは閉塞状態とされる。
【0053】
なお、上記のものはあくまで本発明の一実施例にすぎず、当業者の知識に基づいて種々の変更を加えた態様で本発明を実施できることはもちろんである。
【0054】
例えば、上記実施例は、4つの筒状体(10A〜10D)を有するものであるが、筒状体の数は、2つ,3つ、又は5つ以上でもよい。
また、上記実施例における各要素を結合させる面ファスナについては、そのオス・メスが逆にされてもよい。
また、各要素を結合させるものとして、例えば、ホック(フック)等、面ファスナ以外のものが使用されてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10A 第1筒状体(筒状体)
10B 第2筒状体(筒状体)
10C 第3筒状体(筒状体)
10D 第4筒状体(筒状体)
12 壁部 12a 長辺壁部 12b 短辺壁部
20 底部
23 面ファスナ(オス)(結合材)
27 面ファスナ(メス)(結合材)
33 面ファスナ(メス)(結合材)
37 面ファスナ(オス)(結合材)
50(50a,50b) 連結シート(連結材)
60 紐材(遮障材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側の収容空間に物品が収容される物品収容ケースであって、
複数の筒状体を有し、
前記すべての筒状体は、相互に対応する横断面形状を有し、
前記複数の筒状体のうち最先順の筒状体には底部が設けられており、
前記複数の筒状体における隣順の2つの筒状体からなる組み合わせのすべてにおいて、
先順の筒状体の横断面が後順の筒状体の横断面の内部に収容され得る関係にあるとともに、
先順の筒状体と後順の筒状体とが、両者がほぼ同一高さ位置に位置する略同一高さ関係と、後順の筒状体が先順の筒状体よりも高い位置に位置する後順高位置関係との間を相対的に変位可能に、当該先順の筒状体と当該後順の筒状体とが、可撓性を有する連結材によって連結されている、
物品収容ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の物品収容ケースであって、
前記複数の筒状体は、各々、複数の壁部を有する角筒状をなし、
前記連結材は、前記複数の筒状体における隣順の2つの筒状体からなる組み合わせのすべてにおいて、先順の筒状体の壁部の幅にほぼ対応する幅を有する連結シートである、
物品収容ケース。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の物品収容ケースであって、
前記複数の筒状体における隣順の2つの筒状体からなる組み合わせのすべてにおいて先順の筒状体と後順の筒状体とが前記略同一高さ関係にある基本状態において、前記複数の筒状体のうち最後順の筒状体と最先順の筒状体とを相対的変位不能に結合する結合材が設けられている、
物品収容ケース。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の物品収容ケースであって、
前記複数の筒状体のうち最後順の筒状体には、その内部空間を遮る状態と遮らない状態との間を変位可能に遮障材が設けられている、
物品収容ケース。
【請求項5】
請求項4に記載の物品収容ケースであって、
前記遮障材は、前記最後順の筒状体の内部のうちの相反する位置に設けられた一対の紐材である、
物品収容ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公開番号】特開2010−254311(P2010−254311A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103465(P2009−103465)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(592110808)株式会社吉良紙工 (11)
【Fターム(参考)】