説明

物品収納設備

【課題】一対の昇降体が設定相対高さ関係を維持しながら、分担支持形態にて一対の物品搬送装置によって一つの物品を協同して搬送することができる物品収納設備の提供。
【解決手段】一対の物品搬送装置3が、それらが備える一対の走行体9が走行経路の長手方向に設定間隔を隔て且つそれらが備える一対の昇降体11が設定相対高さ関係となる状態にて一対の昇降体11によって一つの物品Cを分担支持する分担支持形態で、一つの物品Cを協同して搬送自在に構成され、制御手段が、分担支持形態にて一対の物品搬送装置3によって一つの物品Cを協同して搬送する際に、一対の物品搬送装置3における一対の昇降案内マスト10の相対傾き情報に基づいて、一対の昇降体11が設定相対高さ関係を維持すべく、一対の昇降体11の相対昇降速度を調整するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納部を縦横に複数並べて備えた物品収納棚と、前記物品収納棚に沿って形成された走行経路を往復走行自在な走行体及びその走行体に立設された昇降案内マストに沿って形成された昇降経路を昇降自在な昇降体を備えた一対の物品搬送装置と、一対の前記物品搬送装置の夫々における前記走行体の前記走行経路上の走行位置を検出する一対の走行位置検出手段と、一対の前記物品搬送装置の夫々における前記昇降体の前記昇降経路上の昇降位置を検出する一対の昇降位置検出手段と、一対の前記物品搬送装置の夫々における前記走行体の走行作動及び前記昇降体の昇降作動を制御する制御手段とが設けられ、一対の前記物品搬送装置が、それらが備える一対の前記走行体が前記走行経路の長手方向に設定間隔を隔て且つそれらが備える一対の前記昇降体が設定相対高さ関係となる状態にて一対の前記昇降体によって一つの物品を分担支持する分担支持形態で、一つの物品を協同して搬送自在に構成され、前記制御手段が、一対の前記走行位置検出手段及び一対の前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、前記分担支持形態にて一対の前記物品搬送装置によって一つの物品を協同して搬送すべく、一対の前記走行体を設定走行速度パターンにて走行作動させ及び一対の前記昇降体を設定昇降速度パターンにて昇降作動させるように構成されている物品収納設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような物品収納設備は、一対の物品搬送装置が、一対の昇降体によって一つの物品を分担支持する分担支持形態で、一つの物品を協同して搬送することにより、走行経路の長手方向に沿って長尺な物品でも搬送できるものである。
【0003】
従来の物品収納設備では、制御手段が、一対の走行位置検出手段及び一対の昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、分担支持形態にて一対の物品搬送装置によって一つの物品を協同して物品搬送箇所に搬送すべく、一対の走行体を設定走行速度パターンにて走行作動させ及び一対の昇降体を設定昇降速度パターンにて昇降作動させるように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0053450号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の物品搬送設備では、分担支持形態にて一対の前記物品搬送装置によって一つの物品を協同して搬送する際に、制御手段が、単に、一対の昇降体を設定昇降速度パターンにて昇降作動させているだけであるので、一対の昇降体が設定相対高さ関係を維持できない虞がある。
説明すると、一対の昇降案内マストの相対傾きがあると、一対の昇降体を同じ高さから同じ昇降距離だけ昇降させても、一対の昇降体に上下方向での高低差が生じることになる。したがって、一対の昇降体を同一の設定昇降速度パターンにて昇降作動させると、一対の昇降体に上下方向での高低差が生じることになり、一対の昇降体が設定相対高さ関係を維持できなくなる。
ここで、設定相対高さ関係とは、例えば、一対の昇降体を同一の高さとする高さ関係であり、一対の昇降体によって一つの物品を適正に分担支持することができるような高さ関係として設定されており、この設定相対高さ関係を維持できなくなると、一対の昇降体によって一つの物品を適正に分担支持できなくなる虞がある。
【0006】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、一対の昇降体が設定相対高さ関係を維持しながら、分担支持形態にて一対の物品搬送装置によって一つの物品を協同して搬送することができる物品収納設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明にかかる物品収納設備の第1特徴構成は、収納部を縦横に複数並べて備えた物品収納棚と、前記物品収納棚に沿って形成された走行経路を往復走行自在な走行体及びその走行体に立設された昇降案内マストに沿って形成された昇降経路を昇降自在な昇降体を備えた一対の物品搬送装置と、一対の前記物品搬送装置の夫々における前記走行体の前記走行経路上の走行位置を検出する一対の走行位置検出手段と、一対の前記物品搬送装置の夫々における前記昇降体の前記昇降経路上の昇降位置を検出する一対の昇降位置検出手段と、一対の前記物品搬送装置の夫々における前記走行体の走行作動及び前記昇降体の昇降作動を制御する制御手段とが設けられ、一対の前記物品搬送装置が、それらが備える一対の前記走行体が前記走行経路の長手方向に設定間隔を隔て且つそれらが備える一対の前記昇降体が設定相対高さ関係となる状態にて一対の前記昇降体によって一つの物品を分担支持する分担支持形態で、一つの物品を協同して搬送自在に構成され、前記制御手段が、一対の前記走行位置検出手段及び一対の前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、前記分担支持形態にて一対の前記物品搬送装置によって一つの物品を協同して搬送すべく、一対の前記走行体を設定走行速度パターンにて走行作動させ及び一対の前記昇降体を設定昇降速度パターンにて昇降作動させるように構成されている物品収納設備において、
前記制御手段が、一対の前記物品搬送装置における一対の前記昇降案内マストの相対傾き情報に基づいて、一対の前記昇降体が設定相対高さ関係を維持すべく、一対の前記昇降体の相対昇降速度を調整するように構成されている点にある。
【0008】
前記分担支持形態にて一対の物品搬送装置によって一つの物品を協同して搬送する際に、一対の昇降案内マストの相対傾きがあると、制御手段は、相対傾き情報に基づいて一対の昇降体の相対昇降速度を調整することになる。そして、制御手段は、一対の昇降体の相対昇降速度を調整するに当り、相対傾き情報に基づいて、一対の昇降体が設定相対高さ関係を維持できるように、一対の昇降体の相対昇降速度を調整するので、一対の昇降体が設定相対高さ関係を維持しながら、一対の昇降体を昇降させることができることになる。
したがって、一対の昇降体が設定相対高さ関係を維持しながら、分担支持形態にて一対の物品搬送装置によって一つの物品を協同して搬送することができる物品収納設備を提供できるに至った。
【0009】
本発明にかかる物品収納設備の第2特徴構成は、前記制御手段が、一対の前記昇降体の一方を前記設定昇降速度パターンにて昇降作動させ且つ一対の前記昇降体の他方を前記設定昇降速度パターンにおける昇降速度を前記相対傾き情報に基づいて調整した調整用設定昇降速度パターンにて昇降作動させる形態で、一対の前記昇降体が設定相対高さ関係を維持すべく、一対の前記昇降体の相対昇降速度を調整するように構成されている点にある。
【0010】
前記制御手段は、一対の昇降体の両方について設定昇降速度パターンにおける昇降速度を相対傾き情報に基づいて調整するのではなく、一対の昇降体の一方については設定昇降速度パターンにて昇降作動させながら、一対の昇降体の他方のみを設定昇降速度パターンにおける昇降速度を相対傾き情報に基づいて調整した調整用設定昇降速度パターンにて昇降作動させることにより、一対の昇降体の相対昇降速度を調整することができる。
したがって、一対の昇降体の相対昇降速度を調整するに当り、一対の昇降体の一方における昇降速度を調整するだけでよく、相対昇降速度を調整するための構成の簡素化を図ることができることになる。
【0011】
本発明にかかる物品収納設備の第3特徴構成は、前記制御手段が、前記分担支持形態にて一対の前記物品搬送装置によって一つの物品を協同して搬送する際に、前記相対傾き情報に基づいて、前記走行経路の長手方向における一対の前記昇降体の間隔を一対の前記昇降体の相対傾きが無いときに一対の前記昇降体によって一つの物品を分担支持する分担支持用間隔に維持すべく、前記走行経路の長手方向における一対の前記走行体の間隔を調整するように構成されている点にある。
【0012】
前記分担支持形態にて一対の物品搬送装置によって一つの物品を協同して搬送する際に、一対の昇降案内マストの相対傾きがあると、一対の昇降体の昇降位置によって走行経路の長手方向における一対の昇降体の間隔が変化することになる。したがって、走行経路の長手方向における一対の昇降体の間隔を分担支持用間隔に維持できず、一対の昇降体によって一つの物品を適正に分担支持できなくなる虞がある。
そこで、分担支持形態にて一対の物品搬送装置によって一つの物品を協同して搬送する際に、一対の昇降案内マストの相対傾きがあると、制御手段が、相対傾き情報に基づいて走行経路の長手方向における一対の走行体の間隔を調整することにより、走行経路の長手方向における一対の昇降体の間隔を調整することになる。そして、制御手段が、走行経路の長手方向における一対の走行体の間隔を調整するに当り、相対傾き情報に基づいて、走行経路の長手方向における一対の昇降体の間隔が分担支持用間隔を維持できるように、走行経路の長手方向における一対の走行体の間隔を調整するので、一対の昇降体によって一つの物品を適正に分担支持できることになる。
【0013】
本発明にかかる物品収納設備の第4特徴構成は、一対の前記走行位置検出手段の夫々が、前記走行経路上の基準走行位置からの前記走行体の走行距離を検出するように構成され、一対の前記昇降位置検出手段の夫々が、前記昇降経路上の基準昇降位置からの前記昇降体の昇降距離を検出するように構成され、前記制御手段が、一対の前記物品搬送装置の夫々について、前記複数の収納部の夫々における複数の目標停止位置に対応する位置に前記昇降体を移動させるべく、一対の前記物品搬送装置の夫々について前記走行体を走行作動させ且つ前記昇降体を昇降作動させたときの一対の前記走行位置検出手段及び一対の前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、前記複数の収納部の夫々における複数の目標停止位置について、一対の前記物品搬送装置の夫々において前記走行体における基準走行位置からの目標走行距離情報及び前記昇降体における基準昇降位置からの目標昇降距離情報を学習し、且つ、その学習した学習情報に基づいて、前記相対傾き情報を求めるように構成されている点にある。
【0014】
前記制御手段が、一対の物品搬送装置の夫々について、複数の収納部の夫々における複数の目標停止位置に対応する位置に昇降体を移動させるべく、一対の物品搬送装置の夫々について走行体を走行作動させ且つ昇降体を昇降作動させたときの一対の走行位置検出手段及び一対の昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、複数の収納部の夫々における複数の目標停止位置について、一対の物品搬送装置の夫々において走行体における基準走行位置からの目標走行距離情報及び昇降体における基準昇降位置からの目標昇降距離情報を学習するので、その学習した学習情報、一対の走行位置検出手段及び一対の昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、一対の物品搬送装置の夫々について、複数の収納部の夫々における複数の目標停止位置に対応する位置に昇降体を移動させるべく、一対の物品搬送装置の夫々について走行体を走行作動させ且つ昇降体を昇降作動させることができる。したがって、一対の物品搬送装置により複数の収納部の夫々に物品を適正に搬送できることになる。
そして、制御手段は、学習情報に基づいて、一対の物品搬送装置の一方における目標走行距離情報と他方における目標走行距離情報とを比較するとともに、一対の物品搬送装置の一方における目標昇降距離情報と他方における目標昇降距離情報とを比較することにより、相対傾き情報を求めることができる。
したがって、複数の収納部の夫々に物品を搬送させるためだけでなく、相対傾き情報を求めるためにも学習情報を用いることができ、構成の簡素化を図りながら、相対傾き情報を求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明にかかる物品収納設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
この物品収納設備は、図1及び図2に示すように、物品Bを出し入れする前面が互いに対向するように間隔を隔てて設置した2つの物品収納棚1と、2つの物品収納棚1同士の間に形成した作業通路2の床面に設置した走行レール6に沿って往復移動する物品搬送装置としてのスタッカークレーン3とを設けて構成されている。
【0016】
各物品収納棚1は、棚横幅方向(水平方向)に間隔を隔てて複数立設された前後一対の支柱1aと、前後一対の支柱1aに亘る状態で設けられ物品Bを載置支持する複数の載置支持部1bとから構成されている。
そして、収納部4は、棚横幅方向に隣接する左右一対の載置支持部1bにて1つの物品Bを載置支持するように構成されており、このような収納部4が、縦横に並ぶ方向に複数設けられている。
【0017】
前記物品Bとしては、走行レール6の長手方向に沿って長尺な物品(以下、「長尺物品」と称する)Cと走行レール6の長手方向に沿って短尺な物品(以下、「短尺物品」と称する)Dとがある。
そして、収納部4として、長尺物品Cを収納する複数の長尺用収納部41と短尺物品Dを収納する複数の短尺用収納部42とが設けられている。ちなみに、この実施形態では、長尺用収納部41を棚横幅方向に1列設け、短尺用収納部42を棚横幅方向に複数列設けている。
【0018】
前記走行レール6は、物品収納棚1に沿って形成された走行経路として構成され、作業通路2の床面に設置されており、作業通路2の上方側には、走行レール6と平行となるようにガイドレール7が設けられている。そして、スタッカークレーン3がガイドレール7にて案内されながら走行レール6に沿って走行するように設けられている。
前記走行レール6の一端側には、スタッカークレーン3の作動を制御する制御手段としての地上側コントローラ8が設けられている。前記地上側コントローラ8は、どの収納部4にどの物品Bを収納しているか及びどの収納部4に物品Bが収納されているかなどの収納情報を管理している。
【0019】
前記走行レール6の長手方向において物品収納棚1に隣接する位置には、物品収納棚1に入庫する物品Bや物品収納棚1から出庫した物品Bを支持する荷載置台5が設けられている。そして、荷載置台5は、走行レール6の長手方向において、物品収納棚1の一方側のみに配置されている。
前記荷載置台5は、走行レール6を挟んで一対設けられている。そして、荷載置台5として、長尺物品Cを支持する長尺用荷載置台51と、短尺物品Dを支持する短尺用荷載置台52とが設けられている。前記長尺用荷載置台51が短尺用荷載置台52よりも走行レール6の長手方向において地上側コントローラ8に近接する側に配設されている。前記短尺用荷載置台52は、走行レール6の長手方向に沿って並ぶ状態で2つ設けられ、地上側コントローラ8に近接する側に位置するものを第1短尺用荷載置台52aとし、物品収納棚1に近接する側に位置するものを第2短尺用荷載置台52bとしている。
【0020】
前記スタッカークレーン3は、同一の走行レール6を走行するように走行レール6の長手方向に並ぶ状態で2台設けられている。この実施形態では、2台のスタッタークレーン4の走行レール6の長手方向に沿う並び順序において、荷載置台5に近接する側に位置するものを第1スタッカークレーン3aとし、物品収納棚1に近接する側に位置するものを第2スタッカークレーン3bとして説明する。
【0021】
2台のスタッカークレーン3の夫々は、図3に示すように、走行レール6に沿って往復走行自在な走行台車9、その走行台車9に立設された昇降案内マスト10に沿って昇降自在な昇降台11、その昇降台11に装着された物品移載装置12を備えて構成されている。前記走行台車9が走行体として構成され、昇降台11が昇降体として構成されている。そして、物品移載装置12としては、例えば、フォークを出退させることにより物品を移載自在なフォーク式の物品移載装置が適応可能である。
【0022】
2台のスタッカークレーン3の夫々には、単一の昇降案内マスト10が設けられており、この単一の昇降案内マスト10は、走行レール6の長手方向に隣り合うスタッカークレーン3から離れる側の走行台車9の端部部分に立設されている。そして、昇降案内マスト10の上端部には、ガイドレール7にて案内されるように上部フレーム13が設けられている。
【0023】
前記昇降台11は、走行台車9に立設した昇降案内マスト10にて昇降自在に案内支持されており、昇降用ワイヤ14にて吊下げ支持されている。
前記昇降用ワイヤ14は、上部フレーム13に設けた案内プーリ15と一方の昇降案内マスト10に設けた案内プーリ16とに巻き掛けられて、走行台車9の一端に装備した巻き取りドラム17に連結されている。
そして、巻き取りドラム17をインバータ式の昇降用電動モータ18にて正逆に回転駆動させて、昇降用ワイヤ14の繰り出し操作又は巻き取り操作によって昇降台11を昇降させるように構成されている。
【0024】
前記昇降台11には、昇降台11の昇降位置を検出する昇降用ロータリエンコーダ19が設けられている。この昇降用ロータリエンコーダ19は、昇降案内マスト10の長手方向における基準昇降位置からの昇降台11の昇降距離を検出する昇降位置検出手段として構成されている。
前記基準昇降位置は、昇降台11が昇降案内マスト10の最下端に位置するときの位置に定められている。この基準昇降位置については、図示は省略するが、昇降台11側に装備のリミットスイッチなどの検出体にて走行台車9側に装備の被検出ドグを検出することにより基準昇降位置を検出するようにしている。そして、昇降用ロータリエンコーダ19の回転軸には、昇降案内マスト10の長手方向に沿って設けられたチェーンに歯合するスプロケットが設けられ、基準昇降位置を検出してからの昇降台11の昇降距離を検出している。
【0025】
2台のスタッカークレーン3の夫々において、走行台車9には、走行レール6の長手方向に間隔を隔てて前後一対の走行車輪20が配置されている。前後一対の走行車輪20の夫々には、走行レール6に対して下方側から接触することにより、走行レール6に対して上方への移動が規制されるように接触して走行車輪20の走行レール6からの浮上を規制するバックアップローラ29が設けられている。
【0026】
前後一対の走行車輪20のうち、走行レール6の長手方向に隣り合うスタッカークレーン3から離れる側に位置する走行車輪20aを駆動するインバータ式の走行用電動モータ21が設けられ、この走行車輪20aが推進用の走行車輪として構成されている。一対の走行車輪20のうち、走行レール6の長手方向に隣り合うスタッカークレーン3に近い側に位置する走行車輪20bが遊転自在な従動車輪として構成されている。
【0027】
前記走行レール6の長手方向の両端部には、図1及び図3に示すように、走行レール6の長手方向に測距用のビーム光を投射する走行用レーザ測距計22が1つずつ設けられている。前記走行用レーザ測距計22は、走行台車9に設置されている反射体23に向けて投射して自己の設置位置から走行台車9までの距離を検出している。そして、走行レール6の長手方向において地上側コントローラ8に近接する側の端部に配置された第1走行用レーザ測距計22aは、第1スタッカークレーン3aにおける走行台車9の走行位置を検出する。また、走行レール6の長手方向において地上側コントローラ8が位置する側とは反端側の端部に配置された第2走行用レーザ測距計22bは、第2スタッカークレーン3bにおける走行台車9の走行位置を検出するように構成されている。
【0028】
2台のスタッカークレーン3の夫々には、図4に示すように、走行用電動モータ21を作動させる状態と物品移載装置12を作動させる状態とに切換自在な走行用インバータ24、昇降用電動モータ18を作動させる昇降用インバータ25、昇降用ロータリエンコーダ19の検出情報を出力可能な入出力装置26が設けられている。
【0029】
地上側に設けられた地上側コントローラ8、2台のスタッカークレーン3の夫々に設けられた走行用インバータ24、昇降用インバータ25、入出力装置26の夫々には、通信コントローラ(図示は省略)が備えられている。また、地上側コントローラ8と第1スタッカークレーン3aとの間で情報の授受を行うための第1光伝送装置27と、地上側コントローラ8と第2スタッカークレーン3bとの間で情報の授受を行うための第2光伝送装置28とが設けられている。
【0030】
第1光伝送装置27及び第2光伝送装置28は、地上側の光伝送装置27a,28aとスタッカークレーン3側の光伝送装置27b,28bとの間で光伝送により情報の授受を行うように構成されている。地上側の光伝送装置27a,28aは、図1に示すように、走行レール6の端部に配設されている。第1光伝送装置27における地上側の光伝送装置27aは、第1走行用レーザ測距計22aの側脇に配設され、第2光伝送装置28における地上側の光伝送装置28aは、第2走行用レーザ測距計22bの側脇に配設されている。
【0031】
そして、地上側コントローラ8に備えられた通信コントローラ、走行用インバータ24、昇降用インバータ25及び入出力装置26の夫々に備えられた通信コントローラ、第1光伝送装置27、第2光伝送装置28によって、各種の情報を通信自在とする通信ネットワークが構成されている。
【0032】
前記第1走行用レーザ測距計22a及び第2走行用レーザ測距計22bの検出情報が地上側コントローラ8に入力されており、地上側コントローラ8が、第1スタッカークレーン3aにおける走行台車9の走行位置、及び、第2スタッカークレーン3bにおける走行台車9の走行位置を管理するように構成されている。
また、2台のスタッカークレーン3の夫々に設けられた昇降用ロータリエンコーダ19の検出情報が上述の通信ネットワークを介して地上側コントローラ8に入力されており、地上側コントローラ8が、第1スタッカークレーン3aにおける昇降台11の昇降位置、及び、第2スタッカークレーン3bにおける昇降台11の昇降位置を管理するように構成されている。
そして、地上側コントローラ8は、上述の通信ネットワークを介して、走行用インバータ24及び昇降用インバータ25の作動を制御することにより、2台のスタッカークレーン3の夫々における走行台車9の走行作動、昇降台11の昇降作動及び物品移載装置12の物品移載作動を制御するように構成されている。
【0033】
2台のスタッカークレーン3は、図5に示すように、それらが備える2つの走行台車9が走行レール6の長手方向に設定間隔を隔て且つそれらが備える2つの昇降台11が設定相対高さ関係となる状態にて2つの昇降台11の夫々に装備の2つの物品移載装置12によって1つの長尺物品Cを分担支持する分担支持形態で、1つの長尺物品Cを協同して搬送自在に構成されている。ここで、設定相対高さ関係とは、例えば、2つの昇降台11を同一の高さとする高さ関係であり、2つの昇降台11の夫々に装備の2つの物品移載装置12によって1つの長尺物品Cを適正に分担支持することができるような高さ関係として設定されている。
また、2台のスタッカークレーン3は、図6に示すように、それらが備える2つの昇降台11の夫々に装備の2つの物品移載装置12にて短尺物品Dを各別に支持する各別支持形態で、2つの短尺物品Dを各別に搬送自在に構成されている。
【0034】
複数の収納部4の夫々及び荷載置台5には、スタッカークレーン3にて物品Bの移載を適正に行うための目標停止位置が定められている。そして、目標停止位置は、走行台車9における基準走行位置からの目標走行距離情報及び昇降台11における基準昇降位置からの目標昇降距離情報により定められる。前記基準走行位置は、第1走行用レーザ測距計22aの設置位置としており、基準昇降位置は、上述の如く、昇降台11が昇降案内マスト10の最下端に位置するときの位置としている。
前記地上側コントローラ8は、複数の収納部4の夫々及び荷載置台5における複数の目標停止位置についての目標走行距離情報及び目標昇降距離情報を予め学習しておき、その学習した学習情報に基づいて、スタッカークレーン3にて複数の収納部4及び荷載置台5に物品Bを搬送するように構成されている。
【0035】
前記地上側コントローラ8は、2台のスタッカークレーン3の夫々について、複数の収納部4の夫々及び荷載置台5における複数の目標停止位置に対応する位置に昇降台12に装備の物品移載装置12を移動させるべく、走行台車9を走行作動させ且つ昇降台11を昇降作動させたときの2つの昇降用ロータリエンコーダ19及び2つの走行用レーザ測距計22の検出情報に基づいて、2台のスタッカークレーン3の夫々において目標走行距離情報及び目標昇降距離情報を学習するように構成されている。
【0036】
説明すると、図示は省略するが、2台のスタッカークレーン3の夫々における昇降台11に、各収納部4における載置支持部1bを検出する載置部検出センサと、各収納部4に隣接位置する支柱1aにおける各収納部4の載置支持部1bの設置箇所相当部分を検出する支柱検出センサとを備える。
【0037】
そして、地上側コントローラ8が、各収納部4における載置支持部1bを載置部検出センサにて検出させ、且つ、各収納部4に隣接位置する支柱1aにおける各収納部4の載置支持部1bの設置箇所相当部分を支柱検出センサにて検出させるように、第1スタッカークレーン3aにおける走行台車9を走行作動させ及び昇降台11を昇降作動させる。前記地上側コントローラ8が、支柱検出センサにて支柱1aにおける載置支持部1bの設置箇所相当部分を検出したときの第1走行用レーザ測距計22aの検出情報及び載置支持部検出センサにて載置支持部1bを検出したときの昇降用ロータリエンコーダ19の検出情報に基づいて、第1スタッカークレーン3aにおける複数の目標停止位置についての目標水平移動距離情報および目標昇降移動距離情報を求めるように構成されている。
【0038】
また、地上側コントローラ8は、第1スタッカークレーン3aと同様に、第2スタッカークレーン3bを作動させて、支柱検出センサにて支柱1aにおける載置支持部1bの設置箇所相当部分を検出したときの第2走行用レーザ測距計22bの検出情報及び載置支持部検出センサにて載置支持部1bを検出したときの昇降用ロータリエンコーダ19の検出情報に基づいて、第2スタッカークレーン3aにおける複数の目標停止位置についての目標水平移動距離情報および目標昇降移動距離情報を求めるように構成されている。
このとき、第2走行用レーザ測距計22bは、自己の設置位置からの走行台車9の走行距離を検出するが、走行レール6の長手方向において、第1走行用レーザ測距計22bの設置位置と第2走行用レーザ測距計22bの設置位置との間の距離、及び、2つの走行台車9の長さが予め設定されている。したがって、地上側コントローラ8は、第2走行用レーザ測距計22bの検出情報、第1走行用レーザ測距計22bの設置位置と第2走行用レーザ測距計22bの設置位置との間の距離、及び、2つの走行台車9の長さに基づいて、複数の目標停止位置について、基準走行位置である第1走行用レーザ測距計22bの設置位置からの目標走行距離情報を求めることができる。
【0039】
図7に示すように、地上側コントローラ8は、複数の短尺用収納部42の夫々における複数の目標停止位置Mについての目標走行距離情報(X11〜X32)及び目標昇降距離情報(Y11〜Y32)を、第1スタッカークレーン3a及び第2スタッカークレーン3bの夫々について学習している。そして、複数の長尺用収納部41については、目標停止位置として、第1スタッカークレーン3aにおける第1目標停止位置M1と第2スタッカークレーン3bにおける第2目標停止位置M2とがある。そこで、地上側コントローラ8は、複数の長尺用収納部41の夫々について、複数の第1目標停止位置M1についての第1目標走行距離情報(S1〜S3)及び第1目標昇降距離情報(P1〜P3)、並びに、複数の第2目標停止位置M2についての第2目標走行距離情報(T1〜T3)及び第2目標昇降距離情報(Q1〜Q3)を学習している。
また、図示は省略するが、地上側コントローラ8は、荷載置台5についても、目標停止位置についての目標走行距離情報及び目標昇降距離情報を学習している。
【0040】
そして、地上側コントローラ8は、目標走行距離情報及び目標昇降距離情報を学習した学習情報に基づいて、2台のスタッカークレーン3における2つの昇降案内マスト10の相対傾き情報を求めるように構成されている。
前記地上側コントローラ8は、走行レール6の長手方向において同じ位置にて上下方向に並ぶ複数の短尺用収納部42における複数の目標停止位置Mについての学習情報に基づいて、各目標停止位置において、第1スタッカークレーン3aにおける目標走行距離情報と第2スタッカークレーン3bにおける目標走行距離情報とを比較するとともに、第1スタッカークレーン3aにおける目標昇降距離情報と第2スタッカークレーン3bにおける目標昇降距離情報とを比較することにより、2つの昇降案内マスト10の相対傾き情報を求めるように構成されている。
【0041】
説明を加えると、図8(イ)に示すように、第1スタッカークレーン3aにおける昇降案内マスト10に対して第2スタッカークレーン3bにおける昇降案内マスト10が上方側ほど離れる側に傾斜している場合には、図10(イ)に示すように、第1スタッカークレーン3aにおける目標走行距離情報と目標昇降距離情報とから定まる第1スタッカークレーン3a用の目標停止位置Maと、第2スタッカークレーン3bにおける目標走行距離情報と目標昇降距離情報とから定まる第2スタッカークレーン3b用の目標停止位置Mbとが水平方向及び上下方向に異なる位置となる。そこで、地上側コントローラ8が、各第1スタッカークレーン3a用の目標停止位置Maと各第2スタッカークレーン3b用の目標停止位置Mbとについての水平方向における距離差情報(ΔX1〜ΔX6)及び上下方向における距離差情報(ΔY1〜ΔY6)を求めて、相対傾き情報を求めるようにしている。
図8(ロ)に示すように、第1スタッカークレーン3aにおける昇降案内マスト10に対して第2スタッカークレーン3bにおける昇降案内マスト10が上方側ほど近づく側に傾斜している場合には、図示は省略するが、上述の図8(イ)と同様に、第1スタッカークレーン3a用の目標停止位置Maと第2スタッカークレーン3b用の目標停止位置Mbとが水平方向及び上下方向に異なる位置となるので、上述したのと同様に、地上側コントローラ8が、各第1スタッカークレーン3a用の目標停止位置Maと各第2スタッカークレーン3b用の目標停止位置Mbとについての水平方向における距離差情報及び上下方向における距離差情報を求めて、相対傾き情報を求めるようにしている。
【0042】
また、図9(イ)に示すように、第1スタッカークレーン3aにおける昇降案内マスト10と第2スタッカークレーン3bにおける昇降案内マスト10とがお互いに上方側ほど離れる側に傾斜している場合には、図10(ロ)に示すように、第1スタッカークレーン3a用の目標停止位置Maと第2スタッカークレーン3b用の目標停止位置Mbとが水平方向に異なる位置となる。そこで、地上側コントローラ8は、各第1スタッカークレーン3a用の目標停止位置Maと各第2スタッカークレーン3b用の目標停止位置Mbとについての水平方向における距離差情報(ΔX1〜ΔX6)を求めて、相対傾き情報を求めるようにしている。
図9(ロ)に示すように、第1スタッカークレーン3aにおける昇降案内マスト10と第2スタッカークレーン3bにおける昇降案内マスト10とが上方側ほど近づく側に傾斜している場合には、図示は省略するが、上述の図9(イ)と同様に、第1スタッカークレーン3a用の目標停止位置Maと第2スタッカークレーン3b用の目標停止位置Mbとが水平方向に異なる位置となるので、上述したのと同様に、地上側コントローラ8が、各第1スタッカークレーン3a用の目標停止位置Maと各第2スタッカークレーン3b用の目標停止位置Mbとについての水平方向における距離差情報を求めて、相対傾き情報を求めるようにしている。
【0043】
前記地上側コントローラ8は、図11に示すように、分担支持形態にて2台のスタッカークレーン3によって1つの長尺物品Cを協同して物品受取箇所から物品卸し箇所に搬送する協同搬送処理、及び、図12及び図13に示すように、各別支持形態にて搬送作動するスタッカークレーン3によって1つの短尺物品Dを各別に物品受取箇所から物品卸し箇所に搬送する各別搬送処理を実行可能に構成されている。
【0044】
以下、協同搬送処理について説明する。
長尺物品Cを物品収納棚1に入庫するときには、地上側コントローラ8が、長尺用荷載置台51を物品受取箇所として選択し且つ複数の長尺用収納部41のうちの1つを物品卸し箇所として選択する状態で、協同搬送処理を実行するように構成されている。長尺物品Cを物品収納棚1から出庫するときには、地上側コントローラ8が、複数の長尺用収納部41のうちの1つを物品受取箇所として選択し且つ長尺用荷載置台51を物品卸し箇所として選択する状態で、協同搬送処理を実行するように構成されている。
【0045】
前記地上側コントローラ8は、まず、2つの昇降用ロータリエンコーダ19及び2つの走行用レーザ測距計22の検出情報に基づいて、物品受取箇所における目標停止位置に2つの物品移載装置12を移動させて、物品受取箇所から2つの物品移載装置12によって分担支持形態にて長尺物品Cを受け取るべく、物品移載装置12を物品移載作動させるように構成されている。
そして、地上側コントローラ8は、物品受取箇所から長尺物品Cを受け取ると、2つの昇降用ロータリエンコーダ19及び2つの走行用レーザ測距計22の検出情報に基づいて、物品卸し箇所における目標停止位置に分担支持形態にて2つの物品移載装置12を移動させるべく、2つの走行台車9を設定走行速度パターンにて走行作動させる協同用走行制御及び2つの昇降台11を設定昇降速度パターンにて昇降作動させる協同用昇降制御を行い、且つ、分担支持形態にて2つの物品移載装置12によって物品卸し箇所に長尺物品Cを移載すべく、物品移載装置12を物品移載作動させる協同用移載制御を行うように構成されている。
このとき、地上側コントローラ8が、協同用昇降制御と協同用走行制御とを併行して行い、2つの昇降台11の昇降と2つの走行台車9の走行とを併行して行う状態で、長尺物品Cを物品受取箇所から物品卸し箇所に搬送するように構成されている。
【0046】
前記協同用昇降制御について説明する。
前記地上側コントローラ8は、昇降用ロータリエンコーダ19の検出情報から求めた昇降速度が設定昇降速度パターンにしたがって推移すべく、通信ネットワークを介して目標昇降速度を指令する昇降速度指令情報を設定時間が経過するごとに昇降用インバータ25に指令する。そして、昇降用インバータ25は、昇降台11の昇降速度が昇降速度指令情報にて指令された目標昇降速度になるように昇降用電動モータ18に与える電流値を調整する。
その後、地上側コントローラ8は、昇降用ロータリエンコーダ19の検出情報に基づいて、昇降台11における基準昇降位置からの昇降距離が物品卸し箇所における目標停止位置について学習した目標昇降距離情報になると、通信ネットワークを介して昇降用インバータ25に昇降停止指令を与える。そして、昇降用インバータ25は、昇降停止指令により、昇降用電動モータ18の作動を停止させ且つブレーキをかけて、昇降台11の昇降作動を停止させる。
【0047】
前記設定昇降速度パターンは、図14に示すように、昇降台11の目標昇降速度を時間経過に対応させた状態で定めたものである。設定加速度α、定常速度、設定減速度β、停止用速度は、予め実験などにより定めた設定値である。
前記昇降台11を昇降させるときには、その初期においては昇降台11の昇降速度を設定加速度で定常速度に増速し、その後においてはその昇降速度を定常速度に維持する。そして、昇降台11の昇降を開始してからの経過時間が減速開始用経過時間に達すると、昇降速度を設定減速度で停止用速度(クリープ速度)に減速し、その後においては昇降速度を停止用速度に維持し、昇降台11が目的の昇降位置に到達することにより昇降台11の昇降を停止させる。
【0048】
図8に示すように、2つの昇降案内マスト10の相対傾きが有るときには、第1スタッカークレーン3aにおける昇降台11を昇降させる第1昇降距離Vと第2スタッカークレーン3bにおける昇降台11を昇降させる第2昇降距離Wとに差が生じるので、2つの昇降台11を設定昇降速度パターンにて昇降作動させると、2つの昇降台11が設定相対高さ関係を維持できなくなる。
そこで、地上側コントローラ8は、協同用昇降処理において、2つの昇降案内マスト10の相対傾き情報に基づいて、2つの昇降台11が設定相対高さ関係を維持すべく、2つの昇降台11の相対昇降速度を調整するように構成されている。
【0049】
前記地上側コントローラ8は、相対傾き情報に基づいて、第1スタッカークレーン3aにおける昇降台11を昇降させる第1昇降距離Vと第2スタッカークレーン3bにおける昇降台11を昇降させる第2昇降距離Wを求めることができる。つまり、地上側コントローラ8は、図7に示すように、複数の第1目標停止位置M1についての第1目標昇降距離情報(P1〜P3)を学習しており、且つ、図10に示すように、相対傾き情報を求めている。したがって、地上側コントローラ8は、複数の第1目標停止位置M1についての第1目標昇降距離情報(P1〜P)に基づいて、第1スタッカークレーン3aにおける昇降台11を昇降させる第1昇降距離Vを求めるようにしている。そして、地上側コントローラ8は、複数の第1目標停止位置M1についての第1目標昇降距離情報(P1〜P)及び相対傾き情報に基づいて、第2スタッカークレーン3bにおける昇降台11を昇降させる第2昇降距離Wを求めるようにしている。
ちなみに、地上側コントローラ8は、複数の第1目標停止位置M1についての第1目標昇降距離情報(Q1〜Q3)を学習していることから、その複数の第1目標停止位置M1についての第1目標昇降距離情報(Q1〜Q3)に基づいて、第2スタッカークレーン3bにおける昇降台11を昇降させる第2昇降距離Wを求めることもできる。
【0050】
そして、地上側コントローラ8は、第1昇降距離Vと第2昇降距離Wとの比である調整比(W/V)を求め、その調整比(W/V)を設定昇降速度パターンにおける昇降速度に掛けることにより、調整用設定昇降速度パターンを求めるように構成されている。図8に示すように、第2昇降距離Wの方が第1昇降距離Vよりも大きくなるときには、図14における点線で示すような調整用設定昇降速度パターンを求める。第2昇降距離Wの方が第1昇降距離Vよりも小さくなるときには、図14における一点鎖線で示すような調整用設定昇降速度パターンを求める。
そして、地上側コントローラ8は、2つの昇降台11の一方を設定昇降速度パターンにて昇降作動させ且つ2つの昇降台11の他方を設定昇降速度パターンにおける昇降速度を相対傾き情報に基づいて調整した調整用設定昇降速度パターンにて昇降作動させる形態で、2つの昇降台11が設定相対高さ関係を維持すべく、2つの昇降台11の相対昇降速度を調整するように構成されている。
【0051】
前記協同用走行制御について説明する。
前記地上側コントローラ8は、走行用レーザ測距計22の検出情報から求めた走行台車9の走行速度が設定走行速度パターンにしたがって推移すべく、通信ネットワークを介して走行用インバータ24に走行用電動モータ21を作動させる状態で目標走行速度を指令する走行速度指令情報を設定時間が経過するごとに指令する。そして、走行用インバータ24は、走行台車9の走行速度が走行速度指令情報にて指令された目標走行速度になるように走行用電動モータ21に与える電流値を調整する。
その後、地上側コントローラ8は、走行用レーザ測距計22の検出情報に基づいて、走行台車9における基準走行位置からの走行距離が物品卸し箇所における目標停止位置について学習した目標走行距離情報になると、通信ネットワークを介して走行用インバータ24に走行停止指令を与える。そして、走行用インバータ24は、走行停止指令により、走行用電動モータ21の作動を停止させ且つブレーキをかけて、走行台車9の走行作動を停止させる。
ちなみに、設定走行速度パターンは、設定昇降速度パターンと同様に、走行台車9の目標走行速度を時間経過に対応させた状態で定めたものであるので、詳細な説明及び図示は省略する。
【0052】
そして、地上側コントローラ8は、上述の如く、走行速度指令情報を設定時間が経過するごとに走行用インバータ24に指令するわけであるが、2つの走行用レーザ測距計22の検出情報に基づいて、走行レール6の長手方向における2つの走行台車9の間隔Fを常時監視して、走行レール6の長手方向における2つの走行台車9の間隔Fが一定間隔となるように、2つの走行台車9の一方に指令する目標走行速度を調整する状態で、2つの走行用インバータ24に走行速度指令情報を指令するように構成されている。
【0053】
説明すると、図15に示すように、地上側コントローラ8は、第1走行用レーザ測距計22aの検出情報に基づいて、第1スタッカークレーン3aの走行台車9における第1走行用レーザ測距計22aの設置位置からの第1走行距離L1を求めることができる。また、地上側コントローラ8は、第2走行用レーザ測距計22bの検出情報に基づいて、第2スタッカークレーン3bの走行台車9における第2走行用レーザ測距計22bの設置位置からの第2走行距離L2を求めることができる。そして、走行レール6の長手方向において、第1走行用レーザ測距計22aの設置位置と第2走行用レーザ測距計22bの設置位置との間の全長距離M、及び、2つの走行台車9の夫々の長さNが予め設定されている。
したがって、地上側コントローラ8は、第1走行距離L1、第2走行距離L2、全長距離M、及び、2つの走行台車9の夫々の長さNから、走行レール6の長手方向における2つの走行台車9の間隔Fを求めることができる。
そして、地上側コントローラ8は、走行レール6の長手方向における2つの走行台車9の間隔Fを常時監視して、走行レール6の長手方向における2つの走行台車9の間隔Fが一定間隔となるように、2つの走行台車9の一方に指令する目標走行速度を調整する状態で、2つの走行用インバータ24に走行速度指令情報を指令するように構成されている。
例えば、走行レール6の長手方向における2つの走行台車9の間隔Fが一定間隔よりも大きくなるときには、地上側コントローラ8は、走行レール6の長手方向における2つの走行台車9の間隔Fが一定間隔となるように、2つの走行台車9の走行方向において後方側に位置する走行台車9に指令する目標走行速度を増加させるように調整する状態で、2つの走行用インバータ24に走行速度指令情報を指令するように構成されている。
【0054】
図8及び図9に示すように、2つの昇降案内マスト10の相対傾きが有るときには、2つの昇降台11の昇降位置によって走行レール6の長手方向における2つの昇降台11の間隔が変化することになる。したがって、地上側コントローラ8は、2つの走行台車9を設定走行速度パターンにて走行作動させるだけでは、走行レール6の長手方向における2つの昇降台11の間隔を分担支持用間隔に維持できない虞がある。
そこで、地上側コントローラ8は、2つの昇降案内マスト10の相対傾き情報に基づいて、走行レール6の長手方向における2つの昇降台11の間隔を2つの昇降案内マスト10の相対傾きが無いときに2つの昇降台11に装備の2つの物品移載装置12によって1つの長尺物品Cを分担支持する分担支持用間隔に維持すべく、走行レール6の長手方向における2つの走行台車9の間隔を調整するように構成されている。
【0055】
前記地上側コントローラ8は、図10に示すように、相対傾き情報を求める際に求めた水平方向における距離差情報(ΔX1〜ΔX6)に基づいて、上下方向に隣接する位置での水平方向における距離差情報の差(例えば、ΔX1とΔX2との差)を水平方向における距離差情報(ΔX1〜ΔX6)の全てについて求めて、図8及び図9に示すように、2つの昇降台11の昇降位置に応じた調整用間隔ΔGを求めるようにしている。図8(イ)に示すものでは、2つの昇降台11を上方側に移動させるほど、走行レール6の長手方向における2つの昇降台11の間隔が大きくなるので、地上側コントローラ8は、2つの昇降台11の昇降位置が上方側になるほど大きくなるように調整用間隔ΔGを求めている。ちなみに、図9では、第1調整用間隔ΔG1と第2調整用間隔ΔG2とを加えたものが調整用間隔ΔG(=ΔG1+ΔG2)となるので、第1調整用間隔ΔG1と第2調整用間隔ΔG2とを別々に図示している。
【0056】
そして、地上側コントローラ8は、図15において説明した如く、走行レール6の長手方向における2つの走行台車9の間隔Fを常時監視しており、その2つの走行台車9の間隔Fを相対傾き情報に基づいて調整することにより、走行レール6の長手方向における2つの昇降台11の間隔を分担支持用間隔に維持するように構成されている。
前記地上側コントローラ8は、走行レール6の長手方向における2つの走行台車9の間隔Fが走行レール6の長手方向における2つの昇降台11の間隔を分担支持用間隔に維持するための間隔となるように、2つの走行台車9の一方に指令する目標走行速度を調整する状態で、2つの走行用インバータ24に走行速度指令情報を指令するように構成されている。
【0057】
図8及び図9に示すように、2つの昇降案内マスト10の相対傾きが有るときにおける協同用昇降制御及び協同用走行制御について説明を加える。
上述の如く、地上側コントローラ8は、第1昇降距離V、第2昇降距離W、及び、調整用間隔ΔGを求めた状態で、協同用昇降制御及び協同用走行制御を行うが、協同用昇降制御と協同用走行制御とを併行して行うことにより、2つの昇降台11の昇降と2つの走行台車9の走行とを併行して行うように構成されている。
そして、地上側コントローラ8は、協同用昇降制御と協同用走行制御とを併行して行うが、目標停止位置に対して2つの物品移載装置12が上下方向よりも水平方向に先に到達すると、地上側コントローラ8は、協同用走行制御を終了させた後にも協同用昇降制御を引き続き行うように構成されている。この場合には、地上側コントローラ8は、協同用昇降制御を引き続き行っているときに、相対傾き情報に基づいて、走行レール6の長手方向における2つの昇降台11の間隔を分担支持用間隔に維持すべく、走行レール6の長手方向における2つの走行台車9の間隔を調整するように構成されている。
【0058】
以下、図8及び図9に示す各場合に分けて、協同用昇降制御及び協同用走行制御について説明を加える。
図8(イ)に示す場合について説明すると、協同用昇降制御では、地上側コントローラ8が、第1昇降距離Vと第2昇降距離Wとから調整用設定昇降速度パターンを求めて、第1スタッカークレーン3aにおける昇降台11を設定昇降速度パターンにて昇降作動させ且つ第2スタッカークレーン3bにおける昇降台11を求めた調整用設定昇降速度パターンにて昇降作動させるように構成されている。そして、協同用走行制御では、地上側コントローラ8が、調整用間隔ΔGに基づいて、走行レール6の長手方向における2つの走行台車9の間隔を2つの昇降台11の昇降位置が上方側になるほど小さくなるように、2つの走行台車9の一方の走行速度を調整する状態で、2つの走行台車9を走行作動させるように構成されている。
【0059】
図8(ロ)に示す場合について説明すると、協同用昇降制御では、地上側コントローラ8が、第1昇降距離Vと第2昇降距離Wとから調整用設定昇降速度パターンを求めて、第1スタッカークレーン3aにおける昇降台11を設定昇降速度パターンにて昇降作動させ且つ第2スタッカークレーン3bにおける昇降台11を求めた調整用設定昇降速度パターンにて昇降作動させるように構成されている。そして、協同用走行制御では、地上側コントローラ8が、調整用間隔ΔGに基づいて、2つの昇降台11の昇降位置が上方側になるほど走行レール6の長手方向における2つの走行台車9の間隔が大きくなるように、2つの走行台車9の一方の走行速度を調整する状態で、2つの走行台車9を走行作動させるように構成されている。
【0060】
図9(イ)に示す場合について説明すると、第1昇降距離Vと第2昇降距離Wとが同じ距離となるので、協同用昇降制御では、地上側コントローラ8が、第1スタッカークレーン3aにおける昇降台11及び第2スタッカークレーン3bにおける昇降台11の両方を設定昇降速度パターンにて昇降作動させるように構成されている。そして、協同用走行制御では、地上側コントローラ8が、調整用間隔ΔG(ΔG1+ΔG2)に基づいて、2つの昇降台11の昇降位置が上方側になるほど走行レール6の長手方向における2つの走行台車9の間隔が小さくなるように、2つの走行台車9の一方の走行速度を調整する状態で、2つの走行台車9を走行作動させるように構成されている。
【0061】
図9(ロ)に示す場合について説明すると、第1昇降距離Vと第2昇降距離Wとが同じ距離となるので、協同用昇降制御では、地上側コントローラ8が、第1スタッカークレーン3aにおける昇降台11及び第2スタッカークレーン3bにおける昇降台11の両方を設定昇降速度パターンにて昇降作動させるように構成されている。そして、協同用走行制御では、地上側コントローラ8が、調整用間隔ΔG(ΔG1+ΔG2)に基づいて、2つの昇降台11の昇降位置が上方側になるほど走行レール6の長手方向における2つの走行台車9の間隔が大きくなるように、2つの走行台車9の一方の走行速度を調整しながら、2つの走行台車9を走行作動させるように構成されている。
【0062】
ちなみに、図示は省略するが、2つの昇降案内マスト10の相対傾きが無いときには、協同用昇降制御では、地上側コントローラ8が、第1スタッカークレーン3aにおける昇降台11及び第2スタッカークレーン3bにおける昇降台11の両方を設定昇降速度パターンにて昇降作動させるように構成されている。そして、協同用走行制御では、地上側コントローラ8が、走行レール6の長手方向における2つの走行台車9の間隔が一定間隔となる状態で、第1スタッカークレーン3aにおける走行台車9及び第2スタッカークレーン3bにおける走行台車9の両方を設定走行速度パターンに基づいて走行作動させるように構成されている。
【0063】
前記協同用移載制御について説明する。
前記地上側コントローラ8は、通信ネットワークを介して、2つの物品移載装置12を同時に物品移載作動させるべく、2台のスタッカークレーン3の夫々における走行用インバータ24に同一の移載指令情報を同一のタイミングで指令する。そして、2台のスタッカークレーン3の夫々における走行用インバータ24は、地上側コントローラ8からの移載指令情報に基づいて、物品移載装置12を作動させる状態に切り換えて物品移載装置12を物品移載作動させる。
このように、地上側コントローラ8から同一の移載指令情報を同一のタイミングにて指令することにより、2台のスタッカークレーン3が、2つの物品移載装置12によって1つの長尺物品Cを分担支持する分担支持形態で、物品卸し箇所に1つの長尺物品Cを移載できるように構成されている。
【0064】
以下、各別搬送処理について説明する。
短尺物品Dを物品収納棚1に入庫するときには、地上側コントローラ8が、短尺用荷載置台52を物品受取箇所として選択し且つ複数の短尺用収納部42のうちの1つを物品卸し箇所として選択する状態で、各別搬送処理を実行するように構成されている。短尺物品Dを物品収納棚1から出庫するときには、地上側コントローラ8が、複数の短尺用収納部42のうちの1つを物品受取箇所として選択し且つ短尺用荷載置台52を物品卸し箇所として選択する状態 で、各別搬送処理を実行するように構成されている。
そして、地上側コントローラ8は、短尺用荷載置台52について、第1短尺用荷載置台52aを第1スタッカークレーン3aにおける物品受取箇所及び物品卸し箇所と選択し、且つ、第2短尺用荷載置台52bを第2スタッカークレーン3bにおける物品受取箇所及び物品卸し箇所と選択するように構成されている。
【0065】
前記地上側コントローラ8は、2台のスタッカークレーン3の一方又は両方を搬送作動するスタッカークレーン3として選択し、その選択したスタッカークレーン3にて短尺物品Dを搬送すべく、2台のスタッカークレーン3の作動を制御するように構成されている。
そして、地上側コントローラ8は、まず、搬送作動するスタッカークレーン3に対応する昇降用ロータリエンコーダ19及び走行用レーザ測距計22の検出情報に基づいて、物品受取箇所における目標停止位置に物品移載装置12を移動させて、物品受取箇所から物品移載装置12によって各別支持形態にて短尺物品Dを受け取るべく、物品移載装置12を物品移載作動させるように構成されている。
そして、地上側コントローラ8は、物品受取箇所から短尺物品Dを受け取ると、搬送作動するスタッカークレーン3における昇降用ロータリエンコーダ19及び走行用レーザ測距計22の検出情報に基づいて、物品卸し箇所における目標停止位置に各別支持形態にて物品移載装置12を移動させるべく、搬送作動するスタッカークレーン3における走行台車9を設定走行速度パターンにて走行作動させ及び搬送作動するスタッカークレーン3における昇降台11を設定昇降速度パターンにて昇降作動させ、且つ、各別支持形態にて搬送作動するスタッカークレーン3における物品移載装置12によって物品卸し箇所に短尺物品Dを移載すべく、物品移載装置12を物品移載作動させるように構成されている。
このとき、地上側コントローラ8が、走行台車9の走行作動と昇降台11の昇降作動とを併行して行い、2つの昇降台11の昇降と2つの走行台車9の走行とを併行して行う状態で、短尺物品Dを物品受取箇所から物品卸し箇所に搬送するように構成されている。
【0066】
また、地上側コントローラ8は、各別搬送処理として、図12に示すように、2つの短尺物品Dを2台のスタッカークレーン3にて同時に入庫及び出庫する同時入出庫処理、及び、図13に示すように、1つの短尺物品Dを1台のスタッカークレーン3にて入庫及び出庫する単独入出庫処理を実行可能に構成されている。
【0067】
前記同時入出庫処理について説明する。
2つの短尺物品Dを2台のスタッカークレーン3にて同時に入庫する場合には、地上側コントローラ8が、第1スタッカークレーン3aに備えさせた物品移載装置12を第1短尺用荷載置台52aにおける目標停止位置に位置させ且つ第2スタッカークレーン3bに備えさせた物品移載装置12を第2短尺用荷載置台52bにおける目標停止位置に位置させて、2つの物品移載装置12にて2つの短尺用荷載置台52から2つの短尺物品Dを同時に受け取り、次に、2台のスタッカークレーン3の夫々に備えさせた物品移載装置12の夫々を異なる物品卸し箇所における目標停止位置に位置させて、物品移載装置12の夫々にて短尺物品Dを短尺用収納部42に卸すべく、2台のスタッカークレーン3の作動を制御するように構成されている。
また、2つの短尺物品Dを2台のスタッカークレーン3にて同時に出庫する場合には、地上側コントローラ8が、2台のスタッカークレーン3の夫々に備えさせた物品移載装置12の夫々を異なる物品受取箇所における目標停止位置に位置させて、2つの物品移載装置12にて異なる短尺用収納部42から2つの短尺物品Dを各別に受け取り、次に、第1スタッカークレーン3aに備えさせた物品移載装置12を第1短尺用荷載置台52aにおける目標停止位置に位置させ且つ第2スタッカークレーン3bに備えさせた物品移載装置12を第2短尺用荷載置台52bにおける目標停止位置に位置させて、2つの物品移載装置12にて2つの短尺用荷載置台52に2つの短尺物品Dを同時に卸すべく、2台のスタッカークレーン3の作動を制御するように構成されている。
【0068】
前記単独入出庫処理について説明する。
前記地上側コントローラ8は、第1スタッカークレーン3aと第2スタッカークレーン3bとのいずれか一方を搬送作動するスタッカークレーン3として選択し、搬送作動するスタッカークレーン3にて短尺物品Dを搬送し、且つ、搬送作動するスタッカークレーン3として選択されないスタッカークレーン3については、搬送作動するスタッカークレーン3が走行する走行範囲外に位置させるべく、2台のスタッカークレーン3の作動を制御するように構成されている。
ちなみに、図11では、第2スタッカークレーン3bを搬送作動するスタッカークレーン3として選択した場合を示している。
【0069】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、地上側コントローラ8が、協同搬送処理において、協同用昇降制御と協同用走行制御とを併行して行うようにしているが、協同用昇降制御を行ったのち協同用走行制御を行う、又は、協同用走行制御を行ったのち協同用昇降制御を行うように、協同用昇降制御及び協同用走行制御の一方を先に行ったのち他方を後に行うようにすることもできる。この場合には、地上側コントローラ8が、協同用走行制御を行う際に、走行レール6の長手方向における2つの走行台車9の間隔を一定間隔に維持すべく、2つの走行台車9を走行作動させ、且つ、協同用昇降制御を行う際に、相対傾き情報に基づいて、走行レール6の長手方向における2つの昇降台11の間隔を分担支持用間隔に維持すべく、走行レール6の長手方向における2つの走行台車9の間隔を調整する。
【0070】
(2)上記実施形態では、地上側コントローラ8が、一対の昇降台11の一方のみを調整用設定昇降速度パターンにて昇降作動させることにより、一対の昇降台11の相対昇降速度を調整するようにしているが、一対の昇降台11の両方について設定昇降速度パターンにおける昇降速度を相対傾き情報に基づいて調整することにより、一対の昇降台11の相対昇降速度を調整するようにしてもよい。
【0071】
(3)上記実施形態では、地上側コントローラ8が、各収納部4における載置支持部1bを載置部検出センサにて検出させ、且つ、各収納部4に隣接位置する支柱1aにおける各収納部4の載置支持部1bの設置箇所相当部分を支柱検出センサにて検出させるように、スタッカークレーン3における走行台車9を走行作動させ及び昇降台11を昇降作動させ、且つ、支柱検出センサにて支柱1aにおける載置支持部1bの設置箇所相当部分を検出したときの走行用レーザ測距計22の検出情報及び載置支持部検出センサにて載置支持部1bを検出したときの昇降用ロータリエンコーダ19の検出情報に基づいて、スタッカークレーン3における複数の目標停止位置についての目標水平移動距離情報および目標昇降移動距離情報を学習するようにしているが、目標水平移動距離情報および目標昇降移動距離情報を学習する構成について他の構成を適応することも可能である。
【0072】
例えば、複数の収納部4の夫々に対して走行レール6の長手方向及び昇降案内マスト10の長手方向での設置位置を目標走行距離情報及び目標昇降距離情報を求めるための設定設置条件に定める状態で複数の学習用マーク体を設置するとともに、その学習用マーク体を検出する学習用マーク体検出手段を物品移載装置12と一体的に移動する状態でスタッカークレーン3に装備する。そして、地上側コントローラ8が、複数の学習用マーク体の全てを学習用マーク体検出手段にて検出するように、スタッカークレーン3を作動させ、且つ、学習用マーク体検出手段にて学習用マーク体を検出したときの走行用レーザ測距計22及び昇降用ロータリエンコーダ19の検出情報に基づいて、複数の学習用マーク体の夫々についての走行レール6の長手方向での基準走行位置からの学習水平距離情報及び昇降案内マスト10の長手方向での基準昇降位置からの学習昇降距離情報を学習し、その学習した学習水平距離情報及び学習昇降距離情報、並びに、設定設置条件に対応する情報に基づいて、目標水平距離情報及び目標昇降距離情報を求めることもできる。
【0073】
(4)上記実施形態では、地上側コントローラ8が、複数の目標停止位置についての目標走行距離情報及び目標昇降距離情報を学習したときの学習情報に基づいて、相対傾き情報を求めるようにしているが、相対傾き情報をどのようにして求めるかは適宜変更が可能である。
【0074】
(5)上記実施形態では、2台のスタッカークレーン3の作動を制御するに当り、1つの地上側コントローラ8を設けているが、2台のスタッカークレーン3の作動をどのような構成にて制御するかは適宜変更が可能である。例えば、地上側コントローラに加えて、2台のスタッカークレーン3の夫々にクレーン側コントローラを備え、地上側コントローラとクレーン側コントローラとの間で各種の情報を通信することにより、2台のスタッカークレーン3の作動を制御することができる。
【0075】
(6)上記実施形態では、走行レール6における走行台車9の走行位置を検出する走行位置検出手段として、走行用レーザ測距計22を例示しているが、例えば、走行台車9の走行に伴って回転自在なロータリエンコーダなどを適応することができ、その他各種の構成を適応することができる。
また、昇降案内マスト10に沿う昇降経路における昇降台11の昇降位置を検出する昇降位置検出手段についても、昇降用ロータリエンコーダ19に限らず、レーザ測距計を適応することができ、その他各種の構成を適応することができる。
【0076】
(7)上記実施形態では、スタッカークレーン3を2台設けた例を示したが、例えば、スタッカークレーン3を4台設けることもでき、スタッカークレーン3の台数は偶数であれば適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】物品収納設備の平面図
【図2】物品収納設備の側面図
【図3】2台のスタッカークレーンの側面図
【図4】物品収納設備の制御ブロック図
【図5】分担支持形態を示す図
【図6】各別支持形態を示す図
【図7】学習した目標走行距離情報及び目標昇降距離情報を示す図
【図8】2つの昇降案内マストの相対傾きがあるときの2台のスタッカークレーンの側面図
【図9】2つの昇降案内マストの相対傾きがあるときの2台のスタッカークレーンの側面図
【図10】2つの昇降案内マストの相対傾きがあるときの学習した目標走行距離情報及び目標昇降距離情報を示す図
【図11】協同搬送処理における動作を示す図
【図12】同時入出庫処理における動作を示す図
【図13】単独入出庫処理における動作を示す図
【図14】設定昇降速度パターンを示す図
【図15】協同搬送処理での2つの走行台車を走行作動させるときの状態を示す図
【符号の説明】
【0078】
1 物品収納棚
3 物品搬送装置
4 収納部
6 走行経路
8 制御手段
9 走行体
10 昇降案内マスト
11 昇降体
19 昇降位置検出手段
22 走行位置検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部を縦横に複数並べて備えた物品収納棚と、
前記物品収納棚に沿って形成された走行経路を往復走行自在な走行体及びその走行体に立設された昇降案内マストに沿って形成された昇降経路を昇降自在な昇降体を備えた一対の物品搬送装置と、
一対の前記物品搬送装置の夫々における前記走行体の前記走行経路上の走行位置を検出する一対の走行位置検出手段と、
一対の前記物品搬送装置の夫々における前記昇降体の前記昇降経路上の昇降位置を検出する一対の昇降位置検出手段と、
一対の前記物品搬送装置の夫々における前記走行体の走行作動及び前記昇降体の昇降作動を制御する制御手段とが設けられ、
一対の前記物品搬送装置が、それらが備える一対の前記走行体が前記走行経路の長手方向に設定間隔を隔て且つそれらが備える一対の前記昇降体が設定相対高さ関係となる状態にて一対の前記昇降体によって一つの物品を分担支持する分担支持形態で、一つの物品を協同して搬送自在に構成され、
前記制御手段が、一対の前記走行位置検出手段及び一対の前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、前記分担支持形態にて一対の前記物品搬送装置によって一つの物品を協同して搬送すべく、一対の前記走行体を設定走行速度パターンにて走行作動させ及び一対の前記昇降体を設定昇降速度パターンにて昇降作動させるように構成されている物品収納設備であって、
前記制御手段が、前記分担支持形態にて一対の前記物品搬送装置によって一つの物品を協同して搬送する際に、一対の前記物品搬送装置における一対の前記昇降案内マストの相対傾き情報に基づいて、一対の前記昇降体が設定相対高さ関係を維持すべく、一対の前記昇降体の相対昇降速度を調整するように構成されている物品収納設備。
【請求項2】
前記制御手段が、一対の前記昇降体の一方を前記設定昇降速度パターンにて昇降作動させ且つ一対の前記昇降体の他方を前記設定昇降速度パターンにおける昇降速度を前記相対傾き情報に基づいて調整した調整用設定昇降速度パターンにて昇降作動させる形態で、一対の前記昇降体が設定相対高さ関係を維持すべく、一対の前記昇降体の相対昇降速度を調整するように構成されている請求項1に記載の物品収納設備。
【請求項3】
前記制御手段が、前記分担支持形態にて一対の前記物品搬送装置によって一つの物品を協同して搬送する際に、前記相対傾き情報に基づいて、前記走行経路の長手方向における一対の前記昇降体の間隔を一対の前記昇降体の相対傾きが無いときに一対の前記昇降体によって一つの物品を分担支持する分担支持用間隔に維持すべく、前記走行経路の長手方向における一対の前記走行体の間隔を調整するように構成されている請求項1又は2に記載の物品収納設備。
【請求項4】
一対の前記走行位置検出手段の夫々が、前記走行経路上の基準走行位置からの前記走行体の走行距離を検出するように構成され、
一対の前記昇降位置検出手段の夫々が、前記昇降経路上の基準昇降位置からの前記昇降体の昇降距離を検出するように構成され、
前記制御手段が、一対の前記物品搬送装置の夫々について、前記複数の収納部の夫々における複数の目標停止位置に対応する位置に前記昇降体を移動させるべく、一対の前記物品搬送装置の夫々について前記走行体を走行作動させ且つ前記昇降体を昇降作動させたときの一対の前記走行位置検出手段及び一対の前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、前記複数の収納部の夫々における複数の目標停止位置について、一対の前記物品搬送装置の夫々において前記走行体における基準走行位置からの目標走行距離情報及び前記昇降体における基準昇降位置からの目標昇降距離情報を学習し、且つ、その学習した学習情報に基づいて、前記相対傾き情報を求めるように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品収納設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2008−63035(P2008−63035A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−240321(P2006−240321)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】