説明

物品搬送装置およびピッキング設備

【課題】搬送中の物品の温度変化を防止でき、物品の品質を適切に維持できる物品搬送装置を提供する。
【解決手段】物品搬送部3は、上面開口部10を有する箱状体11と、箱状体11内の温度を一定に保つ冷却手段23とを備える。箱状体11の上部内には、物品Wを案内する案内体21を上下方向に回動可能に設ける。箱状体11内の下部には、案内体21からの物品Wを受け入れて搬送する搬送手段22を設ける。案内体21は、上方への回動により箱状体11の上面開口部10の下方近傍位置で水平状に位置して物品Wを待機させる待機状態となり、下方への回動により傾斜状に位置して物品Wを搬送手段22に向けて案内する案内状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送中の物品の温度変化を防止でき、物品の品質を適切に維持できる物品搬送装置およびピッキング設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば集品容器を複数のピッキング作業領域に沿って移動させる移動手段と、各ピッキング作業領域毎にそれぞれ設けられ、移動手段にて移動中の集品容器に対して物品を自動的に投入する投入手段とを備えた物品搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−75635号公報(図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そして、近年、例えば物品搬送装置で搬送する物品が冷凍食品である場合等においては、物品の温度変化を防止して品質を維持することが重要な課題となっている。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、物品の温度変化を防止でき、物品の品質を適切に維持できる物品搬送装置およびピッキング設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の物品搬送装置は、上面開口部を有する箱状体と、この箱状体内に設けられ、前記箱状体外から前記上面開口部を介して前記箱状体内に入れられた物品を搬送する搬送手段と、前記箱状体内の温度を一定に保つ温度調整手段とを備えるものである。
【0006】
請求項2記載の物品搬送装置は、上面開口部を有する箱状体と、この箱状体内に設けられ、前記箱状体外から前記上面開口部を介して前記箱状体内に入れられた物品を待機させ、所定時にその物品を案内する案内体と、前記箱状体内に設けられ、前記案内体からの物品を受け入れて搬送する搬送手段と、前記箱状体内の温度を一定に保つ温度調整手段とを備えるものである。
【0007】
請求項3記載の物品搬送装置は、請求項2記載の物品搬送装置において、案内体は、上下方向に回動可能に設けられ、上方への回動により箱状体の上面開口部の下方近傍位置で水平状に位置して物品を待機させる待機状態となり、下方への回動により傾斜状に位置して物品を搬送手段に向けて案内する案内状態となるものである。
【0008】
請求項4記載の物品搬送装置は、請求項2記載の物品搬送装置において、案内体は、箱状体の上面開口部の下方近傍位置で水平状に位置する駆動コンベヤにて構成され、この駆動コンベヤの作動によって物品が搬送手段に向けて案内されるものである。
【0009】
請求項5記載の物品搬送装置は、請求項2ないし4のいずれか一記載の物品搬送装置において、温度調整手段は、箱状体内の温度を予め設定された設定温度に保つ冷却手段であり、前記冷却手段は、冷気吐出口および冷気吸込口を有し、前記冷気吐出口から吐き出された冷気が前記冷気吸込口に向って流れ、この流れる冷気によって案内体にて待機中の物品が冷却されるものである。
【0010】
請求項6記載の物品搬送装置は、請求項5記載の物品搬送装置において、冷気吐出口および冷気吸込口は、案内体にて待機中の物品と同じ高さ位置で、互いに離間対向して開口するものである。
【0011】
請求項7記載の物品搬送装置は、請求項6記載の物品搬送装置において、冷気吐出口から吐き出された冷気は、冷気吸込口に向って搬送手段の搬送方向に沿った方向に案内体上を流れ、この流れる冷気によって案内体にて待機中の物品が冷却されるものである。
【0012】
請求項8記載の物品搬送装置は、請求項6記載の物品搬送装置において、冷気吐出口から吐き出された冷気は、冷気吸込口に向って搬送手段の搬送方向に対して直交する方向に案内体上および前記搬送手段上を流れ、この流れる冷気によって案内体にて待機中の物品および前記搬送手段にて搬送中の物品が冷却されるものである。
【0013】
請求項9記載のピッキング設備は、物品が保管される保管部およびこの保管部の温度を一定に保つ温度調整部を有する物品保管装置と、この物品保管装置の保管部から取り出された物品を搬送する請求項1ないし8のいずれか一記載の物品搬送装置とを具備するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、温度調整手段にて箱状体内の温度が一定に保たれるため、物品の温度変化を防止でき、物品の品質を適切に維持できる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、温度調整手段にて箱状体内の温度が一定に保たれるため、物品の温度変化を防止でき、物品の品質を適切に維持できる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、案内体は、待機状態時に箱状体の上面開口部の下方近傍位置で水平状に位置するため、箱状体内の温度を効率良く一定に保つことができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、案内体は、箱状体の上面開口部の下方近傍位置で水平状に位置する駆動コンベヤにて構成されているため、箱状体内の温度を効率良く一定に保つことができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、冷気吐出口から冷気吸込口に向って流れる冷気によって、案内体にて待機中の物品を効率的に冷却できる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、冷気吐出口および冷気吸込口が案内体にて待機中の物品と同じ高さ位置で互いに離間対向して開口するため、待機中の物品をより一層効率的に冷却できる。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、冷気吐出口から冷気吸込口に向って搬送手段の搬送方向に沿った方向に案内体上を流れる冷気によって、案内体にて待機中の物品を適切に冷却できる。
【0021】
請求項8に係る発明によれば、冷気吐出口から冷気吸込口に向って搬送手段の搬送方向に対して直交する方向に案内体上および搬送手段上を流れる冷気によって、案内体にて待機中の物品および搬送手段にて搬送中の物品を適切に冷却できる。
【0022】
請求項9に係る発明によれば、保管中の物品の温度変化および搬送中の物品の温度変化を防止でき、物品の品質を適切に維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の第1の実施の形態を図1および図2を参照して説明する。
【0024】
図1および図2において、1はピッキング設備で、このピッキング設備1は、互いに離間対向して位置し、物品W、例えば冷凍食品等がケースKに入れられた状態で保管される対をなす物品保管装置である物品保管部2を備えている。そして、互いに離間対向する両物品保管部2間には、オーダ情報に応じて作業者Aによる手作業で物品保管部2から取り出された物品Wをオーダ情報に対応するオーダ単位で搬送する物品搬送装置である物品搬送部3が配設されている。
【0025】
物品保管部2は、物品Wが保管される物品収納空間部である保管部4を備え、この保管部4には枠体5が配設されている。また、枠体5には、物品搬送部3側に向って下り傾斜するフリーローラコンベヤにて構成された傾斜状の複数段、例えば4段の棚体6が設けられている。棚体6の搬送下流側の下端部には、棚体6上に載置された先頭のケースKと当接して棚体6上のケースKの移動を規制するストッパ(図示せず)が設けられている。物品Wが取り出されて空になった先頭のケースKを棚体6上から除去すると、後続のケースKは自重で棚体6上を移動する。棚体6の搬送上流側の上端部に、物品Wが入ったケースKが作業者Bによる手作業によって供給される。また、枠体5の上部には、保管部4の温度を予め設定された設定温度、例えば−25℃に保つ温度調整部である冷却手段7が設けられている。
【0026】
物品搬送部3は、上面開口部10を有する上面開口状の箱状体11を備えている。箱状体11は、上方に向って開口する外形直方体状で、物品搬送部3の搬送方向に長手方向を有する細長い箱形状に形成されている。箱状体11は、矩形状の底板部12と、底板部12の長手方向両端部から上方に向って突出する端板部13,14と、底板部12の幅方向両端部から上方に向って突出する側板部15,16とを有している。
【0027】
そして、箱状体11内の上部における幅方向両端側には、箱状体11外の物品保管部2の保管部4から上面開口部10を介して箱状体11内に入れられた物品Wを上面上に載せた状態で一時的に待機させ、所定時にその物品Wを案内する略板状である矩形板状の複数の回動トレイ等の投入手段である案内体21が設けられている。案内体21は、例えば4つで1組をなして複数組が箱状体11の長手方向に沿って並設されている。また、箱状体11内の下部における幅方向中央部には、案内体21からの物品Wを受け入れこの受け入れた物品Wを箱状体11の長手方向に沿った水平な搬送方向に向けて搬送する搬送手段22が箱状体11の長手方向に沿って設けられている。また、箱状体11内の下部には、箱状体11内の温度を予め設定された設定温度、例えば−25℃に保つ温度調整手段である冷却手段23が設けられている。
【0028】
ここで、搬送手段22は、例えばベルトコンベヤにて構成されており、物品Wを上面の搬送面26に直接載せて搬送する無端状の搬送ベルト27を有している。搬送ベルト27は、互いに離間対向するコンベヤフレーム28間に架設された複数のローラ29に回行可能に掛け渡され、モータ等の駆動源からの動力で回行する。搬送ベルト27の搬送面26は、各オーダ単位ごとに区分けされている。すなわち、搬送手段22の搬送面26は、搬送手段22の搬送方向に並んだ複数のオーダ単位ゾーンで構成されている。コンベヤフレーム28は、搬送ベルト27側に向って下り傾斜する傾斜面部30を有している。搬送手段22の搬送終端部は例えば箱状体11の端板部14に形成された開口部14aに挿通され、この搬送手段22の搬送終端部には次工程の搬送手段の搬送始端部が連設されている。なお、箱状体11の端板部14の開口部14aは、この開口部14aから冷気が逃げないようにゴム板等の弾性板にて覆われている。
【0029】
案内体21は、箱状体11内において搬送手段22の搬送方向に沿った軸方向を有する支軸31を中心として上下方向に回動可能に設けられている。案内体21は、シリンダ等の駆動源からの動力で支軸31を中心として上下方向に回動する。そして、案内体21は、図1に示されるように、上方への回動により箱状体11の上面開口部10の一部の下方近傍位置でその上面開口部10の一部を覆うように水平状に位置して物品Wを上面上に載せた状態で一時的に待機させる待機状態となり、下方への回動により搬送手段22のコンベヤフレーム28の傾斜面部30にて支持されて傾斜状に位置して物品Wを搬送手段22の搬送面26上に向けて案内する案内状態となる。
【0030】
次に、上記ピッキング設備1の作用等を説明する。
【0031】
物品保管部2の保管部4の温度が冷却手段7にて例えば−25℃に保たれ、かつ物品搬送部3の箱状体11内の温度が冷却手段23にて例えば−25℃に保たれた環境下で、ピッキング作業が行われる。
【0032】
作業者Aは、オーダ情報に応じて物品保管部2の棚体6上の保管部4に保管されたケースK内から物品Wを取り出し、物品搬送部3の箱状体11内に位置する水平状の待機状態の案内体21上に載せて、その物品Wを一時的に待機させる。そして、物品Wが待機している案内体21の対応位置に、搬送ベルト27の搬送面26の所望投入領域であるオーダ単位ゾーン、つまり物品Wを投入すべきオーダ単位ゾーンが到達すると、待機状態の案内体21が支軸31を中心として下方に回動して傾斜状の案内状態になる。すると、物品Wは、自重で案内体21上を滑落して搬送手段22の搬送面26上に乗り移る。乗り移った物品Wは、箱状体11内を搬送手段22の搬送面26によって載置搬送される。
【0033】
したがって、物品保管部2による保管中の物品Wの温度変化を防止できるとともに物品搬送部3による搬送中の物品Wの温度変化も防止でき、物品Wの品質を適切に維持でき、また搬送手段22が箱状体11内の下部に設けられているため、搬送中の物品Wが箱状体外の外気の影響を受けにくい。
【0034】
また、物品搬送部3の案内体21は、待機状態時に箱状体11の上面開口部10の下方近傍位置で水平状に位置するため、箱状体11内の冷気等が上面開口部10から箱状体11外に流出するのを案内体21にて抑制でき、箱状体11内の温度を効率良く一定に保つことができる。
【0035】
次に、本発明の第2の実施の形態を図3および図4を参照して説明する。
【0036】
図3および図4に示すピッキング設備1aは、図1および図2に示すピッキング設備1の物品搬送部3とは異なるセンターコンベヤ部としての物品搬送装置である物品搬送部3aを備えている。なお、その他の構成部材はピッキング設備1の構成部材と同一であり、図3および図4に示されていないが、ピッキング設備1aは、ピッキング設備1の物品保管部2と同一構成の物品保管部2を備えている。
【0037】
物品搬送部3aは、互いに隣接して搬送方向に沿って並設された複数の搬送ユニット41を備えている。なお、互いに隣接する搬送ユニット41間には冷気漏れ防止用の連結カバー部材42が配設され、物品搬送部3aの搬送始端位置の搬送ユニット41の開口部43全体が冷気漏れ防止用のカバー部材44にて閉鎖されている。
【0038】
各搬送ユニット41は、搬送方向にやや長手状の底板部46を有し、底板部46の幅方向両端部には側板部47が立設されている。側板部47は、例えば第1垂直板48と、この第1垂直板48の上端から外方に向って突出する水平板49と、この水平板49の外端から上方に向って突出する第2垂直板50とにて構成されている。
【0039】
また、各側板部47の一端部から第1突出板部51が内方つまり対向する側板部47側に向って突出し、各側板部47の他端部から第2突出板部52が内方つまり対向する側板部47側に向って突出し、これら第1突出板部51および第2突出板部52は互いに離間対向している。そして、搬送ユニット41の底板部46、側板部47、第1突出板部51および第2突出板部52と、連結カバー部材42と、カバー部材44とにて、上方に向って開口する上面開口部54を有する上面開口状の箱状体55が構成されている。箱状体55は、上方に向って開口する外形略直方体状で、物品搬送部3aの搬送方向に長手方向を有する細長い箱形状に形成されている。
【0040】
そして、箱状体55内の上部における幅方向両端側には、箱状体55外の物品保管部2の保管部4から上面開口部54を介して箱状体55内に入れられた物品Wを上面上に載せた状態で一時的に待機させ、所定時にその物品Wを案内する略板状の複数の投入手段である案内体56が設けられている。案内体56は、例えば5つで1組をなして複数組が箱状体55の長手方向に沿って並設されている。すなわち、各搬送ユニット41が5つからなる1組の案内体56を搬送方向両側にそれぞれ有し、これら5つの案内体56は、互いに離間対向する第1突出板部51および第2突出板部52間に配設されている。各案内体56は、箱状体55の上面開口部54の両側一部の下方近傍位置で常に水平状に位置する駆動コンベヤ57にて構成されている。駆動コンベヤ57は、例えば複数のローラ58、これらローラ58に掛け渡され回行して物品Wを案内する無端状のベルト59、ベルト59を回行させるモータ等の駆動源等にて構成されている。
【0041】
また、箱状体55内の幅方向中央部には、案内体56である駆動コンベヤ57からの物品Wを受け入れこの受け入れた物品Wを上面の搬送面63に直接載せて箱状体55の長手方向である水平な搬送方向へ搬送しながらセンターリングする搬送手段61が箱状体55の長手方向に沿って箱状体55の一端から他端にわたって設けられている。
【0042】
すなわち、各搬送ユニット41は、正面視で略V字状に位置する1対のベルトコンベヤ等の傾斜駆動コンベヤ62を有し、これら複数対の傾斜駆動コンベヤ62にて搬送手段61が構成されている。各傾斜駆動コンベヤ62は、物品Wを搬送する無端状の搬送ベルト64を有している。搬送ベルト64は、コンベヤフレーム65にて支持された複数のローラ66に回行可能に掛け渡され、モータ等の駆動源からの動力で回行して物品Wを搬送する。搬送手段61の搬送面63は、各オーダ単位ごとに区分けされている。すなわちその搬送面63は、搬送手段61の搬送方向に並んだ複数のオーダ単位ゾーンで構成されている。
【0043】
なお、搬送手段61の搬送終端部は、物品搬送部3aの搬送終端位置の搬送ユニット41の両側の第2突出板部52間の開口部(図示せず)つまり箱状体55の一方の端面で開口する開口部に挿通され、この搬送手段61の搬送終端部には次工程の搬送手段の搬送始端部が連設されている。その箱状体55の開口部は、開口部から冷気が逃げないようにゴム板等の弾性板等にて覆われている。
【0044】
そして、物品搬送部3aでは、箱状体55内の温度が、温度調整手段である冷却手段70にて予め設定された設定温度、例えば−25℃に保たれる構成となっている。
【0045】
冷却手段70は、箱状体55内に冷気を吐き出す冷気吐出口71と、箱状体55内の冷気を吸い込む冷気吸込口72とを有しており、これら冷気吐出口71および冷気吸込口72は、案内体56である駆動コンベヤ57上で待機中の物品Wと同じ高さ位置において互いに離間対向した状態で開口している。なお、ここでいう同じ高さ位置は、略同じ高さ位置も含む意味である。
【0046】
冷気吐出口71は、各搬送ユニット41の第1突出板部51の上端部に水平方向に長孔状に形成され、駆動コンベヤ57側つまり箱状体55内に向って開口している。また、冷気吐出口71は、第1突出板部51内に形成された吐出側冷気流路部(図示せず)に連通され、この吐出側冷気流路部には冷却機本体73から冷気が供給される。
【0047】
冷気吸込口72は、各搬送ユニット41の第2突出板部52の上端部に水平方向に長孔状に形成され、駆動コンベヤ57側つまり箱状体55内に向って開口している。また、冷気吸込口72は、第2突出板部52内に形成された吸込出側冷気流路部(図示せず)に連通され、この吸込側冷気流路部から冷却機本体73へ冷気が戻される。
【0048】
冷却機本体73は、例えば圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器等を有するとともに、冷気吐出口71から冷気を吐き出させかつ冷気吸込口72に冷気を吸い込ませて、冷気を循環させる送風機を有している。
【0049】
そして、冷却機本体73の作動により冷気が吐出側冷気流路部に供給されると、冷気吐出口71から冷気が上面開口部54に吐き出され、この吐き出された冷気は、冷気吸込口72に向って搬送手段61の搬送方向に沿った水平方向に各組の案内体56である駆動コンベヤ57上を流れ、冷気吸込口72に吸い込まれる。この際、冷気吐出口71から冷気吸込口72へ流れる冷気によって駆動コンベヤ57上で待機中の物品Wが冷却される。また、冷気吐出口71から吐き出された冷気の一部は、箱状体55内に供給され、箱状体55内の温度が設定温度、例えば−25℃に保たれる。
【0050】
次に、上記ピッキング設備1aの作用等を説明する。
【0051】
物品保管部2の保管部4の温度が冷却手段7にて例えば−25℃に保たれ、かつ物品搬送部3aの箱状体55内の温度が冷却手段70にて例えば−25℃に保たれた環境下で、ピッキング作業が行われる。
【0052】
作業者Aは、オーダ情報に応じて物品保管部2の棚体6上の保管部4に保管されたケースK内から物品Wを取り出し、物品搬送部3aの箱状体55内に位置する水平状の案内体56である駆動コンベヤ57上に載せて、その物品Wを一時的に待機させる。そして、物品Wが待機している駆動コンベヤ57の対応位置に、搬送手段61の搬送面63の所望投入領域であるオーダ単位ゾーン、つまり物品Wを投入すべきオーダ単位ゾーンが到達すると、駆動コンベヤ57が作動してベルト59が回行する。すると、物品Wは、駆動コンベヤ57のベルト59にて案内されて搬送手段61のオーダ単位ゾーン上に落下して乗り移る。乗り移った物品Wは、オーダ単位に区分けされた状態で箱状体55内を搬送手段61の搬送面63によって搬送され、また搬送されながら搬送面63の幅方向中央にセンターリングされる。
【0053】
そして、このピッキング設備1aによれば、物品保管部2による保管中の物品Wの温度変化を防止できるとともに物品搬送部3による搬送中の物品Wの温度変化も防止でき、物品Wの品質を適切に維持できる。
【0054】
また、物品搬送部3aの案内体56は、箱状体55の上面開口部54の下方近傍位置で水平状に位置する駆動コンベヤ57にて構成されているため、箱状体11内の冷気等が上面開口部54から箱状体55外に流出するのを駆動コンベヤ57にて抑制でき、箱状体55内の温度を効率良く一定に保つことができる。
【0055】
さらに、冷却手段70の冷気吐出口71から冷気吸込口72に向って搬送手段61の搬送方向に沿った方向に駆動コンベヤ57上を流れる冷気によって、駆動コンベヤ57上で待機中の物品Wを適切にかつ効率的に冷却できる。
【0056】
また、冷気吐出口71から冷気吸込口72に向って流れる冷気は、搬送手段61上を横断しないので、搬送手段61にて搬送中の物品Wによる影響を受けず、冷気を冷気吐出口71から冷気吸込口72へスムーズに流すことができる。
【0057】
次に、本発明の第3の実施の形態を図5および図6を参照して説明する。
【0058】
図5および図6に示すピッキング設備1bは、物品搬送部3,3aとは異なるセンターコンベヤ部としての物品搬送装置である物品搬送部3bを備えている。なお、その他の構成部材はピッキング設備1の構成部材と同一であり、図5および図6に示されていないが、ピッキング設備1bは、ピッキング設備1の物品保管部2と同一構成の物品保管部2を備えている。
【0059】
物品搬送部3bは、互いに隣接して搬送方向に沿って並設された複数の搬送ユニット81を備えている。物品搬送部3bの搬送始端位置の搬送ユニット81の開口部82全体は冷気漏れ防止用の一方側カバー部材83にて閉鎖され、物品搬送部3bの搬送終端位置の搬送ユニット81の開口部(図示せず)の一部は、挿通用開口を有する冷気漏れ防止用の他方側カバー部材(図示せず)にて閉鎖されている。
【0060】
また、各搬送ユニット81は、搬送方向にやや長手状の底板部86を有し、底板部86の幅方向両端部には側板部87が立設されている。そして、搬送ユニット81の底板部86および側板部87と、一方側カバー部材83と、他方側カバー部材とにて、上方に向って開口する上面開口部94を有する上面開口状の箱状体95が構成されている。箱状体95は、上方に向って開口する外形略直方体状で、物品搬送部3bの搬送方向に長手方向を有する細長い箱形状に形成されている。
【0061】
そして、箱状体95内の上部における幅方向両端側には、箱状体95外の物品保管部2の保管部4から上面開口部94を介して箱状体95内に入れられた物品Wを上面上に載せた状態で一時的に待機させ、所定時にその物品Wを案内する略板状の複数の投入手段である案内体96が設けられている。案内体96は、例えば5つで1組をなして複数組が箱状体95の長手方向に沿って並設されている。すなわち、各搬送ユニット81が5つからなる1組の案内体96を搬送方向両側にそれぞれ有し、各案内体96は、箱状体95の上面開口部94の両側一部の下方近傍位置で常に水平状に位置する駆動コンベヤ97にて構成されている。駆動コンベヤ97は、ピッキング設備1aの駆動コンベヤ57と同一構成のもので、ローラ98、ベルト99および駆動源等にて構成されている。
【0062】
また、箱状体95内の幅方向中央部には、案内体96である駆動コンベヤ97からの物品Wを受け入れこの受け入れた物品Wを上面の搬送面103に直接載せて箱状体95の長手方向である水平な搬送方向へ搬送しながらセンターリングする搬送手段101が箱状体95の長手方向に沿って箱状体95の一端から他端にわたって設けられている。すなわち、各搬送ユニット81は、正面視で略V字状に位置する1対のベルトコンベヤ等の傾斜駆動コンベヤ102を有し、これら複数対の傾斜駆動コンベヤ102にて搬送手段101が構成されている。各傾斜駆動コンベヤ102は、ピッキング設備1aの傾斜駆動コンベヤ62と同一構成のもので、搬送ベルト104、コンベヤフレーム105、ローラ106および駆動源等にて構成されている。搬送手段101の搬送面103は、各オーダ単位ごとに区分けされている。すなわちその搬送面103は、搬送手段101の搬送方向に並んだ複数のオーダ単位ゾーンで構成されている。
【0063】
なお、搬送手段101の搬送終端部は、箱状体95の他方側カバー部材の挿通用開口に挿通され、この搬送手段101の搬送終端部には次工程の搬送手段の搬送始端部が連設されている。その箱状体55の挿通用開口である開口部は、開口部から冷気が逃げないようにゴム板等の弾性板にて覆われている。
【0064】
そして、物品搬送部3bでは、箱状体95内の温度が、温度調整手段である冷却手段110にて予め設定された設定温度、例えば−25℃に保たれる構成となっている。
【0065】
冷却手段110は、箱状体95内に冷気を吐き出す冷気吐出口111と、箱状体95内の冷気を吸い込む冷気吸込口112とを有しており、これら冷気吐出口111および冷気吸込口112は、案内体96である駆動コンベヤ97上で待機中の物品Wと同じ高さ位置において互いに離間対向した状態で開口している。なお、ここでいう同じ高さ位置は、略同じ高さ位置も含む意味である。
【0066】
冷気吐出口111は、各搬送ユニット81の一方側(例えば図5中、左側)の側板部87の上端部にこの側板部87の略全長にわたって水平方向に長孔状に形成され、箱状体95内に向って開口している。この冷気吐出口111は、一方側の側板部87内に形成された吐出側冷気流路部114に連通され、この吐出側冷気流路部114には冷却機本体113から冷気が供給される。
【0067】
冷気吸込口112は、各搬送ユニット81の他方側(例えば図5中、右側)の側板部87の上端部にこの側板部87の略全長にわたって水平方向に長孔状に形成され、箱状体95内に向って開口している。この冷気吸込口112は、他方側の側板部87内に形成された吸込出側冷気流路部115に連通され、この吸込側冷気流路部115から冷却機本体113へ冷気が戻される。
【0068】
冷却機本体113は、例えば圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器等を有するとともに、冷気吐出口111から冷気を吐き出させかつ冷気吸込口112に冷気を吸い込ませて、冷気を循環させる送風機を有している。
【0069】
そして、冷却機本体113の作動により冷気が吐出側冷気流路部114に供給されると、冷気吐出口111から冷気が上面開口部94に吐き出され、この吐き出された冷気は、冷気吸込口112に向って搬送手段101の搬送方向に対して直交する水平方向に一方側の各組の駆動コンベヤ97上、搬送手段101上、および他方側の各組の駆動コンベヤ97上を順に流れ、冷気吸込口112に吸い込まれる。この際、冷気吐出口111から冷気吸込口112へ流れる冷気によって、駆動コンベヤ97上で待機中の物品Wおよび搬送手段101にて搬送中の物品Wがそれぞれ冷却される。また、冷気吐出口111から吐き出された冷気の一部は、箱状体95内に供給され、箱状体95内の温度が設定温度、例えば−25℃に保たれる。
【0070】
したがって、このような物品搬送部3bを備えたピッキング設備1bであっても、物品保管部2による保管中の物品Wの温度変化を防止できるとともに物品搬送部3による搬送中の物品Wの温度変化も防止でき、物品Wの品質を適切に維持できる等、上記ピッキング設備1aと同様の作用効果を奏することができる。
【0071】
また、物品搬送部3bでは、冷却手段110の冷気吐出口111から冷気吸込口112に向って搬送手段101の搬送方向に対して直交する方向に駆動コンベヤ97上および搬送手段101上を流れる冷気によって、駆動コンベヤ97上で待機中の物品Wおよび搬送手段101にて搬送中の物品Wを適切にかつ効率的に冷却できる。すなわち、冷気吐出口111から冷気吸込口112へ流れる冷気によって、駆動コンベヤ97上で待機している物品Wのみならず、搬送手段101上の物品Wを適切に冷却できる。
【0072】
なお、上記各実施の形態では、冷却手段7,23,70,110を設けて物品保管部2の保管部4および物品搬送部3,3a,3bの箱状体11,55,95内を冷却する構成について説明したが、例えば冷却手段に代えて加熱手段を設けて保管部4および箱状体11,55,95内を温める構成等でもよい。
【0073】
また、各実施の形態の構成を適宜組み合わせてもよく、例えば冷気吐出口および冷気吸込口を有する冷却手段70,110を第1の実施の形態の物品搬送部3に適用した構成や、第2の実施の形態の側板部47の上端部に冷気吐出口および冷気吸込口を形成した構成等でもよい。
【0074】
さらに、第2および第3の実施の形態では、物品搬送部3a,3bを複数の搬送ユニット41,81等を用いて構成したものについて説明したが、例えば物品搬送部3のように物品搬送部3a,3b全体を一体的に構成したものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るピッキング設備の正面図である。
【図2】同上ピッキング設備の平面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るピッキング設備の物品搬送部の正面図である。
【図4】同上物品搬送部の平面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係るピッキング設備の物品搬送部の正面図である。
【図6】同上物品搬送部の平面図である。
【符号の説明】
【0076】
1,1a,1b ピッキング設備
2 物品保管装置である物品保管部
3,3a,3b 物品搬送装置である物品搬送部
7 温度調整部である冷却手段
10,54,94 上面開口部
11,55,95 箱状体
21,56,96 案内体
22,61,101 搬送手段
23,70,110 温度調整手段である冷却手段
W 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開口部を有する箱状体と、
この箱状体内に設けられ、前記箱状体外から前記上面開口部を介して前記箱状体内に入れられた物品を搬送する搬送手段と、
前記箱状体内の温度を一定に保つ温度調整手段と
を備えることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
上面開口部を有する箱状体と、
この箱状体内に設けられ、前記箱状体外から前記上面開口部を介して前記箱状体内に入れられた物品を待機させ、所定時にその物品を案内する案内体と、
前記箱状体内に設けられ、前記案内体からの物品を受け入れて搬送する搬送手段と、
前記箱状体内の温度を一定に保つ温度調整手段と
を備えることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項3】
案内体は、上下方向に回動可能に設けられ、上方への回動により箱状体の上面開口部の下方近傍位置で水平状に位置して物品を待機させる待機状態となり、下方への回動により傾斜状に位置して物品を搬送手段に向けて案内する案内状態となる
ことを特徴とする請求項2記載の物品搬送装置。
【請求項4】
案内体は、箱状体の上面開口部の下方近傍位置で水平状に位置する駆動コンベヤにて構成され、この駆動コンベヤの作動によって物品が搬送手段に向けて案内される
ことを特徴とする請求項2記載の物品搬送装置。
【請求項5】
温度調整手段は、箱状体内の温度を予め設定された設定温度に保つ冷却手段であり、
前記冷却手段は、冷気吐出口および冷気吸込口を有し、
前記冷気吐出口から吐き出された冷気が前記冷気吸込口に向って流れ、この流れる冷気によって案内体にて待機中の物品が冷却される
ことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一記載の物品搬送装置。
【請求項6】
冷気吐出口および冷気吸込口は、案内体にて待機中の物品と同じ高さ位置で、互いに離間対向して開口する
ことを特徴とする請求項5記載の物品搬送装置。
【請求項7】
冷気吐出口から吐き出された冷気は、冷気吸込口に向って搬送手段の搬送方向に沿った方向に案内体上を流れ、この流れる冷気によって案内体にて待機中の物品が冷却される
ことを特徴とする請求項6記載の物品搬送装置。
【請求項8】
冷気吐出口から吐き出された冷気は、冷気吸込口に向って搬送手段の搬送方向に対して直交する方向に案内体上および前記搬送手段上を流れ、この流れる冷気によって案内体にて待機中の物品および前記搬送手段にて搬送中の物品が冷却される
ことを特徴とする請求項6記載の物品搬送装置。
【請求項9】
物品が保管される保管部およびこの保管部の温度を一定に保つ温度調整部を有する物品保管装置と、
この物品保管装置の保管部から取り出された物品を搬送する請求項1ないし8のいずれか一記載の物品搬送装置と
を具備することを特徴とするピッキング設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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