説明

物品搬送装置及び物品検査装置

【課題】重なった物品を搬送中に崩して個々に分離して検査手段に送り込める物品搬送装置を提供すること。
【解決手段】検査装置の前段に設けられて複数の物品Aを検査装置1に搬送する搬送手段6の上方には、搬送面からの下端の高さが物品の高さH未満であるように、搬送方向に沿って揺動可能に棒状体13が吊り下げられている。棒状体は、搬送方向と直交する搬送面の幅方向についての間隔が物品の長さL以下である。搬送される物品は棒状体に接触して搬送面上に崩れ落ち、平置き状態となるので、各物品は個々に分離して形状検査等の検査を受けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の品質を検査するために、ばらの状態で供給された多数の前記物品を検査装置に搬送するために用いられる物品搬送装置と、かかる物品搬送装置を含む物品検査装置に係り、特に検査に支障が生じる可能性のある重なった状態の物品を搬送中に崩して個々に分離して検査できるようにした物品搬送装置及び物品検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
X線異物検出装置を用いた物品検査においては、物品中に含まれる異物の検査を行なうだけでなく、物品の形状について検査を行なう場合もある。例えば、X線異物検出装置を用いたウインナー、ソーセージ、かりんとう等の食品類の検査では、個々の物品に異物が含まれているか否かの検査を行なうだけでなく、当該物品の形状自体が所定の基準を満たしているか否かについても検査が行なわれる場合がある。このような形状の検査では、多数の物品が、袋等で包装されていないばら状態でベルトコンベア等の物品搬送装置に載せられて搬送され、検査装置に持ち込まれて検査を受ける。
【0003】
上記形状の検査では、物品の規定形状は長さ等によって定められ、X線異物検出装置の検出結果から得た物品の画像の周囲長や画像面積等から物品の長さを計算し、この値が規定形状を表す長さの許容範囲内にあるか否かで合格・不合格を判定する手法がとられることがある。
【0004】
上述したような形状検査の手法を採用する場合、個々に分かれた多数の物品をばらの状態で物品搬送装置に載せて検査装置に搬送すると、物品搬送装置に供給した物品の状態によっては、検査装置が個々の物品を分離して認識できず、検査結果に問題が生じる可能性がある。
【0005】
具体例として、長さが規定範囲内にある2個のウインナーが互いに重なった状態でX線異物検出装置に入った場合を考える。X線異物検出装置は、このように重なった2個のウインナーの画像を1つの検査対象として取り扱ってしまうため、この画像データから周囲長や画像面積を得てウインナーの長さを算出しても、長さが大きい不合格物品と判断してしまう可能性がある。
【0006】
このような不都合を避けるため、得られた画像を全体として縮小処理することで2個の重なった物品の画像を個々に分解する手法が知られており、2個のウインナーが端部同士で重なって全体として一直線状になったような特殊な場合等には、このような画像縮小の手法によって一つの画像を2個のウインナーの画像に分解して判断することも可能であるが、互いの略中央部近辺で重なって全体としてX状になっているような場合等には、画像縮小によって各ウインナーを個別に分解して認識することはできず、正確な形状認識による検査は困難であった。
【0007】
上述したような検査装置の前段における物品の重なりを効果的に解消しうる機能を備えた機構は従来知られていないが、例えば下記特許文献1には、例えばピラフ、チャーハン等のばら凍結食品の製造において、粒破損の少ない高品質のばら状凍結食品を歩留まり良く衛生的に製造する手法に関するものであり、ばら凍結食品をほぐすためのほぐし装置が開示されている。すなわち、この発明は、断熱壁で囲繞された横長の筐体内の長手方向にばら凍結食品を搬送する搬送ベルトコンベアを配設して長手方向の搬送空間を形成し、該搬送空間を隔壁により前記搬送空間の上流側から順に少なくとも複数の冷凍区域に区画し、夫々の冷凍区域毎に異なる冷凍温度に維持し、夫々ほぐし手段を配設するとともに、前記各冷凍区域の最初の冷凍区域の入口側には前記ばら凍結食品を板状に成形して供給する供給手段を設けた構成とされている。ここで、ばら凍結食品は、ローラで薄厚幅広に成形され、さらに搬送ベルトの上部に配設された固定櫛と放射状の櫛歯を有する回転櫛とからなる1次ほぐし装置によってある大きさの塊にほぐされて次段に供給される。
【特許文献1】特開2001−252028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1のばら状凍結食品の製造装置におけるほぐし装置は、例えば板状に成形されたピラフ、チャーハン等のばら凍結食品をある大きさの塊にほぐすためには適しているが、前述したウインナー等のばら状の物品の形状を個々に検査するために、各物品の重なりを解消する用途には適しておらず、使用できなかった。
【0009】
そこで本発明は、物品の検査に支障が生じる可能性のある重なった状態の物品を搬送中に崩して個々に分離して検査できるようにした物品搬送装置及び物品検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
請求項1に記載された物品搬送装置は、
所定の形状に形成された物品Aの品質を検査するために、複数の前記物品Aを検査装置1に搬送する物品搬送装置において、
前記検査装置の前段に設けられ複数の前記物品Aを搬送面に載置して前記検査装置1に搬送する搬送手段6と、
前記搬送手段6の搬送方向と直交する前記搬送面の幅方向についての間隔および前記搬送面からの下端の高さが前記物品の形状に基づいており、前記搬送手段6の搬送方向に沿って揺動可能に前記搬送手段6の上方に吊り下げられて設置され、重なった状態で前記搬送手段6に搬送される前記物品Aに接触して前記物品Aの重なり合った状態を解消する複数本の棒状体13と、
を具備することを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載された物品搬送装置は、請求項1記載の物品搬送装置において、
前記棒状体13が、前記搬送手段6の搬送方向について異なる位置に配置されることにより、前記搬送手段6の搬送方向について千鳥状の配置とされたことを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載された物品検査装置は、
所定の形状に形成された物品の品質を検査する検査装置において、
前記物品を検査する検査手段1と、
前記検査手段1の前段に設けられ複数の前記物品Aを搬送面に載置して前記検査手段1に搬送する搬送手段6と、
前記搬送手段6の搬送方向と直交する前記搬送面の幅方向についての間隔および前記搬送面からの下端の高さが前記物品の形状に基づいており、前記搬送手段6の搬送方向に沿って揺動可能に前記搬送手段6の上方に吊り下げられて設置され、重なった状態で前記搬送手段6に搬送される前記物品Aに接触して前記物品Aの重なり合った状態を解消する複数本の棒状体13と、
を具備することを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載された物品検査装置は、請求項3記載の物品検査装置において、
前記検査手段1がX線検査装置であり、
前記搬送面からの前記下端の高さを調整するために前記棒状体13の位置を調整する位置調整手段を有し、
前記X線検査装置によって検出した前記物品Aの形状に応じて前記位置調整手段を制御することにより、前記下端の前記搬送面からの高さを設定することを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載された物品検査装置は、請求項3から4に記載の物品検査装置において、
前記物品Aが、高さHおよび長さLが所定の寸法となるように形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載された物品搬送装置によれば、所定の形状に形成された多数の物品をばら状態で搬送手段の搬送面に載せて検査装置に搬送した場合において、搬送面の上で物品が互いに重なっているために検査に支障が生じそうな場合であっても、搬送面の上方に吊り下げられている複数本の棒状体は、搬送面の幅方向についての間隔および搬送面からの下端の高さが前記物品の形状に基づいているため、棒状体の下端は、搬送面上で重なっている物品のうち、少なくとも上側の物品には必ず接触し、当該物品に掛止して搬送手段の搬送に伴って搬送方向に揺動しながら上側の物品に力を与えるので、上側の物品はバラけて搬送面上に落下し、物品同士が互いに重なった状態は確実に解消される。このため、その後に検査装置に送り込まれて行なわれる形状等の検査に支障が生じることはない。
【0016】
請求項2に記載された物品搬送装置によれば、請求項1記載の物品搬送装置による効果において、
棒状体が搬送手段の搬送方向について千鳥状の配置とされているので、搬送面上で重なっている物品が、搬送面の幅方向のいずれの位置にあろうとも、いずれかの棒状体が重なっている上側の物品に必ず接触し、当該物品を搬送面上に落下させて、物品同士の互いに重なった状態を確実に解消できる効果が得られる。
【0017】
請求項3に記載された物品検査装置によれば、
所定の形状に形成された多数の物品をばら状態で搬送手段の搬送面に載せて検査装置に搬送した場合において、搬送面の上で物品が互いに重なっているために検査に支障が生じそうな場合であっても、搬送面の上方に吊り下げられている複数本の棒状体は、搬送面の幅方向についての間隔および搬送面からの下端の高さが前記物品の形状に基づいているため、棒状体の下端は、搬送面上で重なっている物品のうち、少なくとも上側の物品には必ず接触し、当該物品に掛止して搬送手段の搬送に伴って搬送方向に揺動しながら上側の物品に力を与えるので、上側の物品はバラけて搬送面上に落下し、物品同士が互いに重なった状態は確実に解消される。このため、その後に検査手段に送り込まれて行なわれる形状等の検査に支障が生じることはない。
【0018】
請求項4に記載された物品検査装置によれば、請求項3記載の物品検査装置による効果において、
物品の検査手段であるX線検査装置によって物品に関するX線の透過データが得られ、このデータから当該物品の形状が分かるので、その形状に応じて位置調整手段を制御することにより、棒状体の下端の搬送面からの高さを前記物品の形状に基づくように正確に設定できる。このため、搬送面上で重なっている物品のうち、少なくとも上側の物品に棒状体の下端を確実に接触させて上側の物品を搬送面上に落下させ、検査手段による検査を支障なく行なわせるようにすることができる。
【0019】
請求項5に記載された物品検査装置によれば、請求項3から4に記載の物品検査装置による効果において、前記物品Aは、高さHおよび長さLが所定の寸法となるように形成されており、搬送面の上方に吊り下げられている複数本の棒状体は、搬送面の幅方向についての間隔がL以下であり、搬送面からの下端の高さがH未満となるように設定されているので、重なった前記物品の上側の物品をバラけさせて搬送面上に落下させ、物品が重なった状態を解消するという前述した効果が、高さHおよび長さLである前記物品の形状に基づいて確実に達成できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は実施形態の物品検査装置の正面図、図2は実施形態の物品検査装置の平面図、図3は実施形態の物品検査装置における物品搬送装置の斜視図、図4は実施形態の物品検査装置において物品搬送装置の棒状体を拡大して示す正面図、図5は実施形態の物品検査装置において物品搬送装置の棒状体の作用を示す斜視図、図6は実施形態の物品検査装置において物品搬送装置の棒状体の作用を示す斜視図である。
【0021】
図1乃至図2に示すように、本例の物品検査装置(検査手段)であるX線異物検出装置1は、食品等の製造ラインの一部等として設けられ、搬送される被検査物である食品等の物品にX線を照射し、その透過量に基づいて該被検査物に混入している骨、金属、ガラス、石、合成樹脂材等の異物を検出するとともに、当該物品の形状(例えば長さ)についての検査も行なう。
【0022】
本例の物品として例えば食品であるウインナーを例とすれば、その形状は長手方向に沿って測定した場合の長さがL、長手方向と直交する断面における直径、すなわち搬送面等に平置きした場合の高さがHである長体状の物品であるものとし、検査時には包装せずに多数個をばらの状態で搬送して検査装置にかけるものとする。
【0023】
本例のX線異物検出装置1の構成を説明する。
図1乃至図2に示すように、本例のX線異物検出装置1は、装置の機構部分を収納するための本体として筐体2を備えている。筐体2は、その内部から有害な量のX線が外部に漏洩しないように、放射線防護材を用いた遮蔽構造を有しており、架台3によって設置面上に支持されている。
【0024】
この筐体2の下部の左右には物品が出入りする製品の入口4及び出口5が開口しており、ここには可撓性のX線遮蔽材料によって構成された遮蔽カーテン(図示せず)がそれぞれ取り付けられている。筐体2の下部の内部には、入口4及び出口5を貫通して搬送手段としてのベルトコンベア6が設けられており、物品を筐体2の外部から入口4を経て内部に搬入し、その後、筐体2の下部の内部空間である検査領域で検査をした後、出口5を経て外部に搬出できるように構成されている。また筐体2の前面の開口には開閉自在な扉7が設けられており、清掃その他のメンテナンス作業等の目的で、物品が搬送される検査領域(筐体2の下部の内部空間)に作業者が必要に応じてアクセスできるように構成されている。
【0025】
筐体2の上部の内部には、図1に示すように、X線発生器8が下向きに設けられている。このX線発生器8は、筐体2の下部の検査領域でベルトコンベア6によって搬送される物品に向けてX線を照射することができる。また筐体2の検査領域に設けられた前記ベルトコンベア6において、その上側のベルトの中央下方位置には、ベルトコンベア6で搬送されている物品を透過したX線を受けて光変換し、図示しない制御部に検知信号として出力するX線検出器9が設けられている。
【0026】
前記X線異物検出装置1の筐体2の下部を貫通している搬送手段としての前記ベルトコンベア6は、前記筐体2の内部の検査領域の搬送長さと同程度の長さで筐体2の手前側(搬送方向上流側、図1及び図2において左側)に突出している。ベルトコンベア6の当該部分は、前記筐体2を支持している架台3によって支持されており、物品を検査装置に搬送し、導入するための物品搬送装置を構成している。
【0027】
筐体2の手前に突出したこのベルトコンベア6の上には、遮蔽ケース10が設けられている。この遮蔽ケース10は、前記筐体2の入口4を覆うように前記筐体2と連続して配置されており、仮に前記筐体2の入口4からX線が漏洩する可能性があったとしても、これを外部に対して確実に遮蔽する機能を備えている。また、遮蔽ケース10の前面側には開閉自在な扉11が設けられ、清掃その他のメンテナンス作業等のために作業者が必要に応じて遮蔽ケース10内にアクセスできるように構成されている。
【0028】
図1、図3及び図4に示すように、遮蔽ケース10の上壁の下面には、ベルトコンベア6によって搬送される物品の重なりを崩すため、重なって搬送される物品に接触して搬送面上に落下させる手段として、ベルトコンベア6の搬送方向に揺動可能となるように、係止部材12を介して棒状体13が吊り下げられている。
【0029】
まず、棒状体13を設置するため、遮蔽ケース10の上壁の下面には係止部材12が取り付けられている。係止部材12は、左右一対の各係止部14,14のそれぞれに、ベルトコンベア6の搬送方向について所定間隔をおいて前後に並ぶ2つの係止溝15,15を備えているが、各係止溝15はベルトコンベア6の搬送方向の上流側の斜め上方に向けて開口している。そして一対の係止部14,14は、搬送方向に関しては同一の位置であって、搬送方向と直交するベルトコンベア6の幅方向については所定の間隔をおいた配置とされている。
【0030】
係止部材12の左右一対の係止部14,14には、各前側の2つの係止溝15,15の間と、各後側の2つの係止溝15,15の間に、それぞれ支持棒16が回動可能に掛止されている。従って、各支持棒16は、搬送方向について前後の各位置に、ベルトコンベア6の幅方向と平行に水平な状態で並んでいる。そして各支持棒16には、それぞれ2本ずつの棒状体13が、ベルトコンベア6の幅方向について異なる間隔をおいた配置で、支持棒16と直交する同一方向に向くように固定されており、外力が加わらない状態ではいずれの棒状体13も鉛直下方に垂下している。
【0031】
ベルトコンベア6で搬送されてくる物品を棒状体13が待ち受けており、まだ棒状体13には外力が加わっていない状態では、ベルトコンベア6の搬送面から棒状体13の下端までの寸法(高さ)は、物品の高さH未満となっている。すなわち、高さに関しては、物品が重なって搬送されてくれば、下側の物品に棒状体13が接触して移動の抵抗となるため、ベルトコンベア6の搬送動作に伴って下側の物品はベルトに対して相対的に移動することとなり、その上に重なっている物品を崩して搬送面上に落下させることができる。
なお、物品の高さHは、物品の形状により厚さもしくは外径を示す。すなわち、直方体状の物品であれば、搬送される状態で底面と直交する一辺の長さ(厚さ)を指し、筒状体の物品であれば、その外径を指す。
【0032】
また棒状体13は、前後2本の支持棒16,16について2本ずつ、合計4本あるが、その配置は次の通りである。すなわち、搬送方向の上流側の2本の棒状体13はベルトコンベア6の搬送方向に平行な中心線に対して対称に配置され、その間隔は物品の長さLよりも小さい。また搬送方向の下流側の2本の棒状体13は、ベルトコンベア6の搬送方向に平行な中心線に対して対称に配置され、その間隔は、上流側の2本の棒状体13の間隔よりも大きい。しかし、下流側の各棒状体13は、ベルトコンベア6の幅方向に関し、上流側の直近の棒状体13との間隔が物品の長さLよりも小さく設定され、さらにベルトコンベア6の端部との間隔もL未満に設定されている。このように、4本の棒状体13は搬送方向に沿って略千鳥状に配置され、ベルトの幅方向の間隔及びベルトの端部との隙間は、いずれの位置においても物品の長さLを超えないようになっている。
【0033】
このように、ベルトコンベア6の幅方向に関しては、棒状体13と棒状体13の間隔及び棒状体13とベルトコンベア6の端部の間隔が、いずれの位置においても物品の長さL未満となっているので、搬送面に載せられた物品の向きにもよるが、物品が棒状体13の間を潜り抜ける際には、その高さがH未満である棒状体13の下端に接触する可能性が高く、上側又は下側の物品に棒状体13が接触し、物品の重なりを崩して上側の物品を搬送面上に落下させることができる。
【0034】
図1乃至図3に示すように、ベルトコンベア6の始端部には、物品を投入してベルトコンベア6上に落下供給するためのホッパ17が、遮蔽ケース10に一体に設けられている。
【0035】
図1及び図2に示すように、前記X線異物検出装置1の筐体2の下部を貫通している搬送手段としての前記ベルトコンベア6は、筐体2の後方側(搬送方向下流側、図1及び図2において右側)に終端部を突出させている。このベルトコンベア6の終端部は前記筐体2を支持している架台3によって支持されており、遮蔽ケース18によって覆われている。この遮蔽ケース18内において、ベルトコンベア6の終端には仕分け手段19が隣接して設けられている。仕分け手段19は、検査結果が合格である場合は、図1中実線で示される所定位置に設定され、シュート20を介して物品を装置外の所定位置に排出し、検査結果が不合格である場合は、図1中鎖線で示される所定位置に設定され、回収用の収納箱21に物品を投入することができる。
【0036】
次に、本例のX線異物検出装置1における物品の搬送作用について説明する。
多数の物品を、ばらの状態でホッパ17から投入する。これらの物品は、ベルトコンベア6のベルト上にランダムな配置で積載され、ベルトの移動に伴って遮蔽ケース10の中をX線異物検出装置1の検査部に向けて搬送されていく。
【0037】
図4中に破線で示すように、棒状体13が物品Aに接触しておらず、鉛直下方に垂下した状態では、棒状体13の下端と搬送面の間隔は、物品Aの高さHよりも小さい。従って、物品Aが積み重なっていない状態であっても、搬送面上の物品Aは搬送方向について棒状体13の存在する位置に運ばれてくれば、必ず当該棒状体13の下端部に接触する。ベルトの移動に伴って物品Aが移動し、棒状体13に接触すると、図4中に実線で示すように、棒状体13は搬送される物品Aに押されて搬送方向の後方に向けて揺動し、逆に物品Aは棒状体13から抵抗を受けることにより搬送の向きと逆向きの力を受け、搬送されつつベルトに対しては相対的に移動することとなる。
【0038】
図4には示していないが、搬送面に載っている物品Aの上に他の物品Aが重なっていた場合には、下段の物品Aが上述したように棒状体13に接触して移動すれば、上段の物品Aは崩れ落ち、搬送面上に落下して物品Aの重なりが解消されることとなる。もちろん、重なった上側の物品Aに棒状体13が接触すれば、上側の物品Aに直接力が加わって搬送面に落下させることができることは言うまでもない。
【0039】
また、このように、物品Aに接触した棒状体13は搬送方向について下流側に向けて揺動できるので、棒状体13とベルトの間に物品Aが挟まることがなく、棒状体13が物品Aに突き刺さる等、物品Aが棒状体13によって傷つけられる不都合が生じる恐れがない。
【0040】
図5及び図6は、重なって搬送されてきた2個の物品Aに対する棒状体13の作用を示すものであり、それぞれ物品Aの重なり方は同一であるが、ベルトの幅方向の異なる位置から棒状体13のエリアに送り込まれたため、棒状体13が上の物品に接触した場合(図5)と、下の物品に接触した場合(図6)と場合の作用の相違を示している。なお、図4及び図5では、重なって搬送されてきた2個の物品のうち、下の物品をA1、上の物品をA2で表す(各図(c)が示す落下後も同符号で表す。)。
【0041】
まず、図5に示すように、重なった物品Aの上側の物品A2に、前段の棒状体13が接触すると、棒状体13が搬送方向の後方に揺動するとともに上側の物品A2は棒状体13から作用を受けて搬送面に落下し、その結果、各物品A1,A2は検査に適した個々に分離した状態となる。物品A2から離れた棒状体13は自重で元の鉛直下方に向いた原位置に戻る。
【0042】
次に、図6に示すように、重なった物品Aの下側の物品A1に、前段の棒状体13が接触すると、棒状体13が搬送方向の後方に揺動するとともに下側の物品A1は棒状体13から作用を受けて搬送面に対して相対的に移動するので、その上に載っていた上側の物品A2はこれから転げ落ち、その結果、各物品A1,A2は検査に適した個々に分離した状態となる。物品A1から離れた棒状体13は自重で元の鉛直下方に向いた原位置に戻る。
【0043】
なお、図5及び図6には示さないが、前段の2本の棒状体13が重なった物品A1,A2のいずれにも接触せず、物品A1,A2の重なりを解消できなかったとしても、その後段にはベルトの幅方向が異なる位置に次の棒状体13が設置されているので、加算っている物品A1,A2中、いずれかの物品が、これらの棒状体13のいずれかに接触して重なりが解消される可能性が高い。
【0044】
このようにして、多数の物品Aをばらの状態でホッパ17から投入した場合において、これらの物品Aの一部がベルトコンベア6のベルト上で互いに重なった状態になっていても、棒状体13を有する搬送装置によって搬送される間に複数段、複数本の棒状体13との接触によって重なりが解消され、多数の物品Aは互いに別々に分かれて搬送面上に直接平置きされた状態となって検査装置に送り込まれる。従って、検査装置においてX線の照射によって形状(長さ等)の検査を行う際に、正確に個々の物品Aごとに測定が行われ、所定の基準と照らして形状について正確な合格・不合格の判定を行うことができる。
【0045】
なお、以上説明した例では、棒状体13は搬送方向について異なる2箇所の位置にそれぞれ2本ずつ合計4本設けたが、2本以上の棒状体13をベルトの幅方向についてL未満の間隔で配置することとすれば、一定の効果が得られる。例えば、搬送方向及びベルトの幅方向の両方について異なる互い違いの2箇所の位置に、それぞれ1本ずつ棒状体13を設けることとしてもよい。
【0046】
また、以上説明した例では、棒状体13は遮蔽ケース10の天井面の所定位置に固定して取り付けられており、自由状態の下端部と搬送面との間隔は物品Aの高さHを基準としてH未満のある所定値に設定されていた。しかし、この棒状体13の下端部と搬送面の間隔は、物品Aの高さを基準として定めたものであるから、搬送・検査する物品Aの高さが異なれば、棒状体13の設置位置(又は下端部の高さ)も変える必要がある。
【0047】
そこで、棒状体13が取り付けられた支持棒16を支える係止部材12の上下位置を、位置調整手段によって自在に調整できるように構成してもよい。位置調整手段の機構は特に限定しないが、昇降自在に案内された係止部材12に対して鉛直方向に沿ってラックを取り付け、このラックと、遮蔽ケース10側に設けたピニオンとをかみ合せ、このピニオンを手動乃至動力によって回動させることで係止部材12を昇降させて高さを調整するようにしてもよい。また、昇降自在に案内された係止部材12をワイヤーで吊り下げ、このワイヤを遮蔽ケース10側のプーリ等に巻きつけ、該プーリを手動乃至動力によって回動させることで係止部材12を昇降させて高さを調整するようにしてもよい。その他、棒状体13が設置される高さ方向の位置乃至棒状体13の下端部の位置を調整するためには、種々の機構・構造を選択することが可能である。
【0048】
そして、このように、棒状体13の位置調整手段を設けた場合、装置に投入する物品Aの高さが既知である場合には、この値に基づいて使用者が該位置調整手段を操作し、棒状体13の高さを最適に設定することができる。または、前記実施形態のように検査手段としてX線検査装置を使用する場合には、X線検査装置によって検出したX線の透過量から求める物品Aの厚み、すなわち物品Aの高さHに応じて、位置調整手段を自動的に駆動することにより、棒状体13の下端の搬送面からの高さが物品Aの高さH未満となるように制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は実施形態の物品検査装置の正面図である。
【図2】図2は実施形態の物品検査装置の平面図である。
【図3】図3は実施形態の物品検査装置における物品搬送装置の斜視図である。
【図4】図4は実施形態の物品検査装置において物品搬送装置の棒状体を拡大して示す正面図である
【図5】図5は実施形態の物品検査装置において物品搬送装置の棒状体の作用を示す斜視図である。
【図6】図6は実施形態の物品検査装置において物品搬送装置の棒状体の作用を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1…物品検査装置(検査装置)としてのX線異物検出装置
6…物品搬送装置(搬送手段)としてのベルトコンベア
8…X線発生器
9…X線検出器
12…係止部材
13…棒状体
14…係止部
15…係止溝
16…支持棒
A…物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状に形成された物品(A)の品質を検査するために、複数の前記物品を検査装置(1)に搬送する物品搬送装置において、
前記検査装置の前段に設けられ複数の前記物品を搬送面に載置して前記検査装置に搬送する搬送手段(6)と、
前記搬送手段の搬送方向と直交する前記搬送面の幅方向についての間隔および前記搬送面からの下端の高さが前記物品の形状に基づいており、前記搬送手段の搬送方向に沿って揺動可能に前記搬送手段の上方に吊り下げられて設置され、重なった状態で前記搬送手段に搬送される前記物品に接触して前記物品の重なり合った状態を解消する複数本の棒状体(13)と、
を具備することを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
前記棒状体(13)が、前記搬送手段(6)の搬送方向について異なる位置に配置されることにより、前記搬送手段の搬送方向について千鳥状の配置とされたことを特徴とする請求項1記載の物品搬送装置。
【請求項3】
所定の形状に形成された物品の品質を検査する検査装置において、
前記物品を検査する検査手段(1)と、
前記検査手段の前段に設けられ複数の前記物品を搬送面に載置して前記検査手段に搬送する搬送手段(6)と、
前記搬送手段の搬送方向と直交する前記搬送面の幅方向についての間隔および前記搬送面からの下端の高さが前記物品の形状に基づいており、前記搬送手段の搬送方向に沿って揺動可能に前記搬送手段の上方に吊り下げられて設置され、重なった状態で前記搬送手段に搬送される前記物品に接触して前記物品の重なり合った状態を解消する複数本の棒状体(13)と、
を具備することを特徴とする物品検査装置。
【請求項4】
前記検査手段(1)がX線検査装置であり、
前記搬送面からの前記下端の高さを調整するために前記棒状体(13)の位置を調整する位置調整手段を有し、
前記X線検査装置によって検出した前記物品の形状に応じて前記位置調整手段を制御することにより、前記下端の前記搬送面からの高さを設定することを特徴とする請求項3記載の物品検査装置。
【請求項5】
前記物品(A)が、高さ(H)および長さ(L)が所定の寸法となるように形成されていることを特徴とする請求項3から4に記載の物品検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−292613(P2009−292613A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149333(P2008−149333)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】