説明

物品搬送装置

【目 的】 互いに異なる位置の間での物品の搬送を行う物品搬送装置において、配置スペースを省略できる簡素な構成の搬送装置を実現すること。
【構 成】 鉛直な回転軸周りに回転駆動されるロータ16の前記鉛直な回転軸周りの180°ずれた位置にそれぞれ回転可能に支持された鉛直な一対のアーム軸23L,23Rと、前記アーム軸23L,23Rの上端部に基端部が支持されるとともに先端部に物品載置部が設けられた一対の搬送アーム24L,24Rと、前記ロータ16が回転角度θだけ回転駆動されたときに前記各アーム軸23L,23R)を回転角度2θだけ回転させる回転伝動機構(13+28L+28R+29L+29R)とを備え、前記ロータ16を回転させたと、前記一対の搬送アーム24L,24R先端部の物品載置部が上下に離れてすれ違うように構成された物品搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面に半導体集積回路を形成するためのウエハー、または表面に半導体集積回路が形成されたウエハー等の物品を離れた2箇所の位置間で搬送する際に好適に使用される物品搬送装置に関する。本発明の物品搬送装置は、電子顕微鏡等を用いて前記ウエハーや試料等の検査を行ったり、イオンビーム等を用いた描画装置により前記ウエハー表面にパターンを描画したりする作業室と、大気に開放された外部との間でウエハー、試料等の物品を搬送するのに使用される。例えば、作業室と外部との間に配置した試料交換室内で使用される物品搬送装置において、外部から試料交換室内の待機位置に搬入されたウエハーの作業室内への搬送、および、作業室内で検査が終了したウエハーの前記作業室内から前記待機位置への搬送を同時に行う際に好適に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】前記試料交換室内に配置された従来の物品搬送装置としては、次の技術が知られている。
(J01)図5に示す装置技術図5において、ウエハーに対する検査または描画等を行う際に真空にされる作業室01と試料交換時に真空にされる試料交換室(予備排気室)02との間にはそれらの間を密封状態で遮断する開閉可能な内部ドア03が設けられている。また、前記試料交換室02と大気に開放された外部04との間にはそれらの間を密封状態で遮断する開閉可能な外部ドア05が設けられいてる。前記試料交換室02には、図示しない搬送機構によって移動する搬送アーム06が設けられ、前記外部04には、図示しない搬送機構によって移動する外部搬送アーム07が設けられている。各搬送アーム06および07は、先端部に二股状のウエハー載置部06a,06aおよび07a,07aを有しており、また、その基端部を中心にして鉛直な回転軸周りに回動可能である。
【0003】前記試料交換室02内には、第1待機位置P1および第2待機位置P2がそれぞれ設定されている。各待機位置P1,P2にはそれぞれ昇降可能なウエハーテーブル08,09が配置されており、各ウエハーテーブル08,09はそれらの上端にウエハー載置面を有している。前記作業室01内には、搬入位置P3と図示しない作業位置との間で移動する移動ステージ(図示せず)が配置されており、その移動ステージは、昇降可能なウエハーテーブル011を有している。前記各ウエハーテーブル08,09,011は、前記二股状のウエハー載置部06a,06aの間の空間を通って昇降可能な外径を有している。また前記二股状のウエハー載置部07a,07aは、前記ウエハー載置部06a,06aと同様に形成されている。したがって、前記ウエハーテーブル011は、前記二股状のウエハー載置部07a,07aの間の空間を通って昇降可能である。
【0004】前記図5に示す従来の装置においては、ウエハーの搬送は次のようにして行われる。すなわち、外部搬送アーム07はウエハーを載置した状態で外部04から試料交換室02内の前記第1待機位置P1に移動する。このときウエハーテーブル08はその上端部がウエハーに当たらないように下降している。このウエハーテーブル08が上昇すると、その上端により前記外部搬送アーム07上のウエハーは持ち上げられる。この状態で、外部搬送アーム07は外部04に移動する。次に、搬送アーム06のウエハー載置部06a,06aを前記ウエハーテーブル08上端に支持されたウエハーの下方に移動させる。この状態でウエハーテーブル08を下降させると、ウエハーは搬送アーム06のウエハー載置部06a,06a上に載置される。 このウエハーは搬送アーム06により作業室01の搬入位置P3に搬入される。そして、前記搬入位置P3のウエハーテーブル011は上昇してその上端にウエハーを支持する。それから搬送アーム06は試料交換室02に移動する。この状態で内部ドア03を閉じて、作業室01内部を真空にし、ウエハーに対する作業(検査または描画等)を行う。
【0005】前記作業室01内においてウエハーの検査等の作業を行う間、次のウエハーを外部04から第1待機位置P1に搬入し、そのウエハーを第2待機位置P2に搬送しておく。そして、外部ドア05を閉じて試料交換室02内部を真空にしておく。前記作業室01内の作業を終了すると、内部ドア03を開けて作業室01内の搬入位置P3のウエハーを試料交換室02内の第1待機位置P1に搬送する。そして、第2待機位置P2に待機していたウエハーを前記搬入位置P3に搬送する。そして、内部ドア03を閉じて前記搬入位置P3に搬入したウエハーを作業室01内の作業位置に移動させて検査等の作業を行う。その間、外部ドアー05を開けて前記第1待機位置P1に待機していた作業済みのウエハーを外部04に搬送し、新たな次のウエハーを前記第1待機位置P1に搬送する。そして、外部ドア05を閉じる。そして、前記第1待機位置P1に待機していたウエハーを第2待機位置P2に移動させる。そして、試料交換室内02内を真空にする。以上説明したように従来、作業室01内にウエハーを搬送した後、試料交換室02に次に検査するウエハ−を搬入、大気させておいて、試料交換室02を予め排気しておくウエハー交換方法が採用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来技術では次の問題点があった。
(前記(J01)の問題点)試料交換室02内に待機位置P1,P2を2か所設置して、各待機位置にそれぞれウエハーテーブル011を配置する必要がある。このため、試料交換室02内の必要スペースが大きくなるとともに、コスト高になるという問題点がある。また、試料交換室02内の第1待機位置P1と作業室01内の搬入位置P3との間でウエハーを搬送する際、ウエハーの回転移動および直進移動の両方を行わねばならず、また、第2待機位置P2に一時的にウエハーを載置する作業を行わねばならないため、ウエハーの交換に要する時間が長くなるという問題点もある。
【0007】本発明者は、前記問題点を解決する技術を研究、開発し、平成1年1月18日付けで既に特許出願(特願平7−5837号)している。しかしながら、前記本発明者等による先願発明は、多少複雑な機構を有しており、機構の簡素化の点で改良の余地が残されていた。本発明は、前述の事情に鑑み、下記の記載内容を課題とする。
(O01)互いに異なる位置の間での物品の搬送を行う物品搬送装置において、配置スペースを省略できる簡素な構成の搬送装置を提供すること。
【0008】
【課題を解決するための手段】次に、前記課題を解決するために案出した本発明を説明するが、本発明の要素には、後述の実施例の要素との対応を容易にするため、実施例の要素の符号をカッコで囲んだものを付記する。また、本発明を後述の実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
【0009】(本発明)前記課題を解決するために、本発明の物品搬送装置は、下記の要件を備えたことを特徴とする、(Y01)鉛直な回転軸周りに回転駆動されるロータ(16)、(Y02)前記ロータ(16)の前記鉛直な回転軸に対して軸対称の位置にそれぞれ回転可能に支持された鉛直な一対のアーム軸(23L,23R)、(Y03)前記各アーム軸(23L,23R)の上端部に基端部が支持されるとともに先端部に物品載置部(25L,25L;25R,25R)が設けられた搬送アーム(24L,24R)、(Y04)前記ロータ(16)が回転角度θだけ回転駆動されたときに前記各アーム軸(23L,23R)を回転角度2θだけ回転させる回転伝動機構(13+28L+28R+29L+29R)、(Y05)前記ロータ(16)を回転させたとき、前記一対の搬送アーム(24L,24R)先端部の物品載置部(25L,25L;25R,25R)が上下に離れてすれ違うように前記搬送アーム(24L,24R)を支持するアーム支持装置(23L+23R+26L+26R+27L+27R;23L+23R+27+36L+36R)。
【0010】(本発明の実施態様1)前記本発明の物品搬送装置の実施態様1は、前記本発明において下記の要件を備えたことを特徴とする、(Y001)前記一対の搬送アーム(24L,24R)のうちの一方の搬送アーム(24L)を他方の搬送アーム(24R)に対して上下方向にずれた位置で支持する前記アーム支持装置。
【0011】(本発明の実施態様2)前記本発明の物品搬送装置の実施態様2は、前記本発明および本発明の実施態様1において下記の要件を備えたことを特徴とする、(Y002)前記ロータ(16)の回転に連動して回転する前記一対の搬送アーム(24L,24R)の先端が内側方向に回転移動したとき、一方の搬送アーム(24L,24R)の上下方向の位置を他方の搬送アーム(24L,24R)の上下方向の位置に対して上下方向に相対的に移動させるアーム支持装置(23L+23R+26L+26R+27L+27R;23L+23R+27+36L+36R)。
【0012】
【作用】次に、前述の特徴を備えた本発明の作用を説明する。
(本発明の作用)前述の特徴を備えた本発明の物品搬送装置のロータ(16)は、鉛直な回転軸周りに回転駆動される。前記ロータ(16)の前記鉛直な回転軸に対して軸対称の位置にそれぞれ鉛直な一対のアーム軸(23L,23R)が回転可能に支持される。前記各アーム軸(23L,23R)は、前記ロータ(16)が回転角度θだけ回転駆動されたときに、回転伝動機構(13+28L+28R+29L+29R)により回転角度2θだけ回転する。前記アーム軸(23L,23R)の上端部に基端部が支持された搬送アーム(24L,24R)は前記アーム軸(23L,23R)と共に回転する。したがって、前記ロータ(16)が回転角度90°だけ回転したときには前記アーム軸(23L,23R)および搬送アーム(24L,24R)は180°回転し、前記ロータ(16)が回転角度180°だけ回転したときには前記アーム軸(23L,23R)および搬送アーム(24L,24R)は360°回転することになる。
【0013】そして、前記ロータ(16)が180°回転したとき、前記一対の搬送アーム(24L,24R)はそれぞれ360°回転するが、その回転の際、搬送アーム(24L,24R)先端部の物品載置部(25L,25L;25R,25R)は上下に離れてすれ違う。したがって、前記一対の搬送アーム(24L,24R)が外方に延びた状態でその先端の部品載置部(25L,25L;25R,25R)の一方または両方に部品を載置してロータ(16)を180°回転させると、ロータ(16)上の各アーム軸(23L,23R)の位置は、前記鉛直な回転軸に対して180°ずれた位置に移動する。また、このとき、各アーム軸(23L,23R)および搬送アーム(24L,24R)はアーム軸(23L,23R)周りに360°回転するので、回転開始前に外方に延びていた搬送アーム(24L,24R)は、前記180°の回転終了後も外方に延びた状態となる。すなわち、前記180°回転後の搬送アーム(24L,24R)先端の部品載置部(25L,25L;25R,25R)の位置は、前記鉛直な回転軸に対して軸対称な位置(180°回転した位置)に移動する。すなわち、ロータ(16)を例えば180°回転させると、搬送アーム(24L,24R)先端の部品載置面の位置を前記鉛直な回転軸に対して180°ずれた位置(180°回転させた位置)に移動させることができる。
【0014】したがって、搬送アーム(24L,24R)の長さを同一にすれば、ロータ(16)を180°回転させることにより、前記一対の各アーム先端の部品載置面の位置を入れ換えることが可能になる。すなわち、各搬送アーム(24L,24R)先端の部品載置面上に支持した部品の位置を一度に入れ換えることが可能となる。
【0015】(本発明の実施態様1の作用)前記本発明の物品搬送装置の実施態様1では、前記一対のアーム軸(23L,23R)が前記ロータ(16)の前記鉛直な回転軸に関して対称な位置にそれぞれ配置されている。前記ロータ(16)を回転させたとき、前記一対の搬送アーム(24L,24R)先端部の物品載置部(25L,25L;25R,25R)は、前記鉛直な回転軸の上方位置で上下に離れてすれ違う。
【0016】(本発明の実施態様2の作用)前記本発明の物品搬送装置の実施態様2では、アーム支持装置(23L+23R+26L+26R+27L+27R;23L+23R+27+36L+36R)は、前記ロータ(16)の回転に連動して回転する前記一対の搬送アーム(24L,24R)の先端が内側方向に回転移動したとき、一方の搬送アーム(24L,24R)の上下方向の位置を他方の搬送アーム(24L,24R)の上下方向の位置に対して上下方向に相対的に移動させる。
【0017】
【実施例】次に図面を参照しながら、本発明の物品の搬送装置の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において互いに直交する座標軸X軸、Y軸、Z軸を定義し、矢印X方向を前方、矢印Y方向を左方、 矢印Z方向を上方とする。この場合、X方向と逆向き(−X方向)は後方、Y方向と逆向き(−Y方向)は右方、Z方向と逆向き(−Z方向)は下方となる。また、X方向及び−X方向を含めて前後方向又はX軸方向といい、Y方向及び−Y方向を含めて左右方向又はY軸方向といい、Z方向及び−Z方向を含めて上下方向又はZ軸方向ということにする。さらに図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
【0018】(実施例1)図1は電子顕微鏡装置の試料交換室に設けられた本発明の一実施例の物品搬送装置の縦断面図である。図2は前記図1のII−II線から見た物品搬送装置の平面図である。図3は物品搬送装置の説明図で、図3Aは前記図2の状態から時計方向に約80°回転させた状態の平面図、図3Bは前記図3AのIIIB−IIIB線断面図である。図1において、図示しない電子顕微鏡、電子ビーム描画装置等によりウエハー(シリコンウエハー)に対する検査または描画等を真空中で行う作業室1に隣接して試料交換室(予備排気室)2が設けられている。前記作業室1および試料交換室2はそれぞれ真空ポンプ(図示せず)により真空にされるようになっている。前記作業室1と試料交換室2との間の仕切壁には連通口3が設けられている。前記連通口3は内部ドア4によって開閉可能であり、閉塞状態では前記作業室1および試料交換室2は気密に遮断される。
【0019】前記作業室1内には、XY平面内で移動可能な移動テーブル6が設けられており、移動テーブル6は、上下動可能な昇降部材7を有している。昇降部材7の上面にはシリコンウエハーWを載置するウエハーテーブル7aが形成されている。前記移動テーブル6は前記ウエハーテーブル7aにウエハーを載置して図1に示す搬入位置P2から図示しない作業位置(ウエハーに対する検査または描画等を行う位置)に移動可能である。
【0020】前記試料交換室2には、外部に連通する開口8が設けられており、開口8は外部ドア9によって開閉可能であり、閉塞状態では前記試料交換室2は外部に対して気密に遮断される。前記試料交換室2には前記開口8に隣接する待機位置P1には、上下動可能な昇降部材11が配置されている。昇降部材11の上面にはウエハーWを載置するウエハーテーブル11aとして形成されている。
【0021】前記試料交換室2には、前記待機位置P1および搬入位置P2の中間位置に試料搬送装置Hが設けられている。試料搬送装置Hは、前記試料交換室2の外壁2aに固定された略円筒状のホルダ12を有している。ホルダ12の上端外周部には太陽歯車13が形成されている。前記略円筒状のホルダ12の内周面には上下一対のベアリング14,14を介してロータ16(図1R>1,2,3参照)が回転自在に支持されている。ロータ16の下方に延びる軸はホルダ12の下部を貫通して外方に延びており、カップリング17により、駆動モータユニット18の出力軸19と連結されている。駆動モータユニット18はフレーム部材Fに支持されたケースおよびそのケース内に収容されたモータおよび減速ギヤ列等(図示せず)により構成されている。
【0022】図1,2,3Bにおいてロータ16は、平面図(図2)で見て略長方形の上端プレート21を有しており、上端プレート21の外側部は下方に延びている。前記上端プレート21外側部の下方に延びた部分の下端には下部プレート22(図3B参照)が固着されている。下部プレート22の平面図の形状は前記上端プレート21と同様に略長方形である。前記略長方形の上端プレート21および下部プレート22の長手方向(図1R>1,2で左右方向、Y軸方向)両端部にはそれぞれアーム軸23L,23Rが回転自在、且つ上下移動可能に支持されている。前記各アーム軸23L,23Rの上端にはそれぞれ搬送アーム24L,24Rの基端部が固定支持されている。各搬送アーム24L,24Rの先端部には物品載置部としての二股状のウエハー載置部25L,25L,25R,25R(図2,3A参照)が設けられている。前記二股状のウエハー載置部25Lおよび25Lの間の空間およびウエハー載置部25Rおよび25Rの間の空間はそれぞれ、前記昇降部材7,11の上端のウエハーテーブル7a,11aが上下に通過できる程度に形成されている。そして、前記二股状のウエハー載置部25L,25Lと前記アーム軸23Lとの間の距離は、ウエハー載置部25R,25Rと前記アーム軸23Rとの間の距離と等しく、且つ、前記前記アーム軸23Lおよび23R間の距離の1/2に設定されている。
【0023】各搬送アーム24L,24Rの基端部には各アーム軸に対して半径方向に延びる水平軸周りに回転自在なローラ26L,26Rが支持されている。これらの各ローラ26L,26Rに対応して、前記上端プレート21上面にはリング状のカム27L,27Rが配置されている。この実施例1では前記アーム軸23L,23R、ローラ26L,26Rおよびカム27L,27Rによりアーム支持装置(23L+23R+26L+26R+27L+27R)が構成されている。図3Bから分かるように、前記カム27Lに比較してカム27Rの方が高さが高く構成されている。また、カム27Lは内方(上端プレート21の中心側)が外方に比べて低く形成され、カム27Rは内方(上端プレート21の中心側)が外方に比べて高く形成されている。そして、搬送アーム24L,24Rが回転するとき、ローラ26L,26Rは、前記カム27L,27R上を移動する。そして、搬送アーム24Lは内方に移動したときに前記カム27Lにより下降し、搬送アーム24Rは内方に移動したときに前記カム27Rにより上昇するように構成されている。
【0024】前記アーム軸23L,23Rにはギヤ28L,28Rが固着されている。前記ギヤ28L,28Rはそれぞれ前記下部プレート22に回転自在に支持されたギヤ29L,29Rと噛み合っている。そして、各ギヤ29L,29Rは前記太陽歯車13と噛み合っている。ギヤ28L,28Rおよびギヤ28L,28Rの歯数および直径は同一で、且つ、前記太陽歯車13の歯数の1/2に設定されている。したがって、前記ロータ16を180°回転させると、ギヤ28L,28Rおよびギヤ29L,29Rは各ギヤ軸周りに360°回転するようになっている。すなわち、図2に示すように搬送アーム24L,24Rが太陽歯車13の半径方向外方に延びている状態でロータ16を90°回転させると、前記ギヤ28L,28Rと一体的に回転する搬送アーム24L,24Rは前記ギヤ28L,28Rの軸周りに180°回転して、半径方向内方に延びるようになっている。
【0025】前記駆動モータユニット18によりロータ16を図2において時計方向に回転駆動すると、前記固定された太陽歯車13の周りに、ギヤ28L,28Rおよびギヤ29L,29Rはそれぞれ図2に示す矢印方向に回転移動するように構成されている。そして、搬送アーム24L,24Rは内方(太陽歯車13の方)へ移動したとき一方の搬送アーム24Lは下降し、他方の搬送アーム24Rは上昇することにより、前記太陽歯車13の上方位置で上下にすれ違うようになっている。前記太陽歯車13、ギヤ28L,28R、およびギヤ29L,29Rにより、回転伝動機構(13+28L+28R+29L+29R)が構成されている。この回転伝動機構(13+28L+28R+29L+29R)は、前述したように前記ロータ16が回転角度θだけ回転駆動されたときに前記各アーム軸23L,23Rを回転角度2θだけ回転させる機能を有している。
【0026】(実施例1の作用)次に、前述の構成を備えた本発明の実施例1の作用を説明する。図1において、試料待機室2内の待機位置P1に配置された昇降部材11の上端のウエハーテーブル11aには、図示しない外部搬送アームにより開口8からウエハーWが搬入され、載置される(図1の2点鎖線参照)。図1において、昇降部材上端のウエハーテーブル11aにウエハーWが載置された2点鎖線で示す状態から、ウエハーテーブル11aが下降すると、ウエハーWは搬送アーム24Lの二股状のウエハー載置部25L,25L上に載置される。この状態でロータ16を180°回転させると、搬送アーム24Lは作業室1内の搬入位置P2(図1参照)に移動する。そのロータ16の回転の際、前記ウエハーテーブル7aは下方位置に保持しておく。そして、ウエハーテーブル7aを上昇させると、前記搬送アーム24L上のウエハーWはウエハーテーブル7a上に載置される。このウエハーテーブル7aに載置されたウエハーWは、前記移動テーブル6により作業室1内の作業位置(図示せず)に搬送される。前記待機位置P1において、前記移動テーブル6によりウエハーWが持ち去られた搬送アーム24Lは、ロータ16を時計方向に90°回転させることにより試料交換室2内に移動する(図3には約80°回転した状態が示されている)。
【0027】前記ロータ16を時計方向に90°回転させることにより搬送アーム24Lを、試料交換室2内に移動させた状態で、前記内部ドア4を閉塞する。そして、作業室1内を真空にして、前記ウエハーWの検査または描画等の作業を行う。前記作業室1内へのウエハーWの搬入および作業室1内でのウエハーWに対する作業の間に、開口8から待機位置P1のウエハーテーブル11a上に次のウエハーWを搬入し、外部ドア9を閉塞して試料交換室2内を真空にしておく。
【0028】前記作業室1内での作業が終了したウエハーWは前記移動テーブル6により前記搬入位置P2に戻される。この状態では作業室1および試料交換室2は共に真空である。この状態で内部ドア4を開いて、ロータ16を時計方向にさらに90°回転させる。そのロータ16の回転の際、前記ウエハーテーブル7a,11aは上昇位置(図1参照)に保持しておく。前記ロータ16の90°の回転により、ロータ16は再び図1に示す位置に移動する。その状態で前記昇降部材7,11を下降させると、ウエハーテーブル7a上の次のウエハーWおよびウエハーテーブル11a上の前記作業済のウエハーWは各搬送アーム24L,24R上に載置される。
【0029】その状態でロータ16を180°回転させると作業済のウエハーWは搬入位置P2から待機位置P1に移動し、次のウエハーWは待機位置P1から搬入位置P2に移動する。そのロータ16の180°の回転の途中の状態(約80°回転した状態)は前記図3に示す状態である。図3に示す状態で、アーム軸23Rおよび搬送アーム24Rは前記カム27Rにより上昇位置にあり、アーム軸23Lおよび搬送アーム24Lは前記カム27Lにより下降位置にあるので、各搬送アーム24L,24R上の各ウエハーW,Wは、前記太陽歯車13の上方位置で、上下に離れてすれ違う。
【0030】前記搬入位置P2に搬入された搬送アーム24L上の次に作業を行うウエハーWは、前記1枚目のウエハーWと同様に移動テーブル6のウエハーテーブル7aに載置されて作業位置に搬送され、作業が行われる。また、前記待機位置P1に搬送された搬送アーム24R上のウエハーWはウエハーテーブル11aにより持ち上げられる。前記搬送アーム24L,24R上のウエハーWがウエハーテーブル7a,11aに載置された状態(搬送アーム24L,24R上にウエハーWが無い状態)で、前記ロータ16を90°回転させると、作業室1内の搬送アーム24Lは試料交換室2内に移動する。この状態で、前記内部ドア4を閉塞して、作業室1と試料交換室2とを遮断し、前記外部ドア9を開いて、前記作業済のウエハーWを待機位置P1から外部に搬送する。そして、次のウエハーWを前記待機位置P1に搬入する。前記、待機位置P1からの作業済のウエハーWの外部への搬送および外部からの次のウエハーWの待機位置P1への搬入は、図示しない外部搬送装置によって行う。
【0031】前記実施例1によれば、ロータ16を180°回転させるだけで、搬入位置P2と待機位置P1との間でウエハーWを搬送することができる。また、搬入位置P2と待機位置P1の間でウエハーWの交換を一度に行うことができる。
【0032】(実施例2)次に、図4により本発明の物品搬送装置の実施例2について説明する。図4は本発明の実施例2の物品搬送装置の説明図で、図4Aは前記実施例1の図3Aに対応する図、図4Bは前記図4AのIVB−IVB線断面図で前記実施例1の図3Bに対応する図である。なお、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0033】前記実施例1のローラ26L,26Rの代わりに、アーム軸23L,23Rの下端部に回転自在に支持されたボール36L,36Rが設けられている。また、前記実施例1のリング状のカム27L,27Rの代わりに、試料交換室2の下側の外壁2aに支持されたリング状のカム27が設けられている。リング状のカム27は、後部(−X側部分)が低く、前部(X側部分)が高く構成されている。したがって、図4Aにおいて、ロータ16を時計方向に回転させたとき、前側(X側)に移動した搬送アーム24Rが前記カム27により上昇し、後側(−X側)に移動した搬送アーム24Lが下降する。このため、搬送アーム24L,24R先端のウエハー載置部25L,25Lに載置されたウエハーWと搬送アーム24R先端のウエハー載置部25R,25Rに載置されたウエハーWとは、太陽歯車13上方の位置において上下に離れてすれ違うようになっている。この実施例2では、前記アーム軸23L,23R、カム27およびボール36L,36Rにより、アーム支持装置(23L+23R+27+36L+36R)が構成されている。
【0034】(変更例)以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更実施例を下記に例示する。
【0035】(H01)本発明は、ウエハー以外の物品の搬送装置に適用可能である。
(H02)本発明の物品搬送装置は、試料交換室以外の場所でも使用可能である。
(H03)前記ロータ(16)を回転させたとき、前記一対の搬送アーム(24L,24R)先端部の物品載置部(25L,25L;25R,25R)が上下に離れてすれ違う構成としては、前記一対の搬送アーム(24L,24R)を上下動させる構成以外に、一方の搬送アームのみを上下動させる構成を採用したり、最初から上下の位置をずらせて配置した構成を採用することが可能である。
(H04)前記ロータ16が回転角度θだけ回転駆動されたときに前記各アーム軸23L,23Rを回転角度2θだけ回転させる機能を有する回転伝動機構は、太陽歯車13、ギヤ28L,28Rおよびギヤ29L,29Rを用いる代わりにベルトまたはワイヤと、プーリまたはロール等によって構成することが可能である。
【0036】
【発明の効果】前述の本発明の物品の搬送装置は、下記の効果を奏することができる。
(E01)互いに異なる位置の間での物品の搬送を行う物品搬送装置において、簡素な構成で、配置スペースを省略することができる。
(E02)したがって、大気中の外部と真空の作業室との間の試料交換室に配置して使用する場合、試料交換室の容積を小さくすることができ、試料交換室内の空気を排気して真空にする際には短時間で真空にすることができる。
(E03)互いに異なる2箇所にそれぞれ配置された物品の位置を短時間で入れ換えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は電子顕微鏡装置の試料交換室に設けられた本発明の一実施例の物品搬送装置の縦断面図である。
【図2】 図2は前記図1のII−II線から見た物品搬送装置の平面図である。
【図3】 図3は物品搬送装置の説明図で、図3Aは前記図2の状態から時計方向に約80°回転させた状態の平面図、図3Bは前記図3AのIIIB−IIIB線断面図である。
【図4】 図4は本発明の実施例2の物品搬送装置の説明図で、図4Aは前記実施例1の図3Aに対応する図、図4Bは前記図4AのIVB−IVB線断面図で前記実施例1の図3Bに対応する図である。
【図5】 図5は従来技術の説明図である。
【符号の説明】
16…ロータ、23L,23R…アーム軸、24L,24R…搬送アーム、25L,25L…物品載置部、25R,25R…物品載置部、
(13+28L+28R+29L+29R)…回転伝動機構、
(23L+23R+26L+26R+27L+27R)…アーム支持装置
(23L+23R+27+36L+36R)…アーム支持装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記の要件を備えたことを特徴とする物品搬送装置、(Y01)鉛直な回転軸周りに回転駆動されるロータ、(Y02)前記ロータの前記鉛直な回転軸に対して軸対称の位置にそれぞれ回転可能に支持された鉛直な一対のアーム軸、(Y03)前記各アーム軸の上端部に基端部が支持されるとともに先端部に物品載置部が設けられた搬送アーム、(Y04)前記ロータが回転角度θだけ回転駆動されたときに前記各アーム軸を回転角度2θだけ回転させる回転伝動機構、(Y05)前記ロータを回転させたとき、前記一対の搬送アーム先端部の物品載置部が上下に離れてすれ違うように前記搬送アームを支持するアーム支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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