説明

物品検査装置

【課題】外部からの異物混入を防止すると共に、簡易な管理構成により不良品の不正な流出を防止することができる物品検査装置を提供すること。
【解決手段】被検査物Wを搬送する搬送手段と、検査結果に基づいて不良品として選別された前記被検査物Wを収納する不良品収納手段70と、を有した物品検査装置1において、前記搬送手段、前記不良品収納手段70の少なくともいずれか一方から前記被検査物Wを取り出すことができない閉状態、および前記搬送手段、前記不良品収納手段70の少なくともいずれか一方から前記被検査物Wを取り出すことができる開状態をとるように電子的に施錠可能な開閉部材と、前記開閉部材を前記閉状態および前記開状態にするための認証情報に基づいて認証する認証手段93と、を備え、前記認証手段93により認証が得られた場合にのみ、前記開閉部材を開閉可能にするよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物についての品質検査を行なう物品検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品検査装置としては、搬送される被検査物にX線を照射して、そのX線透過量から被検査物中の異物を検出するX線異物検出装置、搬送される被検査物によって磁界が変化することにより被検査物中の金属を検出する金属検出装置、搬送される被検査物の重量を計量し、適正な重量であるか否かを判定する重量選別装置などがある。これらの物品検査装置は、搬送路を流れてくる被検査物を検査し、その検査結果から被検査物を良品と不良品とに選別して、不良品だけを搬送路外に排除している。
【0003】
また、このような物品検査装置として、検査工程において外部から異物が混入しないように搬送路をカバーで覆うと共に、不良品として排除された被検査物を不良品収納ボックスに収納して、外部から異物が混入しない態様で一定期間隔離するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−33403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の物品検査装置では、例えば、悪意ある第三者が搬送路を覆うカバーを開けて搬送路から被検査物を不正に持ち出すといった逸脱行為により不良品が工場外に流出する虞があった。また、経験の少ない作業者により搬送路を覆うカバーが不用意に開けられることによって、外部の異物が被検査物に混入し、不良品の発生等の原因になる虞があった。さらに、作業者が生産量を確保する目的で、不良品収納ボックスから不正に取り出した不良品を再投入するといった逸脱行為により、不良品が排除されることなく工場外に流出する虞があった。
【0005】
これらの逸脱行為を防止するために、カバーや不良品収納ボックスに施錠機構を設ける構成が考えられるが、管理者は、カバーや不良品収納ボックスを開けるために鍵を持ち運ばなければならず、鍵を紛失してしまうという問題があった。また、管理者が管理する装置の台数が多くなるにつれて鍵の個数も増えるため、管理者に負担が生じるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、前述のような従来の問題を解決するためになされたもので、外部からの異物混入を防止すると共に、簡易な管理構成により不良品の不正な流出を防止することができる物品検査装置を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る物品検査装置は、上記目的を達成するため、(1)被検査物を搬送する搬送手段と、前記搬送手段に搬送された前記被検査物の検査を行なう検査手段と、前記検査手段の検査結果に基づいて前記被検査物を良品と不良品とに選別する選別手段と、前記選別手段により不良品として選別された前記被検査物を収納する不良品収納手段と、を有した物品検査装置において、前記搬送手段、前記不良品収納手段の少なくともいずれか一方から前記被検査物を取り出すことができない閉状態、および前記搬送手段、前記不良品収納手段の少なくともいずれか一方から前記被検査物を取り出すことができる開状態をとるように電子的に施錠可能な開閉部材と、前記開閉部材を前記閉状態および前記開状態にするための認証情報に基づいて認証する認証手段と、を備え、前記認証手段により認証が得られた場合にのみ、前記開閉部材を開閉可能にするよう構成した。
この構成により、開閉部材が閉状態をとることにより搬送手段や不良品収納手段への異物の混入を防止し、異物混入による検査不良を防止することができる。また、開閉部材を開状態として搬送手段や不良品収納手段から被検査物を取り出せる者が、認証手段により認証が得られた者に制限されるため、悪意ある第三者が搬送手段に搬送されている被検査物を不正に工場外に持ち出すといった逸脱行為を防止することができる。また、作業者が生産量を確保するために、不良品収納手段から不良品を取り出して搬送手段に再投入するといった逸脱行為を防止し、不良品が排除されることなく工場外に流出するのを防止することができる。特に、開閉可能な者を管理責任のある管理者に制限すれば、さらに逸脱行為の防止を強化することができる。また、開閉可能な者を経験の多い作業者に制限すれば、経験の少ない作業者の不注意を原因とした不良品の発生を減少することができる。さらに、電子的施錠されるため、施錠機構を設ける構成と比べて、鍵を管理する必要がなくなるため管理が容易となり、管理者の負担を軽減することができる。なお、本発明における「認証手段」は、作業者によって入力されたIDおよびパスワードに基づいて認証してもよいし、認証情報を記録したカードキーにより認証してもよいし、指紋認証や網膜認証などの生体認証により認証してもよい。
【0008】
また、上記(1)の本発明に係る物品検査装置は、(2)前記開閉部材が、前記不良品収納手段に設けられた開閉扉であることが好ましい。
この構成により、悪意ある第三者が不良品収納手段に収納されている被検査物を不正に工場外に持ち出すといった逸脱行為を防止することができる。
【0009】
また、上記(1)の本発明に係る物品検査装置は、(3)前記開閉部材が、前記搬送手段を覆う開閉カバーであることが好ましい。
この構成により、開閉カバーを閉じておくことで搬送手段に異物が混入することを防止すると共に、悪意ある第三者が搬送手段に搬送されている被検査物を取り出して工場外に持ち出すといった逸脱行為を防止することができる。
【0010】
また、上記(2)の本発明に係る物品検査装置は、(4)前記不良品収納手段に収納された前記被検査物の収納状態を検知する収納検知手段と、前記収納検知手段により検知された前記被検査物の収納状態を報知する収納状態報知手段と、をさらに備えている。
この構成により、収納状態報知手段が不良品収納手段に収納された被検査物の収納状態を報知することにより、作業者に不良品収納手段に収納された被検査物の収納状態を認識させることができる。なお、本発明における「収納状態」とは、満杯状態を含むものであり、例えば、不良品収納手段に収納された不良品の満杯状態を報知することにより、作業者に対して不良品収納手段に収納された不良品の回収を促して不良品収納ボックスが不良品で溢れることを防止することができる。また、本発明における「報知」とは、ディスプレイにメッセージを表示することによる報知や、音声を出力することによる報知を含む。
【0011】
また、上記(1)から(4)の本発明に係る物品検査装置は、(5)前記開閉部材の開状態および閉状態を検知する開閉検知手段と、前記開閉検知手段により前記開閉部材の開状態が検知された場合に、前記搬送手段による搬送を停止する搬送停止手段と、をさらに備えている。
この構成により、搬送手段を覆う開閉カバーや不良品収納手段に設けた開閉扉が開いている状態で搬送手段が被検査物を搬送することがないため、検査中に異物が混入して工場外に不良品が流出することを確実に防止することができる。
【0012】
また、上記(1)から(5)の本発明に係る物品検査装置は、(6)前記開閉部材が開状態となってから閉状態となるまでの開錠時間を計時する計時手段と、前記計時手段により計時された前記開錠時間が所定の時間を超過した場合に、前記開錠時間の超過を報知する時間超過報知手段と、をさらに備えている。
この構成により、搬送手段を覆う開閉カバーや不良品収納手段に設けた開閉扉の閉め忘れを作業者に報知することにより、悪意ある第三者による逸脱行為や検査中に異物が混入することを防止することができる。
【0013】
また、上記(1)から(6)の本発明に係る物品検査装置は、(7)前記認証手段による認証の履歴を示す認証履歴情報を記録する認証履歴記録手段をさらに備えている。
この構成により、工場外に製品を出荷した後に問題が生じた場合に、記録された認証履歴情報から検査時の検査状況を特定することができる。例えば、「認証履歴情報」として、開閉部材の開閉日時、作業者名、認証結果および製品のロット番号を対応付けて記録しておくことにより、問題が生じた製品のロット番号から検査を担当した作業者名等を特定することができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る物品検査装置によれば、開閉部材が閉状態をとることにより搬送手段や不良品収納手段への異物の混入を防止し、異物混入による検査不良を防止することができる。また、開閉部材を開状態として搬送手段や不良品収納手段から被検査物を取り出せる者が、認証手段により認証が得られた者に制限されるため、悪意ある第三者が搬送手段に搬送されている被検査物を不正に工場外に持ち出すといった逸脱行為を防止することができる。また、作業者が生産量を確保するために、不良品収納手段から不良品を取り出して搬送手段に再投入するといった逸脱行為を防止し、不良品が排除されることなく工場外に流出するのを防止することができる。特に、開閉可能な者を管理責任のある管理者に制限すれば、さらに逸脱行為の防止を強化することができる。また、開閉可能な者を経験の多い作業者に制限すれば、経験の少ない作業者の不注意を原因とした不良品の発生を減少することができる。さらに、電子的施錠されるため、施錠機構を設ける構成と比べて、鍵を管理する必要がなくなるため管理が容易となり、管理者の負担を軽減することができる。
【0015】
請求項2に係る物品検査装置によれば、開閉扉を閉じておくことで、悪意ある第三者が不良品収納手段に収納されている被検査物を不正に工場外に持ち出すといった逸脱行為を防止することができる。
【0016】
請求項3に係る物品検査装置によれば、開閉カバーを閉じておくことで搬送手段に異物が混入することを防止すると共に、悪意ある第三者が搬送手段に搬送されている被検査物を取り出して工場外に持ち出すといった逸脱行為を防止することができる。
【0017】
請求項4に係る物品検査装置によれば、収納状態報知手段が不良品収納手段に収納された被検査物の収納状態を報知することにより、作業者に不良品収納手段に収納された被検査物の収納状態を認識させることができる。
【0018】
請求項5に係る物品検査装置によれば、搬送手段を覆う開閉カバーや不良品収納手段に設けた開閉扉が開いている状態で搬送手段が被検査物を搬送することがないため、検査中に異物が混入して工場外に不良品が流出することを確実に防止することができる。
【0019】
請求項6に係る物品検査装置によれば、搬送手段を覆う開閉カバーや不良品収納手段に設けた開閉扉の閉め忘れを作業者に報知することにより、悪意ある第三者による逸脱行為や検査中に異物が混入することを防止することができる。
【0020】
請求項7に係る物品検査装置によれば、工場外に製品を出荷した後に問題が生じた場合に、記録された認証履歴情報から検査時の検査状況を特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。以下、物品検査装置を重量選別装置に適用した場合について説明する。なお、物品検査装置は、重量選別装置に限定されずX線異物検出装置や金属検出装置にも適用可能である。
まず構成について説明する。
図1(a)は、本発明の実施の形態に係る重量選別装置1の搬送路を被覆した状態の斜視図であり、図1(b)は、本発明の実施の形態に係る重量選別装置1の被覆された搬送路の内部構造を示す斜視図である。
【0022】
図1(a)、(b)に示すように、重量選別装置1は、重量によって被検査物Wを選別するものであり、計量ユニット10と、選別ユニット40と、不良品収納ボックス70と、から構成されている。重量選別装置1は、生産ラインの一部を構成する搬入コンベア2の後端に設置され、搬入コンベア2から順次搬入されてくる被検査物Wの重量を計量ユニット10で計量することにより良品と不良品とに判定し、計量ユニット10で判定された判定結果に基づき選別ユニット40で被検査物Wを選別する。良品として選別された被検査物Wは、そのまま生産ラインを流れて工場外に出荷され、不良品として選別された被検査物Wは、不良品収納ボックス70に収納されて、異物が混入しない状態で一定期間隔離される。なお、ここでいう被検査物Wとは、包装された生肉、魚、加工食品、医薬などの工場の生産ラインで搬送されるものである。
【0023】
計量ユニット10は、制御ボックス11と、助走コンベア12と、秤量コンベア13と、第1コンベアボックス14と、搬入センサ15と、荷重センサ16と、を備えている。
【0024】
制御ボックス11は、正面上方に設けられた表示部18と、表示部18の下方に設けられた操作部19と、を有し、重量選別装置1全体の駆動を統括管理している。表示部18は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスで構成され、操作画面や各種メッセージを表示する。操作部19は、重量選別装置1を制御するための各種設定を入力するために用いられる。なお、操作部19は、表示部18の一部にタッチパネルとして形成されていてもよい。
【0025】
助走コンベア12は、搬入コンベア2から被検査物Wを受け取るように搬入コンベア2の下流側に隣接し、搬入コンベア2から順次送られてくる被検査物Wの搬入間隔を調整して秤量コンベア13に送り出す。なお、助走コンベア12は、いわゆるベルトコンベアであり、一対のローラ21a、21bと一対のローラ21a、21bに掛け渡された無端ベルト22と、一対のローラ21a、21bのいずれか一方を回転駆動する駆動モータ86(図5参照)と、から構成されている。駆動モータ86の駆動は、制御ボックス11により制御されている。
【0026】
秤量コンベア13は、助走コンベア12から被検査物Wを受け取るように助走コンベア12の下流側に隣接して配置されている。また、秤量コンベア13は、荷重センサ16の上に載置されており、助走コンベア12から送られてくる被検査物Wを荷重センサ16に計量させると共に、選別ユニット40に送り出している。なお、秤量コンベア13も助走コンベア12と同様にベルトコンベアで構成され、制御ボックス11により制御されている。
【0027】
第1コンベアボックス14は、助走コンベア12、秤量コンベア13、搬入センサ15および荷重センサ16を収容し、助走コンベア12および秤量コンベア13への異物混入を防止している。また、第1コンベアボックス14の上面は、開閉カバー27になっており、作業者は開閉カバー27を開けて内部を確認することができるようになっている。また、第1コンベアボックス14は、作業者ではない第三者に勝手に開かれないように電子ロック機構28により電子的に施錠されている。
【0028】
搬入センサ15は、投光部25aと受光部25bとから構成され、助走コンベア12と秤量コンベア13との間に、投光部25aおよび受光部25bを対向するようにして第1コンベアボックス14内に配置されている。受光部25bは、投光部25aからの光を検知しており、被検査物Wが投光部25aからの光を遮光して受光部25bが光を検知できなくなることで、被検査物Wの存在を検知するようになっている。搬入センサ15は、被検査物Wの存在を検知すると、荷重センサ16に搬入検知信号を出力する。搬入検知信号は、荷重センサ16の計量開始のタイミングに利用される。
【0029】
荷重センサ16は、第1コンベアボックス14内に載置され、秤量コンベア13上の被検査物Wを計量して計量信号を制御ボックス11に出力するものである。荷重センサ16は、第1コンベアボックス14内に載置されるため、異物が混入することがなく精度良く計量することができるようになっている。また、荷重センサ16は、搬入センサ15の搬入検知信号を受けてから(搬入センサ15が被検査物Wの存在を検知してから)所定時間Tの経過後に作動し、被検査物Wの重量を計量し始める。本発明の実施の形態における「所定時間T」とは、被検査物Wが助走コンベア12から秤量コンベア13に完全に乗り移り、荷重センサ16からの計量信号が安定するまでに必要な時間である。このように、所定時間Tを経過した後に被検査物Wの重量を計量するため、計量信号の安定した部分から計量値を得ることができる。なお、荷重センサ16の計量方式は、被検査物Wの重量等に応じて電磁平衡式、電気抵抗式および差動トランス式のいずれの方式を採用してもよい。
【0030】
選別ユニット40は、搬出コンベア41と、選別機構42と、第2コンベアボックス43と、を備えている。
【0031】
搬出コンベア41は、秤量コンベア13で計量された被検査物Wを受け取り、下流に設けた搬出トレイ(図示省略)に搬出するものであり、秤量コンベア13の下流側に隣接している。また、搬出コンベア41は、秤量コンベア13から受け取った被検査物Wを選別機構42が選別可能な選別位置に搬送する。なお、搬出コンベア41は、助走コンベア12および秤量コンベア13と同様にベルトコンベアで構成され、制御ボックス11により制御されている。
【0032】
選別機構42は、制御ボックス11に制御されており、計量ユニット10により不良品であると判定された搬出コンベア41上の被検査物Wを不良品収納ボックス70へ押し出すことにより排除する。なお、選別機構42は、押出方式に限らず、アームにより搬出コンベア41上の被検査物Wの流れる方向を変えて選別するフリッパ方式や、搬出コンベア41上の被検査物Wを下方へ落下させることにより選別するドロップアウト方式の選別機構を採用してもよい。また、機械的に選別する方式に限定されず、被検査物Wが軽いものであれば、圧縮エアにより被検査物Wを吹き飛ばすエアジェット方式を採用してもよい。
【0033】
第2コンベアボックス43は、第1コンベアボックス14と略同様な構成をしており、搬出コンベア41を収容して搬出コンベア41への異物混入を防止している。また、第2コンベアボックス43の内部には、第1コンベアボックス14と異なり、搬入センサ15が取り付けられておらず、選別機構42および不良品収納ボックス70の位置に合わせて開口が形成されている。選別機構42は、この開口を介して搬出コンベア41を横切るようにして、搬出コンベア41に搬送されている被検査物Wを不良品収納ボックス70に押し込むようにしている。
【0034】
不良品収納ボックス70は、選別機構42により排除された不良品を収納している。また、不良品収納ボックス70の上面は開閉扉72となっており、作業者は開閉扉72を開けて不良品収納ボックス70内から不良品を回収することができるようになっている。また、不良品収納ボックス70は、悪意のある第三者が内部から勝手に不良品を持ち出せないように電子ロック機構73により電子的に施錠されている。
【0035】
図2を参照して第1コンベアボックス14の詳細構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る第1コンベアボックス14を断面にした状態における計量ユニット10の模式図である。
【0036】
図2に示すように、第1コンベアボックス14は、コンベアボックス本体26と、開閉カバー27と、電子ロック機構28と、開閉センサ(開閉検知手段)29と、を有している。
【0037】
コンベアボックス本体26は、助走コンベア12および秤量コンベア13の延在方向に伸びる低壁31と、低壁31の幅方向の両端から立ち上がる一対の対向壁32a、32bと、から形成され、上面を開放した状態で助走コンベア12および秤量コンベア13を一対の対向壁32a、32bにより挟み込むことにより収容している。低壁31には、荷重センサ16が載置され、一対の対向壁32a、32bには、搬入センサ15を構成する投光部25aおよび受光部25bが水平に取り付けられている。
【0038】
開閉カバー27は、一対の対向壁32a、32bのうち制御ボックス11側の対向壁32bの上辺部にヒンジ部材で取り付けられ、ヒンジ部材を支点として開閉可能に構成されている。第1コンベアボックス14は、開閉カバー27が閉じられることにより、コンベアボックス本体26の上面が覆われて、助走コンベア12および秤量コンベア13への異物混入を防止する。なお、開閉カバー27は、ヒンジ部材を支点とした回動式の開閉に限定されるものではなく、スライド式や折り畳み式で開閉する構成としてもよい。
【0039】
電子ロック機構28は、制御ボックス11側の対向壁32bに対向する対向壁32a側に設けられた係合部材33aと、開閉カバー27の先端側に設けられた被係合部材33bと、から構成され、係合部材33aと被係合部材33bとが上下からすれ違うようにして接し、係合することによりコンベアボックス本体26と開閉カバー27とを電子的に施錠する。係合部材33aは、ソレノイドを有し、このソレノイドは一般的なソレノイドと同様に、鉄心と、鉄心を外部に向けて付勢する付勢バネと、鉄心を囲うように設けたコイルと、から構成される。また、被係合部材33bには、鉄心に係合する係合穴(図示省略)が形成されている。電子ロック機構28は、制御ボックス11からロック解除信号が出力されると、コイルに電力が供給され、鉄心が内部に引き込まれて電子ロック機構28のロックを解除する。一方、電子ロック機構28は、制御ボックス11からロック信号が出力されるとコイルへの電力供給が停止され、鉄心が付勢バネにより外部に押し出されて、被係合部材33bに形成された係合穴に係合してロックする。このように、電子ロック機構28により開閉カバー27をロックすることで、悪意のある第三者による助走コンベア12および秤量コンベア13からの被検査物Wの不正な取り出しを防止することができる構成となっている。
【0040】
開閉センサ29は、係合部材33a側の対向壁32aの上辺部に設けられている。開閉センサ29は、出没自在な検知突起34を有しており、検知突起34が出状態で開閉カバー27が開けられている開状態を検知し、検知突起34が開閉カバー27の先端により押し込まれた没状態で開閉カバー27が閉じられている閉状態を検知する。開閉センサ29は、開閉カバー27が開けられて開状態を検知すると、制御ボックス11に開閉カバー27の閉状態を検知するまで開状態検知信号を出力し続ける。なお、開閉センサ29を設ける構成に代えて電子ロック機構28のロックが解除されることで開閉カバー27の開状態を検知し、電子ロック機構28がロックされることで開閉カバー27の閉状態を検知する構成としてもよい。
【0041】
図3を参照して不良品収納ボックス70の詳細構成について説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る第2コンベアボックス43および不良品収納ボックス70を断面にした状態における選別ユニット40および不良品収納ボックス70の模式図である。
【0042】
図3に示すように、不良品収納ボックス70は、収納ボックス本体71と、開閉扉72と、電子ロック機構73と、開閉センサ74と、収納センサ(収納検知手段)75と、を有し、搬出コンベア41を挟んで選別機構42の対向位置に第2コンベアボックス43に接した状態で配置されている。
【0043】
収納ボックス本体71は、上部を開放したボックス状に形成され、第2コンベアボックス43に接する側壁には、選別機構42により押し出された被検査物Wの入り口となる受入口76が形成されている。不良品収納ボックス70の収納空間は、この受入口76と第2コンベアボックス43とに形成された開口を介して第2コンベアボックス43の搬送空間に連通し、選別機構42により押し出された不良品を搬出コンベア41からダイレクトに収納する。
【0044】
開閉扉72は、収納ボックス本体71の生産ラインの上流側に向いた側壁の上辺部にヒンジ部材で取り付けられ、ヒンジ部材を支点として開閉可能に構成されている。不良品収納ボックス70は、開閉扉72が閉じられることにより、収納ボックス本体71の上部が覆われて、不良品収納ボックス70内への異物混入を防止する。
【0045】
電子ロック機構73は、第1コンベアボックス14および第2コンベアボックス43の電子ロック機構28、58と同様な構成であり、収納ボックス本体71と開閉扉72とを電子的に施錠する。電子ロック機構73により開閉扉72をロックすることで、悪意のある第三者による不良品収納ボックス70からの被検査物Wの不正な取り出しを防止することができる構成となっている。
【0046】
開閉センサ74は、第1コンベアボックス14および第2コンベアボックス43の開閉センサ29、59と同様な構成であり、収納ボックス本体71の選別ユニット40側の側壁に対向する側壁の上辺部に設けられている。
【0047】
収納センサ75は、不良品収納ボックス70に収納された不良品の収納量を検知する。収納センサ75は、搬入センサ15と同様に、投光部83aと、受光部83bと、から構成され、投光部83aおよび受光部83bは、被検査物Wの満杯を示す高さに位置して不良品収納ボックス70の対向する側壁に水平に配置されている。収納センサ75は、不良品が不良品収納ボックス70に収納される際に、不良品により投光部83aからの光が瞬間的に遮られて不良品を検知してしまうため、一定期間、受光部83bが投光部83aからの光を検知できなくなることで不良品収納ボックス70の満杯を検知する。収納センサ75は、不良品収納ボックス70の満杯を検知すると、満杯検知信号を制御ボックス11に出力する。
【0048】
なお、収納センサ75は、不良品収納ボックス70に収納された不良品の個数により収納量を検知する構成としてもよい。この場合、受入口76の近傍に収納センサ75を設け、投光部83aからの光を不良品が遮る度に検知信号を制御ボックス11に出力する。制御ボックス11が、この検知信号の出力回数をカウントして表示部18に表示すれば、不良品収納ボックス70に収納された不良品の個数を作業者に正確に認識させることができる。
【0049】
図4を参照して計量信号について説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る荷重センサ16の計量信号の一例を示す図である。
【0050】
図4に示すように、計量信号は、縦軸を重量[g]、横軸を時間[s]にすると、破線部を除く山型波形の頂部85を形成する。荷重センサ16は、被検査物Wが搬入センサ15に検知されてから信号の立ち上りまでの時間とオーバーシュートが安定状態に戻るまでの時間との合計時間を示す所定時間Tの経過後から計量を開始し、信号が立ち下がる直前まで計量信号を出力し続ける。このように、搬入センサ15に検知されてから所定時間Tを経過した後に荷重センサ16が作動し、被検査物Wの重量の計量を開始するため、計量信号の立ち上り、オーバーシュートおよび計量信号の立ち下りを除いて安定した計量値を得ることができる構成となっている。
【0051】
図5を参照して、重量選別装置1の制御構成について説明する。図5は、本発明の実施の形態に係る重量選別装置1の制御ブロック図である。
【0052】
図5に示すように、制御ボックス11は、計量値算出手段87と、重量判定手段88と、搬送停止手段89と、計時手段90と、時間超過報知手段91と、収納状態報知手段92と、認証手段93と、認証履歴記録手段94と、を備えている。なお、各手段は、制御ボックス11に組み込まれたCPU(Central Processing Unit)が記録部96内の制御プログラムに従って各種データを演算し、さらに重量選別装置1の各部と協働して処理を実行することにより実現されるものである。
【0053】
記録部96は、開閉カバー27、57および開閉扉72の開閉権限を有する作業者を認証するための認証情報、被検査物Wの重量判定の判定基準となる許容範囲を示す上限値および下限値、開閉カバー27、57および開閉扉72の開状態を許容する時間を示す開状態許容時間をそれぞれ記録している。これらは、事前に作業者により操作部19を用いて入力され、記録部96に記録される。
【0054】
計量値算出手段87は、荷重センサ16から出力された計量信号に基づいて、計量値を算出する。計量値算出手段87は、図4に示した山型波形の頂部85の平均から計量値を算出する。このように、信号の立ち上り、オーバーシュートおよび信号の立ち下りを除いて頂部85の平均から計量値を算出することにより、被検査物Wの正確な重量を計量することができる。
【0055】
重量判定手段88は、計量値算出手段87により計量値が算出されると、記録部96から被検査物Wの重量の許容範囲を示す上限値および下限値を読み出し、計量値と比較することにより判定する。重量判定手段88は、計量値算出手段87により算出された計量値が許容範囲内に無いと判定した場合(計量値<下限値、上限値<計量値)には、被検査物Wは不良品であるとして、選別機構42に対して駆動信号を出力する。選別機構42は、重量判定手段88から駆動信号を受けると、搬出コンベア41上の被検査物Wを押し出すようにして駆動し、不良品収納ボックス70に被検査物Wを押し込む。一方、重量判定手段88は、計量値算出手段87により算出された計量値が許容範囲内にあると判定した場合(下限値≦計量値≦上限値)には、被検査物Wは良品であるとして、選別機構42に対して駆動信号の出力を行なわない。
【0056】
搬送停止手段89は、開閉カバー27、57および開閉扉72が開かれている場合に、助走コンベア12、秤量コンベア13および搬出コンベア41の駆動を停止する。搬送停止手段89は、第1コンベアボックス14、第2コンベアボックス43および不良品収納ボックス70のいずれかの開閉センサ29、59、74から開状態検知信号を受けると、駆動モータ86に駆動停止信号を出力して、助走コンベア12、秤量コンベア13および搬出コンベア41を駆動する駆動モータ86を停止させる。これにより、開閉カバー27、57および開閉扉72が開いた状態のまま検査が開始されることがないので、検査中に異物が混入して工場外に不良品が流出することを確実に防止することができる。
【0057】
計時手段90は、開閉カバー27、57および開閉扉72が開かれてから、閉じられるまでを計時する。計時手段90は、開閉センサ29、59、74のいずれかから開状態検知信号を受けてから計時し始め、開状態検知信号を受けなくなると停止する。なお、開閉センサ29、59、74を設けない場合には、電子ロック機構28、58、73のロックが解除されることにより開閉カバー27、57および開閉扉72の開閉状態を検知する構成としてもよい。
【0058】
時間超過報知手段91は、開閉カバー27、57および開閉扉72が開いたままである場合に、作業者に対してその旨を報知する。時間超過報知手段91は、記録部96に記録された開状態許容時間を読み出し、計時手段90に計時されている時間と比較する。計時手段90に計時されている時間が開状態許容時間を過ぎると(計時時間>開状態許容時間)、時間超過報知手段91は、表示部18に「開閉カバー、開閉扉が開かれたままになっています。確認をお願いします。」等のメッセージを表示させ、作業者に開閉カバー27、57および開閉扉72の確認を促す。これにより、開閉カバー27、57および開閉扉72の閉め忘れを防止することができる。なお、表示部18にメッセージを表示する構成に代えて音声により作業者に開閉カバー27、57および開閉扉72の確認を促すようにしてもよい。
【0059】
収納状態報知手段92は、不良品収納ボックス70が不良品により満杯であることを報知する。収納状態報知手段92は、収納センサ75から満杯検知信号を受けると、表示部18に「不良品収納ボックス70が満杯です。不良品を取り除いてください。」等のメッセージを表示させ、作業者に不良品の回収を促す。なお、表示部18にメッセージを表示する構成に代えて音声により作業者に不良品の回収を促すようにしてもよい。
【0060】
認証手段93は、作業者に操作部19から入力されたログイン名およびパスワードと、記録部96に記録されている認証情報とを比較して開閉権限を有する者を認証する。認証情報とは、作業者毎に対応付けたログイン名とパスワードである。認証手段93は、作業者が操作部19を介して入力したログイン名およびパスワードが、認証情報として記録されたログイン名およびパスワードと一致するか否かを判定する。認証手段93は、ログイン名およびパスワードが一致すると判定した場合、認証成功として第1コンベアボックス14、第2コンベアボックス43および不良品収納ボックス70の電子ロック機構28、58、73にロック解除信号を出力する。電子ロック機構28、58、73は、ロック解除信号を受けると、ロックを解除して、開閉カバー27、57および開閉扉72を開閉可能な状態にする。一方、認証手段93がログイン名およびパスワードの少なくとも1つが一致しないと判定した場合、認証失敗として表示部18に「ログイン名およびパスワードが間違っています。再入力をお願いします。」等のメッセージを表示させ、作業者に再入力を促す。
【0061】
なお、本発明の実施の形態における「認証手段」は、認証情報を記録したカードキーにより認証してもよいし、指紋認証や網膜認証などの生体認証により認証してもよい。また、制御ボックス11で認証する構成に代えて電子ロック機構28、58、73で認証する構成としてもよい。さらに、開閉カバー27、57および開閉扉72毎に開閉権限を有する者を制限する構成としてもよい。開閉カバー27、57の開閉権限を有する者を、検査を担当する作業者に制限し、開閉扉72の開閉権限を有する者を、製品の生産量を管理する管理者に制限すれば、作業者と管理者との管理責任を明確に区分けすることができる。作業者は、異常時に開閉カバー27、57を開いて搬送路上を確認して検査状態を管理することができ、管理者は開閉扉73を開いて不良品収納ボックス70内の不良品の個数を把握して生産状況を管理することができる。
【0062】
認証履歴記録手段94は、認証手段93による認証の履歴を示す認証履歴情報を記録部96に記録する。認証履歴情報は、表示部18に表示させることができ、問題が生じた製品のロット番号から検査を担当した作業者名等を特定することができるようになっている。
【0063】
図6を参照して認証履歴情報について具体的に説明する。図6は、本発明の実施の形態に係る認証履歴情報の一例を示す図であって、(a)は、第1コンベアボックス14の認証履歴情報を示し、(b)は、第2コンベアボックス43の認証履歴情報を示し、(c)は、不良品収納ボックス70の認証履歴情報を示している。
【0064】
図6(a)、(b)、(c)に示すように、認証履歴情報は、第1コンベアボックス14、第2コンベアボックス43および不良品収納ボックス70に分類して、認証手段93により認証された作業者名、認証結果、開閉カバー27、57または開閉扉72が開かれてから閉じられるまでの開閉日時を製品のロット番号毎に関連付けて記録したものである。開閉日時は、制御ボックス11が開閉センサ29、59、74からの開状態検知信号を受けた時に記録される。問題が生じたロット番号が「0001」であれば、認証手段93により認証が得られた作業者「A」が2007年5月10日の10:00から10:05まで開閉カバー27、57を開き、同日の17:00から17:05まで開閉扉72を開いていたことを特定することができる。
【0065】
次に動作について説明する。図7は、本発明の実施の形態に係る重量選別装置1の認証処理を示すフロー図である。
【0066】
作業者によりログイン名およびパスワードが入力されると(ステップS1:Yes)、認証手段93が、入力されたログイン名およびパスワードと記録部96に記録されているログイン名およびパスワードとが一致するか否かを判定する(ステップS2)。認証手段93が、ログイン名およびパスワードの少なくとも1つが一致しないと判定すると(ステップS2:No)、認証失敗として表示部18に「ログイン名またはパスワードが間違っています。再入力をお願いします。」等のメッセージを表示させる(ステップS3)。一方、認証手段93が、ログイン名およびパスワードの両方が一致すると判定すると(ステップS2:Yes)、認証成功として電子ロック機構28にロック解除信号を出力する(ステップS4)。電子ロック機構28は、認証手段93からロック解除信号を受けると、ロックを解除して、開閉カバー27、57および開閉扉72を開閉可能な状態にする(ステップS5)。
【0067】
図8は、本発明の実施の形態における重量選別装置1の検査開始前に係る搬送停止処理を示すフロー図である。
【0068】
作業者により重量選別装置1の検査開始スイッチがONにされると(ステップS11:Yes)、重量選別装置1は、第1コンベアボックス14の開閉センサ29から開状態検知信号が出力されているか否かを確認する(ステップS12)。第1コンベアボックス14の開閉センサ29から開状態検知信号が出力されている場合には(ステップS12:Yes)、搬送停止手段89が駆動モータ86に駆動停止信号を出力し、助走コンベア12、秤量コンベア13および搬出コンベア41を停止させる(ステップS15)。第1コンベアボックス14の開閉センサ29から開状態検知信号が出力されていない場合には(ステップS12:No)、重量選別装置1は、第2コンベアボックス43の開閉センサ59から開状態検知信号が出力されているか否かを確認する(ステップS13)。第2コンベアボックス43の開閉センサ59から開状態検知信号が出力されている場合には(ステップS13:Yes)、搬送停止手段89が駆動モータ86に駆動停止信号を出力し、助走コンベア12、秤量コンベア13および搬出コンベア41を停止させる(ステップS15)。第2コンベアボックス43の開閉センサ59から開状態検知信号が出力されていない場合には(ステップS13:No)、重量選別装置1は、不良品収納ボックス70の開閉センサ74から開状態検知信号が出力されているか否かを確認する(ステップS14)。不良品収納ボックス70の開閉センサ74から開状態検知信号が出力されている場合には(ステップS14:Yes)、搬送停止手段89が駆動モータ86に駆動停止信号を出力し、助走コンベア12、秤量コンベア13および搬出コンベア41を停止させる(ステップS15)。不良品収納ボックス70の開閉センサ74から開状態検知信号が出力されていない場合には(ステップS14:No)、重量選別装置1は、助走コンベア12、秤量コンベア13および搬出コンベア41を駆動させ、被検査物Wの検査を開始する(ステップS16)。
【0069】
図9は、本発明の実施の形態に係る重量選別装置1の検査中に係る搬送停止処理を示すフロー図である。ここでは、検査中に不良品収納ボックス70を開いた場合を例に挙げて説明する。
【0070】
ステップS21からステップS25までは、図7で示したステップS1からステップS5までから同一の処理であるため省略し、ステップS26以降について説明する。作業者が開閉扉72を開けると、開閉センサ74が、開状態検知信号を制御ボックス11に出力する(ステップS26)。開閉センサ74から開状態検知信号が出力されると、搬送停止手段89が駆動モータ86に駆動停止信号を出力し、助走コンベア12、秤量コンベア13および搬出コンベア41を停止させる(ステップS27)。
【0071】
図10は、本発明の実施の形態に係る重量選別装置1の開状態報知処理を示すフロー図である。ここでは、不良品収納ボックス70の開閉扉72を開いた場合を例に挙げて説明する。
【0072】
制御ボックス11が、開閉扉72の開閉センサ74から開状態検知信号を受けると(ステップS31:Yes)、計時手段90が計時を開始する(ステップS32)。計時手段90が計時を開始すると、時間超過報知手段91が、記録部96に記録された開状態許容時間を読み出し、計時手段90に計時されている時間と比較する(ステップS33)。計時手段90に計時されている時間が開状態許容時間を過ぎると(ステップS33:Yes)、表示部18が「開閉カバー、開閉扉が開かれたままになっています。確認をお願いします。」等のメッセージを表示する(ステップS34)。一方、計時手段90に計時されている時間が開状態許容時間を過ぎていない場合は(ステップS33:No)、制御ボックス11が、開閉扉72の開閉センサ74から開状態検知信号を受けているか否かを判断する(ステップS35)。制御ボックス11が開状態検知信号を受けていない場合(ステップS35:No)、開閉扉72は閉じられたとして、計時手段90は計時を停止する。制御ボックス11が開状態検知信号を受けている場合(ステップS35:Yes)、開閉扉72は開かれたままであるとして、計時手段90は計時を続ける。
【0073】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る重量選別装置1は、開閉カバー27、57を閉じることにより、搬送路への異物混入を防止することができるため、異物混入による検査不良を防止することができる。また、開閉カバー27、57および開閉扉72を開くことができる者が、認証手段93により認証が得られた者に制限されるため、悪意ある第三者が被検査物Wを不正に工場外に持ち出すといった逸脱行為を防止することができる。また、作業者が生産量を確保するために、不良品収納ボックス70から不良品を取り出して搬送路に再投入するといった逸脱行為を防止し、不良品が排除されることなく工場外に流出するのを防止することができる。また、電子的にロックされるため、施錠機構により機械的に施錠する構成と比べて、鍵を管理する必要がなくなるため管理が容易となり、管理者の負担を軽減することができる。
【0074】
なお、電子ロック機構73のロックが解除された状態で開閉扉72が開かれていない場合に、電子ロック機構73が一定時間経過後に開閉扉72を自動的にロックする構成としてもよい。この場合、電子ロック機構73のロックが解除されてから計時手段90が計時を開始し始め、開状態許容時間を経過後に制御ボックス11が電子ロック機構73にロック信号を出力して開閉扉72をロックする。
【0075】
また、不良品の収納量を制御ボックス11の表示部18に表示する構成としたが、不良品収納ボックス70に表示部を設けて表示する構成としてもよい。
【0076】
また、第1コンベアボックス14および第2コンベアボックス43に開閉カバー27、43を設けて、不良品収納ボックス70には、開閉扉72を設けない構成としてもよい。これにより、不良品収納ボックス70から搬送路への不良品の再投入を防止し、不良品の工場外への流出を防止することができる。さらに、第1コンベアボックス14および第2コンベアボックス43に開閉カバー27、43を設けずに、不良品収納ボックス70に開閉扉72を設ける構成としてもよい。これにより、不良収納ボックス70から不良品の取り出しを防止し、不良品の工場外への流出を防止することができる。
【0077】
また、上記に示した実施例によらず、重量選別装置1について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】(a)は、本発明の実施の形態に係る重量選別装置の搬送路を被覆した状態の斜視図であり、(b)は、本発明の実施の形態に係る重量選別装置の被覆された搬送路の内部構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る第1コンベアボックスを断面にした状態における計量ユニットの模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る第2コンベアボックスおよび不良品収納ボックスを断面にした状態における選別ユニットおよび不良品収納ボックスの模式図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る荷重センサの計量信号の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る重量選別装置の制御ブロック図である。
【図6】(a)は、本発明の実施の形態に係る第1コンベアボックスの認証履歴情報の一例を示す図であり、(b)は、本発明の実施の形態に係る第2コンベアボックスの認証履歴情報の一例を示す図であり、(c)は、本発明の実施の形態に係る不良品収納ボックスの認証履歴情報の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る重量選別装置の認証処理を示すフロー図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る重量選別装置の検査開始前における搬送停止処理を示すフロー図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る重量選別装置の検査中における搬送停止処理を示すフロー図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る重量選別装置の開状態報知処理を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0079】
1 重量選別装置
2 搬入コンベア
10 計量ユニット
11 制御ボックス
12 助走コンベア
13 秤量コンベア
14 第1コンベアボックス
15 搬入センサ
16 荷重センサ
18 表示部
19 操作部
21a、21b ローラ
22 無端ベルト
25a 投光部
25b 受光部
26 コンベアボックス本体
27 開閉カバー
28 電子ロック機構
29 開閉センサ
31 低壁
32a、32b 対向壁
33a 係合部材
33b 被係合部材
34 検知突起
40 選別ユニット
41 搬出コンベア
42 選別機構(選別手段)
43 第2コンベアボックス
57 開閉カバー
58 電子ロック機構
59 開閉センサ
70 不良品収納ボックス
71 収納ボックス本体
72 開閉扉
73 電子ロック機構
74 開閉センサ
75 収納センサ(収納検知手段)
76 受入口
83a 投光部
83b 受光部
85 頂部
86 駆動モータ
87 計量値算出手段
88 重量判定手段
89 搬送停止手段
90 計時手段
91 時間超過報知手段
92 収納状態報知手段
93 認証手段
94 認証履歴記録手段
96 記録部
97 認証履歴情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物(W)を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段に搬送された前記被検査物(W)の検査を行なう検査手段と、
前記検査手段の検査結果に基づいて前記被検査物(W)を良品と不良品とに選別する選別手段(42)と、
前記選別手段(42)により不良品として選別された前記被検査物(W)を収納する不良品収納手段(70)と、を有した物品検査装置において、
前記搬送手段、前記不良品収納手段(70)の少なくともいずれか一方から前記被検査物(W)を取り出すことができない閉状態、および前記搬送手段、前記不良品収納手段(70)の少なくともいずれか一方から前記被検査物(W)を取り出すことができる開状態をとるように電子的に施錠可能な開閉部材と、
前記開閉部材を前記閉状態および前記開状態にするための認証情報に基づいて認証する認証手段(93)と、を備え、
前記認証手段(93)により認証が得られた場合にのみ、前記開閉部材を開閉可能にすることを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
前記開閉部材が、前記不良品収納手段(70)に設けられた開閉扉(72)であることを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
前記開閉部材が、前記搬送手段を覆う開閉カバー(27)、(57)であることを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記不良品収納手段(70)に収納された前記被検査物(W)の収納状態を検知する収納検知手段(75)と、
前記収納検知手段(75)により検知された前記被検査物(W)の収納状態を報知する収納状態報知手段(92)と、をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の物品検査装置。
【請求項5】
前記開閉部材の開状態および閉状態を検知する開閉検知手段と、
前記開閉検知手段により前記開閉部材の開状態が検知された場合に、前記搬送手段による搬送を停止する搬送停止手段(89)と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の物品検査装置。
【請求項6】
前記開閉部材が開状態となってから閉状態となるまでの開錠時間を計時する計時手段(90)と、
前記計時手段(90)により計時された前記開錠時間が所定の時間を超過した場合に、前記開錠時間の超過を報知する時間超過報知手段(91)と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の物品検査装置。
【請求項7】
前記認証手段(93)による認証の履歴を示す認証履歴情報(97)を記録する認証履歴記録手段(94)をさらに備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の物品検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−296202(P2008−296202A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148381(P2007−148381)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】