物品管理システム
【課題】保管庫に収納された複数の物品についての払い出し先別の払い出しや返却などの物品の移動管理を容易にする。
【解決手段】保管庫に収納された物品に識別データが記録されたRFIDタグ12を取り付け、物品の識別データをデータベースサーバ18データベース管理サーバにおいて管理する。リーダライタ10は、物品に取り付けられたRFIDタグ12から識別データを読み取って記憶すると共に、データベースサーバ18とネットワーク16により接続し、RFIDタグ12から読み取った識別データをデータベースサーバ18により管理されるデータベースと照合することができる。
【解決手段】保管庫に収納された物品に識別データが記録されたRFIDタグ12を取り付け、物品の識別データをデータベースサーバ18データベース管理サーバにおいて管理する。リーダライタ10は、物品に取り付けられたRFIDタグ12から識別データを読み取って記憶すると共に、データベースサーバ18とネットワーク16により接続し、RFIDタグ12から読み取った識別データをデータベースサーバ18により管理されるデータベースと照合することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管庫に収納された物品の払い出し、返却を管理するための物品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、RFID(Radio Frequency Identification)等の無線タグを利用した物流管理システムが提案されている。この技術は、各物品に対して非接触で各種情報が書き込み読み出されるメモリを有した無線タグを付加し、物品が製造から流通・小売りを経て消費者に至るまでの過程における各段階において、物品が段階を経由することによって得られる情報を無線タグのメモリに順次書き加え、物品管理情報を構築していくものである。無線タグのメモリに格納されている情報は、必要に応じて読み出すことができ、この情報を利用して物品の仕分けや流通の管理を行うことができる。さらに、物流過程における物品の環境情報を検出することによって、物品の物流過程での品質保証を行うことができるようにするとともに、これに、無線タグを利用した物流システムを適合させることによって、物流過程だけでなく、物品の製造から販売までの各過程における物品管理を一括して行うことができる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−315154公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように従来の無線タグを利用した物品の管理は、例えば流通過程における各段階において、無線タグに記憶された情報を利用して物品の仕分けや流通の管理を行うことを目的としていた。すなわち、物品の一方向の移動における管理をするもので、保管庫などに収納された複数の物品を複数の払い出し先(例えば車両等)に任意に分類して払い出し、払い出し先の間で物品を移動し、また払い出し先から保管庫へ返却するなどの物品の移動を管理することができなかった。特に、払い出し先において複数の物品が屋外で使用される場合には(例えば部隊の野外における運用など)、特許文献1に記載されているような、予め決められた場所に設置された読取装置では物品を管理することができなかった。
【0004】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、保管庫に収納された複数の物品についての払い出し先別の払い出しや返却などの物品の移動管理を容易にすることが可能な物品管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は、保管庫に収納された複数の物品のそれぞれに対して取り付けられた、前記物品を識別するための識別データが記録された無線タグと、前記保管庫に収納された複数の物品についての識別データをデータベースにより管理するデータベース管理サーバと、前記物品に取り付けられた前記無線タグから識別データを読み取って記憶すると共に、前記データベース管理サーバとネットワークにより接続し、前記無線タグから読み取った識別データを前記データベース管理サーバにより管理されるデータベースと照合する識別データ読取装置とを設け、前記保管庫に収納された物品の払い出し先別に分類した物品一覧データを前記データベースに登録し、前記保管庫から払い出される物品に取り付けられた前記無線タグから前記識別データ読取装置により識別データを読み取り、前記データベースに登録された物品一覧データと照合することで各払い出し先への物品の払い出しを確認し、各払い出し先から保管庫に戻す物品に取り付けられた前記無線タグから前記識別データ読取装置により識別データを読み取り、前記データベースに登録された物品一覧データと照合することで各払い出し先からの返却を確認することを特徴とするようにしたものである。
【0006】
また、前記識別データ読み取り装置を前記払い出し先別に設け、前記識別データ読み取り装置は、前記保管庫から払い出された物品に取り付けられた前記無線タグから前記識別データを読み取って物品一覧データとして順次記憶しておき、前記保管庫に戻す前記物品に取り付けられた前記無線タグから前記識別データを読み取って物品一覧データと照合して物品を確認することを特徴とする。
【0007】
さらに、前記払い出し先別に設けられた複数の前記識別データ読み取り装置は、前記ネットワークを介して接続し、相互に前記物品一覧データを送受信することを特徴とする。
【0008】
また、前記識別データ読み取り装置は、野外で使用可能な耐環境性能を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
したがって本発明によれば、物品に取り付けられた無線タグから識別データを読み取って記憶すると共に、データベース管理サーバとネットワークにより接続し、無線タグから読み取った識別データをデータベースにより管理されるデータベースと照合することができる識別データ読取装置を用い、保管庫に収納された物品の払い出し先別に分類した物品一覧データをデータベースに登録しておくことで、保管庫から払い出される物品に取り付けられた無線タグから識別データを読み取り、データベースに登録された物品一覧データと照合することで各払い出し先への物品の払い出しを確認し、各払い出し先から保管庫に戻す物品に取り付けられた無線タグから識別データを読み取り、データベースに登録された物品一覧データと照合することで各払い出し先からの返却を確認することができるので、保管庫に収納された複数の物品についての払い出し先別の払い出しや返却などの物品の移動を管理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態における物品管理システムの概略構成を示す図である。本実施形態における物品管理システムは、RFID(Radio Frequency Identification)タグ12を物品等に取り付け、小型軽量・堅牢な野外での使用可能な高い耐環境性能を有したハンディ型のリーダライタ10により物品14の照合を行い、ネットワーク16を通してデータベースサーバにアクセス18(データベース管理サーバ)し、どの物品がどの払い出し先(例えば車両等)に積載されているか等の情報をデータベースに反映して物品管理を行うことができる。リーダライタ10は、電池及びAC100V電源により駆動可能として場所を選ばず使用することができるようにする。データベースでは、物品の故障状況、修理状況等の他の情報も合わせて登録し、払い出し先の間で物品を移動する際に参照することができる。
【0011】
以下の説明では、部隊が野外運用する場合に使用される物品の管理をする場合を例にする。例えば、野外運用では、保管庫に収納されている複数の物品(構成品、ケーブル、附属品等)を複数の車両に分類して払い出し、運用後、各車両毎に物品を回収して保管庫に返却する。本実施形態の物品管理システムでは、部隊固有のネットワーク16を利用して、リーダライタ10と指揮所や駐屯地等に設置されるデータベースサーバ18とを接続し、リーダライタ10によりRFIDタグ12(無線タグ)から読み取られる識別データとネットワーク16において管理されるデータベースとを照合することにより物品の管理を行う。
【0012】
部隊固有のネットワーク16は、例えば指揮所や駐屯地等と各車両とを有線、あるいは無線を介して通信することができるものである。なお、ネットワーク16には、一般の公衆回線網(有線、無線)、インターネットなど、他の通信網を含むことも可能である。
【0013】
リーダライタ10は、例えば図1(a)に示すように、本体部を構成する分離型リーダライタ10aとRFIDタグ12の読み取りのためのハンディアンテナ10bとに分離された構成、あるいは図1(b)に示すように、一体型リーダライタ10cとして本体部とアンテナとを一体化した構成とすることができる。
【0014】
リーダライタ10は、例えば以下のような性能及び機能を有して構成され、野外で使用可能な耐環境性能を有しているものとする。
【0015】
(1)性能
(ア)耐環境性能:
温度 動作 -20〜50℃
非動作 -40〜60℃
湿度 95%(Non Condensing)
振動 周波数5〜400Hz 最大せん頭加速度12.7m/s2
衝撃 落下衝撃(1.2mコンクリート落下)
耐水性 野外天幕で使用する機器で、雨水がかかる恐れがあるレベル
耐砂塵性 考慮する
耐食性 機器表面などに有害な腐食を生じないこと
(イ) 読み取り性能:距離 0〜300mm
(ウ) PC用あるいはPDA用最新OSを使用する
(エ) 電源:市販電池(充電可)またはAC100V
(2)機能
(ア) 外部インターフェース機能:RS-232CまたはLAN等を介した通信を制御するためのインタフェースを有し、他のネットワーク、PC等との接続及びデータ変換が可能とする。
(イ) 入出力機能:キーボードまたはタッチパネルにより数字または文字入力が可能
図2及び図3は、本実施形態におけるRFIDタグ12の構成を示す図である。RFIDタグ12は、RFIDチップやアンテナなどの構成部品を樹脂やガラスにより封止して構成される小型の通信端末である。
【0016】
図2は、平面状に形成された貼り付けタイプのRFIDタグ12を示すもので、図2(a)は通常品用、図2(b)は金属貼り付け用を示している。通常品では、図2(a2)に示すように、物品への接着面に例えば接着材料が塗布されており、物品に対して任意に貼り付けることができる。金属貼り付け用では、図2(b2)に示すように、タグ本体の接着面側に磁性体が貼り付けられており、金属性の物品に対して磁力により任意に貼り付けることができる。
【0017】
図3は、平面状に形成された荷札タイプのRFIDタグ12を示すもので、図3(a1)に示すようにタグ本体の一部に取り付け穴が形成されている。荷札タイプのRFIDタグ12は、図3(b)に示すように、貼り付けタイプのRFIDタグ12を接着させる面が無いケーブル等の物品に対して、ひも状の取り付け部材を取り付け穴を通して取り付けることができる。
【0018】
RFIDタグ12は、例えば以下のような性能及び機能を有して構成され、野外で使用可能な耐環境性能を有しているものとする。
【0019】
(1)性能
タグの耐環境性能:
温度 動作 -20〜50℃
非動作 -40〜60℃
湿度 95%(Non Condensing)
振動 周波数5〜400Hz 最大せん頭加速度24.5m/s2
衝撃 20G(11ms)
耐水性 野外で使用する機器で、ノズルから圧力をかけて注水試験を行うレベル
耐砂塵性 考慮する
耐食性 機器表面などに有害な腐食を生じないこと
RFIDタグ12は、取り付ける箇所により例えば6タイプのサイズを用意する。すなわち、物品及び複数の物品を収容するための収納ケース等に取り付けられる、図2に示す貼り付け可能なタイプについて、貼り付け箇所により3種類の大きさを用意し、またケーブル等に取り付け可能な図3に示す荷札タイプについて、ケーブル径に応じた3種類の形状を用意する。RFIDタグ12の表面には所定の銘板表示を行うことができる。また、荷札タイプのRFIDタグ12には、ケーブル等に巻きつけ可能な構造(ひも状の環状に連結可能な部材を一体化した構成)とすることもでき、名称表示の銘板のかわりに取り付けることができる。また、データベースに登録された内容等を印字できるようにしても良い。
【0020】
図4は、本実施形態における物品管理システムの構成を示すブロック図である。
【0021】
図4に示すように、リーダライタ10は、制御部20、アンテナ21、送受信部22、メモリ23、入力部24、表示部25、通信部26、及び電源部27が設けられている。
【0022】
制御部20は、OS上で物品管理用のアプリケーションプログラムを実行することでリーダライタ10全体の制御を行う。具体的には、制御部20は、アンテナ21を通じてRFIDタグ12から識別データを読み出してメモリ23に記録すると共に、ネットワーク16を介して接続されるデータベースサーバ18により管理されているデータベースに登録されたデータとの照合等の処理を制御する。
【0023】
送受信部22は、アンテナ21を介してRFIDタグ12との間で信号を送受信するものである。
メモリ23は、例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)であり、ネットワーク16を通じてデータベースサーバ18から取得されたデータ、RFIDタグ12から読み取った識別データ等が記憶される。
【0024】
入力部24は、リーダライタ10の動作を制御するための指示や各種データを入力するためのもので、GUI(Graphical User Interface)を用いたタッチパネルによる入力や、ボタンやキー等に対する入力操作を受け付けるものとする。
【0025】
表示部25は、メモリ23に記録されたデータ、すなわちRFIDタグ12から読み取ったデータ、データベースサーバ18から受信したデータ、あるいはデータベースとの照合結果などを表示する。表示部25は、テキストによる表示の他、GUIを用いた表示が可能とする。
【0026】
通信部26は、他のネットワーク、PC等との接続及びデータ変換等の制御を実行する。
電源部27は、電池(充電可)またはAC100Vにより各部に電源を供給する。
【0027】
一方、RFIDタグ12は、図4に示すように、制御部30、アンテナ31、送受信部32、及びメモリ33が設けられている。
【0028】
制御部30は、RFIDタグ12全体の制御を行う。具体的には、制御部30は、メモリ33から識別データを読み出し、送受信部32、アンテナ31を介してリーダライタ10へ送出する制御を行う。また、制御部30は、アンテナ31、送受信部32を介して受信されるリーダライタ10から送られた識別データ等をメモリ33に書き込む。
【0029】
送受信部32は、アンテナ31を介してリーダライタ10との間で信号を送受信するものである。
【0030】
メモリ33は、例えばEEPROMであり、RFIDタグ12が取り付けられる物品に割り当てられた固有の識別データなどを記憶している(図5参照)。
【0031】
図5は、RFIDタグ12のメモリ33に記憶されるデータの一例を示している。図5に示すように、メモリ33には、RFIDタグ12が取り付けられる物品に割り当てられた物品に固有の識別データが記憶される。本実施形態において識別データとしては、パーツナンバ33a(メーカ型番)、シリアルナンバ33b(製造番号)等が含まれているものとする。
【0032】
図6は、データベースサーバ18において管理されるデータベース40に登録されるデータの一例を示している。
【0033】
データベース40には、保管庫において収納管理されている物品14に関するデータ(構成品情報)が登録されている。すなわち、RFIDタグ12が取り付けられた物品14に固有の情報(名称、納入年月、整備記録等、使用部品のメーカ名、メーカ型番(パーツナンバ)、製造番号(シリアルナンバ))が登録されており、さらに特定の収納ケースにおいて収納される物品14については収納ケースを識別するデータ(収納ケースナンバ)、さらに物品14を収納する保管庫内の収納棚を示すデータが対応付けて登録される。
【0034】
なお、リーダライタ10によってデータベースサーバ18から読み込んだデータベース中のデータについては、リーダライタ10からパーソナルコンピュータ(PC)19にデータ移行することにより確認することができる。データベースの内容を変更したいときは、PC19にて新規のデータを入力したり、あるいは既存のデータを変更したりすることが可能であるものとする。また、RFIDタグ12に記録されたデータ(パーツナンバ33a、シリアルナンバ33bなど)を書き換えたいときは、リーダライタ10に変更後のデータを予め記録しておき、このデータをリーダライタ10によりRFIDタグ12へ書き込んで変更登録することができる。
【0035】
図7は、保管庫に収納された複数の物品14を複数の払い出し先別(車両)に分類して払い出す際に、リーダライタ10によって各物品14に取り付けられたRFIDタグ12から読み取った識別データをデータベースに登録した場合の物品一覧データ41の例を示している。
【0036】
本実施形態では、物品14の払い出し先別に、それぞれに払い出された物品14を管理するためにリーダライタ10が用いられるものとする。各リーダライタ10には、固有のリーダライタ識別コードが割り当てられ、メモリ23に記憶されているものとする。
【0037】
物品一覧データ41には、リーダライタ10に割り当てられたリーダライタ識別コードと対応付けて、この識別コードが示すリーダライタ10により管理されている複数の物品14に取り付けられたRFIDタグ12から読み取った識別データ(パーツナンバ33a、シリアルナンバ33b)が記憶される。なお、払い出し先を示すコード、図7では車両を示す車両データが割り当てられている場合には、このデータをリーダライタ識別コードと共に対応付けて記憶するようにしても良い。
【0038】
また、各識別データについては、故障/修理状況データを対応付けて記憶することができる。故障/修理状況データは、払い出し先において故障が発生したり、また故障を修理した場合に、払い出し先別のリーダライタ10の入力部24からその状況が入力されるとネットワーク16を通じて受信されて登録されるものとする。
【0039】
図8は、払い出し別のリーダライタ10に記憶される物品一覧データ42のデータ例を示している。
図8に示すように、リーダライタ10に記憶される物品一覧データ42には、各物品14のRFIDタグ12から読み取られた識別データ(パーツナンバ33a、シリアルナンバ33b)、物品14の故障あるいは修理状況を示す故障/修理状況データ、さらに特定の収納ケースにおいて収納される物品14については収納ケースを示すデータ(収納ケースナンバ)が対応付けて登録される。故障/修理状況データは、払い出し先において故障が発生したり、また故障を修理した場合に、入力部24からその状況を入力することで登録されるものとする。故障/修理状況データは、ネットワーク16を通じてデータベースサーバ18に送出され、また他の払い出し先(車両)に搭載されたリーダライタ10からネットワーク16を通じて問い合わせがあった場合に参照される(図12参照。詳細については後述する)。
【0040】
次に、本実施形態における物品管理システムを用いた物品管理について説明する。
(1)まず、保管庫管理作業における作業について説明する。
【0041】
平時における保管庫の管理作業では、保管庫管理者により各構成品、ケーブル及び附属品等にそれぞれに適したタイプ(図2、図3)のRFIDタグ12へのデータ入力及び貼り付けを実施する。RFIDタグ12へのデータ入力は、データ書き込み可能なライタまたはリーダライタ10により実施する。入力データは、PC19から入力したリーダライタ10に転送する、またはリーダライタ10の入力部24から入力できるものとする。
【0042】
また、附属品等の小さい物品14等を収納ケースに複数入れて管理する場合には、収納ケースにも収納内訳としてRFIDタグ12を貼り付け、収納内容物の管理が実施できるものとする。
【0043】
(2)次に、運用前準備の作業について説明する。
【0044】
図9には、保管庫から物品14を払い出す際にRFIDタグ12の読み取りを行うリーダライタ10の動作(払い出し処理)を説明するためのフローチャート、図10は物品14の払い出し先別において物品14を管理するために用いラリーレベルリーダライタ10の動作(物品登録処理)を説明するためのフローチャートである。図11は、保管庫に収納された複数の物品14を複数の払い出し先別(車両)に払い出す状況を説明するための図である。
【0045】
保管庫管理者は、事前に運用に必要な器材リストを作成し、データベースサーバ18のデータベースに機器リストデータとして登録する(図9、ステップA1)。器材リストデータでは、何れの車両(払い出し先)に何れの物品14を搭載させるか分類されているものとする。
【0046】
保管庫管理者は、保管庫に収納されている物品14を各払い出し先に払い出す際に、払い出し先を示す車両データ、あるいは払い出し先において物品14の管理に用いられるリーダライタ10のリーダライタ識別コードを、自身が使用するリーダライタ10−1に入力する(ステップA2)。
【0047】
保管庫管理者は、リーダライタ10−1を用いて、払い出される物品14に取り付けられたRFIDタグ12から識別データの読み取りを実行する。リーダライタ10−1は、RFIDタグ12から読み取った識別コードを、データベースサーバ18に管理されているデータベースに予め登録されている機器リストデータと照合する(ステップA4)。なお、リーダライタ10−1は、識別データの照合を行う場合、予めネットワーク16を介して払い出し先(車両)に対応する機器リストデータをダウンロードしてメモリ23に記憶しておき、このデータと照合するようにしても良いし、RFIDタグ12から識別データを読み取るたびにデータベースサーバ18に記憶された機器リストデータと照合しても良い。
【0048】
こうして払い出されるリーダライタ10−1を用いて物品14の払い出し時に物品14に取り付けられたRFIDタグ12から識別データを読み出し、データベースに登録されている器材リストデータと照合することにより、払い出し先の車両に対して必要器材(物品14)が払い出されたかを確認する(ステップA3〜A5)。
【0049】
なお、前述のように、器材単品(物品14)ごとに確認できるだけでなく、収納ケースに貼られたRFIDタグ12から読み取ったデータと物品14のRFIDタグ12から読み取ったデータとをあわせて、現在、その収納ケースに収納されていた物品14の全てが払い出されたか(空であるか)を確認できる。
【0050】
収納ケースに取り付けられるRFIDタグ12には、収納ケース内に収納された複数の物品14についての識別データが記録されていても良いし、収納ケースを識別するコードが記録されているようにしても良い。物品14の識別データが記録されている場合には、この識別データに該当する物品14が全て払い出されたことを確認することにより収納ケースが空であることを確認することができる。また、収納ケースのRFIDタグ12に収納ケースナンバが記録されている場合、データベースに登録されている構成品情報(図6)を参照し、該当する収納ケースナンバに対応する全ての物品14が払い出されている場合に、収納ケースが空であることを確認することができる。
【0051】
リーダライタ10−1は、RFIDタグ12から読み取った識別データの照合により、運用に必要な器材が全部払い出されたことを確認すると、払い出しが終了したことを保管庫管理者に通知するための出力を行う(ステップA6)。例えば、表示部25において所定のメッセージなどを表示することで確認させる。
【0052】
リーダライタ10−1は、保管庫管理者により払い出し終了を確認したことが入力部24から入力されると払い出し処理を終了する。リーダライタ10−1は、現在の支払い出し先(車両)に対する払い出し業務が終了したことをデータベースサーバ18に通知する。これにより、リーダライタ10−1及びデータベースサーバ18は、運用終了後の物品点検作業モードへ移行することができる。
【0053】
(3)各払い出し先(車両)別の物品14の登録作業について説明する。
払い出し先では、例えば車両に物品14を搭載する際に、リーダライタ10により物品14に取り付けられたRFIDタグ12から識別データを読み取り、払い出された物品14を車両別に管理する。
【0054】
車両における物品管理者は、例えば自車両用のリーダライタ10−2を用いて、車両に搭載される物品14のRFIDタグ12から識別データ(パーツナンバ、シリアルナンバ)を読み取り(図10、ステップB1)、これをメモリ23に物品一覧データ42(図8参照)として記憶させる(ステップB2)。払い出し作業が完了し、入力部24より作業終了が指示されると物品登録処理を終了する(ステップB3、Yes)。この際、リーダライタ10−2は、実際に車両に搭載された物品14についての識別データを車両コードあるいはリーダライタ識別コードと対応付けて、ネットワーク16を介してデータベースサーバ18に通知する。
【0055】
データベースサーバ18は、リーダライタ10−2からの識別データを、車両コードあるいはリーダライタ識別コードと対応付けて物品一覧データ41として登録しておく(図7参照)。
【0056】
以上の物品登録処理が、物品14の払い出し先となる車両別においてそれぞれ実行される。例えば、他の車両で使用されるリーダライタ10−3において各物品14に取り付けられたRFIDタグ12から読み取られた識別データ(パーツナンバ、シリアルナンバ)は、データベースサーバ18に送信されて、物品一覧データ41として記憶される。
【0057】
なお、本実施形態におけるリーダライタ10は、野外での使用可能な高い耐環境性能を有し、堅牢に構成されているため、例えば車両の荷台入り口近傍に装着した状態で使用することができる。この場合、物品14を車両の荷台に積載する際に、リーダライタ10の近傍を通過させることにより、RFIDタグ12の読み取りを実行させることができる。この場合、RFIDタグ12からの読み取り作業を簡単化することができる。
【0058】
(4)運用中の払い出し(車両)間での物品14の補給管理作業について説明する。
【0059】
図12は、補給管理のためのリーダライタ10による物品問い合わせ処理を説明するためのフローチャート、図13は、物品14の複数の払い出し先(車両)の間で補給管理のための問い合わせをする状況を説明するための図である。
【0060】
運用中では、指揮所または駐屯所、さらに運用に参加する車両等が部隊固有のネットワーク(有線または無線)により接続されて、相互に通信が可能な状態となる。本実施形態のリーダライタ10は、この固有のネットワークを利用して相互にデータ通信が可能となる。
【0061】
例えば、ある車両において管理されていた物品14に故障が発生し、新たに同じ物品14の補給が必要となったものとする。この場合、リーダライタ10において、入力部24に対する操作により、物品一覧データ42に登録された物品14の中で故障が発生したものを指定する(図12、ステップC1)。これにより、物品一覧データ42の識別データ(パーツナンバ、シリアルナンバ)と対応付けて、故障中であることを示す故障/修理状況データが記録される。この物品一覧データ42は、データベースサーバ18に通知することで、データベース中の物品一覧データ41に反映させることができる。
【0062】
また、故障が発生した物品14の補給を要求する場合、物品管理者によりリーダライタ10に問い合わせ要求が入力される。リーダライタ10は、この問い合わせ要求の入力に応じて、ネットワーク16を介して、図13に示すように他の車両に搭載されたリーダライタ10に補給対象とする物品14の識別データと共に物品問い合わせを送信する(ステップC2)。
【0063】
物品問い合わせを受信したリーダライタ10は、自らが管理している物品一覧データ42を参照して、要求された物品14を提供することができる場合に、送信元のリーダライタ10に対して問い合わせ結果を送信する。例えば、受信した識別データが示す物品14が故障中ではない場合、さらに予備として同じ物品14(パーツナンバが共通)が複数ある場合などに、物品14を提供することができるものとする。
【0064】
問い合わせ結果を受信したリーダライタ10は、この結果を表示部25において表示させる(ステップC4)。これにより物品管理者は、何れの車両から物品14の補給が可能であるかを容易に知ることができる。
【0065】
なお、車両に搭載されたリーダライタ10の間で物品問い合わせとその結果を送受信するものとしているが、データベースサーバ18にアクセスして、他の車両に搭載された物品14を確認することもできる。
【0066】
(5)運用後片付け作業について説明する。
【0067】
図14は、運用後片付け作業時のリーダライタ10による物品確認処理を説明するためのフローチャート、図15は、車両から持ち出された物品14の片づけの状況を説明するための図である。
【0068】
運用を実施する場合、車両に搭載された物品14が持ち出されて使用される。この際、リーダライタ10は、外部に持ち出された物品14のRFIDタグ12について読み取りを行い、これを物品一覧データ42に記録しておく。
【0069】
運用終了後、車両から持ち出された物品14を車両に回収する場合、リーダライタ10は、持ち出し時と同様にして物品14のRFIDタグ12について識別データの読み取りを行い(ステップD1)、物品一覧データ42と照合して返却を確認する(ステップD2)(図15)。また、この物品14に対して収納ケースナンバが物品一覧データ42において設定されている場合、この収納ケースナンバを表示して、物品管理者に対して物品14を収納すべき収納ケースを通知する(ステップD3)。これにより、附属品等の小さい物品14等であっても効率的に搭載することができる。
【0070】
ここで、持ち出された全ての物品14についての確認が取られていない場合、前述と同様にして、回収される物品14のRFIDタグ12から識別データを読み取って逐次確認を行う(ステップD1〜D4)。この間、入力部24から未確認の物品14の問い合わせ(残り確認要求)が物品管理者の操作により入力された場合(ステップD5、Yes)、リーダライタ10は、物品一覧データ42を参照して未回収の物品14を判別して表示部25に表示させる(ステップD6)。これにより、物品14の回収を迅速化することができる。
【0071】
こうして、全ての物品14の回収が確認された場合(ステップD4、Yes)、物品確認処理を終了する。
【0072】
(6)各払い出し先(車両)からの保管庫への返却について説明する。
【0073】
運用終了後、各車両から保管庫へ物品14を返却する際に点検を行う。
【0074】
図16は、運用後保管庫への返却時のリーダライタ10による返却処理を説明するためのフローチャートである。
【0075】
保管庫管理者は、車両に搭載されている物品14を保管庫に返却する際に、払い出し先(返却元)を示す車両データ、あるいは払い出し先において物品14の管理に用いられるリーダライタ10のリーダライタ識別コードをリーダライタ10−1に入力する(ステップE1)。
【0076】
リーダライタ10−1は、各車両に払い出された物品14を保管庫に返却する場合、払い出し時と同様にして物品14のRFIDタグ12について識別データの読み取りを行い(ステップE2)、データベース中の車両データ(あるいはリーダライタ識別コード)に対応する物品一覧データ41と照合して返却を確認する(ステップE3)。また、この物品14に対して収納ケースナンバがデータベース40において設定されている場合(収納ケースで管理されている物品14)、この収納ケースナンバを表示して、物品管理者に対して物品14を収納すべき収納ケースを通知する(ステップE4)。この際、収納ケースにもRFIDタグ12を貼り付けておき、リーダライタ10により読み取ることで、この収納ケースに収納される物品14の内訳を表示できるものとする。これにより収納すべき物品14の足りる足りないの判断を容易に確認することができる。また、物品14を収納すべき収納棚が決められており、データベース40に収納棚を示すデータが登録されている場合には、同様にしてリーダライタ10の表示部25に物品14を収納すべき収納棚を表示することもできる。
【0077】
ここで、払い出されていた全ての物品14についての確認が取られていない場合、前述と同様にして、返却される物品14のRFIDタグ12から識別データを読み取って逐次確認を行う(ステップE2〜E5)。この間、入力部24から未確認の物品14の問い合わせ(残り確認要求)が保管庫管理者の操作により入力された場合(ステップE6、Yes)、リーダライタ10は、物品一覧データ41を参照して未回収の物品14を判別して表示部25に表示させる(ステップE7)。これにより、物品14の返却を迅速化することができる。
【0078】
こうして、全ての物品14の返却が確認された場合(ステップD4、Yes)、返却処理を終了する。
【0079】
このようにして、本実施形態における物品管理システムでは、運用に使用する多数の物品14を各車両に対して分類して払い出す場合に、リーダライタ10を用いて保管庫から払い出される物品14のそれぞれに取り付けられたRFIDタグ12から識別データを読み出すことにより容易に払い出しを確認することができる。
【0080】
また、払い出し先の各車両においても、それぞれリーダライタ10により物品14を管理しているので、車両からの持ち出しや回収を容易にすることができる。リーダライタ10は、野外で使用可能な耐環境性能を有しているので、例えば各車両の荷台入り口近傍に装着した状態で使用したり、運用場などの環境下においても使用することができ、常に物品14の管理に使用することができる。
【0081】
さらに、払い出された物品14を保管庫に返却する場合においても、リーダライタ10を用いて容易に確認することができる。
【0082】
また、複数の物品14が収納ケースなどにおいて収納された状態で管理される場合であって、何れの物品14が収納ケースに収納されるべきかをリーダライタ10を通じて簡単に把握できるので、物品14の回収や返却の作業を容易にすることができる。
【0083】
要するに本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施形態における物品管理システムの概略構成を示す図。
【図2】本実施形態におけるRFIDタグ12の構成を示す図。
【図3】本実施形態におけるRFIDタグ12の構成を示す図。
【図4】本実施形態における物品管理システムの構成を示すブロック図。
【図5】本実施形態におけるRFIDタグ12のメモリ33に記憶されるデータの一例を示す図。
【図6】データベースサーバ18において管理されるデータベース40に登録されるデータの一例を示す図。
【図7】RFIDタグ12から読み取った識別データをデータベースに登録した場合の物品一覧データ41の例を示す図。
【図8】払い出し別のリーダライタ10に記憶される物品一覧データ42のデータ例を示す図。
【図9】保管庫から物品14を払い出す際にRFIDタグ12の読み取りを行うリーダライタ10の動作(払い出し処理)を説明するためのフローチャート。
【図10】物品14の払い出し先別において物品14を管理するために用いラリーレベルリーダライタ10の動作(物品登録処理)を説明するためのフローチャート。
【図11】保管庫に収納された複数の物品14を複数の払い出し先別(車両)に払い出す状況を説明するための図。
【図12】補給管理のためのリーダライタ10による物品問い合わせ処理を説明するためのフローチャート。
【図13】物品14の複数の払い出し先(車両)の間で補給管理のための問い合わせをする状況を説明するための図。
【図14】運用後片付け作業時のリーダライタ10による物品確認処理を説明するためのフローチャート。
【図15】車両から持ち出された物品14の片づけの状況を説明するための図。
【図16】運用後保管庫への返却時のリーダライタ10による返却処理を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0085】
10…リーダライタ、10a…分離型リーダライタ、10b…ハンディアンテナ、12…RFIDタグ、14…物品、16…ネットワーク、18…データベースサーバ、19…パーソナルコンピュータ(PC)、20…制御部、21,31…アンテナ、22,32…送受信部、23,33…メモリ、33a…パーツナンバ、33b…シリアルナンバ、24…入力部、25…表示部、26…通信部、27…電源部、40…データベース、41,42…物品一覧データ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管庫に収納された物品の払い出し、返却を管理するための物品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、RFID(Radio Frequency Identification)等の無線タグを利用した物流管理システムが提案されている。この技術は、各物品に対して非接触で各種情報が書き込み読み出されるメモリを有した無線タグを付加し、物品が製造から流通・小売りを経て消費者に至るまでの過程における各段階において、物品が段階を経由することによって得られる情報を無線タグのメモリに順次書き加え、物品管理情報を構築していくものである。無線タグのメモリに格納されている情報は、必要に応じて読み出すことができ、この情報を利用して物品の仕分けや流通の管理を行うことができる。さらに、物流過程における物品の環境情報を検出することによって、物品の物流過程での品質保証を行うことができるようにするとともに、これに、無線タグを利用した物流システムを適合させることによって、物流過程だけでなく、物品の製造から販売までの各過程における物品管理を一括して行うことができる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−315154公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように従来の無線タグを利用した物品の管理は、例えば流通過程における各段階において、無線タグに記憶された情報を利用して物品の仕分けや流通の管理を行うことを目的としていた。すなわち、物品の一方向の移動における管理をするもので、保管庫などに収納された複数の物品を複数の払い出し先(例えば車両等)に任意に分類して払い出し、払い出し先の間で物品を移動し、また払い出し先から保管庫へ返却するなどの物品の移動を管理することができなかった。特に、払い出し先において複数の物品が屋外で使用される場合には(例えば部隊の野外における運用など)、特許文献1に記載されているような、予め決められた場所に設置された読取装置では物品を管理することができなかった。
【0004】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、保管庫に収納された複数の物品についての払い出し先別の払い出しや返却などの物品の移動管理を容易にすることが可能な物品管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は、保管庫に収納された複数の物品のそれぞれに対して取り付けられた、前記物品を識別するための識別データが記録された無線タグと、前記保管庫に収納された複数の物品についての識別データをデータベースにより管理するデータベース管理サーバと、前記物品に取り付けられた前記無線タグから識別データを読み取って記憶すると共に、前記データベース管理サーバとネットワークにより接続し、前記無線タグから読み取った識別データを前記データベース管理サーバにより管理されるデータベースと照合する識別データ読取装置とを設け、前記保管庫に収納された物品の払い出し先別に分類した物品一覧データを前記データベースに登録し、前記保管庫から払い出される物品に取り付けられた前記無線タグから前記識別データ読取装置により識別データを読み取り、前記データベースに登録された物品一覧データと照合することで各払い出し先への物品の払い出しを確認し、各払い出し先から保管庫に戻す物品に取り付けられた前記無線タグから前記識別データ読取装置により識別データを読み取り、前記データベースに登録された物品一覧データと照合することで各払い出し先からの返却を確認することを特徴とするようにしたものである。
【0006】
また、前記識別データ読み取り装置を前記払い出し先別に設け、前記識別データ読み取り装置は、前記保管庫から払い出された物品に取り付けられた前記無線タグから前記識別データを読み取って物品一覧データとして順次記憶しておき、前記保管庫に戻す前記物品に取り付けられた前記無線タグから前記識別データを読み取って物品一覧データと照合して物品を確認することを特徴とする。
【0007】
さらに、前記払い出し先別に設けられた複数の前記識別データ読み取り装置は、前記ネットワークを介して接続し、相互に前記物品一覧データを送受信することを特徴とする。
【0008】
また、前記識別データ読み取り装置は、野外で使用可能な耐環境性能を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
したがって本発明によれば、物品に取り付けられた無線タグから識別データを読み取って記憶すると共に、データベース管理サーバとネットワークにより接続し、無線タグから読み取った識別データをデータベースにより管理されるデータベースと照合することができる識別データ読取装置を用い、保管庫に収納された物品の払い出し先別に分類した物品一覧データをデータベースに登録しておくことで、保管庫から払い出される物品に取り付けられた無線タグから識別データを読み取り、データベースに登録された物品一覧データと照合することで各払い出し先への物品の払い出しを確認し、各払い出し先から保管庫に戻す物品に取り付けられた無線タグから識別データを読み取り、データベースに登録された物品一覧データと照合することで各払い出し先からの返却を確認することができるので、保管庫に収納された複数の物品についての払い出し先別の払い出しや返却などの物品の移動を管理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態における物品管理システムの概略構成を示す図である。本実施形態における物品管理システムは、RFID(Radio Frequency Identification)タグ12を物品等に取り付け、小型軽量・堅牢な野外での使用可能な高い耐環境性能を有したハンディ型のリーダライタ10により物品14の照合を行い、ネットワーク16を通してデータベースサーバにアクセス18(データベース管理サーバ)し、どの物品がどの払い出し先(例えば車両等)に積載されているか等の情報をデータベースに反映して物品管理を行うことができる。リーダライタ10は、電池及びAC100V電源により駆動可能として場所を選ばず使用することができるようにする。データベースでは、物品の故障状況、修理状況等の他の情報も合わせて登録し、払い出し先の間で物品を移動する際に参照することができる。
【0011】
以下の説明では、部隊が野外運用する場合に使用される物品の管理をする場合を例にする。例えば、野外運用では、保管庫に収納されている複数の物品(構成品、ケーブル、附属品等)を複数の車両に分類して払い出し、運用後、各車両毎に物品を回収して保管庫に返却する。本実施形態の物品管理システムでは、部隊固有のネットワーク16を利用して、リーダライタ10と指揮所や駐屯地等に設置されるデータベースサーバ18とを接続し、リーダライタ10によりRFIDタグ12(無線タグ)から読み取られる識別データとネットワーク16において管理されるデータベースとを照合することにより物品の管理を行う。
【0012】
部隊固有のネットワーク16は、例えば指揮所や駐屯地等と各車両とを有線、あるいは無線を介して通信することができるものである。なお、ネットワーク16には、一般の公衆回線網(有線、無線)、インターネットなど、他の通信網を含むことも可能である。
【0013】
リーダライタ10は、例えば図1(a)に示すように、本体部を構成する分離型リーダライタ10aとRFIDタグ12の読み取りのためのハンディアンテナ10bとに分離された構成、あるいは図1(b)に示すように、一体型リーダライタ10cとして本体部とアンテナとを一体化した構成とすることができる。
【0014】
リーダライタ10は、例えば以下のような性能及び機能を有して構成され、野外で使用可能な耐環境性能を有しているものとする。
【0015】
(1)性能
(ア)耐環境性能:
温度 動作 -20〜50℃
非動作 -40〜60℃
湿度 95%(Non Condensing)
振動 周波数5〜400Hz 最大せん頭加速度12.7m/s2
衝撃 落下衝撃(1.2mコンクリート落下)
耐水性 野外天幕で使用する機器で、雨水がかかる恐れがあるレベル
耐砂塵性 考慮する
耐食性 機器表面などに有害な腐食を生じないこと
(イ) 読み取り性能:距離 0〜300mm
(ウ) PC用あるいはPDA用最新OSを使用する
(エ) 電源:市販電池(充電可)またはAC100V
(2)機能
(ア) 外部インターフェース機能:RS-232CまたはLAN等を介した通信を制御するためのインタフェースを有し、他のネットワーク、PC等との接続及びデータ変換が可能とする。
(イ) 入出力機能:キーボードまたはタッチパネルにより数字または文字入力が可能
図2及び図3は、本実施形態におけるRFIDタグ12の構成を示す図である。RFIDタグ12は、RFIDチップやアンテナなどの構成部品を樹脂やガラスにより封止して構成される小型の通信端末である。
【0016】
図2は、平面状に形成された貼り付けタイプのRFIDタグ12を示すもので、図2(a)は通常品用、図2(b)は金属貼り付け用を示している。通常品では、図2(a2)に示すように、物品への接着面に例えば接着材料が塗布されており、物品に対して任意に貼り付けることができる。金属貼り付け用では、図2(b2)に示すように、タグ本体の接着面側に磁性体が貼り付けられており、金属性の物品に対して磁力により任意に貼り付けることができる。
【0017】
図3は、平面状に形成された荷札タイプのRFIDタグ12を示すもので、図3(a1)に示すようにタグ本体の一部に取り付け穴が形成されている。荷札タイプのRFIDタグ12は、図3(b)に示すように、貼り付けタイプのRFIDタグ12を接着させる面が無いケーブル等の物品に対して、ひも状の取り付け部材を取り付け穴を通して取り付けることができる。
【0018】
RFIDタグ12は、例えば以下のような性能及び機能を有して構成され、野外で使用可能な耐環境性能を有しているものとする。
【0019】
(1)性能
タグの耐環境性能:
温度 動作 -20〜50℃
非動作 -40〜60℃
湿度 95%(Non Condensing)
振動 周波数5〜400Hz 最大せん頭加速度24.5m/s2
衝撃 20G(11ms)
耐水性 野外で使用する機器で、ノズルから圧力をかけて注水試験を行うレベル
耐砂塵性 考慮する
耐食性 機器表面などに有害な腐食を生じないこと
RFIDタグ12は、取り付ける箇所により例えば6タイプのサイズを用意する。すなわち、物品及び複数の物品を収容するための収納ケース等に取り付けられる、図2に示す貼り付け可能なタイプについて、貼り付け箇所により3種類の大きさを用意し、またケーブル等に取り付け可能な図3に示す荷札タイプについて、ケーブル径に応じた3種類の形状を用意する。RFIDタグ12の表面には所定の銘板表示を行うことができる。また、荷札タイプのRFIDタグ12には、ケーブル等に巻きつけ可能な構造(ひも状の環状に連結可能な部材を一体化した構成)とすることもでき、名称表示の銘板のかわりに取り付けることができる。また、データベースに登録された内容等を印字できるようにしても良い。
【0020】
図4は、本実施形態における物品管理システムの構成を示すブロック図である。
【0021】
図4に示すように、リーダライタ10は、制御部20、アンテナ21、送受信部22、メモリ23、入力部24、表示部25、通信部26、及び電源部27が設けられている。
【0022】
制御部20は、OS上で物品管理用のアプリケーションプログラムを実行することでリーダライタ10全体の制御を行う。具体的には、制御部20は、アンテナ21を通じてRFIDタグ12から識別データを読み出してメモリ23に記録すると共に、ネットワーク16を介して接続されるデータベースサーバ18により管理されているデータベースに登録されたデータとの照合等の処理を制御する。
【0023】
送受信部22は、アンテナ21を介してRFIDタグ12との間で信号を送受信するものである。
メモリ23は、例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)であり、ネットワーク16を通じてデータベースサーバ18から取得されたデータ、RFIDタグ12から読み取った識別データ等が記憶される。
【0024】
入力部24は、リーダライタ10の動作を制御するための指示や各種データを入力するためのもので、GUI(Graphical User Interface)を用いたタッチパネルによる入力や、ボタンやキー等に対する入力操作を受け付けるものとする。
【0025】
表示部25は、メモリ23に記録されたデータ、すなわちRFIDタグ12から読み取ったデータ、データベースサーバ18から受信したデータ、あるいはデータベースとの照合結果などを表示する。表示部25は、テキストによる表示の他、GUIを用いた表示が可能とする。
【0026】
通信部26は、他のネットワーク、PC等との接続及びデータ変換等の制御を実行する。
電源部27は、電池(充電可)またはAC100Vにより各部に電源を供給する。
【0027】
一方、RFIDタグ12は、図4に示すように、制御部30、アンテナ31、送受信部32、及びメモリ33が設けられている。
【0028】
制御部30は、RFIDタグ12全体の制御を行う。具体的には、制御部30は、メモリ33から識別データを読み出し、送受信部32、アンテナ31を介してリーダライタ10へ送出する制御を行う。また、制御部30は、アンテナ31、送受信部32を介して受信されるリーダライタ10から送られた識別データ等をメモリ33に書き込む。
【0029】
送受信部32は、アンテナ31を介してリーダライタ10との間で信号を送受信するものである。
【0030】
メモリ33は、例えばEEPROMであり、RFIDタグ12が取り付けられる物品に割り当てられた固有の識別データなどを記憶している(図5参照)。
【0031】
図5は、RFIDタグ12のメモリ33に記憶されるデータの一例を示している。図5に示すように、メモリ33には、RFIDタグ12が取り付けられる物品に割り当てられた物品に固有の識別データが記憶される。本実施形態において識別データとしては、パーツナンバ33a(メーカ型番)、シリアルナンバ33b(製造番号)等が含まれているものとする。
【0032】
図6は、データベースサーバ18において管理されるデータベース40に登録されるデータの一例を示している。
【0033】
データベース40には、保管庫において収納管理されている物品14に関するデータ(構成品情報)が登録されている。すなわち、RFIDタグ12が取り付けられた物品14に固有の情報(名称、納入年月、整備記録等、使用部品のメーカ名、メーカ型番(パーツナンバ)、製造番号(シリアルナンバ))が登録されており、さらに特定の収納ケースにおいて収納される物品14については収納ケースを識別するデータ(収納ケースナンバ)、さらに物品14を収納する保管庫内の収納棚を示すデータが対応付けて登録される。
【0034】
なお、リーダライタ10によってデータベースサーバ18から読み込んだデータベース中のデータについては、リーダライタ10からパーソナルコンピュータ(PC)19にデータ移行することにより確認することができる。データベースの内容を変更したいときは、PC19にて新規のデータを入力したり、あるいは既存のデータを変更したりすることが可能であるものとする。また、RFIDタグ12に記録されたデータ(パーツナンバ33a、シリアルナンバ33bなど)を書き換えたいときは、リーダライタ10に変更後のデータを予め記録しておき、このデータをリーダライタ10によりRFIDタグ12へ書き込んで変更登録することができる。
【0035】
図7は、保管庫に収納された複数の物品14を複数の払い出し先別(車両)に分類して払い出す際に、リーダライタ10によって各物品14に取り付けられたRFIDタグ12から読み取った識別データをデータベースに登録した場合の物品一覧データ41の例を示している。
【0036】
本実施形態では、物品14の払い出し先別に、それぞれに払い出された物品14を管理するためにリーダライタ10が用いられるものとする。各リーダライタ10には、固有のリーダライタ識別コードが割り当てられ、メモリ23に記憶されているものとする。
【0037】
物品一覧データ41には、リーダライタ10に割り当てられたリーダライタ識別コードと対応付けて、この識別コードが示すリーダライタ10により管理されている複数の物品14に取り付けられたRFIDタグ12から読み取った識別データ(パーツナンバ33a、シリアルナンバ33b)が記憶される。なお、払い出し先を示すコード、図7では車両を示す車両データが割り当てられている場合には、このデータをリーダライタ識別コードと共に対応付けて記憶するようにしても良い。
【0038】
また、各識別データについては、故障/修理状況データを対応付けて記憶することができる。故障/修理状況データは、払い出し先において故障が発生したり、また故障を修理した場合に、払い出し先別のリーダライタ10の入力部24からその状況が入力されるとネットワーク16を通じて受信されて登録されるものとする。
【0039】
図8は、払い出し別のリーダライタ10に記憶される物品一覧データ42のデータ例を示している。
図8に示すように、リーダライタ10に記憶される物品一覧データ42には、各物品14のRFIDタグ12から読み取られた識別データ(パーツナンバ33a、シリアルナンバ33b)、物品14の故障あるいは修理状況を示す故障/修理状況データ、さらに特定の収納ケースにおいて収納される物品14については収納ケースを示すデータ(収納ケースナンバ)が対応付けて登録される。故障/修理状況データは、払い出し先において故障が発生したり、また故障を修理した場合に、入力部24からその状況を入力することで登録されるものとする。故障/修理状況データは、ネットワーク16を通じてデータベースサーバ18に送出され、また他の払い出し先(車両)に搭載されたリーダライタ10からネットワーク16を通じて問い合わせがあった場合に参照される(図12参照。詳細については後述する)。
【0040】
次に、本実施形態における物品管理システムを用いた物品管理について説明する。
(1)まず、保管庫管理作業における作業について説明する。
【0041】
平時における保管庫の管理作業では、保管庫管理者により各構成品、ケーブル及び附属品等にそれぞれに適したタイプ(図2、図3)のRFIDタグ12へのデータ入力及び貼り付けを実施する。RFIDタグ12へのデータ入力は、データ書き込み可能なライタまたはリーダライタ10により実施する。入力データは、PC19から入力したリーダライタ10に転送する、またはリーダライタ10の入力部24から入力できるものとする。
【0042】
また、附属品等の小さい物品14等を収納ケースに複数入れて管理する場合には、収納ケースにも収納内訳としてRFIDタグ12を貼り付け、収納内容物の管理が実施できるものとする。
【0043】
(2)次に、運用前準備の作業について説明する。
【0044】
図9には、保管庫から物品14を払い出す際にRFIDタグ12の読み取りを行うリーダライタ10の動作(払い出し処理)を説明するためのフローチャート、図10は物品14の払い出し先別において物品14を管理するために用いラリーレベルリーダライタ10の動作(物品登録処理)を説明するためのフローチャートである。図11は、保管庫に収納された複数の物品14を複数の払い出し先別(車両)に払い出す状況を説明するための図である。
【0045】
保管庫管理者は、事前に運用に必要な器材リストを作成し、データベースサーバ18のデータベースに機器リストデータとして登録する(図9、ステップA1)。器材リストデータでは、何れの車両(払い出し先)に何れの物品14を搭載させるか分類されているものとする。
【0046】
保管庫管理者は、保管庫に収納されている物品14を各払い出し先に払い出す際に、払い出し先を示す車両データ、あるいは払い出し先において物品14の管理に用いられるリーダライタ10のリーダライタ識別コードを、自身が使用するリーダライタ10−1に入力する(ステップA2)。
【0047】
保管庫管理者は、リーダライタ10−1を用いて、払い出される物品14に取り付けられたRFIDタグ12から識別データの読み取りを実行する。リーダライタ10−1は、RFIDタグ12から読み取った識別コードを、データベースサーバ18に管理されているデータベースに予め登録されている機器リストデータと照合する(ステップA4)。なお、リーダライタ10−1は、識別データの照合を行う場合、予めネットワーク16を介して払い出し先(車両)に対応する機器リストデータをダウンロードしてメモリ23に記憶しておき、このデータと照合するようにしても良いし、RFIDタグ12から識別データを読み取るたびにデータベースサーバ18に記憶された機器リストデータと照合しても良い。
【0048】
こうして払い出されるリーダライタ10−1を用いて物品14の払い出し時に物品14に取り付けられたRFIDタグ12から識別データを読み出し、データベースに登録されている器材リストデータと照合することにより、払い出し先の車両に対して必要器材(物品14)が払い出されたかを確認する(ステップA3〜A5)。
【0049】
なお、前述のように、器材単品(物品14)ごとに確認できるだけでなく、収納ケースに貼られたRFIDタグ12から読み取ったデータと物品14のRFIDタグ12から読み取ったデータとをあわせて、現在、その収納ケースに収納されていた物品14の全てが払い出されたか(空であるか)を確認できる。
【0050】
収納ケースに取り付けられるRFIDタグ12には、収納ケース内に収納された複数の物品14についての識別データが記録されていても良いし、収納ケースを識別するコードが記録されているようにしても良い。物品14の識別データが記録されている場合には、この識別データに該当する物品14が全て払い出されたことを確認することにより収納ケースが空であることを確認することができる。また、収納ケースのRFIDタグ12に収納ケースナンバが記録されている場合、データベースに登録されている構成品情報(図6)を参照し、該当する収納ケースナンバに対応する全ての物品14が払い出されている場合に、収納ケースが空であることを確認することができる。
【0051】
リーダライタ10−1は、RFIDタグ12から読み取った識別データの照合により、運用に必要な器材が全部払い出されたことを確認すると、払い出しが終了したことを保管庫管理者に通知するための出力を行う(ステップA6)。例えば、表示部25において所定のメッセージなどを表示することで確認させる。
【0052】
リーダライタ10−1は、保管庫管理者により払い出し終了を確認したことが入力部24から入力されると払い出し処理を終了する。リーダライタ10−1は、現在の支払い出し先(車両)に対する払い出し業務が終了したことをデータベースサーバ18に通知する。これにより、リーダライタ10−1及びデータベースサーバ18は、運用終了後の物品点検作業モードへ移行することができる。
【0053】
(3)各払い出し先(車両)別の物品14の登録作業について説明する。
払い出し先では、例えば車両に物品14を搭載する際に、リーダライタ10により物品14に取り付けられたRFIDタグ12から識別データを読み取り、払い出された物品14を車両別に管理する。
【0054】
車両における物品管理者は、例えば自車両用のリーダライタ10−2を用いて、車両に搭載される物品14のRFIDタグ12から識別データ(パーツナンバ、シリアルナンバ)を読み取り(図10、ステップB1)、これをメモリ23に物品一覧データ42(図8参照)として記憶させる(ステップB2)。払い出し作業が完了し、入力部24より作業終了が指示されると物品登録処理を終了する(ステップB3、Yes)。この際、リーダライタ10−2は、実際に車両に搭載された物品14についての識別データを車両コードあるいはリーダライタ識別コードと対応付けて、ネットワーク16を介してデータベースサーバ18に通知する。
【0055】
データベースサーバ18は、リーダライタ10−2からの識別データを、車両コードあるいはリーダライタ識別コードと対応付けて物品一覧データ41として登録しておく(図7参照)。
【0056】
以上の物品登録処理が、物品14の払い出し先となる車両別においてそれぞれ実行される。例えば、他の車両で使用されるリーダライタ10−3において各物品14に取り付けられたRFIDタグ12から読み取られた識別データ(パーツナンバ、シリアルナンバ)は、データベースサーバ18に送信されて、物品一覧データ41として記憶される。
【0057】
なお、本実施形態におけるリーダライタ10は、野外での使用可能な高い耐環境性能を有し、堅牢に構成されているため、例えば車両の荷台入り口近傍に装着した状態で使用することができる。この場合、物品14を車両の荷台に積載する際に、リーダライタ10の近傍を通過させることにより、RFIDタグ12の読み取りを実行させることができる。この場合、RFIDタグ12からの読み取り作業を簡単化することができる。
【0058】
(4)運用中の払い出し(車両)間での物品14の補給管理作業について説明する。
【0059】
図12は、補給管理のためのリーダライタ10による物品問い合わせ処理を説明するためのフローチャート、図13は、物品14の複数の払い出し先(車両)の間で補給管理のための問い合わせをする状況を説明するための図である。
【0060】
運用中では、指揮所または駐屯所、さらに運用に参加する車両等が部隊固有のネットワーク(有線または無線)により接続されて、相互に通信が可能な状態となる。本実施形態のリーダライタ10は、この固有のネットワークを利用して相互にデータ通信が可能となる。
【0061】
例えば、ある車両において管理されていた物品14に故障が発生し、新たに同じ物品14の補給が必要となったものとする。この場合、リーダライタ10において、入力部24に対する操作により、物品一覧データ42に登録された物品14の中で故障が発生したものを指定する(図12、ステップC1)。これにより、物品一覧データ42の識別データ(パーツナンバ、シリアルナンバ)と対応付けて、故障中であることを示す故障/修理状況データが記録される。この物品一覧データ42は、データベースサーバ18に通知することで、データベース中の物品一覧データ41に反映させることができる。
【0062】
また、故障が発生した物品14の補給を要求する場合、物品管理者によりリーダライタ10に問い合わせ要求が入力される。リーダライタ10は、この問い合わせ要求の入力に応じて、ネットワーク16を介して、図13に示すように他の車両に搭載されたリーダライタ10に補給対象とする物品14の識別データと共に物品問い合わせを送信する(ステップC2)。
【0063】
物品問い合わせを受信したリーダライタ10は、自らが管理している物品一覧データ42を参照して、要求された物品14を提供することができる場合に、送信元のリーダライタ10に対して問い合わせ結果を送信する。例えば、受信した識別データが示す物品14が故障中ではない場合、さらに予備として同じ物品14(パーツナンバが共通)が複数ある場合などに、物品14を提供することができるものとする。
【0064】
問い合わせ結果を受信したリーダライタ10は、この結果を表示部25において表示させる(ステップC4)。これにより物品管理者は、何れの車両から物品14の補給が可能であるかを容易に知ることができる。
【0065】
なお、車両に搭載されたリーダライタ10の間で物品問い合わせとその結果を送受信するものとしているが、データベースサーバ18にアクセスして、他の車両に搭載された物品14を確認することもできる。
【0066】
(5)運用後片付け作業について説明する。
【0067】
図14は、運用後片付け作業時のリーダライタ10による物品確認処理を説明するためのフローチャート、図15は、車両から持ち出された物品14の片づけの状況を説明するための図である。
【0068】
運用を実施する場合、車両に搭載された物品14が持ち出されて使用される。この際、リーダライタ10は、外部に持ち出された物品14のRFIDタグ12について読み取りを行い、これを物品一覧データ42に記録しておく。
【0069】
運用終了後、車両から持ち出された物品14を車両に回収する場合、リーダライタ10は、持ち出し時と同様にして物品14のRFIDタグ12について識別データの読み取りを行い(ステップD1)、物品一覧データ42と照合して返却を確認する(ステップD2)(図15)。また、この物品14に対して収納ケースナンバが物品一覧データ42において設定されている場合、この収納ケースナンバを表示して、物品管理者に対して物品14を収納すべき収納ケースを通知する(ステップD3)。これにより、附属品等の小さい物品14等であっても効率的に搭載することができる。
【0070】
ここで、持ち出された全ての物品14についての確認が取られていない場合、前述と同様にして、回収される物品14のRFIDタグ12から識別データを読み取って逐次確認を行う(ステップD1〜D4)。この間、入力部24から未確認の物品14の問い合わせ(残り確認要求)が物品管理者の操作により入力された場合(ステップD5、Yes)、リーダライタ10は、物品一覧データ42を参照して未回収の物品14を判別して表示部25に表示させる(ステップD6)。これにより、物品14の回収を迅速化することができる。
【0071】
こうして、全ての物品14の回収が確認された場合(ステップD4、Yes)、物品確認処理を終了する。
【0072】
(6)各払い出し先(車両)からの保管庫への返却について説明する。
【0073】
運用終了後、各車両から保管庫へ物品14を返却する際に点検を行う。
【0074】
図16は、運用後保管庫への返却時のリーダライタ10による返却処理を説明するためのフローチャートである。
【0075】
保管庫管理者は、車両に搭載されている物品14を保管庫に返却する際に、払い出し先(返却元)を示す車両データ、あるいは払い出し先において物品14の管理に用いられるリーダライタ10のリーダライタ識別コードをリーダライタ10−1に入力する(ステップE1)。
【0076】
リーダライタ10−1は、各車両に払い出された物品14を保管庫に返却する場合、払い出し時と同様にして物品14のRFIDタグ12について識別データの読み取りを行い(ステップE2)、データベース中の車両データ(あるいはリーダライタ識別コード)に対応する物品一覧データ41と照合して返却を確認する(ステップE3)。また、この物品14に対して収納ケースナンバがデータベース40において設定されている場合(収納ケースで管理されている物品14)、この収納ケースナンバを表示して、物品管理者に対して物品14を収納すべき収納ケースを通知する(ステップE4)。この際、収納ケースにもRFIDタグ12を貼り付けておき、リーダライタ10により読み取ることで、この収納ケースに収納される物品14の内訳を表示できるものとする。これにより収納すべき物品14の足りる足りないの判断を容易に確認することができる。また、物品14を収納すべき収納棚が決められており、データベース40に収納棚を示すデータが登録されている場合には、同様にしてリーダライタ10の表示部25に物品14を収納すべき収納棚を表示することもできる。
【0077】
ここで、払い出されていた全ての物品14についての確認が取られていない場合、前述と同様にして、返却される物品14のRFIDタグ12から識別データを読み取って逐次確認を行う(ステップE2〜E5)。この間、入力部24から未確認の物品14の問い合わせ(残り確認要求)が保管庫管理者の操作により入力された場合(ステップE6、Yes)、リーダライタ10は、物品一覧データ41を参照して未回収の物品14を判別して表示部25に表示させる(ステップE7)。これにより、物品14の返却を迅速化することができる。
【0078】
こうして、全ての物品14の返却が確認された場合(ステップD4、Yes)、返却処理を終了する。
【0079】
このようにして、本実施形態における物品管理システムでは、運用に使用する多数の物品14を各車両に対して分類して払い出す場合に、リーダライタ10を用いて保管庫から払い出される物品14のそれぞれに取り付けられたRFIDタグ12から識別データを読み出すことにより容易に払い出しを確認することができる。
【0080】
また、払い出し先の各車両においても、それぞれリーダライタ10により物品14を管理しているので、車両からの持ち出しや回収を容易にすることができる。リーダライタ10は、野外で使用可能な耐環境性能を有しているので、例えば各車両の荷台入り口近傍に装着した状態で使用したり、運用場などの環境下においても使用することができ、常に物品14の管理に使用することができる。
【0081】
さらに、払い出された物品14を保管庫に返却する場合においても、リーダライタ10を用いて容易に確認することができる。
【0082】
また、複数の物品14が収納ケースなどにおいて収納された状態で管理される場合であって、何れの物品14が収納ケースに収納されるべきかをリーダライタ10を通じて簡単に把握できるので、物品14の回収や返却の作業を容易にすることができる。
【0083】
要するに本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施形態における物品管理システムの概略構成を示す図。
【図2】本実施形態におけるRFIDタグ12の構成を示す図。
【図3】本実施形態におけるRFIDタグ12の構成を示す図。
【図4】本実施形態における物品管理システムの構成を示すブロック図。
【図5】本実施形態におけるRFIDタグ12のメモリ33に記憶されるデータの一例を示す図。
【図6】データベースサーバ18において管理されるデータベース40に登録されるデータの一例を示す図。
【図7】RFIDタグ12から読み取った識別データをデータベースに登録した場合の物品一覧データ41の例を示す図。
【図8】払い出し別のリーダライタ10に記憶される物品一覧データ42のデータ例を示す図。
【図9】保管庫から物品14を払い出す際にRFIDタグ12の読み取りを行うリーダライタ10の動作(払い出し処理)を説明するためのフローチャート。
【図10】物品14の払い出し先別において物品14を管理するために用いラリーレベルリーダライタ10の動作(物品登録処理)を説明するためのフローチャート。
【図11】保管庫に収納された複数の物品14を複数の払い出し先別(車両)に払い出す状況を説明するための図。
【図12】補給管理のためのリーダライタ10による物品問い合わせ処理を説明するためのフローチャート。
【図13】物品14の複数の払い出し先(車両)の間で補給管理のための問い合わせをする状況を説明するための図。
【図14】運用後片付け作業時のリーダライタ10による物品確認処理を説明するためのフローチャート。
【図15】車両から持ち出された物品14の片づけの状況を説明するための図。
【図16】運用後保管庫への返却時のリーダライタ10による返却処理を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0085】
10…リーダライタ、10a…分離型リーダライタ、10b…ハンディアンテナ、12…RFIDタグ、14…物品、16…ネットワーク、18…データベースサーバ、19…パーソナルコンピュータ(PC)、20…制御部、21,31…アンテナ、22,32…送受信部、23,33…メモリ、33a…パーツナンバ、33b…シリアルナンバ、24…入力部、25…表示部、26…通信部、27…電源部、40…データベース、41,42…物品一覧データ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管庫に収納された複数の物品のそれぞれに対して取り付けられた、前記物品を識別するための識別データが記録された無線タグと、
前記保管庫に収納された複数の物品についての識別データをデータベースにより管理するデータベース管理サーバと、
前記物品に取り付けられた前記無線タグから識別データを読み取って記憶すると共に、前記データベース管理サーバとネットワークにより接続し、前記無線タグから読み取った識別データを前記データベース管理サーバにより管理されるデータベースと照合する識別データ読取装置とを設け、
前記保管庫に収納された物品の払い出し先別に分類した物品一覧データを前記データベースに登録し、前記保管庫から払い出される物品に取り付けられた前記無線タグから前記識別データ読取装置により識別データを読み取り、前記データベースに登録された物品一覧データと照合することで各払い出し先への物品の払い出しを確認し、
各払い出し先から保管庫に戻す物品に取り付けられた前記無線タグから前記識別データ読取装置により識別データを読み取り、前記データベースに登録された物品一覧データと照合することで各払い出し先からの返却を確認することを特徴とする物品管理システム。
【請求項2】
前記識別データ読み取り装置を前記払い出し先別に設け、
前記識別データ読み取り装置は、
前記保管庫から払い出された物品に取り付けられた前記無線タグから前記識別データを読み取って物品一覧データとして順次記憶しておき、
前記保管庫に戻す前記物品に取り付けられた前記無線タグから前記識別データを読み取って物品一覧データと照合して物品を確認することを特徴とする請求項1記載の物品管理システム。
【請求項3】
前記払い出し先別に設けられた複数の前記識別データ読み取り装置は、前記ネットワークを介して接続し、相互に前記物品一覧データを送受信することを特徴とする請求項2記載の物品管理システム。
【請求項4】
前記識別データ読み取り装置は、野外で使用可能な耐環境性能を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の物品管理システム。
【請求項1】
保管庫に収納された複数の物品のそれぞれに対して取り付けられた、前記物品を識別するための識別データが記録された無線タグと、
前記保管庫に収納された複数の物品についての識別データをデータベースにより管理するデータベース管理サーバと、
前記物品に取り付けられた前記無線タグから識別データを読み取って記憶すると共に、前記データベース管理サーバとネットワークにより接続し、前記無線タグから読み取った識別データを前記データベース管理サーバにより管理されるデータベースと照合する識別データ読取装置とを設け、
前記保管庫に収納された物品の払い出し先別に分類した物品一覧データを前記データベースに登録し、前記保管庫から払い出される物品に取り付けられた前記無線タグから前記識別データ読取装置により識別データを読み取り、前記データベースに登録された物品一覧データと照合することで各払い出し先への物品の払い出しを確認し、
各払い出し先から保管庫に戻す物品に取り付けられた前記無線タグから前記識別データ読取装置により識別データを読み取り、前記データベースに登録された物品一覧データと照合することで各払い出し先からの返却を確認することを特徴とする物品管理システム。
【請求項2】
前記識別データ読み取り装置を前記払い出し先別に設け、
前記識別データ読み取り装置は、
前記保管庫から払い出された物品に取り付けられた前記無線タグから前記識別データを読み取って物品一覧データとして順次記憶しておき、
前記保管庫に戻す前記物品に取り付けられた前記無線タグから前記識別データを読み取って物品一覧データと照合して物品を確認することを特徴とする請求項1記載の物品管理システム。
【請求項3】
前記払い出し先別に設けられた複数の前記識別データ読み取り装置は、前記ネットワークを介して接続し、相互に前記物品一覧データを送受信することを特徴とする請求項2記載の物品管理システム。
【請求項4】
前記識別データ読み取り装置は、野外で使用可能な耐環境性能を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の物品管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−62932(P2007−62932A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251285(P2005−251285)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(593115769)東京エレクトロニツクシステムズ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(593115769)東京エレクトロニツクシステムズ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
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