説明

物流作業分析及び物流作業支援システム並びに物流分析及び物流作業支援方法

【課題】物流センタにおける業務分析の精緻化と業務支援を同時に実現し、業務品質の向上を実現するシステム及び業務分析・支援方法を提供する。
【解決手段】ASPサーバと、携帯端末と、閲覧端末は電気通信回線を通じて接続されている。前記携帯端末は、物流センタ内の作業エリア、作業バッチ、用途、作業種類を表すコードを認識可能なコード認識デバイス、文字等の情報を入力可能な入力手段、表示手段、認識したコードが表象する情報、撮像した画像データ及び入力された情報を保存する記憶手段、前記ASPサーバと情報の送受信を行う通信手段を有する。前記閲覧端末は、入力手段、表示手段、前記ASPサーバとの情報の送受信を行う通信手段を有する。前記ASPサーバは、前記携帯端末及び前記閲覧端末から送信された情報を含む物流作業に関する情報を記憶する記憶手段と、前記携帯端末及び前記閲覧端末との情報の送受信を行う通信手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流センタにおける作業者の実績管理及び作業分析の簡便化及び精緻化と同時に、作業者の作業効率の向上を実現する、作業分析・支援システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
事業における競争優位性を確立するにあたって、コスト・リーダーシップ戦略は重要な基本戦略の一つである。購買物流・製造・出荷物流・販売及びマーケティング・サービスはバリューチェーンにおける主要活動と位置づけられているが(「競争優位の戦略」M.E.ポーター著)、この中でも物流業務(購買物流、出荷物流)における低コスト化にあたっては、倉庫内作業或いは物流センタにおける物流作業における作業の効率化が重要な鍵を握っている。
【0003】
作業効率化を実現するための手法として、ABC(Activity Based Costing=活動基準原価計算)が挙げられる。ABCとは、活動毎にコストを集め、活動毎の原価を計算する原価計算手法を意味する。コストを活動別に算定することにより、コスト発生のメカニズムをつかむことができる。そのため、なぜ物流コストが上昇しているのか、何をすればコストを下げられるのかの要因を掴むことができる。
【0004】
ABCを物流業務に適用したものが物流ABCであり、種々の取り組みが行われている。例えば非特許文献1にもあるように、我が国中小企業庁が「物流ABC算定・効率化ソフト」を2003年に公表し、その後増補も行っている。この非特許文献1においては、物流施設内活動のコストを物流ABCに則って算定し、また改善シミュレーションの手法につき解説がなされている。
【0005】
これに限らず、例えば特許文献1においては、物流業務を細かなカテゴリごとに分けて把握するとともに、業務内容を作業別・時間別にコストを算出しながら物流作業を詳細に分析するための物流作業分析システムが開示されている。
【0006】
しかしこれらのソフトあるいはシステムにおいては、その基礎となる個々の作業員の作業情報の入力・集積が必要となる。従前、作業報告の方式としては業務日報による報告が行われ、これを別途スタッフが入力処理を行うことによりデータ集積を行っていた。特許文献1においては作業者認証情報・作業開始時間等の情報を取り込む旨の記載があるが(段落番号[0025])、実際にはこうした情報の入力に労力を要するケースが多く、作業者の負担になるとともに正確な作業情報の入力が得られない場合もあり、作業分析の基礎データとしての信憑性を高める手法が希求されていた。また特許文献1において、作業者毎の各作業の作業ランクを把握する必要があるが、個々の作業の処理能力はそれこそ分ないし秒単位で把握されて始めて意味を成すデータとして活用できるものであるにもかかわらず、こうした緻密な作業効率管理ツールについては当該文献ではなんら開示されていない。
【0007】
【特許文献1】特開2004−310564
【非特許文献1】「増補版 物流ABC(Activity Based Costing)準拠による物流コスト算定・効率化マニュアル」(平成16年3月 中小企業庁発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、物流作業における効率化の手法として知られている物流ABCではあるが、これをより精緻に具現化するツールは開発されていなかった。そこで本発明は、物流センタにおける作業者が作業内容の入力を簡単かつ短時間で行うことを可能とし、かつリアルタイムで作業者の作業状況を管理し、精緻なデータとして分析に資することが可能な作業分析システム及び方法を提供することを目的とする。これに加えて、例えば商品破損などのイレギュラーな状況が発生した場合の作業者の報告負担を軽減すると同時に管理者が即時に事態を把握することが可能な作業支援システムとしても機能するシステム及びこれを用いた作業支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明は以下のような構成を有する。
(1)物流センタにおける物流作業の分析及び支援のためのシステムであって、ASPサーバと、1以上の携帯端末と、1以上の閲覧端末とを少なくとも有し、前記携帯端末及び前記閲覧端末は、前記ASPサーバと電気通信回線を通じて接続されており、前記携帯端末は、物流センタ内の作業エリア、作業バッチ、用途、作業種類を表すコードの一又は複数を認識可能なコード認識デバイスと、外部からの操作により文字情報その他の情報を入力可能な入力手段と、操作において適切な入力を促す表示手段と、認識したコードが表象する情報、撮像した画像データ及び入力された情報を保存する記憶手段と、前記ASPサーバと情報の送受信を行う通信手段とを少なくとも有し、前記閲覧端末は、外部からの操作により文字情報その他の情報を入力可能な入力手段と、外部からの操作に応じて情報を表示する表示手段と、前記ASPサーバとの情報の送受信を行う通信手段とを少なくとも有し、前記ASPサーバは、前記携帯端末及び前記閲覧端末から送信された情報を含む物流作業に関する情報を、当該情報のカテゴリに応じて記憶する記憶手段と、前記携帯端末及び前記閲覧端末との情報の送受信を行う通信手段とを少なくとも有することを特徴とする、物流作業分析及び支援システム(請求項1)。
【0010】
(2)前記携帯端末は、商品破損、事故、事故懸念その他イレギュラー状況を撮影可能な撮像デバイスを更に有し、前記記憶手段は、商品破損報告、事故報告等のイレギュラー事象報告の作成を支援するアプリケーションを更に記憶することを特徴とする、(1)に記載の物流作業分析及び支援システム。(請求項2)。
【0011】
(3)ASPサーバと、1以上の携帯端末とを用いて物流センタにおける物流作業の分析及び支援を行う方法であって、物流センタの作業エリア毎に表示された当該エリアを表象するコードを、前記携帯端末に備えられたコード認識デバイスにより認識するステップと、前記携帯端末に備えられた入力手段によりアクティビティを入力するステップと、作業対象に付されたコードを、前記携帯端末に備えられたコード認識デバイスにより認識するステップと、前記認識及び入力された作業情報をASPサーバに送信するステップと、前記作業情報を受信したサーバが、送信元の携帯端末ID及び受信した時刻情報とともに、受信した作業情報のカテゴリに応じて記憶するステップとを有することを特徴とする、物流作業分析及び支援方法(請求項3)。
【0012】
(4)商品破損、事故、事故懸念その他イレギュラー状況の発生又は発見の際に、携帯端末に備えられた画像撮影デバイスにより当該状況を撮像するステップと、前記携帯端末において前記撮像された画像データ及び所定の入力項目を選択又は直接入力することによりイレギュラー状況に関する報告書を作成するステップと、前記作成された報告書を前記ASPサーバに送信するステップと、前記報告書を受信したASPサーバが、送信元の携帯端末IDとともに受信した報告書の報告内容に応じて記憶するステップとを更に有することを特徴とする物流作業分析及び支援方法(請求項4)。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、作業者は携帯端末を保持して作業に従事することで、作業エリアに設けられているバーコード(典型的にはQRコード(登録商標。以下注記を省略する。)などの二次元バーコード)をスキャンすることにより作業エリアの入力を迅速かつ確実に行うことができ、わざわざ入力用の固定設置端末などに入力をしにいく手間が省け、結果として作業効率が向上する。作業バッチ、用途、作業種類に関しても、取り扱う客体に付されたコードをスキャンすることで即時に自己の従事している作業内容を入力することができる。こうして入力された各種データは携帯端末から通信回線を通じてASPサーバに随時送信され、データのカテゴリ毎に集積・格納される。従って作業者の作業状況がリアルタイムに、しかも分ないしは秒単位の極めて精緻な粒度をもって集積されるため、作業分析にあたっても、例えば業務日報における大雑把な作業従事時間の把握に比べて飛躍的に精緻なデータ集積が可能となる。当然携帯端末においては個々の作業者のIDを入力、或いは送信元の端末に基づいて認識した上で操作を行うから、作業者毎、作業内容毎の生産性を把握しやすくなる。
【0014】
更には、各作業者の携帯端末から入力された作業状況に関する情報は、ASPサーバにおいてリアルタイムに更新集積されるため、閲覧端末においてはほぼリアルタイムの作業状況を把握することができる。そのため作業進捗状況に応じたシフトチェンジを柔軟に行うことが、作業現場に居合わせずとも可能となる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、例えば商品破損や商品汚損、事故が現実に発生した場合に作業者が作成しなければならない破損報告書や事故報告書について、撮像デバイスを用いて現場の状況を即座に画像として記録することができ、併せて破損報告ないし事故報告についてもこの画像を利用しつつ即時に作成することが可能となる。このため作業者の報告業務の負担を軽減することができるとともに、迅速な情報伝達が実現され、総体としての作業効率の向上が期待できる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、作業者は、各々が保有する携帯端末を用いて、担当する作業エリアに設置された、その作業エリアを表すコードを撮像することにより、どの作業エリアでの作業に従事するのかを簡便迅速に入力することができる。更に各自が携帯端末によってアクティビティ、作業内容などをその場で入力することにより、わざわざ入力用端末に出向く手間も省け、かつ入力の正確性及びリアルタイム性が増し、作業分析の基礎情報としての信頼度が向上する。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、イレギュラー事象が発生した場合であっても、作業者が各自保有する携帯端末を用いて、事象を撮像したデータとともに報告書をその場で作成することができるから、報告業務の負担を軽減するとともに迅速な情報伝達が実現され、総体としての作業効率の向上が期待できる。
【0018】
なお本発明において「物流センタ」とは、一般的に流通センタ、配送センタ、デポなどとも言われる、広義の物流拠点を意味し、多種大量の商品を供給者から荷受けし、積換え、保管し、仕分け、流通加工し、情報加工する機能の一部又は全部を有している施設をいう。
【0019】
「ASPサーバ」とは、本システム内の電機通信回線を通じて接続された各携帯端末及び/又は各閲覧端末から受信した各種データをそのカテゴリ毎に蓄積し、これを所定のブラウザを備えた各閲覧端末及び/又は各携帯端末から電機通信回線を通じて閲覧可能に提示するアプリケーションを備えたサーバをいう。
「携帯端末」とは、物流センタ内の作業者が作業時に携帯する通信機能を有する端末を意味し、「コード認識デバイス」とは、例えばQRコードのスキャン及び画像撮影が可能な携帯電話に所定のアプリケーションをインストールしたものであってよい。
【0020】
「閲覧端末」とは、所定のブラウザを備え、ASPサーバに蓄積された各種データを所定のフォーマットのもと閲覧可能な端末をいう。「入力手段」とは、操作者が外部から入力可能なデバイスを意味し、例えばキーボード、タッチパッド、スタイラスといった接触入力手段の他、音声認識による入力手段であってもよい。
【0021】
「表示手段」とは、操作者が視認可能なディスプレイであればよく、その詳細如何は問わない。「記憶手段」とは、プロセッサ内部のキャッシュメモリ、プロセッサ外部の揮発性メインメモリであるRAM、或いは外部メモリとしてのHDDに限らず、例えばmicroSD等の外付け媒体であってもよい。
【0022】
「電機通信回線」とは、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、光通信、その他の有線通信・無線通信の物理的な伝送路を意味し、その種類を問わない。「物流作業に関する情報」には、各作業者が保有する携帯端末から送信される作業従事に関する情報及び商品破損報告、事故報告の他、マスタデータとしての出荷先マスタ、ロケーションマスタ、商品マスタ、或いは指示情報としての入荷/出荷指示情報、実績情報としての入荷/出荷実績情報、棚卸実績情報、作業計画管理情報としての月次/日次作業計画情報などが含まれ、「情報のカテゴリ」とは、これらデータの性質及びアクティビティに応じた分別をいう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について、図面を用いながら以下に詳細に説明する。
【0024】
<1.システム全体の構成>
図1は、本発明の一実施例における物流業務分析・支援システムの概要を示すシステム構成図である。
この物流業務分析・支援システム1は、以下のノードから構成されている。
【0025】
(1)ASPサーバ11は、本システムに接続されている携帯端末12・・・12や各種閲覧端末(現場事務所閲覧端末13、本社/営業所閲覧端末14、荷主/3PL閲覧端末15)から送信された各種物流に関するデータをカテゴリ毎に蓄積する。また各種閲覧端末からの閲覧要求に応じ、要求のあった物流データを要求した閲覧端末に送信する。
【0026】
(2)携帯端末12・・・12は、物流センタ内及び物流センタで商品を搬出/搬入する作業員が個々に保有する業務端末である。本実施例においては、後述するように少なくともハードウェアとしてQRコードの認識デバイス、及び静止画撮像が可能なカメラ機能を有し、後述する業務支援アプリケーションをインストールした携帯電話を想定している。
【0027】
(3)現場事務所閲覧端末13は、主として物流センタの管理者が物流センタ全体の作業効率を逐次管理するために設置されている端末であり、本実施例においてはASPサーバ11とインターネット16を通じて接続し、所望の情報を閲覧可能なブラウザソフト(例えばInternet Explorer(商標)やMozilla Firefox(商標))をインストールしたコンピュータである。
【0028】
(4)本社/営業所閲覧端末14も、上記現場事務所閲覧端末13同様、インターネット16を介してASPサーバ11に集積された物流データを閲覧することができるハードウェア構成を備えたコンピュータである。なお図示は単一の物流センタに関する物流データを閲覧監視する場面を示しているが、同様の構成を管理下の物流センタについて有することにより、物流センタ相互の繁閑状況を把握することができ、センタ間の人繰りを行うことが可能になる場合がある。
【0029】
(5)荷主/3PL閲覧端末15は、当該物流センタを物流拠点として利用する荷主や3PL(3rd Party Logistics)が物流データを閲覧可能な端末である。自己に関係する荷物の配送状況を閲覧することができる。
【0030】
これらのノードは、インターネット16を介して相互に接続されている。
【0031】
<2.サーバの作用説明(データ蓄積、閲覧要求に対する作用)>
次に、図1に示した各ノードのハードウェア構成、及び本発明に関する主要なアプリケーション及びデータベースにつき図示しつつ説明する。
【0032】
図2は、ASPサーバ11のハードウェア構成、及び記憶装置内のデータ集積態様を示すブロック図である。
ASPサーバ11は、CPU1101、ROM1102、RAM1103、バス1104、I/F1105、入力手段1106、表示装置1107、HDD1108及び通信ポート1109を有する。
【0033】
ROM1102は不揮発性の記憶装置であり、ブートプログラム等の基本プログラムを記憶する。RAM1103は揮発性の記憶装置であり、プログラムやデータを記憶する領域として、或いは、CPU1101による処理に使用しているデータを格納する作業領域として利用される。これらの構成は、バス1104及びI/F1105を介して入力手段1106、表示装置1107、HDD1108及び通信ポート1109と接続している。
【0034】
入力手段1106は、外部の操作者が入力操作を行うためのデバイスであり、具体的にはマウスやキーボードが一般的であるが、これらに限定されない。表示装置1107は、例えば液晶ディスプレイや、CRTディスプレイ等の画像を表示する装置である。なお本実施例においてはサーバと一体的な構成として説明しているが、当然これに限定されることはなく、例えば拡張端子(図示しない)を介して外部接続する表示装置であってもよい。
【0035】
HDD1108は、OS(オペレーティングシステム)及び各種アプリケーションソフトを読み出し可能に記憶するほか、各種アプリケーションソフトにおける保存データを記憶する。アプリケーションソフトにはデータベースソフトも当然に含まれる。図示するように、HDD1108には、従業者マスタ、作業エリアマスタ、アクティビティマスタ等の各種マスタデータを統合的に集積するマスタデータベースMD、出退勤及び業務内容の状況を作業者毎に統合的に集積する出退勤/業務記録データベースQD、生産性を作業者毎に統合的に集積する生産性履歴データベースPD、事故・商品破損等の各種履歴を作業者毎に統合的に集積する事故履歴データベースADが記録されている。
【0036】
また、携帯端末12・・・12とのデータの送受信にあたって携帯端末12・・・12に予めインストールするGUIソフトや、各種閲覧端末からの閲覧要求に応じて所定の表示を実現するためのGUIソフトなどの所定のアプリケーションAPが格納されており、作業者が自己の携帯電話を本発明にかかるシステムの携帯端末12として機能させるにあたってダウンロードしたり、各種閲覧端末からの閲覧要求に基づいて起動し、各種閲覧端末のブラウザと連動して適切な画面表示を行う。
【0037】
通信ポート1109は、外部の装置とのデータのやりとりの仲介を行う。本実施形態では、通信ポート1109はインターネット106と接続されており、これを介して、各端末とデータのやりとりを行う。
【0038】
<3.携帯端末の作用説明>
図3は、携帯端末12のハードウェア構成を示したブロック図である。本実施例においては、携帯端末12は、記憶装置12Stにあらかじめ本システム内のASPサーバ11からアプリケーションをインストールした状態の携帯電話であって、アンテナ12A、送信機12O、受信機12I、データ処理回路12P、音声コーデック12V、入力手段としてのキーボード12K、撮像手段及びコード認識手段としてのカメラ兼コードリーダ12Ca、スピーカ12S、レシーバ12R、マイク12M、本システムに接続するためのアプリケーションの他、基本OS、その他各種アプリケーションを記憶するほか、データ処理に伴って展開されるデータを一時的に記憶可能な記憶装置St、ユーザIDを記憶するUIMカード12Uを構成として有する。
【0039】
データ処理回路12Pは複数のCPUからなり、他の構成から受けたデータの処理を行う。送信機12O及び受信機12Iは、アンテナ12Aを介して電波を送信したり、無線基地局からの電波を受信する。通常の通話の場合、マイク12Mから入力された音声を電波に変調し、また電波を音声に復調してスピーカ12Sやレシーバ12Rにて出力する。音声コーデック12Vは、操作者によって入力された音声をデジタル信号に変換すると同時に送信のためのデータ圧縮を行う。
【0040】
キーボード12Kは、例えば0から9までの数字などが刻印されたキー、及びカーソルキーなどで構成されており(図示しない)、操作者により入力された電話番号やアルファベットなどをデータ処理回路に送る。カメラ兼コードリーダ12Caは、QRコード(登録商標)などの二次元バーコードを読み取り可能な解像度を有し、接写撮影が可能なCCDカメラである。作業者は、後述する作業エリアの登録などの際に、カメラ兼コードリーダ12Caを用いて所定の二次元バーコードの読み取り操作を行う。
【0041】
図4は各閲覧端末(現場事務所閲覧端末13、本社/営業所閲覧端末14、荷主/3PL閲覧端末15)のハードウェア構成を示したブロック図である。なお、図2で示された各構成とほぼ異なるところは無く、演算機能を司るCPU1301、不揮発性の記憶装置であるROM1302、揮発性の記憶装置であってプログラム、データの格納領域及びCPU1301による演算処理のデータの格納領域として機能するRAM1303を有する。これらの構成がバス1304を介して、更にI/F1305を介して入力手段1306、表示装置1307、HDD1308、及び通信ポート1309と接続している。
【0042】
HDD1308には、表示装置1307によってWebページを表示する際に機能するアプリケーションソフトであるブラウザ(図示しない)が記録されている。ブラウザは大まかには、(a)Webサーバと通信を行い、指定されたURL(Uniform Resource Locator)に対応する情報を取り寄せるウェブクライアント、(b)取り寄せた情報を、その種類(例えば、HTML、XHTML、XML、画像、テキストなど)に応じて解析するパーサー、(c)パーサーの解析結果をもとに文字や画像を適切に配置したり、文字のサイズや色を調整して表示するレンダラー、という3つの部分から構成される。
【0043】
<4.物流センタの概要説明>
次に、物流センタの構成、及び物流センタにおける一般的な作業手順につき、図5のレイアウト概念図を用いつつ説明する。
【0044】
物流センタにおける一般的な作業手順は、概略以下の通りである。
(1)荷受け:多種大量の商品を荷受けする。
(2)検品:商品の相違、瑕疵、数量をチェックする。
(3)入荷荷捌き〜保管:出荷オーダーに即応できるよう荷捌きし、保管する。
(4)ピッキング:出荷オーダーを受けて商品の抽出を行う。
(5)商品組合せ:需要者毎に商品を組み合わせる。
(6)荷造り
(7)仕分け〜配送:出荷する方面(コース)別に仕分けして出荷し、配送する。
なおこれらの業務に付随して、例えば値付け・検針・包装などの「流通加工」が行われる場合がある。
【0045】
物流センタのレイアウトは、通常荷物の流れ(図中矢印の向き)に沿って順次各作業エリアに分かれている。すなわち荷受け・検品を行う「荷受・検品場」、荷捌きした荷物を保管する「保管場」及び「特殊製品置場」、流通加工を行う「流通加工場」、ピッキング、仕分作業を行う「仕分場」、発送作業を行う「発送場」といったようにエリア分けされる。本実施例に係る物流分析/支援システムにおいては、各作業エリアに当該エリアを示すQRコードが掲示されている。作業者は後述する作業エリア入力にあたって、このQRコードを用いて簡便迅速確実に入力作業を行うことができる。
【0046】
<5.通常業務における使用方法の説明(画面遷移)>
次に、作業者が通常作業において本システムを用いた作業を行う流れを、図6から図14を用いて説明する。
【0047】
図6は、物流センタの作業員の一日の業務の流れに応じた入力操作を示すフローである。作業者は、出社時に出社登録を行う。そして作業開始時には作業エリアの登録、及びアクティビティの登録を行う。作業休憩時、作業再開時、作業終了時及び退社時にも同様に自己の保有する携帯端末12から登録を行う。
【0048】
作業者が各登録作業を行うにあたっては、各々参照されるマスタデータ、及び登録結果が集積される対応するデータベースが存在する。
【0049】
以下各登録作業について、表示画面を交えたフローチャートを用いて説明する。
【0050】
(5−1.出勤時操作)
図7は、出社時の登録の流れを示すフローである。作業者は出社すると、自己の保有する携帯端末12のアプリケーションを起動させる。するとS701に図示するトップ画面がディスプレイ12Dに表示される。作業者がキーボード12Kの「1」のボタンを押下すると、ステップS702に図示するように、「社員証のQRコードをスキャンしてください」と表示される。操作者が開始に対応するボタンを押下するとカメラ兼コードリーダ12Caが起動する。作業者は、自己の社員証に予め印字されているQRコードをスキャンする。
【0051】
このQRコードは作業者の社員ID及び氏名の文字情報に対応しており、当該データがASPサーバ内の従業者マスタに格納されているデータを合致することを確認する(ステップS704)。その後、ステップS705に図示するように、スキャンした日時とともに作業者のID及び氏名の確認を促す画面がディスプレイ12D上に表示される。作業者が内容を確認し、「出社」に対応するボタンを押下すると、出勤データがASPサーバ11内の出退勤/業務記録DBに格納される(ステップS706)とともに、引き続き業務記録を行うことができるよう、ディスプレイ12Dの表示は業務メニュートップへ遷移する。
【0052】
(5−2.作業エリア登録フロー)
次に、図8A及び図8Bを用いつつ、作業エリアの登録フローにつき説明する。前述の出勤登録後、業務メニューのトップ画面としてステップS801に示すメニュー画面が表示される。業務メニューは、作業者が通常のスタッフであるか、リーダーであるか、或いは管理者であるかに応じて各別に設定されている。ここでは通常のスタッフユーザの業務メニューについて説明する。このメニュー画面には、「1.作業エリア登録」「2.業務記録」「3.休憩」「4.各種報告」「5.業務支援」」「8.退社」「9.その他」の各メニューが表示されている。
【0053】
作業者がキーボード12Kの「1」のボタンを押下すると、通信手段を介してASPサーバ11と接続し、当該作業者のステータスの確認を行う(ステップS802)。まだ作業エリアの登録がされていない場合(ステップS803:No)、ステップS804に示すように、作業エリアに設置されたQRコードをスキャンして作業エリアを登録するよう促す画面が表示される。既に作業エリアが登録されている場合(ステップS803:Yes)、作業エリアの変更を行うのか否かの確認画面が表示される(ステップS805)。ここで「はい」に相当するボタンが押下されるとステップS804の画面表示に移行し、「いいえ」に相当するボタンが押下されると業務メニューのトップ画面(ステップS801)が表示される。
【0054】
各作業エリアには、そのエリアを表すQRコードが、例えば入り口、作業スペースの任意の場所に掲示されており、作業者はステップS804の画面表示の段階で「開始」のボタンを押下し、QRコードをスキャンする(ステップS806)。すると通信手段を介してASPサーバ11の作業エリアマスタに照会を行い、作業エリアID及び作業エリア名の情報を取得する(ステップS807)。ステップS808は作業エリアの登録確認画面である。作業者はQRコードのスキャンの結果得られた作業エリア情報が正しいことを目視確認し、登録入力を行う。その結果、ASPサーバ11の出退勤/業務記録DBに当該作業者の作業エリア登録が行われる(ステップS809)。
【0055】
(5−3.アクティビティ(LV1)登録フロー)
図9は、アクティビティ(LV1)の登録を行う流れを示すフローである。ステップS901に図示する表示画面は業務メニューのトップ画面であり、上記の「作業エリア登録」におけるステップS801の表示画面と同じである。作業者は、「2.業務記録」を選択することでアクティビティ(LV1)の登録を開始する。携帯端末12からの情報を受信したASPサーバ11では、当該携帯端末12の作業者IDの現状の業務ステータスを、出退勤/業務記録データベースから抽出する(ステップS902)。ここで作業者が休憩状態にある場合(ステップS903:Yes)、ステップS904に図示する画面がディスプレイ12Dに表示され、休憩時間を終了する旨の登録を行うか否かの確認がなされる。作業者が休憩状態でない場合(ステップS903:No)、ステップS905に示すように、第一階層(LV1)のアクティビティを選択する画面が表示される。ここでは、「1.入荷」「2.保管」「3.流通加工」「4.ピッキング」「5.出荷」「6.返品」「7.間接業務」「8.管理業務」の各アクティビティ候補が表示される。ここで例えば「1.入荷」を選択すると、次に説明する第二階層のアクティビティ(アクティビティ(LV1))以降の登録画面に遷移する。
【0056】
(5−4.アクティビティ(LV2)登録フロー)
図10Aから図10Cは、アクティビティLV2以降の登録を行う流れを示すフローである。前述のアクティビティLV1において「1.入荷」が選択されると、ステップS1001においてはその下層のアクティビティメニューが表示される。入荷の下層アクティビティとしては「入荷受付」「荷受」「個人検品」「グループ検品」「格納」「準備作業」「その他」が設定されている。ここでは「2.荷受」の作業を行う場合について説明する。
【0057】
作業者が「2.荷受」を選択すると、ステップS1002に示した画面表示へと遷移し、アクティビティ内容の確認を作業者に促す。ここで「開始」を選択すると、ステップS1003に示した画面表示へと遷移し、作業に沿った画面が表示される。なお更に詳細なアクティビティ内容を登録することもできる(ステップS1004)。
【0058】
荷受においては、その仕入先を登録する必要があることから、ステップS1003において仕入先の登録が画面上促される。仕入先企業を示すQRコードが一覧化されて荷受場に掲示されており、作業者は自らが作業を行う荷物の仕入先を選択してコードの読み込みを行う(ステップS1005)。
【0059】
携帯端末12により仕入先のQRコードを読み込むと、ステップS1006に示すように仕入先の確認を促す画面がディスプレイ12Dに表示される。間違いが無い場合、操作者は登録に対応するボタンを押下し、自己の作業する荷物の仕入先を出退勤/業務記録DBに登録する(ステップS1007)。
【0060】
登録後、作業中は、ディスプレイ12DはステップS1008に示す画面表示となる。作業を終了する際、作業者は「終了」に対応するボタンを押下する。すると画面はステップS1009に示す画面表示に遷移する。作業者は、当該仕入先の荷受作業を行った数量を入力し、登録ボタンを押下する。画面は確認画面へと遷移し(ステップS1010)、作業者が、数量等が正しいことを確認して登録すると、ASPサーバ11の出退勤/業務記録DBにその情報が登録される(ステップS1011)。
【0061】
数量登録後、携帯端末12のディスプレイ12Dは、ステップS1012に示すように、引き続き同一アクティビティを行うか否かの確認画面へと移る。ここで「続ける」を選択すれば、再びステップS1003の画面に移行し、作業者は異なる仕入先の荷受作業の登録を行う。「終了」を選択した場合、作業者の荷受アクティビティは終了となり、その旨が出退勤/業務記録DBに登録される(ステップS1013)。その後終了を示す画面が表示された上で(ステップS1014)、業務メニュートップ画面へと移行する。
【0062】
(5−5.アクティビティレベル概念図)
ここで、携帯端末12によるアクティビティの入力手順とアクティビティレベルについて、図11の概念図を用いつつ説明する。
【0063】
作業者は、実際の業務の流れに従って順次入力を行う。既に述べたように、作業者は自らが従事する作業の作業エリアに掲示されているQRコードを携帯端末12のカメラ兼コードリーダ12Caを用いて読み取る。これにより作業者の入力の簡便迅速化を図られるとともに、間違えることの無い確実な入力ができる。次に作業者は、アクティビティの入力を、その上位階層から順に行う。図12は、ASPサーバ11に保存されているアクティビティマスタの階層構造図である。上記事例では、アクティビティLV1「入荷」についての入力例を示したが、これ以外のLV1のアクティビティである「保管」「流通加工」「ピッキング」「出荷」「返品」についても、それぞれその下位階層のアクティビティが定義されており、ステップS905において選択したLV1のアクティビティに応じて、ステップS1001にて表示されるLV2のアクティビティメニューが変わる。
【0064】
またアクティビティの中には、個人一人で行うものと、グループで行うものとがある。グループで行う作業の場合、通常グループリーダーが設定されている。グループで行うアクティビティの場合、リーダーの入力を行うことで、グループ作業の統率能力についても集積することが可能である。この際(図示しないが)リーダーの情報を入力する際に、当該リーダーの社員証添付のコードを用いて入力を行うことにより入力が簡便迅速確実になるとともに、業務分析の精緻化が図られる。
【0065】
また、作業詳細の入力において、上記説明した荷受の場合には用途、すなわち仕入先により特定することが適切な作業であったが、作業の特定フェイズはこれに限られず、例えば入荷/出荷の便やバッチ、或いはピッキングや流通加工においてはその作業種類を特定し入力することにより、業務分析のデータとしての精緻化が図られる。
【0066】
(5−6.休憩時の操作)
図13は、作業者が休憩時に行う登録操作のフローである。
【0067】
ステップS1301に図示する表示画面は業務メニューのトップ画面であり、上記のステップS801及びステップS901の表示画面と同じである。作業者がここで「3.休憩」を選択入力すると、携帯端末12は通信回線を介してASPサーバ11の出退勤/業務登録DBに当該作業者のステータスを確認する(ステップS1302)。ステータスが休憩中でない場合(ステップS1303:No)、ステップS1304に図示する画面表示がなされ、休憩入力を行うか否かの確認がなされる。休憩をする旨の入力がなされると、その旨ASPサーバ11に送信され、記録される(ステップS1305)。休憩記録の確認画面において「いいえ」を選択すると、業務メニューのトップ画面に戻る。
【0068】
ステータスが休憩中であった場合(ステップS1303:Yes)、休憩開始の日時とともに休憩中である旨の表示が画面に現れる(ステップS1306)。作業者が休憩を終了したいときには、「終了」に対応するボタンを押下することで、休憩の終了が出退勤/業務記録DBに記録され(ステップS1307)、ディスプレイ12Dは業務メニューのトップ画面に移行する。また休憩中に後述する報告作業を行うこともできる。
【0069】
(5−7.退社時の操作)
図14は、作業者が退社時に行う登録操作のフローである。
【0070】
ステップS1401に図示する表示画面は業務メニューのトップ画面である。ここで作業者が「8.退社」を選択入力すると、ステップS1402に示すように、退社処理を行う旨の確認画面がディスプレイ12Dに表示される。ここで「はい」を選択すると、社員証のコードをスキャンする旨の指示画面が表示される(ステップS1403)。作業者がこれに応じて自己の社員証のQRコードをスキャンすると(ステップS1404)、通信回線を通じてASPサーバ11上における当該作業者のID確認が行われる(ステップS1405)。その後、退社処理の確認画面が表示される(ステップS1406)。作業者が自己の指名、退社時間等を確認した上で退社入力を行うと、その旨がASPサーバ11内の出退勤/業務記録DBに登録される(ステップS1407)。その後携帯端末12のディスプレイ12Dは初期画面に移行する。
【0071】
以上、日次の通常業務において、各作業者が、その保有する携帯端末12を用いて都度作業内容、及び勤務状況を入力することにより、物流センタにおける業務分析にあたっての信頼性の高いデータを取得することができる。同時に、作業者にとっての入力負担が著しく軽減されることから、作業者の作業効率自体の向上につながるとともに、作業者の入力もれの発生頻度を低下させることができ、この面からもデータの信頼性が向上する。
【0072】
<6.イレギュラー時における使用方法>
次に、不測の事態が生じた場合の作業者の報告負担を低減させる、イレギュラー時の報告方法につき、典型的な例としての商品破損報告を例にとり、図15及び図16を交えつつ説明する。
【0073】
図15は、商品破損報告の際の作業者保有の携帯端末12とASPサーバ11との間でのデータ授受の関係を示す図である。商品の汚損ないし破損(「汚破損」という。)が発生すると、作業者は携帯端末12を用いて商品汚破損報告を行う。図16のステップS1601に示す表示画面は、業務メニューのトップ画面である。ここで作業者は「4.各種報告」を選択入力する。するとディスプレイ12D上の表示がステップS1602に示すように、要報告事項のメニューが表示される。商品汚破損の報告をする場合、「1.商品汚破損」を選択入力する。
【0074】
次にディスプレイ12Dは、ステップS1603に示す画面に移行する。すなわち、作業現場においては自己が商品汚破損を行ってしまった場合の報告と、自己に起因しない(例えば前工程からの)商品汚破損を作業中に発見する場合とがある。それぞれの状況に合わせて「1.自己申告」又は「3.発見」を選択する。ここでは「1.自己申告」を選択したものとして更に操作を進める。
【0075】
ステップS1604は、作業者に汚損ないし破損してしまった商品の写真撮影を促す画面である。作業者はカメラ(兼コードリーダ)12Caを起動させ、報告のために必要な写真をその場で撮影する。撮影した写真が報告に適切なものか否かを確認し(ステップS1605)、再撮影が必要な場合ステップS1604に戻る。写真が問題ない場合、次にディスプレイ12Dは対象となる商品のQRコードのスキャンを促す画面に移行する(ステップS1606)。作業者が対象となる商品のQRコードをスキャンすると(ステップS1607)、ASPサーバ11と通信を行い、情報を送信してきた携帯端末12の作業者IDを従業者マスタにおいて確認を行う。併せてサーバ内の商品マスタと照合を行い、商品情報を取得し、当該商品に対応する作業場所をロケーションマスタから取得する。
【0076】
ASPサーバ11はこれらの情報を携帯端末12に送信する。その後、商品情報の確認を促す画面がディスプレイ12Dに表示される(ステップS1608)。スキャンの不具合等により、表示された内容が意図したものと異なる場合、「いいえ」を選択し、再度コードをスキャンすることができる。表示内容に問題ない場合、「はい」を選択し、商品汚破損内容の詳細入力画面に移行する(ステップS1609)。ここではコードスキャンによって取得した情報は予めボックスの中に入力された状態になっているため、報告入力の省力化が図れ、そのために汚破損発生時点で即座に報告を作成することができる。更にはトラブル発生から報告までのタイムラグがより短縮されることから、管理体制の向上につながり、作業品質の向上に寄与する。
【0077】
なおステップS1606において、QRコードのスキャンを行わず(ステップS1606で「スキップ」を選択)、ステップS1609において直接手入力を行うこともできる。
【0078】
以上のステップを経て入力された内容を、確認画面(図示しない)で作業者が確認を行い(ステップS1610)、問題なければその内容がASPサーバ11の商品破損明細DBに登録される。
【0079】
このように、通常業務時のイレギュラー事象が発生した場合にあっても、本実施例において作業者は自己の携帯端末12を用いてASPサーバ11と適宜通信をとりつつオンタイムでの報告を行うことができる。しかも当該報告においては現場の写真を伴って報告することができる。したがって作業管理のリアルタイム性が向上するとともに、作業者にも報告業務の大幅な負担軽減につながる。なおここでは商品の汚破損を例にとって説明したが、イレギュラー事象として、物損・人身事故や欠品などのクレーム管理においても同様に報告ツールとして活用することが可能である。
【0080】
<7.閲覧画面上の表示>
図17は、現場事務所閲覧端末13から商品の汚破損実績データをASPサーバから呼び出した表示画面を示したものである。上述したように、携帯端末12からの業務データ及び報告データは、逐次ASPサーバの該当データベースに集積されている。そのため、各種閲覧端末(もちろん閲覧者の地位に応じて閲覧可能な情報に制限をかけることができる)から、閲覧時点での作業状況、報告状況をリアルタイムに把握することができる。これにより、物流センタ内における動的管理、更には本社或いは営業所からの遠隔管理により、物流センタ相互間の人繰りなどを動的に行うことができ、全社レベルでの業務効率向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施例にかかるシステムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】ASPサーバ11のハードウェア構成、及び記憶手段であるHDD1108に記憶されたデータベースの概要を示すブロック図である。
【図3】携帯端末12のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】各種閲覧端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】物流センタのレイアウトを示す模式図である。
【図6】物流センタの作業員の一日の業務の流れに応じた入力操作を示すフローである。
【図7】出社時の登録の流れを示すフローである。
【図8A】作業エリアの登録の流れを示すフローである。
【図8B】同じく、作業エリアの登録の流れを示すフローである。
【図9】業務記録(アクティビティLV1)の登録フローである。
【図10A】下位のアクティビティ(アクティビティLV2以降)の登録フローである。
【図10B】下位のアクティビティ(アクティビティLV2以降)の登録フローである。
【図10C】下位のアクティビティ(アクティビティLV2以降)の登録フローである。
【図11】アクティビティの入力手順とアクティビティレベルについての概念図である。
【図12】ASPサーバ11に保存されているアクティビティマスタの階層構造図である。
【図13】作業者が休憩時に行う登録操作のフローである。
【図14】作業者が退社時に行う登録操作のフローである。
【図15】商品破損報告の際の作業者保有の携帯端末12とASPサーバ11との間でのデータ授受の関係を示す図である。
【図16A】商品汚破損報告の操作フローである。
【図16B】同じく、商品汚破損報告の操作フローである。
【図17】現場事務所閲覧端末13から商品の汚破損実績データをASPサーバから呼び出した表示画面を示したものである。
【符号の説明】
【0082】
1 物流業務分析/支援システム
11 ASPサーバ
12 携帯端末
12Ca カメラ兼コードリーダ(コード認識デバイス、撮像デバイス)
12K キーボード(入力手段)
12D ディスプレイ
12St 記憶装置(記憶手段)
12A アンテナ(通信手段)
12O 送信機(通信手段)
12I 受信機(通信手段)
13 現場事務所閲覧端末




【特許請求の範囲】
【請求項1】
物流センタにおける物流作業の分析及び支援のためのシステムであって、
ASPサーバと、
1以上の携帯端末と、
1以上の閲覧端末とを少なくとも有し、
前記携帯端末及び前記閲覧端末は、前記ASPサーバと電気通信回線を通じて接続されており、
前記携帯端末は、
物流センタ内の作業エリア、作業バッチ、用途、作業種類を表すコードの一又は複数を認識可能なコード認識デバイスと、
外部からの操作により文字情報その他の情報を入力可能な入力手段と、
操作において適切な入力を促す表示手段と、
認識したコードが表象する情報、撮像した画像データ及び入力された情報を保存する記憶手段と、
前記ASPサーバと情報の送受信を行う通信手段と
を少なくとも有し、
前記閲覧端末は、
外部からの操作により文字情報その他の情報を入力可能な入力手段と、
外部からの操作に応じて情報を表示する表示手段と、
前記ASPサーバとの情報の送受信を行う通信手段と
を少なくとも有し、
前記ASPサーバは、
前記携帯端末及び前記閲覧端末から送信された情報を含む物流作業に関する情報を、当該情報のカテゴリに応じて記憶する記憶手段と、
前記携帯端末及び前記閲覧端末との情報の送受信を行う通信手段と
を少なくとも有することを特徴とする、
物流作業分析及び支援システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、
商品破損、事故、事故懸念その他イレギュラー状況を撮影可能な撮像デバイスを更に有し、
前記記憶手段は、商品破損報告、事故報告等のイレギュラー事象報告の作成を支援するアプリケーションを更に記憶する
ことを特徴とする、請求項1に記載の物流作業分析及び支援システム。
【請求項3】
ASPサーバと、1以上の携帯端末とを用いて物流センタにおける物流作業の分析及び支援を行う方法であって、
物流センタの作業エリア毎に表示された当該エリアを表象するコードを、前記携帯端末に備えられたコード認識デバイスにより認識するステップと、
前記携帯端末に備えられた入力手段によりアクティビティを入力するステップと、
作業対象に付されたコードを、前記携帯端末に備えられたコード認識デバイスにより認識するステップと、
前記認識及び入力された作業情報をASPサーバに送信するステップと、
前記作業情報を受信したサーバが、送信元の携帯端末ID及び受信した時刻情報とともに、受信した作業情報のカテゴリに応じて記憶するステップと
を有することを特徴とする、物流作業分析及び支援方法。
【請求項4】
商品破損、事故、事故懸念その他イレギュラー状況の発生又は発見の際に、携帯端末に備えられた画像撮影デバイスにより当該状況を撮像するステップと、
前記携帯端末において前記撮像された画像データ及び所定の入力項目を選択又は直接入力することによりイレギュラー状況に関する報告書を作成するステップと、
前記作成された報告書を前記ASPサーバに送信するステップと、
前記報告書を受信したASPサーバが、送信元の携帯端末IDとともに受信した報告書の報告内容に応じて記憶するステップと
を更に有することを特徴とする、請求項3に記載の物流作業分析及び支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−61447(P2010−61447A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227129(P2008−227129)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(508268403)株式会社セル・ホールディングス (1)
【Fターム(参考)】