説明

物理量検出回路、及び物理量検出方法

【課題】物理量の変化に対する電圧変化の直線性を維持しつつ、物理量の検出範囲全体において物理量の検出感度を向上することができる物理量検出回路、及び物理量検出方法を提供する。
【解決手段】物理量検出回路1は、湿度(物理量)の変化に対して指数関数的に抵抗値が変化する湿度センサ(物理量センサ)と、湿度センサとそれぞれ直列に接続される複数の抵抗と、湿度センサと複数の抵抗いずれかとによってそれぞれ抵抗分圧された電圧値を重み付け総和して、湿度の変化に対して直線的に変化するように変換する演算処理部4とを備える。また、複数の抵抗には、湿度の検出範囲における下限値において、湿度センサ21の抵抗値と等しい抵抗値を示す第1の抵抗31と、湿度の検出範囲における上限値において、湿度センサ22の抵抗値と等しい抵抗値を示す第2の抵抗32とが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量検出回路、及び物理量検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物理量の変化を抵抗値の変化に変換する物理量センサがある。このような物理量センサ(例えば、抵抗変化型湿度センサ)を用いて物理量(湿度)を検出する抵抗分圧器を形成した物理量検出回路が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。このような物理量検出回路は、抵抗分圧器によって、物理量センサにおける抵抗の変化を電圧の変化に変換して、物理量を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−34586号公報
【特許文献2】特開2001−208709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、物理量センサには、抵抗変化型湿度センサのように、物理量の変化に対する抵抗変化(素子値変化)が指数関数的に変化するものがある。このような物理量センサを抵抗分圧器(素子分圧器)に用いた場合には、抵抗分圧器によって変換された電圧が物理量の変化に対して、全体として大きな非直線性を示すことがある。また、この場合には、抵抗分圧器の固定抵抗値(固定素子値)を中心とする検出感度が高い領域を外れると、検出感度(分解能)が低下する。
この非直線性を改善するために、従来の物理量検出回路では、特許文献1及び特許文献2に記載されているように負帰還を掛けて近似する負帰還近似型や、例えば、マイクロコンピュータを用いて3次以上の多項式によって近似する多項式近似型が知られている。
【0005】
しかしながら、上述の負帰還近似型又は多項式近似型の物理量検出回路では、上述の非直線性は改善されるが、抵抗分圧器の固定抵抗値を中心とする検出感度が高い領域を外れると、検出感度(分解能)が低下する問題は改善されない。
つまり、従来の物理量検出回路では、物理量の変化に対する電圧変化の直線性を維持しつつ、物理量の検出範囲全体において物理量の検出感度を向上することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、物理量の変化に対する電圧変化の直線性を維持しつつ、物理量の検出範囲全体において物理量の検出感度を向上することができる物理量検出回路、及び物理量検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明は、物理量の変化に対して指数関数的に素子値が変化する物理量センサと、前記物理量センサとそれぞれ直列に接続され、異なる素子値を示す複数の素子と、前記物理量センサと前記複数の素子のいずれかとによってそれぞれ素子分圧された電圧値を重み付け総和して、前記物理量の変化に対して直線的に変化するように変換する演算処理部とを備え、前記複数の素子には、前記物理量の検出範囲における下限値において、前記物理量センサの素子値と等しい素子値を示す第1の素子と、前記物理量の検出範囲における上限値において、前記物理量センサの素子値と等しい素子値を示す第2の素子とが含まれることを特徴とする物理量検出回路である。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記複数の素子の数は、奇数個であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記複数の素子には、前記第1の素子の素子値より大きく、前記第2の素子の素子値より小さい素子値を示す第3の素子が含まれることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記第3の素子の素子値は、前記物理量の検出範囲における中央値において、前記物理量センサの素子値と等しいことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記物理量検出回路が備えている前記物理量センサは、複数であり、前記複数の素子にそれぞれ直列に接続されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記物理量検出回路は、前記複数の素子のいずれか1つを順に切り替えて、前記物理量センサと切り替えられた該素子とによって素子分圧された電圧値を順に出力させるスイッチ部を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記演算処理部は、前記物理量センサと前記複数の素子のいずれかとによってそれぞれ素子分圧された電圧値に重み付け係数を乗算して、乗算結果を出力する第1の演算増幅回路部と、前記第1の演算増幅回路部における前記複数の素子に対応するそれぞれの出力の総和を演算する第2の演算増幅回路部とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記演算処理部は、前記電圧値を検出してデジタル情報に変換するA/D変換部と、前記A/D変換部によって変換されたデジタル情報のそれぞれに重み付け係数を乗算して、総和するデジタル演算処理を行うデジタル演算部とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記複数の素子は、3個の素子であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記素子は、抵抗であり、前記物理量センサは、抵抗変化型湿度センサであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、物理量の変化に対して指数関数的に素子値が変化する物理量センサと、前記物理量センサとそれぞれ直列に接続され、異なる素子値を示す複数の素子とを用いる物理量検出方法であって、前記複数の素子には、前記物理量の検出範囲における下限値において、前記物理量センサの素子値と等しい素子値を示す第1の素子と、前記物理量の検出範囲における上限値において、前記物理量センサの素子値と等しい素子値を示す第2の素子とが含まれ、前記物理量センサと前記複数の素子のいずれかとによってそれぞれ素子分圧された電圧値を重み付け総和して、前記物理量の変化に対して直線的に変化するように変換する演算処理手順を含むことを特徴とする物理量検出方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、物理量の変化に対する電圧変化の直線性を維持しつつ、物理量の検出範囲全体において物理量の検出感度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態による物理量検出回路を示す概略ブロック図である。
【図2】本実施形態における湿度の変化に対する電圧変化を示すグラフである。
【図3】本実施形態において抵抗分圧された電圧値Vの曲線における変曲点の一例を示すグラフである。
【図4】第2の実施形態による物理量検出回路を示す概略ブロック図である。
【図5】第3の実施形態による物理量検出回路を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態による物理量検出回路について図面を参照して説明する。
なお、本実施形態において、物理量は、湿度である場合の例について説明する。したがって、ここでは、物理量センサは、湿度センサとして説明する。また、湿度とは、相対湿度RH(Relative Humidity)を示す。
【0021】
<第1の実施形態>
まず、本発明における第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態による物理量検出回路1を示す概略ブロック図である。
なお、本実施形態において、物理量検出回路1が3個の湿度センサ21〜23と、異なる抵抗値を示す3個(複数、且つ奇数個)の分圧抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)とを備える形態について説明する。
この図において、物理量検出回路1は、湿度センサ21〜23、第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33、演算処理部4、コンデンサ5、抵抗6、及び交流電源7を備えている。物理量検出回路1は、上述のように複数の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)によってそれぞれ抵抗分圧される複数の湿度センサ21〜23を備えている。
【0022】
湿度センサ21〜23は、例えば、抵抗変化型湿度センサであり、物理量(湿度)の変化に対して指数関数的に抵抗値が変化する。湿度センサ21は、一端がコンデンサ5の一端に、他端がノードN1に、それぞれ接続されている。湿度センサ22は、一端がコンデンサ5の一端に、他端がノードN2に、それぞれ接続されている。湿度センサ23は、一端がコンデンサ5の一端に、他端がノードN3に、それぞれ接続されている。
なお、ここでは、湿度センサ21〜23は、例えば、湿度20%から湿度80%に変化した場合、抵抗値が約4800kΩ(キロオーム)から6kΩに変化する例について説明する。
【0023】
第1の抵抗31は、一端がノードN1に、他端がグランド線に、それぞれ接続されている。すなわち、第1の抵抗31は、湿度センサ21と直列に接続され、抵抗分圧器を形成している。つまり、第1の抵抗31は、分圧抵抗として機能する。第1の抵抗31の抵抗値は、例えば、4800kΩである。また、詳細は後述するが、第1の抵抗31は、湿度(物理量)の検出範囲における下限値において、湿度センサ21の抵抗値と等しい抵抗値を示す。ここで、湿度センサ21の抵抗値と等しい抵抗値とは、ほぼ等しい抵抗値を含めてもよい。また、湿度の検出範囲は、例えば、湿度20%から湿度80%の範囲である。つまり、第1の抵抗31は、湿度20%である場合に、湿度センサ21の抵抗値とほぼ等しい抵抗値になる。
【0024】
第2の抵抗32は、一端がノードN2に、他端がグランド線に、それぞれ接続されている。すなわち、第2の抵抗32は、湿度センサ22と直列に接続され、抵抗分圧器を形成している。つまり、第2の抵抗32は、分圧抵抗として機能する。第2の抵抗32の抵抗値は、例えば、6kΩである。また、詳細は後述するが、第2の抵抗32は、湿度(物理量)の検出範囲における上限値において、湿度センサ22の抵抗値と等しい抵抗値を示す。ここで、湿度センサ22の抵抗値と等しい抵抗値とは、ほぼ等しい抵抗値を含めてもよい。つまり、第2の抵抗32は、湿度80%である場合に、湿度センサ32の抵抗値とほぼ等しい抵抗値になる。
【0025】
第3の抵抗33は、一端がノードN3に、他端がグランド線に、それぞれ接続されている。すなわち、第3の抵抗33は、湿度センサ23と直列に接続され、抵抗分圧器を形成している。つまり、第3の抵抗33は、分圧抵抗として機能する。第3の抵抗33の抵抗値は、例えば、150kΩである。第3の抵抗33は、第1の抵抗31の抵抗値より大きく、第2の抵抗32の抵抗値より小さい抵抗値を示す。また、詳細は後述するが、第3の抵抗33は、湿度(物理量)の検出範囲における中央値において、湿度センサ23の抵抗値と等しい抵抗値を示す。ここで、湿度センサ23の抵抗値と等しい抵抗値とは、ほぼ等しい抵抗値を含めてもよい。つまり、第3の抵抗33は、湿度50%である場合に、湿度センサ32の抵抗値とほぼ等しい抵抗値になる。
【0026】
交流電源7は、陰極端子がグランド線に、陽極端子がコンデンサ5の一端に、それぞれ接続されている。交流電源7は、例えば、1kHz(キロヘルツ)の交流パルス信号を生成し、コンデンサ5を介して湿度センサ21〜23に電圧を供給する。なお、湿度センサ21〜23は、直流電圧を長時間印加すると分極して、抵抗値が変動する。そのため、交流電源7は、交流電圧を生成して、湿度センサ21〜23に供給する。
【0027】
コンデンサ5は、一端が湿度センサ21〜23の一端に、他端が交流電源7の陽極端子に、それぞれ接続されている。コンデンサ5は、交流電源7から供給された交流パルス信号を湿度センサ21〜23に伝達する。
抵抗6は、一端がコンデンサ5の一端に、他端がグランド線に、それぞれ接続される。抵抗6は、交流電源7から供給された電圧をグランド線に電流を流して、所定の時間内に放電させる。これにより、3つの抵抗分圧器の応答速度を改善することができる。また、コンデンサ5と抵抗6は、低周波数の信号をカットするハイパスフィルタとしても機能する。
直流電源8は、陽極端子が電源線VDDに、陰極端子がグランド線に、それぞれ接続されている。直流電源8は、物理量検出回路1の各部に電源電圧を供給する。
【0028】
演算処理部4は、3つの抵抗分圧器から出力される電圧値に基づいて、湿度の変化に対して直線的に変化する電圧(変化量)に変換する。ここで3つの抵抗分圧器とは、上述した湿度センサ21と第1の抵抗31との抵抗分圧器、湿度センサ22と第2の抵抗32との抵抗分圧器、及び湿度センサ23と第3の抵抗33との抵抗分圧器のことである。演算処理部4は、3つの抵抗分圧器から出力されるそれぞれの電圧値を、重み付け総和して、湿度の変化に対して直線的に変化する電圧に変換する。すなわち、演算処理部4は、湿度センサ21〜23と3個(複数)の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)のいずれかとによってそれぞれ抵抗分圧された電圧値を重み付け総和して、物理量の変化に対して直線的に変化するように変換する。
【0029】
また、演算処理部4は、増幅整流部41と加算回路部42とを備えている。
増幅整流部41(第1の演算増幅回路部)は、湿度センサ21〜23と3個(複数)の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)いずれかとによってそれぞれ抵抗分圧された電圧値に重み付け係数を乗算して、乗算結果を加算回路部42に出力する。なお、ここでの重み付け係数は、第1の重み付け係数とする。増幅整流部41は、第1の重み付け係数を乗算することによって、コンデンサ56、66、及び76に可能な限り大きな電圧を保持させる。
具体的には、増幅整流部41は、交流電源7から供給された交流電圧に基づいて第1の抵抗31によって抵抗分圧された電圧に重み付け係数を乗算し、直流電圧に整流して、ノードN5に出力する演算増幅回路として機能する。また、増幅整流部41は、交流電源7から供給された交流電圧に基づいて第2の抵抗32によって抵抗分圧された電圧に重み付け係数を乗算し、直流電圧に整流して、ノードN7に出力する演算増幅回路として機能する。さらに、増幅整流部41は、交流電源7から供給された交流電圧に基づいて第3の抵抗33によって抵抗分圧された電圧に重み付け係数を乗算し、直流電圧に整流して、ノードN9に出力する演算増幅回路として機能する。
【0030】
また、増幅整流部41は、抵抗(43〜45、52〜54、62〜64、72〜74)、オペアンプ(51、61、71)、ダイオード(55、65、75)、及びコンデンサ(56、66、76)を備えている。
【0031】
抵抗43は、一端がノードN1に、他端がオペアンプ51の非反転入力端子に、それぞれ接続されている。また、抵抗52と抵抗53とは、ノードN4を介してノードN5とグランド線との間に直列に接続されている。
オペアンプ51(演算増幅回路)は、非反転入力端子が抵抗43を介してノードN1に、反転入力端子がノードN4に、出力端子が抵抗54の一端に、それぞれ接続されている。オペアンプ51は、湿度センサ21と第1の抵抗31とによって抵抗分圧された電圧値を、抵抗52と抵抗53との抵抗比によって増幅する。つまり、オペアンプ51は、湿度センサ21と第1の抵抗31とによって抵抗分圧された電圧値に重み付け係数を乗算する。ここで、重み付け係数は、抵抗52と抵抗53との抵抗比によって設定される。
【0032】
抵抗54は、一端がオペアンプ51の出力端子に、他端がダイオード55のアノード端子に、それぞれ接続されている。また、ダイオード55は、アノード端子が抵抗54の他端に、カソード端子がノードN5に、それぞれ接続されている。ダイオード55は、抵抗54を介して出力されるオペアンプ51の出力信号を整流して、電流の逆流を防止する。また、コンデンサ56は、ノードN5とグランド線との間に接続され、オペアンプ51の出力電圧を保持する。
なお、抵抗54は、ノードN5における電圧の立ち上がりを緩くするように機能し、時間をかけてコンデンサ56を充電する。これにより、抵抗54は、電流を抑えて、電磁のノイズを抑制する。
【0033】
抵抗44は、一端がノードN2に、他端がオペアンプ61の非反転入力端子に、それぞれ接続されている。また、抵抗62と抵抗63とは、ノードN6を介してノードN7とグランド線との間に直列に接続されている。
オペアンプ61(演算増幅回路)は、非反転入力端子が抵抗44を介してノードN2に、反転入力端子がノードN6に、出力端子が抵抗64の一端に、それぞれ接続されている。オペアンプ61は、湿度センサ22と第2の抵抗32とによって抵抗分圧された電圧値を、抵抗62と抵抗63との抵抗比によって増幅する。つまり、オペアンプ61は、湿度センサ23と第2の抵抗32とによって抵抗分圧された電圧値に重み付け係数を乗算する。ここで、重み付け係数は、抵抗62と抵抗63との抵抗比によって設定される。
【0034】
抵抗64は、一端がオペアンプ61の出力端子に、他端がダイオード65のアノード端子に、それぞれ接続されている。また、ダイオード65は、アノード端子が抵抗64の他端に、カソード端子がノードN7に、それぞれ接続されている。ダイオード65は、抵抗64を介して出力されるオペアンプ61の出力信号を整流して、電流の逆流を防止する。また、コンデンサ66は、ノードN7とグランド線との間に接続され、オペアンプ61の出力電圧を保持する。
なお、抵抗64は、ノードN7における電圧の立ち上がりを緩くするように機能し、時間をかけてコンデンサ66を充電する。これにより、抵抗64は、電流を抑えて、電磁のノイズを抑制する。
【0035】
抵抗45は、一端がノードN3に、他端がオペアンプ71の非反転入力端子に、それぞれ接続されている。また、抵抗72と抵抗73とは、ノードN8を介してノードN9とグランド線との間に直列に接続されている。
オペアンプ71(演算増幅回路)は、非反転入力端子が抵抗45を介してノードN2に、反転入力端子がノードN8に、出力端子が抵抗74の一端に、それぞれ接続されている。オペアンプ71は、湿度センサ23と第3の抵抗33とによって抵抗分圧された電圧値を、抵抗72と抵抗73との抵抗比によって増幅する。つまり、オペアンプ71は、湿度センサ22と第3の抵抗33とによって抵抗分圧された電圧値に重み付け係数を乗算する。ここで、重み付け係数は、抵抗72と抵抗73との抵抗比によって設定される。
【0036】
抵抗74は、一端がオペアンプ71の出力端子に、他端がダイオード75のアノード端子に、それぞれ接続されている。また、ダイオード75は、アノード端子が抵抗74の他端に、カソード端子がノードN9に、それぞれ接続されている。ダイオード75は、抵抗74を介して出力されるオペアンプ71の出力信号を整流して、電流の逆流を防止する。また、コンデンサ76は、ノードN9とグランド線との間に接続され、オペアンプ71の出力電圧を保持する。
なお、抵抗74は、ノードN9における電圧の立ち上がりを緩くするように機能し、時間をかけてコンデンサ76を充電する。これにより、抵抗74は、電流を抑えて、電磁のノイズを抑制する。
【0037】
加算回路部42(第2の演算増幅回路部)は、増幅整流部41から出力された3つの出力電圧(ノードN5、ノードN7、及びノードN9における電圧)を加算し、増幅した電圧を信号線VSUMに出力する。つまり、加算回路部42は、増幅整流部41における3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)に対応するそれぞれの出力の総和を演算する。なお、加算回路部42は、単電源で湿度信号の正極性を回路全体で維持するため、抵抗81〜83及び抵抗422で構成される分圧・簡易加算器としている。
【0038】
また、加算回路部42は、抵抗(81〜83、422〜424)、及びオペアンプ421を備えている。
抵抗81は、一端がノードN5に、他端がノードN10に、それぞれ接続されている。抵抗82は、一端がノードN7に、他端がノードN10に、それぞれ接続されている。抵抗83は、一端がノードN9に、他端がノードN10に、それぞれ接続されている。抵抗422は、一端がノードN10に、他端がグランド線に、それぞれ接続されている。抵抗81〜83は、それぞれ異なる抵抗値を持ち、増幅整流部41から供給された3つの出力電圧を加算する際の重み付け係数(第2の重み付け係数)として機能する。ここでの重み付け係数は、抵抗81〜83の抵抗値と抵抗422の抵抗値との相互の関係によって設定される。
また、抵抗423と抵抗424とは、ノードN11を介して信号線VSUMとグランド線との間に直列に接続されている。
【0039】
オペアンプ421は、非反転入力端子がノードN10に、反転入力端子がノードN11に、出力端子が信号線VSUMに、それぞれ接続されている。オペアンプ421は、増幅整流部41から出力された3つの出力電圧それぞれに重み付けして、それぞれを加算する。また、オペアンプ421は、非反転増幅回路として機能する。なお、加算結果は、抵抗423と抵抗424との抵抗比によって設定されている係数により増幅される。
【0040】
次に、本実施形態による物理量検出回路1の動作について、湿度を検出する場合を例にして説明する。
物理量検出回路1は、まず、交流電源7が交流パルス信号を生成し、コンデンサ5を介して湿度センサ21〜23に電圧を供給する。交流電源7から供給された交流電圧は、湿度センサ21〜23と3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)のそれぞれとによって抵抗分圧され、演算処理部4に出力される。
【0041】
次に、演算処理部4の増幅整流部41は、湿度センサ21〜23と3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)のいずれかとによってそれぞれ抵抗分圧された電圧値に重み付け係数(第1の重み付け係数)を乗算して、乗算結果を加算回路部42に出力する。
【0042】
この際に、オペアンプ51は、第1の抵抗31によって抵抗分圧された電圧に重み付け係数を乗算する。ダイオード55は、オペアンプ51の出力電圧を直流電圧に整流して、ノードN5に出力する。なお、コンデンサ56は、ノードN5に出力された電圧を保持する。
また、オペアンプ61は、第2の抵抗32によって抵抗分圧された電圧に重み付け係数を乗算する。ダイオード65は、オペアンプ61の出力電圧を直流電圧に整流して、ノードN7に出力する。なお、コンデンサ66は、ノードN7に出力された電圧を保持する。
また、オペアンプ71は、第3の抵抗33によって抵抗分圧された電圧に重み付け係数を乗算する。ダイオード75は、オペアンプ71の出力電圧を直流電圧に整流して、ノードN9に出力する。なお、コンデンサ76は、ノードN9に出力された電圧を保持する。
【0043】
次に、加算回路部42は、増幅整流部41から出力された3つの出力電圧(ノードN5、ノードN7、及びノードN9における電圧)を加算し、増幅した電圧を信号線VSUMに出力する。この際に、オペアンプ421は、増幅整流部41から出力された3つの出力電圧それぞれに(第2の重み付け係数による)重み付けをして、それぞれを加算する。また、オペアンプ421は、加算結果を抵抗423と抵抗424との抵抗比によって増幅して信号線VSUMに出力する。つまり、演算増幅器421は、抵抗81〜83及び抵抗422で構成される分圧・簡易加算器の出力が小さいため、扱い易い0〜1V(0〜100%RH)に増幅する。
このように、物理量検出回路1は、3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)によって抵抗分圧された電圧値(ノードN1、ノードN2、及びノードN3における電圧)を第1及び第2の重み付け係数によって乗算して総和する。さらに、物理量検出回路1は、総和した演算結果を示す電圧を信号線VSUMに出力する。なお、信号線VSUMに出力される電圧は、演算処理部4によって湿度の変化に対して直線に変化する電圧に変換される。
【0044】
次に、演算処理部4によって実行される重み付け総和の処理について、詳細に説明する。ここでは、信号線VSUMにおける電圧をVSUMとし、ノードN1における電圧をVO_4800k、ノードN2の電圧をVo_6k、ノードN3の電圧をVo_150kとして説明する。
物理量検出回路1において、VSUMは、関係式(1)によって示される。
【0045】
【数1】

【0046】
式(1)において、a、b及びcは、重み付け係数である。また、dは、VSUMの電圧値を所定の電圧範囲に補正するための係数である。
また、式(1)は、式(2)として置き換えることができる。
【0047】
【数2】

【0048】
式(2)において、R4800kは、第1の抵抗31の抵抗値であり、R6kは、第2の抵抗32の抵抗値であり、R150kは、第3の抵抗33の抵抗値である。また、Rは、湿度センサ21〜23の抵抗値である。また、Vは、湿度センサ21〜23に供給される入力電圧である。なお、入力電圧Vは、式(1)において、VO_4800k、Vo_6k、及びVo_150kにそれぞれ含まれている。
演算処理部4は、式(1)又は式(2)に示される処理と等価の処理を行う。
【0049】
次に、上述の式(1)及び物理量検出回路1の検出結果について説明する。
ここで説明する例では、係数は、aが“0.6”に、bが“0.86”に、cが“1.90”に、dを“0.33”に、それぞれ設定されている。
図2は、本実施形態における湿度の変化に対する電圧変化を示すグラフである。
この図において、グラフは、湿度と出力電圧との関係を示している。このグラフにおいて、横軸は湿度(%)を示し、縦軸は出力電圧(V(ボルト))を示す。
【0050】
波形L1は、湿度の変化に対するノードN1における電圧VO_4800kの変化を示している。波形L1では、湿度20%近傍の検出感度(分解能)が高く、湿度80%近傍の検出感度(分解能)が低い。ここで、検出感度(分解能)が高いとは、湿度の変化に対して抵抗の変化が大きく、抵抗分圧された電圧の変化が大きいことを示す。また、検出感度(分解能)が低いとは、湿度の変化に対して抵抗の変化が小さく、抵抗分圧された電圧の変化が小さいことを示す。
波形L2は、湿度の変化に対するノードN3における電圧VO_150kの変化を示している。波形L2では、湿度50%近傍の検出感度(分解能)が高く、湿度20%近傍、及び湿度80%近傍の検出感度(分解能)が低い。
波形L3は、湿度の変化に対するノードN2における電圧VO_6kの変化を示している。波形L3では、湿度80%近傍の検出感度(分解能)が高く、湿度20%近傍の検出感度(分解能)が低い。
【0051】
波形L4は、上述の係数と式(1)を用いて、波形L1、波形L2、及び波形L3における各電圧から、湿度の検出結果を示す電圧VSUMを算出した波形である。波形L4では、湿度の検出範囲(湿度20%から湿度80%の範囲)において、湿度の検出結果を示す電圧VSUMは、直線的に変化する。
【0052】
波形L5は、物理量検出回路1の抵抗(52、53、62、63、72、3、81〜83、422〜424)の抵抗値を、上述の係数になるように設定した場合において、信号線VSUMに出力される電圧のシミュレーション波形である。波形L5に示すように、物理量検出回路1では、波形L4と同様に直線的に変化する。つまり、物理量検出回路1は、湿度の検出範囲(湿度20%から湿度80%の範囲)において、湿度センサ21〜23を抵抗分圧した電圧値を、湿度の変化に対して直線的に変化する電圧に変換する。
【0053】
なお、第1の抵抗31、第2の抵抗32、及び第3の抵抗33の抵抗値は、以下のように設定されている。
【0054】
第1の抵抗31の抵抗値は、湿度の検出範囲における下限値において、湿度センサ21の抵抗値(4800kΩ)にほぼ等しく設定されている。つまり、波形L1に示すように、第1の抵抗31の抵抗値は、湿度の検出範囲における下限値において、湿度センサ21の検出感度が最大になるように設定される。
また、波形L1においてポイントP1は、湿度の変化に対して抵抗分圧された電圧値VO_4800kの変化を示す曲線の変曲点である。第1の抵抗31の抵抗値は、この変曲点に対応する湿度の値が湿度の検出範囲における下限値(RH1)になるように設定されている。ここで、変曲点とは、後述する二回微分を行った場合に“0”になる点である。
【0055】
第2の抵抗32の抵抗値は、湿度の検出範囲における上限値において、湿度センサ22の抵抗値(6kΩ)にほぼ等しく設定されている。つまり、波形L3に示すように、第2の抵抗32の抵抗値は、湿度の検出範囲における上限値において、湿度センサ22の検出感度が最大になるように設定される。
また、波形L3においてポイントP3は、湿度の変化に対して抵抗分圧された電圧値VO_6kの変化を示す曲線の変曲点である。第2の抵抗32の抵抗値は、この変曲点に対応する湿度の値が湿度の検出範囲における上限値(RH3)になるように設定されている。
【0056】
第3の抵抗33の抵抗値は、湿度の検出範囲における中央値において、湿度センサ23の抵抗値(150kΩ)にほぼ等しく設定されている。つまり、波形L2に示すように、第3の抵抗33の抵抗値は、湿度の検出範囲における中央値において、湿度センサ23の検出感度が最大になるように設定される。
また、波形L2においてポイントP2は、湿度の変化に対して抵抗分圧された電圧値VO_150kの変化を示す曲線の変曲点である。第3の抵抗33の抵抗値は、この変曲点に対応する湿度の値が湿度の検出範囲におけるほぼ中央値(RH2)になるように設定されている。
【0057】
なお、抵抗値Rによって抵抗分圧された電圧値Vは、関係式(3)によって示される。
【0058】
【数3】

【0059】
式(3)において、RHは、相対湿度である。また、RAは、相対湿度RHに対する変化分基底値であり、RBは、残存抵抗値である。Vは入力電圧値である。
【0060】
また、図3は、本実施形態において抵抗分圧された電圧値Vの曲線における変曲点の一例を示すグラフである。
このグラフにおいて、縦軸は、抵抗分圧された電圧値Vを示し、横軸は、相対湿度RHを示す。なお、式(3)の入力電圧Vは“1”として省略している。
この図において、波形L7は、式(3)によって示される曲線の一例である。また、波形L8は、波形L7の曲線を一回微分した曲線である。また、波形L9は、波形L7の曲線を二回微分した曲線である。この図において、変曲点P4は、波形L9が“0”になる点に対応する波形L7の点である。すなわち、変曲点P4は、湿度センサ21の検出感度が最大になる点である。
【0061】
以上のように、物理量検出回路1は、湿度(物理量)の変化に対して指数関数的に抵抗値が変化する湿度センサ21〜23(物理量サンサ)と、3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)と、演算処理部4を備える。3個の抵抗31〜33は、湿度センサ21〜23とそれぞれ直列に接続される。また、演算処理部4は、湿度センサ21〜23と3個の抵抗31〜33のいずれかとによってそれぞれ抵抗分圧された電圧値を重み付け総和して、湿度の変化に対して直線的に変化するように変換する。また、3個の抵抗31〜33には、湿度の検出範囲における下限値において、湿度センサ21の抵抗値とほぼ等しい抵抗値を示す第1の抵抗31と、湿度の検出範囲における上限値において、湿度センサ22の抵抗値とほぼ等しい抵抗値を示す第2の抵抗32とが含まれる。
【0062】
これにより、物理量検出回路1は、湿度の検出範囲における下限値近傍の検出感度、及び下限値近傍の検出感度を向上することができる。また、抵抗分圧された電圧値を重み付け総和することによって、物理量検出回路1は、湿度センサ21〜23を抵抗分圧した電圧値を湿度の変化に対して直線的に変化する電圧に変換することができる。したがって、物理量検出回路1は、湿度(物理量)の変化に対する電圧変化の直線性を維持しつつ、湿度(物理量)の検出範囲全体において湿度(物理量)の検出感度を向上することができる。
【0063】
さらに、3個の抵抗には、第1の抵抗31の抵抗値より大きく、第2の抵抗32の抵抗値より小さい抵抗値を示す第3の抵抗33が含まれる。また、第3の抵抗の抵抗値は、湿度(物理量)の検出範囲における中央値において、湿度センサ21〜23の抵抗値とほぼ等しい。これにより、物理量検出回路1は、湿度の検出範囲における中央領域の検出感度を向上することができる。したがって、物理量検出回路1は、湿度(物理量)の変化に対する電圧変化の直線性を維持しつつ、湿度(物理量)の検出範囲全体において湿度(物理量)の検出感度をさらに向上することができる。
【0064】
また、演算処理部4は、増幅整流部41(第1の演算増幅回路部)と加算回路部42(第1の演算増幅回路部)とを備える。増幅整流部41は、湿度センサ21〜23と3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)のそれぞれによって抵抗分圧されたそれぞれの電圧値に重み付け係数を乗算して、乗算結果を出力する。加算回路部42は、増幅整流部41における3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)に対応するそれぞれの出力の総和を演算する。
これにより、物理量検出回路1は、負帰還近似型やマイクロコンピュータを用いた多項式近似型によって近似する等を行うことなく、湿度センサ21〜23を抵抗分圧した電圧値を湿度の変化に対して直線的に変化する電圧に容易に変換することができる。したがって、物理量検出回路1は、簡易な構成の回路によって、湿度(物理量)の変化に対する電圧変化の直線性を維持しつつ、湿度(物理量)の検出範囲全体において湿度(物理量)の検出感度を向上することができる。
【0065】
<第2の実施形態>
次に、本発明における第2の実施形態について説明する。
図4は、本実施形態による物理量検出回路1aを示す概略ブロック図である。
なお、本実施形態において、物理量検出回路1aが1個の湿度センサ20と3個(複数、且つ奇数個)の分圧抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)を備える形態について説明する。
この図において、物理量検出回路1aは、湿度センサ20、第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33、演算処理部4a、コンデンサ5、抵抗6、交流電源7及びスイッチ部91〜93を備えている。この図において、図1と同じ構成には同一の符号を付す。本実施形態における物理量検出回路1aは、スイッチ部91〜93を備え、第1の抵抗31、第2の抵抗32、及び第3の抵抗33を切り替えて1個の湿度センサ20と抵抗分圧する点が第1の実施形態における物理量検出回路1と異なる。
【0066】
湿度センサ20は、例えば、抵抗変化型湿度センサであり、物理量(湿度)の変化に対して指数関数的に抵抗値が変化する。湿度センサ20は、一端がコンデンサ5の一端に、他端がノードN1aに、それぞれ接続されている。
なお、ここでは、湿度センサ20は、例えば、湿度20%から湿度80%に変化した場合、抵抗値が約4800kΩから6kΩに変化する例について説明する。
【0067】
第1の抵抗31は、一端がノードN1aに、他端がMOSスイッチ912のドレイン端子に、それぞれ接続されている。すなわち、第1の抵抗31は、湿度センサ20と直列に接続され、抵抗分圧器を形成している。第1の抵抗31の抵抗値に関しては、第1の実施形態と同様である。
第2の抵抗32は、一端がノードN1aに、他端がMOSスイッチ922のドレイン端子に、それぞれ接続されている。すなわち、第2の抵抗32は、湿度センサ20と直列に接続され、抵抗分圧器を形成している。第2の抵抗32の抵抗値に関しては、第1の実施形態と同様である。
第3の抵抗33は、一端がノードN1aに、他端がMOSスイッチ932のドレイン端子に、それぞれ接続されている。すなわち、第3の抵抗33は、湿度センサ20と直列に接続され、抵抗分圧器を形成している。第3の抵抗33の抵抗値に関しては、第1の実施形態と同様である。
【0068】
スイッチ部91〜93は、3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)のいずれか1つを順に切り替えて、湿度センサ20と切り替えられた抵抗とによって抵抗分圧された電圧値を順に出力させる。
【0069】
スイッチ部91は、信号線VSW1を介して供給される信号に基づいて、第1の抵抗31による抵抗分圧を行う状態に切り替える。スイッチ部91は、抵抗(911、913)、MOSスイッチ(912、914)、及びコンデンサ915を備えている。
抵抗911は、一端が信号線VSW1に、他端がMOSスイッチ912のゲート端子に、それぞれ接続されている。抵抗913は、一端が信号線VSW1に、他端がMOSスイッチ914のゲート端子に、それぞれ接続されている。
【0070】
MOSスイッチ912は、例えば、NMOSトランジスタ(Nチャネル型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)などにより形成されるスイッチである。MOSスイッチ912は、ソース端子がグランド線に、ゲート端子が抵抗911を介して信号線VSW1に、ドレイン端子が第1の抵抗31の他端に、それぞれ接続されている。MOSスイッチ912は、信号線VSW1を介して供給される信号に基づいて、第1の抵抗31の他端とグランド線との間を導通状態にするか、非導通状態にするかを切り替える。
MOSスイッチ914は、例えば、NMOSトランジスタなどにより形成されるスイッチである。MOSスイッチ914は、ソース端子がノードN5に、ゲート端子が抵抗913を介して信号線VSW1に、ドレイン端子がダイオード55のカソード端子に、それぞれ接続されている。MOSスイッチ914は、信号線VSW1を介して供給される信号に基づいて、ダイオード55とノードN5との間を導通状態にするか、非導通状態にするかを切り替える。
【0071】
コンデンサ915は、一端がMOSスイッチ914のゲート端子に、他端がグランド線に、それぞれ接続されている。コンデンサ915は、抵抗913とローパスフィルタを形成して、MOSスイッチ914が動作する際に発生するフィードスルーを緩和する。ここで、フィードスルーとは、MOSスイッチのゲート端子−ソース端子間、及びゲート端子−ドレイン端子間の静電容量を介して変位電流が流れる現象である。
【0072】
スイッチ部92は、信号線VSW2を介して供給される信号に基づいて、第2の抵抗32による抵抗分圧を行う状態に切り替える。スイッチ部92は、抵抗(921、923)、MOSスイッチ(922、924)、及びコンデンサ925を備えている。
抵抗921は、一端が信号線VSW2に、他端がMOSスイッチ922のゲート端子に、それぞれ接続されている。抵抗923は、一端が信号線VSW2に、他端がMOSスイッチ924のゲート端子に、それぞれ接続されている。
【0073】
MOSスイッチ922は、例えば、NMOSトランジスタなどにより形成されるスイッチである。MOSスイッチ922は、ソース端子がグランド線に、ゲート端子が抵抗921を介して信号線VSW2に、ドレイン端子が第2の抵抗32の他端に、それぞれ接続されている。MOSスイッチ922は、信号線VSW2を介して供給される信号に基づいて、第2の抵抗32の他端とグランド線との間を導通状態にするか、非導通状態にするかを切り替える。
MOSスイッチ924は、例えば、NMOSトランジスタなどにより形成されるスイッチである。MOSスイッチ924は、ソース端子がノードN7に、ゲート端子が抵抗923を介して信号線VSW2に、ドレイン端子がダイオード65のカソード端子に、それぞれ接続されている。MOSスイッチ924は、信号線VSW2を介して供給される信号に基づいて、ダイオード65とノードN7との間を導通状態にするか、非導通状態にするかを切り替える。
【0074】
コンデンサ925は、一端がMOSスイッチ924のゲート端子に、他端がグランド線に、それぞれ接続されている。コンデンサ925は、抵抗923とローパスフィルタを形成して、MOSスイッチ924が動作する際に発生するフィードスルーを緩和する。
【0075】
スイッチ部93は、信号線VSW3を介して供給される信号に基づいて、第3の抵抗33による抵抗分圧を行う状態に切り替える。スイッチ部93は、抵抗(931、933)、MOSスイッチ(932、934)、及びコンデンサ935を備えている。
抵抗931は、一端が信号線VSW3に、他端がMOSスイッチ932のゲート端子に、それぞれ接続されている。抵抗933は、一端が信号線VSW3に、他端がMOSスイッチ934のゲート端子に、それぞれ接続されている。
【0076】
MOSスイッチ932は、例えば、NMOSトランジスタなどにより形成されるスイッチである。MOSスイッチ932は、ソース端子がグランド線に、ゲート端子が抵抗931を介して信号線VSW3に、ドレイン端子が第3の抵抗33の他端に、それぞれ接続されている。MOSスイッチ932は、信号線VSW2を介して供給される信号に基づいて、第3の抵抗33の他端とグランド線との間を導通状態にするか、非導通状態にするかを切り替える。
MOSスイッチ934は、例えば、NMOSトランジスタなどにより形成されるスイッチである。MOSスイッチ934は、ソース端子がノードN9に、ゲート端子が抵抗933を介して信号線VSW3に、ドレイン端子がダイオード75のカソード端子に、それぞれ接続されている。MOSスイッチ934は、信号線VSW3を介して供給される信号に基づいて、ダイオード75とノードN9との間を導通状態にするか、非導通状態にするかを切り替える。
【0077】
コンデンサ935は、一端がMOSスイッチ934のゲート端子に、他端がグランド線に、それぞれ接続されている。コンデンサ935は、抵抗933とローパスフィルタを形成して、MOSスイッチ934が動作する際に発生するフィードスルーを緩和する。
【0078】
演算処理部4aは、増幅整流部41aと加算回路部42aとを備えている。
増幅整流部41a(第1の演算増幅回路部)は、湿度センサ20と3個(複数)の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)いずれかとによってそれぞれ抵抗分圧された電圧値に重み付け係数を乗算して、乗算結果を加算回路部42aに出力する。なお、ここでの重み付け係数は、第1の重み付け係数とする。
増幅整流部41aは、上述したスイッチ部91〜93によって、ノードN5、ノードN7、及びノードN9に出力するタイミングが切り替えられる点を除き、第1の実施形態における増幅整流部41と同様である。なお、増幅整流部41aの入力は、ノードN1の電圧である。増幅整流部41aにおいて、抵抗43〜45は、それぞれノードN1aに接続されている。
【0079】
加算回路部42a(第2の演算増幅回路部)は、増幅整流部41aから出力された3つの出力電圧(ノードN5、ノードN7、及びノードN9における電圧)を加算し、増幅した電圧を信号線VSUMに出力する。つまり、加算回路部42aは、増幅整流部41aにおける3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)に対応するそれぞれの出力の総和を演算する。
【0080】
また、加算回路部42aは、抵抗(81〜83、422〜424)、オペアンプ421、及びコンデンサ425を備えている。加算回路部42aは、コンデンサ425を備えている点を除き、第1の実施形態における加算回路部42と同様である。
コンデンサ425は、一端が信号線VSUMに、他端がノードN11に、それぞれ接続されている。ここで、オペアンプ421は、負帰還にコンデンサ425が挿入されることによって、ノードN10における信号に対して高い周波数成分をカットするローパスフィルタとしても機能する。
【0081】
次に、本実施形態による物理量検出回路1aの動作について湿度を検出する場合を例にして説明する。
物理量検出回路1aの動作は、上述したスイッチ部91〜93による3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)の切り替え動作が加わる点を除き、第1の実施形態における物理量検出回路1の動作と同様である。そこで、本実施形態においては、スイッチ部91〜93による3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)の切り替え動作について説明する。
【0082】
信号線VSW1〜信号線VSW3には、周期的にH(ハイ)状態になるパルス信号が供給される。なお、信号線VSW1〜信号線VSW3における信号がH状態になる期間は、信号線VSW1〜信号線VSW3の順に時刻をずらして供給され、このH状態になる期間は重ならないものとする。
【0083】
信号線VSW1における信号がH状態である場合、MOSスイッチ912及びMOSスイッチ914が導通状態になる。これにより、湿度センサ20と第1の抵抗31とによって抵抗分圧が行われ、ノードN1aに第1の抵抗31によって分圧された電圧が出力される。また、増幅整流部41aは、ノードN1aから供給された電圧値に重み付け係数を乗算して、MOSスイッチ914を介してノードN5に乗算結果を出力する。
【0084】
信号線VSW2における信号がH状態である場合、MOSスイッチ922及びMOSスイッチ924が導通状態になる。これにより、湿度センサ20と第2の抵抗32とによって抵抗分圧が行われ、ノードN1aに第2の抵抗32によって分圧された電圧が出力される。また、増幅整流部41aは、ノードN1aから供給された電圧値に重み付け係数を乗算して、MOSスイッチ924を介してノードN7に乗算結果を出力する。
【0085】
信号線VSW3における信号がH状態である場合、MOSスイッチ932及びMOSスイッチ934が導通状態になる。これにより、湿度センサ20と第3の抵抗33とによって抵抗分圧が行われ、ノードN1aに第3の抵抗33によって分圧された電圧が出力される。また、増幅整流部41aは、ノードN1aから供給された電圧値に重み付け係数を乗算して、MOSスイッチ934を介してノードN7に乗算結果を出力する。
【0086】
加算回路部42aは、増幅整流部41aから出力された3つの出力電圧(ノードN5、ノードN7、及びノードN9における電圧)を加算し、増幅した電圧を信号線VSUMに出力する。
【0087】
このように、物理量検出回路1aは、3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)によって抵抗分圧された電圧値を第1及び第2の重み付け係数によって乗算して総和する。さらに、物理量検出回路1aは、総和した演算結果を示す電圧を信号線VSUMに出力する。なお、信号線VSUMに出力される電圧は、演算処理部4aによって湿度の変化に対して直線的に変化する電圧に変換される。
【0088】
ここで、本実施形態において、式(1)における係数は、第1の実施形態と同様に、例えば、aが“0.6”に、bが“0.86”に、cが“1.90”に、dを“0.33”に、それぞれ設定されている。図2の波形L6は、物理量検出回路1aの抵抗(52、53、62、63、72、3、81〜83、422〜424)の抵抗値を、上述の係数になるように設定した場合において、信号線VSUMに出力される電圧のシミュレーション波形である。波形L5に示すように、物理量検出回路1aでは、信号線VSUMに出力される電圧は、波形L4及び波形L5と同様に直線的に変化する。
【0089】
以上のように、物理量検出回路1aは、湿度(物理量)の変化に対して指数関数的に抵抗値が変化する湿度センサ20(物理量サンサ)と、3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)と、演算処理部4aと、スイッチ部91〜93とを備える。3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)は、湿度センサ20とそれぞれ直列に接続される。また、スイッチ部91〜93は、3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)のいずれか1つを順に切り替えて、湿度センサ20と切り替えられた抵抗とによって抵抗分圧された電圧値を順に出力させる。また、演算処理部4aは、湿度センサ20と3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)いずれかとによってそれぞれ抵抗分圧された電圧値を重み付け総和して、湿度の変化に対して直線的に変化するように変換する。また、3個の抵抗には、湿度の検出範囲における下限値において、湿度センサ20の抵抗値とほぼ等しい抵抗値を示す第1の抵抗31と、湿度の検出範囲における上限値において、湿度センサ20の抵抗値とほぼ等しい抵抗値を示す第2の抵抗32とが含まれる。また、3個の抵抗には、湿度の検出範囲における中央値において、湿度センサ20の抵抗値とほぼ等しい抵抗値を示す第3の抵抗33が含まれる。
【0090】
これにより、物理量検出回路1aは、湿度の検出範囲における下限値近傍の検出感度、及び下限値近傍の検出感度を向上することができる。また、抵抗分圧された電圧値を重み付け総和することによって、物理量検出回路1aは、湿度センサ20を抵抗分圧した電圧値を湿度の変化に対して直線的に変化する電圧に変換することができる。したがって、物理量検出回路1aは、第1の実施形態と同様に、湿度(物理量)の変化に対する電圧変化の直線性を維持しつつ、湿度(物理量)の検出範囲全体において湿度(物理量)の検出感度を向上することができる。
【0091】
さらに、物理量検出回路1aは、スイッチ部91〜93によって、3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)のいずれか1つを切り替えて使用する。これにより、湿度センサを1つに低減することができる。また、物理量検出回路1aは、1つの湿度センサを使用するため、複数の湿度センサ間における抵抗値のばらつきを排除することができる。そのため、物理量検出回路1aは、第1の実施形態と比べて、検出精度を向上することができる。
【0092】
<第3の実施形態>
次に、本発明における第3の実施形態について説明する。
図5は、本実施形態による物理量検出回路1bを示す概略ブロック図である。
なお、本実施形態において、物理量検出回路1bが1個の湿度センサ20と3個(複数、且つ奇数個)の分圧抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)を備え、デジタル演算処理により重み付け総和を実行する形態について説明する。
【0093】
この図において、物理量検出回路1bは、湿度センサ20、第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33、演算処理部4b、コンデンサ5及びスイッチ部90を備えている。この図において、図1と同じ構成には同一の符号を付す。
演算処理部4bは、A/D(アナログ/デジタル)変換器43(A/D変換部)、及びマイクロコンピュータ44を備えている。
A/D変換器43は、湿度センサ20と3個(複数)の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)のいずれかとによって抵抗分圧された電圧値を検出して、デジタル情報に変換する。A/D変換器43は、変換した電圧値のデジタル情報をマイクロコンピュータ44に出力する。
【0094】
マイクロコンピュータ44は、例えば、CPU(Central processing unit)及びメモリを含んで形成され、後述する湿度を検出する処理をプログラムによって実現する。マイクロコンピュータ44は、A/D変換器43によって変換されたデジタル情報のそれぞれに重み付け係数を乗算して、総和するデジタル演算処理を行う。また、マイクロコンピュータ44は、コンデンサ5に交流パルス信号を供給して、コンデンサ5を介して湿度センサ20に電圧を供給する。また、マイクロコンピュータ44は、スイッチ部90に3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)を切り替える制御信号を供給する。
【0095】
スイッチ部90は、3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)のいずれか1つを順に切り替えて、湿度センサ20と切り替えられた抵抗とによって抵抗分圧された電圧値を順に出力させる。また、スイッチ部90は、アナログスイッチ901〜903を備えている。
【0096】
アナログスイッチ901は、第1の抵抗31とグランド線との間に接続されている。また、アナログスイッチ901は、制御端子がマイクロコンピュータ44の出力ポートの1つに接続されている。アナログスイッチ901は、マイクロコンピュータ44から供給される制御信号に基づいて、第1の抵抗31とグランド線との間を導通状態にするか、非導通状態にするかを切り替える。
【0097】
アナログスイッチ902は、第2の抵抗32とグランド線との間に接続されている。また、アナログスイッチ902は、制御端子がマイクロコンピュータ44の出力ポートの1つに接続されている。アナログスイッチ902は、マイクロコンピュータ44から供給される制御信号に基づいて、第2の抵抗32とグランド線との間を導通状態にするか、非導通状態にするかを切り替える。
【0098】
アナログスイッチ903は、第3の抵抗33とグランド線との間に接続されている。また、アナログスイッチ903は、制御端子がマイクロコンピュータ44の出力ポートの1つに接続されている。アナログスイッチ903は、マイクロコンピュータ44から供給される制御信号に基づいて、第3の抵抗33とグランド線との間を導通状態にするか、非導通状態にするかを切り替える。
【0099】
なお、本実施形態において、湿度センサ20の湿度に対する抵抗値の変化は、第1及び第2の実施形態と同様である場合を例示して、ここでは説明する。また、3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)の抵抗値に関しても、第1及び第2の実施形態と同様である。
【0100】
次に、本実施形態による物理量検出回路1bの動作について湿度を検出する場合を例にして説明する。
物理量検出回路1bは、まず、マイクロコンピュータ44がアナログスイッチ901〜903のいずれか1つを導通状態にする。次に、マイクロコンピュータ44は、交流パルス信号を生成し、コンデンサ5を介して湿度センサ20に電圧を供給する。例えば、マイクロコンピュータ44がアナログスイッチ901を導通状態にした場合、コンデンサ5を介して湿度センサ20に供給された交流電圧は、湿度センサ20と第1の抵抗31とによって抵抗分圧され、A/D変換器43に出力される。
A/D変換器43は、湿度センサ20と第1の抵抗31とによって抵抗分圧された電圧を検出して、デジタル情報に変換する。そして、A/D変換器43は、変換したデジタル情報をマイクロコンピュータ44に出力する。
【0101】
マイクロコンピュータ44は、A/D変換器43から出力された電圧値のデジタル情報を取得する。マイクロコンピュータ44は、アナログスイッチ901〜903を切り替えて、第2の抵抗32及び第3の抵抗33について同様に、電圧値のデジタル情報を取得する。
【0102】
次に、マイクロコンピュータ44は、湿度センサ20と3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)とによって抵抗分圧された電圧のデジタル情報のそれぞれに重み付け係数を乗算して、総和するデジタル演算処理を行う。このデジタル演算処理は、式(1)として示される演算処理が式に従って行われる。
このように、物理量検出回路1bは、3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)によって抵抗分圧された電圧値をデジタル情報に変換して、重み付け総和する処理をデジタル演算処理によって実行する。このデジタル演算処理によって得られた電圧は、演算処理部4bによって湿度の変化に対して直線的に変化する電圧に変換される。
【0103】
以上のように、物理量検出回路1bは、湿度(物理量)の変化に対して指数関数的に抵抗値が変化する湿度センサ20(物理量サンサ)と、3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)と、演算処理部4bと、スイッチ部90とを備える。3個の抵抗31〜33は、湿度センサ20とそれぞれ直列に接続される。また、スイッチ部90は、3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)のいずれか1つを順に切り替えて、湿度センサ20と切り替えられた抵抗とによって抵抗分圧された電圧値を順に出力させる。また、演算処理部4bは、湿度センサ20と3個の抵抗31〜33のいずれかとによってそれぞれ抵抗分圧された電圧値をA/D変換器43によってデジタル情報に変換する。演算処理部4bは、デジタル情報に変換された電圧値を重み付け総和して、湿度の変化に対して直線的に変化するような電圧に変換する。
【0104】
また、上述の3個の抵抗には、湿度の検出範囲における下限値において、湿度センサ20の抵抗値とほぼ等しい抵抗値を示す第1の抵抗31と、湿度の検出範囲における上限値において、湿度センサ20の抵抗値とほぼ等しい抵抗値を示す第2の抵抗32とが含まれる。また、上述の3個の抵抗には、湿度の検出範囲における中央値において、湿度センサ20の抵抗値とほぼ等しい抵抗値を示す第3の抵抗33が含まれる。
【0105】
これにより、物理量検出回路1bは、湿度の検出範囲における下限値近傍の検出感度、及び下限値近傍の検出感度を向上することができる。また、抵抗分圧された電圧値を重み付け総和することによって、物理量検出回路1bは、湿度センサ20を抵抗分圧した電圧値を湿度の変化に対して直線的に変化する電圧に変換することができる。したがって、物理量検出回路1bは、第1及ぶ第2の実施形態と同様に、湿度(物理量)の変化に対する電圧変化の直線性を維持しつつ、湿度(物理量)の検出範囲全体において湿度(物理量)の検出感度を向上することができる。
【0106】
さらに、物理量検出回路1bは、スイッチ部90によって、3個の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)のいずれか1つを切り替えて使用する。これにより、湿度センサを1つに低減することができる。また、物理量検出回路1bは、1つの湿度センサを使用するため、複数の湿度センサ間における抵抗値のばらつきを排除することができる。そのため、物理量検出回路1bは、第1の実施形態と比べて検出精度を、第2の実施形態と同様に向上することができる。
【0107】
また、物理量検出回路1bでは、マイクロコンピュータ44が、デジタル演算処理によって、式(1)に示す演算処理を実行する。そのため、オペアンプを使用したアナログ演算処理に比べて、精度よく重み付け総和した結果を得ることができる。したがって、物理量検出回路1bは、第1及び第2の実施形態に比べて、精度よく湿度を検出することができる。
【0108】
なお、本発明の実施形態によれば、物理量検出回路1(又は1a)は、湿度(物理量)の変化に対して指数関数的に抵抗値(素子値)が変化する湿度センサ(物理量センサ)21〜23(又は20)と、湿度センサ21〜23(又は20)とそれぞれ直列に接続される複数の抵抗(素子)(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)と、湿度センサ21〜23(又は20)と複数の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)いずれかとによってそれぞれ抵抗分圧(素子分圧)された電圧値を重み付け総和して、湿度の変化に対して直線的に変化するように変換する演算処理部4(又は4a)とを備える。また、複数の抵抗には、湿度の検出範囲における下限値において、湿度センサ21(又は20)の抵抗値と等しい抵抗値を示す第1の抵抗31(第1の素子)と、湿度の検出範囲における上限値において、湿度センサ22(又は20)の抵抗値と等しい抵抗値を示す第2の抵抗32(第2の素子)とが含まれる。
これにより、物理量検出回路1(又は1a)は、湿度(物理量)の変化に対する電圧変化の直線性を維持しつつ、湿度(物理量)の検出範囲全体において湿度(物理量)の検出感度を向上することができる。
【0109】
また、複数の抵抗(素子)(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)の数は、奇数個である。また、複数の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)には、第1の抵抗31(第1の素子)の抵抗値(素子値)より大きく、第2の抵抗32(第2の素子)の抵抗値より小さい抵抗値を示す第3の抵抗33が含まれる。また、第3の抵抗33(第3の素子)の抵抗値は、湿度(物理量)の検出範囲における中央値において、湿度センサ21〜23(物理量センサ)の抵抗値と等しい。
これにより、物理量検出回路1は、湿度の検出範囲における中央領域の検出感度を向上することができる。したがって、物理量検出回路1は、湿度(物理量)の変化に対する電圧変化の直線性を維持しつつ、湿度(物理量)の検出範囲全体において湿度(物理量)の検出感度をさらに向上することができる。
【0110】
また、物理量検出回路1が備えている湿度センサ21〜23(物理量センサ)は、複数であり、複数の抵抗(素子)(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)にそれぞれ直列に接続される。
これにより、複数の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)によってそれぞれ抵抗分圧(素子分圧)された電圧値を同期させて、一度に検出することができる。
【0111】
また、物理量検出回路1a(又は1b)は、複数の抵抗(素子)(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)のいずれか1つを順に切り替えて、湿度センサ20と切り替えられた抵抗とによって抵抗分圧(素子分圧)された電圧値を順に出力させるスイッチ部91〜93(又は)90を備える。
これにより、湿度センサを1つに低減することができる。また、物理量検出回路1aは、1つの湿度センサを使用するため、複数の湿度センサ間における抵抗値(素子値)のばらつきを排除することができる。そのため、物理量検出回路1aは、検出精度を向上することができる。
【0112】
また、演算処理部4(又は4a)は、湿度センサ21〜23(又は20)と複数の抵抗(素子)(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)のいずれかとによってそれぞれ抵抗分圧(素子分圧)された電圧値に重み付け係数を乗算して、乗算結果を出力する増幅整流部41(又は41a)(第1の演算増幅回路部)と、増幅整流部41(又は41a)における複数の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)に対応するそれぞれの出力の総和を演算する加算回路部42(又は42a)(第2の演算増幅回路部)とを備える。
これにより、物理量検出回路1(まは、負帰還近似型やマイクロコンピュータを用いた多項式近似型によって近似する等を行うことなく、湿度センサ21〜23を抵抗分圧した電圧値を湿度の変化に対して直線的に変化する電圧に容易に変換することができる。したがって、物理量検出回路1は、簡易な構成の回路によって、湿度(物理量)の変化に対する電圧変化の直線性を維持しつつ、湿度(物理量)の検出範囲全体において湿度(物理量)の検出感度を向上することができる。
【0113】
また、演算処理部4bは、複数の抵抗(素子)(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)によって抵抗分圧(素子分圧)された電圧値を検出してデジタル情報に変換するA/D変換器43(A/D変換部)と、A/D変換器43によって変換されたデジタル情報のそれぞれに重み付け係数を乗算して、総和するデジタル演算処理を行うマイクロコンピュータ44(デジタル演算部)とを備える。
これにより、物理量検出回路1bは、オペアンプを使用したアナログ演算処理に比べて、精度よく重み付け総和した結果を得ることができる。したがって、物理量検出回路1bは、第1及び第2の実施形態に比べて、精度よく湿度を検出することができる。
【0114】
また、上述の複数の抵抗は、3個の抵抗である。
これにより、湿度(物理量)の検出範囲において、下限値近傍、上限値近傍、及び中央近傍の領域の検出感度を、回路規模の増大を抑えつつ、向上させることができる。
【0115】
また、湿度(物理量)の変化に対して指数関数的に抵抗値(素子値)が変化する湿度センサ(物理量センサ)21〜23(又は20)と、湿度センサ21〜23(又は20)とそれぞれ直列に接続される複数の抵抗(素子)(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)とを用いる物理量検出方法は、湿度センサ21〜23(又は20)と複数の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)いずれかとによってそれぞれ抵抗分圧(素子分圧)された電圧値を重み付け総和して、湿度(物理量)の変化に対して直線的に変化するように変換する演算処理手順を含む。また、複数の抵抗には、湿度(物理量)の検出範囲における下限値において、湿度センサ21(又は20)の抵抗値と等しい抵抗値を示す第1の抵抗31(第1の素子)と、湿度(物理量)の検出範囲における上限値において、湿度センサ22(又は20)の抵抗値と等しい抵抗値を示す第2の抵抗32(第2の素子)とが含まれる。
これにより、湿度(物理量)の変化に対する電圧変化の直線性を維持しつつ、湿度(物理量)の検出範囲全体において湿度(物理量)の検出感度を向上することができる。
【0116】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。上記の各実施形態において、分圧に用いる抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)が3個である形態を説明したが、2つ以上のn個でもよい。この場合、式(1)は、式(4)に示すように、n項に拡張することができる。
【0117】
【数4】

【0118】
式(4)において、aは、式(1)及び式(2)における(a×d)、(b×d)、及び(c×d)が、それぞれa、a、及びaに対応する。また、分圧に用いる抵抗を2つ以上のn個にする場合、その抵抗値は、湿度の検出範囲内で検出感度が均等になるように、設定されてもよいし、特定の湿度範囲における検出感度をよくするように、非均等に設定されてもよい。
【0119】
また、上記の各実施形態において、物理量が湿度である形態を説明したが、物理量の変化に対して指数関数的に抵抗値が変化する物理量センサであれば、他の物理量に適用してもよい。湿度センサの場合、交流電圧を印加する必要があるが、直流電圧を印加できる物理センサである場合には、交流電源7を直流電源に置き換えてもよい。この場合、コンデンサ5及び抵抗6は不要になる。
【0120】
また、上記の各実施形態において、抵抗変化型湿度センサを使用する形態を説明したが、他の回路素子値変換型の物理量センサを使用する形態でもよい。例えば、回路素子値(素子値)には、静電容量やインダクタンスを用いる形態でもよい。例えば、静電容量変換型の湿度センサを使用する場合には、素子としてコンデンサを用いた容量分圧(素子分圧)を用いる形態となる。
【0121】
また、上記の各実施形態において、第1の抵抗31は、湿度の検出範囲における下限値に近く、湿度の検出範囲内の値において、検出感度が最大になる抵抗値に設定されてもよい。これは、湿度の検出範囲における下限値に合わせて、第1の抵抗31を設定した場合に、実施可能な値に比べて抵抗値が大きすぎて、実現できないことがあるためである。したがって、実施可能な抵抗値を考慮して、第1の抵抗31の抵抗値は、湿度の検出範囲内の下限値に近い値において、検出感度が最大になるように設定されてもよい。
また、第2の抵抗32は、湿度の検出範囲における上限値に近く、湿度の検出範囲内の値において、検出感度が最大になる抵抗値に設定されてもよい。これは、湿度の検出範囲における上限値に合わせて、第2の抵抗32を設定した場合、実施可能な値に比べて抵抗値が小さすぎて、実現できないことがあるためである。また、抵抗値が小さいほど、消費電力が大きくなる。したがって、実施可能な抵抗値を考慮して、第2の抵抗32の抵抗値は、湿度の検出範囲内の上限値に近い値において、検出感度が最大になるように設定されてもよい。
【0122】
また、上記第2の実施形態において、増幅整流部41aは、オペアンプ及びダイオードを3つ備える形態を説明したが、オペアンプ及びダイオードを1つにして、スイッチによって切り替えて使用する形態でもよい。ただし、VO_4800k>Vo_6k>Vo_150kの順に電圧が低下するため、オペアンプ及びダイオードを1つにした場合、検出精度が低下することがある。なお、オペアンプ及びダイオードを3つ備える形態では、各オペアンプの増幅率を変更できるため、VO_4800k<Vo_6k<Vo_150kの順に大きくすることができる。そのため、オペアンプ及びダイオードを3つ備える形態では、検出精度の低下を防止することができる。
【0123】
また、上記の第2及び第3の実施形態において、スイッチ部90〜93には、MOSスイッチ又はアナログスイッチを用いる形態を説明したが、フォトカプラを用いる形態でもよい。
また、上記の第3の実施形態において、複数の抵抗(第1の抵抗31、第2の抵抗32、第3の抵抗33)及びスイッチ部90は、乗算型D/A(デジタル/アナログ)変換器に置き換える形態でもよい。また、重み付け加算処理にマイクロコンピュータ44を用いる形態を説明したが、CPUを備えない専用のハードウェアによって実現する形態でもよい。例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やCPLD(Complex Programmable Logic Device)を用いて実現してもよい。また、演算処理部4bは、上記の第1の実施形態のような複数の湿度センサを備える形態に適用してもよい。
【符号の説明】
【0124】
1、1a、1b 物理量検出回路
4、4a、4b 演算処理部
5、56、66、76、425 コンデンサ
6、43、44、45、52、53、54、62、63、64、72、73、74、81、82、83、422、423、424 抵抗
7 交流電源
8 直流電源
20、21、22、23 湿度センサ
31 第1の抵抗
32 第2の抵抗
33 第3の抵抗
41、41a 増幅整流部
42、42a 加算回路部
43 A/D変換器
44 マイクロコンピュータ
51、61、71、421 オペアンプ
55、65、75 ダイオード
90、91、92、93 スイッチ部
901、902、903 アナログスイッチ
911、913、921、923、931、933 抵抗
912、914、922、924、932、934 MOSスイッチ
915、925、935 コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量の変化に対して指数関数的に素子値が変化する物理量センサと、
前記物理量センサとそれぞれ直列に接続され、異なる素子値を示す複数の素子と、
前記物理量センサと前記複数の素子のいずれかとによってそれぞれ素子分圧された電圧値を重み付け総和して、前記物理量の変化に対して直線的に変化するように変換する演算処理部と
を備え、
前記複数の素子には、
前記物理量の検出範囲における下限値において、前記物理量センサの素子値と等しい素子値を示す第1の素子と、
前記物理量の検出範囲における上限値において、前記物理量センサの素子値と等しい素子値を示す第2の素子と
が含まれる
ことを特徴とする物理量検出回路。
【請求項2】
前記複数の素子の数は、奇数個である
ことを特徴とする請求項1に記載の物理量検出回路。
【請求項3】
前記複数の素子には、
前記第1の素子の素子値より大きく、前記第2の素子の素子値より小さい素子値を示す第3の素子が含まれる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の物理量検出回路。
【請求項4】
前記第3の素子の素子値は、
前記物理量の検出範囲における中央値において、前記物理量センサの素子値と等しい
ことを特徴とする請求項3に記載の物理量検出回路。
【請求項5】
前記物理量検出回路が備えている前記物理量センサは、複数であり、前記複数の素子にそれぞれ直列に接続される
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の物理量検出回路。
【請求項6】
前記物理量検出回路は、
前記複数の素子のいずれか1つを順に切り替えて、前記物理量センサと切り替えられた該素子とによって素子分圧された電圧値を順に出力させるスイッチ部
を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の物理量検出回路。
【請求項7】
前記演算処理部は、
前記物理量センサと前記複数の素子のいずれかとによってそれぞれ素子分圧された電圧値に重み付け係数を乗算して、乗算結果を出力する第1の演算増幅回路部と、
前記第1の演算増幅回路部における前記複数の素子に対応するそれぞれの出力の総和を演算する第2の演算増幅回路部と
を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の物理量検出回路。
【請求項8】
前記演算処理部は、
前記電圧値を検出してデジタル情報に変換するA/D変換部と、
前記A/D変換部によって変換されたデジタル情報のそれぞれに重み付け係数を乗算して、総和するデジタル演算処理を行うデジタル演算部と
を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の物理量検出回路。
【請求項9】
前記複数の素子は、3個の素子である
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の物理量検出回路。
【請求項10】
前記素子は、抵抗であり、
前記物理量センサは、抵抗変化型湿度センサである
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の物理量検出回路。
【請求項11】
物理量の変化に対して指数関数的に素子値が変化する物理量センサと、前記物理量センサとそれぞれ直列に接続され、異なる素子値を示す複数の素子とを用いる物理量検出方法であって、
前記複数の素子には、
前記物理量の検出範囲における下限値において、前記物理量センサの素子値と等しい素子値を示す第1の素子と、
前記物理量の検出範囲における上限値において、前記物理量センサの素子値と等しい素子値を示す第2の素子と
が含まれ、
前記物理量センサと前記複数の素子のいずれかとによってそれぞれ素子分圧された電圧値を重み付け総和して、前記物理量の変化に対して直線的に変化するように変換する演算処理手順を含むことを特徴とする物理量検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−93244(P2012−93244A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241055(P2010−241055)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 電気学会研究会資料 電子回路研究会 ECT−10−052〜072、2010年6月10日発行、(2010年6月10日発表)
【出願人】(506016680)
【Fターム(参考)】