説明

特に重量測定機器用の調整可能な平行案内機構

平行案内機構が、特にはかり皿を担持する機能を果たし、2つの本質的に水平な平行案内部によって、特にはかりに永久的に装着された固定平行脚部に連結された垂直に可動な平行脚部を有し、弾性の湾曲ピボットが平行案内部の端部に形成される。好ましくは、少なくとも1つの調整領域が切り口によって形成され、切り口が、少なくとも1つの適切な位置で平行脚部の材料強度を低下させる調整領域を形成し、したがって平行案内機構のコーナ荷重誤差が修正される様式で調整力を加えることによって塑性変形できる変形領域を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に重量測定機器用の平行案内機構に関し、その機構は、固定平行脚部および可動平行脚部、ならびに上部平行案内部および下部平行案内部を有する。可動平行脚部によって支持され、垂直に案内されるはかり皿が、はかり皿に力を働かせるはかり荷重を受け、力が測定トランスデューサに直接的に伝達され、または力を低減するレバー機構によって伝達される。平行案内機構、力伝達システム、および測定トランスデューサは、本質的に、重量測定機器のはかりセルを構成する。既知の最新技術には、たとえば歪みゲージを有するはかりセル、振動ストリング(oscillating strings)を有するはかりセル、または電磁力補償(EMFC)に基づいたはかりセルなどのはかりセルの様々な機能上の原理が含まれる。
【背景技術】
【0002】
EMFCはかりセルでは、荷重の重量は、直接的に、あるいは1つまたは複数の力伝達レバーによって、電気機械式の測定トランスデューサに伝達され、その測定トランスデューサは測定荷重に対応する信号を送る。信号は、はかり機器の電子的な部分によってさらに処理され、その結果がディスプレイに表示される。
【0003】
歪みトランスデューサを有するはかりセルは、歪みゲージを備える変形可能な本体を含む。はかりセルに荷重をかけることにより、変形可能な本体の弾性変形が生じる。多くの場合、変形可能な本体は、平行四辺形形状の測定要素として、具体的には、特別に設計された曲げ領域を有する平行案内機構として構成され、それによって、画定された変形領域が形成され、そこに歪みゲージが配置される。荷重が可動平行脚部にかけられた結果、歪みゲージが引張りまたは圧縮を受け、それによって、可動平行脚部の無荷重状態と比較して歪みゲージの電気抵抗の変化が生じ、抵抗の変化は、加えられた荷重の測定値を表す。
【0004】
ストリング振動子はかりセルでは、振動ストリングトランスデューサが電磁測定トランスデューサの代わりに使用されていることを除いて、機械設計構造がEMFCはかりセルおよび歪みゲージはかりセルと大部分が類似している。荷重をかけた結果、振動ストリングの引張りが増加し、周波数の変化が、加えられた荷重の測定値を表す。
【0005】
前述の説明のはかりセルは、平行案内式のはかり皿を有する全ての重量測定機器に共通した本質的な特徴、すなわち、はかり皿から測定トランスデューサに伝達された重量の力が、一般に、はかり荷重がはかり皿の中心にかけられたか、それともはかり皿の周縁部に向かって中心から外れているかにわずかに依存するという特徴を共有する。これは、はかり荷重がはかり皿のどこにかけられたかに応じて、はかりが同一のはかり荷重に対して異なる重量を示すという、望ましくない結果をもたらす可能性がある。はかり皿にはかり荷重が偏心してかけられることによって生じるこれらの偏向は、一般にコーナ荷重誤差(corner load error)と呼ばれる。
【0006】
2つの平行な、本質的に水平の平行案内部によってはかり皿キャリアが平行移動するのを抑制する、平行四辺形形状の測定要素または平行案内機構では、主に、平行案内部が、理想的な完全に平行な整列からわずかに偏向することによりコーナ荷重誤差が生じる。コーナ荷重誤差の相対的な大きさ、すなわち、重量の誤差と使用される試験用重りの量との間の比率は、誤差が引き起こされる相対的な幾何学的偏向にほぼ一致する。はかりのコーナ荷重テストで試験用重りがはかり皿で移動した方向に従って、平行案内機構の縦方向でのコーナ荷重誤差と横断方向でのコーナ荷重誤差との間の区別がなされる。縦方向でのコーナ荷重誤差は、平行案内部が固定平行脚部に連結される端部における平行案内部の垂直距離が、平行案内部が可動平行脚部に連結される反対側の端部におけるものと正確に同じでない場合に生じる。一方で、横断方向でのコーナ荷重誤差は、2つの平行案内部が互いにねじられた場合、すなわち平行案内部の間の距離が平行案内部の幅にわたって変わる状態で生じる。
【0007】
たとえば、EP 0 990 880 A2、特開2002−365125、およびWO 2005/031286での、現在の最新技術では、コーナ荷重誤差の調整用のデバイスを含むはかりセルの平行案内機構が開示される。この調整機構は、固定平行脚部が、平行案内部の固定領域の間に配置され、平行案内機構の縦方向に垂直な傾斜軸を画定するように構成された少なくとも1つの曲げ領域を有するという発想に従う。調整ネジによって固定領域を互いに傾斜させることによって、固定平行脚部に連結された上部平行案内部の端部は、持ち上げられるだけでなく、下ろすことができる。これにより、縦方向でのコーナ荷重誤差を修正することができるようになる。調整機構の設計に応じて、固定領域の旋回軸は、横断方向の傾斜において調整でき、それによって、はかりセルの横断方向でのコーナ荷重誤差を調整することができる。コーナ荷重誤差を修正するために、すなわち平行案内部をそれらが互いに平行になるように整列させるために、固定領域は互いに対して微量だけ傾斜される必要がある。したがって、曲げ領域は弾性変形しか受けない。これは、また、曲げ領域が動作荷重の下で過大な応力を受けず、したがって塑性変形を受けないという理由で、重要なことである。曲げ領域の塑性変形により、平行案内部が永久に平行から外れた設定になり、はかり信号に有害な影響を有することになる。さらに、弾性変形から生じる曲げ応力、したがって曲げ領域の復元力は、調整ネジを挟み、それによって固定するために、しばしば使用される。
【0008】
したがって、調整ネジを有する既知の最新技術の調整デバイスの全ては、共通して、調整された位置が調整ネジによって維持され、したがって曲げ領域の材料が永久的な応力状態にある。したがって、長い期間にわたって、一方またはもう一方の方向に弾性的に応力で偏った材料領域の弛緩により、経年変化が関連する応力が、この種のコーナ負荷調整デバイスで生じるおそれがある可能性がある。固定平行脚部および隣接するネジが異なる熱膨張係数を有する場合に、可逆的な短期の変化が、温度の変動によって生じる可能性がある。
【0009】
直前に説明した問題に対する対応策として、調整ネジを必要としない別の調整の可能性が最新技術の参考文献に開示されている。米国特許第6,232,567号に開示される、はかり皿が一体構造に構成された平行案内機構によって案内されたはかりセルでは、平行案内部の平行度の逸脱、したがってそれらに関連するコーナ荷重誤差が、研磨またはやすりがけによって平行案内部の曲げ領域から材料を除去することによって修正できる。上面から材料を除去することにより、湾曲ピボットの有効な回転中心が、下方向に偏り、曲げ領域の下側から材料を除去することにより、有効な回転中心が、上方向に偏る。
【0010】
湾曲ピボットから材料を除去することによりコーナ荷重誤差を調整することは、精密なはかりおよび分析的なはかり、すなわち小さなはかり荷重および高い分解能のために設計され、したがって薄型の湾曲ピボットを有するはかりセルで問題を生じる。薄い湾曲ピボットから材料を除去するために研磨またはやすりがけをするには、繊細な手仕事が求められる。したがって、この操作は大部分が手作業により行われ、それゆえ費用集約的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
現在既知である最新技術の平行案内機構でのコーナ荷重調整のこうした満足のいかない側面を考慮して、本発明は、前述の欠点を回避し、好ましい費用で簡単な様式で実現できる平行案内機構でのコーナ荷重誤差の調整手段を提供する目的を有する。
【0012】
この課題は、請求項1による案内部の平行度を設定する調整可能な手段を有する平行案内機構によって解決され、また、請求項15による方法によっても解決され、それによって本発明による平行案内機構のコーナ荷重の精度を調整することができる。本発明による平行案内機構のさらに発展した有利な実施形態が、残りの特許請求の範囲に説明される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
2つの平行案内部によって固定平行脚部に連結され、したがって、案内された垂直の移動に抑制される可動平行脚部を有する平行案内機構であって、弾性の湾曲ピボットまたは弾性の平行案内部区画が平行案内部と平行脚部の間の連結領域内に形成され、または配置される平行案内機構は、固定平行脚部および/または可動平行脚部での少なくとも1つの切り口によって形成される少なくとも1つの調整領域を含み、調整領域を形成する変形の領域は、調整力または調整トルクを加えることにより、制御された様式で塑性変形できる。少なくとも1つの変形領域の塑性変形の結果、互いに対して、平行案内部の位置で制御された永久的な変化が生成され、それによって平行案内機構のコーナ荷重誤差が修正される。また、塑性変形により、少なくとも可動平行脚部に加えられた荷重がない場合、少なくとも1つの変形領域が調整された状態で無応力である。
【0014】
可動平行脚部の無荷重状態は、当然ではあるが変形領域に伝播する可能性のある、引張り力、圧縮力、または曲げモーメントを平行案内機構が受けないように、可動平行脚部自体の質量が荷重のはかりに含まれていることを意味する。無応力状態は、調整の後、後者が塑性変形によって達成されるので、変形領域には材料応力がないことを意味する。
【0015】
平行案内機構での調整領域が塑性変形によって調整できるという前述の説明による本発明の発想は、上述の目的に適合する。幅広い実験により、変形領域の塑性変形に続き、変形した材料の領域に存在する材料応力の即時の弛緩があり、したがって後者は、その形状を保つことにおいて強い、永久的な安定性を有することが示された。
【0016】
材料内の応力の速い弛緩は、平行案内機構の動作挙動に非常に良い影響を有する。平行案内機構の弾性の湾曲ピボットに作用する内部の材料応力の存在は、湾曲部の弾性的な挙動に悪い影響を有する可能性があり、したがってはかりの結果に影響を与える。内部応力の速い弛緩により、調整は長い期間にわたる経年変化を受けない。調整ネジが使用されないので、機構本体およびネジのそれぞれの熱膨張係数の間の差によって生じる問題もない。
【0017】
当然ではあるが、平行案内機構が調整された後、すなわち変形領域が変更され、変形領域での材料応力が弛緩した後に、変形領域が固定手段により固定できる。したがって、平行案内機構は、本発明による平行案内機構の動作中に変形領域の弾性変形またはさらなる塑性変形が生じる可能性があるという危険を伴わずに、非常に強い力に曝される可能性がある。したがって、この実施形態は、少なくとも1つの変形領域での弾性応力が、調整ネジによって維持される、既知の最新技術の解決策から、重要な側面で同様に区別される。
【0018】
この説明の文脈では、「上方の」、「下方の」、「水平の」、「垂直の」などの表現は常に、平行案内機構がその通常の動作状態の向き、言い換えれば重力の方向にあることを指す。さらに、平行に面するブロックの大型の垂直面領域は、側方面と呼ばれ、2つの側方面から等距離の区画平面は、垂直の縦方向の正中面と呼ばれ、上部水平面および下部水平面は上面および底面と呼ばれ、可動平行脚部での狭い垂直面は、前端面と呼ばれ、固定平行脚部での狭い垂直面は、後端面と呼ばれる。
【0019】
変形領域は、切り口によって形成されるが、これは、必ずしも変形領域が固定平行脚部および/または可動平行脚部から一体構造に形成される必要はないことを意味する。変形領域ならびに平行脚部は、複数の個別の構成要素から組み立てることもできる。しかし、平行案内機構での温度に関連する応力に関する上記の問題を回避するために、平行脚部は、好ましくは一部品から作成され、その場合少なくとも1つの変形領域が切り口によって形成され、それはフライス削り、鋸引き、平削り、穴あけ、旋削、切断、放電加工、またはその他の作業方法によって生成される。
【0020】
したがって、調整領域を形成する切り口は、少なくとも1つの適切な位置で固定平行脚部および/または可動平行脚部の材料強度を低減する。適切な位置は、たとえば上部平行案内部と下部平行案内部の間に少なくとも1つの切り口を配置することによって、平行案内部が互いに対して調整できる位置である。
【0021】
平行脚部は、上部平行案内部および下部平行案内部が互いに固定された関係で、すなわち互いに固定された距離で保持されるように、それらのそれぞれの端部を連結する役割を果たす全ての部分を含む。
【0022】
本発明の第1の実施形態では、少なくとも1つの変形領域が、材料を水平に横切る切り口によって形成される。力またはトルクを加えることによって、調整領域には、平行案内機構の横断方向に向けられた変形領域によって画定される傾斜軸の周りで傾斜を付けることができる。傾斜させた結果、調整領域に連結する平行案内部のうちの1つの端部は、垂直方向に永久的な偏りを受け、それによって平行案内機構の縦方向でのコーナ荷重誤差を本質的に修正することができる。
【0023】
荷重が可動平行脚部に加えられた場合、平行案内部は、引張り力および圧縮力を受ける。したがって中立軸とも呼ばれる、変形領域の傾斜軸は、好ましくは、垂直方向に偏る湾曲ピボットと同じ水平面に配置される。この有利な配置によって、変形領域の反作用の曲げモーメントは、引張り力がおおよそ中立軸を通過するとき、大部分が無視できる程度に回避され、または低減される。したがって、コーナ荷重調整の精度は、荷重にかかわらず安定して保つことができる。
【0024】
第1の実施形態の好ましい別の発展したバージョンでは、調整領域を、その調整領域に連結する平行案内部の垂直に調整可能な端部で別の切り口が横切り、別の切り口は可動平行脚部または固定平行脚部の縦方向の垂直の正中面に延出し、弾性の湾曲ピボットまで到達する。しかし、湾曲ピボット自体を別の切り口が横切ることはない。別の切り口の結果、2つの個別の調整領域が、
一方で、2つの個別の、隣接する調整領域に平行の力またはトルクを加え、したがってそれらに平行の傾斜調整を与えることによって、弾性の湾曲ピボットの永久的な平行な垂直の偏りを生成することができ、それによって平行案内機構の縦方向でのコーナ荷重誤差を修正することができ、
もう一方で、2つの個別の、隣接する調整領域に反対の平行の力またはトルクを加え、したがってそれらに反対の傾斜調整を与えることによって、平行案内部の可動端部に永久的なねじりを与えることができ、それによって平行案内機構の横断方向でのコーナ荷重誤差を修正することができるように、個別の変形領域を有して互いに隣接して形成される。
【0025】
この実施形態は、特に弾性の湾曲ピボットの領域で歪みゲージを担持する平行四辺形の形状の測定デバイスに適している。
【0026】
一般的に言って、2つの調整領域の平行の調整、すなわち等しい大きさおよび方向の調整は、主に、平行案内機構の縦方向でのコーナ荷重誤差に影響するが、2つの調整領域の反平行の調整、すなわち等しい大きさの、しかし反対方向の向きの調整は、主に、平行案内機構の横断方向でのコーナ荷重誤差に影響すると言うことができる。しかし、2つの方向の間にある程度の量の交差がある可能性があり、それによって平行の調整も、横断方向のコーナ荷重誤差にわずかに影響し、反平行の調整も、縦方向のコーナ荷重誤差にわずかに影響する可能性がある。
【0027】
高分解能の重量測定機器用の平行案内機構での好ましい特徴として、平行案内部のねじりをさらに容易にするために、調整領域に連結する平行案内部の垂直に調整可能な端部にある弾性の湾曲ピボットは、平行案内部まで別の切り口を連続することによって、分割され、それによって弾性の湾曲ピボットが調整領域と同様に両断される。しかし、弾性の湾曲ピボットは、穿孔によって弾性の湾曲ピボットを2つに分離することもでき、別の切り口がこの穿孔に連結できる。
【0028】
本発明による平行案内機構の第2の実施形態では、力またはトルクを加えることによって、調整領域の傾斜調整を、平行案内機構の横断方向に、第1の変形領域によって画定された傾斜軸に対して行うことができるように、第1の変形領域が水平の切り口によって第1の水平面に形成される。
【0029】
さらに、力またはトルクを加えることによって、調整領域の傾斜調整を、平行案内機構の縦方向に、第2の変形領域によって画定された傾斜軸に対して行うことができるように、第1の変形領域の向きに垂直な第2の変形領域が水平の切り口によって第2の水平面に形成される。
【0030】
これは好ましい配置であるが、変形および切り口の傾斜軸または領域は、必ずしも水平面に配置される必要はない。変形領域および切り口を含む平面は、理論上、垂直傾斜軸の場合は平行案内部がもはや互いに対して調整できないので、平面は垂直方向に平行に向けることができないことを除いて、任意に選択された角度で傾斜することもできる。
【0031】
本発明による平行案内機構の第3の実施形態では、少なくとも1つの変形領域が、固定平行脚部および/または可動平行脚部の周縁部の周りの凹部によって形成される。変形領域の断面形状に関する最適の形状は、実験によって決定でき、平行案内機構の構成、および変形領域で使用される材料の塑性変形挙動に依存する。可能な手法は、円形断面に基づいたものであることができる。
【0032】
ボア穴が変形領域と共に平行脚部内に配置されると、後者は円形リングの形の断面を有することもできる。ボア穴が、断面の領域の重心から偏った場合、対応する傾斜軸に対する領域の慣性モーメント、したがってこれらの傾斜軸に対する変形領域の曲げ挙動を変えることができる。
【0033】
少なくとも1つの調整領域が、固定平行脚部および/または可動平行脚部の上部分を形成することができ、それによって少なくとも1つの調整領域に連結する上部平行案内部の端部が調整可能になる。
【0034】
しかし、少なくとも1つの調整領域が、固定平行脚部および/または可動平行脚部の下部分にも形成でき、それによって少なくとも1つの調整領域に連結する下部平行案内部の端部が調整可能になる。
【0035】
それぞれの傾斜軸が互いに理想的に垂直に向けられて、上部平行案内部が、固定平行脚部に形成される調整領域によって調整可能であり、下部平行案内部が、可動平行脚部に形成される調整領域によって調整可能であるように、2つの概念を結び付けることが同様に可能である。
【0036】
さらに、平行案内機構は、必ずしも矩形のブロックの形に構成される必要がない。固定平行脚部が、少なくとも水平面で可動平行脚部を囲む配列も可能である。この概念の特別な実施形態では、固定平行脚部が管状の形状に構成され、可動平行脚部が管状の形状の平行脚部の内側での直線状に案内された移動に配列され、抑制される。この種の平行案内機構での平行案内部は、平行案内区画がその中に形成される、理想的に平行案内するダイアフラムスプリングである。
【0037】
少なくとも1つの調整領域が、好ましくは、調整力または調整トルクを生成する調整工具、好ましくはレバーに係合するための少なくとも1つの把持位置を設けられる。
【0038】
少なくとも1つの把持位置を単純にボア穴として構成でき、それは調整工具のピンによって係合できる。
【0039】
平行案内機構および別の力を伝達する可能性のある要素が、好ましくは材料のブロックから形成された一部品から作製される。
【0040】
平行案内機構および調整領域を形成する切り口は、たとえば、材料のブロックを通って切断される狭い直線状の仕切りによって生成できる。
【0041】
上述した実施形態の以下の変形は、それぞれが塑性変形によって調整するように設計された変形領域を有する少なくとも1つの調整領域を有するので、本発明の同様に考慮された部分である。
【0042】
原理的には、水平の向きの傾斜軸が、ほとんどの場合好ましいと想定することができる。しかし、水平面に対して傾斜を付けて配置された傾斜軸によって調整プロセスを単純化できる可能性があり、またはいくつかのタイプの平行案内機構が、その設計に基づいた理由で、角度を付けて設定された傾斜軸を必要とすると考えることができる。
【0043】
さらに、1つまたは複数の調整領域、または変形領域を、各平行脚部に形成することができる。また、平行脚部は、必ずしも一体に構成される必要はなく、たとえば三角形の平行案内部を有する平行案内機構でしばしばそうであるように、2つの部分に垂直に分割できる。
【0044】
変形領域でその塑性変形調整の後に、さらなる弾性変形および/または塑性変形が生じるのを防止するために、少なくとも1つの変形領域が固定化され、少なくとも1つの固定手段を取り付けられる。
【0045】
以下の内容は、切り口によって形成された少なくとも1つの調整領域を有し、少なくとも1つの塑性変形可能な変形領域を含む、平行案内機構のコーナ荷重の精度を設定する可能性のある方法の説明であり、互いに対して、平行案内部の位置の制御された永久的な変化が、必要な場合、調整力または調整トルクを加えることによって遂行および調整できる。
【0046】
互いに分離した2つの調整領域を有する平行案内機構のコーナ荷重精度を設定するための方法は、以下のプロセスのステップを有することができる。
【0047】
最初に、完全に組み立てられ動作的なはかりセルが、電子はかりおよび表示器ユニットに連結される。たとえば直線性校正(linearity calibration)およびスパン校正(span calibration)などのその他の設定も含むことができる規定の調整手順の一部分として、たとえば平行案内部の長さとほぼ同じ直径の平らで丸みの付いたはかり皿などの荷重受けに試験用重りが配置され、皿の端部における2つの正反対の点の間の平行案内機構の縦方向に移動される。表示器に表示された重量の読み取り値は、両方の位置に関して取得され、記録される。調整されていない平行案内機構では、通常、2つの位置に関して表示された重量が、許容限界を超える量だけ互いに異なることがわかる。表示された量の重量の間の差を一様にするために、すなわち、縦方向のコーナ荷重誤差を修正するために、平行案内部の平行度は、たとえば調整工具に2つの調整領域で係合し、平行な変化、すなわち等しい程度および等しい方向の塑性変形を前述の狭い材料領域に与えることによって、縦方向に調整される必要があり、平行な変化の大きさおよび方向的な向きが、それぞれ縦方向のコーナ荷重誤差の大きさ、および誤差が正か負かに依存し、調整の大きさおよび方向が、計算および/または経験に基づいて確立された調整手法で記録される。調整がなされた後に、縦方向のコーナ荷重誤差が再び決定され、必要な場合縦方向のコーナ荷重誤差が規定の許容誤差内になるまで再調整が前述の説明に従ってなされる。
【0048】
好ましくは、調整方法の次のステップとして、試験用重りが、上記と類似の様式で、皿の端部における2つの正反対の点の間で平行案内機構の横断方向に移動され、横断方向に関するコーナ荷重誤差が決定される。横断方向のコーナ荷重誤差を修正するために、調整可能な平行案内部の向きは、たとえば2つの調整領域での調整工具に係合し、前述の狭い材料領域に、反平行の変化、すなわち等しい大きさであるが反対の方向の塑性変形を与えることによって、横断方向に調整される必要があり、それによって穿孔によって分離された湾曲ピボットのうちの1つが持ち上げられ、もう一方が下ろされ、反平行な変化の大きさおよび方向的な向きが、それぞれ横断方向のコーナ荷重誤差の大きさ、および誤差が正か負かによって決まる。調整がなされた後に、横断方向のコーナ荷重誤差が再び決定され、必要な場合縦方向のコーナ荷重誤差が規定の許容誤差内になるまで再調整が前述の説明に従ってなされる。
【0049】
横断方向の調整が、縦方向のコーナ荷重誤差を再び生じていないことを証明するために、縦方向の誤差が再び決定される。両方のコーナ荷重誤差が許容誤差内であることが見出された後に、プロセスが終了する。別の方式では、再調整は、コーナ荷重誤差が縦方向および横断方向の両方に関して許容誤差内になるまで、観測された誤差に従ってなされる。
【0050】
互いに分離した2つの調整領域による平行案内機構のコーナ荷重の調整のための別の可能な方法の下で、以下の手順を使用することができる。
【0051】
前述の方法と同様に、完全に組み立てられ、動作的なはかりセルが、適合した電子はかりおよび表示器ユニットに連結される。たとえばはかりセルの秤量の半分に相当する試験用重りが、荷重受けに配置され、皿の端部における正反対の点の間で平行案内機構の縦方向に移動される。表示された重量のそれぞれの読み取り値から、縦方向のコーナ荷重誤差が決定される。次に、試験用重りが平行案内機構の横断方向に移動され、関連する重量の読み取り値から、横断方向に関するコーナ荷重誤差が決定される。コーナ荷重誤差が縦方向および横断方向に関して許容誤差内にあることが見出されると、プロセスが終了する。別の方式では、次のステップとして、見出されたコーナ荷重誤差のより大きなものに関して調整がなされる。言い換えれば、平行案内機構の縦方向のコーナ荷重誤差が横断方向よりも大きい場合に、平行な変化が2つの調整領域になされる。もう一方で、平行案内機構の横断方向のコーナ荷重誤差が縦方向よりも大きい場合に、反平行な変化が2つの調整領域になされる。次に、コーナ荷重誤差が再び両方の方向で決定され、調整サイクルが循環して戻り、縦方向および横断方向に関するコーナ荷重誤差が許容誤差内であることが見出されるまで、繰り返されることを意味する。常に残りのコーナ荷重誤差のより大きいもののみが調整されるこの調整方法は、プロセスの集束により、調整が少しの回数だけ巡った後にコーナ荷重誤差が消えるように、縦方向と横断方向の調整の間の交差効果を考慮に入れる。
【0052】
以下の第3の方法が、コンピュータ援用および自動化可能なコーナ荷重調整に適している。試験用重りの移動および/または2つの別個の調整領域の設定は、手動またはコンピュータ制御デバイスにより行うことができる。
【0053】
第1のステップでは、縦方向および横断方向の存在するコーナ荷重誤差は、はかりセルの電子回路に連結されたコンピュータで決定される。決定の結果に基づき交差効果を考慮に入れて、必要な調整設定の量および方向的な向きが計算され、表示器にも表示でき、その後、調整設定が手動または自動でなされる。次いで、縦方向および横断方向の残っている可能性のあるコーナ荷重誤差を決定することができるように、プロセスが開始に循環して戻る。誤差が許容誤差に見出されると、プロセスが終了する。別の方式では、再調整が行われ、コーナ荷重誤差が規定の許容誤差内になるまで、サイクルが繰り返される。
【0054】
本発明による平行案内機構、および誤差の調整に関する手順の詳細を、下記の概観に列挙した図面を参照して、以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1の実施形態で本発明による平行案内機構を概略的に簡略化した斜視図である。
【図2a】図2aは図1の平行案内機構の調整領域の上から見た詳細図である。
【図2b】図2bは調整を行われた後の図1の調整領域の側面図である。
【図3】第2の実施形態で本発明による平行案内機構を概略的に簡略化した斜視図である。
【図4】第3の実施形態で本発明による平行案内機構を概略的に簡略化した斜視図である。
【図5】平行案内機構用の本発明によるコーナ荷重調整の原理、および重量測定機器での後者の使用の原理を示す図である。
【図6】固定平行脚部が可動平行脚部を囲む、第3の実施形態で本発明による平行案内機構を概略的に簡略化した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、狭い切断部2を通る一体の材料ブロック3に形成された本発明による平行案内機構1を示し、狭い切断部2は、側方面に対して垂直方向に材料ブロック3を横断する。切断部を設けた結果、可動平行脚部4が形成され、それに対して荷重受けを取り付けることができる。可動平行脚部4は、2つの本質的に水平な平行案内部5、6によって、固定平行脚部7に連結され、固定平行脚部7は堅固な地面に支持される。いわゆる湾曲ピボット8、8a、8b、すなわち材料の厚さを低減した弾性のある可撓性領域が平行案内部の端部に形成される。特に、少なくとも1つの調整領域14a、14bが、3つの別の切り口9、10、11によって、一体の材料ブロック3内に形成される。少なくとも1つの調整領域14a、14bによって、2つの平行案内部5、6のうちの1つの端部、好ましくは上部平行案内部5の端部であって、後者が固定平行脚部7に連結された端部が、下部平行案内部6からの垂直距離に関して、ならびに下部平行案内部6に対して横断方向の傾斜角度に関し調整でき、それによって平行案内機構の縦方向Lならびに横断方向Qでの平行案内部5、6の間に存在する可能性のある平行から外れた状態を調整によって修正できる。本発明により、調整領域14a、14bを形成する別の切り口9および10が、これらの変形領域12が調整力または調整トルクを加えることによって塑性変形でき、その結果、後者が調整領域14a、14bに連結する調整可能な平行案内部5の端部が、垂直方向Vに永久的に偏り、かつ/または平行案内部5のピボットを通過する縦方向の軸Aの周りで永久的にねじられるのに十分な程度に、一体の材料ブロック3の適切な位置で材料の厚さを低減するように設計される。
【0057】
図2aは、上からの図で、湾曲ピボット8が調整領域14a、14bに連結する端部で穿孔16を有し、調整領域が垂直の切り口11によって偏り、それによって、2つの個別の湾曲ピボット8a、8bが形成され、それらが個別の調整領域14a、14bにそれぞれ連結されることを示す。
【0058】
図2bは、側面図で、たとえばボア穴13a内にレバーを係合することによって、トルクを加えることによって、どのように調整領域14が押されて、変形領域12の傾斜軸D(図1を参照されたい)の周りをわずかに傾くようにされることを示す。傾斜が反時計回りであれば、図2bの弾性の湾曲ピボット8がわずかな量だけ下ろされる。
【0059】
図3は、3次元の表示で、平行案内機構31の調整領域34の第2の実施形態を示す。この説明は、本質的には、調整領域34の異なる設計のみ言及するので、平行案内機構31の半分しか図面に示さない。第1の水平面38aでは、第1の変形領域32aが、ブロックを水平に横切る切り口30aおよび30bによって形成されるので、力またはトルクを加えているとき、調整領域34は、押されて、平行案内機構31の横断方向に第1の変形領域32aによって画定される傾斜軸の周りの傾斜にすることができる。さらに、第2の水平面38bでは、第1の変形領域32aに垂直に向けられた第2の変形領域32bが、ブロックを水平に横切る切り口30cおよび30dによって形成されるので、力またはトルクを加えているとき、調整領域34は、押されて、平行案内機構31の縦方向に第2の変形領域32aによって画定される傾斜軸の周りの傾斜にすることができる。
【0060】
図3に示されるように、平行案内機構31が調整された後に、すなわち第1の変形領域32aおよび/または第2の変形領域32bが変えられた後に、調整は固定手段39によって固定できる。したがって、平行案内機構31は、変形領域の弾性変形またはさらなる塑性変形が、平行案内機構31の動作中に生じる可能性があるという危険なく、非常に強い力に曝されることができる。当然ではあるが、図1から6の各変形領域は、少なくとも1つの固定手段39によって固定できる。
【0061】
弾性応力が調整ネジによって閉じ込められる最新技術の設計とは異なり、この様式で固定された平行案内機構31は、変形領域32a、32bの領域で材料応力がほとんど存在しない。ここでは帯状プレートとして示される固定手段39は、変形領域32a、32bを耐久性をもたせて固定し、据え付ける唯一可能な解決策を示す。当然ではあるが、たとえば楔、ネジ、ボルト、プレート等、使用できる据え付けの多くの異なる手段がある。異なる熱膨張のために生じる可能性のある弾性変形、またはさらに塑性変形を回避するために、固定手段39は好ましくは、固定される平行脚部と同じ材料から作製される。
【0062】
図4は、3次元の表示で、平行案内機構41の調整領域44の第3の実施形態を示す。この説明は、本質的には、調整領域44の異なる設計のみ言及するので、平行案内機構41の半分しか図面に示さない。少なくとも1つの変形領域42が、固定平行脚部47の周縁部の周りの溝形状の凹部40によって固定平行脚部47に形成される。水平面での変形領域42の断面形状に関する最適の形状は、実験によって決定でき、平行案内機構41の構成、および変形領域42で使用される材料の塑性変形挙動に依存する。可能な手法は、円形断面に基づいたものであることができる。変形領域42は、図4に概略的に示される円筒形のものであるので、この実施形態は傾斜軸の向きが画定されないままになる点で図3の調整領域と異なる。調整のための傾斜軸の向きは、測定されたコーナ荷重の偏向に基づいて、調整プロセスで決定される。当然ではあるが、傾斜軸に関する垂直位置は、円筒形の変形領域42の直径の狭窄部によって画定することができる。変形領域42を有する平行脚部47がボア穴48を含む場合、変形領域42は円形リングの形の断面を有することもできる。ボア穴48が、断面の領域の重心から偏った場合、対応する傾斜軸に対する領域の慣性モーメント、したがってこれらの傾斜軸に対する変形領域の曲げ挙動を変えることができる。
【0063】
最後に、図5は全体的な外形でのコーナ荷重誤差の概念を示す。歪みゲージ58を有する変形可能な本体として、ここに概略的に示される平行案内機構51は、支持部59によって可動平行脚部55に取り付けられたはかり皿57を担持する。これまで図1から4の文脈で詳細に説明したように、この変形可能な本体51は同様に、本発明によって設計された調整領域54を含む。一般にはかりセルの秤量の半分に相当する試験用重り99が、たとえば、左の位置で最初にはかられ、次いで右の位置ではかられた(後者は破線の外形によって示される)。2つの位置に関して表示されたはかりの結果の間の差は、平行案内機構51の縦方向でのコーナ荷重誤差と言われる。横断方向でのコーナ荷重誤差が、図面の平面に対して垂直な方向での類似のはかり試験で決定され、試験用重り99の2つの位置が、はかり皿57の直径上の図面の平面の前および後ろでそれぞれ特定される。
【0064】
当然ではあるが、本発明による平行案内機構は、必ずしも矩形のブロックの形に構成される必要がない。
【0065】
図6は本発明による平行案内機構61を有する重量測定機器の3次元図を示す。図6から明らかなように、固定平行脚部67が可動平行脚部65を囲む。平行案内機構全体が回転対称に構成される。固定平行脚部67の上端部は、固定平行脚部67に中央部付近で切れ目を入れ、変形領域72として(図6に、そのうちの1つのみを見ることができる)2つの正反対の材料のブリッジのみを定位置に残す、第1の水平の切り口73を有する。第1の水平の切り口73の下方の平面では、第2の水平の切り口63、および正反対の変形領域62(図6で、そのうちの1つのみが見える)が90°の角度の偏りで配置される。固定平行脚部67内の開口77により、固定平行脚部67の内側の密閉された空間に、たとえばそこに配置された力測定セル(図6には示さない)にアクセスできるようになる。変形領域62および72、ならびにそれらの間の環形状部分68は、固定平行脚部67の環形状の端部69のある種のジンバル式の支持を形成する。環形状の端部69は、ダイアフラムスプリングとして構成された上部平行案内部78の境界フレームを形成する。下部平行案内部79は、固定平行脚部67の下端部66の内側に類似の配置で装着される。固定平行脚部67の中心に配置された垂直に可動な平行脚部65が2つの平行案内部78および79に連結される。平行案内部78および79は、垂直に可動な平行脚部65を垂直移動の制限された範囲内で案内する弾性の平行案内部区画75を含む。さらに、垂直に可動な平行脚部65は、はかり皿74と、固定平行脚部67の内側に配置された力測定セルとの間の力伝達手段を形成する。
【0066】
変形領域62、72によって画定された傾斜軸は、異なる水平面にあることを除いて、幾何学的な意味で、ならびにその調整挙動に関する機械的な観点において、この配置と前述の実施形態の間には差がない。コーナ荷重誤差が環形の端部69を傾斜させることによって修正される。変形領域の塑性変形を伴う傾斜は、たとえばネジまわしなどの調整手段の助けにより行われる。その先端は、スリット63、73のうちの1つに挿入され、スリットは変形領域62、72の塑性変形を生じるように十分距離をとって離される。コーナ荷重誤差の成分の代数的な量(大きさおよび記号)と修正に必要な傾斜、すなわち傾斜角度の大きさおよび方向の間で、はかりモジュールの発展の間の経験的な実験および/または分析的な計算によって決定された、特定の再現可能な相関関係がある。
【0067】
たとえば、図6に示される平行案内機構61では、左から右への移動軸Aの方向への試験用重りの移動が、負のコーナ荷重誤差(重りの右手位置に関する重量の読み取り値が、左手位置に関してよりも小さいことを意味する)を生じる場合、これは傾斜軸Dの周りの環形状の端部69の永久的な反時計回りの移動によって修正できる。
【符号の説明】
【0068】
1 平行案内機構
2 狭い切断部
3 一体の材料ブロック
4 可動平行脚部
5 上部平行案内部
6 下部平行案内部
7 固定平行脚部
8 弾性の湾曲ピボット
8a 弾性の湾曲ピボット
8b 弾性の湾曲ピボット
9 切り口
10 切り口
11 切り口
12 変形領域
13 ボア穴、調整レバー用の把持位置
13 ボア穴、調整レバー用の把持位置
14a 調整領域
14b 調整領域
16 穿孔
30a 切り口
30b 切り口
30c 切り口
30d 切り口
31 平行案内機構
32a 変形領域
32b 変形領域
34 調整領域
38a 水平面
38b 水平面
39 固定手段
40 切り口
41 平行案内機構
42 変形領域
44 調整領域
48 ボア穴
51 平行案内機構
54 調整領域
55 可動平行脚部
57 はかり皿
58 歪みゲージ
59 はかり皿支持部
61 平行案内機構
62 変形領域
63 切り口
65 可動平行脚部
66 下端部
67 固定平行脚部
68 環形状部分
69 環形状の端部
72 変形領域
73 切り口
74 はかり皿
75 弾性の平行案内部区画
77 開口
78 上部平行案内部
99 試験用重り
A 傾斜軸
D 傾斜軸
L 平行案内部の縦方向
Q 平行案内部の横断方向
V 動作状態の垂直方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの平行案内部(5、6、78、79)によって固定平行脚部(7、67)に連結され、それによって、案内された垂直の移動に抑制される可動平行脚部(4、55、65)を備え、弾性の湾曲ピボット(8、8a、8b)または弾性の平行案内部区画(75)が、前記平行案内部(5、6、78、79)と前記平行脚部(4、7、65、67)の間の連結領域内に形成され、または配置され、少なくとも1つの調整領域(14、14a、14b、34、44、54)が、前記固定平行脚部(7、67)および/または前記可動平行脚部(4、55、65)で、少なくとも1つの切り口(9、10、11、30a、30b、30c、30d、40、63、73)によって形成され、前記少なくとも1つの切り口(9、10、11、30a、30b、30c、30d、40、63、73)が、少なくとも1つの変形領域(12、32a、32b、42、62、72)の範囲を定める平行案内機構(1、31、41、51、61)において、
前記少なくとも1つの変形領域(12、32a、32b、42、62、72)が、調整力または調整トルクを加えることにより、制御された様式で塑性変形でき、
前記少なくとも1つの変形領域(12、32a、32b、42、62、72)の塑性変形の結果、互いに対して、前記平行案内部(5、6、78、79)の位置で制御された永久的な変化が生成され、前記変化が、前記平行案内機構のコーナ荷重誤差を修正する役割を果たし、
調整された状態で、少なくとも、前記可動平行脚部(4、55、65)に加えられた荷重がない場合は、前記少なくとも1つの変形領域(12、32a、32b、42、62、72)が無応力であることを特徴とする平行案内機構。
【請求項2】
前記少なくとも1つの変形領域(12、32a、32b、42)が、前記平行脚部(4、7)を水平に横切る切り口(9、10、30a、30b、30c、30d、40)によって形成されることを特徴とし、力またはトルクを加えることによって、前記調整領域(14、14a、14b、34、44、54)に、前記平行案内機構(1)の横断方向(Q)に前記変形領域(12、32a、32b、42)によって画定される傾斜軸(D)の周りで傾斜を付けることが可能であることをさらに特徴とし、前記傾斜させた結果、前記調整領域(14、14a、14b、34、44、54)に連結する前記平行案内部(5、6)のうちの1つの端部が、垂直方向(V)に永久的な偏りを受け、それによって前記平行案内機構(1、31、41、51)の縦方向(L)でのコーナ荷重誤差を修正することができる、請求項1に記載の平行案内機構(1、31、41、51)。
【請求項3】
前記変形領域(12)の前記傾斜軸(D)が、前記垂直方向に偏る前記弾性の湾曲ピボット(8、8a、8b)と同じ水平面に配置されることを特徴とする、請求項2に記載の平行案内機構(1、31、41、51)。
【請求項4】
前記調整領域(14)を、前記調整領域(14)に連結する前記平行案内部(5)の垂直に調整可能な端部で別の切り口(11)が横切り、前記別の切り口は前記可動平行脚部(4)または前記固定平行脚部(7)の縦方向の垂直の正中面に延出し、前記弾性の湾曲ピボットまで到達し、前記別の切り口の結果、個別の変形領域(12a、12b)を有する2つの個別の調整領域(14a、14b)が互いに隣接して、
一方で、前記2つの個別の隣接する調整領域(14a、14b)に平行の力またはトルクを加え、したがってそれらに平行な傾斜調整を与えることによって、前記弾性の湾曲ピボット(8)の永久的な平行な垂直の偏りを生成することができ、それによって前記平行案内機構の縦方向(L)でのコーナ荷重誤差を修正することができるように、
もう一方で、前記2つの個別の隣接する調整領域(14a、14b)に反平行の力またはトルクを加え、したがってそれらに反対の傾斜調整を与えることによって、前記平行案内部の可動端部に永久的なねじりを与えることができ、それによって前記平行案内機構の前記横断方向(Q)でのコーナ荷重誤差を修正することができるように、
形成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の平行案内機構(1)。
【請求項5】
力またはトルクを加えることによって、前記調整領域(34)の傾斜調整を、前記平行案内機構(31)の横断方向(Q)に、第1の変形領域(32a)によって画定された傾斜軸(D)に対して行うことができるように、前記第1の変形領域(32a)が水平の切り口(30a、30b)によって第1の水平面(38a)に形成されることを特徴とし、力またはトルクを加えることによって、前記調整領域(34)の傾斜調整を、前記平行案内機構(31)の前記縦方向(L)に、第2の変形領域(32b)によって画定された前記傾斜軸(A)に対して行うことができるように、前記第1の変形領域(32a)の向きに垂直な前記第2の変形領域(32b)が水平の切り口(30c、30d)によって第2の水平面に形成されることをさらに特徴とする、請求項1に記載の平行案内機構(31)。
【請求項6】
前記固定平行脚部(67)が、少なくとも水平面で前記可動平行脚部(65)を囲むことを特徴とする、請求項1に記載の平行案内機構(61)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの変形領域(42、62、72)が、前記固定平行脚部(47、67)および/または前記可動平行脚部(65)の周縁部の周りに形成された凹部(40)によって形成されることを特徴とする、請求項1または6に記載の平行案内機構(41、61)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの調整領域(14、14a、14b、34、44、54)が、調整力または調整トルクを生成する調整工具、好ましくはレバーに係合するための少なくとも1つの把持位置を設けられることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の平行案内機構(1、31、41、51、61)。
【請求項9】
前記平行案内機構(1、31、41、51、61)、および別の力を伝達する可能性のある要素が、材料(3)のブロックから形成された一部品から作製されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の平行案内機構(1、31、41、51、61)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの変形領域(12、32a、32b、42、62、72)が少なくとも1つの固定手段(39)によって移動不能にされ、固定されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の平行案内機構(1、31、41、51、61)。
【請求項11】
請求項1から10のうちの1つによる平行案内機構(1、31、41、51、61)を有する重量測定機器。
【請求項12】
2つの平行案内部(5、6、78、79)によって固定平行脚部(7、67)に連結され、それによって、案内された垂直の移動に抑制された可動平行脚部(4、55、65)によって平行案内機構(1、31、41、51、61)を調整する方法であって、弾性の湾曲ピボット(8、8a、8b)または弾性の平行案内部区画(75)が、前記平行案内部(5、6、78、79)と前記平行脚部(4、7、65、67)の間の連結領域内に形成され、または配置され、少なくとも1つの調整領域(14、14a、14b、34、44、54)が、前記固定平行脚部(7、67)および/または前記可動平行脚部(4、55、65)で、切り口(9、10、11、30a、30b、30c、30d、40、63、73)によって形成され、前記調整領域を形成する前記切り口(9、10、11、30a、30b、30c、30d、40、63、73)が、少なくとも1つの変形領域(12、32a、32b、42、62、72)の範囲を定める方法において、
前記変形領域(12、32a、32b、42、62、72)が、必要な場合調整力または調整トルクを加えることによって、制御された塑性変形を受け、前記少なくとも1つの変形領域(12、32a、32b、42、62、72)の前記塑性変形の結果として、制御された永久的な変化が互いに対して前記平行案内部(5、6、78、79)の位置で達成され、前記変化がコーナ荷重誤差を修正する役割を果たし、少なくとも前記可動平行脚部(4、55、65)に荷重が加えられていない限り、調整された状態で前記変形領域(12、32a、32b、42、62、72)の無応力状態が達成されることを特徴とする方法。
【請求項13】
以下のプロセスのステップ、すなわち
a)完全に組み立てられた平行案内機構(1、31、41、51、61)が、力測定セルおよび荷重受け(57、74)に動作的に連結され、前記力測定セルが、適合した電子信号処理および表示器ユニットに連結されるステップと、
b)試験用重り(99)が、前記平行案内機構(1、31、41、51、61)に連結された水平の荷重受けプレート(57、74)の2つの位置の間で移動され、前記位置が前記平行案内機構(1、31、41、51、61)の前記縦方向(L)に互いに正反対に配置され、表示された重量の読み取り値が取られ、2つの重量の読み取り値の間の代数的な差が前記縦方向(L)に関するコーナ荷重誤差として記録されるステップと、
c)ステップb)で記録されたコーナ荷重誤差が、規定の許容誤差内であることが判明した場合、プロセスがステップe)で続けられ、そうでないときはステップd)で続けられるステップと、
d)ステップb)で記録された前記縦方向(L)のコーナ荷重誤差の前記修正に関して、関連する調整がなされ、平行な修正が前記2つの個別の調整領域に加えられ、前記修正が、その大きさおよび方向に関して、修正されるコーナ荷重誤差に、依存し、その後、前記調整サイクルが循環してステップb)に戻るステップと、
e)前記試験用重り(99)が、前記平行案内機構(1、31、41、51、61)に連結された水平の荷重受けプレート(57、74)の2つの位置の間で移動され、前記位置が前記平行案内機構(1、31、41、51、61)の前記横断方向(Q)に互いに正反対に配置され、表示された重量の読み取り値が取られ、2つの重量の読み取り値の間の代数的な差が前記横断方向(Q)に関するコーナ荷重誤差として記録されるステップと、
f)ステップe)の第1の段階で記録されたコーナ荷重誤差が規定の許容誤差内であることが判明した場合、プロセスが終了し、そうではなくて、ステップe)の第2の段階またはその後の段階で記録されたコーナ荷重誤差が規定の許容誤差内にあることが判明した場合、プロセスがステップh)で続けられ、またはそうではなくて、ステップe)で記録されたコーナ荷重誤差が許容誤差に収まらないことが判明した場合、プロセスがステップg)で続けられるステップと、
g)ステップe)で記録された前記横断方向(Q)でのコーナ荷重誤差の前記修正に関して、対応する調整がなされ、等しい大きさであるが反対の方向の修正が2つの個別の調整領域に加えられ、前記修正がその大きさおよび方向的な向きに関して、修正される前記横断方向でのコーナ荷重誤差に依存し、その後、前記調整サイクルが循環してステップe)に戻るステップと、
h)前記横断方向(Q)での前記調整が前記縦方向(L)でのコーナ荷重誤差を再び生じていないことを証明するために、前記縦方向(L)に関する前記コーナ荷重誤差が新しく決定され、必要な場合両方のコーナ荷重誤差が許容誤差内になるまで、再調整およびさらなる証明が実施されるステップとによって特徴付けられる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
以下のプロセスのステップ、すなわち
a)完全に組み立てられた平行案内機構(1、31、41、51、61)が、力測定セルおよび荷重受け(57、74)に動作的に連結され、前記力測定セルが、適合した電子信号処理および表示器ユニットに連結されるステップと、
b)試験用重り(99)が、前記平行案内機構(1、31、41、51、61)に連結された水平の荷重受けプレート(57、74)の2つの位置の間で移動され、前記位置が前記平行案内機構(1、31、41、51、61)の前記縦方向(L)に互いに正反対に配置され、表示された重量の読み取り値が取られ、2つの重量の読み取り値の間の代数的な差が前記縦方向(L)に関するコーナ荷重誤差として記録されるステップと、
c)前記試験用重り(99)が、前記平行案内機構(1、31、41、51、61)に連結された水平の荷重受けプレート(57、74)の2つの位置の間で移動され、前記位置が前記平行案内機構(1、31、41、51、61)の前記横断方向(Q)に互いに正反対に配置され、表示された重量の読み取り値が取られ、2つの重量の読み取り値の間の代数的な差が前記横断方向(Q)に関するコーナ荷重誤差として記録されるステップと、
d)ステップb)およびc)で記録されたコーナ荷重誤差が、規定の許容誤差内であることが判明した場合、プロセスが終了し、そうでないときは、プロセスがステップe)で続けられるステップと、
e)ステップb)、およびc)で記録された2つのコーナ荷重誤差のうち、より大きな絶対値を有するコーナ荷重誤差に関してのみ調整がなされ、前記縦方向(L)でのコーナ荷重誤差の場合に平行な修正が、前記2つの個別の調整領域に加えられ、前記横断方向(Q)でのコーナ荷重誤差の場合、反平行の修正が、前記2つの個別の調整領域に加えられ、前記修正が、その大きさおよび方向的な向きに関して、修正されるコーナ荷重誤差に依存し、その後、調整サイクルが循環してステップb)に戻るステップとによって特徴付けられる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
以下のプロセスのステップ、すなわち
a)完全に組み立てられた平行案内機構(1、31、41、51、61)が、力測定セルおよび荷重受け(57、74)に動作的に連結され、前記力測定セルが、適合した電子信号処理および表示器ユニットに連結されるステップと、
b)試験用重り(99)が、前記平行案内機構(1、31、41、51、61)に連結された水平の荷重受けプレート(57、74)の2つの位置の間で移動され、前記位置が前記平行案内機構(1、31、41、51、61)の前記縦方向(L)に互いに正反対に配置され、表示された重量の読み取り値が取られ、2つの位置に関して記録されるステップと、
c)前記試験用重り(99)が、前記平行案内機構(1、31、41、51、61)に連結された水平の荷重受けプレート(57、74)の2つの位置の間で移動され、前記位置が前記平行案内機構(1、31、41、51、61)の前記横断方向(Q)に互いに正反対に配置され、表示された重量の読み取り値が取られ、2つの位置に関して記録されるステップと、
d)ステップb)およびc)で決定された前記重量値に基づいて、前記縦方向(L)ならびに前記横断方向(Q)に関するコーナ荷重誤差が決定され、その後、両方のコーナ荷重誤差が許容誤差内にあることが判明した場合、プロセスが終了し、そうでないときは、プロセスがステップe)で続けられるステップと、
e)ステップd)で決定されたコーナ荷重誤差の値に基づいて、前記縦方向(L)でのコーナ荷重誤差、ならびに前記横断方向(Q)のコーナ荷重誤差を修正するために必要な調整が計算され、表示器に表示でき、前記2つの調整が互いに有する相互の影響が計算において考慮に入れられ、その後、前記調整が行われ、プロセスのサイクルが循環してステップb)に戻るステップとによって特徴付けられる、請求項12に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2010−529423(P2010−529423A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509760(P2010−509760)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053081
【国際公開番号】WO2008/145426
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
【Fターム(参考)】