説明

特定の側鎖を有する櫛形共重合体及びその製造方法

【課題】 特定の側鎖を有する櫛形共重合体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は共重合体の変性、特にグラフト共重合体から櫛形共重合体への変性に関する。該変性は、開始工程からもたらされた、一端にエポキシ基を有する重合体又は共重合体の制御ラジカル重合(i)、及び(i)で調製された重合体と、骨格中の又は側鎖に結合された、エポキシ基と反応しうる官能基を有する共重合体の加熱工程(ii)の工程を含む。結果として、例えば低い多分散性により示される、グラフト化された側腕が十分に制御された鎖長を有する櫛形共重合体が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は共重合体の変性、特にグラフト共重合体から櫛形共重合体への変性に関する。該変性は、開始工程からもたらされた、一端にエポキシ基を有する重合体又は共重合体の制御ラジカル重合(i)、及び(i)で調製された重合体と、骨格中の又は側鎖に結合された、エポキシ基と反応しうる官能基を有する共重合体の加熱工程(ii)の工程を含む。該結果として、例えば低い多分散性により示される、グラフト化された側腕が十分に制御された鎖長を有する櫛形共重合体が得られる。本発明の更なる観点は、重合体(i)及び(ii)の組成物、前記製法に従って得られうる櫛形共重合体及び例えば、相溶剤、耐衝撃性改良剤又はバリヤ剤としてのそのような櫛形共重合体の使用である。
【背景技術】
【0002】
機能性及び/又は人工的に作り出された新規材料を得るために、多くの活動が現存する重合体の化学変性に向けられてきた。現存する重合体の化学変性は少なくとも二つの理由において重要である:
1.それは新規単量体の研究を行う必要無しに、新規重合体を得る安価且つ迅速な方法であり得る。
2.それは目的とする新規な特性を有する重合体を合成するための唯一の方法であり得る。
【0003】
加熱工程はしばしば、例えば反応型押出のような溶融加工工程である。それは、重合体及びそれらの性質の変性のために頻繁に使用される工業的製法である。
【0004】
グラフト(共)重合体を得るために、反応型押出は通常、(共)重合体、エチレン性不飽和化合物及びラジカル発生剤としての過酸化物を押出すことにより行われる。変性のタイプに従って(例えば、無水マレイン酸、グリシジルメチルメタクリレート又はビニルシランを用いて)結果として得られる重合体は相溶剤、接着剤又は表面改質剤として使用される。このことは、例えばS.アル−マライカ,チャップマン及びホール(S.Al−Malaika,Chapman & Hall)によって編集された“Reactive
Modifiers for Polymers”1997年、1章、1−97頁に記載されている。該製法は主にラジカル発生剤としての過酸化物を基礎とする。これらの先行技術製法は、副反応のような、加工パフォーマンス(重合体分解、架橋/ゲル形成)に影響する又は残存の過酸化物又はそれらの反応生成物により該重合体の長期熱安定性を喪失する深刻な不利益を示す。過酸化物を用いるプラスチック材料の加工に関する安全面は、更なる問題点である。
【0005】
オリゴマー性又は重合体性側鎖を有するグラフト共重合体は通常のグラフト化加工で得ることは困難である。可能な方法が国際公開第00/14134号パンフレット及び国際公開第00/14135号パンフレットに開示されている。ここで、2段階製法において、“開始点”が最初に重合体上に発生し、それに続いて、該開始点から始まる制御重合反応が行なわれる。しかし、この方法により多数の側鎖を結合させることは困難である。
【非特許文献1】S.アル−マライカ,チャップマン及びホール(S.Al−Malaika,Chapman & Hall)によって編集された“Reactive Modifiers for Polymers”1997年、1章、1−97頁
【特許文献1】国際公開第00/14134号パンフレット
【特許文献2】国際公開第00/14135号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は重合体骨格上の官能基(例えば、ポリプロピレン−グラフト無水マレイン酸)と単官能化されたオリゴマー/重合体の縮合反応を介する、明確な、容易に得られうる櫛形重合構造体の製造方法を提供する。本発明の製法は反応型押出により行うことができ、大規模な工業的製法のために優れて好適である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
エポキシと反応し得る基(例えば、無水マレイン酸、MAA)を有する重合体の制御フリーラジカル重合(CFRP)により調製された、エポシキ官能化され、末端にNOを有するオリゴマー/重合体をグラフト化することにより、求められる物性を有する櫛形共重合体を調製し得ることを見出した。エポシキ官能化され、末端にNOを有するオリゴマー/重合体の低い多分散性のため、結果として得られる櫛形共重合体の側鎖は明確であり改善された物性を誘導する。該エポシキ官能化され、末端にNOを有するオリゴマー/重合体は、エポキシ基と重合体骨格上の官能基(例えばMAA)のカップリング反応を介してグラフト化される。
【0008】
本発明の一つの観点は、工程
a)式(I)
【化1】

(式中、Lは炭素原子数1ないし18のアルキレン基、フェニレン基、フェニル基で置換された炭素原子数1ないし18のアルキレン−オキシ基、フェニレン−炭素原子数1ないし18のアルキレン基、炭素原子数1ないし18のアルキレン−フェニレン基、炭素原子数1ないし18のアルキレン−フェニレン−オキシ基及び炭素原子数5ないし12のシクロアルキレン基からなる群より選択される架橋基を表し;
p及びRqは独立して、未置換又は1個以上の電子吸引基若しくはフェニル基で置換された、第三級に結合された炭素原子数4ないし28のアルキル基又は炭素原子数3ないし17の第二級に結合されたアルキル基を表すか;又は
p及びRqは一緒になって、少なくとも4個の炭素原子数1ないし4のアルキル基で置換され、更なる窒素原子又は酸素原子で中断されてもよい5,6又は7員複素環を形成する。)で表される開始剤/調節剤の存在下でエチレン性不飽和単量体をオリゴマー、共オリゴマー、重合体又は共重合体に重合すること;及び第二工程
b)重合体溶融物を混合するのに好適な装置中での溶融において、a)で調製した重合体又は共重合体を−COOH、−NH2、−NHR´、−C(O)−NHR´、
【化2】

(式中、R´は炭素原子数1ないし18のアルキル基を表す。)からなる群より選択される、結合された官能基Xを有するか、又は骨格中に反復ユニットとして基X
【化3】

を有するランダム、ブロック又はグラフト共重合体と反応させる
工程を含む櫛形共重合体の製造方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
フェニル基で置換された炭素原子数1ないし18のアルキレン−オキシ基の例は、基
【化4】

である。
炭素原子数1ないし18のアルキレン−フェニレン−オキシ基は、例えば
【化5】

(式中、R´´及びR´´´は独立して水素原子又は直鎖又は分岐鎖であり得る炭素原子数1ないし18のアルキル基を表す。)である。該オキシ置換は好ましくはパラ位にある。
炭素原子数5ないし12のシクロアルキレン基は、典型的には、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基である。
【0010】
p及びRqはそれらが結合する窒素原子と共に、例えば、少なくとも4個の炭素原子数1ないし4のアルキル基で置換され、更なる窒素原子又は酸素原子で中断されてもよい5,6又は7員複素環を形成する。好ましいものは、6員環複素環、特にピペリジン環である。
工程a)のエチレン性不飽和単量体は、種々の単量体から選ばれ得る。
例えば、イソプレン、1,3−ブタジエン、α−炭素原子数5ないし18のアルケン、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−第三ブチルスチレン又は式CH2=C(Ra)−(C=Z)−Rb(式中、Raは水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表し、RbはNH2、O-(Me+)、未置換の炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、少なくとも1個のN及び/又はO原子で中断された炭素原子数2ないし100のアルコキシ基、又はヒドロキシ基で置換された炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、未置換の炭素原子数1ないし18のアルキルアミノ基、ジ(炭素原子数1ないし18のアルキル)アミノ基、ヒドロキシ基で置換された炭素原子数1ないし18のアルキルアミノ基又はヒドロキシ基で置換されたジ(炭素原子数1ないし18のアルキル)アミノ基、−
O−CH2−CH2−N(CH32又は−O−CH2−CH2−N+(CH32An-;An-
は1価の有機又は無機酸のアニオンを表し;Meは1価の金属原子又はアンモニウムイオンを表す。Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。)で表される化合物。
【0011】
少なくとも1個のO原子で中断された炭素原子数2ないし100のアルコキシ基としてのRaの例としては、式
【化6】

(式中、Rcは炭素原子数1ないし25のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数1ない
し18のアルキル基で置換されたフェニル基を表し、Rdは水素原子又はメチル基を表し
、vは、1から50までの数を表す。)で表されものが挙げられる。これらの単量体は、例えば、対応するアルコキシ化されたアルコール又はフェノールのアシル化により非イオン性界面活性剤より誘導される。反復ユニットはエチレンオキシド、プロピレンオキシド又は両方の混合物から誘導され得る。
【0012】
好適なアクリレート又はメタクリレート単量体の更なる例を以下に示す。
【化7】

式中、An-及びRaは前記の定義と同様の意味を表し、Reはメチル基、ベンジル基又は
ベンゾイルベンジル基を表す。An-は好ましくはCl-、Br-又は-3S−O−CH3を表す。
更なるアクリレート単量体としては、
【化8】

(Me+はアルカリ金属カチオン又はアンモニウムカチオンを表す。)が挙げられる。
好適なアクリレート以外の単量体の例としては、
【化9】

が挙げられる。
好ましいRaは、水素原子又はメチル基であり、RbはNH2、グリシジル基、未置換又
はヒドロキシ基で置換された炭素原子数1ないし4のアルコキシ基、未置換の炭素原子数1ないし4のアルキルアミノ基、ジ(炭素原子数1ないし4のアルキル)アミノ基、ヒドロキシ基で置換された炭素原子数1ないし4のアルキルアミノ基又はヒドロキシ基で置換されたジ(炭素原子数1ないし4のアルキル)アミノ基であり、及びZは酸素原子である。
【0013】
工程a)のエチレン性不飽和単量体は、例えば、スチレン、置換スチレン、共役ジエン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、無水マレイン酸、無水(アルキル)アクリル酸、(アルキル)アクリル酸塩、(アルキル)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(アルキル)アクリルアミド、ハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデンからなる群より選択される。
例えば、エチレン性不飽和単量体は、スチレン、置換スチレン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸第三ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド又はジメチルアミノプロピル−メタクリルアミドである。
非常に好適な単量体は、例えばスチレン、アクリル酸n−ブチル又はメタクリル酸n−ブチルのようなアクリル酸又はメタクリル酸の炭素原子数1ないし8のアルキルエステル、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルであり、特に、スチレン、アクリロニトリル及びアクリル酸n−ブチルである。
上述の単量体の混合物を使用することもまた可能であり、特に、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/アクリル酸ブチル、スチレン/メタクリル酸メチル及びスチレン/メタクリル酸ブチルが挙げられる。
【0014】
本発明の具体的な態様において、開始剤/調節剤は式(IIa)
【化10】

{式中、R1、R2、R3及びR4は互いに独立して炭素原子数1ないし4のアルキル基を表し;R5は水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表し;R´6は水素原子を表し、R6は、H、OR10、NR1011、−OC(O)−R10又はNR11−C(O)−R10
(R10及びR11は独立して、水素原子、炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数2ないし18のアルケニル基、炭素原子数2ないし18のアルキニル基若しくは少なくとも1個のヒドロキシ基で置換された炭素原子数2ないし18のアルキル基を表すか、又は、もしR6がNR1011の場合、一緒になって、炭素原子数2ないし12のアルキレン
橋若しくは少なくとも1個のO原子によって中断された炭素原子数2ないし12のアルキレン橋を形成する。)を表すか又は、
6及びR´6は一緒になって、両方とも水素原子、基=O又は基=N−O−R20[式中、R20は、H、未置換又は1個以上のOH、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基、カルボキシ基、炭素原子数1ないし8のアルコキシカルボニル基で置換されていもよい直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1ないし18のアルキル基、3ないし18のアルケニル基又は炭素原
子数3ないし18のアルキニル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基又は炭素原子数5ないし12のシクロアルケニル基;未置換又は1個以上の炭素原子数1ないし8のアルキル基、ハロゲン原子、OH、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基、カルボキシ基、炭素原子数1ないし8のアルコキシカルボニル基で置換されていもよいフェニル基、炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基又はナフチル基;−C(O)−炭素原子数1ないし36のアルキル基、又は3ないし5個の炭素原子を有するα,β−不飽和カルボン酸のアシル部分若しくは7ないし15個の炭素原子を有する芳香族カルボン酸のアシル部分;−SO3-+、−PO(O-+2、−P(O)(OR22、−SO2−R2、−CO−NH−R2、−CONH2、COOR2又はSi(Me)3(式中、Q+はH+、アンモニウム又はアルカリ金属カチオンを表す。)を表す。]を表すか又は
6及びR´6は独立して、−O−炭素原子数1ないし12のアルキル基、−O−炭素原子数3ないし12のアルケニル基、−O−炭素原子数3ないし12のアルキニル基、−O−炭素原子数5ないし8のシクロアルキル基、−O−フェニル基、−O−ナフチル基、−O−炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基を表すか又は
6及びR´6は一緒になって、−O−C(R21)(R22)−CH(R23)−O−、−O−CH(R21)−CH22−C(R22)(R23)−O−、−O−CH(R22)−CH2−C(
21)(R23)−O−、−O−CH2−C(R21)(R22)−CH(R23)−O−、−O
−o−フェニレン−O−、−O−1,2−シクロヘキシリデン−O−、−O−CH2−C
H=CH−CH2−O−又は
【化11】

(式中、R21は水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、COOH、COO-
炭素原子数1ないし12)アルキル基又はCH2OR24を表し;
22及びR23は独立して、水素原子、メチル基、エチル基、COOH又はCOO-(炭素
原子数1ないし12)アルキル基を表し;
24は水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ベンジル基、又は18個までの炭素原子を有する脂肪族、環状脂肪族若しくは芳香族の1価カルボン酸から誘導される1価アシル残基を表す。)で表される2価基の一つを形成し;及び
7及びR8は独立して、水素原子又は炭素原子数1ないし18のアルキル基を表す。}で表される。
【0015】
炭素原子数1ないし18のアルキル基は直鎖又は分岐鎖であり得る。例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、2−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、t−オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基又はオクタデシル基である。炭素原子数36までのアルキル基が可能な場合、炭素原子数1ないし18のアルキル基が好ましい。
−COOH基で置換されたアルキル基としては、例えば、CH2−COOH、CH2−CH2−COOH、(CH23−COOH又はCH2−CHCOOH−CH2CH3である。
ヒドロキシル−又はアルコキシカルボニル基で置換された炭素原子数1ないし18のアルキル基は、例えば、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、メトキシカルボニルメチル基又は2−エトキシカルボニルエチル基であり得る。
2から18個までの炭素原子を有するアルケニル基は、分岐鎖又は未分岐鎖の基、例えば、プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、n−2,4−ペンタジエニル基、3−メチル−2−ブテニル基、n−2−オクテニル基、n−2−ドデセニル基、イソドデセニル基である。
2から18個までの炭素原子を有するアルキニル基は、分岐鎖又は未分岐鎖の基、例えば、プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、イソブチニル基、n−2,4−ペンタジイニル基、3−メチル−2−ブチニル基、n−2−オクチニル基、n−2−ドデシニル基、イソドデシニル基である。
【0016】
アルコキシ基の例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペントキシ基、イソペントキシ基、ヘキソキシ基、ヘプトキシ基又はオクトキシ基である。
炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基は、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基又は2−フェニルエチル基であり、ベンジル基が好ましい。
炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基又はシクロオクチル基である。
炭素原子数5ないし12のシクロアルケニル基は、例えば、3−シクロペンテニル基、3−シクロヘキセニル基又は3−シクロヘプテニル基である。
【0017】
18個までの炭素原子を有する1価カルボン酸の例は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸の異性体、メチルエチル酢酸、トリメチル酢酸、カプロン酸、ラウリン酸又はステアリン酸である。不飽和脂肪酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、リノール酸及びオレイン酸である。
環状脂肪族カルボン酸の典型的な例は、シクロヘキサンカルボン酸又はシクロペンタンカルボン酸である。
芳香族カルボン酸の例は、安息香酸、サリチル酸又は桂皮酸である。
ハロゲン原子は、F、Cl、Br又はIである。
【0018】
炭素原子数1ないし18のアルキレン基は、分岐鎖又は未分岐鎖の基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基又はドデカメチレン基である。
少なくとも1個のO原子で中断された炭素原子数2ないし12のアルキレン橋は、例えば、−CH2−O−CH2−CH2、−CH2−O−CH2−CH2−CH2、−CH2−O−CH2−CH2−CH2−CH2−、−CH2−O−CH2−CH2−O−CH2−である。
アルコキシカルボニル基は、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基又はプロポキシカルボニル基である。
例えば、R1、R2、R3、R4は、メチル基を表すか、又はR1及びR3がエチル基を表し且つR2及びR4がメチル基を表すか、又はR1及びR2がエチル基を表し且つR3及びR4がメチル基を表す。
例えば、R5は、水素原子又はメチル基を表す。
【0019】
本発明の具体的な態様において、R´6は水素原子を表し、R6は、H、OR10、NR1011、−O−C(O)−R10又はNR11−C(O)−R10(R10及びR11は独立して、水素原子、炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数2ないし18のアルケニル基、炭素原子数2ないし18のアルキニル基若しくは少なくとも1個のヒドロキシ基で置換された炭素原子数2ないし18のアルキル基を表すか、又は、もしR6がNR1011の場
合、一緒になって、炭素原子数2ないし12のアルキレン橋若しくは少なくとも1個のO原子によって中断された炭素原子数2ないし12のアルキレン橋を形成する。)を表すか又は
6及びR´6は一緒になって、両方とも水素原子、基=O又は基=N−O−R20(式中、R20は、H又は直鎖若しくは分岐鎖の炭素原子数1ないし18のアルキル基を表す。)を表す。
特に、R6及びR´6は一緒になって、−O−C(R21)(R22)−CH(R23)−O−、−O−CH(R21)−CH22−C(R22)(R23)−O−、−O−CH(R22)−CH2−C(R21)(R23)−O−、−O−CH2−C(R21)(R22)−CH(R23)−O−で表される2価基の一つを形成し、R21、R22及びR23は、上記で定義された通りの意味を有する。
【0020】
本発明のもう一つの態様において、開始剤/調節剤が式(IIb)
【化12】

で表され、置換基R1ないしR7が上記で定義された通りである。
具体的な化合物を表Aに示した。
【表1】

式IIa及びIIbで表される化合物及び、特に表Aに示された化合物は、公知であり、国際公開第99/46261号パンフレット、国際公開第02/48109号パンフレット、米国特許第5721320号明細書又は国際公開第97/36944号パンフレットに記載されているようにして製造し得る。
【0021】
更なるニトロキシル基は、主に、米国特許第4581429号明細書又は欧州特許出願公開第621878号明細書から知られている。
特に有用なものは、国際公開第98/13392号パンフレット、国際公開第99/03894号パンフレット及び国際公開第00/07981号パンフレットに記載された開鎖式化合物、国際公開第99/67298号パンフレット及び英国特許第2335190
号明細書に記載されたピペリジン誘導体又は英国特許第2342649号明細書及び国際公開第96/24629号パンフレットに記載された複素環式化合物である。
また、更に好適なニトロキシル基は、国際公開第02/4805号パンフレット及び国際公開第02/100831号パンフレットに記載されている。
これらのニトロキシル基は、対応するエポキシ官能化ニトロキシルエーテルの製造と同様にして反応させることができる。
同様に好適なものは化合物(106)である。
【化13】

該化合物は、国際公開第96/24620号パンフレットに従って製造することができ、例えば、国際公開第02/48109号パンフレットに記載されているようにしてエポキシ基で官能化することができる。
【0022】
工程a)のラジカル重合方法は公知であり、有機溶媒の存在下で又は水若しくは有機溶媒と水の混合物の存在下で、一括して行い得る。グリコール又は脂肪酸のアンモニウム塩のような更なる補助溶媒又は界面活性剤を存在させてもよい。他の好適な補助溶媒を以下に記載する。
もし有機溶媒を使用するのであれば、好適な溶媒又は溶媒の混合物は、典型的には純粋なアルカン類(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン)、ハロゲン化炭化水素類(クロロベンゼン)、アルカノール類(メタノール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル)、エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル又は酢酸ヘキシル)及びエーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル)、アニソール、第三ブチルベンゼン又はこれらの混合物である。
好ましくは、式(IIa)又は(IIb)で表される化合物は、単量体又は単量体混合物に基づいて、0.001モル%ないし20モル%の量存在する。モノマー混合物が使用される場合、モル%は平均分子量に基づいて計算される。
【0023】
遊離ラジカルの更なる供給源もまた添加し得る。遊離ラジカルの供給源は、例えば、ビス−アゾ化合物、過酸化物、過酸エステル又はヒドロペルオキシドである。
ニトロキシルエーテルのO−C結合の切断は超音波処理、化学光の照射又は加熱のにより達成される。
O−C結合の切断は、好ましくは、過熱により達成され、50℃と180℃の間、より好ましくは90℃から150℃までの温度において行われる。
重合反応は通常、大気圧下で行われる。
重合が完了するか又は意図したモノマーの変換が達成された後、該重合体は、蒸留、水での除去又は沈殿により溶媒及び/又は残存の単量体を除去することにより単離される。
【0024】
工程a)のオリゴマー、共オリゴマー、重合体又は共重合体は、例えば、1.0及び2.5の間の、特に1.1及び2.0の間の多分散性(MW/MN)を有する。
工程a)のオリゴマー、共オリゴマー、重合体又は共重合体は、好ましくは、800から100000ダルトンまでの、より好ましくは、1000から30000ダルトンまでの数分子量平均を有する。
工程a)のオリゴマー、共オリゴマー、重合体又は共重合体は、室温での単離後安定であり、工程b)に用いる前に、数ヶ月間貯蔵することができる。しかしながら、工程a)後直ちに工程b)の反応を行なうことも可能である。
工程b)の重合体は、慣用のグラフト反応又は共重合の何れかによる、反応性基−COOH、−NH2、−NHR´、−C(O)−NHR´、
【化14】

で変性され、従って骨格中に反復ユニットとして、例えば基
【化15】

を有する種々の重合体から選択することができる。
【0025】
反応性基で変性することができる重合体を以下に示す。
1.モノオレフィン類及びジオレフィン類の重合体、例えば、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタン−1−エン、ポリ−4−メチルペンタン−1−エン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレン又はポリブタジエン、同様に、例えば、シクロペンテン又はノルボルネン等のシクロオレフィンの重合体、ポリエチレン(所望により架橋していてもよい。)例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度及び高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度及び超高分子量ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)及び(ULDPE)。
ポリオレフィン類とは、即ち、前段落で例示されたモノオレフィン類の重合体であるが、好ましくは、ポリエチレン及びポリプロピレンであり、異なった、特に以下に示す方法により、製造することができる。
a)ラジカル重合(通常、高圧下及び高温で行われる。)
b)通常、1またはそれ以上の、周期律表のIVb、Vb、VIbまたはVIII族の金属を含有する触媒を使用する触媒重合。これらの金属は、通常、1またはそれ以上の配位子を有しており、典型的な例として、酸化物、ハロゲン化物、アルコラート類、エステル類、エーテル類、アミン類、アルキル類、アルケニル類及び/またはアリール類が挙げられ、それらは、π−またはσ−配位のどちらでもよい。これらの金属錯体は、遊離形または基質(典型的には、活性化された塩化マグネシウム、塩化チタニウム(III)、アルミナまたは酸化ケイ素が挙げられる。)に固定されていてよい。これらの触媒は、重合反応の媒体中に溶解または不溶であってよい。該触媒はそれ自体を重合反応に使用することができるが、更に活性化剤、典型的には、アルキル金属、金属水素化物、ハロゲン化アル
キル金属、金属アルキルオキシドまたは金属アルキルオキシランを用いることもできる。(ここで金属とは、周期律表でIa、IIa及び/またはIIIa族の元素を表す。)該活性化剤は、都合に合わせて、更に、エステル基、エーテル基、アミノ基またはシリルエーテル基で変性されていてよい。これらの触媒システムは、通常、フィリップス(Phillips)、スタンダードオイルインディアナ(Standard Oil Indiana)、チーグラー(ナッタ)(Ziegleer(-Natta))、TNZ(デュポン)、メタロセン又はシングルサイト触媒(SSC)と呼ばれている。
【0026】
2.1)に記載の重合体の混合物、例えば、ポリイソブチレンとポリプロピレンの混合物、ポリエチレンとポリプロピレンの混合物(例えば、PP/HDPE、PP/LDPE)及び異なったタイプのポリエチレンの混合物(例えば、LDPE/HDPE)。
【0027】
3.モノオレフィン及びジオレフィンの互いのまたは他のビニルモノマーとの共重合体、例えば、エチレン/プロピレン共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びその低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブタ−1−エン共重合体、プロピレン/イソブチレン共重合体、エチレン/ブタ−1−エン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、エチレン/メチルペンテン共重合体、エチレン/ヘプテン共重合体、エチレン/オクテン共重合体、エチレン/ビニルシクロヘキサン共重合体、エチレン/シクロオレフィン共重合体(例えば、COCの様なエチレン/ノルボルネン共重合体)、エチレン/1−オレフィン共重合体(1−オレフィンは、その場で発生される。)、プロピレン/ブタジエン共重合体、イソブチレン/イソプレン共重合体、エチレン/ビニルシクロヘキセン共重合体、エチレン/アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン/メタクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体またはエチレン/アクリル酸共重合体及びそれらの塩(イオノマー)、同様に、プロピレン及びジエン、例えば、ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンまたはエチリデン−ノルボルネンとのエチレンの三元重合体;並びにそのような共重合体の、互いの及び上記1)に記載の重合体との混合物、例えば、ポリプロピレン/エチレン−プロピレン共重合体、LDPE/エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、LDPE/エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAA及び交互若しくはランダムポリアルキレン/一酸化炭素共重合体及びそれらの他の重合体、例えばポリアミドとの混合物。
【0028】
4.水素化された変性物(例えば、増粘剤)を包含する炭化水素樹脂(例えば、炭素原子数5ないし9)及びポリアルキレンとデンプンの混合物。
1.)ないし4.)に記載の単独重合体及び共重合体は、シンジオタクチック、イソタクチック、ヘミ−イソタクチックまたはアタクチックの何れの立体構造であってよく、アタクチック重合体が好ましい。立体ブロック重合体もまた包含される。
【0029】
5.ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)。
6.スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの全ての異性体、特にp−ビニルトルエン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン及びビニルアントラセンの全ての異性体並びにそれらの混合物を包含するビニル芳香族性モノマーから誘導される芳香族性単独重合体及び共重合体。単独重合体及び共重合体は、シンジオタクチック、イソタクチック、ヘミ−イソタクチックまたはアタクチックの何れの立体構造であってよく、アタクチック重合体が好ましい。立体ブロック重合体もまた包含される。
【0030】
6a.前述のビニル芳香族性モノマー並びにエチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、無水マレイン酸、マレイミド、酢酸ビニル及び塩化ビニルから選択されるコモノマーを含有する共重合体またはこれらのアクリル酸誘導体及び混合物、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/エチレン(インターポリマー)、ス
チレン/メタクリル酸アルキルエステル、スチレン/ブタジエン/アクリル酸アルキルエステル、スチレン/ブタジエン/メタクリル酸アルキルエステル、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸メチル;スチレン共重合体と他の重合体、例えば、ポリアクリレート、ジエンポリマーまたはエチレン/プロピレン/ジエン 三元重合体の高衝撃強度の混合物;並びにスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンまたはスチレン/エチレン/プロピレン/スチレンの様なスチレンのブロック共重合体。
6b.6.)に記載の重合体の水素化により誘導される水素化芳香族性重合体、特に、アタクチックポリスチレンの水素化により生成されるポリシクロヘキシルエチレン(PCHE)が含まれ、それはしばしばポリビニルシクロヘキサン(PVCH)と呼ばれる。
6c.6a.)に記載の重合体の水素化により誘導される水素化芳香族性重合体。
単独重合体及び共重合体は、シンジオタクチック、イソタクチック、ヘミ−イソタクチックまたはアタクチックの何れの立体構造であってよく、アタクチック重合体が好ましい。立体ブロック重合体もまた包含される。
【0031】
7.スチレンまたはα−メチルスチレンのようなビニル芳香族性モノマーのグラフト共重合体、例えば、ポリブタジエンにスチレン、ポリブタジエン−スチレンまたはポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体にスチレン;ポリブタジエンにスチレン及びアクリロニトリル(またはメタクリロニトリル);ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及びメタクリル酸メチル;ポリブタジエンにスチレン及び無水マレイン酸;ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及び無水マレイン酸またはマレイミド;ポリブタジエンにスチレン及びマレイミド;ポリブタジエンにスチレン及びアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル;エチレン/プロピレン/ジエン三元重合体にスチレン及びアクリロニトリル;ポリアルキルアクリレートまたはポリアルキルメタクリレートにスチレン及びアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエン共重合体にスチレン及びアクリロニトリル、同様に、それらの6)に例示された共重合体との混合物、例えば、ABS、MBS、ASAまたはAES重合体として知られている共重合体混合物。
【0032】
8.ハロゲン含有重合体、例えば、ポリクロロプレン、塩化ゴム、イソブチレン−イソプレンの塩素化または臭素化された共重合体(ハロゲン化ブチルゴム)、塩素化またはスルホ塩素化されたポリエチレン、エチレンと塩素化エチレンの共重合体、エピクロルヒドリンの単独−または共重合体、特にハロゲンを含むビニル化合物の重合体、例えば、ポリビニルクロリド、ポリビニリデンクロリド、ポリビニルフルオリド、ポリビニリデンフルオリド、同様に、これらの共重合体、例えば、塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニルまたは塩化ビニリデン/酢酸ビニル 共重合体。
【0033】
9.α,β−不飽和酸類から誘導される重合体及びそれらの誘導体、例えば、ポリアクリレート及びポリメタクリレート;アクリル酸ブチルで衝撃性が改良されたポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリル。
【0034】
10.9)に記載のモノマーの、互いの、または他の不飽和モノマーとの共重合体、例えば、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/アクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリロニトリル/アクリル酸アルコキシアルキルエステル若しくはアクリロニトリル/ハロゲン化ビニル共重合体またはアクリロニトリル/メタクリル酸アルキルエステル/ブタジエン三元重合体。
【0035】
11.不飽和のアルコール類及びアミン類から誘導される重合体またはそれらのアシル誘導体またはアセタール、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルステアレート、ポリビニルベンゾエート、ポリビニルマレエート、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレートまたはポリアリルメラミン;同様に、1)に記載されたオレ
フィンとのそれらの共重合体。
【0036】
12.環状エーテル類の単独重合体及び共重合体、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはそれらのビスグリシジルエーテル類との共重合体。
13.ポリアセタール類、例えば、ポリオキシメチレン及びコモノマーとしてエチレンオキシドを含むポリオキシメチレン;熱可塑性のポリウレタン、アクリレートまたはMBSで変性されたポリアセタール類。
14.ポリフェニレンオキシド及びスルフィド、並びにスチレン重合体またはポリアミドとのポリフェニレンオキシドの混合物。
15.一方が末端に水酸基を有するポリエーテル類、ポリエステル類またはポリブタジエン類およびもう一方が脂肪族または芳香族のポリイソシアネート類から誘導されるポリウレタン類、同様にこれらの前駆体。
【0037】
16.ジアミン類及びジカルボン酸類及び/またはアミノカルボン酸類若しくは対応するラクタム類から誘導されるポリアミド類及びコポリアミド類、例えば、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレンジアミンとアジピン酸から導かれる芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸及び/またはテレフタル酸から、改質剤としてエラストマーの存在下または非存在下で生成されるポリアミド類、例えば、ポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミドまたはポリ−m−フェニレンイソフタルアミド;並びに前述のポリアミド類のポリオレフィン類、オレフィン共重合体、イオノマーまたは化学的に結合した若しくはグラフトされたエラストマーとの;或いは、ポリエーテル類、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールとのブロック共重合体;同様に、EPDMまたはABSで変性されたポリアミド類またはコポリアミド類;及び加工中に縮合させたポリアミド類(RIMポリアミドシステム)。
【0038】
17.ポリウレア類、ポリイミド類、ポリアミド−イミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエステルイミド類、ポリヒダントイン類及びポリベンズイミダゾール類。
18.ジカルボン酸類及びジオール類及び/またはヒドロキシカルボン酸若しくは対応するラクトン類から誘導されるポリエステル類、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート(PAN)及びポリヒドロキシベンゾエート、同様に、末端に水酸基を有するポリエーテル類から誘導されるブロックコポリエーテルエステル類;並びにポリカーボネート類またはMBSで変性されたポリエステル類。
19.ポリカーボネート類及びポリエステルカーボネート類
20.ポリケトン類
21.ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類及びポリエーテルケトン類。
22.セルロース、ゴム、ゼラチンのような天然重合物及びそれらの化学的に変性された類似の誘導体、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート及びセルロースブチレート、またはメチルセルロース等のセルロースエーテル類;同様に、松脂およびそれらの誘導体。
【0039】
23.前述の重合体のブレンド(ポリブレンド)、例えば、PP/EPDM、ポリアミド/EPDM若しくはABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6及び共重合体、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABSまたはPBT/PET/PC。ブレ
ンドする場合、1成分だけが反応性基で変性されていれば充分である。
【0040】
好ましい態様において、工程b)の共重合体は、グラフト構造内に官能基Xを有するグラフト共重合体である。
例えば、工程b)の共重合体は、ポリプロピレン(PP)−グラフト(g)−無水マレイン酸(MAA)、エチレン−プロピレン−ジエン単量体(EPDM)−g−MAA、ポリエチレン(PE)−g−MAA、高密度ポリエチレン(HDPE)−g−MAA、PP−g−アクリル酸(AA)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)−g−MAA、PE−co−PEA−g−MAA、PE−co−ポリビニルアセテート(PVA)−g−MAA、PE−co−PP−g−MAA、ポリスチレン(PS)−co−水素化ポリイソプレン−g−MAA、ポリスチレン−co−ポリブタジエン(PS)−g−MAA、PS−co−PE/ポリブチレン−co−PS−g−MAA、ポリエチレン(PE)−g−アクリル酸、ポリプロピレン(PP)−g−アクリル酸、ポリスチレン(PS)−co−無水マレイン酸(MAA)(交互共重合体)及びアクリル酸アミノエチル−co−ポリスチレン(PS)からなる群より選択される。
特に、工程b)の共重合体は、PP−g−MAA又はEPDM−g−MAAである。
【0041】
上述の重合体は公知であり、広範な市販品目に及ぶ。
市販品として入手可能な重合体の例は以下の通りである。
エクセロール(Exxelor(登録商標))PO1020(PP−g−MAA、エクソン(Exxon))
エクセロール(Exxelor(登録商標))VA1803(EPDM−g−MAA、エクソン(Exxon))
セプトン(Septon(登録商標))KL−01M2(ジブロック共重合体 PS−co−水素化ポリイソプレン−g−MMA、クラレ(Kuraray))
クラトン(Kraton(登録商標))FG1901X(トリブロック共重合体 PS−co−PE/ポリブチレン−co−PS−g−MAA)
ポリボンド(Polybond(登録商標))3009(HDPE−g−MAA、クロンプトンコーポレーション(Crompton Corp.))
ポリボンド(Polybond(登録商標))1001(PP−g−AA、クロンプトンコーポレーション(Crompton Corp.))
ロイヤルタフ(Royaltuf(登録商標))465A(EPDM−g−MAA、ユニロイヤル(Uniroyal))
フサボンド(Fusabond(登録商標))MF−416D(ジブロック共重合体 PE−co−PP−g−MAA、デュポン(DuPont))
フサボンド(Fusabond(登録商標))MB−226D(LLDPE−g−MAA、デュポン(DuPont))
ロターダー(Lotader(登録商標))(PE−co−PEA−g−MAA(GMA)、アトフィナ(Atofina))
ヌクレル(Nucrel(登録商標))(PE−g−MAA、デュポン(DuPont))
オレバック(Orevac(登録商標))(PE−co−PVA−g−MAA、アトフィナ(Atofina))
アドマー(Admer(登録商標))(PE−co−PVA−g−MAA、三井石油化学(MitsuiPetroch.))
非常に好適な市販の共重合体は、例えば、エクセロール(Exxelor(登録商標))PO1020(PP−g−MAA、エクソン(Exxon))及びエクセロール(Exxelor(登録商標))VA1803(EPDM−g−MAA、エクソン(Exxon))である。
【0042】
工程a)の重合体又は共重合体が工程b)の共重合体に、例えば、工程b)の共重合体の質量に基づいて0.1質量%から100質量%までの量で添加される。
該方法の工程b)は、重合体溶融物を混合するのに適した如何なる反応器においても行ない得る。例えば、重合体溶融物を混合するのに適した機器は、ミキサ、ニーダー又は押出機である。
好ましくは、反応器は、例えば、“Handbuch der Kunststoffextrusion”1巻、編集者、F.ヘンセン(Hensen)、W.ナッペ(Knappe)及びH.ポテンテ(Potente)、1989年、3−7頁に記載されたような押出機又はニーダー器である。もし押出機が使用される場合、該方法は反応型押出方法として記載されうる。
それらは、一軸スクリュー押出機、反転若しくは共回転の二軸スクリュー押出機、遊星ギア押出機、リング押出機又は共ニーダーを使用しえる。真空を適用し得る少なくとも1個のガス除去区画を備えた加工機もまた使用することができる。
【0043】
反応型押出の機器及び方法の例は、G.H.ヒュー(Hu)他による、“Reactive Modifiers for Polymers”初版、Blackie Academic & Professional an Imprint of Chapman & Hall、ロンドン、1997年、1章、1−97頁において示される。
例えば、もし押出機が使用される場合、押出の間、200ミリバール以下の減圧が適用される。揮発性の副生物はこれにより取り除かれる。
もう一つの方法として、反応は、少なくとも工程b)の重合体を部分的に溶解し得る好適な溶媒中で行うことができる。好適な溶媒は、例えば、トルエン、PP−g−MAAのためのデカリン、SBS−g−MAAのためのクロロ−又はジクロロベンゼンである。
【0044】
加工温度及び反応時間は、ポリマーのタイプ及びエポキシを末端に有する官能化されたNO−オリゴマー/重合体に依存する。
該温度は、充分に加工性の均一な溶融物を与えるために、通常、重合体/オリゴマーの軟化点より高い。反応時間は最大のグラフト収率を達成するために選択される。典型的な反応時間は、数分ないし1時間である。好ましくは、反応時間は1分ないし1時間、最も好ましくは、2分ないし20分である。
典型的には、工程b)の加工温度は、150℃ないし250℃範囲である。
【0045】
本発明の更なる観点は、上記の式(I)で表される開始剤/調節剤の存在下、少なくとも1個のエチレン性不飽和単量体を重合させることにより調製される重合体又は共重合体と、−COOH、−NH2、−NHR´、−C(O)−NHR´、
【化16】

からなる群より選択される、結合された官能基Xを有するか、又は骨格中に反復ユニットとして基X
【化17】

を有するランダム、ブロック又はグラフト共重合体を含有する組成物である。
【0046】
同様に本発明の観点は、上記の方法により得られる櫛形共重合体である。
本発明はまた、式(III)
【化18】

(式中、A及びDは少なくとも1個のエチレン性不飽和単量体から誘導される反復ユニットを表し、aは1から100までの数を表し、dは1から100までの数を表し、nは1から1000までの数を表し、Z1は請求項1で定義された基Xと請求項1の工程a)で
定義された重合体のエポキシ基の反応生成物を表し、Wは請求項1の工程a)で定義された重合体の反復ユニットを表し、mは5から1000までの数を表し、Lは炭素原子数1ないし18のアルキレン基、フェニレン基、フェニル基で置換された炭素原子数1ないし18のアルキレン−オキシ基、フェニレン−炭素原子数1ないし18のアルキレン基、炭素原子数1ないし18のアルキレン−フェニレン基、炭素原子数1ないし18のアルキレン−フェニレン−オキシ基及び炭素原子数5ないし12のシクロアルキレン基からなる群より選択される結合基を表し、及び
p及びRqは独立して、未置換又は1個以上の電子吸引基若しくはフェニル基で置換された、第三級に結合された炭素原子数4ないし28のアルキル基又は炭素原子数3ないし17の第二級に結合されたアルキル基を表すか;又は
p及びRqは一緒になって、少なくとも4個の炭素原子数1ないし4のアルキル基で置換され、更なる窒素原子又は酸素原子で中断されてもよい5,6又は7員複素環を形成する。)で表される重合体を包含する。
【0047】
特に、重合体は、式(IIIa)
【化19】

で表され、R1ないしR8は上記で定義された通りである。
例えば、Z1は炭素原子を介して重合体骨格に結合する、基−C(O)−O−又は基
【化20】

である。
【0048】
個々の置換基のための定義及び好ましいものは既に重合の方法のために示されている。これらは、本発明の他の観点のためにも適用される。
本発明により製造される櫛形共重合体は、以下に示す用途に有用である。
接着剤、分散剤、乳化剤、界面活性剤、消泡剤、接着促進剤、腐食防止剤、粘度改善剤、滑剤、レオロジー変性剤、増粘剤、架橋剤、紙処理剤、水処理剤、電子材料、塗料、被覆剤、超吸収剤、化粧品、ヘア製品、殺生物材料又はアスファルト、皮、織物、障壁材料、セラミック及び木材の改質剤。
従って、本発明の更なる観点は、上記の方法により調製される櫛形共重合体の、分散剤、相溶剤、カップリング剤、バリヤ剤、接着剤及び表面改質剤又は耐衝撃性改良剤としての使用である。
【実施例】
【0049】
以下の実施例で本発明を説明する。
以下に示す開始剤/調節剤化合物は、制御遊離ラジカル重合(工程a)のために使用された。
3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデカン(化合物103、表A)。
該化合物は、国際公開第02/48109号パンフレット、実施例A2に記載されているようにして製造される。
【0050】
実施例A1) 工程a)に従ったエポキシを末端に有するポリスチレンの合成
スチレンは使用する前に減圧下で蒸留した。乾燥した、アルゴンパージされたガラス容器中において、1モル%の3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデカンを814.1gのスチレン中に溶解した。該溶液は、三回の連続した凍結融解サイクルで脱気し、その後アルゴンでパージした。攪拌された溶液はその後、油浴中に浸し、125℃で6時間重合した。重合の後、残存の単量体を70℃、減圧下で除去し、該重合体を質量が一定になるまで真空オーブン中、70℃で乾燥した。数平均分子量は、ヒューレットパッカート(Hewlett Packart)HP1090LC(カラム PSS1、長さ 60cm、テトラヒドロフラン(THF)で溶離、流速 1mL/min、濃度 1mLTHF中10mg重合体、スチレンで較正)を用いたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により決定した。多分散性は、PD=Mw/MnとしてMn(g/mol)及びMw(g/mol)から計算した。
重合体1=エポキシを末端に有するポリスチレン(Mn=5900g/mol)
エポキシ含有率>95%(1H−NMRより決定)
【0051】
実施例A2) 工程a)に従ったエポキシを末端に有するSANの合成
スチレンは使用する前に減圧下で蒸留し、アクリロニトリルは未蒸留で使用した。乾燥した、2Lのビューチオートクレーブ(Buchi−autklave)中において、1
モル%の3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデカンを1125gのスチレン及び375gのアクリロニトリル中に溶解した。該溶液は、脱気し、その後アルゴンでパージした。攪拌された溶液はその後、油浴中に浸し、110℃で6時間重合した。重合の後、重合体はメタノール中で沈殿され、質量が一定になるまで真空オーブン中、40℃で乾燥した。数平均分子量は、ヒューレットパッカート(Hewlett Packart)HP1090LC(カラム PSS1、長さ 60cm、テトラヒドロフラン(THF)で溶離、流速 1mL/min、濃度 1mLTHF中10mg重合体、スチレンで較正)を用いたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により決定した。多分散性は、PD=Mw/MnとしてMn(g/mol)及びMw(g/mol)から計算した。
重合体2=エポキシを末端に有するSAN(Mn=3550g/mol)
エポキシ含有率>95%(1H−NMRより決定)
【0052】
実施例A3) 工程a)に従ったエポキシを末端に有するPS−co−PMMAの合成
スチレン及びMMAは使用する前に減圧下で蒸留した。乾燥した、2Lのビューチオートクレーブ(Buchi−autklave)中において、1モル%の3,3,8,8,10,10−ヘキサメチル−9−[1−(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−エトキシ]−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデカンを750g(重合体4のためには375g)のスチレン及び750g(重合体4のためには1125g)のMMA中に溶解した。該溶液は、脱気し、その後アルゴンでパージした。攪拌された溶液はその後、油浴中に浸し、110℃で6時間重合した。重合の後、重合体はメタノール中で沈殿され、質量が一定になるまで真空オーブン中、40℃で乾燥した。数平均分子量は、ヒューレットパッカート(Hewlett Packart)HP1090LC(カラム
PSS1、長さ 60cm、テトラヒドロフラン(THF)で溶離、流速 1mL/min、濃度 1mLTHF中10mg重合体、スチレンで較正)を用いたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により決定した。多分散性は、PD=Mw/MnとしてMn(g/
mol)及びMw(g/mol)から計算した。
重合体3=エポキシを末端に有するPS−co−PMMA(1:1)(Mn=3650g
/mol)
エポキシ含有率>95%(1H−NMRより決定)
重合体4=エポキシを末端に有するPS−co−PMMA(1:3)(Mn=4610g
/mol)
エポキシ含有率>95%(1H−NMRより決定)
【0053】
実施例B1)B2) PP−g−MAAへの実施例A1の重合体1のグラフト化
350gのPP−g−MAAを、二軸スクリュー押出機(ハーク(Haake)TW100)中、それぞれ35g(10%)70g(20%)の重合体1(表1参照)の存在下、150℃及び60rpmで押出した。得られた重合体をストランド粒状化し、MFRをISO1133に従って決定した。少量の未反応の重合体1を、130℃で1,2−ジクロロベンゼンに該試料を溶解することにより除去した。櫛形重合体をメタノール中で沈殿し、真空オーブン中、90℃で乾燥した。
数平均分子量を、ポリマーラボラトリーズ(Polymer Laboratories)PL−GPC220(カラム ウォーターズ(waters)HT2、HT3、HT4、HT5、HT6、140℃で1,2,4−トリクロロベンゼンで溶離、インジェクション容量 1μL、RI検出、ポリマーラボラトリーズ(Polymer Laboratories)の10種のポリスチレン標準品を用いて較正(分子量アレイ 580−7、5*106)、ソフトウェア:PSS WINGPC V.6.02)を用いる高温ゲ
ル透過クロマトグラフィー(HT−GPC)により決定した。多分散性は、PD=Mw
nとしてMn(g/mol)及びMw(g/mol)から計算した。
結果を表1に示した。
【表2】

リファレンス:重合体1未添加
PP−g−MAA:エクセロール(Exxelor)PO1020(市販製品、エクソン(Exxon))
MFR:190℃;1.2kg
【0054】
実施例B3)B4) EPDM−g−MAAへの重合体1のグラフト化
350gのEPDM−g−MAAを、二軸スクリュー押出機(ハーク(Haake)TW100)中、35g(10%)の重合体1(表2参照)の存在下、それぞれ190℃(B3)及び210℃(B4)及び50rpmで押出した。得られた重合体をストランド粒状化し、MFRをISO1133に従って決定した。少量の未反応の重合体1を、130℃で1,2−ジクロロベンゼンに該試料を溶解することにより除去した。櫛形重合体をメタノール中で沈殿し、真空オーブン中、90℃で乾燥した。
数平均分子量を、ポリマーラボラトリーズ(Polymer Laboratories)PL−GPC220(カラム ウォーターズ(waters)HT2、HT3、HT4、HT5、HT6、140℃で1,2,4−トリクロロベンゼンで溶離、インジェクション容量 1μL、RI検出、ポリマーラボラトリーズ(Polymer Laboratories)の10種のポリスチレン標準品を用いて較正(分子量アレイ 580−7、5*106)、ソフトウェア:PSS WINGPC V.6.02)を用いる高温ゲ
ル透過クロマトグラフィー(HT−GPC)により決定した。多分散性は、PD=Mw
nとしてMn(g/mol)及びMw(g/mol)から計算した。
結果を表2に示した。
【表3】

リファレンス:重合体1未添加
EPDM−g−MAA:エクセロール(Exxelor)VA1803(市販製品、エクソン(Exxon))
MFR:200℃;21.6kg
【0055】
実施例B5) PP−g−MAAへの実施例A2の重合体2のグラフト化
350gのPP−g−MAAを、二軸スクリュー押出機(ハーク(Haake)TW100)中、70g(20%)の重合体2(表3参照)の存在下、150℃及び40rpmで押出した。得られた重合体をストランド粒状化し、MFRをISO1133に従って決定した。
数平均分子量を、ポリマーラボラトリーズ(Polymer Laboratories)PL−GPC220(カラム ウォーターズ(waters)HT2、HT3、HT4、HT5、HT6、140℃で1,2,4−トリクロロベンゼンで溶離、インジェクション容量 1μL、RI検出、ポリマーラボラトリーズ(Polymer Laboratories)の10種のポリスチレン標準品を用いて較正(分子量アレイ 580−7、5*106)、ソフトウェア:PSS WINGPC V.6.02)を用いる高温ゲ
ル透過クロマトグラフィー(HT−GPC)により決定した。多分散性は、PD=Mw
nとしてMn(g/mol)及びMw(g/mol)から計算した。
結果を表3に示した。
【表4】

リファレンス:重合体2未添加
PP−g−MAA:エクセロール(Exxelor)PO1020(市販製品、エクソン(Exxon))
MFR:190℃;1.2kg
【0056】
実施例B6)B7) PP−g−MAAへの実施例A3の重合体3及び重合体4のグラフト化
350gのPP−g−MAAを、二軸スクリュー押出機(ハーク(Haake)TW100)中、35g(10%)の重合体3又は重合体4(表4参照)の存在下、150℃及び40rpmで押出した。得られた重合体をストランド粒状化し、MFRをISO1133に従って決定した。
数平均分子量を、ポリマーラボラトリーズ(Polymer Laboratories)PL−GPC220(カラム ウォーターズ(waters)HT2、HT3、HT4、HT5、HT6、140℃で1,2,4−トリクロロベンゼンで溶離、インジェクション容量 1μL、RI検出、ポリマーラボラトリーズ(Polymer Laboratories)の10種のポリスチレン標準品を用いて較正(分子量アレイ 580−7、5*106)、ソフトウェア:PSS WINGPC V.6.02)を用いる高温ゲ
ル透過クロマトグラフィー(HT−GPC)により決定した。多分散性は、PD=Mw
nとしてMn(g/mol)及びMw(g/mol)から計算した。
結果を表4に示した。
【表5】

リファレンス:重合体3又は重合体4未添加
PP−g−MAA:エクセロール(Exxelor)PO1020(市販製品、エクソン(Exxon))
MFR:190℃;1.2kg


【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程
a)式(I)
【化1】

(式中、Lは炭素原子数1ないし18のアルキレン基、フェニレン基、フェニル基で置換された炭素原子数1ないし18のアルキレン−オキシ基、フェニレン−炭素原子数1ないし18のアルキレン基、炭素原子数1ないし18のアルキレン−フェニレン基、炭素原子数1ないし18のアルキレン−フェニレン−オキシ基及び炭素原子数5ないし12のシクロアルキレン基からなる群より選択される架橋基を表し;
p及びRqは独立して、未置換又は1個以上の電子吸引基若しくはフェニル基で置換された、第三級に結合された炭素原子数4ないし28のアルキル基又は炭素原子数3ないし17の第二級に結合されたアルキル基を表すか;又は
p及びRqは一緒になって、少なくとも4個の炭素原子数1ないし4のアルキル基で置換され、更なる窒素原子又は酸素原子で中断されてもよい5,6又は7員複素環を形成する。)で表される開始剤/調節剤の存在下でエチレン性不飽和単量体をオリゴマー、共オリゴマー、重合体又は共重合体に重合すること;及び第二工程
b)重合体溶融物を混合するのに適した装置中での溶融において、a)で調製した重合体又は共重合体を−COOH、−NH2、−NHR´、−C(O)−NHR´、
【化2】

(式中、R´は炭素原子数1ないし18のアルキル基を表す。)からなる群より選択される、結合された官能基Xを有するか、又は骨格中に反復ユニットとして基X
【化3】

を有するランダム、ブロック又はグラフト共重合体と反応させる
工程を含む櫛形共重合体の製造方法。
【請求項2】
工程a)のエチレン性不飽和単量体が、スチレン、置換スチレン、共役ジエン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、無水マレイン酸、無水(アルキル)アクリル酸、(アルキル)アクリル酸塩、(アルキル)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(アルキル)アクリルアミド、ハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデンからなる群より選択される請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程a)において、エチレン性不飽和単量体が、スチレン、置換スチレン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸第三ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド又はジメチルアミノプロピル−メタクリルアミドである請求項2記載の方法。
【請求項4】
開始剤/調節剤が式(IIa)
【化4】

{式中、R1、R2、R3及びR4は互いに独立して炭素原子数1ないし4のアルキル基を表し;R5は水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表し;R´6は水素原子を表し、R6は、H、OR10、NR1011、−OC(O)−R10又はNR11−C(O)−R10
(R10及びR11は独立して、水素原子、炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数2ないし18のアルケニル基、炭素原子数2ないし18のアルキニル基若しくは少なくとも1個のヒドロキシ基で置換された炭素原子数2ないし18のアルキル基を表すか、又は、もしR6がNR1011の場合、一緒になって、炭素原子数2ないし12のアルキレン
橋若しくは少なくとも1個のO原子によって中断された炭素原子数2ないし12のアルキレン橋を形成する。)を表すか又は
6及びR´6は一緒になって、両方とも水素原子、基=O又は基=N−O−R20[式中、R20は、H、未置換又は1個以上のOH、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基、カルボキシ基、炭素原子数1ないし8のアルコキシカルボニル基で置換されていもよい直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1ないし18のアルキル基、3ないし18のアルケニル基又は炭素原子数3ないし18のアルキニル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基又は炭素原子数5ないし12のシクロアルケニル基;未置換又は1個以上の炭素原子数1ないし8のアルキル基、ハロゲン原子、OH、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基、カルボキシ基、炭素原子数1ないし8のアルコキシカルボニル基で置換されていもよいフェニル基、炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基又はナフチル基;−C(O)−炭素原子数1ないし36のアルキル基、又は3ないし5個の炭素原子を有するα,β−不飽和カルボン酸のアシル部分若しくは7ないし15個の炭素原子を有する芳香族カルボン酸のアシル部分;−SO3-+、−PO(O-+2、−P(O)(OR22、−SO2−R2、−CO−NH−R2、−CONH2、COOR2又はSi(Me)3(式中、Q+はH+、アンモニウム又はアルカリ金属カチオンを表す。)を表す。]を表すか又は
6及びR´6は独立して、−O−炭素原子数1ないし12のアルキル基、−O−炭素原子数3ないし12のアルケニル基、−O−炭素原子数3ないし12のアルキニル基、−O−炭素原子数5ないし8のシクロアルキル基、−O−フェニル基、−O−ナフチル基、−O−炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基を表すか又は
6及びR´6は一緒になって、−O−C(R21)(R22)−CH(R23)−O−、−O−CH(R21)−CH22−C(R22)(R23)−O−、−O−CH(R22)−CH2−C(
21)(R23)−O−、−O−CH2−C(R21)(R22)−CH(R23)−O−、−O
−o−フェニレン−O−、−O−1,2−シクロヘキシリデン−O−、−O−CH2−C
H=CH−CH2−O−又は
【化5】

(式中、R21は水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、COOH、COO−(炭素原子数1ないし12)アルキル基又はCH2OR24を表し;
22及びR23は独立して、水素原子、メチル基、エチル基、COOH又はCOO−(炭素原子数1ないし12)アルキル基を表し;
24は水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ベンジル基、又は18個までの炭素原子を有する脂肪族、環状脂肪族若しくは芳香族の1価カルボン酸から誘導される1価アシル残基を表す。)で表される2価基の一つを形成し;及び
7及びR8は独立して、水素原子又は炭素原子数1ないし18のアルキル基を表す。}で表される請求項1記載の方法。
【請求項5】
1、R2、R3、R4がメチル基を表すか、又はR1及びR3がエチル基を表し且つR2及び
4がメチル基を表すか、又はR1及びR2がエチル基を表し且つR3及びR4がメチル基を
表す請求項4記載の方法。
【請求項6】
5が水素原子又はメチル基を表す請求項4記載の方法。
【請求項7】
R´6は水素原子を表し、R6は、H、OR10、NR1011、−O−C(O)−R10又はNR11−C(O)−R10(R10及びR11は独立して、水素原子、炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数2ないし18のアルケニル基、炭素原子数2ないし18のアルキニル基若しくは少なくとも1個のヒドロキシ基で置換された炭素原子数2ないし18のアルキル基を表すか、又は、もしR6がNR1011の場合、一緒になって、炭素原子数2な
いし12のアルキレン橋若しくは少なくとも1個のO原子によって中断された炭素原子数2ないし12のアルキレン橋を形成する。)を表すか又は
6及びR´6は一緒になって、両方とも水素原子、基=O又は基=N−O−R20(式中、R20は、H又は直鎖若しくは分岐鎖の炭素原子数1ないし18のアルキル基を表す。)を表す請求項4記載の方法。
【請求項8】
6及びR´6は一緒になって、−O−C(R21)(R22)−CH(R23)−O−、−O−CH(R21)−CH22−C(R22)(R23)−O−、−O−CH(R22)−CH2−C(
21)(R23)−O−、−O−CH2−C(R21)(R22)−CH(R23)−O−で表さ
れる2価基の一つを形成し、R21、R22及びR23は、請求項4で定義された通りの意味を有する請求項4記載の方法。
【請求項9】
開始剤/調節剤が式(IIb)
【化6】

で表され、置換基R1ないしR7が請求項4で定義された通りである請求項1記載の方法。
【請求項10】
工程b)の共重合体がグラフト構造内に官能基Xを有するグラフト共重合体である請求項1記載の方法。
【請求項11】
工程b)の共重合体が、ポリプロピレン(PP)−グラフト(g)−無水マレイン酸(MAA)、エチレン−プロピレン−ジエン単量体(EPDM)−g−MAA、ポリエチレン(PE)−g−MAA、高密度ポリエチレン(HDPE)−g−MAA、PP−g−アクリル酸(AA)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)−g−MAA、PE−co−PEA−g−MAA、PE−co−ポリビニルアセテート(PVA)−g−MAA、PE−co−PP−g−MAA、ポリスチレン(PS)−co−水素化ポリイソプレン−g−MAA、ポリスチレン−co−ポリブタジエン(PS)−g−MAA、PS−co−PE/ポリブチレン−co−PS−g−MAA、ポリエチレン(PE)−g−アクリル酸、ポリプロピレン(PP)−g−アクリル酸、ポリスチレン(PS)−co−無水マレイン酸(MAA)(交互共重合体)及びアクリル酸アミノエチル−co−ポリスチレン(PS)からなる群より選択される請求項10記載の方法。
【請求項12】
工程b)の共重合体がPP−g−MAA又はEPDM−g−MAAである請求項11記載の方法。
【請求項13】
工程a)の重合体又は共重合体が工程b)の共重合体に、工程b)の共重合体の質量に基づいて0.1質量%から100質量%までの量で添加される請求項1記載の方法。
【請求項14】
工程a)のオリゴマー、共オリゴマー、重合体又は共重合体が1.0ないし2.5の多分散性を有する請求項1記載の方法。
【請求項15】
重合体溶融物を混合するのに適した機器が、ミキサ、ニーダー又は押出機である請求項1記載の方法。
【請求項16】
工程b)の加工温度が150℃ないし250℃である請求項1記載の方法。
【請求項17】
請求項1記載の式(I)で表される開始剤/調節剤の存在下、少なくとも1個のエチレン性不飽和単量体を重合させることにより調製される重合体又は共重合体と、−COOH、−NH2、−NHR´、−C(O)−NHR´(式中、R´は炭素原子数1ないし18の
アルキル基を表す。)、
【化7】

からなる群より選択される、結合された官能基Xを有するか、又は骨格中に反復ユニットとして基X
【化8】

を有するランダム、ブロック又はグラフト共重合体を含有する組成物。
【請求項18】
請求項1記載の方法により得られる櫛形共重合体。
【請求項19】
式(III)
【化9】

(式中、A及びDは少なくとも1個のエチレン性不飽和単量体から誘導される反復ユニットを表し、aは1から100までの数を表し、dは1から100までの数を表し、nは1から1000までの数を表し、Z1は請求項1で定義された基Xと請求項1の工程a)で
定義された重合体のエポキシ基との反応生成物を表し、Wは請求項1の工程a)で定義された重合体の反復ユニットを表し、mは5から1000までの数を表し、Lは炭素原子数1ないし18のアルキレン基、フェニレン基、フェニル基で置換された炭素原子数1ないし18のアルキレン−オキシ基、フェニレン−炭素原子数1ないし18のアルキレン基、炭素原子数1ないし18のアルキレン−フェニレン基、炭素原子数1ないし18のアルキレン−フェニレン−オキシ基及び炭素原子数5ないし12のシクロアルキレン基からなる群より選択される結合基を表し、及び
p及びRqは独立して、未置換又は1個以上の電子吸引基若しくはフェニル基で置換された、第三級に結合された炭素原子数4ないし28のアルキル基又は炭素原子数3ないし17の第二級に結合されたアルキル基を表すか;又は
p及びRqは一緒になって、少なくとも4個の炭素原子数1ないし4のアルキル基で置換され、更なる窒素原子又は酸素原子で中断されてもよい5,6又は7員複素環を形成する。)で表される重合体。
【請求項20】
重合体が式(IIIa)
【化10】

で表され、R1ないしR8は請求項4で定義された通りである請求項19記載の重合体。
【請求項21】
1が炭素原子を介して重合体骨格に結合する、基−C(CO)−O−又は基
【化11】

である請求項20記載の重合体。
【請求項22】
請求項1記載の方法により調製される櫛形共重合体の、分散剤、相溶剤、カップリング剤、バリヤ剤、接着剤及び表面改質剤又は耐衝撃性改良剤としての使用。


【公表番号】特表2006−517248(P2006−517248A)
【公表日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501995(P2006−501995)
【出願日】平成16年2月2日(2004.2.2)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050063
【国際公開番号】WO2004/069887
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】