特定の細孔充填剤を使用して多孔性担体上に多孔性無機コーティングを調製する方法
特定の細孔充填剤を使用して多孔性担体上に多孔性無機コーティングを調製する方法、および多孔性無機コーティングによりコーティングされた多孔性担体。多孔性無機コーティングは、例えば液体−液体、液体−微粒子、気体−気体、または気体−微粒子分離用途に有用な膜として利用し得る。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、いずれもここに参照することにより引用される、2007年7月19日に出願された米国出願第11/880,066号および2007年5月31日に出願された米国仮出願第60/932,469号に優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、特定の細孔充填剤を使用して多孔性担体上に多孔性無機コーティングを調製する方法、および多孔性無機コーティングで被覆された多孔性担体に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、多孔性セラミック担体上の多孔性コーティングとして無機膜を使用してもよい。無機膜には、有機膜と比較していくつかの利点がある。無機膜は、例えば、一般的に膜が極端なpHおよび化学環境で使用されることを可能にする高い化学および温度安定性を有する。さらに、無機膜は、焼成のような高温処理を適用することにより容易に洗浄できる。
【0004】
無機膜は、環境、生物、食物および飲料、半導体、化学、石油化学製品、ガスおよびエネルギー産業における濾過および分離用途に使用してもよい。これらの産業はしばしば、精製されたガス/気体または精製された液体を必要とし、それらの供給源は異なるガスおよび/または液体/特定の組合せからなる混合供給流である。具体的な例には、水素ガスの生成および分離、二酸化炭素ガスの隔離(sequestration)、油/水の濾過、廃水処理、ワインおよびジュースの濾過、液流からの細菌およびウィルスの濾過、バイオマスからのエタノールの分離、および半導体およびマイクロエレクトロニクス産業のための高純度のガスおよび水の生成が含まれる。
【0005】
無機膜の製造において、多孔性無機コーティング層は、例えばセラミック担体をコーティングスリップ(slip)に漬けることにより調製できる。コーティングされたセラミック担体は、次にスリップから引き上げられ、乾燥され焼成される。無機膜において高い流量および分離効率を得るために、担体の細孔サイズは、できる限り大きくすべきであり(例えば、流量を最大にするために)、一方でその上のコーティング層は好ましくはできる限り小さい無機粒子からなる(例えば、分離効率を最大にする作用をする分離または濾過作用を有する小さい細孔を形成するために)。しかしながら、小さい粒子で担体表面上の大きい細孔を有効にカバーするのは困難である。例えば、従来のコーティング工程中、担体中の細孔を部分的に充填する無機粒子の結果として、コーティング層に亀裂やピンホールが形成され得る。さらに、従来のコーティング工程中、コーティング粒子は、担体上に連続層を形成する代わりに担体の細孔中に浸透する傾向がある。粒子の浸透は、より広い細孔サイズ分布を有する担体についてより深刻である。上記の問題は、分離効率に悪影響を与え得る。
【0006】
これらの問題をできるだけ小さくするために、ある方法には、無機粒子の複数のコーティング層の使用が含まれ、大きい粒子の層の使用後に層毎に徐々により小さい粒子を有する層を使用する。しかしながら、この方法はしばしば、特に担体の細孔のサイズが5μmより大きい場合に、過度に多い複数のコーティングステップを必要とする点で非効率的になり得る。さらに、これらの複数層のコーティング層は、好ましくない厚いおよび粗い層を生じ得る。
【0007】
他の工程は、亀裂およびピンホールをできるだけ小さくするために、表面をコーティングする前に担体表面を改変しようとする。例えば、ある方法は、無機粒子でコーティングする前に、担体に水、または特許文献1に記載されるようにアセトンを染み込ませてもよい。これらの方法における1つの問題は、液体(すなわち水またはアセトン)が、無機コーティング材料を担体の細孔に引き込み得ることである。非特許文献1に記載されるさらに別の方法は、ポリビニルアルコール(PVA)溶液でセラミック担体を前処理する工程を含む。そのような工程から調製される膜は、まだピンホールを含み、担体が5μmより大きい細孔を含む場合は不連続の構造を有する。特許文献2および3に記載される方法は同様に、無機コーティングの塗布前に担体を改変する技術を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,412,921号明細書
【特許文献2】欧州特許第0 320 033号明細書
【特許文献3】欧州特許第0 524 678号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kim et al., Advanced Materials, 14(15), 2002 (1078-1081)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記に鑑みると、当該技術において、相対的に大きい細孔サイズまたは細孔サイズ分布を有する担体上に相対的に小さい無機粒子の膜を堆積するより好ましい方法が必要とされる。
【発明を解決するための手段】
【0011】
本発明は、特定の細孔充填剤(すなわち、無機コーティングの塗布前に多孔性担体の細孔を充填する細孔充填剤)を使用して多孔性担体上に多孔性無機コーティングを調製する方法、および多孔性無機コーティングで被覆された多孔性担体に関する。本発明の方法は、
多孔性担体であって、第1の端部、第2の端部、および、多孔性壁により定められる表面を有し前記第1の端部から前記第2の端部まで前記担体に亘って延在する複数の内部チャンネルを有する多孔性担体を提供し;
前記内部チャンネル表面に、タンパク質粒子、でんぷん粒子、合成ポリマー粒子、およびそれらの組合せから選択される有機細孔充填材料を含む組成物を塗布することにより、前記担体の内部チャンネル表面を改変し;
前記改変された内部チャンネル表面に、無機粒子を含むコーティングを塗布し;および
前記コーティングされた担体を加熱して、前記有機細孔充填材料を除去し、前記多孔性担体上に多孔性無機コーティングを残す、
各工程を含む。有機細孔充填剤材料を含む組成物の1つの例は、タンパク質粒子を含むスキムミルクである。
【0012】
本発明の実施の形態により提供されるこのおよびさらなる特徴が、以下の詳細な説明においてより完全に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のある実施の形態において有用な複数チャンネル多孔性担体の概略図
【図2】露出したモノリス担体(図2a)、AA−3アルミナ粒子でコーティングされたモノリス担体(図2b)、およびより大きいC71アルミナ粒子でコーティングされたモノリス担体(図2c)を示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像
【図3】本発明のある実施の形態によるコーティングされた担体の表面形態(図3a)および断面(図3b)を示すSEM画像
【図4】露出したモノリス担体(図4a)、スキムミルクの塗布により改変された担体(図4b)、および2%ミルクの塗布により改変された担体(図4c)の表面形態を示すSEM画像
【図5】希釈したスキムミルク(図5a)、スキムミルク(図5b)、および2%ミルク(図5c)の塗布により改変された担体のチャンネル中のアルミナコーティングのSEM画像、および希釈したスキムミルク(図5d)、スキムミルク(図5e)、および2%ミルク(図5f)の塗布により改変された担体上の同じアルミナコーティングの断面の図5a−cより高倍率のSEM画像
【図6】本発明のある実施の形態による露出した担体(図6a)およびこの担体上にコーティングされたアルミナ膜のSEM画像
【図7】最適化スキムミルク前処理工程で改変されたモノリス担体の異なるチャンネル中のアルミナ膜コーティングの断面図を提供する光学顕微鏡画像(図7a−c)
【図8】最適化スキムミルク前処理工程で改変されたモノリス担体の異なるチャンネル中のアルミナ膜コーティングの断面図を提供する光学顕微鏡画像(図8a−c)
【図9】本発明のある実施の形態において有用なフローコーティング工程および装置の概略図 図に示される実施の形態は、事実上例示であり、請求項により定められる本発明を制限することを意図するものではない。さらに、図面および本発明の個々の特徴は、詳細な説明に鑑みてより完全に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のある実施の形態は、多孔性担体上に多孔性無機コーティングを調製する方法であって、
多孔性担体であって、第1の端部、第2の端部、および、多孔性壁により定められる表面を有し前記第1の端部から前記第2の端部まで前記担体に亘って延在する複数の内部チャンネルを有する多孔性担体を提供し;
前記内部チャンネル表面に、タンパク質粒子、でんぷん粒子、合成ポリマー粒子、およびそれらの組合せから選択される有機細孔充填材料を含む組成物を塗布することにより、前記担体の内部チャンネル表面を改変し;
前記改変された内部チャンネル表面に、無機粒子を含むコーティングを塗布し;および
前記コーティングされた担体を加熱して、前記有機細孔充填材料を除去し、前記多孔性担体上に細孔無機コーティングを残す、
各工程を含む。
【0015】
本発明で使用される多孔性担体は、例えばハニカムモノリスの形態でもよい。本発明の方法は、小さい直径のハニカムチャンネル内での膜の堆積において有利に作用する。ハニカムモノリスのような多孔性担体は、例えば平方インチ(約6.45cm2)ごとに50から600セルのチャンネル密度を有してもよい。ハニカムモノリス担体の例は、ここに参照することによりその内容が組み込まれる米国特許第3,885,977号および同第3,790,654号の各明細書に開示される。
【0016】
例えば分離用途に使用される場合に、担体を通って流れる液流とコーティングされた担体それ自身との間のより密な接触を可能にするために、ある実施の形態においてチャンネルの少なくともいくつかが担体の一端で塞がれ、他のチャンネルは担体の他方の端部で塞がれることが望ましい。ある実施の形態において、担体のそれぞれの端において、塞がれたおよび/または塞がれていないチャンネルが互いにチェッカー盤模様を形成することが望ましい。ある実施の形態において、1つのチャンネルが一端(「参照端」と称される)で塞がれるが担体の反対端では塞がれず、その直近の(問題のチャンネルと少なくとも1つの壁を共有する)チャンネルの少なくともいくつか、例えば大部分(ある他の実施の形態において好ましくは全てのチャンネル)が、担体の反対端で塞がれるが参照端で塞がれないことが望ましい。さらに、ハニカムのような個々の担体は、様々の方法で重ねられ収容され、異なる使用条件の必要性を満たすために様々のサイズ、サービス持続期間等を有するより大きい担体を形成してもよい。
【0017】
ある実施の形態において、担体は無機材料である。適切な多孔性無機担体材料には、セラミック、ガラスセラミック、ガラス、金属、粘土、およびそれらの組合せが含まれる。いくつかの材料の例には、コージエライト、ムライト、粘土、マグネシア、金属酸化物、タルク、ジルコン、ジルコニア、ジルコン酸塩、ジルコニアスピネル、アルミノケイ酸マグネシウム、スピネル、アルミナ、シリカ、珪酸塩、ホウ化物、アルミノケイ酸塩、例えばポーセリン、アルミノケイ酸リチウム、アルミナシリカ、長石、チタニア、溶融シリカ、窒化物、ホウ化物、炭化物、例えば炭化ケイ素、窒化ケイ素またはこれらの組合せが含まれる。
【0018】
上記に鑑みて、多孔性無機担体は、コージエライト、アルミナ(アルファアルミナ)、ムライト、チタン酸アルミニウム、チタニア、ジルコニア、セリアまたはこれらの組合せのようなセラミックでもよい。
【0019】
ある実施の形態において、多孔性担体は、ここに参照することによりその内容が組み込まれる、「アルファアルミナ無機膜担体およびその製造方法」と題される2006年12月11日に出願された同時継続の米国特許出願第60/874,070号明細書に開示されるアルファアルミナ担体である。担体は例えば、以下の工程を含む方法により作成されてもよい:
バッチを形成するために、5μmから30μmまでの範囲の粒径を有する60重量%から70重量%までのアルファアルミナ、7μmから45μmまでの範囲の粒径を有する30重量%の有機細孔形成体、10重量%の焼結助剤、および架橋剤のような他のバッチ成分を混合する工程;
前記バッチを混合し、8時間から16時間浸漬させる工程;
押出により未焼成体を形成する工程;および
前記未焼成体を少なくとも1500℃で8時間から16時間加熱することにより未焼成体を焼結する工程。
【0020】
別の実施の形態において、担体は、フェノール樹脂のような有機材料を含んでもよい。いずれにしても、担体構造は、本発明の方法を実施する際に加熱した場合に有用な形状を維持することができるように十分な熱安定性を有する。
【0021】
本発明により「提供される」多孔性担体は、露出したセラミック担体のような単一構造でもよい。別の実施の形態において、本発明により「提供される」多孔性担体は、担体の内部チャンネルの多孔性壁を定める多孔性材料ですでにコーティングされた、セラミック担体のような単一構造を有してもよい。予め存在するコーティングは、例えば、アルファアルミナ粒子のような無機粒子の1つ以上のコーティングでもよい。したがって、この実施の形態において、本発明の方法は、コーティングされた担体で始まり、前のコーティングの上に配置される無機粒子のさらなるコーティングの堆積で終わる。この実施の形態を実施して、例えば、より大きい中央直径を有する無機粒子の予め存在する層の上により小さい中央直径の無機粒子のコーティングを最終的に堆積してもよい。そのような結果は、例えば、本発明による方法を連続して使用することにより、例えば本発明の方法を使用して露出した担体に第1のコーティングを塗布し、次に本発明の方法を使用してさらなるコーティングを塗布することにより得てもよい。あるいは、露出した担体上の第1のコーティングの堆積に使用した方法とは関係なく、本発明の方法によりさらなるコーティングを塗布してもよい。
【0022】
図1を参照すると、例として複数チャンネル多孔性担体10が記載される。この実施の形態において、多孔性担体10は、複数チャンネル構造、特に円筒型構造であり(長さは図示せず)、断面に亘って多孔性壁14により定められる複数の内部チャンネルを含む。このおよび他の実施の形態において、担体の内部チャンネルは、円形でもよく、0.5から10mmまで、例えば0.5から2mmまでの平均直径を有してもよい。担体の長さは、その特定の用途に鑑みて選択されてもよい。例えば、担体は、80mm以上、例えば100mm、150mmまたは200mmまたはそれ以上の長さを有してもよい。より大きい規模では、担体は0.5m以上、または1.0m以上の長さを有してもよい。
【0023】
本発明は、提供される担体の内部チャンネル表面を定める多孔性壁上に広範囲の多孔性および細孔サイズを有する担体に適用してもよい。ある実施の形態において、担体の多孔性壁の細孔は、5μm以上の中央孔径である。ある実施の形態において、提供される担体の多孔性壁の細孔は、0.5から100μmまで、例えば0.5から10μmまで、または5から15μmまでの中央孔径を有する。
【0024】
担体の内部チャンネル表面は、タンパク質粒子、でんぷん粒子、合成ポリマー粒子、およびそれらの組合せから選択される有機細孔充填材料を含む組成物の塗布により改変されてもよい。細孔充填材料は、相対的に大きい担体細孔を充填し、その後の担体細孔中への無機コーティングの浸透を減少させる。細孔充填材料はまた、より単一の無機コーティングが形成されるように担体の堆積表面を滑らかにする。
【0025】
ある実施の形態において、有機細孔充填材料は、タンパク質粒子を含む。タンパク質粒子は、例えば、タンパク質粒子の水性懸濁である組成物を内部チャンネル表面に塗布することにより供給してもよい。そのような組成物の1つの例はスキムミルクである。別の実施の形態において、有機細孔充填材料は、アマランスでんぷん(例えば、1.5μmの平均直径を有する)、キノアでんぷん(例えば、1.8μmの平均直径を有する)、タロイモでんぷん(例えば、2.8μmの平均直径を有する)、またはそれらの組合せのようなでんぷん粒子を含む。さらに別の実施の形態において、有機細孔充填材料は、ポリスチレン、ポリアクリレートのような合成ポリマー、オリゴマー、またはそれらの組合せを含む。
【0026】
有機細孔充填材料の粒径は、細孔サイズまたは細孔サイズ分布のような担体の特徴に基づいて、および粒径のような後で塗布される無機粒子の特徴に基づいて選択できる。例えば、有機細孔充填材料は、0.1から3μmまでの中央粒径を有する粒子を含んでもよい。
【0027】
有機細孔充填材料の塗布前に、多孔性担体10の外部(すなわち、非コーティング部分)を、改変工程前に少なくとも部分的に保護してもよい。図1に示される担体について、非コーティング部分は、円柱の外表面のような担体10の非チャンネル領域を含んでもよい。保護材料は、例えばポリテトラフルオロエチレンテープのような、多孔性担体10の非コーティング領域の保護に有効な任意の除去可能な媒体を含んでもよい。有機細孔充填材の塗布後および無機材料によるコーティング前に、テープを改変された多孔性担体から除去してもよい。コーティングされた多孔性担体の最終的な特性は、有機細孔充填材料の塗布後に多孔性担体を乾燥する間テープを残すことにより改良してもよい。
【0028】
有機細孔充填材料を含む組成物を、様々の方法により担体の内部チャンネル表面に塗布してもよい。例えば、細孔充填材料を含む組成物を、浸漬コーティング、フローコーティング、スリップキャスティング、浸漬、またはそれらの組合せにより塗布してもよい。これらの方法を使用して、細孔充填材料は、液状媒体からチャンネル壁上に運ばれ、壁表面に堆積される。ある実施の形態において、組成物は多孔性担体上にコーティングスリップとして塗布され、一方で提供される担体は図9に示されるフローコーター内に取り付けられる。組成物が担体上に塗布されると、担体は次に無機粒子によるコーティングの前にさらなる処理をされてもよい。例えば、多孔性担体は、例えば周囲条件下で20−24時間乾燥されてもよい。
【0029】
次に、無機粒子を含むコーティングが担体の改変された内部チャンネル表面に塗布される。コージエライト、アルミナ(例えばアルファアルミナおよびガンマアルミナ)、ムライト、チタン酸アルミニウム、チタニア、ジルコニア、セリア粒子、およびそれらの組合せを含むがこれに限定されない、様々の無機粒子を使用してもよい。無機粒子のサイズは、例えば改変された担体の下にある細孔サイズによって選択されてもよい。例えば、無機粒子は0.1から10μmの中央粒径を有してもよい。
【0030】
無機粒子を含むコーティングは、例えば、改変された内部チャンネル表面を無機粒子を含む組成物と接触させることにより塗布してもよい。そのようなコーティング組成物は、例えば、0.1から50重量%の無機粒子を含んでもよい。一般に、無機粒子濃度が高くなると、より厚く、より粘性のスリップを生じる傾向があり、これは次には担体上により厚いコーティングを生じる傾向がある。コーティング組成物はまた、例えば、分散剤、結合剤、抗亀裂剤、抗発泡剤、またはこれらの組合せを含んでもよく、水性または有機キャリアを有してもよく、スラリーまたは懸濁液の形態でもよい。
【0031】
無機粒子を含むコーティング組成物は、それ自身が、無機コーティング中で細孔形成材料として作用し例えば焼成により加熱されて後に除去される、タンパク質粒子、でんぷん粒子、または合成ポリマー粒子を含んでもよい。
【0032】
無機粒子を含むコーティングは、例えば、浸漬コーティング、フローコーティング、スリップキャスティング、浸漬、またはそれらの組合せにより塗布してもよい。これらの方法を使用して、膜材料は液状媒体からチャンネル壁上に運ばれ、壁表面上に堆積され、液体が排出された後に完全な堆積層が残る。
【0033】
ある実施の形態において、ここに参照することによりその内容が引用される、「膜堆積の方法および装置」と題される2007年3月29日に出願された同時継続中の米国特許出願第11/729,732号明細書に記載されるように、コーティングはコーティングスリップとして多孔性担体上に堆積され、提供される担体は図9に示されるようにフローコーター内に取り付けられる。この技術は、担体に膜形成材料を含む液状前駆体を提供する工程および担体中に圧力差を適用する工程を含む。圧力差により、液状前駆体がチャンネルを通って一様に移動し、膜形成材料がチャンネルの壁上に堆積されスルーチャンネルの壁上に膜が形成される。これらの技術に有用な装置は、図9に示され、液状前駆体コーティング溶液902をハニカム構造を有するモノリスのようなモノリス担体904に一様に分配する入口、担体を支持し複数のスルーチャンネル中に圧力差を維持できるチャンバー906、および出口を有する。上記のように、この技術は、細孔充填材料を含む組成物を担体に適用する、および/または無機粒子を含むコーティングを担体に適用するために使用してもよい。
【0034】
堆積された膜フィルムの厚さ、構成、および均一性は、作業条件により制御してもよい。そのような膜フィルムの堆積に実際に使用される作業条件は、膜フィルムおよび液状前駆体、並びに他の変数に依存することが明らかである。例えば、複数のスルーチャンネルを通る液状前駆体の線速度は、複数のスルーチャンネルの壁上への液状前駆体の流体力学および大量輸送に影響を与える。ある実施の形態において、液状前駆体は、所定の線速度で複数のスルーチャンネルを通って流れる。
【0035】
生じたコーティングされた担体は次に、様々の条件下で乾燥される。例えば、コーティングされた担体は、空気または窒素雰囲気中で、室温またはより高く120℃までで、15−25時間乾燥されてもよい。乾燥はまた湿度60−90%の条件下で行ってもよい。乾燥工程は、ある実施の形態において、制御されたガス環境中で行われる。制御されたガス環境は、酸素および水の含有量の少なくとも1つが制御されるものである。制御された雰囲気の酸素含有量は通常、最小限に維持される。
【0036】
次に、コーティングされた担体は、下にある多孔性担体上に多孔性無機コーティングを残しながら有機細孔充填材料を除去するために加熱される、例えば焼成される。同じまたは異なる加熱工程中、多孔性無機コーティング中の無機粒子は焼結されてもよい。ある実施の形態において、担体は、例えば0.5−2℃/分の加熱速度で制御されたガス環境中で0.5から10時間900℃から1500℃で加熱されてもよい。別の実施の形態において、焼成工程は、空気または窒素および酸素の混合中で、1100−1300℃で20−45時間行ってもよい。さらに別の実施の形態において、コーティングされた担体は、例えば600℃以上の温度で有機細孔充填材料を焼いて石灰にするために加熱され、次により高温で焼成されて無機粒子の焼結を達成する。
【0037】
ある実施の形態において、生じた焼結多孔性無機コーティングは、80mm以上の長さになり得る内部チャンネルの長さに亘って、1から25μmの厚さを有する。無機コーティングの追加のコーティング工程で同じサイズの粒子の塗布を単純に繰り返すことにより、コーティングの厚さを増加できる。
【0038】
例えば無機粒子サイズおよび焼結条件の適切な選択により無機コーティングの細孔サイズを選択できる。ある実施の形態において、焼結された無機コーティングは、0.1から2μmの中央孔径を有する。
【0039】
さらなる実施の形態は、本発明の方法により作製される、多孔性セラミック担体上の多孔性無機コーティングである。さらに別の実施の形態は、
第1の端部、第2の端部、およびXμmの中央孔径を有し第1の端部から第2の端部まで担体に亘って延在する長さを有する多孔性壁により定められる表面を有する複数の内部チャンネルを含む多孔性担体;および
提供される多孔性担体の内部チャンネルの表面をコーティングするYμmの中央孔径を有する無機粒子のコーティング、
を含むコーティングされた多孔性担体であって、
割合X/Y≧1、例えば≧3または≧4;および
無機粒子の層が多孔性担体の内部チャンネルの周囲および長さに亘って連続的なコーティングを提供する、
ことを特徴とする。
【0040】
担体上のコーティングは、液体濾過および気体分離用途に適切な無機膜として使用してもよい。所望の分離を達成するために多孔性コーティング担体のチャンネルを通して気体または液体の流れを通過させることにより分離を達成できる。コーティングはまた、自動車用の触媒製品およびディーゼル微粒子フィルタ製品に適用できる。
【0041】
膜濾過または分離用途について、ここに記載される方法は、コーティングの厚さを減少させ、それによりコストを減少させ浸透流量を増加させながら、大きい細孔を有する多孔性担体上に小さい細孔によるコーティングの直接堆積を提供できる。触媒用途について、ここに記載される方法は、多孔性担体上に均一の薄い層触媒の堆積を可能にし、触媒材料の担体細孔中への浸透を最小にし、それによってより良い触媒利用、すなわち貴金属触媒における重大なコスト削減並びに加熱コストの減少を生じる。コーティングされた担体は、さらに、コーティングされた担体上に追加の膜を堆積する処理中の中間構造として使用されてもよい。したがって、ここに記載される方法は、様々の用途に使用するための膜を製造するために使用できることが理解されるであろう。
【実施例】
【0042】
比較例:細孔充填材を使用しない担体上のアルファアルミナの堆積
この例には、コーティング前の担体の改変をしない多孔性モノリス担体上のアルミナ膜のコーティングが記載される。この例において使用されるモノリス担体は、断面積に亘って均一に分布する0.75mmの平均直径の19の丸いチャンネルを含む、外径8.7−9.2mmおよび長さ約150mmを有するアルファアルミナから作製される。担体は、水銀ポロシメトリ(mercury porosimetry)により測定して、10.0μmの中央孔径および57.8%の多孔率を有する。担体は、脱イオン(D.I.)水をチャンネルに流し、その後120℃で一晩完全に乾燥される。
【0043】
30重量%の固体濃度および4重量%のPEG(ポリエチレングリコール)濃度を有する2つのアルミナスリップを、異なる粒子サイズのアルミナ材料(AA−3およびC701、住友化学社)を使用して調製した。アルミナAA−3は、2.7−3.6μmの中央粒径を有する狭い粒子サイズ分布を有し、アルミナC701は、6.3μmの中央粒径を有する広いサイズ分布を有する。まず、0.16gのチロン(Tiron)(4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸ジナトリウム)を、100gの脱イオン水の入った150mlのプラスチック容器に加え、次に80gのアルミナ粉末を加えた。約1分間振盪させ、容器を氷浴に入れ、10秒間のオンおよび30秒間のオフの間隔で30回超音波処理した。次に、処理されたスリップを、52.78gの脱イオン水、38.89gの20重量%PEGおよび2.80gの1%DCB(1,2−ジクロロベンゼン)と混合した。15−20時間のボールミル粉砕の後、スリップをフラスコ中に細かい網目を通して注ぎ、次に真空ポンプで脱気した。
【0044】
図9に示されるフローコーター(flow-coater)を使用してモノリス担体のチャンネル内部にアルミナコーティングを配置した。浸漬時間は20秒間であった。コーティングされた担体を、525rpmの速度で40秒間遠心し、チャンネル中の過剰のアルミナスリップを除去し、120℃で2時間乾燥させ、1℃/分の加熱速度で、2時間1400℃で焼成した。
【0045】
図2a−2cは、露出したモノリス担体(図2a)、AA−3アルミナ粒子でコーティングされたモノリス担体(図2b)、およびより大きいC701アルミナ粒子でコーティングされたモノリス担体(図3c)の表面形態を示す走査電子顕微鏡(SEM)画像である。図2aは、水銀ポロシメトリを使用して、中央孔径が10μmであるが、コーティングされていない多孔性セラミック担体のいくつかの細孔が20−30μmであることを示す。図2bは、小さいアルミナ粒子は担体の細孔中に浸透するという事実により、約3μmの中央粒径のアルミナ(AA−3)を使用した場合に担体上に膜が形成されないことを示す。図2cに示されるように、連続的な膜は大きいアルミナ粒子(C701)を使用した場合にのみ形成される。
【0046】
実施例1:スキムミルクからのタンパク質で改変された担体上のアルファアルミナ膜の堆積
この実施例は、スキムミルクで改変された担体上のアルミナ膜のコーティングを記載する。比較例で使用したのと同じアルミナ担体を使用した。コーティング工程もまた、アルファアルミナ膜のスリップキャスティング(slip-casting)前の改変工程の追加を除いて同じであった。
【0047】
フラッシュされ乾燥されたモノリス担体を、図9に示されるフローコーター中でスキムミルク(Great Value(登録商標)の名称で食料品店で購入した)で前処理した。前処理の前に、担体にテフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)テープを慎重に巻きつけ、細孔充填材料(スキムミルクからのタンパク質)が担体の外側に直接接触することを防止した。20秒間スキムミルクに浸漬し、担体を外して「テフロン」テープを取り外した。改変された担体を、周囲条件で23時間乾燥させた。次に、改変された担体を再びフローコーター中に備え付け、比較例で使用された30重量%アルミナスリップAA−3でコーティングした。120℃における乾燥および1400℃における焼成後、生じたアルミナ膜を、SEMを使用して特徴付けた。図3(a)に示されるように滑らかで均一な無機コーティング30が形成され、断面図3(b)に示されるように20μmのコーティング厚を有する。
【0048】
実施例2:様々のミルク溶液からのタンパク質で改変された担体上のアルファアルミナ膜の堆積
この実施例には、異なるミルク溶液で改変された担体上のアルミナ膜のコーティングが記載される。この実施例で使用されるモノリス担体は、断面積に亘って均一に分布する0.75mmの平均直径の19の丸いチャンネルを有する、8.7−9.2mmの外径および約150mmの長さを有するアルファアルミナで構成される。水銀ポロシメトリで測定して、中央孔径は8.51μmであり、多孔率は45.6%である。担体は、脱イオン水をチャンネルに流し、その後120℃で一晩完全に乾燥させた。
【0049】
3つの種類のミルク溶液が、担体の改変に使用された:希釈スキムミルク、スキムミルク(「Great Value」)、および2%スキムミルク(「Great Value」)。希釈スキムミルクは、50mlのスキムミルク(「Great Value」)を100mlの脱イオン水と混合することにより調製された。図9に示される同じフローコーターを使用して、異なるミルク溶液で担体を改変した。浸漬時間は20秒間であった。「テフロン」テープを除去された改変された担体を、周囲条件で23時間乾燥させた。図4a−4cは、未改変の担体(図4a)およびスキムミルク(図4b)および2%ミルク(図4c)で改変された2つの担体の表面形態のSEM画像を示す。担体上の大きい空洞は、ミルク中の粒子により充填される傾向があり、表面アルミナは損傷されずに残る。
【0050】
乾燥された担体を、再びフローコーター中に備え付け、比較例で使用したように30重量%アルミナスリップAA−3でコーティングした。120℃における乾燥および1400℃における2時間の焼成後、生じたアルミナ膜をSEMにより特徴付けた。図5a−5fは、3つの異なるミルク溶液で改変された担体上に堆積されたアルミナ膜のSEM画像である。希釈スキムミルク(図5a、5d)で改変された担体上の膜は、スキムミルク(図5b、5e)で改変された担体上の膜よりも薄かった。図5cおよび5fに示されるように、2%ミルクで改変された担体上にコーティングされた膜は、他の膜と比較して連続的ではなく粗い。図6aおよび6bは、露出した担体(図6a)およびスキムミルクで改変された担体上にコーティングされたアルミナ膜(図6b)の表面形態を示す。したがって、担体を改変するために使用された異なる種類のミルクは、堆積された膜のある特徴を変化させ得る。
【0051】
実施例3:担体の半径方向に沿った膜の堆積のための最適化工程
この実施例には、モノリス担体上の半径方向に沿った均一なアルミナ膜のコーティングのための最適化スキムミルク前処理工程が記載される。実施例2と同じモノリス担体が使用された。担体は、脱イオン水をチャンネルに流し、その後120℃で一晩完全に乾燥させた。フラッシュされ乾燥されたモノリス担体を、実施例1および2と同じフローコーターを使用してスキムミルク(「Great Value」)で前処理した。浸漬の前に、担体の外側に「テフロン」テープを完全に巻きつけた。20秒間浸漬し、巻きついた「テフロン」テープが担体上に残ったまま約5時間周囲条件で乾燥させ、次に60℃の炉に入れて14時間乾燥を続けた。
【0052】
この実施例では、30重量%の固体濃度であるがより高いPEG濃度(8重量%)を有するスリップを使用した。まず、0.088gのチロンを、66.96gの脱イオン水の入った150mlのプラスチック容器に加え、次に44gのアルミナAA−3粉末を加えた。約1分間振盪させ、容器を氷浴に入れ、10秒間のオンおよび30秒間のオフの間隔で30回超音波処理した。次に、処理されたスリップを、44.64gの20重量%PEGおよび1.58gの1%DCBと混合した。15−20時間のボールミル粉砕の後、スリップをフラスコ中に細かい網目を通して注ぎ、次に真空ポンプで脱気した。
【0053】
次に、スリップを使用して比較例と同じ方法で改変された担体をコーティングした。120℃における乾燥および1400℃における焼成後、生じたアルミナ膜を光学顕微鏡を使用して特徴付けた。図7a−7cに示されるように半径方向に沿って均一な厚さの膜が形成された。膜厚は約30μmである。図1と共に図7a−7cに示されるように、中心のチャンネル12(図7a)、中央のチャンネル16(図7b)および端のチャンネル18(図7c)のコーティングに均一性がある。
【0054】
比較して、同じ担体を同じスキムミルクで前処理したが、全乾燥工程中(周囲条件で5時間および60℃で14時間)「テフロン」テープを取り除いた。改変された担体を、比較例で使用したのと同じスリップ(30重量%AA−3および4重量%PEG)でコーティングした。図8a−8cは、半径方向に沿った異なるチャンネル中の膜が均一ではないことを示す。中心チャンネル12(図8a)および中央チャンネル16(図8b)中に堆積したアルミナ層は、端のチャンネル18(図8c)中のものと比較してより均一であり厚い。
【0055】
他に示されていない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される材料の重量パーセント、寸法、および特定の物理的特性の値を示す全ての数値は、全ての場合に「約」なる用語により修飾されることが理解されるべきである。本明細書および特許請求の範囲で使用される正確な数値は、本発明の追加の実施の形態を形成することもまた理解されるべきである。実施例に開示される数値の正確性を確かめるための努力がなされている。しかしながら、任意の測定された数値は、それぞれの測定技術において見られる標準偏差から生じる一定の誤差を本質的に含み得る。
【0056】
さらに、本発明を説明し特許請求の範囲に記載する際にここで用いたように、「ある」なる不定冠詞は、記載される要素の1つ以上を含むものであり、それと反対に明示されない限り「唯一の」に限定されるべきではない。
【0057】
またここで用いたように、成分の「重量%」は、反対に明示されない限り、成分が含まれる組成物または物品の全重量に基づくものである。
【0058】
本発明は、詳細におよび特定の実施の形態に関して記載されているが、添付の特許請求の範囲に定められる本発明の範囲から逸脱することなく改変および変更が可能であることが理解されるであろう。より詳細には、本発明のいくつかの態様が好ましいまたは特に有利なものとして特定されているが、本発明は本発明のこれらの好ましい態様に必ずしも限定されないと考えられる。
【関連出願】
【0001】
本出願は、いずれもここに参照することにより引用される、2007年7月19日に出願された米国出願第11/880,066号および2007年5月31日に出願された米国仮出願第60/932,469号に優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、特定の細孔充填剤を使用して多孔性担体上に多孔性無機コーティングを調製する方法、および多孔性無機コーティングで被覆された多孔性担体に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、多孔性セラミック担体上の多孔性コーティングとして無機膜を使用してもよい。無機膜には、有機膜と比較していくつかの利点がある。無機膜は、例えば、一般的に膜が極端なpHおよび化学環境で使用されることを可能にする高い化学および温度安定性を有する。さらに、無機膜は、焼成のような高温処理を適用することにより容易に洗浄できる。
【0004】
無機膜は、環境、生物、食物および飲料、半導体、化学、石油化学製品、ガスおよびエネルギー産業における濾過および分離用途に使用してもよい。これらの産業はしばしば、精製されたガス/気体または精製された液体を必要とし、それらの供給源は異なるガスおよび/または液体/特定の組合せからなる混合供給流である。具体的な例には、水素ガスの生成および分離、二酸化炭素ガスの隔離(sequestration)、油/水の濾過、廃水処理、ワインおよびジュースの濾過、液流からの細菌およびウィルスの濾過、バイオマスからのエタノールの分離、および半導体およびマイクロエレクトロニクス産業のための高純度のガスおよび水の生成が含まれる。
【0005】
無機膜の製造において、多孔性無機コーティング層は、例えばセラミック担体をコーティングスリップ(slip)に漬けることにより調製できる。コーティングされたセラミック担体は、次にスリップから引き上げられ、乾燥され焼成される。無機膜において高い流量および分離効率を得るために、担体の細孔サイズは、できる限り大きくすべきであり(例えば、流量を最大にするために)、一方でその上のコーティング層は好ましくはできる限り小さい無機粒子からなる(例えば、分離効率を最大にする作用をする分離または濾過作用を有する小さい細孔を形成するために)。しかしながら、小さい粒子で担体表面上の大きい細孔を有効にカバーするのは困難である。例えば、従来のコーティング工程中、担体中の細孔を部分的に充填する無機粒子の結果として、コーティング層に亀裂やピンホールが形成され得る。さらに、従来のコーティング工程中、コーティング粒子は、担体上に連続層を形成する代わりに担体の細孔中に浸透する傾向がある。粒子の浸透は、より広い細孔サイズ分布を有する担体についてより深刻である。上記の問題は、分離効率に悪影響を与え得る。
【0006】
これらの問題をできるだけ小さくするために、ある方法には、無機粒子の複数のコーティング層の使用が含まれ、大きい粒子の層の使用後に層毎に徐々により小さい粒子を有する層を使用する。しかしながら、この方法はしばしば、特に担体の細孔のサイズが5μmより大きい場合に、過度に多い複数のコーティングステップを必要とする点で非効率的になり得る。さらに、これらの複数層のコーティング層は、好ましくない厚いおよび粗い層を生じ得る。
【0007】
他の工程は、亀裂およびピンホールをできるだけ小さくするために、表面をコーティングする前に担体表面を改変しようとする。例えば、ある方法は、無機粒子でコーティングする前に、担体に水、または特許文献1に記載されるようにアセトンを染み込ませてもよい。これらの方法における1つの問題は、液体(すなわち水またはアセトン)が、無機コーティング材料を担体の細孔に引き込み得ることである。非特許文献1に記載されるさらに別の方法は、ポリビニルアルコール(PVA)溶液でセラミック担体を前処理する工程を含む。そのような工程から調製される膜は、まだピンホールを含み、担体が5μmより大きい細孔を含む場合は不連続の構造を有する。特許文献2および3に記載される方法は同様に、無機コーティングの塗布前に担体を改変する技術を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,412,921号明細書
【特許文献2】欧州特許第0 320 033号明細書
【特許文献3】欧州特許第0 524 678号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kim et al., Advanced Materials, 14(15), 2002 (1078-1081)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記に鑑みると、当該技術において、相対的に大きい細孔サイズまたは細孔サイズ分布を有する担体上に相対的に小さい無機粒子の膜を堆積するより好ましい方法が必要とされる。
【発明を解決するための手段】
【0011】
本発明は、特定の細孔充填剤(すなわち、無機コーティングの塗布前に多孔性担体の細孔を充填する細孔充填剤)を使用して多孔性担体上に多孔性無機コーティングを調製する方法、および多孔性無機コーティングで被覆された多孔性担体に関する。本発明の方法は、
多孔性担体であって、第1の端部、第2の端部、および、多孔性壁により定められる表面を有し前記第1の端部から前記第2の端部まで前記担体に亘って延在する複数の内部チャンネルを有する多孔性担体を提供し;
前記内部チャンネル表面に、タンパク質粒子、でんぷん粒子、合成ポリマー粒子、およびそれらの組合せから選択される有機細孔充填材料を含む組成物を塗布することにより、前記担体の内部チャンネル表面を改変し;
前記改変された内部チャンネル表面に、無機粒子を含むコーティングを塗布し;および
前記コーティングされた担体を加熱して、前記有機細孔充填材料を除去し、前記多孔性担体上に多孔性無機コーティングを残す、
各工程を含む。有機細孔充填剤材料を含む組成物の1つの例は、タンパク質粒子を含むスキムミルクである。
【0012】
本発明の実施の形態により提供されるこのおよびさらなる特徴が、以下の詳細な説明においてより完全に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のある実施の形態において有用な複数チャンネル多孔性担体の概略図
【図2】露出したモノリス担体(図2a)、AA−3アルミナ粒子でコーティングされたモノリス担体(図2b)、およびより大きいC71アルミナ粒子でコーティングされたモノリス担体(図2c)を示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像
【図3】本発明のある実施の形態によるコーティングされた担体の表面形態(図3a)および断面(図3b)を示すSEM画像
【図4】露出したモノリス担体(図4a)、スキムミルクの塗布により改変された担体(図4b)、および2%ミルクの塗布により改変された担体(図4c)の表面形態を示すSEM画像
【図5】希釈したスキムミルク(図5a)、スキムミルク(図5b)、および2%ミルク(図5c)の塗布により改変された担体のチャンネル中のアルミナコーティングのSEM画像、および希釈したスキムミルク(図5d)、スキムミルク(図5e)、および2%ミルク(図5f)の塗布により改変された担体上の同じアルミナコーティングの断面の図5a−cより高倍率のSEM画像
【図6】本発明のある実施の形態による露出した担体(図6a)およびこの担体上にコーティングされたアルミナ膜のSEM画像
【図7】最適化スキムミルク前処理工程で改変されたモノリス担体の異なるチャンネル中のアルミナ膜コーティングの断面図を提供する光学顕微鏡画像(図7a−c)
【図8】最適化スキムミルク前処理工程で改変されたモノリス担体の異なるチャンネル中のアルミナ膜コーティングの断面図を提供する光学顕微鏡画像(図8a−c)
【図9】本発明のある実施の形態において有用なフローコーティング工程および装置の概略図 図に示される実施の形態は、事実上例示であり、請求項により定められる本発明を制限することを意図するものではない。さらに、図面および本発明の個々の特徴は、詳細な説明に鑑みてより完全に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のある実施の形態は、多孔性担体上に多孔性無機コーティングを調製する方法であって、
多孔性担体であって、第1の端部、第2の端部、および、多孔性壁により定められる表面を有し前記第1の端部から前記第2の端部まで前記担体に亘って延在する複数の内部チャンネルを有する多孔性担体を提供し;
前記内部チャンネル表面に、タンパク質粒子、でんぷん粒子、合成ポリマー粒子、およびそれらの組合せから選択される有機細孔充填材料を含む組成物を塗布することにより、前記担体の内部チャンネル表面を改変し;
前記改変された内部チャンネル表面に、無機粒子を含むコーティングを塗布し;および
前記コーティングされた担体を加熱して、前記有機細孔充填材料を除去し、前記多孔性担体上に細孔無機コーティングを残す、
各工程を含む。
【0015】
本発明で使用される多孔性担体は、例えばハニカムモノリスの形態でもよい。本発明の方法は、小さい直径のハニカムチャンネル内での膜の堆積において有利に作用する。ハニカムモノリスのような多孔性担体は、例えば平方インチ(約6.45cm2)ごとに50から600セルのチャンネル密度を有してもよい。ハニカムモノリス担体の例は、ここに参照することによりその内容が組み込まれる米国特許第3,885,977号および同第3,790,654号の各明細書に開示される。
【0016】
例えば分離用途に使用される場合に、担体を通って流れる液流とコーティングされた担体それ自身との間のより密な接触を可能にするために、ある実施の形態においてチャンネルの少なくともいくつかが担体の一端で塞がれ、他のチャンネルは担体の他方の端部で塞がれることが望ましい。ある実施の形態において、担体のそれぞれの端において、塞がれたおよび/または塞がれていないチャンネルが互いにチェッカー盤模様を形成することが望ましい。ある実施の形態において、1つのチャンネルが一端(「参照端」と称される)で塞がれるが担体の反対端では塞がれず、その直近の(問題のチャンネルと少なくとも1つの壁を共有する)チャンネルの少なくともいくつか、例えば大部分(ある他の実施の形態において好ましくは全てのチャンネル)が、担体の反対端で塞がれるが参照端で塞がれないことが望ましい。さらに、ハニカムのような個々の担体は、様々の方法で重ねられ収容され、異なる使用条件の必要性を満たすために様々のサイズ、サービス持続期間等を有するより大きい担体を形成してもよい。
【0017】
ある実施の形態において、担体は無機材料である。適切な多孔性無機担体材料には、セラミック、ガラスセラミック、ガラス、金属、粘土、およびそれらの組合せが含まれる。いくつかの材料の例には、コージエライト、ムライト、粘土、マグネシア、金属酸化物、タルク、ジルコン、ジルコニア、ジルコン酸塩、ジルコニアスピネル、アルミノケイ酸マグネシウム、スピネル、アルミナ、シリカ、珪酸塩、ホウ化物、アルミノケイ酸塩、例えばポーセリン、アルミノケイ酸リチウム、アルミナシリカ、長石、チタニア、溶融シリカ、窒化物、ホウ化物、炭化物、例えば炭化ケイ素、窒化ケイ素またはこれらの組合せが含まれる。
【0018】
上記に鑑みて、多孔性無機担体は、コージエライト、アルミナ(アルファアルミナ)、ムライト、チタン酸アルミニウム、チタニア、ジルコニア、セリアまたはこれらの組合せのようなセラミックでもよい。
【0019】
ある実施の形態において、多孔性担体は、ここに参照することによりその内容が組み込まれる、「アルファアルミナ無機膜担体およびその製造方法」と題される2006年12月11日に出願された同時継続の米国特許出願第60/874,070号明細書に開示されるアルファアルミナ担体である。担体は例えば、以下の工程を含む方法により作成されてもよい:
バッチを形成するために、5μmから30μmまでの範囲の粒径を有する60重量%から70重量%までのアルファアルミナ、7μmから45μmまでの範囲の粒径を有する30重量%の有機細孔形成体、10重量%の焼結助剤、および架橋剤のような他のバッチ成分を混合する工程;
前記バッチを混合し、8時間から16時間浸漬させる工程;
押出により未焼成体を形成する工程;および
前記未焼成体を少なくとも1500℃で8時間から16時間加熱することにより未焼成体を焼結する工程。
【0020】
別の実施の形態において、担体は、フェノール樹脂のような有機材料を含んでもよい。いずれにしても、担体構造は、本発明の方法を実施する際に加熱した場合に有用な形状を維持することができるように十分な熱安定性を有する。
【0021】
本発明により「提供される」多孔性担体は、露出したセラミック担体のような単一構造でもよい。別の実施の形態において、本発明により「提供される」多孔性担体は、担体の内部チャンネルの多孔性壁を定める多孔性材料ですでにコーティングされた、セラミック担体のような単一構造を有してもよい。予め存在するコーティングは、例えば、アルファアルミナ粒子のような無機粒子の1つ以上のコーティングでもよい。したがって、この実施の形態において、本発明の方法は、コーティングされた担体で始まり、前のコーティングの上に配置される無機粒子のさらなるコーティングの堆積で終わる。この実施の形態を実施して、例えば、より大きい中央直径を有する無機粒子の予め存在する層の上により小さい中央直径の無機粒子のコーティングを最終的に堆積してもよい。そのような結果は、例えば、本発明による方法を連続して使用することにより、例えば本発明の方法を使用して露出した担体に第1のコーティングを塗布し、次に本発明の方法を使用してさらなるコーティングを塗布することにより得てもよい。あるいは、露出した担体上の第1のコーティングの堆積に使用した方法とは関係なく、本発明の方法によりさらなるコーティングを塗布してもよい。
【0022】
図1を参照すると、例として複数チャンネル多孔性担体10が記載される。この実施の形態において、多孔性担体10は、複数チャンネル構造、特に円筒型構造であり(長さは図示せず)、断面に亘って多孔性壁14により定められる複数の内部チャンネルを含む。このおよび他の実施の形態において、担体の内部チャンネルは、円形でもよく、0.5から10mmまで、例えば0.5から2mmまでの平均直径を有してもよい。担体の長さは、その特定の用途に鑑みて選択されてもよい。例えば、担体は、80mm以上、例えば100mm、150mmまたは200mmまたはそれ以上の長さを有してもよい。より大きい規模では、担体は0.5m以上、または1.0m以上の長さを有してもよい。
【0023】
本発明は、提供される担体の内部チャンネル表面を定める多孔性壁上に広範囲の多孔性および細孔サイズを有する担体に適用してもよい。ある実施の形態において、担体の多孔性壁の細孔は、5μm以上の中央孔径である。ある実施の形態において、提供される担体の多孔性壁の細孔は、0.5から100μmまで、例えば0.5から10μmまで、または5から15μmまでの中央孔径を有する。
【0024】
担体の内部チャンネル表面は、タンパク質粒子、でんぷん粒子、合成ポリマー粒子、およびそれらの組合せから選択される有機細孔充填材料を含む組成物の塗布により改変されてもよい。細孔充填材料は、相対的に大きい担体細孔を充填し、その後の担体細孔中への無機コーティングの浸透を減少させる。細孔充填材料はまた、より単一の無機コーティングが形成されるように担体の堆積表面を滑らかにする。
【0025】
ある実施の形態において、有機細孔充填材料は、タンパク質粒子を含む。タンパク質粒子は、例えば、タンパク質粒子の水性懸濁である組成物を内部チャンネル表面に塗布することにより供給してもよい。そのような組成物の1つの例はスキムミルクである。別の実施の形態において、有機細孔充填材料は、アマランスでんぷん(例えば、1.5μmの平均直径を有する)、キノアでんぷん(例えば、1.8μmの平均直径を有する)、タロイモでんぷん(例えば、2.8μmの平均直径を有する)、またはそれらの組合せのようなでんぷん粒子を含む。さらに別の実施の形態において、有機細孔充填材料は、ポリスチレン、ポリアクリレートのような合成ポリマー、オリゴマー、またはそれらの組合せを含む。
【0026】
有機細孔充填材料の粒径は、細孔サイズまたは細孔サイズ分布のような担体の特徴に基づいて、および粒径のような後で塗布される無機粒子の特徴に基づいて選択できる。例えば、有機細孔充填材料は、0.1から3μmまでの中央粒径を有する粒子を含んでもよい。
【0027】
有機細孔充填材料の塗布前に、多孔性担体10の外部(すなわち、非コーティング部分)を、改変工程前に少なくとも部分的に保護してもよい。図1に示される担体について、非コーティング部分は、円柱の外表面のような担体10の非チャンネル領域を含んでもよい。保護材料は、例えばポリテトラフルオロエチレンテープのような、多孔性担体10の非コーティング領域の保護に有効な任意の除去可能な媒体を含んでもよい。有機細孔充填材の塗布後および無機材料によるコーティング前に、テープを改変された多孔性担体から除去してもよい。コーティングされた多孔性担体の最終的な特性は、有機細孔充填材料の塗布後に多孔性担体を乾燥する間テープを残すことにより改良してもよい。
【0028】
有機細孔充填材料を含む組成物を、様々の方法により担体の内部チャンネル表面に塗布してもよい。例えば、細孔充填材料を含む組成物を、浸漬コーティング、フローコーティング、スリップキャスティング、浸漬、またはそれらの組合せにより塗布してもよい。これらの方法を使用して、細孔充填材料は、液状媒体からチャンネル壁上に運ばれ、壁表面に堆積される。ある実施の形態において、組成物は多孔性担体上にコーティングスリップとして塗布され、一方で提供される担体は図9に示されるフローコーター内に取り付けられる。組成物が担体上に塗布されると、担体は次に無機粒子によるコーティングの前にさらなる処理をされてもよい。例えば、多孔性担体は、例えば周囲条件下で20−24時間乾燥されてもよい。
【0029】
次に、無機粒子を含むコーティングが担体の改変された内部チャンネル表面に塗布される。コージエライト、アルミナ(例えばアルファアルミナおよびガンマアルミナ)、ムライト、チタン酸アルミニウム、チタニア、ジルコニア、セリア粒子、およびそれらの組合せを含むがこれに限定されない、様々の無機粒子を使用してもよい。無機粒子のサイズは、例えば改変された担体の下にある細孔サイズによって選択されてもよい。例えば、無機粒子は0.1から10μmの中央粒径を有してもよい。
【0030】
無機粒子を含むコーティングは、例えば、改変された内部チャンネル表面を無機粒子を含む組成物と接触させることにより塗布してもよい。そのようなコーティング組成物は、例えば、0.1から50重量%の無機粒子を含んでもよい。一般に、無機粒子濃度が高くなると、より厚く、より粘性のスリップを生じる傾向があり、これは次には担体上により厚いコーティングを生じる傾向がある。コーティング組成物はまた、例えば、分散剤、結合剤、抗亀裂剤、抗発泡剤、またはこれらの組合せを含んでもよく、水性または有機キャリアを有してもよく、スラリーまたは懸濁液の形態でもよい。
【0031】
無機粒子を含むコーティング組成物は、それ自身が、無機コーティング中で細孔形成材料として作用し例えば焼成により加熱されて後に除去される、タンパク質粒子、でんぷん粒子、または合成ポリマー粒子を含んでもよい。
【0032】
無機粒子を含むコーティングは、例えば、浸漬コーティング、フローコーティング、スリップキャスティング、浸漬、またはそれらの組合せにより塗布してもよい。これらの方法を使用して、膜材料は液状媒体からチャンネル壁上に運ばれ、壁表面上に堆積され、液体が排出された後に完全な堆積層が残る。
【0033】
ある実施の形態において、ここに参照することによりその内容が引用される、「膜堆積の方法および装置」と題される2007年3月29日に出願された同時継続中の米国特許出願第11/729,732号明細書に記載されるように、コーティングはコーティングスリップとして多孔性担体上に堆積され、提供される担体は図9に示されるようにフローコーター内に取り付けられる。この技術は、担体に膜形成材料を含む液状前駆体を提供する工程および担体中に圧力差を適用する工程を含む。圧力差により、液状前駆体がチャンネルを通って一様に移動し、膜形成材料がチャンネルの壁上に堆積されスルーチャンネルの壁上に膜が形成される。これらの技術に有用な装置は、図9に示され、液状前駆体コーティング溶液902をハニカム構造を有するモノリスのようなモノリス担体904に一様に分配する入口、担体を支持し複数のスルーチャンネル中に圧力差を維持できるチャンバー906、および出口を有する。上記のように、この技術は、細孔充填材料を含む組成物を担体に適用する、および/または無機粒子を含むコーティングを担体に適用するために使用してもよい。
【0034】
堆積された膜フィルムの厚さ、構成、および均一性は、作業条件により制御してもよい。そのような膜フィルムの堆積に実際に使用される作業条件は、膜フィルムおよび液状前駆体、並びに他の変数に依存することが明らかである。例えば、複数のスルーチャンネルを通る液状前駆体の線速度は、複数のスルーチャンネルの壁上への液状前駆体の流体力学および大量輸送に影響を与える。ある実施の形態において、液状前駆体は、所定の線速度で複数のスルーチャンネルを通って流れる。
【0035】
生じたコーティングされた担体は次に、様々の条件下で乾燥される。例えば、コーティングされた担体は、空気または窒素雰囲気中で、室温またはより高く120℃までで、15−25時間乾燥されてもよい。乾燥はまた湿度60−90%の条件下で行ってもよい。乾燥工程は、ある実施の形態において、制御されたガス環境中で行われる。制御されたガス環境は、酸素および水の含有量の少なくとも1つが制御されるものである。制御された雰囲気の酸素含有量は通常、最小限に維持される。
【0036】
次に、コーティングされた担体は、下にある多孔性担体上に多孔性無機コーティングを残しながら有機細孔充填材料を除去するために加熱される、例えば焼成される。同じまたは異なる加熱工程中、多孔性無機コーティング中の無機粒子は焼結されてもよい。ある実施の形態において、担体は、例えば0.5−2℃/分の加熱速度で制御されたガス環境中で0.5から10時間900℃から1500℃で加熱されてもよい。別の実施の形態において、焼成工程は、空気または窒素および酸素の混合中で、1100−1300℃で20−45時間行ってもよい。さらに別の実施の形態において、コーティングされた担体は、例えば600℃以上の温度で有機細孔充填材料を焼いて石灰にするために加熱され、次により高温で焼成されて無機粒子の焼結を達成する。
【0037】
ある実施の形態において、生じた焼結多孔性無機コーティングは、80mm以上の長さになり得る内部チャンネルの長さに亘って、1から25μmの厚さを有する。無機コーティングの追加のコーティング工程で同じサイズの粒子の塗布を単純に繰り返すことにより、コーティングの厚さを増加できる。
【0038】
例えば無機粒子サイズおよび焼結条件の適切な選択により無機コーティングの細孔サイズを選択できる。ある実施の形態において、焼結された無機コーティングは、0.1から2μmの中央孔径を有する。
【0039】
さらなる実施の形態は、本発明の方法により作製される、多孔性セラミック担体上の多孔性無機コーティングである。さらに別の実施の形態は、
第1の端部、第2の端部、およびXμmの中央孔径を有し第1の端部から第2の端部まで担体に亘って延在する長さを有する多孔性壁により定められる表面を有する複数の内部チャンネルを含む多孔性担体;および
提供される多孔性担体の内部チャンネルの表面をコーティングするYμmの中央孔径を有する無機粒子のコーティング、
を含むコーティングされた多孔性担体であって、
割合X/Y≧1、例えば≧3または≧4;および
無機粒子の層が多孔性担体の内部チャンネルの周囲および長さに亘って連続的なコーティングを提供する、
ことを特徴とする。
【0040】
担体上のコーティングは、液体濾過および気体分離用途に適切な無機膜として使用してもよい。所望の分離を達成するために多孔性コーティング担体のチャンネルを通して気体または液体の流れを通過させることにより分離を達成できる。コーティングはまた、自動車用の触媒製品およびディーゼル微粒子フィルタ製品に適用できる。
【0041】
膜濾過または分離用途について、ここに記載される方法は、コーティングの厚さを減少させ、それによりコストを減少させ浸透流量を増加させながら、大きい細孔を有する多孔性担体上に小さい細孔によるコーティングの直接堆積を提供できる。触媒用途について、ここに記載される方法は、多孔性担体上に均一の薄い層触媒の堆積を可能にし、触媒材料の担体細孔中への浸透を最小にし、それによってより良い触媒利用、すなわち貴金属触媒における重大なコスト削減並びに加熱コストの減少を生じる。コーティングされた担体は、さらに、コーティングされた担体上に追加の膜を堆積する処理中の中間構造として使用されてもよい。したがって、ここに記載される方法は、様々の用途に使用するための膜を製造するために使用できることが理解されるであろう。
【実施例】
【0042】
比較例:細孔充填材を使用しない担体上のアルファアルミナの堆積
この例には、コーティング前の担体の改変をしない多孔性モノリス担体上のアルミナ膜のコーティングが記載される。この例において使用されるモノリス担体は、断面積に亘って均一に分布する0.75mmの平均直径の19の丸いチャンネルを含む、外径8.7−9.2mmおよび長さ約150mmを有するアルファアルミナから作製される。担体は、水銀ポロシメトリ(mercury porosimetry)により測定して、10.0μmの中央孔径および57.8%の多孔率を有する。担体は、脱イオン(D.I.)水をチャンネルに流し、その後120℃で一晩完全に乾燥される。
【0043】
30重量%の固体濃度および4重量%のPEG(ポリエチレングリコール)濃度を有する2つのアルミナスリップを、異なる粒子サイズのアルミナ材料(AA−3およびC701、住友化学社)を使用して調製した。アルミナAA−3は、2.7−3.6μmの中央粒径を有する狭い粒子サイズ分布を有し、アルミナC701は、6.3μmの中央粒径を有する広いサイズ分布を有する。まず、0.16gのチロン(Tiron)(4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸ジナトリウム)を、100gの脱イオン水の入った150mlのプラスチック容器に加え、次に80gのアルミナ粉末を加えた。約1分間振盪させ、容器を氷浴に入れ、10秒間のオンおよび30秒間のオフの間隔で30回超音波処理した。次に、処理されたスリップを、52.78gの脱イオン水、38.89gの20重量%PEGおよび2.80gの1%DCB(1,2−ジクロロベンゼン)と混合した。15−20時間のボールミル粉砕の後、スリップをフラスコ中に細かい網目を通して注ぎ、次に真空ポンプで脱気した。
【0044】
図9に示されるフローコーター(flow-coater)を使用してモノリス担体のチャンネル内部にアルミナコーティングを配置した。浸漬時間は20秒間であった。コーティングされた担体を、525rpmの速度で40秒間遠心し、チャンネル中の過剰のアルミナスリップを除去し、120℃で2時間乾燥させ、1℃/分の加熱速度で、2時間1400℃で焼成した。
【0045】
図2a−2cは、露出したモノリス担体(図2a)、AA−3アルミナ粒子でコーティングされたモノリス担体(図2b)、およびより大きいC701アルミナ粒子でコーティングされたモノリス担体(図3c)の表面形態を示す走査電子顕微鏡(SEM)画像である。図2aは、水銀ポロシメトリを使用して、中央孔径が10μmであるが、コーティングされていない多孔性セラミック担体のいくつかの細孔が20−30μmであることを示す。図2bは、小さいアルミナ粒子は担体の細孔中に浸透するという事実により、約3μmの中央粒径のアルミナ(AA−3)を使用した場合に担体上に膜が形成されないことを示す。図2cに示されるように、連続的な膜は大きいアルミナ粒子(C701)を使用した場合にのみ形成される。
【0046】
実施例1:スキムミルクからのタンパク質で改変された担体上のアルファアルミナ膜の堆積
この実施例は、スキムミルクで改変された担体上のアルミナ膜のコーティングを記載する。比較例で使用したのと同じアルミナ担体を使用した。コーティング工程もまた、アルファアルミナ膜のスリップキャスティング(slip-casting)前の改変工程の追加を除いて同じであった。
【0047】
フラッシュされ乾燥されたモノリス担体を、図9に示されるフローコーター中でスキムミルク(Great Value(登録商標)の名称で食料品店で購入した)で前処理した。前処理の前に、担体にテフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)テープを慎重に巻きつけ、細孔充填材料(スキムミルクからのタンパク質)が担体の外側に直接接触することを防止した。20秒間スキムミルクに浸漬し、担体を外して「テフロン」テープを取り外した。改変された担体を、周囲条件で23時間乾燥させた。次に、改変された担体を再びフローコーター中に備え付け、比較例で使用された30重量%アルミナスリップAA−3でコーティングした。120℃における乾燥および1400℃における焼成後、生じたアルミナ膜を、SEMを使用して特徴付けた。図3(a)に示されるように滑らかで均一な無機コーティング30が形成され、断面図3(b)に示されるように20μmのコーティング厚を有する。
【0048】
実施例2:様々のミルク溶液からのタンパク質で改変された担体上のアルファアルミナ膜の堆積
この実施例には、異なるミルク溶液で改変された担体上のアルミナ膜のコーティングが記載される。この実施例で使用されるモノリス担体は、断面積に亘って均一に分布する0.75mmの平均直径の19の丸いチャンネルを有する、8.7−9.2mmの外径および約150mmの長さを有するアルファアルミナで構成される。水銀ポロシメトリで測定して、中央孔径は8.51μmであり、多孔率は45.6%である。担体は、脱イオン水をチャンネルに流し、その後120℃で一晩完全に乾燥させた。
【0049】
3つの種類のミルク溶液が、担体の改変に使用された:希釈スキムミルク、スキムミルク(「Great Value」)、および2%スキムミルク(「Great Value」)。希釈スキムミルクは、50mlのスキムミルク(「Great Value」)を100mlの脱イオン水と混合することにより調製された。図9に示される同じフローコーターを使用して、異なるミルク溶液で担体を改変した。浸漬時間は20秒間であった。「テフロン」テープを除去された改変された担体を、周囲条件で23時間乾燥させた。図4a−4cは、未改変の担体(図4a)およびスキムミルク(図4b)および2%ミルク(図4c)で改変された2つの担体の表面形態のSEM画像を示す。担体上の大きい空洞は、ミルク中の粒子により充填される傾向があり、表面アルミナは損傷されずに残る。
【0050】
乾燥された担体を、再びフローコーター中に備え付け、比較例で使用したように30重量%アルミナスリップAA−3でコーティングした。120℃における乾燥および1400℃における2時間の焼成後、生じたアルミナ膜をSEMにより特徴付けた。図5a−5fは、3つの異なるミルク溶液で改変された担体上に堆積されたアルミナ膜のSEM画像である。希釈スキムミルク(図5a、5d)で改変された担体上の膜は、スキムミルク(図5b、5e)で改変された担体上の膜よりも薄かった。図5cおよび5fに示されるように、2%ミルクで改変された担体上にコーティングされた膜は、他の膜と比較して連続的ではなく粗い。図6aおよび6bは、露出した担体(図6a)およびスキムミルクで改変された担体上にコーティングされたアルミナ膜(図6b)の表面形態を示す。したがって、担体を改変するために使用された異なる種類のミルクは、堆積された膜のある特徴を変化させ得る。
【0051】
実施例3:担体の半径方向に沿った膜の堆積のための最適化工程
この実施例には、モノリス担体上の半径方向に沿った均一なアルミナ膜のコーティングのための最適化スキムミルク前処理工程が記載される。実施例2と同じモノリス担体が使用された。担体は、脱イオン水をチャンネルに流し、その後120℃で一晩完全に乾燥させた。フラッシュされ乾燥されたモノリス担体を、実施例1および2と同じフローコーターを使用してスキムミルク(「Great Value」)で前処理した。浸漬の前に、担体の外側に「テフロン」テープを完全に巻きつけた。20秒間浸漬し、巻きついた「テフロン」テープが担体上に残ったまま約5時間周囲条件で乾燥させ、次に60℃の炉に入れて14時間乾燥を続けた。
【0052】
この実施例では、30重量%の固体濃度であるがより高いPEG濃度(8重量%)を有するスリップを使用した。まず、0.088gのチロンを、66.96gの脱イオン水の入った150mlのプラスチック容器に加え、次に44gのアルミナAA−3粉末を加えた。約1分間振盪させ、容器を氷浴に入れ、10秒間のオンおよび30秒間のオフの間隔で30回超音波処理した。次に、処理されたスリップを、44.64gの20重量%PEGおよび1.58gの1%DCBと混合した。15−20時間のボールミル粉砕の後、スリップをフラスコ中に細かい網目を通して注ぎ、次に真空ポンプで脱気した。
【0053】
次に、スリップを使用して比較例と同じ方法で改変された担体をコーティングした。120℃における乾燥および1400℃における焼成後、生じたアルミナ膜を光学顕微鏡を使用して特徴付けた。図7a−7cに示されるように半径方向に沿って均一な厚さの膜が形成された。膜厚は約30μmである。図1と共に図7a−7cに示されるように、中心のチャンネル12(図7a)、中央のチャンネル16(図7b)および端のチャンネル18(図7c)のコーティングに均一性がある。
【0054】
比較して、同じ担体を同じスキムミルクで前処理したが、全乾燥工程中(周囲条件で5時間および60℃で14時間)「テフロン」テープを取り除いた。改変された担体を、比較例で使用したのと同じスリップ(30重量%AA−3および4重量%PEG)でコーティングした。図8a−8cは、半径方向に沿った異なるチャンネル中の膜が均一ではないことを示す。中心チャンネル12(図8a)および中央チャンネル16(図8b)中に堆積したアルミナ層は、端のチャンネル18(図8c)中のものと比較してより均一であり厚い。
【0055】
他に示されていない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される材料の重量パーセント、寸法、および特定の物理的特性の値を示す全ての数値は、全ての場合に「約」なる用語により修飾されることが理解されるべきである。本明細書および特許請求の範囲で使用される正確な数値は、本発明の追加の実施の形態を形成することもまた理解されるべきである。実施例に開示される数値の正確性を確かめるための努力がなされている。しかしながら、任意の測定された数値は、それぞれの測定技術において見られる標準偏差から生じる一定の誤差を本質的に含み得る。
【0056】
さらに、本発明を説明し特許請求の範囲に記載する際にここで用いたように、「ある」なる不定冠詞は、記載される要素の1つ以上を含むものであり、それと反対に明示されない限り「唯一の」に限定されるべきではない。
【0057】
またここで用いたように、成分の「重量%」は、反対に明示されない限り、成分が含まれる組成物または物品の全重量に基づくものである。
【0058】
本発明は、詳細におよび特定の実施の形態に関して記載されているが、添付の特許請求の範囲に定められる本発明の範囲から逸脱することなく改変および変更が可能であることが理解されるであろう。より詳細には、本発明のいくつかの態様が好ましいまたは特に有利なものとして特定されているが、本発明は本発明のこれらの好ましい態様に必ずしも限定されないと考えられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性担体上に多孔性無機コーティングを調製する方法であって、
第1の端部、第2の端部、および多孔性壁により定められる表面を有し前記第1の端部から前記第2の端部まで前記担体に亘って延在する複数の内部チャンネルを有する多孔性担体を提供し;
タンパク質粒子、でんぷん粒子、合成ポリマー粒子、およびそれらの組合せから選択される有機細孔充填材料を含む組成物を前記内部チャンネル表面に塗布することにより前記担体の前記内部チャンネル表面を改変し;
前記改変された内部チャンネルに無機粒子を含むコーティングを塗布し;
前記コーティングされた担体を加熱して前記有機細孔充填材料を除去し、前記多孔性担体上に多孔性無機コーティングを残す、
各工程を含む方法。
【請求項2】
前記提供される多孔性担体が、ハニカムモノリスの形態であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記提供される多孔性担体が、無機であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記多孔性無機担体が、セラミックであることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記多孔性セラミック担体が、コージエライト、アルファアルミナ、ムライト、チタン酸アルミニウム、チタニア、ジルコニア、セリアまたはそれらの組合せを含むことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記有機細孔充填材料が、タンパク質粒子を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記タンパク質粒子を含む前記組成物が、前記タンパク質粒子の水性懸濁を含むことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記有機細孔充填材料が、でんぷん粒子を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記有機細孔充填材料が、合成ポリマー粒子を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
コーティングされた多孔性担体であって、
第1の端部、第2の端部、およびXμmの中央孔径を有し前記第1の端部から前記第2の端部まで担体に亘って延在する長さを有する多孔性壁により定められる表面を有する複数の内部チャンネルを含む多孔性担体;および
前記提供される多孔性担体の前記内部チャンネルの表面をコーティングするYμmの中央孔径を有する無機粒子のコーティング;
を含み、
割合X/Y≧1、であり;
無機粒子の層が前記多孔性担体の前記内部チャンネルの周囲および長さに亘って連続的なコーティングを提供する、
ことを特徴とする多孔性担体。
【請求項1】
多孔性担体上に多孔性無機コーティングを調製する方法であって、
第1の端部、第2の端部、および多孔性壁により定められる表面を有し前記第1の端部から前記第2の端部まで前記担体に亘って延在する複数の内部チャンネルを有する多孔性担体を提供し;
タンパク質粒子、でんぷん粒子、合成ポリマー粒子、およびそれらの組合せから選択される有機細孔充填材料を含む組成物を前記内部チャンネル表面に塗布することにより前記担体の前記内部チャンネル表面を改変し;
前記改変された内部チャンネルに無機粒子を含むコーティングを塗布し;
前記コーティングされた担体を加熱して前記有機細孔充填材料を除去し、前記多孔性担体上に多孔性無機コーティングを残す、
各工程を含む方法。
【請求項2】
前記提供される多孔性担体が、ハニカムモノリスの形態であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記提供される多孔性担体が、無機であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記多孔性無機担体が、セラミックであることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記多孔性セラミック担体が、コージエライト、アルファアルミナ、ムライト、チタン酸アルミニウム、チタニア、ジルコニア、セリアまたはそれらの組合せを含むことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記有機細孔充填材料が、タンパク質粒子を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記タンパク質粒子を含む前記組成物が、前記タンパク質粒子の水性懸濁を含むことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記有機細孔充填材料が、でんぷん粒子を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記有機細孔充填材料が、合成ポリマー粒子を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
コーティングされた多孔性担体であって、
第1の端部、第2の端部、およびXμmの中央孔径を有し前記第1の端部から前記第2の端部まで担体に亘って延在する長さを有する多孔性壁により定められる表面を有する複数の内部チャンネルを含む多孔性担体;および
前記提供される多孔性担体の前記内部チャンネルの表面をコーティングするYμmの中央孔径を有する無機粒子のコーティング;
を含み、
割合X/Y≧1、であり;
無機粒子の層が前記多孔性担体の前記内部チャンネルの周囲および長さに亘って連続的なコーティングを提供する、
ことを特徴とする多孔性担体。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【公表番号】特表2010−528962(P2010−528962A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510334(P2010−510334)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/006793
【国際公開番号】WO2008/150419
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/006793
【国際公開番号】WO2008/150419
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
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