説明

特徴強調型図面作成システム

【課題】手書きによる加工図をFAXで送信する方法では、担当者ごとにフォーマットが異なる、不鮮明などの問題であった。そのため、作業者に発注意図が誤って伝わり、不良品を製作する場合があった。また、同じ加工図を毎回作成する必要があるため、非常に効率が悪い。コンピュータの作図ソフトを使用した場合、デフォルメして特長を強調できる手書きの利点が失われ、また、建築現場等でコンピュータの作図ソフトを使用することは大変手間のかかるものである。
【解決手段】形状の特徴を強調する入力手段を有し、既存の加工図データを再利用できることを特徴とする加工図作成方法を提供する。作成した加工図を受注書とともに作成・管理する受注システムをサーバコンピュータに搭載し、インターネットを介して接続された端末で共有・閲覧ができるシステムを構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工図を作成・再利用する方法およびその応用システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、中小の木工業においては、営業担当者が受注した際に作成する受注書に加工図を手書きで記入していた。
手書きによる加工図では、切欠けの深さや配置を誇張して描くなど、デフォルメして実寸とは異なる形状にしている。木工品の形状には定型が多いため、その特徴を強調することにより、実際に加工を行う作業者に発注者の意図が伝わりやすくするためである。
また通常、このような受注書は建築現場において営業担当者により作成され、作業者にFAXで送付されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
手書きによる加工図は、営業担当者ごとにフォーマットが異なり、記載が不正確であった。そのため、作業者に発注意図が誤って伝わり、不良品を製作する場合があった。
木工品の形状には定型が多いにも関わらず、毎回、一から手書きで作成する必要があるため、非常に効率が悪い。
【0004】
FAXの解像度が低いため、加工図が不鮮明になり、作業者が見誤り、不良品を製作する場合があった。
【0005】
別の方法として、コンピュータの作図ソフトを使用した場合、作業者が発注意図を即座に把握できるように特徴を強調できる手書きの利点が失われる。
営業担当者にとっても、建築現場等でコンピュータの作図ソフトを使用することは大変手間のかかるものである。
【0006】
本発明は、これらの問題を解決し、下記の目標を達成するためになされたものである。
(1) 手書きと作図ソフト、それぞれの利点を活かし、作業者に発注意図を正確に伝え、不良品を製作しないようにする。
(2) 営業担当者が、建築現場においても、容易に加工図を作成できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
切欠けの深さ・配置など木工品の発注意図を作業者に伝えるために必要な形状の特徴を強調した加工図を容易に作成するための入力手段を有することを特徴とする加工図作成方法。
【0008】
大きさを大・中・小のみに限定した切欠けスタンプを押下することにより、深さの相対的な関係を容易に把握できる加工図を作成するための入力手段を有することを特徴とする加工図作成方法。
【0009】
一辺に複数の切欠けを指定した場合、その間隔を均等に再配置する機能を有することを特徴とする加工図作成方法。
【0010】
加工図上で木材断面の辺を指定することで切欠けの定型パターンを切り替える入力手段を有し、その定型パターンはあらかじめマスタに登録できることを特徴とする加工図作成方法。
【0011】
フリーハンドで描画した曲線からなる形状を加工図に変換する機能を有することを特徴とする加工図作成方法。
【0012】
定型的な加工図をくりかえし作成することを容易にするため、作成した加工図をマスタに登録し、新たな加工図を作成する際に再利用する手段を有することを特徴とする加工図作成方法。
【0013】
請求項1記載の加工図作成方法で作成した加工図と受注伝票・現場写真を一緒に作成・管理する手段を有することを特徴とする受注システム。
【0014】
請求項7記載の受注システムをサーバコンピュータに搭載し、インターネットを介して接続した端末で加工図・関連文書を共有し、作成・閲覧・印刷を一貫して行うことを特徴とするネットワークサービス。
【発明の効果】
【0015】
本発明を使用することによって、営業担当者・顧客等の非技術者でも簡単な操作で加工図を作成し、作業者に発注意図・木工品の特徴を正確に伝達することができる。
またこの時、手書きの融通性・容易性、作図ソフトの正確性・一貫性を両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】切欠けスタンプのイメージ図
【図2】切欠け均等配置のイメージ図
【図3】定型パターン選択のイメージ図
【図4】フリーハンド入力のイメージ図
【図5】受注書の例
【図6】受注システムの概念図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による加工図作成方法を利用した受注システムの一実施例について添付の図面を参照して説明する。
【0018】
図1に加工図作成のイメージを示す。加工図を新規作成するとき、四角形スタンプ1で加工図を配置する。次に、切欠けスタンプ2からサイズを選択し、加工図上の一辺に設定することで切欠けを配置する。
【0019】
図2に示すように、切欠けの均等配置3を選択して、加工図上の一辺を指定すると、辺上に配置した切欠けの間隔を均等に調整することができる。
【0020】
切欠けスタンプを使用する以外に定型パターンから選択することもできる。
図3に示すように、定型パターン選択4を選択して、加工図上の一辺を指定すると、あらかじめ登録している形状に切り替わる。
【0021】
また、図4に示すように、フリーハンド5を選択した場合、閉じた曲線を手描きして、切欠けのある加工図に近似補正することもできる。
【0022】
上記で作成した加工図は、図6の加工図マスタ12Bに登録し、次に加工図を作成する際、呼び出して利用できる。
【0023】
図5に受注書の例を示す。受注伝票6を書き込み、上記で作成した加工図7及び現場写真8と組にして、一葉の受注書を作成する。
【0024】
図6は、受注システムの概念図である。営業端末13、14で作成した受注書は、インターネット9を利用してサーバコンピュータ10のデータベース11にある受注書データ12Aに登録する。
登録した受注書はインターネット9に接続された作業員端末15から参照できる。また、プリンタ16で印刷することもできる。
【符号の説明】
【0025】
1 四角形スタンプ
2 切欠けスタンプ
3 切欠けの均等配置
4 定型パターン選択
5 フリーハンド入力
6 受注伝票
7 加工図
8 現場写真
9 インターネット
10 サーバコンピュータ
11 データベース
12A 受注書データベース
12B 加工図マスタ
13 営業端末
14 営業端末
15 作業者端末
16 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切欠けの深さ・配置など木工品の発注意図を作業者に伝えるために必要な形状の特徴を強調した加工図を容易に作成するための入力手段を有することを特徴とする加工図作成方法。
【請求項2】
大きさを大・中・小のみに限定した切欠けスタンプを押下することにより、深さの相対的な関係を容易に把握できる加工図を作成するための入力手段を有することを特徴とする請求項1記載の加工図作成方法。
【請求項3】
一辺に複数の切欠けを指定した場合、その間隔を均等に再配置する機能を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の加工図作成方法。
【請求項4】
加工図上で木材断面の辺を指定することで切欠けの定型パターンを切り替える入力手段を有し、その定型パターンはあらかじめマスタに登録できることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の加工図作成方法。
【請求項5】
フリーハンドで描画した曲線からなる形状を加工図に変換する機能を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の加工図作成方法。
【請求項6】
定型的な加工図をくりかえし作成することを容易にするため、作成した加工図をマスタに登録し、新たな加工図を作成する際に再利用する手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の加工図作成方法。
【請求項7】
請求項1記載の加工図作成方法で作成した加工図と受注伝票・現場写真を一緒に作成・管理する手段を有することを特徴とする受注システム。
【請求項8】
請求項7記載の受注システムをサーバコンピュータに搭載し、インターネットを介して接続した端末で加工図・関連文書を共有し、作成・閲覧・印刷を一貫して行うことを特徴とするネットワークサービス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−48487(P2012−48487A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189891(P2010−189891)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(710009276)株式会社ヒューマンエンジニアリングアンドロボティックス (1)
【Fターム(参考)】