説明

特殊景品

【課題】 偽造を防止するという点でより合理的に構成された特殊景品を提供すること。
【解決手段】 ケース100の内部に有価物200及び非接触式IC回路300を設けてなる特殊景品において、非接触式IC回路300は、基板310にICチップ320及びアンテナ330を搭載してなるものであり、ICチップ320は、有価物200に接着し、有価物200を基板310から分離すると、有価物200とともにICチップ320が基板310から分離して、非接触式IC回路300が破壊されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貴金属等の有価物を設けてなる特殊景品に関し、パチンコやスロットマシンで獲得した遊戯媒体に応じて交換される景品として利用されるものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、特殊景品としては、カード型のケースの内部に有価物及び非接触式IC回路を設け、非接触式IC回路に景品としての価値をはじめとする各種情報を記憶させたものが知られている。特許文献1乃至5には、この種の特殊景品が開示されている。
【特許文献1】特開平5−16580号公報
【特許文献2】特開平9−185692号公報
【特許文献3】特開2004−21977号公報
【特許文献4】特開2006−209226号公報
【特許文献5】実用新案登録第3124519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さて、非接触式IC回路を設けてなる特殊景品は、その記録情報に基づいて流通されるため、有価物のみを偽物に置き換えるなどの偽造を防止する構成が重要とされる。
【0004】
例えば、内部に設けられた有価物を取り出す場合は、特殊景品のケースを割って破壊することが通常であり、これを復元することは不可能である。しかし、偽造をしようと試みる者は、特殊景品の構成部材を分離し、有価物を取り出した後に復元しようとする。そこで、有価物を取り出すと非接触式IC回路の機能が損なわれる構成が必要であると考えられる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、偽造を防止するという点でより合理的に構成された特殊景品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1請求項に記載した発明は、ケースの内部に有価物及び非接触式IC回路を設けてなる特殊景品において、前記非接触式IC回路は、基板にICチップ及びアンテナを搭載してなるものであり、前記ICチップは、前記有価物に接着し、前記有価物を前記基板から分離すると、前記有価物とともに前記ICチップが前記基板から分離して、前記非接触式IC回路が破壊されるようにした構成の特殊景品である。
【0007】
本願第2請求項に記載した発明は、請求項1において、前記ケースは、孔部を設けた中板を備え、前記有価物及び前記基板は、前記中板に対し、前記孔部を挟んで対向する位置に位置決めするともに、前記ICチップは、前記孔部を通じて前記有価物に接着した構成の特殊景品である。
【0008】
本願第3請求項に記載した発明は、請求項2において、前記中板には、前記孔部を囲むホログラムを設けた構成の特殊景品である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、偽造を防止するという点でより合理的に構成された特殊景品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1乃至図5に示す本例の特殊景品1は、ケース100の内部に有価物200及び非接触式IC回路300を設けてなるものである。有価物200としては、金又は銀といった貴金属の小型プレートを採用している。
【0011】
非接触式IC回路300は、絶縁性の基板310にICチップ320及びアンテナ330を搭載してなるものである。ICチップ320は、基板310の所定の部位に搭載されるとともに、基板310に設けられた端子にワイヤで接続されている。アンテナ330は、基板310の表面にプリント成形されている。また、アンテナ330の表面には絶縁性の保護膜340が形成されており、ICチップ320は絶縁性の封止材350で覆われている。
【0012】
ケース100は、正面側ケース部材110、背面側ケース部材120、及びそれらの間に組み込まれる中板130とを備えた箱型又はカード型のものである。正面側ケース部材110、背面側ケース部材120、及び中板130は、それぞれ所定の形状に射出成形された合成樹脂製の部材であり、正面側ケース110と中板130との間に有価物200を配置するとともに、背面側ケース120と中板130との間に非接触式IC回路300を配置した状態で互いに接着されている。背面側ケース部材120の要所には、非接触式IC回路300の基板310を嵌め込む基板装着部121が設けられており、中板130の要所には、有価物200を嵌め込む有価物装着部131が設けられている。基板310は、その背面を基板装着部121に接着されている。
【0013】
本例の場合、有価物装着部131には、ICチップ320の位置に対応する孔部132が設けられている。有価物200及び基板310は、中板130に対し、孔部132を挟んで対向する位置に位置決めするともに、ICチップ320は、孔部132を通じて有価物200に接着している。具体的には、背面側ケース部材120の基板装着部121に基板310を装着し、その背面側ケース部材120に中板130を組み付け、ここでICチップ320を覆う封止材350の表面に適量の接着剤360を塗布し、有価物200を中板130の有価物装着部131に嵌め込んでいる。正面側ケース部材110は、その後に組み付ける。
【0014】
また、中板130には、有価物装着部131及び孔部132を囲むホログラム133が設けられている。正面側ケース部材110、背面側ケース部材120、及び中板130のうち、少なくとも正面側ケース部材110は、その一部又は全部が透明又は半透明となっており、ケース100の正面側から有価物200及びホログラム133を目視することができるように構成されている。
【0015】
このような構成によると、有価物200を基板310から分離すると、有価物200とともにICチップ320が基板310から分離して、非接触式IC回路300が破壊される。すなわち、封止材350及び接着剤360を介して接着された有価物200とICチップ320との接着力が、基板310に対するICチップ320の支持力よりも強力なものとなっており、有価物200を中板130の有価物装着部131から取り出す際は、ICチップ320が強制的に破壊分離される構成となっている。従って、有価物200を偽物に置き換えて復元するという行為をより確実に防止することが可能である。更に、中板130には有価物装着部131及び孔部132を囲むホログラム133が設けられているので、ホログラム133を破損せずに有価物200及びICチップ320を中板130から分離することも不可能であり、かかる構成が偽造をより困難なものとしている。
【0016】
尚、ケース100を割って内部の有価物200を取り出す通常の方法としては、様々な構成が考えられる。図5には、その一例を示しておく。このケース100の場合、正面側ケース部材110と背面側ケース部材120との間には、コインや工具を刺し込むための溝部101が設けられており、この溝部101に力を加えることにより、正面側ケース部材110及び背面側ケース部材120が、それらの要所にそれぞれ設けられた切り込み102,103を起点にして割れる構成となっている。特に、背面側ケース部材120の切り込み103は、基板装着部121に設けられており、背面側ケース部材120が割れると、それに伴い基板310がアンテナ330もろとも割れる構成となっている。
【0017】
以上説明したように、本例の特殊景品1は、偽造を防止するという点で極めて信頼性の高いものである。尚、本例における各部の構成は、特許請求の範囲に記載した技術的範囲において適宜に設計変更が可能であり、図例説明したものに限定されないことは勿論である。例えば、本例では封止材350及び接着剤360を介して有価物200をICチップ320に接着したが、ICチップ320を封止すると同時に有価物200を封止材350に接着すれば、封止材350のみにて有価物200を接着することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の特殊景品は、パチンコやスロットマシンで獲得した遊戯媒体に応じて交換される景品として好適に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例に係り、(a)は特殊景品を示す正面図、(b)は(a)のX−X断面図である。
【図2】本発明の実施例に係り、特殊景品の分解断面図である。
【図3】本発明の実施例に係り、非接触式IC回路の正面図である。
【図4】本発明の実施例に係り、特殊景品の要部を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例に係り、特殊景品から有価物を取り出す方法を示す断面説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1 特殊景品
100 ケース
101 溝部
102 切り込み
103 切り込み
110 正面側ケース部材
120 背面側ケース部材
121 基板装着部
130 中板
131 有価物装着部
132 孔部
133 ホログラム
200 有価物
300 非接触式IC回路
310 基板
320 ICチップ
330 アンテナ
340 保護膜
350 封止材
360 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの内部に有価物及び非接触式IC回路を設けてなる特殊景品において、
前記非接触式IC回路は、基板にICチップ及びアンテナを搭載してなるものであり、
前記ICチップは、前記有価物に接着し、
前記有価物を前記基板から分離すると、前記有価物とともに前記ICチップが前記基板から分離して、前記非接触式IC回路が破壊されるようにしたことを特徴とする特殊景品。
【請求項2】
前記ケースは、孔部を設けた中板を備え、
前記有価物及び前記基板は、前記中板に対し、前記孔部を挟んで対向する位置に位置決めするともに、前記ICチップは、前記孔部を通じて前記有価物に接着したことを特徴とする請求項1記載の特殊景品。
【請求項3】
前記中板には、前記孔部を囲むホログラムを設けたことを特徴とする請求項2記載の特殊景品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−201941(P2009−201941A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50215(P2008−50215)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000115773)リズム時計工業株式会社 (208)
【出願人】(595020780)株式会社日商物産 (2)
【Fターム(参考)】