説明

牽引式弁体構造

【課題】本発明は、被作用物の通孔を正確に隙間無く密封することができるとともに、被作用物の通孔の密封を開放して被作用物内の対象物をスムーズに排出することができ、しかも、取り外ししやすく、安全性・安定性も兼ね備えた牽引式弁体構造を提供する。
【解決手段】収納空間を具え、底部には通孔が穿設される被作用物と、収納空間に設けられる作用体と、被作用物の下方に上下移動自在に設けられ、少なくとも一つの透孔を有する牽引体と、によって構成され、作用体には連結部を設けるとともに、牽引体には被連結部を設けて該連結部と該被連結部を連結し、牽引体は、重力の作用により自身の重さで下に向かって移動すると同時に作用体を牽引して下に移動させ通孔を隙間無く密封し、また、牽引体は、押し上げる力を受けた時は作用体を牽引して上に移動させ通孔を開放し、被作用物下方の周縁は延伸して直径が牽引体より大きい突縁部を形成するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弁体構造に関し、特に、被作用物の通孔を正確に隙間無く密封することができるとともに、被作用物の通孔の密封を開放して被作用物内の対象物をスムーズに排出することができ、しかも、取り外ししやすく、安全性・安定性も兼ね備えた牽引式弁体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
弁体は、その作用により通孔を自由に密封したり解放したりすることができる。そのため、頻繁に各種製品に応用されており、収納空間内における流体や固体等の対象物の出入りを制御するのに便利である。
【0003】
既存の弁体構造は、例えば、通孔の部分に金属体を設け、該金属体を弁棒で押し、金属体で通孔を密封したり開放したりすることにより流体や固体が該通孔から出入りするのを制御し、弁体の作用を達成する。しかしながら、金属体、弁棒によって構成するこの種の弁体構造は、少なくとも下記のような欠点がある。
【0004】
1、金属体と弁棒は連結されておらず、しかも他の位置決め構造によって位置決めされているわけでもないため、該金属体は安定せずランダムに動いてしまい、素早く正確に通孔を塞ぐことが難しく、該通孔部分から対象物が漏洩してしまう可能性がある。
【0005】
2、金属体は自身の重さのみで通孔を密封し、金属体の下方には何の牽引力も働かないため、金属体の重量が充分でないと、通孔部分から対象物が漏洩してしまう。
【0006】
3、通孔を開放させるため弁棒で金属体を押す時、金属体と弁棒は連結されていないため、金属体をうまく動かすことができずに金属体がずれて通孔の一部分を塞いでしまい、対象物が通孔からスムーズに流出できなくなる可能性がある。
【0007】
4、弁棒は一般的に外径が大きい物体上に設けられるが、該物体は何かの装置で被覆されるわけでも隔離されるわけでもないため、使用者が不注意により物体に触れてしまい、それにより弁棒で金属体が押され、金属体がずれて通孔を密封できずに対象物が漏洩してしまう現象が頻繁に生じる。
【0008】
弁体構造においては、通孔を正確に隙間無く密封することができるとともに、通孔を簡単に開放することができ、しかも、取り外しがしやすく、安定性・安全性を兼ね備えた構造を設計することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、被作用物の通孔を正確に隙間無く密封することができるとともに、被作用物の通孔の密封を開放して被作用物内の対象物をスムーズに排出することができ、しかも、取り外ししやすく、安全性・安定性も兼ね備えた牽引式弁体構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、この本発明による牽引式弁体構造は、収納空間を具え、底部には通孔が穿設される被作用物と、収納空間に設けられる作用体と、被作用物の下方に上下移動自在に設けられ、少なくとも一つの透孔を有する牽引体と、によって構成され、作用体には連結部を設けるとともに、牽引体には被連結部を設けて該連結部と該被連結部を連結し、牽引体は、重力の作用により自身の重さで下に向かって移動すると同時に作用体を牽引して下に移動させ通孔を隙間無く密封し、また、牽引体は、押し上げる力を受けた時は作用体を牽引して上に移動させ通孔を開放し、被作用物下方の周縁は延伸して直径が牽引体より大きい突縁部を形成するように構成する。
【発明の効果】
【0011】
この本発明による牽引式弁体構造は、被作用物の通孔を正確に隙間無く密封することができるとともに、被作用物の通孔の密封を開放して被作用物内の対象物をスムーズに排出することができるため、各種製品に広く応用することができ、利便性が得られる。
【0012】
さらに、この本発明による牽引式弁体構造は、設置した時に傾かないため安定性が高く、外部の接触から保護されるため安全性も高く、しかも取り外しがしやすいという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による牽引式弁体構造を示した斜視図である。
【図2】本発明による牽引式弁体構造の構成を示した分解図である。
【図3】本発明による牽引体を裏返した時の外観を示した斜視図である。
【図4】本発明による牽引式弁体構造が通孔を密封している時の状態を示した説明図である。
【図5】本発明による牽引式弁体構造が通孔を開放している時の状態を示した説明図である。
【図6】本発明による牽引式弁体構造の被作用物に網状の阻止部材を設けた構造を示した断面図である。
【図7】本発明による牽引式弁体構造の実施例2の連結部、被連結部の構造を示した説明図である。
【図8】本発明による牽引式弁体構造の実施例3の連結部、被連結部の構造を示した説明図である。
【図9】本発明による牽引式弁体構造の実施例4の連結部、被連結部の構造を示した説明図である。
【図10】本発明による牽引式弁体構造の実施例5の連結部、被連結部の構造を示した説明図である。
【図11】本発明による牽引式弁体構造の実施例6の連結部、被連結部の構造を示した説明図である。
【図12】本発明による牽引式弁体構造の実施例7の連結部、被連結部の構造を示した説明図である。
【図13】本発明による牽引式弁体構造の実施例8の連結部、被連結部の構造を示した説明図である。
【図14】本発明による牽引式弁体構造の実施例9の連結部、被連結部の構造を示した説明図である。
【図15】本発明による牽引式弁体構造の実施例10の連結部、被連結部の構造を示した説明図である。
【実施例1】
【0014】
図1から図4に示すように、本発明は、被作用物10、被作用物10内に設けられた作用体20、及び被作用物10下方に設けられた牽引体30によって構成する。
【0015】
被作用物10には収納空間11を設け、流体、固体、又は粉末体等の対象物を装入することができる。被作用物10内側の底部には通孔12を穿設し、該通孔12周縁には環状の突部121を設ける。被作用物10内側の底部は所定の斜度を有し対象物を効果的に通孔12へと誘導する。通孔12には、弾性をもつ材料によってなり且つ穿孔131が穿設されたブッシング13を設ける。穿孔131上方の周縁には、密着壁132と、密着壁132と隣接する溝部133を設ける。密着壁132は弾性変形力をもち、作用体20と密着する。ブッシング13の所定の箇所に係合溝134、係合リング135を設け、係合溝134、係合リング135と突部121を係合することによってブッシング13は通孔12に緊合される。被作用物10下方の周縁は、延伸して直径が牽引体30より大きい突縁部14を形成し、突縁部14は牽引体30を被覆するため、牽引体30は外部の接触から保護され安全性が向上する。突縁部14には複数の支持体141を設けることで、被作用物10は平面に設置された時に傾かなくなり安定性が向上する。被作用物10下方には支持部15を設け、支持部15には複数のスライド溝151を設ける。
【0016】
作用体20はゴムなどの弾性を具える材料によってなり、作用体20には連結部21(本実施例においては孔状である)を設けることで、ブッシング13の穿孔131を密封することができ、それにより、被作用物10の通孔12も密封され対象物が漏洩しなくなる。当然、本発明は、ブッシング13を設置しなくてもよく、作用体20で通孔12を直接密封することもできる。
【0017】
牽引体30には、複数のリブ体32、複数の透孔33、被連結部34を有する台座体31と、台座体31下方に位置する延長部35を設ける。該台座体31周縁には、スライド溝151に対応する複数の係合柱36を設ける。係合柱36は、スライド溝151に係入させることでスライド溝151から外れなくなるとともにスライド溝151内を上下に移動させることができ、それに連動して、牽引体30も被作用物10下方で上下に移動する。透孔33は、対象物を下に通過させる。被連結部34は柱状であり、穿孔131に嵌入された作用体20の連結部21と連結する。この被連結部34、連結部21の連結構造によって、牽引体30、作用体20は取り外しがしやすくなる。また、その連結箇所に粘性をもつ物質を塗布することで連結力を向上させることができる。被連結部34には係止部340を設け、嵌入された作用体20は係止部340で係止する。リブ体32の中央の交差箇所の底部には錐状部321を設ける。牽引体30が上に移動する時、作用体20も連動して上に移動し穿孔131の位置から分離し、穿孔131の密封状態が解除される。
【0018】
図4に示すように、被作用体10は平面に置いて使用することができる。この時、重力の作用により牽引体30は自身の重さによって下に移動し、作用体20は牽引体30に牽引されて下方に移動し穿孔131を隙間無く密封するため、被作用物10内の対象物が漏洩することがなくなる。
【0019】
また、ブッシング13の密着壁132は、作用体20が自身の重力により下方に移動しようとすることで生じる外力を受けた時、その外力に抵抗し内側へ縮もうとする応力が生じ、それにより作用体20の表面と密着して漏洩防止効果が更に強化される。
【0020】
図5に示すように、牽引体30が下方から上に向かって押し上げる力を受ける時(例えば、手で牽引体30を引き上げた時)、牽引体30と被連結部34は同時に上に向かって移動するとともに、作用体20もそれに連動して上に向かって移動して穿孔131から分離し、それにより穿孔131が開放され、被作用物10内の対象物は穿孔131、透孔33を通って排出される。また、開放された穿孔131は作用体20と全く接触していないため、穿孔131は完全な開放状態になり、対象物をスムーズに排出させることができる。
【0021】
又、錐状部321は、対象物を効果的に中央に誘導して排出させることができ、対象物が牽引体30に残留しなくなる。
【実施例2】
【0022】
図6に示すように、被作用物10内には網状の阻止部材40を設け、対象物の内、大きめの物体や不必要な物が穿孔131に入り込むのを阻止し、穿孔131が詰まるのを防ぐことができる。
【実施例3】
【0023】
図7に示すように、作用体20の連結部21には凸部211を設けるとともに、被連結部34には該凸部211に対応する凹部341を設け、作用体20と被連結部34を係合することで、連結力を向上させることができる。
【実施例4】
【0024】
図8に示すように、作用体20の連結部21をねじ山状にするとともに、被連結部34には該連結部21に対応するねじ山342を設け、作用体20と被連結部34を螺合することで、連結力を向上させることができる。
【実施例5】
【0025】
図9に示すように、作用体20の連結部21には凹部212を設けるとともに、被連結部34には該凹部212に対応する凸部343を設け、作用体20と被連結部34を係合することで、連結力を向上させることができる。
【実施例6】
【0026】
図10に示すように、被連結部34にはフック状係合部344を設けるとともに、作用体2の連結部21の形状は該フック状係合部344と対応する孔状にし、作用体20と被連結部34を係合することで、連結力を向上させることができる。
【実施例7】
【0027】
図11に示すように、作用体20の連結部21と被連結部34を相互に連結した後、固定部材50を作用体20の上から垂直方向に貫設することで、連結力を向上させることができる。
【実施例8】
【0028】
図12に示すように、作用体20の連結部21と被連結部34を相互に連結した後、固定部材60を作用体20の横から水平方向に貫設することで、連結力を向上させることができる。
【実施例9】
【0029】
図13に示すように、作用体20の連結部21は孔状にするとともに、被連結部34は該連結部21に対応する段差がない柱状にして、作用体20と被連結部34を相互に連結する。
【実施例10】
【0030】
図14に示すように、被連結部34には多角形柱345を設けるとともに、作用体20の連結部21の形状は該多角形柱345と対応する孔状にし、作用体20と被連結部34を係合することで、連結力を向上させることができる。
【実施例11】
【0031】
図15に示すように、作用体20の連結部21は柱体にし、被連結部34には該連結部21と対応する係合孔346を設け、作用体20と被連結部34を相互に連結する。
【符号の説明】
【0032】
10 被作用物
11 収納空間
12 通孔
121 突部
13 ブッシング
131 穿孔
132 密着壁
133 溝部
134 係合溝
135 係合リング
14 突縁部
141 支持体
15 支持部
151 スライド溝
20 作用体
21 連結部
211 凸部
212 凹部
30 牽引体
31 台座体
32 リブ体
321 錐状部
33 透孔
34 被連結部
340 係止部
341 凹部
342 ねじ山
343 凸部
344 フック状係合部
345 多角形柱
346 係合孔
35 延長部
36 係合柱
40 阻止部材
50、60 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納空間を具え、底部には通孔が穿設される被作用物と、
収納空間に設けられる作用体と、
被作用物の下方に上下移動自在に設けられ、少なくとも一つの透孔を有する牽引体と、によって構成され、
作用体には連結部を設けるとともに、牽引体には被連結部を設けて該連結部と該被連結部を連結し、牽引体は、重力の作用により自身の重さで下に向かって移動すると同時に作用体を牽引して下に移動させ通孔を隙間無く密封し、また、牽引体は、押し上げる力を受けた時は作用体を牽引して上に移動させ通孔を開放し、被作用物下方の周縁は延伸して直径が牽引体より大きい突縁部を形成することを特徴とする牽引式弁体構造。
【請求項2】
通孔には、弾性をもつ材料によってなり且つ穿孔が穿設されたブッシングを設け、該穿孔上方の周縁には、作用体に密着する密着壁を設けることを特徴とする、請求項1に記載の牽引式弁体構造。
【請求項3】
通孔周縁には突部を設けるとともに、ブッシングには係合溝と係合リングを設け、係合溝、係合リングと突部を係合することによってブッシングは通孔に緊合されることを特徴とする、請求項2に記載の牽引式弁体構造。
【請求項4】
密着壁の近くには溝部を設けることを特徴とする、請求項2に記載の牽引式弁体構造。
【請求項5】
透孔には複数のリブ体を設け、リブ体の中央の交差箇所の底部には錐状部を設けることを特徴とする、請求項1に記載の牽引式弁体構造。
【請求項6】
被作用物の下方には支持部を設け、支持部には複数のスライド溝を設けるとともに、牽引体にはスライド溝に対応する複数の係合柱を設け、係合柱をスライド溝に係入させることで、牽引体は被作用物下方で上下に移動することができることを特徴とする、請求項1に記載の牽引式弁体構造。
【請求項7】
被連結部には係止部を設け、作用体の連結部は連結した時に該係止部で係止することを特徴とする、請求項1に記載の牽引式弁体構造。
【請求項8】
連結部、被連結部の内、一方を孔体にし、もう一方を柱体にすることで、連結部と被連結部を相互に連結することを特徴とする、請求項1に記載の牽引式弁体構造。
【請求項9】
孔体、柱体の内、一方には凸部を設け、もう一方には凹部を設けることにより、作用体と被連結部を係合して連結することを特徴とする、請求項8に記載の牽引式弁体構造。
【請求項10】
連結部と被連結部はねじ山構造によって相互に螺合されることを特徴とする、請求項1に記載の牽引式弁体構造。
【請求項11】
連結部と被連結部の内、一方にはフック状係合部を設け、もう一方には該フック状係合部と対応する孔を設け、作用体と被連結部を係合して連結することを特徴とする、請求項1に記載の牽引式弁体構造。
【請求項12】
連結部と被連結部の連結箇所には固定部材を貫設することを特徴とする、請求項1に記載の牽引式弁体構造。
【請求項13】
連結部と被連結部の内、一方には多角形柱を設け、もう一方には該多角形柱と対応する孔を設けることで、作用体と被連結部を係合して連結することを特徴とする、請求項1に記載の牽引式弁体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−152921(P2011−152921A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13742(P2010−13742)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(510024569)
【Fターム(参考)】