説明

犬用即席菓子

【課題】 夏場等の気温が高い時期に摂取させることにより犬の体温の上昇を抑えると共に、犬のお腹をこわすおそれがないアイスクリーム様の菓子を実現する。
【解決手段】 菓子を水と混ぜ合わせることによりクリーム様の菓子を形成可能な粉粒体組成物からなる即席菓子とし、上記粉粒体組成物は乾燥ポテト、増粘剤、粉乳類、ブドウ糖を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は犬用の菓子に関し、より詳細には夏場等の気温が高い時期に摂取させることにより犬の体温の上昇を抑えると共に栄養補助を行うことを可能とするクリーム様の菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人の知得する範囲では犬用の飼料において、主食でなくおやつ的な嗜好を目的とした菓子に関する特許文献としては特許文献1が挙げられるが、そこに開示されている菓子は固形状の焼き菓子である。
【0003】
一方、クリーム様の犬用の飼料に関する特許文献として特許文献2及び3が挙げられる。しかしながら、特許文献2に開示されている飼料はシート状の鳥獣肉や魚介肉でクリーム状の混練物を挟持したものであり、クリーム様の飼料そのものではなく、また、菓子のような甘味成分を含まないスナック食品的なものである。また、特許文献3に開示されている飼料は動物の口内に強制的に塗布するための糊状のものであり、おやつ的な嗜好を目的とした菓子とは異なる。
【特許文献1】特開2004−357677号公報
【特許文献2】特開2005−13079号公報
【特許文献3】特開2001−161282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
夏場等の気温が高い時期においては人間の場合は被服や発汗により体温調節ができるが、汗腺が肉球にしかない犬の場合は発汗による体温調節ができない。
【0005】
ところで、人間の場合は消夏法として冷菓であるアイスクリームを摂取することが一般に行われている。そこで、発汗による体温調節ができない犬の場合にもアイスクリームを与えれば対応調節に適当である。この場合、犬に単なる飼料でなくおやつとしてアイスクリームを与えることは、犬を擬人化して愛玩する飼い主の欲求も満たすことができる。
【0006】
しかしながら、アイスクリームは−20℃以下の冷凍下で製造・保存される冷菓であり、それを犬に与えるとお腹が冷えすぎて下痢をするおそれがある。また、仮にアイスクリームを犬用に販売するとした場合、ペットショップ等にアイスクリーム保存用の冷凍庫を備えなければならない問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は以上の問題点を解消した犬用の菓子を提供することを目的として創作されたものであり、菓子を水と混ぜ合わせることによりクリーム様の菓子を形成可能な粉粒体組成物とし、上記粉粒体組成物は乾燥ポテト、増粘剤、粉乳類、ブドウ糖を含有したことを特徴とする。
【0008】
又、ここでは以上の粉粒体組成物に有胞子性乳酸菌を添加した発明及びビタミンCを添加した発明も開示する。
【発明の効果】
【0009】
アイスクリームは乳成分と糖類を含む主原料を凍結状態へ冷却し、同時に撹拌を行うことにより空気が混合した泡状とすることにより特有のクリーム様の食感を得ている。この発明の菓子の場合は、含有する乾燥ポテトと増粘剤の作用により、水と混ぜ合わせて撹拌を行うことによりクリーム様に変化し、アイスクリーム様の食感を得ることが可能となる。又、粉乳類及びブドウ糖によりアイスクリーム様の食味を実現している。
【0010】
また、この場合、冷水を使用することによりアイスクリーム様の冷涼感を得られる共に犬の体温を適度に下降させて体温調節を図ることが可能となる。しかもその温度はアイスクリームのように0℃以下にはならないので、犬のお腹を過度に冷えさせて下痢を誘発するおそれもない。
【0011】
一方、この発明においては前記したようにブドウ糖を含有することにより、アイスクリーム様の食味を実現しているが、同時に犬が低血糖状態になったときにその症状を改善する作用も生じる。低血糖状態は犬の体が冷えたときに生じやすいので、これによりこの発明の菓子の摂取により体が冷え低血糖状態になることが防止されることになる。
【0012】
以上の効果を奏するこの発明の菓子は、常態においては粉粒体組成物であり、水と混ぜ合わせることにより初めてクリーム様の菓子となる即席菓子として構成される。よって、輸送や保管に特別な冷凍設備を要さず、購入後も手軽に保存でき、携帯も容易になる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1実施例)
この発明の犬用即席菓子の第1実施例の配合を下記する。
【0014】
粉乳 44%
ポテトフレーク 37%
ブドウ糖 12.7%
増粘剤 6%
有胞子性乳酸菌 0.1%
ビタミンC 0.2%
粉乳は蛋白質と油脂を含有する粉末状乳化物であり、例えば植物性油脂、乳化剤、乳製品由来の蛋白質を主成分とするものが例示される。また、更にバニラエッセンス等の香料を添加したものも例示される。
【0015】
この実施例では乾燥ポテトとしてポテトフレークを例示しているが、例えばポテトグラニュール、ポテトパウダー、乾燥マッシュポテト等のようなものであってもよいことは勿論である。
【0016】
増粘剤としては、例えばジェランガム、カラギナン、ファーセルラン、キサンタンガム、コンニャクマンナン、ローカストビーンガム、タラガム、サイリュームシードガム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、タマリンドガム及びアザトバクタービネランジガム等の増粘多糖類等が例示される。
【0017】
この実施例では粉粒体組成物に更に有胞子性乳酸菌とビタミンCを添加している。有胞子性乳酸菌は常態では殻に包まれて休眠しているが、水と混ぜ合わせて犬が摂取することで、犬の体内で殻から出て腸内で活動してその環境を整え、下痢等の防止も図られる。又、ビタミンとしてここではビタミンCを挙げているが、その他のビタミンであってもよいことは勿論である。
【0018】
(第2実施例)
この発明の犬用即席菓子の第2実施例の配合を下記する。
【0019】
粉乳 38%
ポテトフレーク 38%
ブドウ糖 15.5%
増粘剤 6%
抹茶フレーバー 2%
緑系色素 0.1%
有胞子性乳酸菌 0.1%
ビタミンC 0.2%
この実施例においては、抹茶フレーバーと緑系色素を添加することにより抹茶アイスクリーム様の菓子を実現している。
【0020】
(第3実施例)
この発明の犬用即席菓子の第2実施例の配合を下記する。
【0021】
粉乳 38%
ポテトフレーク 37%
ブドウ糖 13.5%
増粘剤 6%
イチゴフレーバー 5%
赤系色素 0.2%
有胞子性乳酸菌 0.1%
ビタミンC 0.2%
この実施例においては、イチゴフレーバーと赤系色素を添加することによりイチゴアイスクリーム様の菓子を実現している。
【0022】
(第4実施例)
この発明の犬用即席菓子の第2実施例の配合を下記する。
【0023】
粉乳 38%
ポテトフレーク 37%
ブドウ糖 13.5%
増粘剤 6%
バナナフレーバー 5%
黄系色素 0.1%
リボF 0.1%
有胞子性乳酸菌 0.1%
ビタミンC 0.2%
この実施例においては、バナナフレーバーと黄系色素を添加することによりバナナアイスクリーム様の菓子を実現している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と混ぜ合わせることによりクリーム様の菓子を形成可能な粉粒体組成物であって、上記粉粒体組成物は乾燥ポテト、増粘剤、粉乳類、ブドウ糖を含有してなることを特徴とする犬用即席菓子。
【請求項2】
粉乳類は植物性油脂、乳化剤、乳製品由来の蛋白質を主成分とする請求項1記載の犬用即席菓子。
【請求項3】
粉粒体組成物に有胞子性乳酸菌を添加した請求項1または2記載の犬用即席菓子。
【請求項4】
粉粒体組成物にビタミン類を添加した請求項1から3の何れかに記載の犬用即席菓子。

【公開番号】特開2007−259761(P2007−259761A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−89374(P2006−89374)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(393022768)日本動物薬品株式会社 (9)
【Fターム(参考)】