説明

玉払出装置および遊技機

【課題】
環状通路に導かれた玉をスプロケットにより回転送りする際、この環状通路に玉が存在する状態でスプロケットの回転方向を切換えても、玉詰りを回避した回転送りができる玉詰り回避機能を備えた信頼性の高い回転送りを実現する。
【解決手段】
同一の環状通路に玉供給口と玉払出口と該玉抜き口とを備えて共通利用し、このうち下部位置に例えば玉払出口を開口することによりモータの回転に伴う高速の払い出しを可能にし、玉を払出方向とは逆向きに回転送りしたときに対応する環状通路の一側方の位置に、該環状通路より分岐して下向きに開口する例えば玉抜き口を設けてモータの逆転により玉抜きを許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばパチンコ遊技機の入賞玉の払い出しや貸玉装置の貸玉の払い出しを行う玉払出装置に関し、さらに詳しくはパチンコ玉(以下玉と称す)を回転送りするスプロケットの正逆転による玉詰りを解消した玉払出装置および遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、パチンコ遊技機に備えられる玉払出装置を例にとって説明する。
従来の玉払出装置は、例えば特許文献1および特許文献2に開示されるように正逆転可能に設けられたステッピングモータと、該モータの駆動に基づいて回転し、外周面に送り爪と凹部とを交互に有するスプロケットと、該スプロケットを収納する本体ケースとの環状対向面間に送り爪によって玉を周方向の一側と他側に回転送りさせる逆U字形の通路とを有している。さらに、この通路の上部に玉供給路を接続して玉を受け入れ、通路下部の逆U字形を形成する一方に払出し通路を接続し、他方に玉抜き通路を接続している。
【0003】
そして、この玉払出装置から遊技中に賞玉として払い出す場合は、前記ステッピングモータを正転駆動してスプロケットを正転させれば、玉を払出し通路から連続的に払い出してパチンコ遊技機の前面に突出する受皿へと払い出すことができる。
【0004】
一方、パチンコ遊技機の検査時、ホール設置時、レイアウト変更時などによって上流にある貯留タンクからの玉抜きを必要とする場合は、前記ステッピングモータの逆転駆動に基づいてスプロケットを逆転させれば、この回転に従って貯留タンクに貯留されている玉を玉抜き通路に導いて遊技機の盤面裏側に接続されている玉回収装置へと回収することができる。
【0005】
しかし、このような玉払出装置の場合、玉がスプロケットの送り爪凹部から払い出されるか否かの位置にある状態で前記ステッピングモータを正転・逆転させて玉払い出し動作と玉抜き動作とを切換える際に、スプロケットの回転方向がそれまでとは逆向きになる。この場合に、スプロケットの送り爪とスプロケットの外周面に沿う環状通路の内壁面との間で玉が挟み込まれて玉詰りが生じることがあった。
【0006】
【特許文献1】特開平3−286791号
【特許文献2】特開2000−37535号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこでこの発明は、環状通路に導かれた玉をスプロケットにより回転送りする際、この環状通路に玉が存在する状態でスプロケットの回転方向を切換えても、玉詰りを回避した回転送りを実現できる信頼性の高い玉払出装置および遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、モータの駆動に基づいて回転し、外周面に送り爪を有するスプロケットと、該スプロケットを収納するケーシングとの環状対向面間に送り爪によって玉を周方向に回転送りさせる環状通路を設け、この環状通路に通じるケーシングの上部には上方より供給された玉を受け入れる玉供給口を設け、ケーシングの下部には環状通路に取り込まれた玉を下方に払い出す玉払出口を設けた玉払出装置であって、前記環状通路の下部には、該環状通路の下部位置より下向きに開口する第1開口部に加えて、玉を前記第1開口部への送り方向とは逆向きに回転送りしたときに対応する環状通路の一側方の位置に、該環状通路より分岐して開口する第2開口部を設け、前記第1開口部と第2開口部のいずれか一方を玉払出口に他方を玉抜き口としたことを特徴とする。
【0009】
前記第1開口部の開口位置を環状通路の下部位置に設けることにより、上部の玉供給口からスプロケットの回転力を受けて回転送りされ、環状通路の周方向に半周分玉を搬送し、機械的に搬送されて回転送りされる。このため、スプロケットを高速回転すれば、玉は高速に払い出される。従って、高速の払い出しを実現できる。
【0010】
前記第2開口部は環状通路上に有しており、1つの環状通路に第1開口部と第2開口部とを備えて共通利用している。また、第2開口部は下部位置の第1開口部と同一場所には開口できないため、環状通路の一側方の位置に下向きに分岐して開口すれば設けることができる。
【0011】
この発明によると、スプロケットの正逆回転により玉を環状通路の一方(正転)と他方(逆転)に回転送りすることができる。このとき、スプロケットを回転させて玉を強制的に回転送りするため、玉の自重に頼らず、また玉の降下抵抗の影響を受けず、モータの回転駆動によって玉を高速に払い出すことができる。また、スプロケットを正逆転させることによって、一方の回転方向に伴う払い出し動作と他方の回転方向に伴う玉抜き動作が簡単に行える。
【0012】
例えば、玉払出装置から一定個数の玉を払い出す場合は、モータを正転駆動してスプロケットを正転させる。これにより、環状通路に導かれた玉はスプロケットの回転送りによって一方の玉払出口より連続的に払い出される。そして、スプロケットが規定量回転した時点で玉の払い出し動作が終了する。
【0013】
これに対し、玉払出装置から玉抜きする場合は、モータを逆転駆動してスプロケットを逆転させる。これにより、環状通路に導かれた玉はスプロケットの回転送りによって他方の玉抜き口より連続的に玉抜きされる。そして、全玉が玉抜きされた時点で玉抜き動作が終了する。
【0014】
ことに、払い出し動作において、玉払出口を環状通路の下部位置でない逆U字形の通路などと比べた場合、逆U字形の通路では上部の玉供給口に導かれた玉を環状通路の最下部までスプロケットの回転送りによる動力伝達ができないため玉の払い出し速度が遅くなるが、玉払出口を環状通路の下部位置に設定することにより、このような問題は解消される。
【0015】
前記モータの正転と逆転とを切換えることによって、玉の払い出し動作と玉抜き動作を実行する場合を述べたが、モータの回転方向はこれに限らず、モータ正転時の動作とモータ逆転時の動作を逆向きにして構築しても同様に達成できる。
【0016】
この発明の別の構成では、前記玉払出口には該玉払出口より払い出された玉の払い出し数を計数する計数検知センサを配設することができ、例えば近接センサを用いた玉計数検知センサで構成することができる。
【0017】
この発明によると、玉払出口に備えられた計数検知センサによって、玉払出口から払い出された玉の確認および払い出された玉数を計数することができる。さらに、玉有無検知センサと計数検知センサとの両センサを備えれば、玉の供給と払い出しとの両検知信号から玉払出装置の現状の玉の流れを一層正確に管理することができる。
【0018】
この発明の別の構成では、前記玉供給口には該玉供給口に導かれた玉の存在を検知する玉有無検知センサを配設することができ、例えば近接センサを用いた玉有無検知センサで構成することができる。
【0019】
この発明によると、玉供給口に備えられた玉有無検知センサによって、玉供給口へと導かれた玉の有無を検知することができる。このため、スプロケットによる適切な払い出しと玉抜きとの回転制御ができる。例えば遊技機に適用した場合は、遊技機の貯留タンクから供給される玉の存在の有無を確認できる。それゆえ、空取り込みを防止することができる。例えば、玉数が不足することを検知した場合は玉切れや玉詰りの発生と検知することができる。このときは玉の供給動作や払い出しを規制することができる。
【0020】
この発明の別の構成では、前記環状通路と、該環状通路より分岐した第2開口部との開口対応部分に、環状通路内の外周面側からスプロケットの外周側に向けて弾性変位許容して突出する玉詰り回避用の弾性体を対設して構成することができる。
【0021】
この発明によると、環状通路と、該環状通路より分岐した第2開口部との開口対応部分に玉が介在した玉詰りが生じやすい状態でスプロケットの回転方向が切換えられても、その位置に対応する弾性体が玉に接触した際に弾性支持して玉詰り方向の移動を阻止して、玉詰り回避作用を働かせる。このため、玉詰りのおそれがなくなり、信頼性の高い安定した回転送り動作を実行させることができる。
【0022】
この発明の別の構成では、前記環状通路を通過させて玉を玉抜き方向に回転送りして玉抜きするとき、その玉を移動ガイドさせる役目を有する例えば板バネなどの弾性体によって構成することができる。前記環状通路を通過する玉が玉抜き方向に回転送りされるとき、前記弾性体が玉の通過を許容する退避位置に移動し、環状通路を通過する玉が払い出し方向に回転送りされるときは、該玉をスプロケット側に押圧付勢して、スプロケットの送り爪先端との対応を避けた送り爪間の凹部位置に玉を移動ガイドさせる板バネによって弾性体を構成することができる。
【0023】
この発明によると、玉抜き動作中の板バネは、玉が経由して受けるスプロケットの回転による押圧力を受けて玉の通過を許容する退避位置に移動するため、該板バネを環状通路に介在させても玉抜き動作に支障がなく、連続的な玉抜き動作を継続させることができる。
【0024】
これに対し、玉抜き動作から払い出し動作に切換えたときは、モータを逆転駆動から正転駆動に切換えればよい。これに伴いスプロケットも逆転から正転に切換わり、玉は逆転送りから正転送りになる。このとき、環状通路の玉が該環状通路と玉抜き口との開口対応部分で変位しやすいが、その位置には板バネが位置してスプロケット側に付勢しているため、ここに玉が導かれても、スプロケットの凸部対応を避けた凹部位置に玉を移動ガイドさせることになる。このため、玉詰り動作は未然に回避される。この結果、環状通路に玉が介在している状態でスプロケットの回転方向を逆向きに切換えても、玉詰りを回避した安定した払い出し作用が得られる。
【0025】
このように構成された玉払出装置を遊技機に組込めば、玉払い出し速度の速い高処理能力を有する遊技機を構築することができる。例えば、パチンコ遊技機の賞玉払い出し装置などに適用することができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、玉払出口を環状通路の下部位置に設けることにより、スプロケットにより回転送りされる玉は、環状通路の周方向に半周分玉を搬送して環状通路の最上部から最下部までスプロケットの回転力を受けて機械的に搬送される。このため、スプロケットを高速回転すれば、玉を高速に払い出すことができる。
【実施例】
【0027】
この発明の一実施例を以下の図面に基づいて説明する。
図1はパチンコ遊技機の遊技台11の盤面裏側を示し、この遊技台11の盤面裏側の上部に玉ホッパー12を配設し、盤面裏側の中央部に大型の表示装置や制御部等を備えた基板部13を配設している。さらに、玉ホッパー12の上面開口部と対向する上方には補給シュート14が対設され、この補給シュート14を介して玉ホッパー12に上方から玉が補給される。また、玉ホッパー12の下方には払出し通路15が接続され、この払出し通路15を通して玉は遊技台11の前面下部に位置する受皿へと払い出される。
【0028】
前記玉ホッパー12は、図2にも示すように、横型に設置される貯留タンク16と縦型に設置される玉払出装置17とを逆L形状に一体に接続している。そして、この横長の貯留タンク16の下流側端部に玉払出装置17の上端部を連結することにより、双方を一体化して小型化したコンパクトな単体構成をとっている。
【0029】
上述の貯留タンク16は、図3に示すように、上面を開放した先細の凹形状を有し、この上面開放部に対して上方の補給シュート14から玉が補給され、ここで多数個の玉を貯留許容している。この貯留タンク16に貯留された玉Pを自重により転動させて上流側から下流側の玉払出装置17へと導くように構成している。
【0030】
この場合、玉Pを上流側から下流側に円滑に通過させるために玉払出装置17の前段には整列通路18を形成している。この整列通路18は貯留タンク16の下流側の先端部に細長い整列用の通路を一体に突出させて構成している。
【0031】
ところで、上流側に設置される貯留タンク16内のタンク底面から下流側に設置される玉払出装置17に玉を払い出す底面にかけては、同一傾斜方向に緩やかに傾斜させて直進する長い同一傾斜通路Lに設けている。
【0032】
この同一傾斜通路Lは、貯留タンク16から整列通路18へと玉を転動させて通過させる通路の底面を、同一傾斜方向の緩やかな傾斜角度に設定して接続した通路である。このため、玉が自重により上流側から下流側へと緩やかに転動する。
【0033】
次に、整列通路18について説明する。
貯留タンク16の下流側の先端部には、該貯留タンク16に貯留された積層状態に貯留されている玉Pを1列に整列させて流下させるように両側に立ち上げた壁のうち、一方の片壁側を狭めて先端部を先細に絞り、その絞った細長い通路を前方に長く延設し、この延設部分を整列通路18に設けている。
【0034】
また、整列通路18の絞った一方の片壁の上流側には玉圧を上流側で受止めて玉圧を減圧させるための通路方向に対する傾斜角度を大きくとった急絞り傾斜面18aを有し、他方の片壁の上流側から下流側にかけては通路方向に対する傾斜角度を小さくとった緩絞り傾斜面18bを有している。これらの両傾斜面18a,18bの傾斜方向を異ならせることによって、タンク内での玉の流下方向を集中させず、分散させながら下流側に流下させることができる。これによって、整列通路18に玉圧が直接加わるのを防いでいる。
【0035】
さらに、整列通路18の底部には異物排除用に格子状に開口した排除口18cを数個有している。これにより、貯留タンク16内に異物が混入しても、その下流側の整列通路18に移動した時点で、異物は排除口18cより落下して自然に排除される。このため、整列通路18に玉Pを整列させて通過させたときは、常に玉Pのみを通過させて、異物の混入による玉詰りを未然に回避できる。
【0036】
さらに、整列通路18には、図4に示すように、天板19と、玉崩し機構20と、玉通過規制機構21と、玉払出装置の着脱機構17Aと、連結フレーム22とが取付けられる。
【0037】
前記天板19は、図5にも示すように、貯留タンク16の下流側上部に、タンク下流側の絞り形状と同形状を有して整列通路18の上面を覆うL形板で構成している。この天板19のL形の垂直部分を受止め片19aに設けて貯留タンク16の下流側上部に垂直に対応させている。
【0038】
これにより、該貯留タンク16から重なり移動する玉の上層部を受止めて、山積み状態にある玉Pの上層部の流れを阻止する役目を有している。このため、下部層の玉だけを流下させることができ、これ以降は玉数を十分に減らして下流側に少量ずつ供給することができる。これにより、下流側への玉圧を一層軽減できることになり、貯留タンク16から1列の通路に絞り込まれる整列通路18側への玉Pの供給に適した円滑な流れを確保している。
【0039】
また、天板19を設けたことにより、貯留タンク16に供給された玉Pが仮に勢いよく飛び跳ねて整列通路18や後述する玉払出装置17に至っても、該天板19で遮って飛び込まなくなるので玉詰りや誤動作を誘起することもない。
【0040】
次に、玉崩し機構20について説明する。
この玉崩し機構20は整列通路18の下流側を挟む両側に、平行して対設した左右一対の軸支ブロック23,24間に通路方向に直交する軸支ピン25を架設し、この軸支ピン25に玉崩しレバー26を吊支して、軸支ピン25を傾動支点に玉崩しレバー26を通路方向に振り子状に回動許容して設けている。
【0041】
前記玉崩しレバー26は、図6および図7に示すように、コ形状を有する金属板の開放面を上向きにし、該コ形状の一端に開口した軸支孔26aを頂部に吊支した上流側に対向する下面を玉崩し接触面として、さらに2段階に傾斜させて設けている。このうち、傾斜方向に対して上流側には急傾斜する第1傾斜面26bを、同じく傾斜方向に対して下流側には緩傾斜する第2傾斜面26cを形成している。
【0042】
図8は玉崩しレバー26の取付け状態を示し、整列通路18の幅に対応させて玉崩しレバー26を3枚1組に連設させて吊支している。該玉崩しレバー26は整列通路18の通路幅に対応させた厚さを有する1枚で構成してもよい。
【0043】
この玉崩しレバー26の前段には、整列通路18の上方に位置して、予備的に高さ方向の玉崩しを行う前崩し傾斜面27を有している。この前崩し傾斜面27は両側の軸支ブロック23,24間に介在させればよく、例えば一方の軸支ブロック24の通路面側に一体に突出させて設ければよい。この前崩し傾斜面27の前崩し機能としては整列通路18の通路方向に対し、互い違いで玉2個半分の高さに流下ガイドして玉崩しレバー26の前段で予め上面を玉崩しするガイド機能を有している。このため、玉が下流に転動するに従って高さ方向が規則正しい千鳥状配列で流下するように玉2個分の高さになる傾斜角度を有している。このように、玉が整列通路18の下流側では幅方向は1列で、高さ方向は互い違いの千鳥状で2個以上の高さに重ならないように規制している。この場合、高さ方向を2列にすることにより上流側からの玉の供給不足を解消している。
【0044】
この前崩し傾斜面27の後段に位置する玉崩しレバー26の外周面に形成される傾斜面のうち、第1傾斜面26bは該玉崩しレバー26が最上方に回動した際に、前崩し傾斜面27の傾斜角度と同じ傾斜角度になるようにして、ここに導かれた玉が規則正しい千鳥状配列で流下するように規制している。第2傾斜面26cにおいては、玉崩しレバー26が最下方に回動した際(玉非接触状態のとき)に、該第2傾斜面26cの最下面が玉1個半の高さ位置になるように設定して上層玉に確実に接触させて千鳥状配列させる玉崩し力を持たせている。また、玉崩しレバー26の吊支作用によって、下部の両傾斜面26b,26cが金属の重さで下方向に加わりやすい形状に構成している。
【0045】
図9(A)は玉崩しレバー26の待機状態を示し、この玉崩しレバー26が玉との非接触の待機状態では上流側に対向する該レバー26の前端面26dが前崩し傾斜面27の下流側の端面に相当する係止面28に当って静止している。
【0046】
図9(B)は玉崩しレバー26の初期接触状態を示し、整列通路18を玉2個分の高さで千鳥状に送られて来た上層玉と下層玉のうち、上層玉に第1傾斜面26bが接触して流下抵抗を与える。これにより、上流の貯留タンク16から加わる上層玉の玉圧が減圧される。
【0047】
図10(A)は初期玉崩し状態を示し、第2傾斜面26cの始端側が上層玉の頂部に点接触して玉崩しレバー26が押し上げられつつ、該玉崩しレバー26の荷重を上層玉に与えて玉崩し作用を行う。
【0048】
さらに、玉が下流に転動して行くと、図10(B)に示すように、第2傾斜面26cの終端側が玉Pに点接触して玉崩しレバー26を最も押し上げた状態になる。このとき、玉崩しレバー26の下流側に働く下方向の荷重によって、玉の重なりを崩し、上流側から加わる玉圧をも減圧する玉崩し作用が得られる。これにより、玉Pは整列通路18を上流から下流に転動するにつれて高さ方向に互い違いの千鳥状で2個から1個へと整列させることができる。
【0049】
図11(A)に示すように、玉崩しレバー26により玉崩しされた玉は同一傾斜通路Lの傾斜方向から下向きへと湾曲して千鳥状配列のまま降下ガイドする弯曲ガイド部29へと移動する。この弯曲ガイド部29の下方には玉を1個出しを許容する玉流下口30を開口しており、この玉流下口30より玉Pは1個ずつ放出される。
【0050】
図11(B)は玉の流下状態を示し、弯曲ガイド部29に沿って玉は転動して玉流下口30より降下し、下方に接続される玉払出装置17へと供給される。
【0051】
ここでは、金属製の玉崩しレバー26を用いて荷重を持たせた一例を示したが、該レバー26の全体を樹脂で構成し、その下流側の端部に重い金属体を埋め込んで構成してもよく、いずれも下流側に荷重が集中するバランスをとって構成するのが適している。
【0052】
仮に、玉崩しレバー26がない場合を考えてみた場合、例えば図12に示すように、整列通路18の上下方向で上層玉P1と下層玉P2が規則正しい千鳥状に導かれても、外部からの衝撃や振動等を受けたときに上下に重なってロックするおそれがあり、このときに玉詰りを発生させてしまう可能性がある。よって、この玉崩しレバー26を配設することにより、玉の上動を規制して玉詰りのない安定した玉の流れを確保することができる。
【0053】
この玉崩しレバー26の外面側に相当する軸支ブロック23には玉通過規制機構(図4参照)21と玉払出装置の着脱機構17Aとを取付けている。玉通過規制機構21は、一方の軸支ブロック23の外側面に90度程度回転操作可能な玉通過規制つまみ31を取付けて構成している。
【0054】
前記玉通過規制つまみ31は、外面に手動回転操作用のつまみ部31aを有し、内面につまみ軸31bと弓形の玉通過規制アーム31cとを有し、つまみ軸31bにコイル状の玉通過規制バネ33を挿通させた状態でつまみ軸31bを軸支ブロック23に横貫させ、該玉通過規制つまみ31を回動自由にして軸端部をフランジ付きネジ34で固定している。
【0055】
前記玉通過規制アーム31cは、図13にも示すように、つまみ軸31bを回動支点に下方に弓形に垂設している。この弓形の玉通過規制アーム31cを、前記玉流下口30を開口する開位置と閉鎖する閉位置に回転移動可能に設けている。このため、通常は玉通過規制アーム31cが上方に待機して玉流下口30を開放している。このとき、玉通過規制機構21は玉崩しレバー26の側面より玉通過規制バネ33のバネ力を受けて、整列通路18の外方に飛び出て退避している。このため、整列通路18に導かれた玉を、これより下方の玉払出装置17へと流下供給した状態にある。
【0056】
これに対し、玉止めするときは、つまみ部31aを押しながら時計方向に回動(約90度)させて、玉通過規制アーム31cで玉流下口30を閉鎖する。そして、玉流下口30が玉通過規制アーム31cにより玉止めされたとき、該アーム31cの先端部が貯留タンク16側の最下流部の玉と、玉払出装置17側の最上流部の玉との上下間に介入して、貯留タンク16と玉払出装置17との境を仕切る。これにより、玉払出装置17へと玉が流下するのを玉止めする。
【0057】
この玉通過規制機構21を操作することによって、貯留タンク16からの玉の供給を通過と規制とに切換えることができる。従って、通常は玉通過規制機構21を開放して貯留タンク16から下方の玉払出装置17へと玉の通過を許容して、玉を払い出し許可状態に待機させておく。そして、例えばメンテナンスや玉詰り発生のために玉払出装置17を遊技台11の盤面裏側から取外すときは、その取外しに先立って玉通過規制機構21によって玉止めして玉流下口30からの玉の流出を規制する。このため、係員は玉通過規制機構21のつまみ部31aを回して開閉操作するだけで簡単に玉の通過と規制を切換えることができる。また、玉払出装置17を貯留タンク16と分離させて取外す際も、簡単に仕切ることができるため貯留タンク16との接続部分での玉漏れのおそれもない。
【0058】
前記玉払出装置の着脱機構17Aは、図14にも示すように、一方の軸支ブロック23の外面に突出する上下のガイドピン23a,23bに上下方向にスライド可能に係合して取付けられ、コイル状のロックバネ35によって下向きに付勢した状態でロックレバー32を取付けている。
【0059】
このロックレバー32はロックバネ35を圧縮した状態で取付けられ、このロックレバー32の内端部が玉払出装置17を接続したときの上部を押圧して玉払出装置17をロックしている。
【0060】
このように貯留タンク16と玉払出装置17との接続に際しては、玉払出装置17の着脱機構によって直結状態に取付けている。そして、ロックレバー32を指先で上向きに押すと、該ロックレバー32はロックバネ35のバネ圧に抗して上向きにスライドし、これに基づいてロックが外れ、玉払出装置17の取外しが許容される。また、取付ける場合はロックレバー32を押上げた状態で玉払出装置17を当てがえばロックして取付けることができる。
【0061】
このように玉払出装置17を簡単にロック、ロック解除して着脱できる構成のため、保守点検などのメンテナンスを行う場合には、遊技台11から玉払出装置17を簡単に取外してメンテナンス作業ができ、その後は再び簡単に取付けることができる。
【0062】
前記連結フレーム22は、貯留タンク16と玉払出し装置17との双方を一体に連結して玉ホッパー12を構築する連結部材として設けられ、またこの連結フレーム22を介して玉ホッパー12を遊技台11の背面側に一体に取付けるものである。
【0063】
次に、玉払出装置17について説明する。
前記玉払出装置17は、図15〜図17に示すように、スプロケット41と、駆動モータMと、遊星歯車機構42と、玉有無検知センサS1と、計数検知センサS2と、回転位置検知センサS3と、これらを内蔵するケーシング43と、その側面カバー44と、両側の補助カバー45,46とから構成される。
【0064】
上述のスプロケット41は一端面を閉鎖した筒状体を有し、この筒状体の外周面に玉を1個ずつ区切って回転送りするための非対称形状の爪形状を有する送り爪47を等分配設している。
【0065】
このスプロケット41の一方の閉鎖端面には、図18にも示すように、その軸心部より外向きに突出する支軸48を突設し、この支軸48に軸受ローラ49を嵌合させた状態で側面カバー44の軸支孔44aに挿通して該スプロケット41を回転自由に軸支している。この閉鎖端面の環状方向には等分して切り欠き形成された回転位置検知用のスリット50を配設している。
【0066】
他方の開口端面側の筒状内周面には、図19に示すように、内歯車51を形成し、この内歯車51に駆動モータMにより駆動される遊星歯車機構42の各歯車52,53を噛合させて該スプロケット41を回転駆動する。
【0067】
上述の遊星歯車機構42は駆動モータMの主軸に連結された太陽歯車54を中心とする周方向に第1遊星歯車52と第2遊星歯車53との2個の遊星歯車52,53を前記スプロケット41の内周面に囲まれる中空部に配設している。そして、これらの遊星歯車52,53を太陽歯車54に噛合させるとともに、前記内歯車51に噛合させて太陽歯車54からの回転駆動力を、各遊星歯車52,53を介してスプロケット41に伝達している。
【0068】
これらの各遊星歯車52,53は各回転軸が固定円板55に軸支され、この固定円板55は駆動モータMを保持した状態で後述するケーシング43に一体に取付けられる。さらに、スプロケット41の内周面には表面が滑らかな回転ガイド面56を有しており、この回転ガイド面56に固定円板55にてピン57aにより支持された3個の位置決めローラ57を等分配設して支持している。これにより、スプロケット41は定位置に位置決めされて該スプロケット41の変動のない円滑な回転を確保している。
【0069】
前記ケーシング43はスプロケット41を片方より覆う円板状に設けられ、さらにモータカバーとして兼用して覆っている。このケーシング43の外側面の下部周方向には、異物排除用に開口した排除口43aを有している。この排除口43aを設けることにより異物は排除口43aより落下して排除される。
【0070】
一方、ケーシング43の内側面には、前記駆動モータMと遊星歯車機構42とを支持する固定円板55を取付け、さらにその内側面の対向位置にはスプロケット41を支持した側面カバー44で覆って連結している。また、この側面カバー44の外側面の下部周方向にも異物排除用の排除口44bを開口している。
【0071】
前記ケーシング43の中央部には駆動モータ介在用に円形の中空部43bを形成し、この中空部43bに駆動モータMを貫通状態に配置して軸方向にケーシング43と駆動モータMとを重合配置している。これにより、玉払出装置17の軸方向(厚さ方向)を短縮して薄型化を図っている。
【0072】
同様にスプロケット41の中空部にも遊星歯車機構42の各歯車52,53を介在させて軸方向に重合配置し、軸方向の空間部を有効利用して玉払出装置17を薄型化している。
【0073】
このケーシング43の内周面とスプロケット41の外周面との間に形成される環状対向面間に、玉Pを1個ずつ送り爪47で回転送りする環状通路58を構成している。この環状通路58のうち、図20に示すように右半周は玉払出通路58aとして使用し、図21に示すように左半周は玉抜き通路58bとして使用する。
【0074】
そして、この環状通路58に導かれた玉Pは1個ずつスプロケット41の回転に伴って送り動作されるため、供給された玉Pを途切れることなく連続的に払い出し動作する。
【0075】
前記環状通路58の上面に開口する入口の玉供給口59には近接センサなどの玉有無検知センサS1を配設し、環状通路58に玉が供給されたことを検知する。さらに、この環状通路の下面に開口する出口の玉払出口60には近接センサなどの計数検知センサS2を配設し、環状通路58を通って玉が払い出されたとき、この計数検知センサS2が払い出された玉を検知して計数する。
【0076】
さらに、側面カバー44の外面には、これより内方に臨ませてスプロケット41上のスリット50を検知する回転位置検知センサS3を配設して、スプロケット41と一体に回転する前記スリット50でスプロケット41の回転位置を検知する。
【0077】
前記玉抜き通路58bは、貯留タンク16に貯留されている玉Pを係員が回収玉として回収するときに利用するものであって、この場合、玉払出通路58aとは反対側の位置に左半円状に形成し、玉払出装置17に玉払出し通路58aと玉抜き通路との両通路を一体に内部構成している。このため、玉払出装置17としての本来の玉払出通路58aと、玉抜き通路58bとを一体的に設けることができ、玉抜き通路専用の独立した新たなスペースが不要になる。
【0078】
ところで、前記環状通路58は、該通路の上部中心位置に玉供給口59を開口し、下部中心位置に玉払出口60を開口している。さらに、該環状通路58の玉抜き通路58b側の側方位置に、該玉抜き通路58bより分岐して下向きに開口する玉抜き口61を設けている。
【0079】
このうち、玉払出口60の開口位置を環状通路58の下部中心位置に設けることにより、上部の玉供給口59からスプロケット41の回転力を受けて回転送りされる玉Pは周方向に半周分玉を搬送して、環状通路の最上部から最下部まで機械的に動力伝達される。このため、スプロケット41を高速回転すれば玉を高速に払い出すことができる。
【0080】
さらに、スプロケットを正逆転させることによって、一方の回転方向に伴う払い出し動作と他方の回転方向に伴う玉抜き動作が簡単に行える。また、玉払出口60に計数検知センサS2を配設しているため、速いタイミングで検知できる。このため検知情報も高速化することができ、これに伴って玉を一層早く払い出すことができる。
【0081】
また、玉供給口59に玉有無検知センサS1を配設することによって、供給された玉の有無を検知できる。このため、玉が無いことを検知した場合は貯留タンク内の玉切れや上流側の整列通路での玉詰りの発生と検知して空取り込みを防止することができる。従って、このときは玉の供給動作や払い出しを規制することができる。そして、これらの両センサS1,S2を備えることによって、玉の供給と払い出しとの両検知信号から玉払出装置17での現時点の玉の流れを一層正確に管理することができる。
【0082】
前記玉抜き通路58bと玉抜き口61との開口対応部分には、図22に示すように玉詰り回避用の板バネ62を対設している。この板バネ62は逆くの字形を有し、その中央部の膨らみ部62aを環状通路内の外周面側から内周面側に向けて一端部を固定して取付けている。そして、図23(A)に示すように玉の回転方向を払出待機状態から、図23(B)に示すようにスプロケット41を逆転(図中反時計方向)させて玉払出し通路58aに介在していた玉および玉供給口59から1個ずつ供給された玉Pを玉抜き方向に回転送りするとき、図23(C)に示すように玉Pは玉抜き通路58b側に連続して逆転送りされる。その後は、図23(D)に示すように玉抜き通路58bから玉抜き口61へと至る。
【0083】
このとき、図24(A)に示すように、玉抜き口61へと至った玉Pは、玉抜き降下時に板バネ62の膨らみ部62aと接触し、該バネ62の弾性力に抗して押えつけながら下向きに移動する。その後は、図24(B)に示すように、板バネ62を後退させて通過した玉Pは玉抜き口61へと降下して玉抜きされる。
【0084】
このため、板バネ62を玉抜き通路58bと玉抜き口61との交差部分に介在させても玉抜き動作時は上方から下方へと玉抜き方向の玉圧に板バネ62が退避して玉抜き動作には支障がない。それゆえ、連続的な玉抜き動作を継続させることができる。
【0085】
これに対し、玉抜き動作から払い出し動作に切換えるときは、モータを逆転駆動から正転駆動に切換えればよい。これに伴いスプロケット41も逆転から正転に切換わり、玉Pは逆転送りから正転送りになる。
【0086】
ところで、玉抜き時は玉払い出し時と異なり、スプロケット41が、どの状態で停止されているかを検知する必要性がないため、例え、玉が環状通路58内に残留していても、玉抜き待機状態から払い出し状態に切換えられた場合に、玉抜き口61に玉が落下して玉抜き口61とスプロケット41の送り爪先端部との間でロックして玉詰りを発生させるおそれがある。
【0087】
ところが、図25(A)に示すように、その位置には板バネ62が位置してスプロケット41側に付勢しているため、ここに玉Pが導かれても、図25(B)に示すように玉Pはスプロケット41の力を受けながら板バネ62により弾性支持されて通路空間内での玉の動きを許容している。このため、玉Pは一点で支持されることがなく、スプロケット41の送り爪先端部の凸部対応を避けた凹部位置へと容易に移動ガイドされることになる。よって、玉詰りは未然に回避される。
【0088】
この結果、玉抜き口61の付近に玉がロック状態になりやすい位置にあっても、板バネ62によって付勢ガイドしているため、この付勢ガイド作用を受けた玉は玉抜き口61に落下せず、図25(C)に示すように、玉抜き通路58bを逆向きに回転送りガイドされて払出動作へと切換えられる。このため、玉詰りのおそれがなくなり、信頼性の高い安定した回転送り動作を実行させることができる。
【0089】
次に、玉抜き口61の付近に玉Pが介在している状態でスプロケットの回転方向を逆向き(右回転方向)に切換えたときの玉詰り回避原理を図25(A)および図26の説明図を参照して説明する。
【0090】
m:玉自重による鉛直方向のベクトル
d1:スプロケット歯先の接触点から玉中心(重心)方向へ加えられるベクトル
D:mおよびd1により、玉に与えられる合成ベクトル
ここでさらに、合成ベクトルDは玉の進行方向への推進力Fsと、玉の進行方向と直角に対向するFt0とに分解される。このとき、板バネ62の抗力は板バネ62の弾性力によりFt1となり、
Fs>Ft1
の関係を有する。この結果、玉Pは上方へ押し上げられる。これにより、玉Pはスプロケット41の送り爪先端部の凸部対応を避けた送り爪間の半円形の凹部位置へと移動ガイドさせて玉詰りを回避することができる。
【0091】
ところで、もし板バネ62がない玉抜き通路271を考えてみた場合、図27に示すように、玉Pが玉抜き通路271に残留して、玉抜き待機状態から払い出し状態に切換わったときに、スプロケット41の送り爪47から玉Pが落下して玉抜き口61の位置で玉Pが送り爪47により挟みこまれ、スプロケット41の送り爪先端部の押圧力と、玉抜き通路271の壁面との抗力が同じになり、結果的にロック現象を起して玉詰りを発生させてしまう。
【0092】
このように構成された玉ホッパー12における玉の払い出し処理動作を次に説明する。
遊技台11の盤面裏側の上部に設置された玉ホッパー12の貯留タンク16には、多数個の玉が払い出し待機された状態に貯留されている。この待機状態から、今、パチンコ遊技機の全体を制御する図示しないメイン制御部から玉の払い出し信号が入力されて駆動モータMが正転駆動(時計方向に回転駆動)されると、この駆動に基づいて貯留タンク16内の玉は自重により転動して、整列通路18を通って流下し、玉流下口30へと至る。この間に玉は1列に整列されて下流側の玉払出装置17へと導かれる。
【0093】
この玉払出装置17では供給された玉Pをスプロケット41の回転送り動作により環状通路58を降下させて定められた玉数を払い出す。そして、払い出された玉Pは遊技台前面側の上皿または下皿へと払い出される。
【0094】
ところで、貯留タンク16の貯留玉が残少したことを、図示しないタンクスイッチが検知した場合は、これに基づいて直ちに補給シュート14から補給玉が貯留タンク16へと補給される。この貯留タンク16からは整列された玉Pが玉払出装置17側に1個ずつ連続的に供給される。
【0095】
さらに、玉払出装置17に玉詰りが発生、あるいは保守点検等によって該玉払出装置17を取外す場合は、先ず、玉通過規制機構21の玉通過規制つまみ31を閉操作して、玉供給口59への流下を止める。この玉止めした状態で着脱機構17Aのロックレバー32を押上げ操作すれば、ロックが外れて玉払出装置17の取外しができる。
【0096】
次に、玉ホッパー12内に存在する玉を玉抜きする処理動作について説明する。
玉ホッパー12の貯留タンク16から玉払出装置17にかけては払い出しに備えて多数個の玉Pが待機された状態になっている。この待機状態から玉抜き信号が入力されて駆動モータMを逆転駆動すると、この玉払出装置17の環状通路58では予め貯留タンク16から供給された玉Pをスプロケット41の回転送り動作により、玉抜き通路58b側に回転送りする。その後は、玉抜き通路58bを降下して下方に接続されている図示しない玉抜き用の回収通路から遊技台11の盤面裏側に接続されている図示しない玉回収装置へと導かれる。
【0097】
この玉抜き時には、先に玉払出装置17内の玉から玉抜きされるが、それが払い出されると順次貯留タンク16より玉払出装置17内へ玉が供給されて、順次玉抜きが行われる。
【0098】
上述のように、玉払出装置の上部の玉供給口からスプロケットの回転力を受けて回転送りされる玉は、環状通路の最上部から最下部まで半回転して終始スプロケットの回転送り力を受けて払い出されるため、スプロケットを高速回転すれば、これに比例して玉を高速に払い出すことができる。また、玉詰りの発生のおそれがある玉抜き口の開口部分には、玉詰り回避用の板バネを有しているため、玉詰りを完全に回避することができる。さらに、この玉払出し装置は貯留タンクと逆L形状に一体化してあるため玉ホッパーを小型化できる。さらに、取付けに際しては、玉ホッパーを縦長に起立した遊技台の盤面裏側の上隅部にコンパクトに配置できる。
【0099】
この発明の構成と、上述の実施例の構成との対応において、この発明の弾性体は実施例の板バネ62に対応するも、この発明は請求項に記載される技術思想に基づいて応用することができ、上述の一実施例の構成のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】玉ホッパーを備えた遊技台の盤面裏側を示す要部背面図。
【図2】玉ホッパーを示す斜視図。
【図3】貯留タンクの玉の流下状態を示す平面図。
【図4】整列通路の付近を分解して示す分解斜視図。
【図5】玉ホッパーの使用状態を示す内部構成図。
【図6】玉ホッパーの玉整列状態を示す斜視図。
【図7】玉崩しレバーを示す拡大斜視図。
【図8】玉崩しレバーと前崩し傾斜面の使用状態を示す要部斜視図。
【図9】玉崩しレバーの待機状態と初期接触状態を示す要部説明図。
【図10】玉崩しレバーの玉崩し状態を示す要部説明図。
【図11】玉崩しレバーによる玉崩し後の玉の流れを示す要部説明図。
【図12】玉崩しレバーのない場合の玉詰り発生状態を示す説明図。
【図13】玉通過規制機構の玉通過規制状態を示す要部斜視図。
【図14】玉払出し装置の着脱機構の使用状態を示す要部斜視図。
【図15】玉払出装置の右斜め側から見た外観斜視図。
【図16】玉払出装置の左斜め側から見た外観斜視図。
【図17】玉払出装置の分解斜視図。
【図18】スプロケットの左斜め側から見た要部斜視図。
【図19】スプロケットの右斜め側から見た要部斜視図。
【図20】玉払出装置の玉払出動作を示す説明図。
【図21】玉払出装置の玉抜き出動作を示す説明図。
【図22】板バネの取付け状態を示す玉払出装置の要部斜視図。
【図23】玉払出装置の玉抜き動作を示す玉抜き動作説明図。
【図24】玉抜き口に玉抜きされる状態を示す要部拡大説明図。
【図25】板バネによる玉詰り解除動作を示す要部説明図。
【図26】板バネによる玉詰り回避原理を示す要部拡大説明図。
【図27】玉払出装置の玉詰り発生状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0101】
11…遊技台
17…玉払出装置
41…スプロケット
43…ケーシング
47…送り爪
58…環状通路
59…玉供給口
60…玉払出口
61…玉抜き口
62…板バネ
M…駆動モータ
S1…玉有無検知センサ
S2…計数検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの駆動に基づいて回転し、外周面に送り爪を有するスプロケットと、該スプロケットを収納するケーシングとの環状対向面間に送り爪によって玉を周方向に回転送りさせる環状通路を設け、この環状通路に通じるケーシングの上部には上方より供給された玉を受け入れる玉供給口を設け、ケーシングの下部には環状通路に取り込まれた玉を下方に払い出す玉払出口を設けた玉払出装置であって、
前記環状通路の下部には、該環状通路の下部位置より下向きに開口する第1開口部に加えて、玉を前記第1開口部への送り方向とは逆向きに回転送りしたときに対応する環状通路の一側方の位置に、該環状通路より分岐して開口する第2開口部を設け、
前記第1開口部と第2開口部のいずれか一方を玉払出口に他方を玉抜き口としたことを特徴とする玉払出装置。
【請求項2】
前記玉払出口には該玉払出口より払い出された玉の払い出し数を計数する計数検知センサを配設した請求項1記載の玉払出装置。
【請求項3】
前記玉供給口には該玉供給口に導かれた玉の存在を検知する玉有無検知センサを配設した請求項1または2記載の玉払出装置。
【請求項4】
前記環状通路と、該環状通路より分岐した第2開口部との開口対応部分に、環状通路内の外周面側からスプロケットの外周側に向けて弾性変位許容して突出する玉詰り回避用の弾性体を対設した請求項1〜3記載のいずれかの玉払出装置。
【請求項5】
前記弾性体は環状通路を通過する玉が玉抜き方向に回転送りされるとき、該玉の玉圧を受けて玉の通過を許容する退避位置に移動し、環状通路を通過する玉が払い出し方向に回転送りされるとき、該玉をスプロケット側に押圧付勢して、スプロケットの送り爪先端との凸部対応を避けた送り爪間の凹部位置に玉を移動ガイドさせる板バネにより構成した請求項4記載の玉払出装置。
【請求項6】
請求項1〜5記載のいずれかの玉払出装置を備えた遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2006−43287(P2006−43287A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231325(P2004−231325)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】