説明

玩具コマ

フィギュア等の物体を配置することができる変位可能なプラットフォーム11を備えた玩具コマであって、玩具コマは、コマに対してプラットフォーム11を、物体がプラットフォーム11から放出されるような速度で変位させる手段を備えている。プラットフォーム11は、強制ガイド14、15によって本体部において移動可能であるように配置され、強制ガイド14、15は、少なくともその伸張部において、コマがその本質的に垂直な回転軸4の回りに回転する使用状況を基準として見ると、プラットフォーム11がその回転軸4に沿って上方又は下方に移動するのと同時に、プラットフォーム11をコマに対して回転軸4のみの回りに回転させることができるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本質的に垂直な回転軸の回りに支持体上で回転させることができるように、重心と、回転軸を画定する線の上に本質的に位置する最下点とを有する本体部を備える玩具コマに関し、その使用状況において、本体部は、上に物体を配置することができる変位可能なプラットフォームが設けられた頂面を有し、コマは、該コマの本体部に対してプラットフォームを変位させる手段を備えている。
【背景技術】
【0002】
今日、上述したタイプのコマは、多数の異なる実施形態で存在する。
【0003】
例えば、特許文献1はコマを開示しており、そこでは、コマ自体の中に、解放機構がばねを解放すると、そのばねによってコマに対して上方に突出するフィギュアが隠されている。その実施形態では、解放機構は、コマが回転する頂部が押し下げられることによって作動する。
【0004】
同じ原理が、特許文献2から既知であり、そこでは、発射装置が、コマの回転の速度が低下すると、遠心力が所与のレベルより低下したときに正確に戻止め機構が作動するという機構に基づいている。
【0005】
さらに、特許文献3は、或る種の差込ソケットによってコマに取り付けられているフィギュアが設けられているコマを教示しており、差込ソケットは、フィギュアが、コマ自体に対して回転した場合にその係合を解放するように構成されている。フィギュアに、差込ソケットが解放されるとフィギュアをコマから放出することができるばね機構が設けられており、そのばね機構によって、フィギュアはコマから放出されることになる。
【0006】
したがって、特許文献3による玩具コマは、例えば2つのコマを互いに近接して回転させることができる競技の状況で用いられるのに特に適しており、それにより、フィギュアはぶつかることができ、それによって少なくとも一方のフィギュア上の差込ソケットはそのフィギュアが取り付けられているコマから外れる。これにより、一方又は両方のフィギュアがコマから放出されることになり、そのため、能動的な要素としての2つ以上のコマを含むこうしたコマを用いて、何らかの種類の競技を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第1281866号
【特許文献2】米国特許第4538999号
【特許文献3】米国特許第4772241号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これに基づき、本発明の目的は、或る種の競争ゲームで用いられることを目的とした、上述したものより優れているコマを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これは、コマが、上述したようなものであり、かつ、プラットフォームが強制ガイドによって本体部において移動可能に配置され、プラットフォームが本体部に対して回転軸の回りに回転されるときに、強制ガイドが、プラットフォームを強制的に回転軸に沿って上方に又は下方に移動させるように構成されていることを特徴とすることにより、得られる。
【0010】
それにより、プラットフォーム上に配置された物体を発射させるためにエネルギーを蓄積することができるばね又は他の要素の形態の要素を使用する必要があることが不要である、発射機構が提供される。
【0011】
一実施の形態によれば、強制ガイドは少なくとも1つの軌道を備え、該軌道は、本体部に対して保持されるとともに、回転軸の回りにかつ該回転軸を中心にして少なくとも或る距離をおいて螺旋状に延在し、変位可能なプラットフォームは、該プラットフォームに対して保持されるとともに軌道内に延在する1つ又は複数の係合ピンを有する。
【0012】
軌道は、連結軌道を介して互いの延長部分において連結されている少なくとも2つの軌道伸張部を備えるように構成することができ、一方の軌道伸張部が、回転軸の回りに時計回りに伸びる螺旋で連結軌道から上方に延在し、他方の軌道伸張部もまた、回転軸の回りに反時計回りに伸びる螺旋で連結軌道から上方に延在するようになっており、それにより、2つの軌道伸張部及び連結軌道は一貫したV字型軌道を形成する。
【0013】
これに関連して、回転軸の回りに互いに隣接して配置されている少なくとも3つのV字型軌道を設けることができ、係合ピンの各々が該係合ピンの各V字型軌道に係合するように、プラットフォームは、該プラットフォームの上に配置された少なくとも3つの係合ピンを有することができる。
【0014】
3つのV字型軌道及び更なる連結軌道が、回転軸の回りに延在する円形に進む波形軌道を形成するように、3つのV字型軌道は、該V字型軌道の最上端部において更なる連結軌道を介して互いに更に連結することができる。
【0015】
さらに、玩具コマは本体部に対して固定されておらず、かつプラットフォームに対して取り付け可能である物体も具備することができ、プラットフォーム及び物体には、該プラットフォームへの取り付け後に、本質的に回転軸に沿った方向のみにプラットフォームから離れるように物体を変位させることができるように構成された、相互に適合した係合手段が設けられている。
【0016】
係合手段は、固定されていない物体を、回転軸が該固定されていない物体内を通って延在するようにプラットフォームの上に配置することができるように、かつ、固定されていない(loose)物体の回転軸の回りの係合手段を介する回転により、回転軸の回りのプラットフォームの対応する回転がもたらされるように構成されている。
【0017】
また、玩具コマの本体部は、回転軸に対する外周を有することができ、固定されていない物体は、プラットフォーム上に取り付けられた後に、本体部の外周より大きい回転軸から或る距離に延在するように構成されている。
【0018】
さらに、玩具コマは複数の更なる固定されていない要素を具備し、本体部は、更なる固定されていない要素のうちの1つ又は複数の取付用に複数の結合スタッドが設けられる本質的平面を有することができ、更なる固定されていない要素には、本体部の表面上の結合スタッドに対して相補的に構成された結合部品が設けられている。
【0019】
一実施の形態によれば、本体部及びプラットフォームは、該プラットフォームを、回転軸に沿ってかつ平面の下方に下って完全に又は部分的に変位することができるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】関連するフィギュアとともに、上方から斜めに見た玩具コマの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
したがって、図1は玩具コマを示し、関連する固定されていない物体は、ここでは人間のフィギュアの形状であるが、玩具コマ1を使用する目的のゲームを考慮して、原則的に他の任意の形状の選択肢もある。
【0022】
玩具コマは、回転軸4に沿って断面図として示されており、玩具コマ3の図示しない部分は、図示する部分に対して断面を中心に鏡面対称である。
【0023】
玩具コマ1は本体部3を有し、本体部3は、図示する実施形態では回転軸4の回りに或る特定の対称性で構成されており、玩具コマ1を回転軸4の回りに或る特定の速度で回転させると、本体部3の下側の最下点5と玩具コマ1の重心との両方が回転軸4に又はそれに非常に近接して位置することになるように、全体的に構成されている。
【0024】
本体部3自体は、上部6及び下部7を備え、それらは、本体部3の外周8においてかつ本体部3内の中心に配置されたオーバーラップするフランジ9及び10において、接着することにより接合されている。それにより、上部6及び下部7は、回転軸4の回りに回転しているときに或る特定の慣性モーメントを提供する、かなりの大きさを構成する。更に、上部6は、複数の結合スタッド16が設けられる本質的平面13を有し、そのスタッド16の上に、例えば既知の玩具組立(toy building)セットの組立要素(図示せず)を取り付けることができ、既知の組立要素には、結合スタッド16と相補的に構成されている結合部品が設けられている。こうした組立要素を結合スタッド16上に取り付ける場合、それにより、玩具コマの重心及び慣性モーメントを変更することが可能であるため、玩具コマ1の特性を例えば様々な遊びの目的に適合させることができる。
【0025】
本体部品3の中心に、本質的に円形のプラットフォーム11が設けられており、その上面12は、図示する位置では、上部6の頂面13とほぼ同一平面にある。プラットフォーム11は、複数の係合ピン14を有し、それらは、プラットフォーム11から半径方向に軌道15内に延在し、軌道15は、一定距離に回転軸4の周囲にわたって延在している。軌道15は、交互に上方及び下方に更に延在しており、プラットフォーム11は、本体部3に対して回転軸の回りに回転される場合、上方及び下方に交互に強制的に移動することになる。図示する実施形態では、プラットフォーム3は係合ピン(図面にはそのうちの1つのみを示す)を有し、軌道15は、対応する3つの上方位置すなわち頂部と3つの下方位置すなわち谷とを有しているため、プラットフォーム14は、本体部3において1回転したとき、上方及び下方に3回強制的に移動している。
【0026】
したがって、軌道15は、本体部3に対するプラットフォーム11の移動の自由に対して制限又は強制ガイドを構成し、前記係合ピン14は、軌道15に沿ってのみ変位可能であり、これに基づいて、当業者には、軌道及び係合ピンをそれぞれ、上述したような本発明の概念から逸脱することなく、図面に示すもの以外の方法で構成することが明らかとなろう。この文脈では、図15に示すものとは別の形状を有し、それにより、本体部3におけるプラットフォーム11の移動に対して他の移動パターンをもたらさす、軌道を構成することができることが明らかとなろう。
【0027】
上述したように、図はまた、間に空間18がある2つの脚17を有するフィギュアの形態で別個の物体1を示している。したがって、図1の脚17は、プラットフォーム11の上にフィギュアを取り付ける係合手段を構成している。
【0028】
それに応じて、本体部3は、回転軸の回りに配置され、かつ本体部3に対して回転軸4の回りに回転することができる、中心係合手段を有している。係合手段は、係合板20を有し、それを、プラットフォームが図示する位置より下方の位置にあるときに、フィギュアの脚17の間の空間18内に挿入することができる。プラットフォーム11に強制ガイド21が構成されているため、係合板10はプラットフォーム11に対して回転することができず、係合板20をフィギュアの脚17の間の空間18内に挿入することにより、フィギュア1がプラットフォーム11に取り付けられた場合に、玩具コマの本体部3が保持されている場合であっても、回転軸4の回りにフィギュアを回転させることができることが達成される。しかしながら、こうした回転により、プラットフォーム11は、強制ガイドによって強制的に上下に移動し、このため、フィギュアは上下にプラットフォームに従って上下する。
【0029】
これにより、この下方位置でプラットフォーム11に取り付けられた関連するフィギュアとともに玩具コマを、本質的に垂直な回転軸4の回りに手動で高速で回転させることができることが可能であり、それにより図1に示すように、フィギュアの回転が、ロッド21が壁等の堅固な構造22にぶつかることによって急速に停止した場合、本体部3は、該本体部3の慣性モーメント及び該本体部3の回転軸の回りの矢印23の方向における連続した回転により、フィギュア1が取り付けられているプラットフォーム11を図1に示す最上位置に向かって上方に迅速に変位させ、それにより、フィギュア1は、図1に示すようにプラットフォーム11及び本体部3から投げ出されることになる。
【0030】
本発明によれば、それにより、ばね又は同様の能動部品を必要とすることなく、本体部において、或る種のカタパルト(catapult)機能が確立される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に垂直な回転軸の回りに支持体上で回転させることができるように、重心と、前記回転軸を画定する線の上に位置する下部の点とを有する本体部を具備する玩具コマであって、前記本体部は、この状況で、物体を配置することができる変位可能なプラットフォームを備えた上面を備え、前記物体が前記プラットフォームから放出されるような速度で、該コマの前記本体部に対して前記プラットフォームを変位させる手段を具備する玩具コマにおいて、前記プラットフォームは、強制ガイドによって前記本体部において移動可能に配置され、前記強制ガイドは、少なくとも該強制ガイドの伸張部において、該コマがその本質的に垂直な回転軸の回りに回転する使用状況を基準として見ると、前記プラットフォームが前記回転軸に沿って上方に又は下方に移動するのと同時に前記プラットフォームを前記本体部に対して前記回転軸のみの回りに回転させることができるように構成されることを特徴とする、玩具コマ。
【請求項2】
前記強制ガイドは少なくとも1つの軌道を備え、該軌道は、前記本体部に対して保持されるとともに、前記回転軸の回りにかつ該回転軸を中心にして少なくとも或る距離をおいて螺旋状に延在し、前記変位可能なプラットフォームは、該プラットフォームに対して保持されるとともに前記軌道内に延在する1つ又は複数の係合ピンを有することを特徴とする、請求項1に記載の玩具コマ。
【請求項3】
前記軌道は、連結軌道を介して互いの延長部分において連結されている少なくとも2つの軌道伸張部を備えるように構成され、一方の前記軌道伸張部が、前記回転軸の回りに時計回りに伸びる螺旋で前記連結軌道から上方に延在し、他方の前記軌道伸張部もまた、前記回転軸の回りに反時計回りに伸びる螺旋で前記連結軌道から上方に延在するようになっており、それにより、前記2つの軌道伸張部及び前記連結軌道は一貫したV字型軌道を形成することを特徴とする、請求項2に記載の玩具コマ。
【請求項4】
前記回転軸の回りに互いに隣接して配置されている少なくとも3つのV字型軌道が設けられ、係合ピンの各々が該係合ピンの各V字型軌道に係合するように、前記プラットフォームは、該プラットフォームの上に配置された少なくとも3つの前記係合ピンを有することができることを特徴とする、請求項3に記載の玩具コマ。
【請求項5】
前記3つのV字型軌道及び前記更なる連結軌道が、前記回転軸の回りに延在する円形に進む波形軌道を形成するように、前記3つのV字型軌道は、該V字型軌道の最上端部において更なる連結軌道を介して互いに更に連結することができることを特徴とする、請求項4に記載の玩具コマ。
【請求項6】
前記玩具コマは、前記本体部に対して固定されておらず、かつ前記プラットフォームに対して取り付け可能である物体も具備し、前記プラットフォーム及び前記物体には、該プラットフォームへの取り付け後に、本質的に前記回転軸に沿った方向に前記プラットフォームから離れるように前記物体を変位させることができるように構成された、相互に適合した係合手段が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の玩具コマ。
【請求項7】
前記係合手段は、前記固定されていない物体を、前記回転軸が該固定されていない物体内を通って延在するように前記プラットフォームの上に配置することができるように、かつ、前記固定されていない物体の前記回転軸の回りの前記係合手段を介する回転により、前記回転軸の回りの前記プラットフォームの対応する回転がもたらされるように構成されていることを特徴とする、請求項6に記載の玩具コマ。
【請求項8】
当該玩具コマの前記本体部は、前記回転軸に対する外周を有することができ、前記固定されていない物体は、前記プラットフォーム上に取り付けられた後に、前記本体部の前記外周より大きい前記回転軸から或る距離に延在するように構成されていることを特徴とする、請求項6又は7に記載の玩具コマ。
【請求項9】
前記玩具コマは、複数の更なる固定されていない要素を具備し、前記本体部は、前記更なる固定されていない要素のうちの1つ又は複数の取付用に複数の結合スタッドが設けられる本質的平面を有することができ、前記更なる固定されていない要素には、前記本体部の前記表面上の前記結合スタッドに対して相補的に構成された結合部品が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の玩具コマ。
【請求項10】
前記本体部及び前記プラットフォームは、該プラットフォームを、前記回転軸に沿ってかつ前記平面の下方に下って完全に又は部分的に変位することができるように構成されていることを特徴とする、請求項9に記載の玩具コマ。

【図1】
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【公表番号】特表2013−510600(P2013−510600A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538195(P2012−538195)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【国際出願番号】PCT/DK2010/050300
【国際公開番号】WO2011/057636
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(594012623)レゴ エー/エス (19)
【Fターム(参考)】