説明

玩具用軌道

【課題】 走行の際の玩具の上下動を極力抑えることができる玩具用軌道を提供すること。
【解決手段】 玩具の左右の車輪が通過する溝が形成された軌道片を複数連ねて構成され、少なくとも一部の隣接する前記軌道片が幅方向の中央の軸を中心に水平面内において所定角度範囲で互いに回動自在となるように構成された玩具用軌道であって、前記隣接する軌道片は隣接側端部が互いに重合され、その重合部分に前記軸が設けられ、前記隣接する軌道片は、隣接側端部が互いに重合状態を維持したままで幅方向の端部が互いの回動方向に応じて伸縮するように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具用軌道に関するものである。
【背景技術】
【0002】
玩具用軌道として、軌道片を互いに回動自在に連結して、任意の曲線を含む玩具軌道を構成するようにしたものがある。(例えば、特許文献1)。
【0003】
この玩具用軌道は、軌道片(軌条部材)を互いに回動自在に連結するとともに、それぞれの軌道片の幅方向両側部にガイドレール差込部を形成し、それらのガイドレール差込部間にガイドレールブレードの端部を出入自在に係合させることによって、曲線軌道を構成し得るようにしている。
【特許文献1】特開2002−172276号公報(図1〜図4参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の軌道片によって構成された曲線軌道は、軌道片の本体が十字形に構成され、隣接する軌道片のガイド部同士の距離が離れるため、走行する際に、玩具の車輪がガイド部に乗り上げたり落ちたりを繰り返すので、上下動が激しくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、走行の際の玩具の上下動を極力抑えることができる玩具用軌道を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の玩具用軌道は、玩具の左右の車輪が通過する溝が形成された軌道片を複数連ねて構成され、少なくとも一部の隣接する前記軌道片が幅方向の中央の軸を中心に水平面内において所定角度範囲で互いに回動自在となるように構成された玩具用軌道であって、前記隣接する軌道片は隣接側端部が互いに重合され、その重合部分に前記軸が設けられ、前記隣接する軌道片は、隣接側端部が互いに重合状態を維持したままで幅方向の端部が互いの回動方向に応じて伸縮するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の玩具用軌道は、請求項1記載の玩具用軌道において、前記隣接する軌道片は、隣接側端部を重合させることによって、幅方向の中央部分で連結されることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の玩具用軌道は、請求項1記載の玩具用軌道において、前記隣接する軌道片は、隣接側端部を重合させることによって、着脱可能に嵌着されることを特徴とする。ここに「嵌着」とは連結部同士の嵌合によって互いに組み付けられることをいう。
【0009】
請求項4記載の玩具用軌道は、請求項1から3いずれか一に記載の玩具用軌道において、前記隣接する軌道片のうちの一方の軌道片の隣接側端部は、他方の軌道片の隣接側端部よりも一段低くなるように構成され、前記一方の軌道片の隣接側端部は、前記他方の軌道片の隣接側端部の下側に重合されることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の玩具用軌道は、請求項1から4いずれか一に記載の玩具用軌道において、前記玩具の走行方向道の両側に位置する軌道片の各々には、他の玩具用軌道の連結要素と連結するための連結要素が形成されていることを特徴とする。この場合の「連結要素」は、例えば、他の玩具用軌道の連結要素が凹部又は凸部の場合には、その凹部又は凸部に嵌合又は差込される凸部又は凹部である。
【0011】
請求項6記載の玩具用軌道は、請求項5記載の玩具用軌道において、前記両側の軌道片を除く軌道片は同じ形となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の玩具用軌道によれば、回動自在となるように連結された軌道片は互いの重合状態を維持したままで回動するので、走行時の玩具の上下動を小さくすることができると共に、玩具用軌道の強度も比較的高いものとすることができる。
【0013】
請求項2の玩具用軌道によれば、隣接側端部を重合させることによって幅方向の中央部分で連結片を連結しているので、幅方向の端部に設ける場合に比べて、連結部を小さく構成できる。
【0014】
請求項3の玩具用軌道によれば、隣接側端部を重合させることによって着脱可能に軌道片が嵌着されているので、その軌道片の個数を自由に選択することができることから、色々な軌道を自由に構成することができる。
【0015】
請求項4の玩具用軌道によれば、軌道片を上下で重合させているため、玩具用軌道の強度を高めることができる。
【0016】
請求項5の玩具用軌道によれば、他の玩具用軌道と簡単に連結できることになる。
【0017】
請求項6の玩具用軌道の軌道片によれば、両端に位置する軌道片を除く軌道片は同じ形となっているので、一定の曲率を持つ曲線軌道を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明に係る玩具用軌道について図面を参照しながら説明する。
図1は軌道片を示した斜視図、図2(A)は軌道片の平面図、図2(B)は軌道片の底面図、図3は図2(A)におけるA−A線断面図、図4は図2(B)におけるB−B線断面図、図5は軌道片を連結する前の状態を示した斜視図、図6は軌道片を連結した状態を示した斜視図、図7は図6におけるC−C線断面図、図8は玩具用軌道を示した平面図、図9および図10は本発明に係る玩具用軌道を他の玩具用軌道に接続するための軌道片を示した斜視図である。
【0019】
図1において符号1は玩具用軌道の構成部品である軌道片を示している。この軌道片1は、図2(A)に示すように、平面視で略矩形状をなしている。この軌道片1の上面には、図1にも示すように、玩具の左右の車輪が転動するための底壁3a,4aを持つ溝3,4が形成されている。すなわち、軌道片1の上面の幅方向の中央部には中央部凸条2が形成されている。また、軌道片1の上面の幅方向の両側部には側部凸条9,10が形成されている。そして、この軌道片1においては、底壁3a,4a、中央部凸条2及び側部凸条9,10によって上記溝3,4が区画形成されている。
【0020】
ここで、中央部凸条2について説明すれば、中央部凸条2は、軌道片1における玩具の走行方向の一端側から車両の走行方向の他端側に向けて軌道片1の長さ寸法の2/3程度まで延在している。
この中央部凸条2は、平面視で、軌道片1における玩具の走行方向の一端側に半円状に膨出している。以下、この膨出した部分を「膨出部」という。
また、中央部凸条2は、平面視で、車両の走行方向に沿って直線状に延在している。そして、中央部凸条2は、平面視で、軌道片1における玩具の走行方向の他端側が凹となるように円弧状に切り欠かれている。以下、この切り欠かれた部分を切欠き部という。 さらに、中央部凸条2の膨出部側には、図2(B)の下面図に示すように、円形状の重合部5が形成され、中央部凸条2の切欠き部側には、図2(A)の平面図に示すように、円形状の重合部6が形成されている。そして、隣接する軌道片1,1を連結する際には、図7に示すように、一方の軌道片1の重合部6の上に他方の軌道片1の重合部5が載設される。
【0021】
重合部5,6には連結手段が形成されている。すなわち、重合部5には連結手段の一方の構成要素が形成されている。この連結要素を「第1の連結要素」という。また、重合部6には連結手段の他方の連結要素が形成されている。この連結要素を「第2の連結要素」という。
【0022】
第1の連結要素は、図1及び図2に示すように、中心O1を挟んで幅方向両側に該中心O1とほぼ同心的に形成された円弧状孔12,12と、円弧状孔12,12の内壁に形成された段部12a,12aとによって構成されている。
また、第2の連結要素は、図1及び図2に示すように、中心O2を挟んで幅方向両側に該中心O2と同心的に形成された平面視で円弧状の起立片13,13と、起立片13,13の上端に形成された外向きの爪13a,13aとによって構成されている。
そして、図7に示すように、一方の軌道片1の重合部6に他方の軌道片1の重合部5を載設した際に、一方の軌道片1の起立片13,13が他方の軌道片1の円弧状孔12,12に入り込み、その起立片13,13の上端の爪13a,13aが円弧状孔12,12の段部12a,12aに係止される。その際に、重合部5の中心O1と重合部6の中心O2とが合致せしめられる。そして、合致せしめられた中心O1,O2を回動中心として隣接する軌道片1,1が互いに水平面内で回動できるようになっている。
【0023】
また、軌道片1は、切欠き部側端部の底壁3a,4a及び側部凸条9,10がその他の部分のそれと比べて一段低くなるように形成されている。そして、軌道片1同士を連結するに際し、図7に示すように、一方の軌道片1の切欠き部側端部の底壁3a,4a及び側部凸条9,10が他方の軌道片1の膨出部側端部の底壁3a,4a及び側部凸条9,10の下側に潜り込むようになっている。
そして、隣接する軌道片1,1が回動中心を中心に水平面内で回動した際にも、一方の軌道片1の切欠き部側端部の底壁3a,4a及び側部凸条9,10が他方の軌道片1の膨出部側端部の底壁3a,4a及び側部凸条9,10から抜け出ることがないように構成されている。
また、隣接する軌道片1,1を連結した際に、図6に示すように、中央部凸状2の上面や軌道片1の膨出部側の底壁3a,4a及び側部凸条9,10の上面が隣接する軌道片1,1のそれと面一となるように構成されている。
なお、軌道片1は、側部凸条9,10の中央部凸条2に対向する内壁が玩具の走行方向に沿って直線状に構成され、側部凸条9,10の切欠き部側の内壁が切欠き部の中心O2を中心とする弧状に構成されている。また、軌道片1は、側部凸条9,10の切欠き部側の外壁が切欠き部の中心O2を中心とする弧状に構成され、側部凸条9,10の中央部凸条2に対向する部分の外壁が、膨出部の中心O2を中心とする弧状に構成され、その外壁内面に沿って前記切欠き部側の側部凸条9,10が摺動するようにされている。
【0024】
また、軌道片1には、切欠き部側上面にストッパ突起16aが形成され、一方、膨出部側下面には凹部12bが形成され、隣接する軌道片1,1が回動中心を中心に水平面内で回動した際にストッパ突起16aが凹部12bの壁に当たることによって所定角度範囲で軌道片1の回動が阻止されるようになっている。
【0025】
ちなみに、実施形態の玩具用軌道は、直径が22mm、24mm、16mm又は37mmの車輪を持つ玩具の軌道であって、2本の溝の間隔(中心間距離)が26.25mm、溝幅が7.75mm、切欠き部の直径が18.5mm、切欠き部側の側部凸条9,10の内壁の曲率半径が26.25mm、回動角度15度(±7.5度)、溝の深さ3.5mm、床壁の段差1.7mmとなっている。
【0026】
次に、以上のように構成された軌道片1の連結方法に説明する。以下、隣接する軌道片のうちの一方を符号1aで他方を符号1bを付して説明する。
図5に示すように、一方の軌道片1bを床面に置き、他方の軌道片1aを上方に位置させる。この場合、軌道片1bの重合部6の上に、軌道片1aの重合部5が位置するようにする。次いで、軌道片1aを水平に保ちつつ下降させ、軌道片1aの重合部5を軌道片1bの重合部6に強く押し付ける。すると、軌道片1bの重合部6の起立片13,13が軌道片1aの重合部5の円弧状孔12,12に入り込み、その起立片13,13の上端の爪13a,13aが円弧状孔12,12の段部12a,12aに係止される(図6参照)。これによって、軌道片1aと1bとが互いに着脱可能に嵌着されることになる。そして、重合部5の中心O1と重合部6の中心O2とが合致せしめられる。また、図7に示すように、軌道片1bの切欠き部側端部の底壁3a,4a及び側部凸条9,10が軌道片1aの膨出部側端部の底壁3a,4a及び側部凸条9,10の下側に重ね合わされる。さらに、軌道片1bのストッパ突起16aに軌道片1aの凹部12bが入り込む。また、重合部5,6の中心O1,O2が合致せしめられ、その中心O1,O2を回動中心として隣接する軌道片1,1が互いに水平面内で回動できるようになる。
【0027】
本発明に係る玩具用軌道は、上記軌道片1を複数連結して構成される。この玩具用軌道によれば、直線状軌道や曲線状軌道(蛇行軌道を含む)を構成することができる。また、この玩具用軌道によれば、上記軌道片1を複数連結して無端のループ軌道を構成することができる。
【0028】
また、本発明に係る玩具用軌道は、他の玩具用軌道に固定的に連結するための連結要素(連結部)を持つ連結用軌道部材(軌道片)を両端に設けて構成することもできる。例えば、他の玩具用軌道の連結要素(連結部)が凸部又は凹部を持つものでは、玩具用軌道の両端に位置する連結用軌道部材に上記凸部又は上記凹部に嵌合又は差込される凹部又は凸部を設ける。そして、本発明に係る玩具用軌道の連結用軌道部材の凹部又は凸部を、他の玩具用軌道の連結要素(凸部又は凹部)に対応させて上下方向又は水平方向から嵌合又は差込させるようにする。既に、市販されている玩具用軌道には、隣接する玩具用軌道を凹凸係合させることによって連結するものが多い。そこで、このような玩具用軌道にも連結できるようにするために、連結用軌道部材を設けたものである。
図8に示す玩具用軌道は、他の玩具用軌道の連結要素(連結部)が鳩尾状の凸部又は凹部を持つものであり、玩具用軌道の両端に位置する連結用軌道部材1c又は1dに上記凸部又は上記凹部に嵌合する鳩尾状の凹部18及び凸部17を設けている。この場合の連結用軌道部材1cは、図9に示したように、一方の端部を除く部分が、上記した軌道片1と全く同じ形状で、一方の端部に、他の玩具用軌道の端部に連結するための連結手段の一方の連結要素17を形成したものである。また、連結用軌道部材1dは、図10に示したように、他方の端部を除く部分が、上記した軌道片1と全く同じ形状で、他方の端部に、他の玩具用軌道の端部に連結するための連結手段の他方の連結要素18を形成したものである。
この場合、隣接する玩具用軌道同士の間では、玩具用軌道同士は互いに回動できない構成となる。
この玩具用軌道によれば、一連の軌道片1の両端に連結用軌道部材1c,1dを連結させているので、他の玩具用軌道と簡単に連結することができる。また、一連の軌道片1は水平面内において自由に屈曲部できるため、図8(A)に示すように直線状軌道を構成することもできるし、図8(B)に示すように蛇行軌道を構成することも、一定の曲率を持つ曲線軌道を構成することもできる。また、図8に示す玩具用軌道を複数用意しておき、それら玩具用軌道同士を簡単に連結することもできる。
【0029】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の変形が可能であることはいうまでもない。
例えば、重合部5,6の一方の中心に軸を設け、他方に軸穴を設けて、それを互いに嵌合させるようにしてもよい。これによって、左右の回動の際に渋さが醸し出されることとなる。この場合の軸は角軸でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は本発明に係る玩具用軌道の部品である軌道片を示した斜視図である。
【図2】図2(A)は図1の軌道片を示した平面図、図2(B)は図1の軌道片の底面図である。
【図3】図3は図2(A)の軌道片のA−A線断面図である。
【図4】図4は図2(B)の軌道片のB−B線断面図である。
【図5】図1の軌道片の連結前の状態を示した斜視図である。
【図6】図1の軌道片を連結した状態を示した斜視図である。
【図7】図6の軌道片におけるC−C線断面図である。
【図8】玩具用軌道を示した平面図である。
【図9】本発明に係る玩具用軌道を他の玩具用軌道に連結するための連結用軌道構成部材を示した斜視図である。
【図10】本発明に係る玩具用軌道を他の玩具用軌道に連結するための連結用軌道構成部材を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1,1a,1b 軌道片
1c,1d 連結軌道構成部材(軌道片)
2 中央部凸条
3,4 軌道面
3a,4a 底壁
9,10 側部凸条
12 円弧状孔
12a 段部
13 起立片
13a 爪
17 一方の連結要素
18 他方の連結要素
O1,O2 回動中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具の左右の車輪が通過する溝が形成された軌道片を複数連ねて構成され、少なくとも一部の隣接する前記軌道片が幅方向の中央の軸を中心に水平面内において所定角度範囲で互いに回動自在となるように構成された玩具用軌道であって、前記隣接する軌道片は隣接側端部が互いに重合され、その重合部分に前記軸が設けられ、前記隣接する軌道片は、隣接側端部が互いに重合状態を維持したままで幅方向の端部が互いの回動方向に応じて伸縮するように構成されていることを特徴とする玩具用軌道。
【請求項2】
前記隣接する軌道片は、隣接側端部を重合させることによって、幅方向の中央部分で連結されることを特徴とする請求項1記載の玩具用軌道。
【請求項3】
前記隣接する軌道片は、隣接側端部を重合させることによって、着脱可能に嵌着されることを特徴とする請求項1記載の玩具用軌道。
【請求項4】
前記隣接する軌道片のうちの一方の軌道片の隣接側端部は、他方の軌道片の隣接側端部よりも一段低くなるように構成され、前記一方の軌道片の隣接側端部は、前記他方の軌道片の隣接側端部の下側に重合されることを特徴とする請求項1から3いずれか一に記載の玩具用軌道。
【請求項5】
前記玩具の走行方向道の両側に位置する軌道片の各々には、他の玩具用軌道の連結要素と連結するための連結要素が形成されていることを特徴とする請求項1から4いずれか一に記載の玩具用軌道。
【請求項6】
前記両側の軌道片を除く軌道片は同じ形となっていることを特徴とする請求項5記載の玩具用軌道。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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