説明

現像剤供給機構

【課題】現像剤がほぼ垂直に移動する搬送路内において、安定した現像剤送りをすることができる現像剤供給機構を提供することを目的とする。
【解決手段】
現像剤を垂直方向に導く現像剤供給路54の内部で、コイルばね57は、壁面54aに形成された第1のリブ55に引っ掛かることにより、回転しながら伸長する。そして、コイルばね57の復元力によってコイルばね57が第1のリブ55から外れると、コイルばね57に、第1のリブ55から離れる水平方向の動きが与えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の現像器に現像剤を補給する現像剤供給機構に関する。
【背景技術】
【0002】
現像装置は、現像剤の残量を検知するための残量センサが配設されている。例えば、現像装置内の現像剤量が所定値よりも少なくなったことを残量センサによって検知すると、トナーコンテナから現像装置に現像剤が補給されるようになっている。近年の極小化する画像形成装置では、各装置のレイアウト上、トナーコンテナから排出された現像剤は、現像剤搬送経路を介して現像装置に供給される構成となっていることが多くなっている。
【0003】
ここで、搬送される現像剤、例えばトナーは、原則として搬送に必要な流動性を持っている。しかし、高温、高湿度下の条件においては、トナー間で結合を起こしてトナー塊が形成され易くなる。そして、このトナー塊は、トナーの搬送に悪影響を及ぼし、現像装置に安定してトナーを供給することを妨げるという問題を発生させる。
【0004】
このような問題点を解消するため、水平方向にトナーを搬送するトナー供給装置において搬送中のトナー塊を粉砕する提案が、例えば、特許文献1になされている。
【0005】
図8は、特許文献1に記載のトナー供給装置101を表した図である。このトナー供給装置101は、長手方向に伸縮可能な搬送用スプリングスパイラル102が、水平に設置された横長のトナー搬送路103の内部に、他端側103aで付勢され一端側(不図示)で回転可能に支持されている。
【0006】
トナー搬送路103の内部の他端側103aには段差104が形成されており、搬送用スプリングスパイラル102が回転すると搬送用スプリングスパイラル102が長手方向に伸縮振動する。トナー塊は、搬送用スプリングスパイラル102により一端側から他端側103aに水平方向へ運ばれるとともに、搬送用スプリングスパイラル102の伸縮振動により粉砕されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−67539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に係る発明は、トナーを水平方向へ搬送する発明であり、垂直方向にトナーを搬送する際に、積極的にトナー塊を粉砕することはできなかった。また、トナーがほぼ垂直に移動する搬送路内においても、高温、高湿度の条件下では壁面にトナーが付着する場合や、搬送路内にトナー塊が投入される場合もあり、そのような場合は、安定したトナー送りを阻害する要因となる場合があった。
【0009】
そこで、本発明は、トナーがほぼ垂直に移動する搬送路内においても積極的にトナーをほぐす機構を導入することにより、安定したトナー送りを可能とするトナー供給機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、現像剤をほぼ垂直に導く現像剤供給機構に関するものである。上方に向かって一端側が開口し、現像剤をほぼ垂直方向に導く現像剤供給路と、この現像剤供給路の壁面に形成された凸部と、前記現像剤供給路に配設され、前記現像剤供給路内の長手方向に伸縮自在なコイルばねと、前記現像剤供給路の他端側で前記コイルばねに連係され、前記コイルばねを前記コイルばねの周方向に回転させる動力手段とを備えている。
【0011】
そして、前記コイルばねは、自由長の状態で前記凸部に付勢され、前記コイルばねが前記動力手段によって回転させられて前記コイルばねのピッチ間に前記凸部が引っ掛かると、前記コイルばねが前記現像剤供給路の一端側へ向かって伸長させられ前記コイルばねに生じる復元力が漸増する。そして、この復元力によって前記コイルばねが前記凸部から外れると、前記コイルばねに前記凸部から離れる水平方向の動きが与えられることを特徴とする
請求項2の発明は、現像装置に関するものである。感光体の表面に形成された静電潜像を現像する現像装置であって、前記請求項1に記載の現像剤供給機構を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明は、画像形成装置に関するものである。前記請求項2に記載の現像装置と、前記現像装置によって前記静電潜像がトナー像として可視化される感光体と、前記感光体の前記トナー像を記録材に転写する転写手段と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コイルばねが、現像剤供給路内で回転しながら上下運動をするだけでなく、水平方向にも動くため、落下してくる現像剤のほぐし効果が高まる。これにより、現像装置へ安定した現像剤を送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成装置の内部構造を模式的に示す図である。
【図2】トナーコンテナから、現像剤が現像剤供給機構に搬送される搬送路を表した図である。
【図3】現像装置の全体を、その後側の右斜め上方から見た斜視図である。
【図4】(a)は、現像剤供給機構の内部を示す斜視図である。(b)は、現像剤供給機構の内部を現像装置の内部側から見た斜視図である。
【図5】(a−1)は、現像剤供給機構のコイルばねの初期状態を表す図である。(a−2)は、現像剤供給路の開口部を表す平面図である。(b−1)は、現像剤供給機構のコイルばねが第1のリブから外れる瞬間を表す図である。(b−2)は、現像剤供給路の開口部を表す平面図である。(c−1)は、現像剤供給機構のコイルばねが第2のリブに当接した瞬間を表す側面図である。(c−2)は、現像剤供給路の開口部を表す平面図である。
【図6】(a)は、初期状態において、コイルばねが第1のリブに引っ掛かっている状態を模式的に表した図である。(b)は、コイルばねが伸びた状態において、コイルばねが第1のリブに引っ掛かっている状態を模式的に表した図である。(c)は、初期状態におけて、コイルばねが第1のリブに引っ掛かっている状態を別の方向から模式的に表した図である。
【図7】(a)は、第1のリブと第2のリブを高さ方向にずらして配置した変形例を示す図である。(b)は、筒状の現像剤供給路にリブを形成した変形例を示す図である。
【図8】背景技術に記載のトナー供給装置を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
【0016】
図1を参照して、画像形成装置1の内部構造について説明する。図1に示すように、画像形成装置1は、画像形成装置本体2の下側から上側にかけて順に、シート収納部3、画像形成部4、トナー補給部5、排紙トレイ6が設けられている。また、画像形成装置本体2の前側と、フロントカバー7との間には、シート搬送部8が設けられている。シート収納部3には、給紙カセット10が配設されている。給紙カセット10は、内部に積載された複数枚のシート(記録紙)のうちから、1枚のシートを給紙手段11によりシート搬送路12に送り出すようになっている。シート収納部3の上方には、画像形成部4が配設されている
画像形成部4には、中間転写ベルト13と、この中間転写ベルト13の回転方向(矢印R1方向)に沿って整列された4個(4色)の画像形成ステーション、すなわち,マゼンタ(M),シアン(C),イエロー(Y),ブラック(K)の各色のトナーでトナー像を形成する画像形成ステーション14、15、16、17が配設されている。なお、4色の画像形成ステーション14〜17は、同様の構成であるので、以下ではマゼンタの画像形成ステーション14について説明し、残りの3色の画像形成ステーション15〜17についての説明は適宜省略する。
【0017】
中間転写ベルト13は、無端状に形成されていて、駆動ローラ18と従動ローラ20との間に張架されている。中間転写ベルト13は、駆動ローラ18の矢印方向の回転により、矢印R1方向に回転する。
【0018】
マゼンタの画像形成ステーション14は、感光ドラム(感光体)21と、感光ドラム21の周囲にその回転方向(矢印方向)に沿ってほぼ順に配設された、帯電装置22、露光装置23、現像装置24、1次転写ローラ31、ドラムクリーナ32等を有している。
【0019】
感光ドラム21は矢印方向に所定のプロセススピードで回転駆動される。本実施形態では、感光ドラム21としては、a−Si(アモルファスシリコン)感光ドラムを使用している。
【0020】
帯電装置22は、感光ドラム21の表面を所定の極性・電位に均一(一様)に帯電する。
【0021】
露光装置23は、レーザ発振器(不図示)から発光されたレーザ光を、均一帯電後の感光ドラム21の表面に導くようになっている。そして、感光ドラム21の表面は、レーザ光Lの露光により、露光部分の電荷が除去されて、静電潜像が形成される。
【0022】
現像装置24は、感光ドラム21の表面に形成された静電潜像を現像する。現像装置24は、後述する現像剤を現像装置24に供給する現像剤供給機構25(図4参照)と、供給された現像剤等を収納する筺体25と、現像剤を攪拌しながら搬送する現像剤攪拌搬送スパイラル27と、攪拌され搬送された現像剤を現像ローラ28へ運ぶ現像剤供給ローラ30と、現像ローラ28と、を有していて、これらが一体となって現像装置24を構成している。
【0023】
現像ローラ28の表面に担持された現像剤は、現像ローラ28と感光ドラム21との間に現像バイアスが印加されることで、感光ドラム21の表面の静電潜像に選択的に付着されてこれを現像するようになっている。
【0024】
1次転写ローラ31(転写手段)は、感光ドラム21の表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト13に転写させる。1次転写ローラ31は、中間転写ベルト13の裏面側を押圧して中間転写ベルト13の表面を感光ドラム21の表面に当接させている。これにより、中間転写ベルト13の表面と感光ドラム21の表面との間には、1次転写ニップT1が構成される。感光ドラム21の表面に形成されたトナー像は、感光ドラム21の矢印方向の回転に伴って1次転写ニップT1に搬送される。このとき、1次転写ローラ31に、1次転写バイアスが印加されることで、感光ドラム21の表面のマゼンタのトナー像は、中間転写ベルト13の表面に1次転写される。なお、本実施形態では、中間転写ベルト13、駆動ローラ18、従動ローラ20、4本の1次転写ローラ31、ベルトクリーナ33は、転写フレーム34に一体的に組み込まれて全体として中間転写ユニット35を構成している。
【0025】
ドラムクリーナ32は、上述の1次転写において、中間転写ベルト13に転写されないで感光ドラム21の表面に残ったトナー(1次転写残トナー)を除去するものである。なお、本実施形態では、感光ドラム21と帯電装置22とドラムクリーナ32等が一体に構成されてドラムユニット16Aを構成している。
【0026】
以上のようにして、マゼンタの画像形成ステーション14において、感光ドラム21の表面に形成されたマゼンタのトナー像は、中間転写ベルト13の表面に1次転写される。残りの3色(シアン,イエロー,ブラック)の画像形成ステーション15、16、17においても、同様にして、各感光ドラム21の表面に、それぞれシアン,イエロー,ブラックのトナー像が形成され、これらのトナー像は、1次転写ローラ31によって順次に中間転写ベルト13に1次転写されて重ね合わされる。これら4色のトナー像は、後述するように、2次転写ニップT2において、2次転写ローラ36に2次転写バイアスが印加されることにより、一括でシート上に2次転写される。トナー像の2次転写後に中間転写ベルト13の表面に残ったトナー(2次転写残トナー)は、従動ローラ20の近傍に配置されたベルトクリーナ33によって除去される。画像形成部4の上方には、トナー補給部5が設けられている。
【0027】
トナー補給部5には、各色のトナーをそれぞれ個別に収納した4つのトナーコンテナ、すなわちマゼンタ,シアン,イエロー,ブラックのトナーコンテナ37,38,39,40が配設されている。上述の各色の画像形成ステーション37〜40の現像装置24には、現像剤の残量を検知するための残量センサ(不図示)が配設されていて、この残量センサが、現像装置24内の現像剤量が所定値よりも少なくなったことを検知したときに、各色のトナーコンテナ14〜17から各色の現像装置24にトナーが補給されるようになっている。トナー補給部5の上方には、上述の、後端側を基準として開閉自在な排紙トレイ6が配設されている。
【0028】
シート搬送部8は、本実施形態においては、画像形成装置本体2の前側とフロントカバー7との間に設けられていて、下方から上方に向かうシートをガイドするシート搬送路12と、このシート搬送路12よりも前側に配設されて、上方から下方に向かうシートをガイドするシート搬送路43とを有している。そして、シート搬送路12は、2次転写位置T2よりもシート搬送方向下流側の位置に定着装置44が配置されており、定着装置44でトナー画像が定着したシートを排紙トレイ6上へ案内するか、又はシート搬送路43(両面印刷用のシート再搬送路)に案内するようになっている。また、シート搬送路43は、両面印刷する場合に、シート搬送路12を搬送されるシートがフラッパ45で導かれ、そのシートの後端が反転ローラ46で保持された後、そのシートが反転ローラ46によって上方から下方へ向けて搬送されるようになっており、そのシートをシート搬送路43へ案内するようになっている。
【0029】
(現像剤供給機構)
図2乃至図4を用いて現像剤供給機構25について説明する。図2は、ブラックのトナーコンテナ40から、現像剤が現像剤供給機構25に搬送される様子を示す図である。図3は、現像装置24の全体を、その後側の右斜め上方から見た斜視図である。図4(a)は、現像剤供給機構25の内部を、図3で示す右から左方向へ、視た状態を示す斜視図である。図4(b)は、現像剤供給機構25の内部を、図3で示す左から右方向へ、視た状態を示す図である。
【0030】
図2に示す通り、ブラックのトナーコンテナ40より供給された現像剤は、中間転写ユニット35の現像剤送り部51に供給される。現像剤送り部51に供給された現像剤は、現像剤送りスパイラル52によって、現像剤供給機構25の上方に位置する垂直落下部53へと送られる。垂直落下部53には、現像剤の漏れを防止するためのシャッター(不図示)が、現像剤供給機構25との間に取り付けられている。現像剤は、シャッターが開き、垂直落下部53を介して、現像剤供給機構25に投入される。
【0031】
ここで、シャッター近傍に現像剤が圧縮された状態で機器が稼働すると、シャッターが開いたときに、現像剤の塊が現像剤供給機構25に投入されることとなる。
【0032】
なお、ブラックのトナーコンテナ40より供給される現像剤で説明したが、残りの3色のトナーコンテナ、すなわち、マゼンタのトナーコンテナ37,シアンのトナーコンテナ38,イエローのトナーコンテナ39から供給される現像剤も同様の構成で供給されるので説明は省略する。
【0033】
図3に示す通り、現像剤供給機構25は、現像装置24の右側に位置している。
【0034】
図4(a)、図4(b)を用いて、現像剤供給機構25について説明する。現像剤供給機構25は、上方に向かって一端側が、平面視すると略矩形状に開口し、現像剤をほぼ垂直方向に導く現像剤供給路54と、この現像剤供給路54の壁面54aに形成された第1のリブ55(凸部)と、第1のリブ55にほぼ直交するように現像剤供給路54の壁面54bに形成された第2のリブ56と、現像剤供給路54に配設され、現像剤供給路54の内部における長手方向に伸縮自在なコイルばね57と、現像剤供給路54の他端側でコイルばね57に連係され、コイルばね57をコイルばね57の周方向に回転させる動力手段とを備えている。
【0035】
以下、現像剤供給機構25の構成ごとに詳説する。
【0036】
動力手段は、モータ(不図示)と、このモータからギアトレイン(不図示)を介して回転される現像剤攪拌搬送スパイラル27と、この現像剤攪拌搬送スパイラル27により回転させられるウォーム(不図示)と、このウォームにより減速して回転させられるウォームホイール58と、を備えている。
【0037】
現像剤攪拌搬送スパイラル27は、現像装置24の内部に配設され、現像装置の筺体26の内部に投入された現像剤を攪拌しながら、現像剤の投入口のある現像装置24の一端側から他端側へ現像剤を搬送する。
【0038】
ウォームホイール58とウォームは、現像剤供給路54の下方に位置し現像装置24の筺体26と一体形成されたウォームギアケース60の中に、それぞれが噛み合い、且つ、回転自在に配設される。ここで、ウォームホイール58の軸61は、現像剤供給路54の内部へ突き出している。そして、ウォームには、同軸でウォームと一体となって回転する平歯歯車48が形成されている。
【0039】
ウォームは、現像剤攪拌搬送スパイラル27と同軸で、現像剤攪拌搬送スパイラル27と一体となって回転する平歯歯車50から動力を得ている。すなわち、現像剤攪拌搬送スパイラル27がギアトレインを介してモータから動力を得て回転すると同軸上の平歯歯車50が回転する。そして、現像剤攪拌搬送スパイラル27の平歯歯車50が回転するとこれに噛み合うウォームの平歯歯車48が回転させられウォームが回転する。そして、ウォームが回転すると、これに噛み合うウォームホイール58が減速されて回転するようになっている。コイルばね57は、ウォームホイール58の軸61に嵌合されて回転させられる。
【0040】
なお、動力手段の一例を挙げて説明したが、コイルばね57をコイルばね57の周方向に回転させることができれば良く、これに限定されるものではない。
【0041】
現像剤供給路54は、図4(a)、図4(b)に示す通り、現像剤を受け入れるために上方に向かって開口している。現像剤供給路54は、その長手方向に沿って分割され現像装置24の外側を構成する着脱自在の部品である現像剤供給路本体62と、現像装置24の内部側の現像剤供給路54を構成する現像剤供給路本体取付部63から構成されている。
【0042】
図4(b)に示す通り、現像剤供給路本体62は、略弓なり形状となっていて現像剤の供給路を構成する。そして、現像剤供給路本体62は、その上部に第1のリブ55と第2のリブ56が同じ高さ位置に形成され、側面下部には現像剤攪拌搬送スパイラル27の軸受け64が形成されている。
【0043】
現像剤供給路本体取付部63は、略弓なり形状となっていて現像剤の供給路を構成する。そして、現像剤供給路本体取付部63は、その下部に、後述するウォームホイール58の軸61を通すための穴65が形成されている。また、現像剤供給路本体取付部63の側面下部には、現像剤攪拌搬送スパイラル27の一端側が現像剤供給路54の内部における下部に配設できるように、開口部66を有している。
【0044】
現像剤供給路本体62及び現像剤供給路本体取付部63の側端縁部67は、現像剤供給路本体取付部63に、現像剤供給路本体62を取り付けた際に、互いにオーバーラップするように形成されている。そして、現像剤供給路本体62及び現像剤供給路本体取付部63の外部には、弾性変形可能なフック部68と、このフック部68が引っ掛けられる突起部70とが形成されている。
【0045】
この現像剤供給路本体取付部63に現像剤供給路本体62を側端縁部67を対向するように合わせて組み合わせ、突起部70にフック部68を引っ掛けると、現像剤供給路54となる。この現像剤供給路54は、略弓なり形状となっている。すなわち、上部は、供給路の幅及び奥行は一定で角パイプ形状となっており、そして、中程から湾曲し、下部側では幅が下方に向かうに従って大きくなっている。
【0046】
第1のリブ55及び第2のリブ56は、開口部の平面形状が略矩形状の現像剤供給路本体62の上部に一体形成される。第1のリブ55は、現像剤供給路54の奥行を構成する壁面54a、すなわち、コイルばね57を取り付け後、コイルばね57が付勢される面に、ほぼ奥行き方向に沿って形成されている。第2のリブ56は、現像剤供給路54の幅を構成する壁面54bに、ほぼ幅方向に沿って形成される。この第1のリブ55と第2のリブ56は同じ高さ位置に形成されて直交する。この第1のリブ55と第2のリブ56は、壁から離れる方向の先端部が丸みを帯びた形状をしている。そして、この第1のリブ55と第2のリブ56は、コイルばね57をピッチの間で引っ掛けることができ、コイルばね57から下向きにある程度の復元力Fがかかると外れるようになっている。
【0047】
コイルばね57は、右巻き(上方から視て時計回り)の圧縮コイルばねである。その形状は、上部から中部までは一定の径及び一定のピッチとなっている。そして、中部からは、下方に向かうに従ってコイルばね57のピッチが一定でコイル径が小さくなっている。そして、下部は、コイル径が一定でピッチがなく略円筒形状となっている。この下部は、前述したウォームホイール58の軸61に嵌合される。
【0048】
コイルばね57は、ウォームホイール58の軸61に嵌合され、現像剤供給路54の内部で、コイルばね57の周方向にウォームホイール58の軸61と一体回動することができる。このとき、コイルばね57は、現像剤供給路54に沿って配設されるため湾曲した状態で配設される。このとき、コイルばね57の上部は、前述した第1のリブ55が形成される壁面54a及び第2のリブ56が形成される壁面54bに付勢された状態となっている。そして、コイルばね57のピッチの間には、第1のリブ55と第2のリブ56が位置している。従って、コイルばね57の上部のピッチは、少なくともリブの短手方向の長さよりも大きくなっているコイルばね57が選択される。
【0049】
また、コイルばね57は、現像剤供給路54に配設後、第1のリブ55及び第2のリブ56に引っ掛けられるように、伸長していない自由長の状態で、コイルばね57の上端が第1のリブ55及び第2のリブ56よりも上方へ位置するように設計される。
【0050】
そして、コイルばね57の外径は、現像剤供給路54の奥行から第2のリブ56の高さを引いた値、及び現像剤供給路54の幅から第1のリブ55の高さを引いた値のいずれの値よりも小さくなっている。ここで、第1のリブ55の高さ及び第2のリブ56の高さとは、それぞれが形成される壁面54a、54bから垂直方向の長さのことをいう。これにより、現像剤供給路54の内部で第1のリブ55及び第2のリブ56に引っ掛けられたコイルばね57は、現像剤供給路54の内部で第1のリブ55及び第2のリブ56から外れることができる。
【0051】
コイルばね57は、現像剤供給路54の内部で上方からみて右回転(時計回り)すると、コイルばね57のらせん状ばね作用部が第1のリブ55に引っ掛かり上方へ向かって伸長するようになっている。
【0052】
なお、コイルばねは、現像剤供給路54に配設後、ばねが伸びていない自然長の状態で第1のリブ55及び第2のリブ56に、コイルばねのらせん状ばね作用部を引っ掛けることができれば良く、上記に述べたばねの形状に限定されるものではない。
【0053】
(現像剤供給機構25の動作)
図5及び図6を用いて現像剤供給機構25の動作について説明する。
図5(a−1)は、現像剤供給機構25のコイルばね57の初期状態を表す図である。
図5(a−2)は、現像剤供給路54の開口部を表す平面図である。図5(b−1)は、現像剤供給機構25のコイルばね57が第1のリブ55から外れる瞬間を表す図である。図5(b−2)は、現像剤供給路54の開口部を表す平面図である。図5(c−1)は、現像剤供給機構25のコイルばね57が第2のリブ56に当接した瞬間を表す側面図である。図5(c−2)は、現像剤供給路54の開口部を表す平面図である。図6(a)は、初期状態において、コイルばね57が第1のリブ55に引っ掛かっている状態を模式的に表した図である。図6(b)は、コイルばね57が伸びた状態において、コイルばね57が第1のリブ55に引っ掛かっている状態を模式的に表した図である。図6(c)は、初期状態におけて、コイルばね57が第1のリブ55に引っ掛かっている状態を別の方向から模式的に表した図である。
【0054】
図5(a−1)は、現像剤供給機構25を図3の左から右向きに視た図であり、コイルばね57の初期状態を表している。図6(a)は、コイルばね57を図5(a−1)と同じ方向から視た図であり、図に示す通り、第1のリブ55に引っ掛かっている。図6(a)では説明の便宜上、第2のリブ56を省略して表している。図5(a−2)は、現像剤供給路54の開口部を表す平面図であり、コイルばね18は、初期状態において、壁面54a,54bに接触している。このとき、図6(c)に示す通りコイルばね57は、右巻きのらせん状となっているため、第1のリブ55と同じ高さ位置に形成されている第2のリブ56とは接触しておらず、コイルばね57と第2のリブ56とは隙間を持った状態となっている。この状態において、コイルばね57を右回りに回転させると、図6(b)に表す通り、コイルばね57は、第1のリブ55に引っ掛かって、第1のリブ55に引っ掛かっている部分より下の部分が伸長していくこととなる。コイルばね57が伸長していくと、伸長するに従ってコイルばね57の復元力Fが漸増するとともに、ピッチ角θが大きくなり、第1のリブ55からコイルばね57が外れ易くなる。
【0055】
図5(b−1)は、コイルばねが回転させられ、コイルばね57が第1のリブ55から外れる瞬間を示す図である。図5(b−2)は、コイルばね18が第1のリブから外れる瞬間を表した平面図である。この状態でさらにコイルばね57が回転させられると、下向きに働くばねの復元力Fにより、コイルばね57は第1のリブ55から滑り落ちる。すなわち、コイルばね57は、第1のリブが形成される壁面54aから離れる水平方向の動きが与えられる。
【0056】
そして、コイルばね57が第1のリブ55から外れると、コイルばね57は、復元力Fにより収縮する。そうすると、コイルばね57は、第2のリブ56に当接することとなる。
【0057】
図5(c−1)は、コイルばね57が第2のリブ56に当接する瞬間を示した図である。このとき、コイルばね57は、復元力Fにより収縮しながら、コイルばね57のスパイラルと第2のリブ56とが当接する。コイルばね57は、スパイラルの部分で当接するため、図5(c−2)の矢印A方向へ、第2のリブ56によって弾かれる。すなわち、コイルばね57の上部には、水平方向の動きが与えられる。
【0058】
よって、コイルばね57が第2のリブ56に弾かれた後は、コイルばね57を矢印A方向に移動させる力と、コイルばね57をもとの長さに戻そうとする復元力Fと、初期状態から与えられている第1のリブ55が形成される壁面54aと第2のリブ56が形成される壁面54bに付勢する力が働く。その結果、コイルばね57は、現像剤供給路54の内部で、図5(c−2)に示すような円に近い運動をしてもとの姿勢、図5(a−1)、図5(a−2)及び図6(a)の状態に戻ることとなる。このとき、コイルばね57は、壁面54a,54bに当接し、現像剤供給路54に微小震動を発生させる。
【0059】
そして、初期状態に戻ったコイルばね57は、第1のリブ55に引っ掛かり、また伸長し、第1のリブ55から外れ、そして、第2のリブ56に弾かれるという一連の動きを繰り返すようになっている。
【0060】
以上に述べた現像剤供給機構25は、現像剤供給路54の内部に投入された現像剤を、上記に記載した動作をするコイルばね57によりほぐし、現像剤攪拌搬送スパイラル27の上へ落下させるようになっている。
【0061】
なお、コイルばね57が初期状態に戻る際に、壁面に当接し微小震動を発生させるが、この微小震動は、現像に影響を与えるほど大きな振動ではなく。その大きさは、コイルばね57の巻きのピッチ、線形等で適宜最適な値が設計される。
【0062】
また、この実施例において、コイルばね57は、最も伸びた状態で現像剤供給路54から飛び出さないようにコイルばね57の巻きのピッチ、線形、自由長が適宜設計される。垂直落下部53のシャッターにコイルばね57が挟まれないようにするためである。
【0063】
(現像剤供給機構の効果)
コイルばね57が、現像剤供給路54の内部で以上のような、上下運動及び略円運動を定期的に行うことにより、落下してくる現像剤のほぐし効果が高まる。そして、この1連の動きの過程でコイルばね57が壁面54a,54bに当接することにより、壁面に微小震動を与え、壁面に付着する現像剤を落下させる。以上により、現像剤供給機構25がない構成に比較して、より安定した現像剤の供給をすることができる。
【0064】
(変形例)
図7(a)及び図7(b)を参照して、現像剤供給路54に形成されるリブの変形例について説明する。図7(a)は、第1のリブ55と第2のリブ56を高さ方向にずらして配置した変形例を示す図である。図7(b)は、筒状の現像剤供給路54にリブを形成した変形例を示す図である。
【0065】
図7(a)に表す変形例は、第1のリブ55と第2のリブ56が高さ方向にずらして形成されている。第1のリブ55と第2のリブ56とをつなげて形成すると現像剤供給路54のリブの角部に現像剤が溜まり易くなるが、高さ方向にずらして配置すると、同じ高さに第1のリブ55と第2のリブ56を形成する構成に比較して、現像剤が現像剤供給路54のリブの角部に溜まり難いという効果を有する。
【0066】
図7(b)に表す変形例は、現像剤供給路54が円筒形状となっており、その内壁に高さ方向に対してほぼ垂直に円弧状リブ70が形成されている。この円弧状リブ70は、円筒の内壁の周方向に沿って形成されており、湾曲しているためこのリブで前述の第1のリブ55と第2のリブ56の機能を発揮することができる。
【0067】
なお、リブは現像剤供給路54の内部に一体形成される態様で説明したがこれに限定されるものなく、別部品として後から取り付けるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る現像剤供給機構は、現像剤がほぼ垂直方向に移動して現像装置に供給される現像剤の供給路に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1……画像形成装置、21……感光ドラム(感光体)、24……現像装置、25……現像剤供給機構、31……1次転写ローラ(転写手段)、54……現像剤供給路、55……第1のリブ、56……第2のリブ、57……コイルばね、70……円弧状リブ、F……復元力


【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤をほぼ垂直に導く現像剤供給機構において、
上方に向かって一端側が開口し、前記現像剤をほぼ垂直方向に導く現像剤供給路と、
前記現像剤供給路の壁面に形成された凸部と、
前記現像剤供給路に配設され、前記現像剤供給路内の長手方向に伸縮自在なコイルばねと、
前記現像剤供給路の他端側で前記コイルばねに連係され、前記コイルばねを前記コイルばねの周方向に回転させる動力手段と、
を備え、
前記コイルばねは、自由長の状態で前記凸部に付勢され、
前記コイルばねが前記動力手段によって回転させられ、前記コイルばねのピッチ間に前記凸部が引っ掛かると、前記コイルばねが前記現像剤供給路の一端側へ向かって伸長させられ、前記コイルばねに生じる復元力が漸増し、
この復元力によって前記コイルばねが前記凸部から外れると、前記コイルばねに前記凸部から離れる水平方向の動きが与えられる、
ことを特徴とする現像剤供給機構。
【請求項2】
感光体の表面に形成された静電潜像を現像する現像装置であって、前記請求項1に記載の現像剤供給機構を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
前記請求項2に記載の現像装置と、
前記現像装置によって前記静電潜像がトナー像として可視化される感光体と、
前記感光体の前記トナー像を記録材に転写する転写手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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