現像剤供給装置
【課題】 現像剤の搬送・供給状態をよりいっそう良好にする。
【解決手段】 搬送基板は、主走査方向と直交する方向に移動する現像剤受容面あるいは現像剤担持面と最近接位置にて対向する現像剤搬送面を有し、この現像剤搬送面上にて電界により現像剤を主走査方向と交差する現像剤搬送経路に沿った現像剤搬送方向に搬送する。搬送基板は、最近接位置よりも現像剤搬送方向における上流側の供給部と下流側の回収部とを備えている。供給部は、供給バイアスの印加に伴って発生する電界により、現像剤を現像剤搬送経路に沿って最近接位置に向けて搬送する。回収部は、供給バイアスと異なる直流電圧成分を含む回収バイアスの印加に伴って発生する電界により、現像剤を最近接位置の近傍にて回収しつつ現像剤搬送方向における下流側に向けて搬送する。
【解決手段】 搬送基板は、主走査方向と直交する方向に移動する現像剤受容面あるいは現像剤担持面と最近接位置にて対向する現像剤搬送面を有し、この現像剤搬送面上にて電界により現像剤を主走査方向と交差する現像剤搬送経路に沿った現像剤搬送方向に搬送する。搬送基板は、最近接位置よりも現像剤搬送方向における上流側の供給部と下流側の回収部とを備えている。供給部は、供給バイアスの印加に伴って発生する電界により、現像剤を現像剤搬送経路に沿って最近接位置に向けて搬送する。回収部は、供給バイアスと異なる直流電圧成分を含む回収バイアスの印加に伴って発生する電界により、現像剤を最近接位置の近傍にて回収しつつ現像剤搬送方向における下流側に向けて搬送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、現像剤供給装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
この種の装置として、特開２００１−２０９２４６号公報、特開２００２−１１６６２０号公報、特開２００２−２８７４９５号公報、特開２００８−８３２３７号公報、等に開示されているものが知られている。かかる装置は、現像剤搬送経路に沿って配列された複数の搬送電極を備えていて、これら複数の搬送電極に対する駆動電圧の印加により発生する電界によって前記現像剤を搬送するように構成されている。
【発明の概要】
【０００３】
この種の装置において、前記現像剤の搬送・供給状態をよりいっそう良好にすることや、小型化等の要求がある。本発明は、かかる課題に対処するためになされたものである。
【０００４】
本発明の現像剤供給装置は、主走査方向と直交する方向に移動する現像剤受容面に、帯電した粉末状の現像剤を供給するように構成されている。例えば、この現像剤供給装置は、帯電した粉末状の前記現像剤を供給対象（静電潜像担持体等）に対して供給するように構成されている。
【０００５】
本発明の現像剤供給装置は、搬送基板を備えている。前記搬送基板は、前記現像剤受容面と所定の最近接位置にて最も近接しつつ対向する表面である現像剤搬送面を有していて、この現像剤搬送面上にて電界により前記現像剤を前記主走査方向と交差する現像剤搬送経路に沿った現像剤搬送方向に搬送するように構成されている。
【０００６】
例えば、前記現像剤供給装置が、さらに現像剤担持部材を備えている場合がある。この現像剤担持部材は、前記主走査方向と平行な円柱面状の周面である、前記現像剤受容面としての現像剤担持面を有していて、当該現像剤担持面が現像剤供給位置にて前記供給対象と対向するように設けられている。また、この現像剤担持部材は、前記主走査方向と平行な軸を中心として回転することで、前記現像剤担持面が前記主走査方向と直交する方向に移動するように構成されている。この場合、前記搬送基板は、前記現像剤搬送面が前記現像剤担持面と前記最近接位置にて最も近接しつつ対向するように設けられていて、この現像剤搬送面上にて電界により前記現像剤を前記現像剤搬送方向に搬送するように構成されている。
【０００７】
前記搬送基板は、前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における上流側の部分である供給部と、前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における下流側の部分である回収部と、を備えている。
【０００８】
前記供給部は、前記現像剤搬送経路に沿って配列された複数の供給用搬送電極を備えている。この供給部は、進行波状の多相交流電圧成分を含む供給バイアスの複数の前記供給用搬送電極への印加に伴って発生する電界により、前記現像剤を、前記現像剤搬送経路に沿って前記最近接位置に向けて搬送しつつ、当該最近接位置の近傍にて前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面に供給するように構成されている。
【０００９】
前記回収部は、前記現像剤搬送経路に沿って配列された複数の回収用搬送電極を備えている。この回収部は、進行波状の多相交流電圧成分及び前記供給バイアスと異なる直流電圧成分を含む回収バイアスの複数の前記回収用搬送電極への印加に伴って発生する電界により、前記現像剤を、前記最近接位置の近傍にて前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面から回収しつつ、前記現像剤搬送方向における下流側に向けて搬送するように構成されている。
【００１０】
前記現像剤供給装置は、前記最近接位置にて、前記現像剤担持面の移動方向が前記現像剤搬送方向と反対方向となるように構成されていてもよい。
【００１１】
前記現像剤供給装置は、供給バイアス印加手段と、回収バイアス印加手段と、現像剤担持面電位設定手段と、をさらに備えていてもよい。前記供給バイアス印加手段は、前記供給バイアスを、複数の前記供給用搬送電極に印加するようになっている。前記回収バイアス印加手段は、前記供給バイアスと同一振幅の進行波状の多相交流電圧成分を含む前記回収バイアスを、複数の前記回収用搬送電極に印加するようになっている。前記現像剤担持面電位設定手段は、前記現像剤担持面の電位の平均値を、前記供給バイアスの平均値と前記回収バイアスの平均値との間になるように設定するようになっている。
【００１２】
かかる構成においては、前記搬送基板における前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における上流側の部分である前記供給部によって、前記現像剤が、前記最近接位置に向けて搬送される。そして、当該最近接位置の近傍にて、前記現像剤が、前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面に供給される。すなわち、前記最近接位置の近傍にて、前記現像剤が、前記供給部における前記現像剤搬送面から、前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面側に移行する。
【００１３】
一方、前記搬送基板における前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における下流側の部分である前記回収部によって、前記現像剤が、前記最近接位置の近傍にて、前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面から回収される。すなわち、前記最近接位置の近傍にて、前記現像剤が、前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面から、前記回収部における前記現像剤搬送面側に移行する。前記回収部における前記現像剤搬送面側に移行した前記現像剤、及び、前記供給部における前記現像剤搬送面から前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面側に移行しなかった前記現像剤は、前記回収部によって、前記現像剤搬送方向における前記最近接位置よりも下流側に向けて搬送される。
【００１４】
このように、本発明の構成においては、前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面に前記現像剤を供給するための前記供給部が、前記搬送基板における前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における上流側の部分で構成されるとともに、前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面から前記現像剤を回収するための回収部が、前記搬送基板における前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における下流側の部分で構成される。
【００１５】
したがって、前記供給部における前記現像剤搬送面から前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面側に移行しなかった前記現像剤が前記最近接位置の近傍にて滞留することが、可及的に抑制される。すなわち、前記現像剤の搬送・供給状態が、よりいっそう良好に設定される。また、前記供給部と前記回収部とが前記搬送基板として一体化されることで、この種の装置における、よりいっそうのコストダウンや小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】本発明の一実施形態が適用された画像形成装置としてのレーザープリンタの概略構成を示す側面図である。
【図２】図１に示されているトナー供給装置を拡大した側断面図である。
【図３】図２に示されている搬送基板を拡大した側断面図である。
【図４】図３に示されている各電源回路の出力波形の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【００１７】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【００１８】
＜レーザープリンタの構成＞
図１を参照すると、レーザープリンタ１は、用紙搬送機構２と、感光体ドラム３と、帯電器４と、スキャナーユニット５と、トナー供給装置６と、を備えている。レーザープリンタ１内に備えられた、図示しない給紙トレイには、シート状の用紙Ｐが積み重ねられた状態で収容されている。用紙搬送機構２は、用紙Ｐを所定の用紙搬送経路ＰＰに沿って搬送するように構成されている。
【００１９】
本発明の供給対象としての感光体ドラム３の周面には、静電潜像担持面ＬＳが形成されている。静電潜像担持面ＬＳは、主走査方向（図中ｚ軸方向）と平行な円筒面として形成されている。この静電潜像担持面ＬＳは、電位分布による静電潜像が形成されるとともに、当該静電潜像に対応した位置にて本発明の現像剤としてのトナーＴ（図２参照）を担持するようになっている。感光体ドラム３は、前記主走査方向と平行な中心軸Ｃを中心として図中矢印で示されている方向（反時計回り）に回転駆動されることで、前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って静電潜像担持面ＬＳが移動するように構成されている。
【００２０】
帯電器４は、静電潜像担持面ＬＳと対向するように配置されている。この帯電器４は、コロトロン型あるいはスコロトロン型の帯電器であって、静電潜像担持面ＬＳを一様に正帯電させるように構成されている。
【００２１】
スキャナーユニット５は、画像データに基づいて変調されたレーザービームＬＢを生成するように構成されている。すなわち、スキャナーユニット５は、画素の有無によって発光のＯＮ／ＯＦＦが制御された、所定の波長帯域のレーザービームＬＢを生成するように構成されている。また、スキャナーユニット５は、生成されたレーザービームＬＢを、静電潜像担持面ＬＳにおけるスキャン位置ＳＰにて結像させるように構成されている。ここで、スキャン位置ＳＰは、帯電器４よりも、感光体ドラム３の回転方向（図１における矢印で示されている方向：反時計回り）における下流側の位置に設けられている。さらに、スキャナーユニット５は、静電潜像担持面ＬＳ上にてレーザービームＬＢが結像される位置を、前記主走査方向に沿って等速度にて移動させる（走査する）ことで、静電潜像担持面ＬＳ上に静電潜像を形成するように構成されている。
【００２２】
トナー供給装置６は、感光体ドラム３と対向するように、感光体ドラム３の下方に配置されている。本発明の現像剤供給装置としてのトナー供給装置６は、帯電したトナーＴ（図２参照）を、本発明の現像剤供給位置としての現像位置ＤＰにて、感光体ドラム３（静電潜像担持面ＬＳ）に供給するように構成されている。ここで、現像位置ＤＰとは、トナー供給装置６が静電潜像担持面ＬＳと対向する位置である。このトナー供給装置６の詳細な構成については後述する。
【００２３】
次に、レーザープリンタ１の各部の具体的な構成について、より詳細に説明する。
【００２４】
用紙搬送機構２は、一対のレジストローラ２１と、転写ローラ２２と、を備えている。レジストローラ２１は、用紙Ｐを所定のタイミングにて感光体ドラム３と転写ローラ２２との間に向けて送り出すように構成されている。転写ローラ２２は、感光体ドラム３の外周面である静電潜像担持面ＬＳと、転写位置ＴＰにて、用紙Ｐを挟んで対向するように配置されている。また、転写ローラ２２は、図中矢印で示されている方向（時計回り）に回転駆動されるようになっている。転写ローラ２２は、図示しないバイアス電源回路に接続されている。すなわち、転写ローラ２２と感光体ドラム３との間で、静電潜像担持面ＬＳ上に付着したトナーＴ（図２参照）を用紙Ｐに転写させるための所定の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。
【００２５】
＜＜トナー供給装置＞＞
トナー供給装置６の側断面図（前記主走査方向を法線とする面による断面図）である図２を参照すると、トナー供給装置６のケーシングをなすトナーボックス６１は、箱状部材であって、その内部には粉末状の乾式現像剤としてのトナーＴが収容されている。なお、本実施形態においては、トナーＴは、正帯電性、非磁性一成分の、黒色トナーである。トナーボックス６１の頂部であって、感光体ドラム３と対向する位置には、開口部６１ａが形成されている。すなわち、開口部６１ａは、感光体ドラム３に向けて上方に開口するように設けられている。
【００２６】
本発明の現像剤担持部材としての現像ローラ６２は、前記主走査方向と平行な円柱面状の周面であるトナー担持面６２ａを有するローラ状の部材であって、感光体ドラム３の下方に設けられている。現像ローラ６２は、トナー担持面６２ａが開口部６１ａを介してトナーボックス６１の外側に露出することで静電潜像担持面ＬＳと対向するように、トナーボックス６１内に収容されている。すなわち、トナー担持面６２ａの頂部が現像位置ＤＰにて感光体ドラム３における静電潜像担持面ＬＳと最近接あるいは接触しつつ対向するように、現像ローラ６２が配置されている。
【００２７】
現像ローラ６２は、トナーボックス６１における開口部６１ａの近傍にて、前記主走査方向と平行な軸を中心として回動可能に支持されている。すなわち、現像ローラ６２は、前記主走査方向と平行な軸を中心として図中矢印で示されている方向（時計回り）に回転することで、本発明の現像剤受容面及び現像剤担持面としてのトナー担持面６２ａが前記副走査方向に移動するように構成されている。
【００２８】
トナーボックス６１の内部であって、現像ローラ６２の下方には、搬送基板６３が設けられている。搬送基板６３は、側断面視にて上方に向かって凸形状となるような半円筒状に形成されている。搬送基板６３は、その外側（上側）表面であるトナー搬送面ＴＴＳを有している。搬送基板６３は、トナー搬送面ＴＴＳの頂部が現像ローラ６２におけるトナー担持面６２ａと最近接位置ＰＸＰにて最近接しつつ対向するように設けられている。
【００２９】
搬送基板６３は、トナー搬送面ＴＴＳ上にて電界によりトナーＴを前記主走査方向と交差するトナー搬送経路ＴＴＰに沿ったトナー搬送方向ＴＴＤに搬送するように構成されている。ここで、トナー搬送経路ＴＴＰは、トナー搬送面ＴＴＳに沿ったトナーＴの電界による搬送経路であって、側断面視にて上方に凸状の略半円状に形成されている。また、トナー搬送方向ＴＴＤは、側断面視におけるトナー搬送経路ＴＴＰ上の任意の点における接線方向である。本実施形態においては、搬送基板６３は、トナー搬送方向ＴＴＤが最近接位置ＰＸＰにおけるトナー担持面６２ａの移動方向（図中左方向向きの矢印参照）とは反対方向（図中二点鎖線の矢印参照：右方向あるいは時計回り方向）となるように構成されている。
【００３０】
搬送基板６３は、最近接位置ＰＸＰよりもトナー搬送方向ＴＴＤにおける上流側の部分である供給部６３ａと、最近接位置ＰＸＰよりもトナー搬送方向ＴＴＤにおける下流側の部分である回収部６３ｂと、を備えている。供給部６３ａのトナー搬送方向ＴＴＤにおける上流側の端部、及び回収部６３ｂのトナー搬送方向ＴＴＤにおける下流側の端部は、トナーボックス６１の内部の空間における底部に貯留されたトナーＴ内に浸漬されている。
【００３１】
供給部６３ａは、最近接位置ＰＸＰに向けてトナーＴを搬送することで、最近接位置ＰＸＰの近傍且つトナー搬送方向ＴＴＤにおける上流側の領域であるトナー担持領域ＴＣＡにてトナー担持面６２ａにトナーＴを供給するように構成されている。回収部６３ｂは、最近接位置ＰＸＰの近傍且つトナー搬送方向ＴＴＤにおける下流側の領域であるトナー回収領域ＴＲＡにてトナー担持面６２ａからトナーＴを回収しつつ、トナー搬送方向ＴＴＤにおける下流側に向けてトナーＴを搬送するように構成されている。また、回収部６３ｂは、トナー担持領域ＴＣＡにてトナー担持面６２ａ側に移行しなかったトナーＴを最近接位置ＰＸＰからトナー搬送方向ＴＴＤにおける下流側に向けて搬送するように構成されている。なお、搬送基板６３（供給部６３ａ及び回収部６３ｂ）の内部構成の詳細については後述する。
【００３２】
搬送基板６３は、搬送電源回路６４と電気的に接続されている。搬送電源回路６４は、供給バイアス電源回路６４ａと、回収バイアス電源回路６４ｂと、を備えている。本発明の供給バイアス印加手段としての供給バイアス電源回路６４ａは、供給部６３ａと電気的に接続されている。本発明の回収バイアス印加手段としての回収バイアス電源回路６４ｂは、回収部６３ｂと電気的に接続されている。また、現像ローラ６２は、本発明の現像剤担持面電位設定手段としての現像バイアス電源回路６５と電気的に接続されている。
【００３３】
搬送電源回路６４及び現像バイアス電源回路６５は、トナーＴをトナー搬送経路ＴＴＰに沿ってトナー搬送方向ＴＴＤに搬送するとともに、トナー担持領域ＴＣＡにてトナー担持面６２ａにトナーＴを担持させ、且つトナー回収領域ＴＲＡにてトナー担持面６２ａからトナーＴを回収するために必要な電圧を出力するようになっている。
【００３４】
具体的には、本実施形態においては、供給バイアス電源回路６４ａは、６００〜１２００Ｖ（直流電圧成分＋９００Ｖ・多相交流電圧成分の振幅３００Ｖ）の供給バイアスを出力するようになっている。また、回収バイアス電源回路６４ｂは、０〜６００Ｖ（直流電圧成分＋３００Ｖ・多相交流電圧成分の振幅３００Ｖ）の回収バイアスを出力するようになっている。さらに、現像バイアス電源回路６５は、直流電圧成分＋６００Ｖの現像バイアスを出力するようになっている。すなわち、現像バイアス電源回路６５は、トナー担持面６２ａの電位の平均値（現像バイアスの平均値）を、供給バイアスの平均値と回収バイアスの平均値との間に設定するようになっている。また、回収バイアスは、供給バイアスと同一振幅の進行波状の多相交流電圧成分及び供給バイアスと異なる直流電圧成分を含むように設定されている。
【００３５】
＜＜＜搬送基板＞＞＞
図３を参照すると、搬送基板６３は、薄板状の部材であって、フレキシブルプリント配線基板と同様の構成を有している。具体的には、搬送基板６３は、搬送電極６３１と、搬送電極支持フィルム６３２と、搬送電極コーティング層６３３と、搬送電極オーバーコーティング層６３４と、から構成されている。
【００３６】
搬送電極６３１（なお、供給部６３ａにおける搬送電極６３１を供給用搬送電極６３１ａ、回収部６３ｂにおける搬送電極６３１を回収用搬送電極６３１ｂと称する。）は、前記主走査方向と平行な（すなわち前記副走査方向と直交する）長手方向を有する線状の配線パターンであって、薄膜状の銅箔によって形成されている。複数の搬送電極６３１は、トナー搬送経路ＴＴＰに沿って配列されていて、互いに平行に配置されている。
【００３７】
トナー搬送経路ＴＴＰに沿って多数配列された各搬送電極６３１は、３本置きに同一の電源回路に接続されている。すなわち、電源回路ＶＡに接続された搬送電極６３１，電源回路ＶＢに接続された搬送電極６３１，電源回路ＶＣに接続された搬送電極６３１，電源回路ＶＤに接続された搬送電極６３１，電源回路ＶＡに接続された搬送電極６３１，電源回路ＶＢに接続された搬送電極６３１，電源回路ＶＣに接続された搬送電極６３１・・・が、トナー搬送経路ＴＴＰに沿って順に配列されている。
【００３８】
なお、これらの電源回路ＶＡないしＶＤは、図２における供給バイアス電源回路６４ａや回収バイアス電源回路６４ｂの構成要素である。すなわち、図２及び図３を参照すると、供給バイアス電源回路６４ａは、上述の供給バイアスを、複数の供給用搬送電極６３１ａに印加するようになっている。また、回収バイアス電源回路６４ｂは、この供給バイアスと同期した進行波状の多相交流電圧成分を含む上述の回収バイアスを、複数の回収用搬送電極６３１ｂに印加するようになっている。
【００３９】
ここで、図４は、図３に示されている各電源回路ＶＡないしＶＤの出力波形の一例を示すグラフである。本実施形態においては、図４に示されているように、各電源回路ＶＡないしＶＤは、ほぼ同一波形の交流電圧である駆動電圧を出力し得るように構成されている。また、各電源回路ＶＡないしＶＤが発生する電圧の波形における位相が、９０°ずつ異なるように、各電源回路ＶＡないしＶＤが構成されている。すなわち、電源回路ＶＡから電源回路ＶＤに向かう順に、電圧の位相が９０°ずつ遅れるようになっている。このように、搬送基板６３は、各搬送電極６３１に対して上述のような駆動電圧が印加されて、トナー搬送経路ＴＴＰに沿った進行波状の電界が発生することで、正帯電したトナーＴをトナー搬送方向ＴＴＤに搬送するように構成されている。
【００４０】
複数の搬送電極６３１は、搬送電極支持フィルム６３２の表面上に形成されている。搬送電極支持フィルム６３２は、可撓性のフィルムであって、ポリイミド樹脂等の絶縁性の合成樹脂から構成されている。搬送電極コーティング層６３３は、絶縁性の合成樹脂から構成されている。この搬送電極コーティング層６３３は、搬送電極支持フィルム６３２における搬送電極６３１が設けられている表面、及び搬送電極６３１を覆うように設けられている。搬送電極コーティング層６３３の上には、搬送電極オーバーコーティング層６３４が設けられている。すなわち、上述の搬送電極コーティング層６３３は、搬送電極オーバーコーティング層６３４と搬送電極６３１との間に形成されている。搬送電極オーバーコーティング層６３４の表面は、トナーＴがスムーズに搬送され得るように、凹凸の極めて少ない平滑な面として形成されている。
【００４１】
＜レーザープリンタの動作説明＞
次に、上述のように構成されたレーザープリンタ１による動作の概要を、実施形態の構成による作用・効果とともに、図面を適宜参照しつつ説明する。
【００４２】
＜＜給紙動作＞＞
まず図１を参照すると、図示しない前記給紙トレイ上に積載された用紙Ｐの先端が、レジストローラ２１まで送られる。このレジストローラ２１にて、用紙Ｐの斜行が補正されるとともに、搬送タイミングが調整される。その後、用紙Ｐは、転写位置ＴＰまで給送される。
【００４３】
＜＜潜像形成面上へのトナー像の担持＞＞
上述のように用紙Ｐが転写位置ＴＰに向けて搬送されている間に、感光体ドラム３の周面である静電潜像担持面ＬＳ上に、以下のようにしてトナーＴによる像が担持される。
【００４４】
＜＜＜静電潜像の形成＞＞＞
感光体ドラム３の静電潜像担持面ＬＳは、まず、帯電器４によって、正極性に一様に帯電される。帯電器４によって帯電された静電潜像担持面ＬＳは、感光体ドラム３の図中矢印で示されている方向（反時計回り）の回転により、スキャナーユニット５と対向する（正対する）位置であるスキャン位置ＳＰまで、前記副走査方向に沿って移動する。
【００４５】
このスキャン位置ＳＰにて、画像情報に基づいて変調されたレーザービームＬＢによって静電潜像担持面ＬＳが露光される。すなわち、レーザービームＬＢが、前記主走査方向に沿って走査されつつ、静電潜像担持面ＬＳに照射される。このレーザービームＬＢの変調状態に応じて、静電潜像担持面ＬＳ上の正電荷が消失する部分が生じる。これにより、静電潜像担持面ＬＳ上に、正電荷のパターン（画像状分布）による静電潜像が形成される。静電潜像担持面ＬＳに形成された静電潜像は、感光体ドラム３の図中矢印で示されている方向（反時計回り）の回転により、トナー供給装置６と対向する現像位置ＤＰに向かって移動する。
【００４６】
＜＜＜帯電トナーの搬送・供給＞＞＞
図２及び図３を参照すると、トナーボックス６１内に貯留されているトナーＴは、供給部６３ａのトナー搬送方向ＴＴＤにおける上流側の端部が浸漬されている部分にて、当該部分における搬送電極オーバーコーティング層６３４との接触や摩擦等により帯電する。この帯電したトナーＴは、供給部６３ａに備えられた複数の供給用搬送電極６３１ａに対する供給バイアスの印加に伴って発生する電界により、最近接位置ＰＸＰに向かってトナー搬送方向ＴＴＤに搬送される。
【００４７】
供給部６３ａによってトナー搬送方向ＴＴＤに搬送中のトナーＴの一部は、トナー担持領域ＴＣＡに達すると、トナー担持面６２ａ側に移行し、トナー担持面６２ａ上に担持される。トナーＴの残部（トナー担持面６２ａ側に移行しなかったもの）は、トナー担持領域ＴＣＡ及び最近接位置ＰＸＰを通過して、回収部６３ｂのトナー搬送方向ＴＴＤにおける上流側の端部すなわちトナー回収領域ＴＲＡに達する。
【００４８】
トナー担持領域ＴＣＡにて正帯電のトナーＴが担持されたトナー担持面６２ａは、現像ローラ６２の図中矢印で示されている方向（時計回り）の回転駆動により、現像位置ＤＰまで移動する。これにより、トナーＴが現像位置ＤＰに供給される。この現像位置ＤＰの近傍にて、静電潜像担持面ＬＳに形成された静電潜像が、トナーＴによって現像される。すなわち、静電潜像担持面ＬＳ上であって、静電潜像における正電荷が消失した部分に、トナーＴが付着する。これにより、トナーＴによる画像（以下、「トナー像」と称する。）が、静電潜像担持面ＬＳ上に担持される。
【００４９】
現像位置ＤＰを通過したトナー担持面６２ａ上には、静電潜像担持面ＬＳ上に形成されたトナー像を反転したネガ像に対応する状態で、現像位置ＤＰにて消費されなかったトナーＴが残留している。かかる残留分のトナーＴは、現像ローラ６２の図中矢印で示されている方向（時計回り）の回転駆動により、トナー回収領域ＴＲＡまで移動する。このトナー回収領域ＴＲＡにて、トナー担持面６２ａ上に残留したトナーＴは、回収部６３ｂ側に移行する（すなわち回収部６３ｂによって回収される）。
【００５０】
トナー回収領域ＴＲＡを経て残留分のトナーＴが良好に回収（除去あるいは剥離）されたトナー担持面６２ａは、現像ローラ６２の図中矢印で示されている方向（時計回り）の回転駆動により、再度トナー担持領域ＴＣＡに達し、新たにトナーＴが担持される。よって、本実施形態の構成においては、ネガ像状にトナーＴが残留した状態のトナー担持面６２ａが再度トナー担持領域ＴＣＡに到達してその上にそのままトナーＴが再度担持されることで後続の形成画像にゴーストが発生することが、良好に抑制される。
【００５１】
供給部６３ａによってトナー担持領域ＴＣＡに搬送されたトナーＴのうちのトナー担持面６２ａ側に移行しなかったもの、及び、トナー回収領域ＴＲＡにてトナー担持面６２ａ上から回収されたトナーＴは、回収部６３ｂに備えられた複数の回収用搬送電極６３１ｂに対する回収バイアスの印加に伴って発生する電界により、トナー回収領域ＴＲＡからトナー搬送方向ＴＴＤに搬送され、トナーボックス６１の底部のトナーＴが貯留されている領域に還流する。
【００５２】
＜＜潜像形成面から用紙へのトナー像の転写＞＞
図１を参照すると、上述のようにして感光体ドラム３の静電潜像担持面ＬＳ上に担持されたトナー像は、当該静電潜像担持面ＬＳが図中矢印で示されている方向（反時計回り）に回転することにより、転写位置ＴＰに向けて搬送される。そして、この転写位置ＴＰにて、トナー像が、静電潜像担持面ＬＳから用紙Ｐ上に転写される。
【００５３】
＜本実施形態の構成による作用・効果＞
本実施形態の構成においては、トナー担持面６２ａにトナーＴを供給するための供給部６３ａが、搬送基板６３における最近接位置ＰＸＰよりもトナー搬送方向ＴＴＤにおける上流側の部分で構成されるとともに、トナー担持面６２ａからトナーＴを回収するための回収部６３ｂが、搬送基板６３における最近接位置ＰＸＰよりもトナー搬送方向ＴＴＤにおける下流側の部分で構成される。すなわち、供給部６３ａと回収部６３ｂとが搬送基板６３として一体化される。これにより、この種の装置における、よりいっそうのコストダウンや小型化が可能になる。
【００５４】
また、本実施形態の構成においては、搬送基板６３として一体化された供給部６３ａと回収部６３ｂとが、同一方向にトナーＴを搬送する。よって、最近接位置ＰＸＰの近傍にてトナーＴが滞留することが、良好に抑制される。すなわち、トナーＴがトナー搬送面ＴＴＳ上でトナー搬送経路ＴＴＰに沿ってスムーズに電界搬送される。
【００５５】
さらに、本実施形態の構成においては、最近接位置ＰＸＰにて、トナー担持面６２ａの移動方向がトナー搬送方向ＴＴＤと反対方向となる。すると、現像位置ＤＰを通過してネガ像状にトナーＴが残留した状態のトナー担持面６２ａは、まず先にトナー回収領域ＴＲＡにて回収部６３ｂと対向し、その後、トナー担持領域ＴＣＡにて供給部６３ａと対向する。そして、トナー担持面６２ａの電位の平均値が、供給バイアスの平均値と回収バイアスの平均値との間になるように設定されている。したがって、トナー担持面６２ａに対するトナーＴの供給及び回収が、簡略な装置構成を用いて良好に行われる。
【００５６】
＜変形例の例示列挙＞
なお、上述の実施形態は、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【００５７】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
【００５８】
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたものに限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【００５９】
本発明（特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの）は、上述の実施形態及び下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、（特に先願主義の下で出願を急ぐ）出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、発明の保護及び利用を目的とする特許法の目的に反し、許されない。
【００６０】
（１）本発明の適用対象は、単色のレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、カラーのレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。このとき、感光体の形状は、上述の実施形態のようなドラム状でなくてもよい。例えば、平板状や無端ベルト状等であってもよい。また、露光光源としては、レーザースキャナ以外のもの（ＬＥＤ、ＥＬ（エレクトロルミネッセンス）素子、蛍光体、等）が好適に用いられ得る。この場合、「主走査方向」は、発光素子（ＬＥＤ等）の配列方向と平行な方向となる。
【００６１】
あるいは、本発明は、上述の電子写真方式以外の方式（例えば、感光体を用いないトナージェット方式、イオンフロー方式、マルチスタイラス電極方式、等）の画像形成装置に対しても、好適に適用され得る。
【００６２】
（２）図４を参照すると、各電源回路ＶＡ〜ＶＤが発生する電圧の波形は、矩形波状以外にも、正弦波状や三角波状等の任意のものが用いられ得る。また、上述の実施形態においては、４つの電源回路ＶＡ〜ＶＤが設けられるとともに、各電源回路ＶＡ〜ＶＤが発生する電圧の位相が９０°ずつ異なっていた。もっとも、本発明はこれに限定されず、例えば、３つの電源回路が備えられるとともに、各電源回路が発生する電圧の位相が１２０°ずつ異なるようになっていてもよい。
【００６３】
（３）感光体ドラム３と現像ローラ６２とは、接触していてもよい。あるいは、現像ローラ６２は、省略され得る。この場合、搬送基板６３が最近接位置ＰＸＰすなわち現像位置ＤＰにて感光体ドラム３と対向する。かかる構成においては、静電潜像担持面ＬＳが、本発明の現像剤受容面に相当することとなる。
【００６４】
（４）搬送基板６３の構成は、上述の実施形態のものに限定されない。例えば、搬送電極オーバーコーティング層６３４は省略され得る。あるいは、搬送電極６３１が搬送電極支持フィルム６３２内に埋め込まれることで、搬送電極コーティング層６３３及び搬送電極オーバーコーティング層６３４の双方が省略され得る。
【００６５】
搬送基板６３は、半円柱状の支持部材によって支持されていてもよい。また、搬送基板６３の頂部は、平板状に形成されていてもよい。この場合、搬送基板６３は、側断面視にて台形状に形成され得る（側断面視にて台形状の支持部材によって支持され得る）。
【００６６】
（５）その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した各公報の内容（明細書及び図面を含む）は、本明細書の一部を構成するものとして援用され得る。
【符号の説明】
【００６７】
１ … レーザープリンタ
３ … 感光体ドラム（供給対象）
６ … トナー供給装置（現像剤供給装置）
６２ … 現像ローラ（現像剤担持部材）
６２ａ … トナー担持面（現像剤受容面・現像剤担持面）
６３ … 搬送基板
６３ａ … 供給部
６３ｂ … 回収部
６３１ … 搬送電極
６３１ａ … 供給用搬送電極
６３１ｂ … 回収用搬送電極
６４ … 搬送電源回路
６４ａ … 供給バイアス電源回路（供給バイアス印加手段）
６４ｂ … 回収バイアス電源回路（回収バイアス印加手段）
６５ … 現像バイアス電源回路（現像剤担持面電位設定手段）
ＤＰ … 現像位置（現像剤供給位置）
ＬＳ … 静電潜像担持面
ＰＸＰ … 最近接位置
Ｔ … トナー（現像剤）
ＴＣＡ … トナー担持領域
ＴＲＡ … トナー回収領域
ＴＴＤ … トナー搬送方向
ＴＴＰ … トナー搬送経路
ＴＴＳ … トナー搬送面
【先行技術文献】
【特許文献】
【００６８】
【特許文献１】特開２００１−２０９２４６号公報
【特許文献２】特開２００２−１１６６２０号公報、
【特許文献３】特開２００２−２８７４９５号公報
【特許文献４】特開２００８−８３２３７号公報
【技術分野】
【０００１】
本発明は、現像剤供給装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
この種の装置として、特開２００１−２０９２４６号公報、特開２００２−１１６６２０号公報、特開２００２−２８７４９５号公報、特開２００８−８３２３７号公報、等に開示されているものが知られている。かかる装置は、現像剤搬送経路に沿って配列された複数の搬送電極を備えていて、これら複数の搬送電極に対する駆動電圧の印加により発生する電界によって前記現像剤を搬送するように構成されている。
【発明の概要】
【０００３】
この種の装置において、前記現像剤の搬送・供給状態をよりいっそう良好にすることや、小型化等の要求がある。本発明は、かかる課題に対処するためになされたものである。
【０００４】
本発明の現像剤供給装置は、主走査方向と直交する方向に移動する現像剤受容面に、帯電した粉末状の現像剤を供給するように構成されている。例えば、この現像剤供給装置は、帯電した粉末状の前記現像剤を供給対象（静電潜像担持体等）に対して供給するように構成されている。
【０００５】
本発明の現像剤供給装置は、搬送基板を備えている。前記搬送基板は、前記現像剤受容面と所定の最近接位置にて最も近接しつつ対向する表面である現像剤搬送面を有していて、この現像剤搬送面上にて電界により前記現像剤を前記主走査方向と交差する現像剤搬送経路に沿った現像剤搬送方向に搬送するように構成されている。
【０００６】
例えば、前記現像剤供給装置が、さらに現像剤担持部材を備えている場合がある。この現像剤担持部材は、前記主走査方向と平行な円柱面状の周面である、前記現像剤受容面としての現像剤担持面を有していて、当該現像剤担持面が現像剤供給位置にて前記供給対象と対向するように設けられている。また、この現像剤担持部材は、前記主走査方向と平行な軸を中心として回転することで、前記現像剤担持面が前記主走査方向と直交する方向に移動するように構成されている。この場合、前記搬送基板は、前記現像剤搬送面が前記現像剤担持面と前記最近接位置にて最も近接しつつ対向するように設けられていて、この現像剤搬送面上にて電界により前記現像剤を前記現像剤搬送方向に搬送するように構成されている。
【０００７】
前記搬送基板は、前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における上流側の部分である供給部と、前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における下流側の部分である回収部と、を備えている。
【０００８】
前記供給部は、前記現像剤搬送経路に沿って配列された複数の供給用搬送電極を備えている。この供給部は、進行波状の多相交流電圧成分を含む供給バイアスの複数の前記供給用搬送電極への印加に伴って発生する電界により、前記現像剤を、前記現像剤搬送経路に沿って前記最近接位置に向けて搬送しつつ、当該最近接位置の近傍にて前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面に供給するように構成されている。
【０００９】
前記回収部は、前記現像剤搬送経路に沿って配列された複数の回収用搬送電極を備えている。この回収部は、進行波状の多相交流電圧成分及び前記供給バイアスと異なる直流電圧成分を含む回収バイアスの複数の前記回収用搬送電極への印加に伴って発生する電界により、前記現像剤を、前記最近接位置の近傍にて前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面から回収しつつ、前記現像剤搬送方向における下流側に向けて搬送するように構成されている。
【００１０】
前記現像剤供給装置は、前記最近接位置にて、前記現像剤担持面の移動方向が前記現像剤搬送方向と反対方向となるように構成されていてもよい。
【００１１】
前記現像剤供給装置は、供給バイアス印加手段と、回収バイアス印加手段と、現像剤担持面電位設定手段と、をさらに備えていてもよい。前記供給バイアス印加手段は、前記供給バイアスを、複数の前記供給用搬送電極に印加するようになっている。前記回収バイアス印加手段は、前記供給バイアスと同一振幅の進行波状の多相交流電圧成分を含む前記回収バイアスを、複数の前記回収用搬送電極に印加するようになっている。前記現像剤担持面電位設定手段は、前記現像剤担持面の電位の平均値を、前記供給バイアスの平均値と前記回収バイアスの平均値との間になるように設定するようになっている。
【００１２】
かかる構成においては、前記搬送基板における前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における上流側の部分である前記供給部によって、前記現像剤が、前記最近接位置に向けて搬送される。そして、当該最近接位置の近傍にて、前記現像剤が、前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面に供給される。すなわち、前記最近接位置の近傍にて、前記現像剤が、前記供給部における前記現像剤搬送面から、前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面側に移行する。
【００１３】
一方、前記搬送基板における前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における下流側の部分である前記回収部によって、前記現像剤が、前記最近接位置の近傍にて、前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面から回収される。すなわち、前記最近接位置の近傍にて、前記現像剤が、前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面から、前記回収部における前記現像剤搬送面側に移行する。前記回収部における前記現像剤搬送面側に移行した前記現像剤、及び、前記供給部における前記現像剤搬送面から前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面側に移行しなかった前記現像剤は、前記回収部によって、前記現像剤搬送方向における前記最近接位置よりも下流側に向けて搬送される。
【００１４】
このように、本発明の構成においては、前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面に前記現像剤を供給するための前記供給部が、前記搬送基板における前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における上流側の部分で構成されるとともに、前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面から前記現像剤を回収するための回収部が、前記搬送基板における前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における下流側の部分で構成される。
【００１５】
したがって、前記供給部における前記現像剤搬送面から前記現像剤受容面あるいは前記現像剤担持面側に移行しなかった前記現像剤が前記最近接位置の近傍にて滞留することが、可及的に抑制される。すなわち、前記現像剤の搬送・供給状態が、よりいっそう良好に設定される。また、前記供給部と前記回収部とが前記搬送基板として一体化されることで、この種の装置における、よりいっそうのコストダウンや小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】本発明の一実施形態が適用された画像形成装置としてのレーザープリンタの概略構成を示す側面図である。
【図２】図１に示されているトナー供給装置を拡大した側断面図である。
【図３】図２に示されている搬送基板を拡大した側断面図である。
【図４】図３に示されている各電源回路の出力波形の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【００１７】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【００１８】
＜レーザープリンタの構成＞
図１を参照すると、レーザープリンタ１は、用紙搬送機構２と、感光体ドラム３と、帯電器４と、スキャナーユニット５と、トナー供給装置６と、を備えている。レーザープリンタ１内に備えられた、図示しない給紙トレイには、シート状の用紙Ｐが積み重ねられた状態で収容されている。用紙搬送機構２は、用紙Ｐを所定の用紙搬送経路ＰＰに沿って搬送するように構成されている。
【００１９】
本発明の供給対象としての感光体ドラム３の周面には、静電潜像担持面ＬＳが形成されている。静電潜像担持面ＬＳは、主走査方向（図中ｚ軸方向）と平行な円筒面として形成されている。この静電潜像担持面ＬＳは、電位分布による静電潜像が形成されるとともに、当該静電潜像に対応した位置にて本発明の現像剤としてのトナーＴ（図２参照）を担持するようになっている。感光体ドラム３は、前記主走査方向と平行な中心軸Ｃを中心として図中矢印で示されている方向（反時計回り）に回転駆動されることで、前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って静電潜像担持面ＬＳが移動するように構成されている。
【００２０】
帯電器４は、静電潜像担持面ＬＳと対向するように配置されている。この帯電器４は、コロトロン型あるいはスコロトロン型の帯電器であって、静電潜像担持面ＬＳを一様に正帯電させるように構成されている。
【００２１】
スキャナーユニット５は、画像データに基づいて変調されたレーザービームＬＢを生成するように構成されている。すなわち、スキャナーユニット５は、画素の有無によって発光のＯＮ／ＯＦＦが制御された、所定の波長帯域のレーザービームＬＢを生成するように構成されている。また、スキャナーユニット５は、生成されたレーザービームＬＢを、静電潜像担持面ＬＳにおけるスキャン位置ＳＰにて結像させるように構成されている。ここで、スキャン位置ＳＰは、帯電器４よりも、感光体ドラム３の回転方向（図１における矢印で示されている方向：反時計回り）における下流側の位置に設けられている。さらに、スキャナーユニット５は、静電潜像担持面ＬＳ上にてレーザービームＬＢが結像される位置を、前記主走査方向に沿って等速度にて移動させる（走査する）ことで、静電潜像担持面ＬＳ上に静電潜像を形成するように構成されている。
【００２２】
トナー供給装置６は、感光体ドラム３と対向するように、感光体ドラム３の下方に配置されている。本発明の現像剤供給装置としてのトナー供給装置６は、帯電したトナーＴ（図２参照）を、本発明の現像剤供給位置としての現像位置ＤＰにて、感光体ドラム３（静電潜像担持面ＬＳ）に供給するように構成されている。ここで、現像位置ＤＰとは、トナー供給装置６が静電潜像担持面ＬＳと対向する位置である。このトナー供給装置６の詳細な構成については後述する。
【００２３】
次に、レーザープリンタ１の各部の具体的な構成について、より詳細に説明する。
【００２４】
用紙搬送機構２は、一対のレジストローラ２１と、転写ローラ２２と、を備えている。レジストローラ２１は、用紙Ｐを所定のタイミングにて感光体ドラム３と転写ローラ２２との間に向けて送り出すように構成されている。転写ローラ２２は、感光体ドラム３の外周面である静電潜像担持面ＬＳと、転写位置ＴＰにて、用紙Ｐを挟んで対向するように配置されている。また、転写ローラ２２は、図中矢印で示されている方向（時計回り）に回転駆動されるようになっている。転写ローラ２２は、図示しないバイアス電源回路に接続されている。すなわち、転写ローラ２２と感光体ドラム３との間で、静電潜像担持面ＬＳ上に付着したトナーＴ（図２参照）を用紙Ｐに転写させるための所定の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。
【００２５】
＜＜トナー供給装置＞＞
トナー供給装置６の側断面図（前記主走査方向を法線とする面による断面図）である図２を参照すると、トナー供給装置６のケーシングをなすトナーボックス６１は、箱状部材であって、その内部には粉末状の乾式現像剤としてのトナーＴが収容されている。なお、本実施形態においては、トナーＴは、正帯電性、非磁性一成分の、黒色トナーである。トナーボックス６１の頂部であって、感光体ドラム３と対向する位置には、開口部６１ａが形成されている。すなわち、開口部６１ａは、感光体ドラム３に向けて上方に開口するように設けられている。
【００２６】
本発明の現像剤担持部材としての現像ローラ６２は、前記主走査方向と平行な円柱面状の周面であるトナー担持面６２ａを有するローラ状の部材であって、感光体ドラム３の下方に設けられている。現像ローラ６２は、トナー担持面６２ａが開口部６１ａを介してトナーボックス６１の外側に露出することで静電潜像担持面ＬＳと対向するように、トナーボックス６１内に収容されている。すなわち、トナー担持面６２ａの頂部が現像位置ＤＰにて感光体ドラム３における静電潜像担持面ＬＳと最近接あるいは接触しつつ対向するように、現像ローラ６２が配置されている。
【００２７】
現像ローラ６２は、トナーボックス６１における開口部６１ａの近傍にて、前記主走査方向と平行な軸を中心として回動可能に支持されている。すなわち、現像ローラ６２は、前記主走査方向と平行な軸を中心として図中矢印で示されている方向（時計回り）に回転することで、本発明の現像剤受容面及び現像剤担持面としてのトナー担持面６２ａが前記副走査方向に移動するように構成されている。
【００２８】
トナーボックス６１の内部であって、現像ローラ６２の下方には、搬送基板６３が設けられている。搬送基板６３は、側断面視にて上方に向かって凸形状となるような半円筒状に形成されている。搬送基板６３は、その外側（上側）表面であるトナー搬送面ＴＴＳを有している。搬送基板６３は、トナー搬送面ＴＴＳの頂部が現像ローラ６２におけるトナー担持面６２ａと最近接位置ＰＸＰにて最近接しつつ対向するように設けられている。
【００２９】
搬送基板６３は、トナー搬送面ＴＴＳ上にて電界によりトナーＴを前記主走査方向と交差するトナー搬送経路ＴＴＰに沿ったトナー搬送方向ＴＴＤに搬送するように構成されている。ここで、トナー搬送経路ＴＴＰは、トナー搬送面ＴＴＳに沿ったトナーＴの電界による搬送経路であって、側断面視にて上方に凸状の略半円状に形成されている。また、トナー搬送方向ＴＴＤは、側断面視におけるトナー搬送経路ＴＴＰ上の任意の点における接線方向である。本実施形態においては、搬送基板６３は、トナー搬送方向ＴＴＤが最近接位置ＰＸＰにおけるトナー担持面６２ａの移動方向（図中左方向向きの矢印参照）とは反対方向（図中二点鎖線の矢印参照：右方向あるいは時計回り方向）となるように構成されている。
【００３０】
搬送基板６３は、最近接位置ＰＸＰよりもトナー搬送方向ＴＴＤにおける上流側の部分である供給部６３ａと、最近接位置ＰＸＰよりもトナー搬送方向ＴＴＤにおける下流側の部分である回収部６３ｂと、を備えている。供給部６３ａのトナー搬送方向ＴＴＤにおける上流側の端部、及び回収部６３ｂのトナー搬送方向ＴＴＤにおける下流側の端部は、トナーボックス６１の内部の空間における底部に貯留されたトナーＴ内に浸漬されている。
【００３１】
供給部６３ａは、最近接位置ＰＸＰに向けてトナーＴを搬送することで、最近接位置ＰＸＰの近傍且つトナー搬送方向ＴＴＤにおける上流側の領域であるトナー担持領域ＴＣＡにてトナー担持面６２ａにトナーＴを供給するように構成されている。回収部６３ｂは、最近接位置ＰＸＰの近傍且つトナー搬送方向ＴＴＤにおける下流側の領域であるトナー回収領域ＴＲＡにてトナー担持面６２ａからトナーＴを回収しつつ、トナー搬送方向ＴＴＤにおける下流側に向けてトナーＴを搬送するように構成されている。また、回収部６３ｂは、トナー担持領域ＴＣＡにてトナー担持面６２ａ側に移行しなかったトナーＴを最近接位置ＰＸＰからトナー搬送方向ＴＴＤにおける下流側に向けて搬送するように構成されている。なお、搬送基板６３（供給部６３ａ及び回収部６３ｂ）の内部構成の詳細については後述する。
【００３２】
搬送基板６３は、搬送電源回路６４と電気的に接続されている。搬送電源回路６４は、供給バイアス電源回路６４ａと、回収バイアス電源回路６４ｂと、を備えている。本発明の供給バイアス印加手段としての供給バイアス電源回路６４ａは、供給部６３ａと電気的に接続されている。本発明の回収バイアス印加手段としての回収バイアス電源回路６４ｂは、回収部６３ｂと電気的に接続されている。また、現像ローラ６２は、本発明の現像剤担持面電位設定手段としての現像バイアス電源回路６５と電気的に接続されている。
【００３３】
搬送電源回路６４及び現像バイアス電源回路６５は、トナーＴをトナー搬送経路ＴＴＰに沿ってトナー搬送方向ＴＴＤに搬送するとともに、トナー担持領域ＴＣＡにてトナー担持面６２ａにトナーＴを担持させ、且つトナー回収領域ＴＲＡにてトナー担持面６２ａからトナーＴを回収するために必要な電圧を出力するようになっている。
【００３４】
具体的には、本実施形態においては、供給バイアス電源回路６４ａは、６００〜１２００Ｖ（直流電圧成分＋９００Ｖ・多相交流電圧成分の振幅３００Ｖ）の供給バイアスを出力するようになっている。また、回収バイアス電源回路６４ｂは、０〜６００Ｖ（直流電圧成分＋３００Ｖ・多相交流電圧成分の振幅３００Ｖ）の回収バイアスを出力するようになっている。さらに、現像バイアス電源回路６５は、直流電圧成分＋６００Ｖの現像バイアスを出力するようになっている。すなわち、現像バイアス電源回路６５は、トナー担持面６２ａの電位の平均値（現像バイアスの平均値）を、供給バイアスの平均値と回収バイアスの平均値との間に設定するようになっている。また、回収バイアスは、供給バイアスと同一振幅の進行波状の多相交流電圧成分及び供給バイアスと異なる直流電圧成分を含むように設定されている。
【００３５】
＜＜＜搬送基板＞＞＞
図３を参照すると、搬送基板６３は、薄板状の部材であって、フレキシブルプリント配線基板と同様の構成を有している。具体的には、搬送基板６３は、搬送電極６３１と、搬送電極支持フィルム６３２と、搬送電極コーティング層６３３と、搬送電極オーバーコーティング層６３４と、から構成されている。
【００３６】
搬送電極６３１（なお、供給部６３ａにおける搬送電極６３１を供給用搬送電極６３１ａ、回収部６３ｂにおける搬送電極６３１を回収用搬送電極６３１ｂと称する。）は、前記主走査方向と平行な（すなわち前記副走査方向と直交する）長手方向を有する線状の配線パターンであって、薄膜状の銅箔によって形成されている。複数の搬送電極６３１は、トナー搬送経路ＴＴＰに沿って配列されていて、互いに平行に配置されている。
【００３７】
トナー搬送経路ＴＴＰに沿って多数配列された各搬送電極６３１は、３本置きに同一の電源回路に接続されている。すなわち、電源回路ＶＡに接続された搬送電極６３１，電源回路ＶＢに接続された搬送電極６３１，電源回路ＶＣに接続された搬送電極６３１，電源回路ＶＤに接続された搬送電極６３１，電源回路ＶＡに接続された搬送電極６３１，電源回路ＶＢに接続された搬送電極６３１，電源回路ＶＣに接続された搬送電極６３１・・・が、トナー搬送経路ＴＴＰに沿って順に配列されている。
【００３８】
なお、これらの電源回路ＶＡないしＶＤは、図２における供給バイアス電源回路６４ａや回収バイアス電源回路６４ｂの構成要素である。すなわち、図２及び図３を参照すると、供給バイアス電源回路６４ａは、上述の供給バイアスを、複数の供給用搬送電極６３１ａに印加するようになっている。また、回収バイアス電源回路６４ｂは、この供給バイアスと同期した進行波状の多相交流電圧成分を含む上述の回収バイアスを、複数の回収用搬送電極６３１ｂに印加するようになっている。
【００３９】
ここで、図４は、図３に示されている各電源回路ＶＡないしＶＤの出力波形の一例を示すグラフである。本実施形態においては、図４に示されているように、各電源回路ＶＡないしＶＤは、ほぼ同一波形の交流電圧である駆動電圧を出力し得るように構成されている。また、各電源回路ＶＡないしＶＤが発生する電圧の波形における位相が、９０°ずつ異なるように、各電源回路ＶＡないしＶＤが構成されている。すなわち、電源回路ＶＡから電源回路ＶＤに向かう順に、電圧の位相が９０°ずつ遅れるようになっている。このように、搬送基板６３は、各搬送電極６３１に対して上述のような駆動電圧が印加されて、トナー搬送経路ＴＴＰに沿った進行波状の電界が発生することで、正帯電したトナーＴをトナー搬送方向ＴＴＤに搬送するように構成されている。
【００４０】
複数の搬送電極６３１は、搬送電極支持フィルム６３２の表面上に形成されている。搬送電極支持フィルム６３２は、可撓性のフィルムであって、ポリイミド樹脂等の絶縁性の合成樹脂から構成されている。搬送電極コーティング層６３３は、絶縁性の合成樹脂から構成されている。この搬送電極コーティング層６３３は、搬送電極支持フィルム６３２における搬送電極６３１が設けられている表面、及び搬送電極６３１を覆うように設けられている。搬送電極コーティング層６３３の上には、搬送電極オーバーコーティング層６３４が設けられている。すなわち、上述の搬送電極コーティング層６３３は、搬送電極オーバーコーティング層６３４と搬送電極６３１との間に形成されている。搬送電極オーバーコーティング層６３４の表面は、トナーＴがスムーズに搬送され得るように、凹凸の極めて少ない平滑な面として形成されている。
【００４１】
＜レーザープリンタの動作説明＞
次に、上述のように構成されたレーザープリンタ１による動作の概要を、実施形態の構成による作用・効果とともに、図面を適宜参照しつつ説明する。
【００４２】
＜＜給紙動作＞＞
まず図１を参照すると、図示しない前記給紙トレイ上に積載された用紙Ｐの先端が、レジストローラ２１まで送られる。このレジストローラ２１にて、用紙Ｐの斜行が補正されるとともに、搬送タイミングが調整される。その後、用紙Ｐは、転写位置ＴＰまで給送される。
【００４３】
＜＜潜像形成面上へのトナー像の担持＞＞
上述のように用紙Ｐが転写位置ＴＰに向けて搬送されている間に、感光体ドラム３の周面である静電潜像担持面ＬＳ上に、以下のようにしてトナーＴによる像が担持される。
【００４４】
＜＜＜静電潜像の形成＞＞＞
感光体ドラム３の静電潜像担持面ＬＳは、まず、帯電器４によって、正極性に一様に帯電される。帯電器４によって帯電された静電潜像担持面ＬＳは、感光体ドラム３の図中矢印で示されている方向（反時計回り）の回転により、スキャナーユニット５と対向する（正対する）位置であるスキャン位置ＳＰまで、前記副走査方向に沿って移動する。
【００４５】
このスキャン位置ＳＰにて、画像情報に基づいて変調されたレーザービームＬＢによって静電潜像担持面ＬＳが露光される。すなわち、レーザービームＬＢが、前記主走査方向に沿って走査されつつ、静電潜像担持面ＬＳに照射される。このレーザービームＬＢの変調状態に応じて、静電潜像担持面ＬＳ上の正電荷が消失する部分が生じる。これにより、静電潜像担持面ＬＳ上に、正電荷のパターン（画像状分布）による静電潜像が形成される。静電潜像担持面ＬＳに形成された静電潜像は、感光体ドラム３の図中矢印で示されている方向（反時計回り）の回転により、トナー供給装置６と対向する現像位置ＤＰに向かって移動する。
【００４６】
＜＜＜帯電トナーの搬送・供給＞＞＞
図２及び図３を参照すると、トナーボックス６１内に貯留されているトナーＴは、供給部６３ａのトナー搬送方向ＴＴＤにおける上流側の端部が浸漬されている部分にて、当該部分における搬送電極オーバーコーティング層６３４との接触や摩擦等により帯電する。この帯電したトナーＴは、供給部６３ａに備えられた複数の供給用搬送電極６３１ａに対する供給バイアスの印加に伴って発生する電界により、最近接位置ＰＸＰに向かってトナー搬送方向ＴＴＤに搬送される。
【００４７】
供給部６３ａによってトナー搬送方向ＴＴＤに搬送中のトナーＴの一部は、トナー担持領域ＴＣＡに達すると、トナー担持面６２ａ側に移行し、トナー担持面６２ａ上に担持される。トナーＴの残部（トナー担持面６２ａ側に移行しなかったもの）は、トナー担持領域ＴＣＡ及び最近接位置ＰＸＰを通過して、回収部６３ｂのトナー搬送方向ＴＴＤにおける上流側の端部すなわちトナー回収領域ＴＲＡに達する。
【００４８】
トナー担持領域ＴＣＡにて正帯電のトナーＴが担持されたトナー担持面６２ａは、現像ローラ６２の図中矢印で示されている方向（時計回り）の回転駆動により、現像位置ＤＰまで移動する。これにより、トナーＴが現像位置ＤＰに供給される。この現像位置ＤＰの近傍にて、静電潜像担持面ＬＳに形成された静電潜像が、トナーＴによって現像される。すなわち、静電潜像担持面ＬＳ上であって、静電潜像における正電荷が消失した部分に、トナーＴが付着する。これにより、トナーＴによる画像（以下、「トナー像」と称する。）が、静電潜像担持面ＬＳ上に担持される。
【００４９】
現像位置ＤＰを通過したトナー担持面６２ａ上には、静電潜像担持面ＬＳ上に形成されたトナー像を反転したネガ像に対応する状態で、現像位置ＤＰにて消費されなかったトナーＴが残留している。かかる残留分のトナーＴは、現像ローラ６２の図中矢印で示されている方向（時計回り）の回転駆動により、トナー回収領域ＴＲＡまで移動する。このトナー回収領域ＴＲＡにて、トナー担持面６２ａ上に残留したトナーＴは、回収部６３ｂ側に移行する（すなわち回収部６３ｂによって回収される）。
【００５０】
トナー回収領域ＴＲＡを経て残留分のトナーＴが良好に回収（除去あるいは剥離）されたトナー担持面６２ａは、現像ローラ６２の図中矢印で示されている方向（時計回り）の回転駆動により、再度トナー担持領域ＴＣＡに達し、新たにトナーＴが担持される。よって、本実施形態の構成においては、ネガ像状にトナーＴが残留した状態のトナー担持面６２ａが再度トナー担持領域ＴＣＡに到達してその上にそのままトナーＴが再度担持されることで後続の形成画像にゴーストが発生することが、良好に抑制される。
【００５１】
供給部６３ａによってトナー担持領域ＴＣＡに搬送されたトナーＴのうちのトナー担持面６２ａ側に移行しなかったもの、及び、トナー回収領域ＴＲＡにてトナー担持面６２ａ上から回収されたトナーＴは、回収部６３ｂに備えられた複数の回収用搬送電極６３１ｂに対する回収バイアスの印加に伴って発生する電界により、トナー回収領域ＴＲＡからトナー搬送方向ＴＴＤに搬送され、トナーボックス６１の底部のトナーＴが貯留されている領域に還流する。
【００５２】
＜＜潜像形成面から用紙へのトナー像の転写＞＞
図１を参照すると、上述のようにして感光体ドラム３の静電潜像担持面ＬＳ上に担持されたトナー像は、当該静電潜像担持面ＬＳが図中矢印で示されている方向（反時計回り）に回転することにより、転写位置ＴＰに向けて搬送される。そして、この転写位置ＴＰにて、トナー像が、静電潜像担持面ＬＳから用紙Ｐ上に転写される。
【００５３】
＜本実施形態の構成による作用・効果＞
本実施形態の構成においては、トナー担持面６２ａにトナーＴを供給するための供給部６３ａが、搬送基板６３における最近接位置ＰＸＰよりもトナー搬送方向ＴＴＤにおける上流側の部分で構成されるとともに、トナー担持面６２ａからトナーＴを回収するための回収部６３ｂが、搬送基板６３における最近接位置ＰＸＰよりもトナー搬送方向ＴＴＤにおける下流側の部分で構成される。すなわち、供給部６３ａと回収部６３ｂとが搬送基板６３として一体化される。これにより、この種の装置における、よりいっそうのコストダウンや小型化が可能になる。
【００５４】
また、本実施形態の構成においては、搬送基板６３として一体化された供給部６３ａと回収部６３ｂとが、同一方向にトナーＴを搬送する。よって、最近接位置ＰＸＰの近傍にてトナーＴが滞留することが、良好に抑制される。すなわち、トナーＴがトナー搬送面ＴＴＳ上でトナー搬送経路ＴＴＰに沿ってスムーズに電界搬送される。
【００５５】
さらに、本実施形態の構成においては、最近接位置ＰＸＰにて、トナー担持面６２ａの移動方向がトナー搬送方向ＴＴＤと反対方向となる。すると、現像位置ＤＰを通過してネガ像状にトナーＴが残留した状態のトナー担持面６２ａは、まず先にトナー回収領域ＴＲＡにて回収部６３ｂと対向し、その後、トナー担持領域ＴＣＡにて供給部６３ａと対向する。そして、トナー担持面６２ａの電位の平均値が、供給バイアスの平均値と回収バイアスの平均値との間になるように設定されている。したがって、トナー担持面６２ａに対するトナーＴの供給及び回収が、簡略な装置構成を用いて良好に行われる。
【００５６】
＜変形例の例示列挙＞
なお、上述の実施形態は、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【００５７】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
【００５８】
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたものに限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【００５９】
本発明（特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの）は、上述の実施形態及び下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、（特に先願主義の下で出願を急ぐ）出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、発明の保護及び利用を目的とする特許法の目的に反し、許されない。
【００６０】
（１）本発明の適用対象は、単色のレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、カラーのレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。このとき、感光体の形状は、上述の実施形態のようなドラム状でなくてもよい。例えば、平板状や無端ベルト状等であってもよい。また、露光光源としては、レーザースキャナ以外のもの（ＬＥＤ、ＥＬ（エレクトロルミネッセンス）素子、蛍光体、等）が好適に用いられ得る。この場合、「主走査方向」は、発光素子（ＬＥＤ等）の配列方向と平行な方向となる。
【００６１】
あるいは、本発明は、上述の電子写真方式以外の方式（例えば、感光体を用いないトナージェット方式、イオンフロー方式、マルチスタイラス電極方式、等）の画像形成装置に対しても、好適に適用され得る。
【００６２】
（２）図４を参照すると、各電源回路ＶＡ〜ＶＤが発生する電圧の波形は、矩形波状以外にも、正弦波状や三角波状等の任意のものが用いられ得る。また、上述の実施形態においては、４つの電源回路ＶＡ〜ＶＤが設けられるとともに、各電源回路ＶＡ〜ＶＤが発生する電圧の位相が９０°ずつ異なっていた。もっとも、本発明はこれに限定されず、例えば、３つの電源回路が備えられるとともに、各電源回路が発生する電圧の位相が１２０°ずつ異なるようになっていてもよい。
【００６３】
（３）感光体ドラム３と現像ローラ６２とは、接触していてもよい。あるいは、現像ローラ６２は、省略され得る。この場合、搬送基板６３が最近接位置ＰＸＰすなわち現像位置ＤＰにて感光体ドラム３と対向する。かかる構成においては、静電潜像担持面ＬＳが、本発明の現像剤受容面に相当することとなる。
【００６４】
（４）搬送基板６３の構成は、上述の実施形態のものに限定されない。例えば、搬送電極オーバーコーティング層６３４は省略され得る。あるいは、搬送電極６３１が搬送電極支持フィルム６３２内に埋め込まれることで、搬送電極コーティング層６３３及び搬送電極オーバーコーティング層６３４の双方が省略され得る。
【００６５】
搬送基板６３は、半円柱状の支持部材によって支持されていてもよい。また、搬送基板６３の頂部は、平板状に形成されていてもよい。この場合、搬送基板６３は、側断面視にて台形状に形成され得る（側断面視にて台形状の支持部材によって支持され得る）。
【００６６】
（５）その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した各公報の内容（明細書及び図面を含む）は、本明細書の一部を構成するものとして援用され得る。
【符号の説明】
【００６７】
１ … レーザープリンタ
３ … 感光体ドラム（供給対象）
６ … トナー供給装置（現像剤供給装置）
６２ … 現像ローラ（現像剤担持部材）
６２ａ … トナー担持面（現像剤受容面・現像剤担持面）
６３ … 搬送基板
６３ａ … 供給部
６３ｂ … 回収部
６３１ … 搬送電極
６３１ａ … 供給用搬送電極
６３１ｂ … 回収用搬送電極
６４ … 搬送電源回路
６４ａ … 供給バイアス電源回路（供給バイアス印加手段）
６４ｂ … 回収バイアス電源回路（回収バイアス印加手段）
６５ … 現像バイアス電源回路（現像剤担持面電位設定手段）
ＤＰ … 現像位置（現像剤供給位置）
ＬＳ … 静電潜像担持面
ＰＸＰ … 最近接位置
Ｔ … トナー（現像剤）
ＴＣＡ … トナー担持領域
ＴＲＡ … トナー回収領域
ＴＴＤ … トナー搬送方向
ＴＴＰ … トナー搬送経路
ＴＴＳ … トナー搬送面
【先行技術文献】
【特許文献】
【００６８】
【特許文献１】特開２００１−２０９２４６号公報
【特許文献２】特開２００２−１１６６２０号公報、
【特許文献３】特開２００２−２８７４９５号公報
【特許文献４】特開２００８−８３２３７号公報
【特許請求の範囲】
【請求項１】
帯電した粉末状の現像剤を供給対象に対して供給するように構成された、現像剤供給装置において、
主走査方向と平行な円柱面状の周面である現像剤担持面を有し、当該現像剤担持面が現像剤供給位置にて前記供給対象と対向するように設けられ、前記主走査方向と平行な軸を中心として回転することで前記現像剤担持面が前記主走査方向と直交する方向に移動するように構成された、現像剤担持部材と、
前記現像剤担持面と所定の最近接位置にて最も近接しつつ対向する表面である現像剤搬送面を有し、この現像剤搬送面上にて電界により前記現像剤を前記主走査方向と交差する現像剤搬送経路に沿った現像剤搬送方向に搬送するように構成された、搬送基板と、
を備え、
前記搬送基板は、前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における上流側の部分である供給部と、下流側の部分である回収部と、を備え、
前記供給部は、前記現像剤搬送経路に沿って配列された複数の供給用搬送電極を備え、進行波状の多相交流電圧成分を含む供給バイアスの複数の前記供給用搬送電極への印加に伴って発生する電界により、前記現像剤を、前記現像剤搬送経路に沿って前記最近接位置に向けて搬送しつつ当該最近接位置の近傍にて前記現像剤担持面に供給するように構成され、
前記回収部は、前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における下流側の部分であって、前記現像剤搬送経路に沿って配列された複数の回収用搬送電極を備え、進行波状の多相交流電圧成分及び前記供給バイアスと異なる直流電圧成分を含む回収バイアスの複数の前記回収用搬送電極への印加に伴って発生する電界により、前記現像剤を、前記最近接位置の近傍にて前記現像剤担持面から回収しつつ前記現像剤搬送方向における下流側に向けて搬送するように構成されたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項２】
請求項１に記載の、現像剤供給装置であって、
前記最近接位置にて、前記現像剤担持面の移動方向が、前記現像剤搬送方向と反対方向となるように構成されたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項３】
請求項１又は請求項２に記載の、現像剤供給装置において、
前記供給バイアスを複数の前記供給用搬送電極に印加する、供給バイアス印加手段と、
前記供給バイアスと同一振幅の進行波状の多相交流電圧成分を含む前記回収バイアスを複数の前記回収用搬送電極に印加する、回収バイアス印加手段と、
前記現像剤担持面の電位の平均値を、前記供給バイアスの平均値と前記回収バイアスの平均値との間になるように設定する、現像剤担持面電位設定手段と、
をさらに備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項４】
主走査方向と直交する方向に移動する現像剤受容面に、帯電した粉末状の現像剤を供給するように構成された、現像剤供給装置において、
前記現像剤受容面と所定の最近接位置にて最も近接しつつ対向する表面である現像剤搬送面を有し、この現像剤搬送面上にて電界により前記現像剤を前記主走査方向と交差する現像剤搬送経路に沿った現像剤搬送方向に搬送するように構成された、搬送基板を備え、
前記搬送基板は、前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における上流側の部分である供給部と、下流側の部分である回収部と、を備え、
前記供給部は、前記現像剤搬送経路に沿って配列された複数の供給用搬送電極を備え、進行波状の多相交流電圧成分を含む供給バイアスの複数の前記供給用搬送電極への印加に伴って発生する電界により、前記現像剤を、前記現像剤搬送経路に沿って前記最近接位置に向けて搬送しつつ当該最近接位置の近傍にて前記現像剤受容面に供給するように構成され、
前記回収部は、前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における下流側の部分であって、前記現像剤搬送経路に沿って配列された複数の回収用搬送電極を備え、進行波状の多相交流電圧成分及び前記供給バイアスと異なる直流電圧成分を含む回収バイアスの複数の前記回収用搬送電極への印加に伴って発生する電界により、前記現像剤を、前記最近接位置の近傍にて前記現像剤受容面から回収しつつ前記現像剤搬送方向における下流側に向けて搬送するように構成されたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項１】
帯電した粉末状の現像剤を供給対象に対して供給するように構成された、現像剤供給装置において、
主走査方向と平行な円柱面状の周面である現像剤担持面を有し、当該現像剤担持面が現像剤供給位置にて前記供給対象と対向するように設けられ、前記主走査方向と平行な軸を中心として回転することで前記現像剤担持面が前記主走査方向と直交する方向に移動するように構成された、現像剤担持部材と、
前記現像剤担持面と所定の最近接位置にて最も近接しつつ対向する表面である現像剤搬送面を有し、この現像剤搬送面上にて電界により前記現像剤を前記主走査方向と交差する現像剤搬送経路に沿った現像剤搬送方向に搬送するように構成された、搬送基板と、
を備え、
前記搬送基板は、前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における上流側の部分である供給部と、下流側の部分である回収部と、を備え、
前記供給部は、前記現像剤搬送経路に沿って配列された複数の供給用搬送電極を備え、進行波状の多相交流電圧成分を含む供給バイアスの複数の前記供給用搬送電極への印加に伴って発生する電界により、前記現像剤を、前記現像剤搬送経路に沿って前記最近接位置に向けて搬送しつつ当該最近接位置の近傍にて前記現像剤担持面に供給するように構成され、
前記回収部は、前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における下流側の部分であって、前記現像剤搬送経路に沿って配列された複数の回収用搬送電極を備え、進行波状の多相交流電圧成分及び前記供給バイアスと異なる直流電圧成分を含む回収バイアスの複数の前記回収用搬送電極への印加に伴って発生する電界により、前記現像剤を、前記最近接位置の近傍にて前記現像剤担持面から回収しつつ前記現像剤搬送方向における下流側に向けて搬送するように構成されたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項２】
請求項１に記載の、現像剤供給装置であって、
前記最近接位置にて、前記現像剤担持面の移動方向が、前記現像剤搬送方向と反対方向となるように構成されたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項３】
請求項１又は請求項２に記載の、現像剤供給装置において、
前記供給バイアスを複数の前記供給用搬送電極に印加する、供給バイアス印加手段と、
前記供給バイアスと同一振幅の進行波状の多相交流電圧成分を含む前記回収バイアスを複数の前記回収用搬送電極に印加する、回収バイアス印加手段と、
前記現像剤担持面の電位の平均値を、前記供給バイアスの平均値と前記回収バイアスの平均値との間になるように設定する、現像剤担持面電位設定手段と、
をさらに備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項４】
主走査方向と直交する方向に移動する現像剤受容面に、帯電した粉末状の現像剤を供給するように構成された、現像剤供給装置において、
前記現像剤受容面と所定の最近接位置にて最も近接しつつ対向する表面である現像剤搬送面を有し、この現像剤搬送面上にて電界により前記現像剤を前記主走査方向と交差する現像剤搬送経路に沿った現像剤搬送方向に搬送するように構成された、搬送基板を備え、
前記搬送基板は、前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における上流側の部分である供給部と、下流側の部分である回収部と、を備え、
前記供給部は、前記現像剤搬送経路に沿って配列された複数の供給用搬送電極を備え、進行波状の多相交流電圧成分を含む供給バイアスの複数の前記供給用搬送電極への印加に伴って発生する電界により、前記現像剤を、前記現像剤搬送経路に沿って前記最近接位置に向けて搬送しつつ当該最近接位置の近傍にて前記現像剤受容面に供給するように構成され、
前記回収部は、前記最近接位置よりも前記現像剤搬送方向における下流側の部分であって、前記現像剤搬送経路に沿って配列された複数の回収用搬送電極を備え、進行波状の多相交流電圧成分及び前記供給バイアスと異なる直流電圧成分を含む回収バイアスの複数の前記回収用搬送電極への印加に伴って発生する電界により、前記現像剤を、前記最近接位置の近傍にて前記現像剤受容面から回収しつつ前記現像剤搬送方向における下流側に向けて搬送するように構成されたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１１−９５５２５（Ｐ２０１１−９５５２５Ａ）
【公開日】平成２３年５月１２日（２０１１．５．１２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２４９７９８（Ｐ２００９−２４９７９８）
【出願日】平成２１年１０月３０日（２００９．１０．３０）
【出願人】（０００００５２６７）ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年５月１２日（２０１１．５．１２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年１０月３０日（２００９．１０．３０）
【出願人】（０００００５２６７）ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]