現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
【課題】像担持体から回収したキャリアが像担持体上のトナー像に接触することによる擦れ画像の発生を防止することができる現像装置及びその現像装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】キャリア回収ローラ13は、キャリアを表面上に担持して回転可能なキャリア回収スリーブ90と、キャリア回収スリーブ90に内包されるように固定配置され複数の磁極を有するキャリア回収磁石ローラ91とを備える。キャリア回収磁石ローラ91は、現像スリーブ81と対向する部分に磁極がなく、現像スリーブ81とキャリアキャリア回収スリーブ90とが対向する位置において、現像スリーブ81の表面移動方向とキャリア回収スリーブ90の表面移動移動方向とが互いに逆方向である。
【解決手段】キャリア回収ローラ13は、キャリアを表面上に担持して回転可能なキャリア回収スリーブ90と、キャリア回収スリーブ90に内包されるように固定配置され複数の磁極を有するキャリア回収磁石ローラ91とを備える。キャリア回収磁石ローラ91は、現像スリーブ81と対向する部分に磁極がなく、現像スリーブ81とキャリアキャリア回収スリーブ90とが対向する位置において、現像スリーブ81の表面移動方向とキャリア回収スリーブ90の表面移動移動方向とが互いに逆方向である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いる現像装置及びその現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の現像装置として、感光体に付着した磁性キャリアを磁気力または静電気力で回収するキャリア回収ローラを備えたものが知られている。
例えば、特許文献1には、現像スリーブに近接する位置にキャリア回収ローラを設け、そのキャリア回収ローラの内部に回転自在な磁気ローラを収納し、そのキャリア回収ローラ内の磁気ローラを現像スリーブ側の磁気ローラの磁力にて同期回転させる現像装置が開示されている。また、この現像装置では、キャリア回収ローラの外周面に捕獲したキャリアを磁気ローラの同期回転により搬送している。また、キャリア回収ローラの外周面にはスクレーパの先端を圧接させることにより、キャリア回収ローラの外周面で搬送されているキャリアが掻き取られる。
また、特許文献2には、表面の回転方向に直交する方向に沿うように溝部を形成したキャリア回収ローラを備えた現像装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、画像形成装置の高速化のため現像ローラを高速駆動したり高画質化のためにキャリアを小粒径化したりしているため、感光体へのキャリアの付着が増加するという問題が生じている。この問題に対処するため、キャリア回収ローラで感光体に付着したキャリアを回収するために静電気力や磁気力を高めることが考えられる。
しかしながら、従来のキャリア回収ローラでキャリアを回収するための静電気力を増加させると、感光体上のトナー像を乱すという問題が生じる。
また、上記引用文献1の現像装置のようにキャリア回収ローラの内部に回転自在な磁気ローラを収納した構成において、キャリア回収ローラ内のキャリア回収磁極の磁気力を増加させると、キャリア回収ローラで回収したキャリアを搬送できず、回収したキャリアによって感光体上のトナー像を擦って擦れ画像が発生するという問題がある。これは、キャリア回収ローラの表面が平滑でかつキャリア回収磁極の磁気力が高いとキャリアがスリップして溜まっていくために発生する現象である。
また、上記引用文献2の現像装置では、キャリア回収ローラの表面に溝が形成されているため、キャリア回収ローラの表面のキャリアを掻き取るスクレーパを使用することができない。そのためキャリア回収ローラ上のキャリアを完全に剥離することは困難であり、上記擦れ画像が発生するおそれがある。
【0004】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、像担持体から回収したキャリアが像担持体上のトナー像に接触することによる擦れ画像の発生を防止することができる現像装置及びその現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体に供給するトナーとキャリアとを含む二成分現像剤を担持する現像剤担持体を備え、前記現像剤担持体は、前記二成分現像剤を表面上に担持して回転可能な現像剤支持手段と、前記現像剤支持手段に内包され複数の磁極を有する第1の磁界発生手段とを備える現像装置であって、前記像担持体の表面移動方向における下流側から前記現像剤担持体に近接する位置に、前記像担持体に付着したキャリアを回収するキャリア回収手段を備え、前記キャリア回収手段は、前記キャリアを表面上に担持して回転可能なキャリア支持手段と、前記キャリア支持手段に内包されるように固定配置され複数の磁極を有する第2の磁界発生手段とを備え、前記第2の磁界発生手段は、前記現像剤支持手段と対向する部分に磁極がなく、前記現像剤支持手段と前記キャリア支持手段とが対向する位置において、前記現像剤支持手段の表面移動方向と前記キャリア支持手段の表面移動移動方向とが互いに逆方向であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、前記第1の磁界発生手段は、前記キャリア支持手段と対向する部分に磁極を有することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の現像装置において、前記第1の磁界発生手段は、前記キャリア支持手段と対向する位置を複数の磁極が順次通過するように回転可能に設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの現像装置において、前記現像剤支持手段と前記キャリア支持手段とが対向する位置において、前記第1の磁界発生手段により前記現像剤支持手段の表面に前記二成分現像剤を穂立ちさせた磁気穂を発生させ、その磁気穂を前記キャリ支持手段の表面に当接させたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの現像装置において、前記キャリア支持手段の表面は粗し処理が施されていることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の現像装置において、前記キャリア支持手段の表面にキャリア除去手段を当接させないことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかの現像装置において、前記第2の磁界発生手段は、前記像担持体に対向する部分に磁極を有し、その磁極による前記像担持体表面での磁束密度を140[mT]以上としたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の現像装置において、前記第2の磁界発生手段の前記像担持体に対向する部分に有する前記磁極による前記像担持体表面での磁束密度を200[mT]以上としたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかの現像装置において、前記現像剤支持手段と前記キャリア支持手段との間に電位差を形成する電位差形成手段を備え、その電位差は、前記現像剤支持手段と前記キャリア支持手段とが対向する位置において、前記キャリア支持手段に付着したトナーを前記現像剤支持手段に移行させる極性に設定されていることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、像担持体と、前記像担持体に形成された潜像を現像する現像装置と、を備えた画像形成装置であって、前記現像装置として、請求項1乃至9のいずれかの現像装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項10の画像形成装置において、前記キャリア支持手段と前記像担持体との間に電位差を形成する電位差形成手段を備え、その電位差は、前記像担持体に付着したトナー及びキャリアのうちキャリアのみを引き付ける極性に設定されていることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項10又は11の画像形成装置において、少なくとも前記現像装置と前記像担持体が収容されたプロセスカートリッジとを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1乃至9のいずれかの現像装置と像担持体とを備えたプロセスカートリッジである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、キャリア回収手段のキャリア支持手段に内包される第2の磁界発生手段は、現像剤担持体の現像剤支持手段と対向する部分に磁極がないことにより、現像剤支持手段とキャリア支持手段とが対向する対向位置において、像担持体から回収されてキャリア支持手段の表面に担持されているキャリアをキャリア支持手段の内側に向けて引き付ける磁力を弱めることができる。従って、上記対向位置においてキャリア支持手段の表面からキャリアが離れて現像剤支持手段側に移動しやすくなる。しかも、上記対向位置において、現像剤支持手段の表面移動方向とキャリア支持手段の表面移動移動方向とが互いに逆方向であるため、キャリア支持手段の表面から離れて現像剤支持手段側に移動したキャリアを、現像剤支持手段の表面移動によって像担持体側へ向かう方向とは逆方向に移動させることができる。このように現像剤支持手段とキャリア支持手段とが対向する対向位置において、キャリア支持手段の表面からキャリアが離れて現像剤支持手段側に移動しやすくなるとともに、そのキャリア支持手段の表面から離れたキャリアを像担持体側へ向かう方向とは逆方向に移動させることにより、像担持体から回収されてキャリア支持手段の表面に担持されたキャリアが、像担持体に向かって移動するのを抑制することができる。よって、像担持体から回収したキャリアが像担持体上のトナー像に接触することによる擦れ画像の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に係る複写機の概略構成図。
【図2】本実施形態に係る現像装置及び感光体を示す拡大構成図。
【図3】現像剤搬送路内の現像剤の流れを示す現像装置の部分透視斜視図。
【図4】現像装置のトナーを補給する位置を説明する外観斜視図。
【図5】現像ローラとキャリア回収ローラとが対向している要部の部分拡大図。
【図6】ブロック磁石を希土類ボンド磁石とした実施例1におけるキャリア回収スリーブ上での磁束密度波形を示す説明図。
【図7】ブロック磁石を希土類焼結磁石とした実施例2におけるキャリア回収スリーブ90上での磁束密度波形を示す説明図
【図8】現像剤のストレス低減の実験結果を示すグラフ。
【図9】キャリア回収ローラの駆動部の一構成例を示す概略構成図。
【図10】ブロック磁石の磁束密度を選定するための実験結果を示すグラフ。
【図11】従来例1の装置構成を示す部分拡大図。
【図12】実施例1の装置構成を示す部分拡大図。
【図13】比較例1の装置構成を示す部分拡大図。
【図14】従来例1の装置構成での振動の状態を示すグラフ。
【図15】実施例1の装置構成での振動の状態を示すグラフ。
【図16】キャリア回収ローラからのトナー除去を説明するための概略構成図。
【図17】本発明の他の実施形態に係る現像装置及び感光体を示す拡大構成図。
【図18】現像ローラとキャリア回収ローラとが対向している要部の部分拡大図。
【図19】従来例2の装置構成を示す部分拡大図。
【図20】従来例3の装置構成を示す部分拡大図。
【図21】従来例4の装置構成を示す部分拡大図。
【図22】キャリア回収ローラからのトナー除去を説明するための概略構成図。
【図23】変形例に係る時計回りに回転する感光体と、現像ローラと、キャリア回収ローラとを示す拡大概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態1]
以下、本発明を電子写真方式のフルカラー画像形成装置(以下、「複写機500」という。)に適用した実施形態について説明する。
【0009】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る複写機500の概略構成図である。図1において、複写機500は、画像形成手段としてのプリンタ部100、記録媒体としての転写紙をプリンタ部100に供給する記録媒体供給手段としての給紙装置200、プリンタ部100の上に固定されている画像読取手段としてのスキャナ300などを備えている。また、スキャナ300の上には原稿自動給送装置400が固定されている。
【0010】
プリンタ部100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kからなる画像形成ユニット20を備えている。各符号の数字の後に付されたY,M,C,Kはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、黒用の部材であることを示している(以下同様)。プリンタ部100は、プロセスカートリッジ18Y,M,C,Kの他に、潜像書込手段としての光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写装置22、レジストローラ対49、ベルト定着方式の定着装置25などが配設されている。
【0011】
光書込ユニット21は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて後述の感光体1の表面にレーザ光を照射する。
【0012】
プロセスカートリッジ18Y,M,C,Kは、像担持体としてのドラム状の感光体1、感光体1の表面を帯電する帯電手段としての帯電装置、感光体1に形成された潜像を現像する現像手段としての現像装置4、感光体1の表面をクリーニングする像担持体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置、感光体1の表面を除電する除電手段としての除電器などを有している。なお、各プロセスカートリッジ18Y,M,C,Kは互いに同様な構成を有しているので、以下、イエロー用のプロセスカートリッジ18Yについて説明する。
【0013】
帯電装置によって、感光体1Yの表面は一様帯電される。帯電処理が施された感光体1Yの表面には、光書込ユニット(露光装置)21によって変調及び偏向されたレーザ光が照射される。これにより、照射部(露光部)の感光体1Yの表面の電位が減衰する。この表面の電位の減衰により、感光体1Y表面にY用の静電潜像が形成される。形成されたY用の静電潜像は、現像装置4Yによって現像されてYトナー像となる。Y用の感光体1Y上に形成されたYトナー像は、後述の中間転写体としての中間転写ベルト110に一次転写される。一次転写後の感光体1Yの表面は、ドラムクリーニング装置によって転写残トナーがクリーニングされる。また、Y用のプロセスカートリッジ18Yにおいて、ドラムクリーニング装置によってクリーニングされた感光体1Yは、除電器によって除電される。そして、帯電装置によって一様帯電されて初期状態に戻る。以上のような一連のプロセスは、他のプロセスカートリッジ18M,C,Kについても同様である。
【0014】
次に、中間転写ユニット17について説明する。
中間転写ユニット17は、中間転写体としての中間転写ベルト110、中間転写ベルト110の表面をクリーニングする中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置60などを有している。また、中間転写ユニット17は、張架ローラ14、駆動ローラ15、二次転写バックアップローラ16、4つの一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kなども有している。
【0015】
中間転写ベルト110は、所定の張力を有するように張架ローラ14を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ15の回転により、中間転写ベルト110は図中時計回りに無端移動する。
【0016】
一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kはそれぞれ、中間転写ベルト110の内周面側に接触するように配設され、図示しない電源から一次転写バイアスの印加を受ける。また、中間転写ベルト110をその内周面側から感光体1Y,M,C,Kに向けて押圧してそれぞれ一次転写ニップを形成する。各一次転写ニップには、一次転写バイアスの影響により、感光体1と一次転写バイアスローラ62との間に一次転写電界が形成される。Y用の感光体1Y上に形成されたYトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト110上に一次転写される。このYトナー像の上には、M,C,K用の感光体1M,C,K上に形成されたM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト110上には多重トナー像たる4色重ね合わせトナー像(以下、「4色トナー像」という。)が形成される。
【0017】
中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像は、後述の二次転写ニップで図示しない記録媒体としての転写紙に二次転写される。二次転写ニップ通過後の中間転写ベルト110の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の駆動ローラ15との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置60によってクリーニングされる。
【0018】
次に、二次転写装置22について説明する。
中間転写ユニット17の図中下方には、2本の張架ローラ23によって紙搬送ベルト24を張架している二次転写装置22が配設されている。紙搬送ベルト24は、少なくとも何れか一方の張架ローラ23の回転駆動に伴って、図中反時計回りに無端移動する。2本の張架ローラ23のうち、図中右側に配設された一方の張架ローラ23すなわち転写紙搬送方向の上流側に配設された上流側の張架ローラ23は、中間転写ユニット17の二次転写バックアップローラ16との間に、中間転写ベルト110及び紙搬送ベルト24を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ユニット17の中間転写ベルト110と、二次転写装置22の紙搬送ベルト24とが接触する二次転写ニップが形成されている。そして、上記一方の(上流側の)張架ローラ23には、トナーと逆極性の二次転写バイアスが図示しない電源によって印加される。この二次転写バイアスの印加により、二次転写ニップには中間転写ユニット17の中間転写ベルト110上の4色トナー像をベルト側から上記一方の(上流側の)張架ローラ23側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。後述のレジストローラ対49によって中間転写ベルト110上の4色トナー像に同期するように二次転写ニップに送り込まれた転写紙には、上記二次転写電界やニップ圧の影響を受けた4色トナー像が二次転写される。なお、上記一方の(上流側の)張架ローラ23に二次転写バイアスを印加する二次転写方式に代えて、転写紙を非接触でチャージさせるチャージャを設けてもよい。
【0019】
複写機500本体の下部に設けられた給紙装置200には、内部に複数の転写紙を紙束の状態で複数枚重ねて収容可能な給紙カセット44が、鉛直方向に複数重なるように配設されている。それぞれの給紙カセット44は、紙束の一番上の転写紙に給紙ローラ42を押し当てている。そして、給紙ローラ42を回転させることにより、一番上の転写紙が給紙路48に向けて送り出される。
【0020】
給紙カセット44から送り出された転写紙を受け入れる給紙路46,48は、複数の搬送ローラ対47と、給紙路48内の末端付近に設けられたレジストローラ対49とを有している。そして、転写紙をレジストローラ対49に向けて搬送する。レジストローラ対49に向けて搬送された転写紙は、レジストローラ対49のローラ間に挟まれる。一方、中間転写ユニット17において、中間転写ベルト110上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って二次転写ニップに進入する。レジストローラ対49は、ローラ間に挟み込んだ転写紙を二次転写ニップにて4色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これにより、二次転写ニップでは、中間転写ベルト110上の4色トナー像が転写紙に密着する。そして、転写紙上に二次転写されて、白色の転写紙上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された転写紙は、紙搬送ベルト24の無端移動に伴って二次転写ニップを出た後、紙搬送ベルト24上から定着装置25に送られる。
【0021】
定着装置25は、定着ベルト26を2本のローラによって張架して無端移動させるベルトユニットと、このベルトユニットの一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ27とを備えている。定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、紙搬送ベルト24から受け取った転写紙をここに挟み込む。ベルトユニットにおける2本のローラのうち、加圧ローラ27から押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を有しており、この熱源の発熱によって定着ベルト26を加熱する。加熱された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれた転写紙を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が転写紙に定着される。
【0022】
定着装置25内で定着処理が施された転写紙は、プリンタ筐体の図中左側板の外側に設けたスタック部57上にスタックされるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために上述の二次転写ニップに戻されるかの何れかの搬送形態が選択される。
【0023】
図示しない原稿のコピーがとられる際には、例えばシート原稿の束が原稿自動搬送装置400の原稿台30上セットされる。但し、その原稿が本状に閉じられている片綴じ原稿である場合には、コンタクトガラス32上にセットされる。このセットに先立ち、複写機本体に対して原稿自動搬送装置400が開かれ、スキャナ300のコンタクトガラス32が露出される。この後、閉じられた原稿自動搬送装置400によって片綴じ原稿が押さえられる。このようにして原稿がセットされた後、図示しないコピースタートスイッチが押下されると、スキャナ300による原稿読取動作がスタートする。一方、原稿自動搬送装置400にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、原稿自動搬送装置400がシート原稿をコンタクトガラス32まで自動移動させる。原稿読取動作では、まず、第1走行体33と第2走行体34とがともに走行を開始し、第1走行体33に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第2走行体34内に設けられたミラーによって反射され、結像レンズ35を通過した後、読取センサ36に入射される。読取センサ36は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
【0024】
このような原稿読取動作と並行して、各プロセスカートリッジ18Y,M,C,K内の各装置や、中間転写ユニット17、二次転写装置22、定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサ36によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット(露光装置)21が駆動制御され、各感光体1Y,M,C,K上にY,M,C,Kトナー像が形成される。これらトナー像は、中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像となる。
【0025】
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙装置200内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、給紙ローラ42の1つが選択回転せしめられ、ペーパーバンク43内に多段に収容される給紙カセット44の1つから転写紙が送り出される。送り出された転写紙は、分離ローラ45で1枚ずつ分離されて給紙路46に進入した後、搬送ローラ対47によって二次転写ニップに向けて搬送される。このような給紙カセット44からの給紙に代えて、手差しトレイ51からの給紙が行われる場合もある。この場合、手差し給紙ローラ50が選択回転せしめられて手差しトレイ51上の転写紙を送り出した後、分離ローラ52が転写紙を1枚ずつ分離してプリンタ部100の手差し給紙路53に給紙する。
【0026】
複写機500は、2色以上のトナーからなる多色画像を形成する場合には、中間転写ベルト110をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架し、その上部張架面に全ての感光体1Y,M,C,Kを接触させる。これに対し、Kトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない機構により、中間転写ベルト110を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面をY,M,C用の感光体1Y,M,Cから離間させる。そして、4つの感光体1Y,M,C,Kのうち、K用の感光体1Kだけを図中反時計回りに回転させて、Kトナー像だけを作像する。この際、Y,M,Cについては、感光体1だけでなく、現像装置4も駆動を停止させて、感光体1や現像装置4の各部材及び現像装置4内のトナーと磁性キャリア(以下「キャリア」という。)とを含む二成分現像剤(以下「現像剤」という。)の不要な消耗を防止する。
【0027】
複写機500は、複写機500内の各機器の制御を司るCPU等から構成される図示しない制御手段としての制御部と、液晶ディスプレイや各種キーボタン等などから構成される図示しない操作表示部とを備えている。操作者は、この操作表示部に対するキー入力操作により、制御部に対して命令を送ることで、転写紙の片面だけに画像を形成するモードである片面プリントモードについて、例えば3つのモードの中から1つを選択することができる。この3つの片面プリントモードとは、ダイレクト排出モードと、反転排出モードと、反転デカール排出モードとからなる。
【0028】
図2は、本実施形態に係る複写機におけるプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kにそれぞれ装備されている現像装置4及び感光体1を示す拡大構成図である。4つのプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kは、それぞれ扱うトナーの色が異なる点以外はほぼ同様の構成になっているので、同図では「4」等の符号に付すY,M,C,Kという添字を省略している。
【0029】
図2に示すように、感光体1は図中矢印G方向に回転しながら、その表面を不図示の帯電装置により帯電される。帯電された感光体1の表面は、不図示の光書込ユニット(露光装置)から照射されたレーザ光により静電潜像を形成され、その静電潜像に現像装置4からトナーを供給され、トナー像が形成される。
【0030】
現像装置4は、トナーとキャリアとを含む現像剤を収容し、図中矢印I方向に現像剤を搬送しながら感光体1の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体としての現像ローラ5を備えている。現像ローラ5は、回転可能な現像剤支持手段としての現像スリーブ81を備え、複数の磁極からなり図中矢印A方向に回転可能な第1の磁界発生手段としての磁石ローラ82を内包している。
【0031】
また、現像ローラ5の下側であって、感光体1の表面移動方向における下流側で現像ローラ5および感光体1に近接した位置には、キャリア回収手段としてのキャリア回収ローラ13を備えている。キャリア回収ローラ13も、現像ローラ5と同様に、回転可能なキャリア支持手段としてのキャリア回収スリーブ90を備え、複数の固定磁極からなる第2の磁界発生手段(キャリア回収磁界発生手段)としてのキャリア回収磁石ローラ91を内包している。感光体1に付着したキャリアはキャリア回収ローラ13にて回収され、キャリア回収磁石ローラ91の磁気力とキャリア回収スリーブ90の回転とにより現像装置4内へ戻される。現像ローラ5およびキャリア回収ローラ13は、本発明の特徴部であり詳細は後述する。
【0032】
また、現像装置4は、現像ローラ5に現像剤を供給しながら現像ローラ5の軸線方向に沿って図2に示す紙面の奥側(以下、便宜上、「図中奥側」あるいは「図2中奥側」と称する場合もある)に向けて現像剤を搬送する供給搬送部材としての供給スクリュー8を有している。現像ローラ5の供給スクリュー8との対向部から現像剤搬送方向下流側には、現像ローラ5に供給された現像剤を現像に適した厚さに規制する現像剤規制手段としてのドクタブレード12を備えている。また、現像ローラ5の感光体1との対向部である現像領域よりも現像剤搬送方向下流側では、現像領域を通過して現像ローラ5の表面から離脱した現像済みの現像剤を回収する回収搬送路7が、現像ローラ5と対向する。回収搬送路7は、回収した回収現像剤を現像ローラ5の軸線方向に沿って供給スクリュー8と同方向に搬送する回収搬送部材として、軸線方向に平行に配置された螺旋状の回収スクリュー6を備えている。供給スクリュー8を備えた供給搬送路9は現像ローラ5の上方向に並設され、回収スクリュー6を備えた回収搬送路7は現像ローラ5の下方に並設されている。
【0033】
また、現像装置4は、供給搬送路9と回収搬送路7とに並列して攪拌搬送路10が設けられている。攪拌搬送路10は、奥側では回収搬送路7手前側では供給搬送路9と略同じ高さになるよう傾斜が設けてある。また、攪拌搬送路10は、現像ローラ5の軸線方向に沿って現像剤を攪拌しながら供給スクリュー8とは逆方向すなわち図2に示す紙面の手前側(以下、便宜上、「図中手前側」と称する場合もある)の方向に向けて搬送する攪拌搬送部材として、軸線方向に傾斜状に配置された、螺旋状の攪拌スクリュー11を備えている。供給搬送路9と攪拌搬送路10とは仕切り壁としての第一仕切り壁133によって仕切られている。第一仕切り壁133の供給搬送路9と攪拌搬送路10とは、図中手前側が開口部となっており、供給搬送路9と攪拌搬送路10とが連通している。また、供給搬送路9と回収搬送路7との間は第二仕切り壁134によって仕切られている。第二仕切り壁134の供給搬送路9と回収搬送路7とは、図中奥側が開口部となっており、供給搬送路9と回収搬送路7とが連通している。また、攪拌搬送路10と回収搬送路7との2つの現像剤搬送路は、仕切り部材としての第三仕切り壁135によって仕切られている。第三仕切り壁135は、図中奥側が開口部となっており、攪拌搬送路10と回収搬送路7とが連通している。
【0034】
現像剤搬送部材である供給スクリュー8、回収スクリュー6及び攪拌スクリュー11は、樹脂もしくは金属のスクリューからなっており、各スクリュー径は供給スクリュー8及び回収スクリュー6がφ26(mm)、攪拌スクリュー11がφ30(mm)である。また、供給スクリュー8はスクリューピッチが54(mm)の2条巻きであり、回収スクリュー6はスクリューピッチが36(mm)の2条巻きであり、攪拌スクリュー11はスクリューピッチが54(mm)の2条巻きである。各スクリューの回転数は全て約600(rpm)に設定されている。
【0035】
現像ローラ5上に担持された現像剤は、ステンレスからなるドクタブレード12によって薄層化されたうえで感光体1との対向部である現像領域まで搬送され、感光体1の潜像の現像が行われる。現像ローラ5の直径はφ40(mm)、ドクタブレード12と感光体1とのギャップは0.3(mm)程度となっている。
【0036】
現像後の現像剤は回収搬送路7にて回収が行われ、図2中奥側に搬送され、非画像領域部に設けられた第三仕切り壁135の開口部で、攪拌搬送路10へ現像剤が移送される。なお、供給搬送路9における現像剤搬送方向下流側の第二仕切り壁134の開口部の付近で供給搬送路9の上側には、図4に示すように後述するトナー補給口95から供給搬送路9にトナーが供給される。
【0037】
次に、3つの現像剤搬送路内での現像剤の循環について説明する。
図3は、現像剤搬送路内の現像剤の流れを説明する現像装置4の部分透視斜視図である。図中の各矢印は現像剤の移動方向を示している。図3において、攪拌搬送路10から現像剤の供給を受けた供給搬送路9では、現像剤が移動しながら現像ローラ5に接触して供給される。そして、現像ローラ5に供給されずに供給搬送路9の搬送方向下流端まで移動した余剰現像剤は、第二仕切り壁134の余剰開口部より回収搬送路7に供給される(図3中矢印E)。
【0038】
一方、現像ローラ5に供給された現像剤は、現像領域で現像に用いられた後、現像ローラ5から分離・離脱して回収搬送路7に受け渡される。現像ローラ5から回収搬送路7に受け渡され、回収スクリュー6によって回収搬送路7の搬送方向下流端まで搬送された回収現像剤は、第三仕切り壁135の回収開口部より攪拌搬送路10に供給される(図3中矢印F)。
【0039】
そして、攪拌搬送路10では、供給搬送路9から供給された余剰現像剤と回収搬送路7に回収された回収現像剤と後述するトナー補給口95(図4参照)から補給されたトナー(図3中矢印t)とが攪拌される。これら攪拌された現像剤は、攪拌スクリュー11の搬送方向下流側で、かつ、供給スクリュー8の搬送方向上流側に搬送され、第一仕切り壁133の供給開口部より供給搬送路9に供給される(図3中矢印D)。
【0040】
なお、攪拌搬送路10の下方には、透磁率センサからなるトナー濃度センサ(不図示)が設けられ、そのトナー濃度センサの出力に基づいて不図示のトナー補給制御装置を作動させ、不図示のトナー収容部からトナー補給を行っている。
【0041】
図3に示す現像装置4では、供給搬送路9と回収搬送路7とを備え、現像剤の供給と回収とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が供給搬送路9に混入することがない。このため、供給搬送路9の搬送方向下流側ほど現像ローラ5に供給される現像剤のトナー濃度が低下することを抑制することができる。また、回収搬送路7と攪拌搬送路10とを備え、現像剤の回収と攪拌とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が攪拌の途中に落ちることがない。これにより、十分に攪拌がなされた現像剤が供給搬送路9に供給されるため、供給搬送路9に供給される現像剤が攪拌不足となることを抑制することができる。このように、供給搬送路9内の現像剤のトナー濃度が低下することを抑制し、供給搬送路9内の現像剤が攪拌不足となることを抑制することができるので現像時の画像濃度を一定にすることができる。
【0042】
図4は、現像装置4のトナーを補給する位置を説明する外観斜視図である。
図4に示すように、トナーを補給するトナー補給口95は、供給スクリュー8を備える供給搬送路9の搬送方向下流端部の上方に設けられている。このトナー補給口95は第二仕切り壁134の余剰開口部(図3中矢印E)の上部に位置することにより、トナーは余剰現像剤および回収現像剤と混ざりやすく、この位置で補給を行うことによってより効率よく現像剤の攪拌を行うことができる。
【0043】
次に、上記構成の複写機の現像装置における現像ローラ5及びキャリア回収ローラ13並びにその周辺の構成について説明する。
図5は、現像ローラ5とキャリア回収ローラ13とが対向している要部の部分拡大図である。図5において、現像ローラ5は、現像剤を担持する円筒状の現像剤支持手段としての現像スリーブ81と、現像スリーブ81に内包され磁気力により現像剤を吸着する第1の磁界発生手段としての磁石ローラ82とを有する。
【0044】
現像スリーブ81は、アルミ、オーステナイト系ステンレス、マグネシウム等の非磁性かつ導電材料で構成されている。現像スリーブ81の表面は平滑でも構わないが、高速機では現像剤のスリップを抑制するために、下記(A)乃至(C)のいずれかの粗し処理・加工を施してもよい。
(A)V溝またはU溝等の溝押し出し加工・各種凹形状の機械加工またはレーザ加工またはエッジング加工
(B)ブラスト処理
(C)金属またはセラミック等の溶射処理
【0045】
磁石ローラ82は、現像剤の搬送方向(現像スリーブ表面の移動方向)Iとは反対の矢印A方向に回転可能に設けられている。また、磁石ローラ82は、偶数個(図5の構成例では16個)の磁石83が周方向に等間隔で配置されている。各磁石83の極性は、隣り合う磁石間で引き合うように互いに反対向きとなっている。
【0046】
また、本実施形態では、磁石ローラ82と現像スリーブ81との間の駆動関係として、同方向および相対方向の何れかの回転方向が選択できるように構成されている。その回転関係は、現像スリーブ81の表面に担持される現像剤と磁石ローラ82側の磁石83との対向回数が多くなることを条件として設定されるようになっている。
【0047】
上述した駆動関係の設定により得られる、磁石ローラ82の磁石に対する現像剤の対向回数の増加によって、現像剤が磁極と対向したときに穂立ちが形成され、磁極から離れた際に穂立ちが崩されるという現象を繰り返す回数が増加し、これによるトナーとキャリアとの摩擦接触機会の増加により、トナーの帯電特性を向上させることができる。この場合の対向回数の増加は、上述したように、磁石ローラ82と現像スリーブ81との回転方向の設定や速度差の設定などによって得られる。つまり、両者が同じ方向に回転する場合には、両者間に速度差を設定することで磁石83に対する現像剤の対向回数を増加させることができ、また、速度差を設定しないで相反する方向とした場合も同様に磁石83に対する現像剤の対向回数を増加させることができる。
【0048】
上述した磁石83に関しては、従来の廉価なフェライト磁石が使用可能であるが、小型化や高速化のためにはより強力なサマリウムコバルト磁石やネオジム磁石等の希土類磁石の使用も可能である。磁石83は磁石ホルダ84に接着により支持され、その外周を図示しない熱収縮チューブ等で保護してもよい。
【0049】
磁石ホルダ84は磁性材料とすると磁石83の磁気力を若干向上可能である。但し、コスト高であり一般に鉄を主成分とする磁性材料は高比重のため高速回転時は慣性モーメントが増大し駆動部の耐久性に問題が生じる場合がある。そのため、磁石83の磁気力は若干低くなるが、非磁性かつ軽比重のアルミニウムやマグネシウムを材料としてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、図5に示すように、磁石ローラ82の回転中心P’は現像スリーブ81の回転中心Pより距離(T)だけ離れた位置に偏心させて位置決めされている。偏心の方向は、現像ローラ5の表面に担持された現像剤が感光体1に移行する付近に設定され、上記符号Tで示した距離に相当する偏心量は、現像領域においてキャリアが感光体1に移行するのを磁極からの磁力によって抑制することができる量とされている。これにより、感光体1に移行する現像剤は、感光体との接触に際して穂立ちを確保された状態で接触できると共に、接近した磁極からの磁力によりキャリアの移行が阻止されてトナーのみを感光体の潜像に供給するように移動することになる。一方、偏心方向と反対側では磁気力を低く抑えることができる。このため、現像スリーブ81表面に担持されている現像剤の剥離を容易にすることができる。このような偏心構造を設けるだけで、現像剤の剥離が外部からの機械的な外力を用いることなく容易に行えることになる。
【0051】
次に、図5に基づいて、本実施形態の現像装置4における現像剤の移送について説明する。
供給スクリュー8により樋9’に供給された現像剤は、磁石ローラ82の磁気力により現像スリーブ81上に吸着され、現像スリーブ81の回転により搬送され、ドクタブレード12を通過する際に現像剤量を一定に規制される。ドクタブレード12を通過した現像剤は磁力線に沿って配列される。つまり、磁石83上では、符号B1で示すように磁気穂が発生し、磁石83間では、符号B2で示すように磁気穂は転倒する。
【0052】
磁石ローラ82の回転方向を、現像スリーブ81の回転方向(図中の矢印Iの方向)に対して相反する方向(図中の矢印Aの方向)にした場合、磁石ローラ82が回転する間、磁気穂は、所謂フリップフラップ状に自転し、磁石ローラ82の回転方向である矢印Aで示す方向と反対の矢印F方向に進行する。この際、現像スリーブ81は補助的に矢印I方向に比較的低速で回転させてもよい。
【0053】
ドクタブレード12を通過した現像剤は引き続き自転進行するに従い、磁石ローラ82の偏心により次第に現像スリーブ81への吸着力を増大し、キャリアが感光体1に移行するのを抑制する。磁石ローラ82が高回転なほど感光体1の対向部において現像剤は活発に撹拌されるため、感光体1の潜像に応じて効率良くトナーを転移できるが、前記磁気穂の自転による遠心力は回転数の2乗に比例して増大するため、感光体1へのキャリア付着も増大する。このキャリア付着の除去方法については後述する。
【0054】
現像剤は引き続き自転進行するに従い磁石ローラ82の偏心により次第に現像スリーブ81への吸着力を減少させ、供給搬送路7にて自重により現像スリーブ81より離脱する(図5中矢印K、Lの方向)。
【0055】
キャリア回収ローラ13は、回転可能なキャリア支持手段としてのキャリア回収スリーブ90を備え、複数の固定磁極からなる第2の磁界発生手段(キャリア回収磁界発生手段)としてのキャリア回収磁石ローラ91を内包している。キャリア回収磁石ローラ91は、例えば、アルミニウム、オーステナイト系ステンレス、マグネシウム、各種樹脂材料等の非磁性材料からなるシャフト92に、複合磁石93、ブロック磁石94を貼り付けて構成することができる。
【0056】
複合磁石93は、マグネット粉末としてSrフェライトないしBaフェライトを用い、高分子化合物として6PAもしくは12PA等のPA(ポリアミド)系材料、EEA(エチレン・エチル共重合体)又はEVA(エチレン・ビニル共重合体)等のエチレン系化合物、CPE(塩素化ポリエチレン)等の塩素系材料、NBR等のゴム材料を使用して製造することができる。これらの材料を使用し、軸方向に直交する断面における形状が半月状になるように成型し、着磁により3個の磁極P22,P23,P24を形成することにより、複合磁石93を得ることができる。複合磁石93の切り欠き部は、現像ローラ5側に配置され、現像ローラ5に対向する側には磁極を有しないようにしてある。
【0057】
ブロック磁石94は、感光体1に付着したキャリアを回収するために、複合磁石93よりも小さい体積で高磁力が必要であり、Br(残留磁束密度)>0.5T(テスラ)の材料を用いることが望ましく、多くはNd系(Nd−Fe−B等)またはSm系(Sm−Co、Sm−Fe−N等)の希土類焼結磁石もしくはこれらのマグネット粉を高分子化合物と混合した希土類ボンド磁石を用いることができる。また、希土類系マグネット粉には等方性、異方性のマグネット粉があり、異方性マグネット粉の方が高磁力を得られるが、所望の磁気特性に応じてどちらのタイプを用いてもかまわない。そして、上記の材料について、燒結、押出し成型・射出成型、あるいは、磁性粉とバインダーの型内圧縮成型等を行い、磁極P21を着磁させることにより、ブロック磁石94を得ることができる。ブロック磁石94の長手方向(軸方向)に直交する断面における形状は、例えば図5に示すように正方形である。そして、ブロック磁石94の断面における寸法は、キャリア回収ローラ13の周方向の寸法である幅が例えば3(mm)であり、キャリア回収ローラ13の径方向における寸法である厚さが例えば3(mm)である。また、ブロック磁石94の長手方向の長さは例えば346(mm)であり、磁石ローラ82より約10(mm)長くして端部まで確実にキャリア回収を可能にしている。
【0058】
図6は、ブロック磁石94を希土類ボンド磁石とした実施例1におけるキャリア回収スリーブ上での磁束密度波形を示す説明図である。ブロック磁石94の磁極P21に対向するキャリア回収スリーブ上で150(mT)という高磁束密度が得られた。そして、このブロック磁石94の磁極P21による磁束密度は0.5(mm)離れた感光体1上で140(mT)となった。また、他の磁極である搬送極P22,P23,P24によってキャリア回収スリーブ上に形成される磁束密度は、磁極P22に対して100(mT)、磁極P23に対して70(mT)、磁極P24に対して40(mT)とした。
【0059】
図7は、ブロック磁石94を希土類焼結磁石とした実施例2におけるキャリア回収スリーブ90上での磁束密度波形を示す説明図である。この実施例では、ブロック磁石94の磁極P21に対向するキャリア回収スリーブ上で230(mT)と更に高磁束密度が得られた。そして、このブロック磁石94の磁極P21による磁束密度は0.5(mm)離れた感光体1上で200(mT)となった。また、他の磁極である搬送極P22,P23,P24によってキャリア回収スリーブ上に形成される磁束密度は、磁極P22に対して110(mT)、磁極P23に対してが70(mT)、磁極P24に対して40(mT)とした。
【0060】
キャリア回収スリーブ90は、アルミニウム、オーステナイト系ステンレス、マグネシウム等の非磁性かつ導電材料で構成されている。また、前述したように高磁束密度の磁極P21に吸着されているキャリアを比較的低磁束密度の磁極P22へスリップなく搬送するためには、キャリア回収スリーブ90の表面に、下記(A)乃至(C)のいずれかの粗し処理・加工を施す必要がある。
(A)V溝またはU溝等の溝押し出し加工・各種凹形状の機械加工またはレーザ加工またはエッジング加工
(B)ブラスト処理
(C)金属またはセラミック等の溶射処理
【0061】
上記(A)の加工については、溝又は凹部の深さは0.05(mm)〜0.5(mm)程度であり、その形状や個数等については例えば公知技術と同様に設定することが可能である。上記(B)の加工については、その粗さはRz7(μm)〜Rz50(μm)の範囲が好ましい。この粗さの範囲は、上記(B)で製作可能な範囲であり、かつキャリアのスリップを防止できる範囲である。上記(C)の加工については、その粗さはRz40(μm)〜Rz90(μm)の範囲が好ましい。この粗さの範囲は、上記(C)で製作可能な範囲であり、かつキャリアのスリップを防止できる範囲である。
【0062】
また、キャリア回収ローラ13と感光体1との間隙は例えば0.5(mm)と狭く設定することで、感光体1上の磁束密度はキャリア回収スリーブ90上での磁束密度より10〜30(mT)程度の減衰に抑えられる。キャリア回収ローラ13と現像ローラ5との間隙は2(mm)と狭めに設定することで、現像ローラ5の穂立ちをキャリア回収ローラ13に接触させることができる。
【0063】
また、図5に示すように、キャリア回収ローラ13の現像ローラ5とは反対側(図5中におけるキャリア回収ローラ13の下側)にはケーシング96を備えている。キャリア回収ローラ13とケーシング96との間隙は例えば1.5(mm)と狭く設定することで、磁極P24での穂立ちをケーシング96に接触させることができる。
【0064】
なお、本実施形態では、図5に示すように、樋9’およびドクタブレード12は互いに隣接させ、且つ現像ローラ5の鉛直方向上方に配置している。樋9’は重力を利用して現像剤を溜めるために現像ローラ5の上方である必要があり、概ね鉛直点より上下流に45度の位置に配置可能である。現像剤溜め部としての樋9’は現像剤で満たされるため、磁気穂の生成が抑えられ、現像剤のストレスを低減できる。ドクタブレード12による現像剤規制部を通過した後は、現像ローラ5上で磁気穂の自転が発生するが、磁気穂は十分短く規制されているためストレスの増加にはならない。
【0065】
本発明者らは、現像剤のストレス低減の効果を検証するために実験を行った。
図8は現像剤のストレス低減の実験結果を示すグラフである。また、表1は実験条件を示す表である。
【表1】
【0066】
現像剤のストレスの指標として、本実施形態の現像装置および従来の現像装置をそれぞれ駆動する際の仕事率の測定を行った。仕事率は、駆動トルクおよび駆動回転数から求めることができる。図8に示すように、本実施形態の現像装置では、高速化とともに仕事率は上昇するものの、従来の現像装置に対して約33(%)の仕事率が低減つまりはストレスが低減していることがわかる。
【0067】
次に、キャリア回収ローラ13の駆動方法について説明する。
図9は、キャリア回収ローラ13の駆動部の一構成例を示す概略構成図である。図9において、現像装置4の手前側であって回収スクリュー6の端部は偏心カム97を備えている。偏心カム97はカムフォロワー98の長穴に回転可能な状態で勘合している。また、カムフォロワー98の反対側端部にはワンウェイクラッチ99が圧入されており、ワンウェイクラッチ99の内径部にはキャリア回収ローラ13の駆動軸が挿入されている。
【0068】
図9において、回収スクリュー6の回転により偏心カム97がP方向に回転すると、カムフォロワー98はQ方向とR方向に揺動することになる。ワンウェイクラッチ99はQ方向動作時のみをロックさせ、R方向動作時は空転させることで、キャリア回収ローラ13はJ方向に間欠的に駆動される。カムフォロワー98の揺動角を例えば7.2(°)とすることで、回収スクリュー6が50回転するとキャリア回収ローラ13は360(°)つまり1回転することになる。回収スクリュー6は約600(rpm)で回転するのであるから、キャリア回収ローラ13は約12(rpm)の極低速で間欠回転することになる。
【0069】
上記図9の駆動部は簡易な構成で大きな減速比が得られるが、キャリア回収ローラ13の駆動方式は本構成に限定されるものではなく、複数のギヤやタイミングベルトによる減速、小型専用モータの設置等の方式を選択することも可能である。
【0070】
以上の構成の現像装置4において、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とは、図2中でI、J方向、つまりは同方向に回転させる。すなわち、現像ローラ5とキャリア回収ローラ13とが対向する位置において、現像スリーブ81の表面とキャリア回収スリーブ90の表面とが互いに逆方向に移動するように、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とを回転させている。以下、このときの現像剤の移動及びキャリアの回収動作を、図5を参照して説明する。
【0071】
図5において、現像領域で感光体1に付着したキャリアは、感光体1の回転によりキャリア回収ローラ13まで達し、高磁束密度の磁極P21により吸着・回収される。本実施形態では、キャリア回収スリーブ90の表面は粗し処理が施されているため、磁極P21は高磁束密度ではあるが、キャリア回収ローラ13上のキャリアはスリップすることなく搬送され、磁極P24を経てケーシング96の終端で重力により回収搬送路7へ落下する(図5中の矢印M)。しかし、磁極P24と磁極P21との間の残留磁束密度のため落下しなかったり粗し処理の凹部に入ったりしたキャリアは、キャリア回収スリーブ90とともに連れまわろうとする。ここで、キャリア回収ローラ13と現像ローラ5との対向部では、現像スリーブ81の表面とキャリア回収スリーブ90の表面とは互いに反対方向に移動している。そのため、キャリア回収ローラ13上のキャリアは、現像ローラ5上の穂立ちにより激しく摺擦される。また、キャリア回収ローラ13の現像ローラ5に対向する側には磁極がないので、現像ローラ5内の磁石83によって現像ローラ5へ完全に回収されることになる(図5中の矢印N)。
【0072】
また、一方で、現像領域を通過した後、現像ローラ5の遠心力や重力によって現像ローラ5上の一部の現像剤の飛散が発生しても、キャリア回収ローラ13に落下した後、キャリア回収ローラ13内の磁極P21にて回収されるので問題にはならない(図5中の矢印O)。また、磁極P24による穂立ちがケーシング96に常に接触し磁気シールを形成している。そのため、キャリア除去手段としてのスクレーパの当接が無くても、矢印Kにて落下した現像剤がキャリア回収ローラ13とケーシング96との間隙から落下する問題は無い。また、キャリア回収ローラ13は極低速で間欠回転することから、回収したキャリアが遠心力で飛散する問題もない。
【0073】
なお、キャリア回収スリーブ90に粗し処理をせずに高磁束密度の磁極P21に吸着されているキャリアを順次、磁極P22、P23、P24との対向部へスリップなく搬送するために、磁極P22〜P23も高磁束密度にすることも考えられる。ただし、高価な高磁束密度磁石を複数使用すると非常にコストが上昇してしまう。そこで、磁極P22〜P23を従来の磁石とし、キャリア回収スリーブ90に前述の粗し処理・加工を施すのがよい。
【0074】
本発明者らは、ブロック磁石94の磁束密度を選定するために鋭意実験を行った。
図10は、ブロック磁石94の磁束密度を選定するための実験結果を示すグラフである。また、表2は実験条件を示す表である。
【表2】
【0075】
現像工程の後、転写工程前の感光体1上の単位面積当たりのキャリア個数をキャリア回収ローラ13の有無でカウントし、その比をキャリア回収率とした。キャリア回収ローラ13と感光体1との間隙は0.5(mm)に設定し、感光体1上の磁束密度とキャリア回収率の関係を調査した。図10の実験結果によれば、磁束密度は高い方がキャリア回収率も高まり、通常問題とならないレベルである回収率98(%)は磁束密度が140(mT)以上で達成可能であり、磁束密度が200(mT)以上でキャリア回収率は極めて100(%)に近くなることがわかった。
【0076】
上記感光体1上の磁束密度140(mT)は希土類ボンド磁石で達成可能であるが、磁束密度200(mT)の達成のためには高価な希土類焼結磁石が必要となる。磁石の材質はコストとキャリア付着の問題レベルから適宜選択するのがよい。
【0077】
また、本発明者らは、振動とキャリア回収率と擦れ画像とについて、従来例と本実施形態1の実施例との比較実験を行った。
ここで、従来より、現像ローラ内の磁石ローラを高速で回転させ現像剤の攪拌および帯電を効率良く行う現像装置が知られているが、この種の現像装置では磁石ローラの回転により現像ローラ上で磁気穂が激しく自転し、その遠心力でキャリアが飛散し、感光体に付着するキャリア付着がより深刻な問題となっている。一方で、感光体上のキャリアを回収するために、キャリア回収ローラを感光体および現像ローラ近傍に配置した場合、現像ローラ内の磁石ローラの交番磁場とキャリア回収ローラ内の磁石ローラの磁場とが干渉し、磁石ローラ間の吸引と反発を繰り返し多大な振動を発生させるという問題があった。この振動は感光体や光書込ユニット(露光装置)に伝播しバンディング画像となったり、騒音が発生したり、現像装置の寿命が低下したりする。また、上記磁場の干渉により現像剤の溢れが発生することもあった。
上記振動による画質低下、騒音、現像装置の寿命低下、現像剤の溢れ等を防止するために、キャリア回収ローラの磁場を低減させることが考えられるが、キャリア回収効率が低下してしまう。また、キャリア回収ローラの磁場は低下させずに、キャリア回収ローラを現像ローラから十分離れた位置に配置することも考えられるが、画像形成装置が大型化したり回収したキャリアを現像装置に戻すのに複雑な機構が必要となったりする問題や、回収したキャリアをキャリア溜めに溜めて現像装置に戻さない場合は現像装置内のキャリアが次第に減少してしまうという問題がある。
そこで、本実施形態では、上記振動等の各問題を解決するために、前述のように第2の磁界発生手段であるキャリア回収磁石ローラ91を、現像スリーブ81と対向する部分に磁極を有さないように構成している。より具体的には、キャリア回収磁石ローラ91を構成する複合磁石93の軸方向に直交する断面における形状を半月状になるように成型し、その複合磁石93の磁極がない切り欠き部を現像ローラ5側に配置している。
【0078】
図11は従来例1の装置構成を示す部分拡大図、図12は本実施形態に係る実施例1の装置構成を示す部分拡大図、図13は比較例1の装置構成を示す部分拡大図である。また、図14は従来例1の装置構成での振動の状態を示すグラフ、図15は実施例1の装置構成での振動の状態を示すグラフである。表3は実験結果を示す表である。振動測定方法は、ドクタブレード12の上部に加速度ピックアップを貼り付けてドクタブレード12に伝わる振動を測定した。加速度が±10(m/s2)を振動許容レベルに設定した。このレベルであればバンディング等の不具合が無い。
【表3】
【0079】
従来例1の構成(表3及び図11参照)では、磁極P21による感光体1上の磁束密度が100(mT)と低いので、キャリア回収率は90(%)であった。しかも、図14に示すように、磁石83とP22との磁場干渉により、振動が許容レベルを越える結果となった。
【0080】
これに対して、実施例1の構成(表3及び図12参照)では、キャリア回収ローラ13の回転方向を現像ローラ5と同方向にしたので、現像ローラ5に対向する側には磁極が不要になり、図15に示すように振動が許容レベル内になった。また、キャリア除去手段としてのスクレーパも不要となった。
【0081】
また、比較例1の構成(表3及び図13参照)では、実施例1の効果に加えて、磁極P21による感光体1上の磁束密度を140(mT)と高くしたので、キャリア回収率は98(%)となったが、キャリア回収スリーブ90上でスリップが発生し、キャリアの搬送ができず、キャリア溜まりUが発生し、擦れ画像が発生した。
【0082】
また、実施例2の構成(表3及び図5参照)では、比較例1の効果に加えて、キャリア回収スリーブ90表面の粗し処理を施したので、キャリアの搬送も可能となり、キャリア回収ローラ13と現像ローラ5との回転方向を同じにしたので、磁極P24による穂立ちをケーシング96に常に接触させて磁気シールを形成することができ、キャリアの連れまわりによる擦れ画像を防止可能となる結果が得られた。
【0083】
また、実施例3の構成(表3及び図5参照)では、磁極P21による感光体1上の磁束密度を200(mT)と更に高くしたので、キャリア回収率は極めて100(%)に近くすることができた。他の効果については実施例1と同等であった。
【0084】
なお、上記キャリア回収ローラ13のキャリア回収スリーブ90の表面に粗し処理を施した場合、キャリア回収ローラ13にトナーが大量に付着すると、付着したトナーで粗し処理の凹凸が埋まり、キャリアの搬送不良を引き起こすトナー付着のおそれがある。従来技術においては、キャリア回収ローラ13にスクレーパが当接され、キャリアと同時にトナーの剥離を行っていたが、本実施形態ではスクレーパを使用しない構成であるため、以下の方法でキャリア回収ローラ13のトナー付着を防止している。
【0085】
図16は、キャリア回収ローラ13からのトナー除去を説明するための概略構成図である。
図16において、感光体1は図示しない帯電装置で−600(V)程度に帯電され(地肌部)、図示しない光書込ユニット(露光装置)で−100(V)程度に除電される(画像部)。また、本実施形態のプロセスは、トナーが負極性に帯電されキャリアが正極性に帯電された現像剤を使用するネガポジプロセスであり、現像バイアスとしては−500(V)程度を現像スリーブ81に印加している。そして、本実施形態では、このようなネガポジプロセスにおいて、キャリア回収スリーブ90の電位を−700(V)程度とすることで、感光体1の表面電位および現像スリーブ81の現像バイアスよりも低く設定している。
【0086】
図16において、大粒子が正極性キャリア、小粒子が負極性トナーである。感光体1から見たキャリア回収スリーブ90の電位差は最小でも−100(V)である。これにより、正極性キャリアはキャリア回収スリーブ90へ向かう静電力が働くが、負極性トナーは反対に感光体1へ向かう静電力が働くので、トナーをキャリア回収スリーブ90へ引き寄せることが無い。ただし、浮遊しているトナーは積極的では無いにしろ、キャリア回収スリーブ90へ付着する場合がある。ところが、キャリア回収スリーブ90から見た現像スリーブ81の電位差は+200(V)である。キャリア回収スリーブ90へ付着したトナーは、そのキャリア回収スリーブ90の回転により現像スリーブ81の対向部へ搬送され、磁気穂で摺擦されると同時に+200(V)の電位差で現像スリーブ81へ吸着され現像剤に取り込まれる。これにより、キャリア回収ローラ13の表面におけるトナー汚れを防止している。
【0087】
なお、上記実施形態では負極性トナーを使用したネガポジプロセスであるが、正極性トナーを使用したポジポジプロセスにおいても電位極性を適正に選択することで同様の効果が得られる。
【0088】
なお、本実施形態に用いられる現像剤としては、以下に示す構成の現像剤を用いることができる。
本実施形態に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有し、必要に応じて離型剤や帯電制御剤、その他の成分が含有される。また、添加剤として上述のもの以外に、必要に応じて流動性向上剤やその他の成分が添加される。これら材料に関しては、公知のものがすべて可能である。結着樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロレスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)タクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリロニトリル酸、(メタ)アクリアミド、(メタ)アクリル酸、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル。ビニルメチルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、ブタジエン等の単量体の重量体、又は、これらの単量体の2種類以上からなる共重合体、あるいはそれらの混合物が挙げられる。その他、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ロジン、変性ロジン、テルベン樹脂、フェノール樹脂、水添石油樹脂、アイオノマー樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂等が単独あるいは混合して使用できる。
【0089】
着色剤としては公知の染料及び顔料がすべて使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレトVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。使用量は一般にバインダー樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部である。
【0090】
帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む。)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、2〜5重量部の範囲がよい。0.1重量部未満では、トナーの負帯電が不足し実用的でない。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、キャリアとの静電的吸引力の増大のため、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0091】
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィンワックスやフィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックスや密ロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス、等の天然ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、等の高級脂肪酸及び高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド等及びこれらの各種変性ワックスが挙げられる。
【0092】
これらは1種または2種以上を併用して用いることができるが、融点が70〜125(°C)の範囲のものを使用するのが好ましい。融点が70(°C)以上とすることにより転写性、耐久性が優れたトナーとすることができ、融点を125℃以下とすることにより定着時に速やかに溶融し、確実な離型効果を発揮できる。これらの離型剤の使用量は、トナーに対して1〜15(質量%)が好適である。1(質量%)より少ない場合にはオフセット防止効果が不充分であり、15(質量%)以上では転写性、耐久性が低下する。
【0093】
添加剤(外添剤)としては、少なくとも体積平均粒径50〜500(nm)、嵩密度0.3(g/cm3)以上の微粒子を添加する。外添量としては、トナー母体に対して0.2〜3(質量%)が好ましい。この範囲より少ないとトナー間やトナーとその他との間に適度な空隙を形成する効果が発現されない。逆に多いと、流動性を阻害したり、脱離量が多くなることにより外添剤の凝集体ができ、画像品質を低下させる。上述の添加剤と合わせて、この範囲以外の添加剤を添加することも可能であり、流動性向上を目的として体積平均粒径が小さい微粒子を添加することが好ましい。
【0094】
本実施形態での添加剤において、無機化合物としては、SiO2、TiO2、Al2O3、MgO、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O(TiO2)n、Al2O3・2SO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4、SrTiO3等を例示することができ、好ましくは、SiO2、TiO2、Al2O3があげられる。特にこれら無機化合物は各種のカップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、オクチルトリメトキシシラン等で疎水化処理が施されていてもよい。また、有機化合物の添加剤としては、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよく、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
【0095】
ビニル系樹脂の具体的な例としては、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0096】
本実施形態における添加剤(微粒子)は、現像装置内の現像剤用のトナーとしても優れている。すなわち、トナー粒子、感光体ドラム、帯電付与部材との接触面積が非常に小さく、均等に接触するので付着力低減効果が大きく、現像・転写効率の向上に有効である。さらに、コロの役割を果たすため、感光体ドラムを摩耗又は損傷させることなく、クリーニングブレードと感光体ドラムとの高ストレス(高荷重、高速度等)下でのクリーニングの際も、トナー粒子に埋没し難く、あるいは少々埋没しても離脱、復帰が可能であるので、長期間にわたって安定した特性を得ることができる。さらに、トナーの表面から適度に脱離し、クリーニングブレードの先端部に蓄積し、いわゆるダム効果によって、ブレードからトナーが通過する現象を防止する効果がある。
【0097】
本実施形態におけるトナーの製造方法としては、トナー構成材料を溶融混練後、粉砕分級して得る方法が従来の方法として一般的であるが、この方法に限らず、重合法等も含めてさまざまな方法が可能である。重合法としては懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法などが可能であり、重合法とは異なるが溶解懸濁法、ポリマー懸濁法等の他、伸長反応法等が使用可能である。
【0098】
先に説明した粒径範囲や円形度のトナーを容易に得られる点では、従来の方法以外が好ましい。また、粉砕分級後のトナーを加熱処理することにより円形度を調整してもよい。
【0099】
本実施形態における添加剤の添加方法は特に制限されず、トナー母体粒子と添加剤とを各種の公知の混合装置を用いて、機械的に混合して付着させる方法や、液相中でトナー母体粒子と添加剤とを界面活性剤等で均一に分散させ、付着処理後、乾燥させる方法等がある。
【0100】
先に説明したトナーの粒径分布は、コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置を用いて測定することができる。これら装置として、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
【0101】
まず、電解水溶液100〜150(ml)中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5(ml)加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1(%)NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理をおこない、上述の測定装置により、アパーチャーとして100(μm)アパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
【0102】
チャンネルとしては、2.00〜2.52(μm)未満;2.52〜3.17(μm)未満;3.17〜4.00(μm)未満;4.00〜5.04(μm)未満;5.04〜6.35(μm)未満;6.35〜8.00(μm)未満;8.00〜10.08(μm)未満;10.08〜12.70(μm)未満;12.70〜16.00(μm)未満;16.00〜20.20(μm)未満;20.20〜25.40(μm)未満;25.40〜32.00(μm)未満;32.00〜40.30(μm)未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00(μm)以上40.30(μm)未満の粒子を対象とする。
【0103】
先に説明したトナーの円形度は、次式(1)により得られた値である。
円形度=(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)・・・・式(1)
【0104】
上記円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
【0105】
上記円形度は、例えば東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて測定することができる。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150(ml)中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5(ml)加え、さらに測定試料を0.1〜0.5(g)程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理をおこない、分散液濃度を3000〜10000(個/μl)として上述の装置によりトナーの形状を測定する。
【0106】
以下、本実施形態に用いられるキャリアについて補足的に説明する。
本実施形態で用いられるキャリアは、重量平均粒径が20〜60(μm)(好ましくは、20〜45(μm)である。)になるように形成されている。この粒径範囲は、現像装置内の現像剤用のキャリアとしても優れている。キャリアの平均粒径が20(μm)未満であると、キャリア粒子の分布において微粉が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがある。これに対してキャリアの平均粒径が45(μm)を超えると、現像工程時のキャリアの穂立ちが粗くなって、ベタやハーフトーンの均一性が劣る場合がある(特に、平均粒径が60(μm)を超えると顕著になる。)。また比表面積が低下するため、小粒径トナーではトナーの飛散が生じることがある。
【0107】
キャリアとしては、粒径以外に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
【0108】
芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90(emu/g)のマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料等が好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100(emu/g)以上)、マグネタイト(75〜120(emu/g))等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体ドラムへの当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80(emu/g))等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0109】
キャリアの樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0110】
樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、その導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1(μm)以下が好ましい。平均粒子径が1(μm)を超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
【0111】
キャリアの樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付をおこなうことにより形成することができる。塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法等が挙げられる。
【0112】
キャリアにおける樹脂層の量としては、0.01〜5.0(質量%)が好ましい。樹脂層の量が、0.01(質量%)未満であると、芯材の表面に均一な樹脂層を形成することができないことがあり、5.0(質量%)を超えると、樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
【0113】
また、現像装置内に予め収容される現像剤(初期剤)も、上述したトナーとキャリアとを混合したものである。現像剤におけるキャリアの含有量(キャリア濃度)としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、90〜98(質量%)が好ましく、93〜97(質量%)がより好ましい。
【0114】
[実施形態2]
上記実施形態1では、現像ローラ5に内包される第1の磁界発生手段として回転可能な磁石ローラ82を用いた構成について説明したが、磁石ローラを固定配置した構成であってもよい。
【0115】
図17は、本発明の第2の実施形態に係る複写機におけるプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kにそれぞれ装備されている現像装置4及び感光体1を示す拡大構成図である。また、図18は現像ローラ5とキャリア回収ローラ13とが対向している要部の部分拡大図である。なお、上記実施形態1と同じ構成の部分については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0116】
図17に示すように、現像ローラ5は回転可能な現像スリーブ81を備え、複数の固定磁極(P11〜P15)からなる磁界発生手段としての磁石ローラ85を内包している。
【0117】
磁石ローラ85は、マグネット粉末としてSrフェライトないしBaフェライトを用い、高分子化合物として6PAもしくは12PA等のPA(ポリアミド)系材料、EEA(エチレン・エチル共重合体)又はEVA(エチレン・ビニル共重合体)等のエチレン系化合物、CPE(塩素化ポリエチレン)等の塩素系材料、NBR等のゴム材料を使用して製造することができる。また、磁石ローラ85は、着磁により5個の磁極P14,P15,P11,P12,P13を有している。現像スリーブ81上の現像剤は、P14(N)→P15(S)→P11(N)→P12(S)→P13(N)の順で搬送される。なお、括弧内の記号は磁極の極性を示すが、磁極P13と磁極P14とが同極性であるため反発磁界が発生し、現像剤は磁極P13との対向位置を過ぎた位置で落下する。現像極である磁極P11は感光体1に対向し、感光体1の表面の潜像にトナーを供給するとともにキャリアを現像ローラ5に保持してキャリア付着を防止する機能も有する。磁極P11を希土類磁石等の高磁性材料にすることでキャリア付着を低減させることは公知であるが、近年の画像形成装置の高速化のため現像ローラを高速駆動したり、高画質化のためにキャリアを小粒径化したため、キャリア付着が増加する傾向がある。また、磁極P12はキャリア回収ローラ13に対向する位置に配置している。
【0118】
上記構成において、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とは図17中でI、J方向、つまり同方向に回転させる。すなわち、現像ローラ5とキャリア回収ローラ13とが対向する位置において、現像スリーブ81の表面とキャリア回収スリーブ90の表面とが互いに逆方向に移動するように、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とを回転させている。このときの現像剤の移動及びキャリアの回収動作について、図18を参照して説明する。
【0119】
図18において、現像ローラ5上であって磁極P11付近で感光体1にトナーを供給した現像剤は、磁極P12との対向位置を通過した後、遠心力や重力で一部は落下(矢印K)しながら、磁極P13との対向位置を経た後、全てが落下する(矢印L)。一方、磁極P11付近で感光体1に付着したキャリアは、感光体1の回転によりキャリア回収ローラ13との対向位置まで達し、高磁束密度の磁極P21により吸着・回収される。本実施形態2では、キャリア回収スリーブ90表面は粗し処理を施したため、磁極P21は高磁束密度ではあるが、キャリア回収ローラ13上のキャリアはスリップすることなく搬送され、磁極P24との対向位置を経てケーシング96の終端で重力により回収搬送路7へ落下する(矢印M)。しかし、磁極P24と磁極P21との間の残留磁束密度のため落下しなかったり粗し処理の凹部に入ったりしたキャリアは、キャリア回収スリーブ90とともに連れまわろうとする。ここで、キャリア回収ローラ13と現像ローラ5との対向部では、現像スリーブ81の表面とキャリア回収スリーブ90の表面とは互いに反対方向に移動している。そのため、キャリア回収ローラ13上のキャリアは、現像ローラ5の磁極P12による穂立ちにより激しく摺擦される。また、キャリア回収ローラ13の現像ローラ5に対向する側には磁極がないので、キャリア回収ローラ13上のキャリアは、磁極P12により現像ローラ5へ完全に回収されることになる(矢印N)。
【0120】
また、一方で、磁極P11との対向位置を通過後、現像ローラ5の遠心力や重力で一部の現像剤の飛散が発生しても、キャリア回収ローラ13に落下した後、キャリア回収ローラ13内の磁極P21にて回収されるので問題にはならない(矢印O)。また、磁極P24による穂立ちがケーシング96に常に接触し磁気シールを形成している。そのため、スクレーパーの当接が無くても、矢印Kにて落下した現像剤がキャリア回収ローラ13とケーシング96との間隙から落下する問題は無い。また、キャリア回収ローラ13は極低速で間欠回転することから、回収したキャリアが遠心力で飛散する問題もない。
【0121】
なお、キャリア回収スリーブ90に粗し処理をせずに高磁束密度の磁極P21に吸着されているキャリアを順次、磁極P22、P23、P24へスリップなく搬送するためには、磁極P22〜P23も高磁束密度にすることも考えられる。ただし、高価な高磁束密度磁石を複数使用すると非常にコストが上昇してしまう欠点がある。そこで、磁極P22〜P23を従来の磁石とし、キャリア回収スリーブ90に前述の粗し処理・加工を施すのがよい。
【0122】
本発明者らは、キャリア回収率と擦れ画像とについて、従来例と本実施形態2の実施例(図17、18参照)との比較実験を行った。
図19は従来例2の装置構成を示す部分拡大図、図20は従来例3の装置構成を示す部分拡大図、図21は従来例4の装置構成を示す部分拡大図である。また、表4は実験結果を示す表である。
【表4】
【0123】
従来例2(表4及び図19参照)では、P21極の磁束密度が100(mT)と低いので、キャリア回収率は90(%)であった。
また、従来例3(表4及び図20参照)では、P21極の磁束密度を140(mT)と高くしたので、キャリア回収率は98(%)となったが、キャリア回収スリーブ90上でスリップが発生し、キャリアの搬送が出来なくなく擦れ画像が発生した。
また、従来例4(表4及び図21参照)では、P21極の磁束密度を140(mT)と高くしたのでキャリア回収率は95(%)となり、キャリア回収スリーブ90表面の粗し処理を施したのでキャリアの搬送も可能となったが、粗し処理のためスクレーパーを使用することができなく、キャリアの連れまわりによる擦れ画像が発生した。
これに対し、本実施形態2の第1の実施例(実施例4)では、P21極の磁束密度を140(mT)と高くしたのでキャリア回収率は98(%)となり、キャリア回収スリーブ90表面の粗し処理を施したのでキャリアの搬送も可能となり、キャリア回収ローラ13と現像ローラ5との回転方向を同じにしたので、P24の穂立ちをケーシング96に常に接触し磁気シールを形成することができ、キャリアの連れまわりによる擦れ画像を防止可能となる。
また、本実施形態2の第2の実施例(実施例5)では、P21極の磁束密度を200(mT)と更に高くしたのでキャリア回収率は極めて100(%)に近くすることができる。他の効果については実施例4と同等である。
【0124】
なお、本実施形態2に係るキャリア回収ローラ13においても、上記実施形態1と同様に、キャリア回収スリーブ90に粗し処理を施した場合、キャリア回収ローラ13にトナーが大量に付着すると、付着したトナーで粗し処理の凹凸が埋まり、キャリアの搬送不良を引き起こすトナー付着のおそれがある。そこで、本実施形態2においても、上記実施形態1と同様にスクレーパを使用しない構成であるため、以下の方法でキャリア回収ローラ13のトナー付着を防止している。
【0125】
図22は、本実施形態2においてキャリア回収ローラ13からのトナー除去を説明するための概略構成図である。
図22において、感光体1は図示しない帯電装置で−600(V)程度に帯電され(地肌部)、図示しない光書込ユニット(露光装置)で−100(V)程度に除電される(画像部)。また、本実施形態2のプロセスは、トナーが負極性に帯電され、キャリアが正極性に帯電された現像剤を使用するネガポジプロセスであり、現像バイアスとしては−500(V)程度を現像スリーブ81に印加している。そして、本実施形態2では、このようなネガポジプロセスにおいて、キャリア回収スリーブ90の電位を−700(V)程度とすることで、感光体1の表面電位および現像スリーブ81の現像バイアスよりも低く設定している。
【0126】
図22において、大粒子が正極性キャリア、小粒子が負極性トナーである。感光体1から見たキャリア回収スリーブ90の電位差は最小でも−100(V)である。これにより、正極性キャリアはキャリア回収スリーブ90へ向かう静電力が働くが、負極性トナーには反対に感光体1へ向かう静電力が働くので、トナーをキャリア回収スリーブ90へ引き寄せることが無い。ただし、浮遊しているトナーは積極的では無いにしろ、キャリア回収スリーブ90へ付着する場合がある。ところが、キャリア回収スリーブ90から見た現像スリーブ81の電位差は+200(V)である。キャリア回収スリーブ90へ付着したトナーは、そのキャリア回収スリーブ90の回転により現像ローラ5の磁極P12との対向部へ搬送され、磁気穂で摺擦されると同時に+200(V)の電位差で現像スリーブ81へ吸着され現像剤に取り込まれる。これにより、キャリア回収ローラ13の表面におけるトナー汚れを防止している。
【0127】
なお、上記実施形態2では負極性トナーを使用したネガポジプロセスであるが、正極性トナーを使用したポジポジプロセスにおいても電位極性を適正に選択することで同様の効果が得られる。
【0128】
[変形例1]
なお、上記実施形態2では感光体1が図17、18において反時計回りに回転する構成について説明したが、同図の時計回りに回転する感光体であっても適用できる。
図23は、図中の時計回りに回転する感光体1と現像ローラ5とキャリア回収ローラ13とを示す拡大概略構成図である。本変形例1では、現像ローラ5の現像スリーブ81を反時計回りに回転させ、同方向にキャリア回収スリーブ90が回転するキャリア回収ローラ13を、現像ローラ5の上部であって、現像領域に対して感光体1の回転方向下流側に配設する。このような構成においても、前述の実施形態1及び2と同じ効果が得られる。
【0129】
以上、本実施形態によれば、キャリア回収ローラ13のキャリア回収スリーブ90に内包される第2の磁界発生手段としてのキャリア回収磁石ローラ91は、現像ローラ5の現像スリーブ81と対向する部分に磁極がないことにより、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とが対向する対向位置において、感光体1から回収されてキャリア回収スリーブ90の表面に担持されているキャリアをキャリア回収スリーブ90の内側に向けて引き付ける磁力を弱めることができる。従って、上記対向位置においてキャリア回収スリーブ90の表面からキャリアが離れて現像スリーブ81側に移動しやすくなる。しかも、上記対向位置において、現像スリーブ81の表面移動方向とキャリア回収スリーブ90の表面移動移動方向とが互いに逆方向であるため、キャリア回収スリーブ90の表面から離れて現像スリーブ81側に移動したキャリアを、現像スリーブ81の表面移動によって感光体1側へ向かう方向とは逆方向に移動させることができる。このように現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とが対向する対向位置において、キャリア回収スリーブ90の表面からキャリアが離れて現像スリーブ81側に移動しやすくなるとともに、そのキャリア回収スリーブ90の表面から離れたキャリアを感光体1側へ向かう方向とは逆方向に移動させることにより、感光体1から回収されてキャリア回収スリーブ90の表面に担持されたキャリアが、感光体1に向かって移動するのを抑制することができる。よって、感光体1から回収したキャリアが感光体1上のトナー像に接触することによる擦れ画像の発生を防止することができる。
また、本実施形態によれば、現像剤担持体としての現像ローラ5に内包する第1の磁界発生手段としての磁石ローラ82は、キャリア回収スリーブ90と対向する部分に磁極P12を有することにより、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とが対向する対向位置において、磁極P12の磁力により、キャリア回収ローラ13上のキャリアを現像ローラ5側へ回収することができる。従って、感光体1から回収されてキャリア回収スリーブ90の表面に担持されたキャリアが、感光体1に向かって移動するのをより確実に抑制することができる。
また、本実施形態によれば、第1の磁界発生手段としての磁石ローラ82は、キャリア支持手段としてのキャリア回収スリーブ90と対向する位置を複数の磁極としての磁石83が順次通過するように回転可能に設けられていることにより、現像スリーブ81の表面に担持される現像剤と磁石ローラ82側の磁石83との対向回数が増加する。この対向回数の増加により、現像剤が磁極と対向したときに穂立ちが形成され磁極から離れた際に穂立ちが崩されるという現象を繰り返す回数が増加し、これによるトナーとキャリアとの摩擦接触機会の増加により、トナーの帯電特性を向上させることができる。
ここで、磁石ローラ82が、キャリア回収スリーブ90と対向する位置を複数の磁極としての磁石83が順次通過するように回転可能に設けられている従来の構成では、磁界現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とが対向する対向位置において、複数の磁極としての磁石83によって周期的に変化する磁場と、キャリア回収ローラ13内のキャリア回収磁石ローラ91の磁極による磁場とが干渉するおそれがある。この磁場の干渉は、磁石ローラ間の吸引と反発を繰り返して振動を発生させ、その振動が感光体1や光書込ユニット(露光装置)に伝播しバンディング画像となったり騒音が発生したり現像装置の寿命が低下したりする。また、上記磁場の干渉により現像剤の溢れが発生することもある。
これに対し、本実施形態によれば、キャリア回収ローラ13内のキャリア回収磁石ローラ91は現像スリーブ81と対向する部分に磁極がないため、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とが対向する対向位置において、上記磁場の干渉が発生しない。従って、上記磁場の干渉による振動の発生を防止することができ、その振動に起因したバンディング画像、騒音及び現像装置の寿命低下を防止することができるとともに、上記磁場の干渉により現像剤の溢れの発生も防止することができる。
また、本実施形態によれば、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とが対向する対向位置において、現像ローラ5内の磁石ローラ82により現像スリーブ81の表面に二成分現像剤を穂立ちさせた磁気穂を発生させ、その磁気穂をキャリア回収スリーブ90の表面に当接させている。この現像スリーブ81上の磁気穂でキャリア回収スリーブ90の表面を摺擦することができるため、キャリア回収ローラ13上のキャリアを現像ローラ5側へ回収することができる。従って、感光体1から回収されてキャリア回収スリーブ90の表面に担持されたキャリアが、感光体1に向かって移動するのをより確実に抑制することができる。
また、本実施形態によれば、キャリア回収スリーブ90の表面は粗し処理が施されているため、感光体1と対向する位置で感光体1から回収したキャリア回収スリーブ90上のキャリアをスリップさせることなく搬送することができるので、キャリア回収スリーブ90のキャリア搬送性を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、キャリア回収スリーブ90の表面にキャリア除去手段としてのスクレータを当接させていないため、キャリア回収スリーブの表面の劣化等による現像装置の寿命の低下を防止するこができる。
また、本実施形態によれば、キャリア回収ローラ13内のキャリア回収磁石ローラ91は感光体1に対向する部分に磁極P21を有し、その磁極P21による感光体表面での磁束密度を140[mT]以上としたことにより、感光体1からのキャリアの回収率として98%以上を達成できる。
また、本実施形態によれば、キャリア回収磁石ローラ91の感光体1に対向する部分に有する磁極P21による感光体表面での磁束密度を200[mT]以上とすることにより、感光体1からのキャリアの回収率として100%を達成できる。
また、本実施形態によれば、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90との間に電位差を形成する電位差形成手段を備え、その電位差は、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とが対向する位置において、キャリア回収スリーブ90に付着したトナーを現像スリーブ81に移行させる極性に設定されている。これにより、キャリア回収スリーブ90へのトナー付着を防止することができる。特に、キャリア回収スリーブ90の表面に粗し処理が施されている場合には、その表面の凹凸がトナーで埋まってキャリアの搬送不良が発生するのを防止することができる。
【符号の説明】
【0130】
1 感光体
4 現像装置
5 現像ローラ
13 キャリア回収ローラ
81 現像スリーブ
82 磁石ローラ
85 磁石ローラ
90 キャリア回収スリーブ
91 キャリア回収磁石ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【特許文献1】特開昭62−83767号公報
【特許文献2】特開平11−311903号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いる現像装置及びその現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の現像装置として、感光体に付着した磁性キャリアを磁気力または静電気力で回収するキャリア回収ローラを備えたものが知られている。
例えば、特許文献1には、現像スリーブに近接する位置にキャリア回収ローラを設け、そのキャリア回収ローラの内部に回転自在な磁気ローラを収納し、そのキャリア回収ローラ内の磁気ローラを現像スリーブ側の磁気ローラの磁力にて同期回転させる現像装置が開示されている。また、この現像装置では、キャリア回収ローラの外周面に捕獲したキャリアを磁気ローラの同期回転により搬送している。また、キャリア回収ローラの外周面にはスクレーパの先端を圧接させることにより、キャリア回収ローラの外周面で搬送されているキャリアが掻き取られる。
また、特許文献2には、表面の回転方向に直交する方向に沿うように溝部を形成したキャリア回収ローラを備えた現像装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、画像形成装置の高速化のため現像ローラを高速駆動したり高画質化のためにキャリアを小粒径化したりしているため、感光体へのキャリアの付着が増加するという問題が生じている。この問題に対処するため、キャリア回収ローラで感光体に付着したキャリアを回収するために静電気力や磁気力を高めることが考えられる。
しかしながら、従来のキャリア回収ローラでキャリアを回収するための静電気力を増加させると、感光体上のトナー像を乱すという問題が生じる。
また、上記引用文献1の現像装置のようにキャリア回収ローラの内部に回転自在な磁気ローラを収納した構成において、キャリア回収ローラ内のキャリア回収磁極の磁気力を増加させると、キャリア回収ローラで回収したキャリアを搬送できず、回収したキャリアによって感光体上のトナー像を擦って擦れ画像が発生するという問題がある。これは、キャリア回収ローラの表面が平滑でかつキャリア回収磁極の磁気力が高いとキャリアがスリップして溜まっていくために発生する現象である。
また、上記引用文献2の現像装置では、キャリア回収ローラの表面に溝が形成されているため、キャリア回収ローラの表面のキャリアを掻き取るスクレーパを使用することができない。そのためキャリア回収ローラ上のキャリアを完全に剥離することは困難であり、上記擦れ画像が発生するおそれがある。
【0004】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、像担持体から回収したキャリアが像担持体上のトナー像に接触することによる擦れ画像の発生を防止することができる現像装置及びその現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体に供給するトナーとキャリアとを含む二成分現像剤を担持する現像剤担持体を備え、前記現像剤担持体は、前記二成分現像剤を表面上に担持して回転可能な現像剤支持手段と、前記現像剤支持手段に内包され複数の磁極を有する第1の磁界発生手段とを備える現像装置であって、前記像担持体の表面移動方向における下流側から前記現像剤担持体に近接する位置に、前記像担持体に付着したキャリアを回収するキャリア回収手段を備え、前記キャリア回収手段は、前記キャリアを表面上に担持して回転可能なキャリア支持手段と、前記キャリア支持手段に内包されるように固定配置され複数の磁極を有する第2の磁界発生手段とを備え、前記第2の磁界発生手段は、前記現像剤支持手段と対向する部分に磁極がなく、前記現像剤支持手段と前記キャリア支持手段とが対向する位置において、前記現像剤支持手段の表面移動方向と前記キャリア支持手段の表面移動移動方向とが互いに逆方向であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、前記第1の磁界発生手段は、前記キャリア支持手段と対向する部分に磁極を有することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の現像装置において、前記第1の磁界発生手段は、前記キャリア支持手段と対向する位置を複数の磁極が順次通過するように回転可能に設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの現像装置において、前記現像剤支持手段と前記キャリア支持手段とが対向する位置において、前記第1の磁界発生手段により前記現像剤支持手段の表面に前記二成分現像剤を穂立ちさせた磁気穂を発生させ、その磁気穂を前記キャリ支持手段の表面に当接させたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの現像装置において、前記キャリア支持手段の表面は粗し処理が施されていることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の現像装置において、前記キャリア支持手段の表面にキャリア除去手段を当接させないことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかの現像装置において、前記第2の磁界発生手段は、前記像担持体に対向する部分に磁極を有し、その磁極による前記像担持体表面での磁束密度を140[mT]以上としたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の現像装置において、前記第2の磁界発生手段の前記像担持体に対向する部分に有する前記磁極による前記像担持体表面での磁束密度を200[mT]以上としたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかの現像装置において、前記現像剤支持手段と前記キャリア支持手段との間に電位差を形成する電位差形成手段を備え、その電位差は、前記現像剤支持手段と前記キャリア支持手段とが対向する位置において、前記キャリア支持手段に付着したトナーを前記現像剤支持手段に移行させる極性に設定されていることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、像担持体と、前記像担持体に形成された潜像を現像する現像装置と、を備えた画像形成装置であって、前記現像装置として、請求項1乃至9のいずれかの現像装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項10の画像形成装置において、前記キャリア支持手段と前記像担持体との間に電位差を形成する電位差形成手段を備え、その電位差は、前記像担持体に付着したトナー及びキャリアのうちキャリアのみを引き付ける極性に設定されていることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項10又は11の画像形成装置において、少なくとも前記現像装置と前記像担持体が収容されたプロセスカートリッジとを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1乃至9のいずれかの現像装置と像担持体とを備えたプロセスカートリッジである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、キャリア回収手段のキャリア支持手段に内包される第2の磁界発生手段は、現像剤担持体の現像剤支持手段と対向する部分に磁極がないことにより、現像剤支持手段とキャリア支持手段とが対向する対向位置において、像担持体から回収されてキャリア支持手段の表面に担持されているキャリアをキャリア支持手段の内側に向けて引き付ける磁力を弱めることができる。従って、上記対向位置においてキャリア支持手段の表面からキャリアが離れて現像剤支持手段側に移動しやすくなる。しかも、上記対向位置において、現像剤支持手段の表面移動方向とキャリア支持手段の表面移動移動方向とが互いに逆方向であるため、キャリア支持手段の表面から離れて現像剤支持手段側に移動したキャリアを、現像剤支持手段の表面移動によって像担持体側へ向かう方向とは逆方向に移動させることができる。このように現像剤支持手段とキャリア支持手段とが対向する対向位置において、キャリア支持手段の表面からキャリアが離れて現像剤支持手段側に移動しやすくなるとともに、そのキャリア支持手段の表面から離れたキャリアを像担持体側へ向かう方向とは逆方向に移動させることにより、像担持体から回収されてキャリア支持手段の表面に担持されたキャリアが、像担持体に向かって移動するのを抑制することができる。よって、像担持体から回収したキャリアが像担持体上のトナー像に接触することによる擦れ画像の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に係る複写機の概略構成図。
【図2】本実施形態に係る現像装置及び感光体を示す拡大構成図。
【図3】現像剤搬送路内の現像剤の流れを示す現像装置の部分透視斜視図。
【図4】現像装置のトナーを補給する位置を説明する外観斜視図。
【図5】現像ローラとキャリア回収ローラとが対向している要部の部分拡大図。
【図6】ブロック磁石を希土類ボンド磁石とした実施例1におけるキャリア回収スリーブ上での磁束密度波形を示す説明図。
【図7】ブロック磁石を希土類焼結磁石とした実施例2におけるキャリア回収スリーブ90上での磁束密度波形を示す説明図
【図8】現像剤のストレス低減の実験結果を示すグラフ。
【図9】キャリア回収ローラの駆動部の一構成例を示す概略構成図。
【図10】ブロック磁石の磁束密度を選定するための実験結果を示すグラフ。
【図11】従来例1の装置構成を示す部分拡大図。
【図12】実施例1の装置構成を示す部分拡大図。
【図13】比較例1の装置構成を示す部分拡大図。
【図14】従来例1の装置構成での振動の状態を示すグラフ。
【図15】実施例1の装置構成での振動の状態を示すグラフ。
【図16】キャリア回収ローラからのトナー除去を説明するための概略構成図。
【図17】本発明の他の実施形態に係る現像装置及び感光体を示す拡大構成図。
【図18】現像ローラとキャリア回収ローラとが対向している要部の部分拡大図。
【図19】従来例2の装置構成を示す部分拡大図。
【図20】従来例3の装置構成を示す部分拡大図。
【図21】従来例4の装置構成を示す部分拡大図。
【図22】キャリア回収ローラからのトナー除去を説明するための概略構成図。
【図23】変形例に係る時計回りに回転する感光体と、現像ローラと、キャリア回収ローラとを示す拡大概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態1]
以下、本発明を電子写真方式のフルカラー画像形成装置(以下、「複写機500」という。)に適用した実施形態について説明する。
【0009】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る複写機500の概略構成図である。図1において、複写機500は、画像形成手段としてのプリンタ部100、記録媒体としての転写紙をプリンタ部100に供給する記録媒体供給手段としての給紙装置200、プリンタ部100の上に固定されている画像読取手段としてのスキャナ300などを備えている。また、スキャナ300の上には原稿自動給送装置400が固定されている。
【0010】
プリンタ部100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kからなる画像形成ユニット20を備えている。各符号の数字の後に付されたY,M,C,Kはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、黒用の部材であることを示している(以下同様)。プリンタ部100は、プロセスカートリッジ18Y,M,C,Kの他に、潜像書込手段としての光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写装置22、レジストローラ対49、ベルト定着方式の定着装置25などが配設されている。
【0011】
光書込ユニット21は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて後述の感光体1の表面にレーザ光を照射する。
【0012】
プロセスカートリッジ18Y,M,C,Kは、像担持体としてのドラム状の感光体1、感光体1の表面を帯電する帯電手段としての帯電装置、感光体1に形成された潜像を現像する現像手段としての現像装置4、感光体1の表面をクリーニングする像担持体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置、感光体1の表面を除電する除電手段としての除電器などを有している。なお、各プロセスカートリッジ18Y,M,C,Kは互いに同様な構成を有しているので、以下、イエロー用のプロセスカートリッジ18Yについて説明する。
【0013】
帯電装置によって、感光体1Yの表面は一様帯電される。帯電処理が施された感光体1Yの表面には、光書込ユニット(露光装置)21によって変調及び偏向されたレーザ光が照射される。これにより、照射部(露光部)の感光体1Yの表面の電位が減衰する。この表面の電位の減衰により、感光体1Y表面にY用の静電潜像が形成される。形成されたY用の静電潜像は、現像装置4Yによって現像されてYトナー像となる。Y用の感光体1Y上に形成されたYトナー像は、後述の中間転写体としての中間転写ベルト110に一次転写される。一次転写後の感光体1Yの表面は、ドラムクリーニング装置によって転写残トナーがクリーニングされる。また、Y用のプロセスカートリッジ18Yにおいて、ドラムクリーニング装置によってクリーニングされた感光体1Yは、除電器によって除電される。そして、帯電装置によって一様帯電されて初期状態に戻る。以上のような一連のプロセスは、他のプロセスカートリッジ18M,C,Kについても同様である。
【0014】
次に、中間転写ユニット17について説明する。
中間転写ユニット17は、中間転写体としての中間転写ベルト110、中間転写ベルト110の表面をクリーニングする中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置60などを有している。また、中間転写ユニット17は、張架ローラ14、駆動ローラ15、二次転写バックアップローラ16、4つの一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kなども有している。
【0015】
中間転写ベルト110は、所定の張力を有するように張架ローラ14を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ15の回転により、中間転写ベルト110は図中時計回りに無端移動する。
【0016】
一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kはそれぞれ、中間転写ベルト110の内周面側に接触するように配設され、図示しない電源から一次転写バイアスの印加を受ける。また、中間転写ベルト110をその内周面側から感光体1Y,M,C,Kに向けて押圧してそれぞれ一次転写ニップを形成する。各一次転写ニップには、一次転写バイアスの影響により、感光体1と一次転写バイアスローラ62との間に一次転写電界が形成される。Y用の感光体1Y上に形成されたYトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト110上に一次転写される。このYトナー像の上には、M,C,K用の感光体1M,C,K上に形成されたM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト110上には多重トナー像たる4色重ね合わせトナー像(以下、「4色トナー像」という。)が形成される。
【0017】
中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像は、後述の二次転写ニップで図示しない記録媒体としての転写紙に二次転写される。二次転写ニップ通過後の中間転写ベルト110の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の駆動ローラ15との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置60によってクリーニングされる。
【0018】
次に、二次転写装置22について説明する。
中間転写ユニット17の図中下方には、2本の張架ローラ23によって紙搬送ベルト24を張架している二次転写装置22が配設されている。紙搬送ベルト24は、少なくとも何れか一方の張架ローラ23の回転駆動に伴って、図中反時計回りに無端移動する。2本の張架ローラ23のうち、図中右側に配設された一方の張架ローラ23すなわち転写紙搬送方向の上流側に配設された上流側の張架ローラ23は、中間転写ユニット17の二次転写バックアップローラ16との間に、中間転写ベルト110及び紙搬送ベルト24を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ユニット17の中間転写ベルト110と、二次転写装置22の紙搬送ベルト24とが接触する二次転写ニップが形成されている。そして、上記一方の(上流側の)張架ローラ23には、トナーと逆極性の二次転写バイアスが図示しない電源によって印加される。この二次転写バイアスの印加により、二次転写ニップには中間転写ユニット17の中間転写ベルト110上の4色トナー像をベルト側から上記一方の(上流側の)張架ローラ23側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。後述のレジストローラ対49によって中間転写ベルト110上の4色トナー像に同期するように二次転写ニップに送り込まれた転写紙には、上記二次転写電界やニップ圧の影響を受けた4色トナー像が二次転写される。なお、上記一方の(上流側の)張架ローラ23に二次転写バイアスを印加する二次転写方式に代えて、転写紙を非接触でチャージさせるチャージャを設けてもよい。
【0019】
複写機500本体の下部に設けられた給紙装置200には、内部に複数の転写紙を紙束の状態で複数枚重ねて収容可能な給紙カセット44が、鉛直方向に複数重なるように配設されている。それぞれの給紙カセット44は、紙束の一番上の転写紙に給紙ローラ42を押し当てている。そして、給紙ローラ42を回転させることにより、一番上の転写紙が給紙路48に向けて送り出される。
【0020】
給紙カセット44から送り出された転写紙を受け入れる給紙路46,48は、複数の搬送ローラ対47と、給紙路48内の末端付近に設けられたレジストローラ対49とを有している。そして、転写紙をレジストローラ対49に向けて搬送する。レジストローラ対49に向けて搬送された転写紙は、レジストローラ対49のローラ間に挟まれる。一方、中間転写ユニット17において、中間転写ベルト110上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って二次転写ニップに進入する。レジストローラ対49は、ローラ間に挟み込んだ転写紙を二次転写ニップにて4色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これにより、二次転写ニップでは、中間転写ベルト110上の4色トナー像が転写紙に密着する。そして、転写紙上に二次転写されて、白色の転写紙上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された転写紙は、紙搬送ベルト24の無端移動に伴って二次転写ニップを出た後、紙搬送ベルト24上から定着装置25に送られる。
【0021】
定着装置25は、定着ベルト26を2本のローラによって張架して無端移動させるベルトユニットと、このベルトユニットの一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ27とを備えている。定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、紙搬送ベルト24から受け取った転写紙をここに挟み込む。ベルトユニットにおける2本のローラのうち、加圧ローラ27から押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を有しており、この熱源の発熱によって定着ベルト26を加熱する。加熱された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれた転写紙を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が転写紙に定着される。
【0022】
定着装置25内で定着処理が施された転写紙は、プリンタ筐体の図中左側板の外側に設けたスタック部57上にスタックされるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために上述の二次転写ニップに戻されるかの何れかの搬送形態が選択される。
【0023】
図示しない原稿のコピーがとられる際には、例えばシート原稿の束が原稿自動搬送装置400の原稿台30上セットされる。但し、その原稿が本状に閉じられている片綴じ原稿である場合には、コンタクトガラス32上にセットされる。このセットに先立ち、複写機本体に対して原稿自動搬送装置400が開かれ、スキャナ300のコンタクトガラス32が露出される。この後、閉じられた原稿自動搬送装置400によって片綴じ原稿が押さえられる。このようにして原稿がセットされた後、図示しないコピースタートスイッチが押下されると、スキャナ300による原稿読取動作がスタートする。一方、原稿自動搬送装置400にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、原稿自動搬送装置400がシート原稿をコンタクトガラス32まで自動移動させる。原稿読取動作では、まず、第1走行体33と第2走行体34とがともに走行を開始し、第1走行体33に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第2走行体34内に設けられたミラーによって反射され、結像レンズ35を通過した後、読取センサ36に入射される。読取センサ36は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
【0024】
このような原稿読取動作と並行して、各プロセスカートリッジ18Y,M,C,K内の各装置や、中間転写ユニット17、二次転写装置22、定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサ36によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット(露光装置)21が駆動制御され、各感光体1Y,M,C,K上にY,M,C,Kトナー像が形成される。これらトナー像は、中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像となる。
【0025】
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙装置200内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、給紙ローラ42の1つが選択回転せしめられ、ペーパーバンク43内に多段に収容される給紙カセット44の1つから転写紙が送り出される。送り出された転写紙は、分離ローラ45で1枚ずつ分離されて給紙路46に進入した後、搬送ローラ対47によって二次転写ニップに向けて搬送される。このような給紙カセット44からの給紙に代えて、手差しトレイ51からの給紙が行われる場合もある。この場合、手差し給紙ローラ50が選択回転せしめられて手差しトレイ51上の転写紙を送り出した後、分離ローラ52が転写紙を1枚ずつ分離してプリンタ部100の手差し給紙路53に給紙する。
【0026】
複写機500は、2色以上のトナーからなる多色画像を形成する場合には、中間転写ベルト110をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架し、その上部張架面に全ての感光体1Y,M,C,Kを接触させる。これに対し、Kトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない機構により、中間転写ベルト110を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面をY,M,C用の感光体1Y,M,Cから離間させる。そして、4つの感光体1Y,M,C,Kのうち、K用の感光体1Kだけを図中反時計回りに回転させて、Kトナー像だけを作像する。この際、Y,M,Cについては、感光体1だけでなく、現像装置4も駆動を停止させて、感光体1や現像装置4の各部材及び現像装置4内のトナーと磁性キャリア(以下「キャリア」という。)とを含む二成分現像剤(以下「現像剤」という。)の不要な消耗を防止する。
【0027】
複写機500は、複写機500内の各機器の制御を司るCPU等から構成される図示しない制御手段としての制御部と、液晶ディスプレイや各種キーボタン等などから構成される図示しない操作表示部とを備えている。操作者は、この操作表示部に対するキー入力操作により、制御部に対して命令を送ることで、転写紙の片面だけに画像を形成するモードである片面プリントモードについて、例えば3つのモードの中から1つを選択することができる。この3つの片面プリントモードとは、ダイレクト排出モードと、反転排出モードと、反転デカール排出モードとからなる。
【0028】
図2は、本実施形態に係る複写機におけるプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kにそれぞれ装備されている現像装置4及び感光体1を示す拡大構成図である。4つのプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kは、それぞれ扱うトナーの色が異なる点以外はほぼ同様の構成になっているので、同図では「4」等の符号に付すY,M,C,Kという添字を省略している。
【0029】
図2に示すように、感光体1は図中矢印G方向に回転しながら、その表面を不図示の帯電装置により帯電される。帯電された感光体1の表面は、不図示の光書込ユニット(露光装置)から照射されたレーザ光により静電潜像を形成され、その静電潜像に現像装置4からトナーを供給され、トナー像が形成される。
【0030】
現像装置4は、トナーとキャリアとを含む現像剤を収容し、図中矢印I方向に現像剤を搬送しながら感光体1の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体としての現像ローラ5を備えている。現像ローラ5は、回転可能な現像剤支持手段としての現像スリーブ81を備え、複数の磁極からなり図中矢印A方向に回転可能な第1の磁界発生手段としての磁石ローラ82を内包している。
【0031】
また、現像ローラ5の下側であって、感光体1の表面移動方向における下流側で現像ローラ5および感光体1に近接した位置には、キャリア回収手段としてのキャリア回収ローラ13を備えている。キャリア回収ローラ13も、現像ローラ5と同様に、回転可能なキャリア支持手段としてのキャリア回収スリーブ90を備え、複数の固定磁極からなる第2の磁界発生手段(キャリア回収磁界発生手段)としてのキャリア回収磁石ローラ91を内包している。感光体1に付着したキャリアはキャリア回収ローラ13にて回収され、キャリア回収磁石ローラ91の磁気力とキャリア回収スリーブ90の回転とにより現像装置4内へ戻される。現像ローラ5およびキャリア回収ローラ13は、本発明の特徴部であり詳細は後述する。
【0032】
また、現像装置4は、現像ローラ5に現像剤を供給しながら現像ローラ5の軸線方向に沿って図2に示す紙面の奥側(以下、便宜上、「図中奥側」あるいは「図2中奥側」と称する場合もある)に向けて現像剤を搬送する供給搬送部材としての供給スクリュー8を有している。現像ローラ5の供給スクリュー8との対向部から現像剤搬送方向下流側には、現像ローラ5に供給された現像剤を現像に適した厚さに規制する現像剤規制手段としてのドクタブレード12を備えている。また、現像ローラ5の感光体1との対向部である現像領域よりも現像剤搬送方向下流側では、現像領域を通過して現像ローラ5の表面から離脱した現像済みの現像剤を回収する回収搬送路7が、現像ローラ5と対向する。回収搬送路7は、回収した回収現像剤を現像ローラ5の軸線方向に沿って供給スクリュー8と同方向に搬送する回収搬送部材として、軸線方向に平行に配置された螺旋状の回収スクリュー6を備えている。供給スクリュー8を備えた供給搬送路9は現像ローラ5の上方向に並設され、回収スクリュー6を備えた回収搬送路7は現像ローラ5の下方に並設されている。
【0033】
また、現像装置4は、供給搬送路9と回収搬送路7とに並列して攪拌搬送路10が設けられている。攪拌搬送路10は、奥側では回収搬送路7手前側では供給搬送路9と略同じ高さになるよう傾斜が設けてある。また、攪拌搬送路10は、現像ローラ5の軸線方向に沿って現像剤を攪拌しながら供給スクリュー8とは逆方向すなわち図2に示す紙面の手前側(以下、便宜上、「図中手前側」と称する場合もある)の方向に向けて搬送する攪拌搬送部材として、軸線方向に傾斜状に配置された、螺旋状の攪拌スクリュー11を備えている。供給搬送路9と攪拌搬送路10とは仕切り壁としての第一仕切り壁133によって仕切られている。第一仕切り壁133の供給搬送路9と攪拌搬送路10とは、図中手前側が開口部となっており、供給搬送路9と攪拌搬送路10とが連通している。また、供給搬送路9と回収搬送路7との間は第二仕切り壁134によって仕切られている。第二仕切り壁134の供給搬送路9と回収搬送路7とは、図中奥側が開口部となっており、供給搬送路9と回収搬送路7とが連通している。また、攪拌搬送路10と回収搬送路7との2つの現像剤搬送路は、仕切り部材としての第三仕切り壁135によって仕切られている。第三仕切り壁135は、図中奥側が開口部となっており、攪拌搬送路10と回収搬送路7とが連通している。
【0034】
現像剤搬送部材である供給スクリュー8、回収スクリュー6及び攪拌スクリュー11は、樹脂もしくは金属のスクリューからなっており、各スクリュー径は供給スクリュー8及び回収スクリュー6がφ26(mm)、攪拌スクリュー11がφ30(mm)である。また、供給スクリュー8はスクリューピッチが54(mm)の2条巻きであり、回収スクリュー6はスクリューピッチが36(mm)の2条巻きであり、攪拌スクリュー11はスクリューピッチが54(mm)の2条巻きである。各スクリューの回転数は全て約600(rpm)に設定されている。
【0035】
現像ローラ5上に担持された現像剤は、ステンレスからなるドクタブレード12によって薄層化されたうえで感光体1との対向部である現像領域まで搬送され、感光体1の潜像の現像が行われる。現像ローラ5の直径はφ40(mm)、ドクタブレード12と感光体1とのギャップは0.3(mm)程度となっている。
【0036】
現像後の現像剤は回収搬送路7にて回収が行われ、図2中奥側に搬送され、非画像領域部に設けられた第三仕切り壁135の開口部で、攪拌搬送路10へ現像剤が移送される。なお、供給搬送路9における現像剤搬送方向下流側の第二仕切り壁134の開口部の付近で供給搬送路9の上側には、図4に示すように後述するトナー補給口95から供給搬送路9にトナーが供給される。
【0037】
次に、3つの現像剤搬送路内での現像剤の循環について説明する。
図3は、現像剤搬送路内の現像剤の流れを説明する現像装置4の部分透視斜視図である。図中の各矢印は現像剤の移動方向を示している。図3において、攪拌搬送路10から現像剤の供給を受けた供給搬送路9では、現像剤が移動しながら現像ローラ5に接触して供給される。そして、現像ローラ5に供給されずに供給搬送路9の搬送方向下流端まで移動した余剰現像剤は、第二仕切り壁134の余剰開口部より回収搬送路7に供給される(図3中矢印E)。
【0038】
一方、現像ローラ5に供給された現像剤は、現像領域で現像に用いられた後、現像ローラ5から分離・離脱して回収搬送路7に受け渡される。現像ローラ5から回収搬送路7に受け渡され、回収スクリュー6によって回収搬送路7の搬送方向下流端まで搬送された回収現像剤は、第三仕切り壁135の回収開口部より攪拌搬送路10に供給される(図3中矢印F)。
【0039】
そして、攪拌搬送路10では、供給搬送路9から供給された余剰現像剤と回収搬送路7に回収された回収現像剤と後述するトナー補給口95(図4参照)から補給されたトナー(図3中矢印t)とが攪拌される。これら攪拌された現像剤は、攪拌スクリュー11の搬送方向下流側で、かつ、供給スクリュー8の搬送方向上流側に搬送され、第一仕切り壁133の供給開口部より供給搬送路9に供給される(図3中矢印D)。
【0040】
なお、攪拌搬送路10の下方には、透磁率センサからなるトナー濃度センサ(不図示)が設けられ、そのトナー濃度センサの出力に基づいて不図示のトナー補給制御装置を作動させ、不図示のトナー収容部からトナー補給を行っている。
【0041】
図3に示す現像装置4では、供給搬送路9と回収搬送路7とを備え、現像剤の供給と回収とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が供給搬送路9に混入することがない。このため、供給搬送路9の搬送方向下流側ほど現像ローラ5に供給される現像剤のトナー濃度が低下することを抑制することができる。また、回収搬送路7と攪拌搬送路10とを備え、現像剤の回収と攪拌とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が攪拌の途中に落ちることがない。これにより、十分に攪拌がなされた現像剤が供給搬送路9に供給されるため、供給搬送路9に供給される現像剤が攪拌不足となることを抑制することができる。このように、供給搬送路9内の現像剤のトナー濃度が低下することを抑制し、供給搬送路9内の現像剤が攪拌不足となることを抑制することができるので現像時の画像濃度を一定にすることができる。
【0042】
図4は、現像装置4のトナーを補給する位置を説明する外観斜視図である。
図4に示すように、トナーを補給するトナー補給口95は、供給スクリュー8を備える供給搬送路9の搬送方向下流端部の上方に設けられている。このトナー補給口95は第二仕切り壁134の余剰開口部(図3中矢印E)の上部に位置することにより、トナーは余剰現像剤および回収現像剤と混ざりやすく、この位置で補給を行うことによってより効率よく現像剤の攪拌を行うことができる。
【0043】
次に、上記構成の複写機の現像装置における現像ローラ5及びキャリア回収ローラ13並びにその周辺の構成について説明する。
図5は、現像ローラ5とキャリア回収ローラ13とが対向している要部の部分拡大図である。図5において、現像ローラ5は、現像剤を担持する円筒状の現像剤支持手段としての現像スリーブ81と、現像スリーブ81に内包され磁気力により現像剤を吸着する第1の磁界発生手段としての磁石ローラ82とを有する。
【0044】
現像スリーブ81は、アルミ、オーステナイト系ステンレス、マグネシウム等の非磁性かつ導電材料で構成されている。現像スリーブ81の表面は平滑でも構わないが、高速機では現像剤のスリップを抑制するために、下記(A)乃至(C)のいずれかの粗し処理・加工を施してもよい。
(A)V溝またはU溝等の溝押し出し加工・各種凹形状の機械加工またはレーザ加工またはエッジング加工
(B)ブラスト処理
(C)金属またはセラミック等の溶射処理
【0045】
磁石ローラ82は、現像剤の搬送方向(現像スリーブ表面の移動方向)Iとは反対の矢印A方向に回転可能に設けられている。また、磁石ローラ82は、偶数個(図5の構成例では16個)の磁石83が周方向に等間隔で配置されている。各磁石83の極性は、隣り合う磁石間で引き合うように互いに反対向きとなっている。
【0046】
また、本実施形態では、磁石ローラ82と現像スリーブ81との間の駆動関係として、同方向および相対方向の何れかの回転方向が選択できるように構成されている。その回転関係は、現像スリーブ81の表面に担持される現像剤と磁石ローラ82側の磁石83との対向回数が多くなることを条件として設定されるようになっている。
【0047】
上述した駆動関係の設定により得られる、磁石ローラ82の磁石に対する現像剤の対向回数の増加によって、現像剤が磁極と対向したときに穂立ちが形成され、磁極から離れた際に穂立ちが崩されるという現象を繰り返す回数が増加し、これによるトナーとキャリアとの摩擦接触機会の増加により、トナーの帯電特性を向上させることができる。この場合の対向回数の増加は、上述したように、磁石ローラ82と現像スリーブ81との回転方向の設定や速度差の設定などによって得られる。つまり、両者が同じ方向に回転する場合には、両者間に速度差を設定することで磁石83に対する現像剤の対向回数を増加させることができ、また、速度差を設定しないで相反する方向とした場合も同様に磁石83に対する現像剤の対向回数を増加させることができる。
【0048】
上述した磁石83に関しては、従来の廉価なフェライト磁石が使用可能であるが、小型化や高速化のためにはより強力なサマリウムコバルト磁石やネオジム磁石等の希土類磁石の使用も可能である。磁石83は磁石ホルダ84に接着により支持され、その外周を図示しない熱収縮チューブ等で保護してもよい。
【0049】
磁石ホルダ84は磁性材料とすると磁石83の磁気力を若干向上可能である。但し、コスト高であり一般に鉄を主成分とする磁性材料は高比重のため高速回転時は慣性モーメントが増大し駆動部の耐久性に問題が生じる場合がある。そのため、磁石83の磁気力は若干低くなるが、非磁性かつ軽比重のアルミニウムやマグネシウムを材料としてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、図5に示すように、磁石ローラ82の回転中心P’は現像スリーブ81の回転中心Pより距離(T)だけ離れた位置に偏心させて位置決めされている。偏心の方向は、現像ローラ5の表面に担持された現像剤が感光体1に移行する付近に設定され、上記符号Tで示した距離に相当する偏心量は、現像領域においてキャリアが感光体1に移行するのを磁極からの磁力によって抑制することができる量とされている。これにより、感光体1に移行する現像剤は、感光体との接触に際して穂立ちを確保された状態で接触できると共に、接近した磁極からの磁力によりキャリアの移行が阻止されてトナーのみを感光体の潜像に供給するように移動することになる。一方、偏心方向と反対側では磁気力を低く抑えることができる。このため、現像スリーブ81表面に担持されている現像剤の剥離を容易にすることができる。このような偏心構造を設けるだけで、現像剤の剥離が外部からの機械的な外力を用いることなく容易に行えることになる。
【0051】
次に、図5に基づいて、本実施形態の現像装置4における現像剤の移送について説明する。
供給スクリュー8により樋9’に供給された現像剤は、磁石ローラ82の磁気力により現像スリーブ81上に吸着され、現像スリーブ81の回転により搬送され、ドクタブレード12を通過する際に現像剤量を一定に規制される。ドクタブレード12を通過した現像剤は磁力線に沿って配列される。つまり、磁石83上では、符号B1で示すように磁気穂が発生し、磁石83間では、符号B2で示すように磁気穂は転倒する。
【0052】
磁石ローラ82の回転方向を、現像スリーブ81の回転方向(図中の矢印Iの方向)に対して相反する方向(図中の矢印Aの方向)にした場合、磁石ローラ82が回転する間、磁気穂は、所謂フリップフラップ状に自転し、磁石ローラ82の回転方向である矢印Aで示す方向と反対の矢印F方向に進行する。この際、現像スリーブ81は補助的に矢印I方向に比較的低速で回転させてもよい。
【0053】
ドクタブレード12を通過した現像剤は引き続き自転進行するに従い、磁石ローラ82の偏心により次第に現像スリーブ81への吸着力を増大し、キャリアが感光体1に移行するのを抑制する。磁石ローラ82が高回転なほど感光体1の対向部において現像剤は活発に撹拌されるため、感光体1の潜像に応じて効率良くトナーを転移できるが、前記磁気穂の自転による遠心力は回転数の2乗に比例して増大するため、感光体1へのキャリア付着も増大する。このキャリア付着の除去方法については後述する。
【0054】
現像剤は引き続き自転進行するに従い磁石ローラ82の偏心により次第に現像スリーブ81への吸着力を減少させ、供給搬送路7にて自重により現像スリーブ81より離脱する(図5中矢印K、Lの方向)。
【0055】
キャリア回収ローラ13は、回転可能なキャリア支持手段としてのキャリア回収スリーブ90を備え、複数の固定磁極からなる第2の磁界発生手段(キャリア回収磁界発生手段)としてのキャリア回収磁石ローラ91を内包している。キャリア回収磁石ローラ91は、例えば、アルミニウム、オーステナイト系ステンレス、マグネシウム、各種樹脂材料等の非磁性材料からなるシャフト92に、複合磁石93、ブロック磁石94を貼り付けて構成することができる。
【0056】
複合磁石93は、マグネット粉末としてSrフェライトないしBaフェライトを用い、高分子化合物として6PAもしくは12PA等のPA(ポリアミド)系材料、EEA(エチレン・エチル共重合体)又はEVA(エチレン・ビニル共重合体)等のエチレン系化合物、CPE(塩素化ポリエチレン)等の塩素系材料、NBR等のゴム材料を使用して製造することができる。これらの材料を使用し、軸方向に直交する断面における形状が半月状になるように成型し、着磁により3個の磁極P22,P23,P24を形成することにより、複合磁石93を得ることができる。複合磁石93の切り欠き部は、現像ローラ5側に配置され、現像ローラ5に対向する側には磁極を有しないようにしてある。
【0057】
ブロック磁石94は、感光体1に付着したキャリアを回収するために、複合磁石93よりも小さい体積で高磁力が必要であり、Br(残留磁束密度)>0.5T(テスラ)の材料を用いることが望ましく、多くはNd系(Nd−Fe−B等)またはSm系(Sm−Co、Sm−Fe−N等)の希土類焼結磁石もしくはこれらのマグネット粉を高分子化合物と混合した希土類ボンド磁石を用いることができる。また、希土類系マグネット粉には等方性、異方性のマグネット粉があり、異方性マグネット粉の方が高磁力を得られるが、所望の磁気特性に応じてどちらのタイプを用いてもかまわない。そして、上記の材料について、燒結、押出し成型・射出成型、あるいは、磁性粉とバインダーの型内圧縮成型等を行い、磁極P21を着磁させることにより、ブロック磁石94を得ることができる。ブロック磁石94の長手方向(軸方向)に直交する断面における形状は、例えば図5に示すように正方形である。そして、ブロック磁石94の断面における寸法は、キャリア回収ローラ13の周方向の寸法である幅が例えば3(mm)であり、キャリア回収ローラ13の径方向における寸法である厚さが例えば3(mm)である。また、ブロック磁石94の長手方向の長さは例えば346(mm)であり、磁石ローラ82より約10(mm)長くして端部まで確実にキャリア回収を可能にしている。
【0058】
図6は、ブロック磁石94を希土類ボンド磁石とした実施例1におけるキャリア回収スリーブ上での磁束密度波形を示す説明図である。ブロック磁石94の磁極P21に対向するキャリア回収スリーブ上で150(mT)という高磁束密度が得られた。そして、このブロック磁石94の磁極P21による磁束密度は0.5(mm)離れた感光体1上で140(mT)となった。また、他の磁極である搬送極P22,P23,P24によってキャリア回収スリーブ上に形成される磁束密度は、磁極P22に対して100(mT)、磁極P23に対して70(mT)、磁極P24に対して40(mT)とした。
【0059】
図7は、ブロック磁石94を希土類焼結磁石とした実施例2におけるキャリア回収スリーブ90上での磁束密度波形を示す説明図である。この実施例では、ブロック磁石94の磁極P21に対向するキャリア回収スリーブ上で230(mT)と更に高磁束密度が得られた。そして、このブロック磁石94の磁極P21による磁束密度は0.5(mm)離れた感光体1上で200(mT)となった。また、他の磁極である搬送極P22,P23,P24によってキャリア回収スリーブ上に形成される磁束密度は、磁極P22に対して110(mT)、磁極P23に対してが70(mT)、磁極P24に対して40(mT)とした。
【0060】
キャリア回収スリーブ90は、アルミニウム、オーステナイト系ステンレス、マグネシウム等の非磁性かつ導電材料で構成されている。また、前述したように高磁束密度の磁極P21に吸着されているキャリアを比較的低磁束密度の磁極P22へスリップなく搬送するためには、キャリア回収スリーブ90の表面に、下記(A)乃至(C)のいずれかの粗し処理・加工を施す必要がある。
(A)V溝またはU溝等の溝押し出し加工・各種凹形状の機械加工またはレーザ加工またはエッジング加工
(B)ブラスト処理
(C)金属またはセラミック等の溶射処理
【0061】
上記(A)の加工については、溝又は凹部の深さは0.05(mm)〜0.5(mm)程度であり、その形状や個数等については例えば公知技術と同様に設定することが可能である。上記(B)の加工については、その粗さはRz7(μm)〜Rz50(μm)の範囲が好ましい。この粗さの範囲は、上記(B)で製作可能な範囲であり、かつキャリアのスリップを防止できる範囲である。上記(C)の加工については、その粗さはRz40(μm)〜Rz90(μm)の範囲が好ましい。この粗さの範囲は、上記(C)で製作可能な範囲であり、かつキャリアのスリップを防止できる範囲である。
【0062】
また、キャリア回収ローラ13と感光体1との間隙は例えば0.5(mm)と狭く設定することで、感光体1上の磁束密度はキャリア回収スリーブ90上での磁束密度より10〜30(mT)程度の減衰に抑えられる。キャリア回収ローラ13と現像ローラ5との間隙は2(mm)と狭めに設定することで、現像ローラ5の穂立ちをキャリア回収ローラ13に接触させることができる。
【0063】
また、図5に示すように、キャリア回収ローラ13の現像ローラ5とは反対側(図5中におけるキャリア回収ローラ13の下側)にはケーシング96を備えている。キャリア回収ローラ13とケーシング96との間隙は例えば1.5(mm)と狭く設定することで、磁極P24での穂立ちをケーシング96に接触させることができる。
【0064】
なお、本実施形態では、図5に示すように、樋9’およびドクタブレード12は互いに隣接させ、且つ現像ローラ5の鉛直方向上方に配置している。樋9’は重力を利用して現像剤を溜めるために現像ローラ5の上方である必要があり、概ね鉛直点より上下流に45度の位置に配置可能である。現像剤溜め部としての樋9’は現像剤で満たされるため、磁気穂の生成が抑えられ、現像剤のストレスを低減できる。ドクタブレード12による現像剤規制部を通過した後は、現像ローラ5上で磁気穂の自転が発生するが、磁気穂は十分短く規制されているためストレスの増加にはならない。
【0065】
本発明者らは、現像剤のストレス低減の効果を検証するために実験を行った。
図8は現像剤のストレス低減の実験結果を示すグラフである。また、表1は実験条件を示す表である。
【表1】
【0066】
現像剤のストレスの指標として、本実施形態の現像装置および従来の現像装置をそれぞれ駆動する際の仕事率の測定を行った。仕事率は、駆動トルクおよび駆動回転数から求めることができる。図8に示すように、本実施形態の現像装置では、高速化とともに仕事率は上昇するものの、従来の現像装置に対して約33(%)の仕事率が低減つまりはストレスが低減していることがわかる。
【0067】
次に、キャリア回収ローラ13の駆動方法について説明する。
図9は、キャリア回収ローラ13の駆動部の一構成例を示す概略構成図である。図9において、現像装置4の手前側であって回収スクリュー6の端部は偏心カム97を備えている。偏心カム97はカムフォロワー98の長穴に回転可能な状態で勘合している。また、カムフォロワー98の反対側端部にはワンウェイクラッチ99が圧入されており、ワンウェイクラッチ99の内径部にはキャリア回収ローラ13の駆動軸が挿入されている。
【0068】
図9において、回収スクリュー6の回転により偏心カム97がP方向に回転すると、カムフォロワー98はQ方向とR方向に揺動することになる。ワンウェイクラッチ99はQ方向動作時のみをロックさせ、R方向動作時は空転させることで、キャリア回収ローラ13はJ方向に間欠的に駆動される。カムフォロワー98の揺動角を例えば7.2(°)とすることで、回収スクリュー6が50回転するとキャリア回収ローラ13は360(°)つまり1回転することになる。回収スクリュー6は約600(rpm)で回転するのであるから、キャリア回収ローラ13は約12(rpm)の極低速で間欠回転することになる。
【0069】
上記図9の駆動部は簡易な構成で大きな減速比が得られるが、キャリア回収ローラ13の駆動方式は本構成に限定されるものではなく、複数のギヤやタイミングベルトによる減速、小型専用モータの設置等の方式を選択することも可能である。
【0070】
以上の構成の現像装置4において、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とは、図2中でI、J方向、つまりは同方向に回転させる。すなわち、現像ローラ5とキャリア回収ローラ13とが対向する位置において、現像スリーブ81の表面とキャリア回収スリーブ90の表面とが互いに逆方向に移動するように、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とを回転させている。以下、このときの現像剤の移動及びキャリアの回収動作を、図5を参照して説明する。
【0071】
図5において、現像領域で感光体1に付着したキャリアは、感光体1の回転によりキャリア回収ローラ13まで達し、高磁束密度の磁極P21により吸着・回収される。本実施形態では、キャリア回収スリーブ90の表面は粗し処理が施されているため、磁極P21は高磁束密度ではあるが、キャリア回収ローラ13上のキャリアはスリップすることなく搬送され、磁極P24を経てケーシング96の終端で重力により回収搬送路7へ落下する(図5中の矢印M)。しかし、磁極P24と磁極P21との間の残留磁束密度のため落下しなかったり粗し処理の凹部に入ったりしたキャリアは、キャリア回収スリーブ90とともに連れまわろうとする。ここで、キャリア回収ローラ13と現像ローラ5との対向部では、現像スリーブ81の表面とキャリア回収スリーブ90の表面とは互いに反対方向に移動している。そのため、キャリア回収ローラ13上のキャリアは、現像ローラ5上の穂立ちにより激しく摺擦される。また、キャリア回収ローラ13の現像ローラ5に対向する側には磁極がないので、現像ローラ5内の磁石83によって現像ローラ5へ完全に回収されることになる(図5中の矢印N)。
【0072】
また、一方で、現像領域を通過した後、現像ローラ5の遠心力や重力によって現像ローラ5上の一部の現像剤の飛散が発生しても、キャリア回収ローラ13に落下した後、キャリア回収ローラ13内の磁極P21にて回収されるので問題にはならない(図5中の矢印O)。また、磁極P24による穂立ちがケーシング96に常に接触し磁気シールを形成している。そのため、キャリア除去手段としてのスクレーパの当接が無くても、矢印Kにて落下した現像剤がキャリア回収ローラ13とケーシング96との間隙から落下する問題は無い。また、キャリア回収ローラ13は極低速で間欠回転することから、回収したキャリアが遠心力で飛散する問題もない。
【0073】
なお、キャリア回収スリーブ90に粗し処理をせずに高磁束密度の磁極P21に吸着されているキャリアを順次、磁極P22、P23、P24との対向部へスリップなく搬送するために、磁極P22〜P23も高磁束密度にすることも考えられる。ただし、高価な高磁束密度磁石を複数使用すると非常にコストが上昇してしまう。そこで、磁極P22〜P23を従来の磁石とし、キャリア回収スリーブ90に前述の粗し処理・加工を施すのがよい。
【0074】
本発明者らは、ブロック磁石94の磁束密度を選定するために鋭意実験を行った。
図10は、ブロック磁石94の磁束密度を選定するための実験結果を示すグラフである。また、表2は実験条件を示す表である。
【表2】
【0075】
現像工程の後、転写工程前の感光体1上の単位面積当たりのキャリア個数をキャリア回収ローラ13の有無でカウントし、その比をキャリア回収率とした。キャリア回収ローラ13と感光体1との間隙は0.5(mm)に設定し、感光体1上の磁束密度とキャリア回収率の関係を調査した。図10の実験結果によれば、磁束密度は高い方がキャリア回収率も高まり、通常問題とならないレベルである回収率98(%)は磁束密度が140(mT)以上で達成可能であり、磁束密度が200(mT)以上でキャリア回収率は極めて100(%)に近くなることがわかった。
【0076】
上記感光体1上の磁束密度140(mT)は希土類ボンド磁石で達成可能であるが、磁束密度200(mT)の達成のためには高価な希土類焼結磁石が必要となる。磁石の材質はコストとキャリア付着の問題レベルから適宜選択するのがよい。
【0077】
また、本発明者らは、振動とキャリア回収率と擦れ画像とについて、従来例と本実施形態1の実施例との比較実験を行った。
ここで、従来より、現像ローラ内の磁石ローラを高速で回転させ現像剤の攪拌および帯電を効率良く行う現像装置が知られているが、この種の現像装置では磁石ローラの回転により現像ローラ上で磁気穂が激しく自転し、その遠心力でキャリアが飛散し、感光体に付着するキャリア付着がより深刻な問題となっている。一方で、感光体上のキャリアを回収するために、キャリア回収ローラを感光体および現像ローラ近傍に配置した場合、現像ローラ内の磁石ローラの交番磁場とキャリア回収ローラ内の磁石ローラの磁場とが干渉し、磁石ローラ間の吸引と反発を繰り返し多大な振動を発生させるという問題があった。この振動は感光体や光書込ユニット(露光装置)に伝播しバンディング画像となったり、騒音が発生したり、現像装置の寿命が低下したりする。また、上記磁場の干渉により現像剤の溢れが発生することもあった。
上記振動による画質低下、騒音、現像装置の寿命低下、現像剤の溢れ等を防止するために、キャリア回収ローラの磁場を低減させることが考えられるが、キャリア回収効率が低下してしまう。また、キャリア回収ローラの磁場は低下させずに、キャリア回収ローラを現像ローラから十分離れた位置に配置することも考えられるが、画像形成装置が大型化したり回収したキャリアを現像装置に戻すのに複雑な機構が必要となったりする問題や、回収したキャリアをキャリア溜めに溜めて現像装置に戻さない場合は現像装置内のキャリアが次第に減少してしまうという問題がある。
そこで、本実施形態では、上記振動等の各問題を解決するために、前述のように第2の磁界発生手段であるキャリア回収磁石ローラ91を、現像スリーブ81と対向する部分に磁極を有さないように構成している。より具体的には、キャリア回収磁石ローラ91を構成する複合磁石93の軸方向に直交する断面における形状を半月状になるように成型し、その複合磁石93の磁極がない切り欠き部を現像ローラ5側に配置している。
【0078】
図11は従来例1の装置構成を示す部分拡大図、図12は本実施形態に係る実施例1の装置構成を示す部分拡大図、図13は比較例1の装置構成を示す部分拡大図である。また、図14は従来例1の装置構成での振動の状態を示すグラフ、図15は実施例1の装置構成での振動の状態を示すグラフである。表3は実験結果を示す表である。振動測定方法は、ドクタブレード12の上部に加速度ピックアップを貼り付けてドクタブレード12に伝わる振動を測定した。加速度が±10(m/s2)を振動許容レベルに設定した。このレベルであればバンディング等の不具合が無い。
【表3】
【0079】
従来例1の構成(表3及び図11参照)では、磁極P21による感光体1上の磁束密度が100(mT)と低いので、キャリア回収率は90(%)であった。しかも、図14に示すように、磁石83とP22との磁場干渉により、振動が許容レベルを越える結果となった。
【0080】
これに対して、実施例1の構成(表3及び図12参照)では、キャリア回収ローラ13の回転方向を現像ローラ5と同方向にしたので、現像ローラ5に対向する側には磁極が不要になり、図15に示すように振動が許容レベル内になった。また、キャリア除去手段としてのスクレーパも不要となった。
【0081】
また、比較例1の構成(表3及び図13参照)では、実施例1の効果に加えて、磁極P21による感光体1上の磁束密度を140(mT)と高くしたので、キャリア回収率は98(%)となったが、キャリア回収スリーブ90上でスリップが発生し、キャリアの搬送ができず、キャリア溜まりUが発生し、擦れ画像が発生した。
【0082】
また、実施例2の構成(表3及び図5参照)では、比較例1の効果に加えて、キャリア回収スリーブ90表面の粗し処理を施したので、キャリアの搬送も可能となり、キャリア回収ローラ13と現像ローラ5との回転方向を同じにしたので、磁極P24による穂立ちをケーシング96に常に接触させて磁気シールを形成することができ、キャリアの連れまわりによる擦れ画像を防止可能となる結果が得られた。
【0083】
また、実施例3の構成(表3及び図5参照)では、磁極P21による感光体1上の磁束密度を200(mT)と更に高くしたので、キャリア回収率は極めて100(%)に近くすることができた。他の効果については実施例1と同等であった。
【0084】
なお、上記キャリア回収ローラ13のキャリア回収スリーブ90の表面に粗し処理を施した場合、キャリア回収ローラ13にトナーが大量に付着すると、付着したトナーで粗し処理の凹凸が埋まり、キャリアの搬送不良を引き起こすトナー付着のおそれがある。従来技術においては、キャリア回収ローラ13にスクレーパが当接され、キャリアと同時にトナーの剥離を行っていたが、本実施形態ではスクレーパを使用しない構成であるため、以下の方法でキャリア回収ローラ13のトナー付着を防止している。
【0085】
図16は、キャリア回収ローラ13からのトナー除去を説明するための概略構成図である。
図16において、感光体1は図示しない帯電装置で−600(V)程度に帯電され(地肌部)、図示しない光書込ユニット(露光装置)で−100(V)程度に除電される(画像部)。また、本実施形態のプロセスは、トナーが負極性に帯電されキャリアが正極性に帯電された現像剤を使用するネガポジプロセスであり、現像バイアスとしては−500(V)程度を現像スリーブ81に印加している。そして、本実施形態では、このようなネガポジプロセスにおいて、キャリア回収スリーブ90の電位を−700(V)程度とすることで、感光体1の表面電位および現像スリーブ81の現像バイアスよりも低く設定している。
【0086】
図16において、大粒子が正極性キャリア、小粒子が負極性トナーである。感光体1から見たキャリア回収スリーブ90の電位差は最小でも−100(V)である。これにより、正極性キャリアはキャリア回収スリーブ90へ向かう静電力が働くが、負極性トナーは反対に感光体1へ向かう静電力が働くので、トナーをキャリア回収スリーブ90へ引き寄せることが無い。ただし、浮遊しているトナーは積極的では無いにしろ、キャリア回収スリーブ90へ付着する場合がある。ところが、キャリア回収スリーブ90から見た現像スリーブ81の電位差は+200(V)である。キャリア回収スリーブ90へ付着したトナーは、そのキャリア回収スリーブ90の回転により現像スリーブ81の対向部へ搬送され、磁気穂で摺擦されると同時に+200(V)の電位差で現像スリーブ81へ吸着され現像剤に取り込まれる。これにより、キャリア回収ローラ13の表面におけるトナー汚れを防止している。
【0087】
なお、上記実施形態では負極性トナーを使用したネガポジプロセスであるが、正極性トナーを使用したポジポジプロセスにおいても電位極性を適正に選択することで同様の効果が得られる。
【0088】
なお、本実施形態に用いられる現像剤としては、以下に示す構成の現像剤を用いることができる。
本実施形態に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有し、必要に応じて離型剤や帯電制御剤、その他の成分が含有される。また、添加剤として上述のもの以外に、必要に応じて流動性向上剤やその他の成分が添加される。これら材料に関しては、公知のものがすべて可能である。結着樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロレスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)タクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリロニトリル酸、(メタ)アクリアミド、(メタ)アクリル酸、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル。ビニルメチルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、ブタジエン等の単量体の重量体、又は、これらの単量体の2種類以上からなる共重合体、あるいはそれらの混合物が挙げられる。その他、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ロジン、変性ロジン、テルベン樹脂、フェノール樹脂、水添石油樹脂、アイオノマー樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂等が単独あるいは混合して使用できる。
【0089】
着色剤としては公知の染料及び顔料がすべて使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレトVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。使用量は一般にバインダー樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部である。
【0090】
帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む。)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、2〜5重量部の範囲がよい。0.1重量部未満では、トナーの負帯電が不足し実用的でない。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、キャリアとの静電的吸引力の増大のため、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0091】
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィンワックスやフィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックスや密ロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス、等の天然ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、等の高級脂肪酸及び高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド等及びこれらの各種変性ワックスが挙げられる。
【0092】
これらは1種または2種以上を併用して用いることができるが、融点が70〜125(°C)の範囲のものを使用するのが好ましい。融点が70(°C)以上とすることにより転写性、耐久性が優れたトナーとすることができ、融点を125℃以下とすることにより定着時に速やかに溶融し、確実な離型効果を発揮できる。これらの離型剤の使用量は、トナーに対して1〜15(質量%)が好適である。1(質量%)より少ない場合にはオフセット防止効果が不充分であり、15(質量%)以上では転写性、耐久性が低下する。
【0093】
添加剤(外添剤)としては、少なくとも体積平均粒径50〜500(nm)、嵩密度0.3(g/cm3)以上の微粒子を添加する。外添量としては、トナー母体に対して0.2〜3(質量%)が好ましい。この範囲より少ないとトナー間やトナーとその他との間に適度な空隙を形成する効果が発現されない。逆に多いと、流動性を阻害したり、脱離量が多くなることにより外添剤の凝集体ができ、画像品質を低下させる。上述の添加剤と合わせて、この範囲以外の添加剤を添加することも可能であり、流動性向上を目的として体積平均粒径が小さい微粒子を添加することが好ましい。
【0094】
本実施形態での添加剤において、無機化合物としては、SiO2、TiO2、Al2O3、MgO、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O(TiO2)n、Al2O3・2SO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4、SrTiO3等を例示することができ、好ましくは、SiO2、TiO2、Al2O3があげられる。特にこれら無機化合物は各種のカップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、オクチルトリメトキシシラン等で疎水化処理が施されていてもよい。また、有機化合物の添加剤としては、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよく、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
【0095】
ビニル系樹脂の具体的な例としては、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0096】
本実施形態における添加剤(微粒子)は、現像装置内の現像剤用のトナーとしても優れている。すなわち、トナー粒子、感光体ドラム、帯電付与部材との接触面積が非常に小さく、均等に接触するので付着力低減効果が大きく、現像・転写効率の向上に有効である。さらに、コロの役割を果たすため、感光体ドラムを摩耗又は損傷させることなく、クリーニングブレードと感光体ドラムとの高ストレス(高荷重、高速度等)下でのクリーニングの際も、トナー粒子に埋没し難く、あるいは少々埋没しても離脱、復帰が可能であるので、長期間にわたって安定した特性を得ることができる。さらに、トナーの表面から適度に脱離し、クリーニングブレードの先端部に蓄積し、いわゆるダム効果によって、ブレードからトナーが通過する現象を防止する効果がある。
【0097】
本実施形態におけるトナーの製造方法としては、トナー構成材料を溶融混練後、粉砕分級して得る方法が従来の方法として一般的であるが、この方法に限らず、重合法等も含めてさまざまな方法が可能である。重合法としては懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法などが可能であり、重合法とは異なるが溶解懸濁法、ポリマー懸濁法等の他、伸長反応法等が使用可能である。
【0098】
先に説明した粒径範囲や円形度のトナーを容易に得られる点では、従来の方法以外が好ましい。また、粉砕分級後のトナーを加熱処理することにより円形度を調整してもよい。
【0099】
本実施形態における添加剤の添加方法は特に制限されず、トナー母体粒子と添加剤とを各種の公知の混合装置を用いて、機械的に混合して付着させる方法や、液相中でトナー母体粒子と添加剤とを界面活性剤等で均一に分散させ、付着処理後、乾燥させる方法等がある。
【0100】
先に説明したトナーの粒径分布は、コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置を用いて測定することができる。これら装置として、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
【0101】
まず、電解水溶液100〜150(ml)中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5(ml)加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1(%)NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理をおこない、上述の測定装置により、アパーチャーとして100(μm)アパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
【0102】
チャンネルとしては、2.00〜2.52(μm)未満;2.52〜3.17(μm)未満;3.17〜4.00(μm)未満;4.00〜5.04(μm)未満;5.04〜6.35(μm)未満;6.35〜8.00(μm)未満;8.00〜10.08(μm)未満;10.08〜12.70(μm)未満;12.70〜16.00(μm)未満;16.00〜20.20(μm)未満;20.20〜25.40(μm)未満;25.40〜32.00(μm)未満;32.00〜40.30(μm)未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00(μm)以上40.30(μm)未満の粒子を対象とする。
【0103】
先に説明したトナーの円形度は、次式(1)により得られた値である。
円形度=(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)・・・・式(1)
【0104】
上記円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
【0105】
上記円形度は、例えば東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて測定することができる。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150(ml)中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5(ml)加え、さらに測定試料を0.1〜0.5(g)程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理をおこない、分散液濃度を3000〜10000(個/μl)として上述の装置によりトナーの形状を測定する。
【0106】
以下、本実施形態に用いられるキャリアについて補足的に説明する。
本実施形態で用いられるキャリアは、重量平均粒径が20〜60(μm)(好ましくは、20〜45(μm)である。)になるように形成されている。この粒径範囲は、現像装置内の現像剤用のキャリアとしても優れている。キャリアの平均粒径が20(μm)未満であると、キャリア粒子の分布において微粉が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがある。これに対してキャリアの平均粒径が45(μm)を超えると、現像工程時のキャリアの穂立ちが粗くなって、ベタやハーフトーンの均一性が劣る場合がある(特に、平均粒径が60(μm)を超えると顕著になる。)。また比表面積が低下するため、小粒径トナーではトナーの飛散が生じることがある。
【0107】
キャリアとしては、粒径以外に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
【0108】
芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90(emu/g)のマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料等が好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100(emu/g)以上)、マグネタイト(75〜120(emu/g))等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体ドラムへの当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80(emu/g))等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0109】
キャリアの樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0110】
樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、その導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1(μm)以下が好ましい。平均粒子径が1(μm)を超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
【0111】
キャリアの樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付をおこなうことにより形成することができる。塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法等が挙げられる。
【0112】
キャリアにおける樹脂層の量としては、0.01〜5.0(質量%)が好ましい。樹脂層の量が、0.01(質量%)未満であると、芯材の表面に均一な樹脂層を形成することができないことがあり、5.0(質量%)を超えると、樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
【0113】
また、現像装置内に予め収容される現像剤(初期剤)も、上述したトナーとキャリアとを混合したものである。現像剤におけるキャリアの含有量(キャリア濃度)としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、90〜98(質量%)が好ましく、93〜97(質量%)がより好ましい。
【0114】
[実施形態2]
上記実施形態1では、現像ローラ5に内包される第1の磁界発生手段として回転可能な磁石ローラ82を用いた構成について説明したが、磁石ローラを固定配置した構成であってもよい。
【0115】
図17は、本発明の第2の実施形態に係る複写機におけるプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kにそれぞれ装備されている現像装置4及び感光体1を示す拡大構成図である。また、図18は現像ローラ5とキャリア回収ローラ13とが対向している要部の部分拡大図である。なお、上記実施形態1と同じ構成の部分については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0116】
図17に示すように、現像ローラ5は回転可能な現像スリーブ81を備え、複数の固定磁極(P11〜P15)からなる磁界発生手段としての磁石ローラ85を内包している。
【0117】
磁石ローラ85は、マグネット粉末としてSrフェライトないしBaフェライトを用い、高分子化合物として6PAもしくは12PA等のPA(ポリアミド)系材料、EEA(エチレン・エチル共重合体)又はEVA(エチレン・ビニル共重合体)等のエチレン系化合物、CPE(塩素化ポリエチレン)等の塩素系材料、NBR等のゴム材料を使用して製造することができる。また、磁石ローラ85は、着磁により5個の磁極P14,P15,P11,P12,P13を有している。現像スリーブ81上の現像剤は、P14(N)→P15(S)→P11(N)→P12(S)→P13(N)の順で搬送される。なお、括弧内の記号は磁極の極性を示すが、磁極P13と磁極P14とが同極性であるため反発磁界が発生し、現像剤は磁極P13との対向位置を過ぎた位置で落下する。現像極である磁極P11は感光体1に対向し、感光体1の表面の潜像にトナーを供給するとともにキャリアを現像ローラ5に保持してキャリア付着を防止する機能も有する。磁極P11を希土類磁石等の高磁性材料にすることでキャリア付着を低減させることは公知であるが、近年の画像形成装置の高速化のため現像ローラを高速駆動したり、高画質化のためにキャリアを小粒径化したため、キャリア付着が増加する傾向がある。また、磁極P12はキャリア回収ローラ13に対向する位置に配置している。
【0118】
上記構成において、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とは図17中でI、J方向、つまり同方向に回転させる。すなわち、現像ローラ5とキャリア回収ローラ13とが対向する位置において、現像スリーブ81の表面とキャリア回収スリーブ90の表面とが互いに逆方向に移動するように、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とを回転させている。このときの現像剤の移動及びキャリアの回収動作について、図18を参照して説明する。
【0119】
図18において、現像ローラ5上であって磁極P11付近で感光体1にトナーを供給した現像剤は、磁極P12との対向位置を通過した後、遠心力や重力で一部は落下(矢印K)しながら、磁極P13との対向位置を経た後、全てが落下する(矢印L)。一方、磁極P11付近で感光体1に付着したキャリアは、感光体1の回転によりキャリア回収ローラ13との対向位置まで達し、高磁束密度の磁極P21により吸着・回収される。本実施形態2では、キャリア回収スリーブ90表面は粗し処理を施したため、磁極P21は高磁束密度ではあるが、キャリア回収ローラ13上のキャリアはスリップすることなく搬送され、磁極P24との対向位置を経てケーシング96の終端で重力により回収搬送路7へ落下する(矢印M)。しかし、磁極P24と磁極P21との間の残留磁束密度のため落下しなかったり粗し処理の凹部に入ったりしたキャリアは、キャリア回収スリーブ90とともに連れまわろうとする。ここで、キャリア回収ローラ13と現像ローラ5との対向部では、現像スリーブ81の表面とキャリア回収スリーブ90の表面とは互いに反対方向に移動している。そのため、キャリア回収ローラ13上のキャリアは、現像ローラ5の磁極P12による穂立ちにより激しく摺擦される。また、キャリア回収ローラ13の現像ローラ5に対向する側には磁極がないので、キャリア回収ローラ13上のキャリアは、磁極P12により現像ローラ5へ完全に回収されることになる(矢印N)。
【0120】
また、一方で、磁極P11との対向位置を通過後、現像ローラ5の遠心力や重力で一部の現像剤の飛散が発生しても、キャリア回収ローラ13に落下した後、キャリア回収ローラ13内の磁極P21にて回収されるので問題にはならない(矢印O)。また、磁極P24による穂立ちがケーシング96に常に接触し磁気シールを形成している。そのため、スクレーパーの当接が無くても、矢印Kにて落下した現像剤がキャリア回収ローラ13とケーシング96との間隙から落下する問題は無い。また、キャリア回収ローラ13は極低速で間欠回転することから、回収したキャリアが遠心力で飛散する問題もない。
【0121】
なお、キャリア回収スリーブ90に粗し処理をせずに高磁束密度の磁極P21に吸着されているキャリアを順次、磁極P22、P23、P24へスリップなく搬送するためには、磁極P22〜P23も高磁束密度にすることも考えられる。ただし、高価な高磁束密度磁石を複数使用すると非常にコストが上昇してしまう欠点がある。そこで、磁極P22〜P23を従来の磁石とし、キャリア回収スリーブ90に前述の粗し処理・加工を施すのがよい。
【0122】
本発明者らは、キャリア回収率と擦れ画像とについて、従来例と本実施形態2の実施例(図17、18参照)との比較実験を行った。
図19は従来例2の装置構成を示す部分拡大図、図20は従来例3の装置構成を示す部分拡大図、図21は従来例4の装置構成を示す部分拡大図である。また、表4は実験結果を示す表である。
【表4】
【0123】
従来例2(表4及び図19参照)では、P21極の磁束密度が100(mT)と低いので、キャリア回収率は90(%)であった。
また、従来例3(表4及び図20参照)では、P21極の磁束密度を140(mT)と高くしたので、キャリア回収率は98(%)となったが、キャリア回収スリーブ90上でスリップが発生し、キャリアの搬送が出来なくなく擦れ画像が発生した。
また、従来例4(表4及び図21参照)では、P21極の磁束密度を140(mT)と高くしたのでキャリア回収率は95(%)となり、キャリア回収スリーブ90表面の粗し処理を施したのでキャリアの搬送も可能となったが、粗し処理のためスクレーパーを使用することができなく、キャリアの連れまわりによる擦れ画像が発生した。
これに対し、本実施形態2の第1の実施例(実施例4)では、P21極の磁束密度を140(mT)と高くしたのでキャリア回収率は98(%)となり、キャリア回収スリーブ90表面の粗し処理を施したのでキャリアの搬送も可能となり、キャリア回収ローラ13と現像ローラ5との回転方向を同じにしたので、P24の穂立ちをケーシング96に常に接触し磁気シールを形成することができ、キャリアの連れまわりによる擦れ画像を防止可能となる。
また、本実施形態2の第2の実施例(実施例5)では、P21極の磁束密度を200(mT)と更に高くしたのでキャリア回収率は極めて100(%)に近くすることができる。他の効果については実施例4と同等である。
【0124】
なお、本実施形態2に係るキャリア回収ローラ13においても、上記実施形態1と同様に、キャリア回収スリーブ90に粗し処理を施した場合、キャリア回収ローラ13にトナーが大量に付着すると、付着したトナーで粗し処理の凹凸が埋まり、キャリアの搬送不良を引き起こすトナー付着のおそれがある。そこで、本実施形態2においても、上記実施形態1と同様にスクレーパを使用しない構成であるため、以下の方法でキャリア回収ローラ13のトナー付着を防止している。
【0125】
図22は、本実施形態2においてキャリア回収ローラ13からのトナー除去を説明するための概略構成図である。
図22において、感光体1は図示しない帯電装置で−600(V)程度に帯電され(地肌部)、図示しない光書込ユニット(露光装置)で−100(V)程度に除電される(画像部)。また、本実施形態2のプロセスは、トナーが負極性に帯電され、キャリアが正極性に帯電された現像剤を使用するネガポジプロセスであり、現像バイアスとしては−500(V)程度を現像スリーブ81に印加している。そして、本実施形態2では、このようなネガポジプロセスにおいて、キャリア回収スリーブ90の電位を−700(V)程度とすることで、感光体1の表面電位および現像スリーブ81の現像バイアスよりも低く設定している。
【0126】
図22において、大粒子が正極性キャリア、小粒子が負極性トナーである。感光体1から見たキャリア回収スリーブ90の電位差は最小でも−100(V)である。これにより、正極性キャリアはキャリア回収スリーブ90へ向かう静電力が働くが、負極性トナーには反対に感光体1へ向かう静電力が働くので、トナーをキャリア回収スリーブ90へ引き寄せることが無い。ただし、浮遊しているトナーは積極的では無いにしろ、キャリア回収スリーブ90へ付着する場合がある。ところが、キャリア回収スリーブ90から見た現像スリーブ81の電位差は+200(V)である。キャリア回収スリーブ90へ付着したトナーは、そのキャリア回収スリーブ90の回転により現像ローラ5の磁極P12との対向部へ搬送され、磁気穂で摺擦されると同時に+200(V)の電位差で現像スリーブ81へ吸着され現像剤に取り込まれる。これにより、キャリア回収ローラ13の表面におけるトナー汚れを防止している。
【0127】
なお、上記実施形態2では負極性トナーを使用したネガポジプロセスであるが、正極性トナーを使用したポジポジプロセスにおいても電位極性を適正に選択することで同様の効果が得られる。
【0128】
[変形例1]
なお、上記実施形態2では感光体1が図17、18において反時計回りに回転する構成について説明したが、同図の時計回りに回転する感光体であっても適用できる。
図23は、図中の時計回りに回転する感光体1と現像ローラ5とキャリア回収ローラ13とを示す拡大概略構成図である。本変形例1では、現像ローラ5の現像スリーブ81を反時計回りに回転させ、同方向にキャリア回収スリーブ90が回転するキャリア回収ローラ13を、現像ローラ5の上部であって、現像領域に対して感光体1の回転方向下流側に配設する。このような構成においても、前述の実施形態1及び2と同じ効果が得られる。
【0129】
以上、本実施形態によれば、キャリア回収ローラ13のキャリア回収スリーブ90に内包される第2の磁界発生手段としてのキャリア回収磁石ローラ91は、現像ローラ5の現像スリーブ81と対向する部分に磁極がないことにより、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とが対向する対向位置において、感光体1から回収されてキャリア回収スリーブ90の表面に担持されているキャリアをキャリア回収スリーブ90の内側に向けて引き付ける磁力を弱めることができる。従って、上記対向位置においてキャリア回収スリーブ90の表面からキャリアが離れて現像スリーブ81側に移動しやすくなる。しかも、上記対向位置において、現像スリーブ81の表面移動方向とキャリア回収スリーブ90の表面移動移動方向とが互いに逆方向であるため、キャリア回収スリーブ90の表面から離れて現像スリーブ81側に移動したキャリアを、現像スリーブ81の表面移動によって感光体1側へ向かう方向とは逆方向に移動させることができる。このように現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とが対向する対向位置において、キャリア回収スリーブ90の表面からキャリアが離れて現像スリーブ81側に移動しやすくなるとともに、そのキャリア回収スリーブ90の表面から離れたキャリアを感光体1側へ向かう方向とは逆方向に移動させることにより、感光体1から回収されてキャリア回収スリーブ90の表面に担持されたキャリアが、感光体1に向かって移動するのを抑制することができる。よって、感光体1から回収したキャリアが感光体1上のトナー像に接触することによる擦れ画像の発生を防止することができる。
また、本実施形態によれば、現像剤担持体としての現像ローラ5に内包する第1の磁界発生手段としての磁石ローラ82は、キャリア回収スリーブ90と対向する部分に磁極P12を有することにより、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とが対向する対向位置において、磁極P12の磁力により、キャリア回収ローラ13上のキャリアを現像ローラ5側へ回収することができる。従って、感光体1から回収されてキャリア回収スリーブ90の表面に担持されたキャリアが、感光体1に向かって移動するのをより確実に抑制することができる。
また、本実施形態によれば、第1の磁界発生手段としての磁石ローラ82は、キャリア支持手段としてのキャリア回収スリーブ90と対向する位置を複数の磁極としての磁石83が順次通過するように回転可能に設けられていることにより、現像スリーブ81の表面に担持される現像剤と磁石ローラ82側の磁石83との対向回数が増加する。この対向回数の増加により、現像剤が磁極と対向したときに穂立ちが形成され磁極から離れた際に穂立ちが崩されるという現象を繰り返す回数が増加し、これによるトナーとキャリアとの摩擦接触機会の増加により、トナーの帯電特性を向上させることができる。
ここで、磁石ローラ82が、キャリア回収スリーブ90と対向する位置を複数の磁極としての磁石83が順次通過するように回転可能に設けられている従来の構成では、磁界現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とが対向する対向位置において、複数の磁極としての磁石83によって周期的に変化する磁場と、キャリア回収ローラ13内のキャリア回収磁石ローラ91の磁極による磁場とが干渉するおそれがある。この磁場の干渉は、磁石ローラ間の吸引と反発を繰り返して振動を発生させ、その振動が感光体1や光書込ユニット(露光装置)に伝播しバンディング画像となったり騒音が発生したり現像装置の寿命が低下したりする。また、上記磁場の干渉により現像剤の溢れが発生することもある。
これに対し、本実施形態によれば、キャリア回収ローラ13内のキャリア回収磁石ローラ91は現像スリーブ81と対向する部分に磁極がないため、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とが対向する対向位置において、上記磁場の干渉が発生しない。従って、上記磁場の干渉による振動の発生を防止することができ、その振動に起因したバンディング画像、騒音及び現像装置の寿命低下を防止することができるとともに、上記磁場の干渉により現像剤の溢れの発生も防止することができる。
また、本実施形態によれば、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とが対向する対向位置において、現像ローラ5内の磁石ローラ82により現像スリーブ81の表面に二成分現像剤を穂立ちさせた磁気穂を発生させ、その磁気穂をキャリア回収スリーブ90の表面に当接させている。この現像スリーブ81上の磁気穂でキャリア回収スリーブ90の表面を摺擦することができるため、キャリア回収ローラ13上のキャリアを現像ローラ5側へ回収することができる。従って、感光体1から回収されてキャリア回収スリーブ90の表面に担持されたキャリアが、感光体1に向かって移動するのをより確実に抑制することができる。
また、本実施形態によれば、キャリア回収スリーブ90の表面は粗し処理が施されているため、感光体1と対向する位置で感光体1から回収したキャリア回収スリーブ90上のキャリアをスリップさせることなく搬送することができるので、キャリア回収スリーブ90のキャリア搬送性を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、キャリア回収スリーブ90の表面にキャリア除去手段としてのスクレータを当接させていないため、キャリア回収スリーブの表面の劣化等による現像装置の寿命の低下を防止するこができる。
また、本実施形態によれば、キャリア回収ローラ13内のキャリア回収磁石ローラ91は感光体1に対向する部分に磁極P21を有し、その磁極P21による感光体表面での磁束密度を140[mT]以上としたことにより、感光体1からのキャリアの回収率として98%以上を達成できる。
また、本実施形態によれば、キャリア回収磁石ローラ91の感光体1に対向する部分に有する磁極P21による感光体表面での磁束密度を200[mT]以上とすることにより、感光体1からのキャリアの回収率として100%を達成できる。
また、本実施形態によれば、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90との間に電位差を形成する電位差形成手段を備え、その電位差は、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ90とが対向する位置において、キャリア回収スリーブ90に付着したトナーを現像スリーブ81に移行させる極性に設定されている。これにより、キャリア回収スリーブ90へのトナー付着を防止することができる。特に、キャリア回収スリーブ90の表面に粗し処理が施されている場合には、その表面の凹凸がトナーで埋まってキャリアの搬送不良が発生するのを防止することができる。
【符号の説明】
【0130】
1 感光体
4 現像装置
5 現像ローラ
13 キャリア回収ローラ
81 現像スリーブ
82 磁石ローラ
85 磁石ローラ
90 キャリア回収スリーブ
91 キャリア回収磁石ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【特許文献1】特開昭62−83767号公報
【特許文献2】特開平11−311903号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に供給するトナーとキャリアとを含む二成分現像剤を担持する現像剤担持体を備え、前記現像剤担持体は、前記二成分現像剤を表面上に担持して回転可能な現像剤支持手段と、前記現像剤支持手段に内包され複数の磁極を有する第1の磁界発生手段とを備える現像装置であって、
前記像担持体の表面移動方向における下流側から前記現像剤担持体に近接する位置に、前記像担持体に付着したキャリアを回収するキャリア回収手段を備え、
前記キャリア回収手段は、前記キャリアを表面上に担持して回転可能なキャリア支持手段と、前記キャリア支持手段に内包されるように固定配置され複数の磁極を有する第2の磁界発生手段とを備え、
前記第2の磁界発生手段は、前記現像剤支持手段と対向する部分に磁極がなく、
前記現像剤支持手段と前記キャリア支持手段とが対向する位置において、前記現像剤支持手段の表面移動方向と前記キャリア支持手段の表面移動移動方向とが互いに逆方向であることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
前記第1の磁界発生手段は、前記キャリア支持手段と対向する部分に磁極を有することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2の現像装置において、
前記第1の磁界発生手段は、前記キャリア支持手段と対向する位置を複数の磁極が順次通過するように回転可能に設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの現像装置において、
前記現像剤支持手段と前記キャリア支持手段とが対向する位置において、前記第1の磁界発生手段により前記現像剤支持手段の表面に前記二成分現像剤を穂立ちさせた磁気穂を発生させ、その磁気穂を前記キャリ支持手段の表面に当接させたことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの現像装置において、
前記キャリア支持手段の表面は粗し処理が施されていることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項5の現像装置において、
前記キャリア支持手段の表面にキャリア除去手段を当接させないことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかの現像装置において、
前記第2の磁界発生手段は、前記像担持体に対向する部分に磁極を有し、その磁極による前記像担持体表面での磁束密度を140[mT]以上としたことを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項7の現像装置において、
前記第2の磁界発生手段の前記像担持体に対向する部分に有する前記磁極による前記像担持体表面での磁束密度を200[mT]以上としたことを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかの現像装置において、
前記現像剤支持手段と前記キャリア支持手段との間に電位差を形成する電位差形成手段を備え、その電位差は、前記現像剤支持手段と前記キャリア支持手段とが対向する位置において、前記キャリア支持手段に付着したトナーを前記現像剤支持手段に移行させる極性に設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
像担持体と、前記像担持体に形成された潜像を現像する現像装置と、を備えた画像形成装置であって、
前記現像装置として、請求項1乃至9のいずれかの現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10の画像形成装置において、
前記キャリア支持手段と前記像担持体との間に電位差を形成する電位差形成手段を備え、その電位差は、前記像担持体に付着したトナー及びキャリアのうちキャリアのみを引き付ける極性に設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項10又は11の画像形成装置において、
少なくとも前記現像装置と前記像担持体とが収容されたプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1乃至9のいずれかの現像装置と像担持体とを備えたプロセスカートリッジ。
【請求項1】
像担持体に供給するトナーとキャリアとを含む二成分現像剤を担持する現像剤担持体を備え、前記現像剤担持体は、前記二成分現像剤を表面上に担持して回転可能な現像剤支持手段と、前記現像剤支持手段に内包され複数の磁極を有する第1の磁界発生手段とを備える現像装置であって、
前記像担持体の表面移動方向における下流側から前記現像剤担持体に近接する位置に、前記像担持体に付着したキャリアを回収するキャリア回収手段を備え、
前記キャリア回収手段は、前記キャリアを表面上に担持して回転可能なキャリア支持手段と、前記キャリア支持手段に内包されるように固定配置され複数の磁極を有する第2の磁界発生手段とを備え、
前記第2の磁界発生手段は、前記現像剤支持手段と対向する部分に磁極がなく、
前記現像剤支持手段と前記キャリア支持手段とが対向する位置において、前記現像剤支持手段の表面移動方向と前記キャリア支持手段の表面移動移動方向とが互いに逆方向であることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
前記第1の磁界発生手段は、前記キャリア支持手段と対向する部分に磁極を有することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2の現像装置において、
前記第1の磁界発生手段は、前記キャリア支持手段と対向する位置を複数の磁極が順次通過するように回転可能に設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの現像装置において、
前記現像剤支持手段と前記キャリア支持手段とが対向する位置において、前記第1の磁界発生手段により前記現像剤支持手段の表面に前記二成分現像剤を穂立ちさせた磁気穂を発生させ、その磁気穂を前記キャリ支持手段の表面に当接させたことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの現像装置において、
前記キャリア支持手段の表面は粗し処理が施されていることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項5の現像装置において、
前記キャリア支持手段の表面にキャリア除去手段を当接させないことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかの現像装置において、
前記第2の磁界発生手段は、前記像担持体に対向する部分に磁極を有し、その磁極による前記像担持体表面での磁束密度を140[mT]以上としたことを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項7の現像装置において、
前記第2の磁界発生手段の前記像担持体に対向する部分に有する前記磁極による前記像担持体表面での磁束密度を200[mT]以上としたことを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかの現像装置において、
前記現像剤支持手段と前記キャリア支持手段との間に電位差を形成する電位差形成手段を備え、その電位差は、前記現像剤支持手段と前記キャリア支持手段とが対向する位置において、前記キャリア支持手段に付着したトナーを前記現像剤支持手段に移行させる極性に設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
像担持体と、前記像担持体に形成された潜像を現像する現像装置と、を備えた画像形成装置であって、
前記現像装置として、請求項1乃至9のいずれかの現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10の画像形成装置において、
前記キャリア支持手段と前記像担持体との間に電位差を形成する電位差形成手段を備え、その電位差は、前記像担持体に付着したトナー及びキャリアのうちキャリアのみを引き付ける極性に設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項10又は11の画像形成装置において、
少なくとも前記現像装置と前記像担持体とが収容されたプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1乃至9のいずれかの現像装置と像担持体とを備えたプロセスカートリッジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−113044(P2012−113044A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260139(P2010−260139)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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