説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】アニロックスローラーが軸方向に安定して液体現像剤を汲み上げることが可能となる現像装置、および画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー及びキャリアー液を含む液体現像剤を貯留する貯留部と、貯留部に貯留される液体現像剤を攪拌する攪拌部材と、貯留部に貯留される液体現像剤を担持して回転する第1の塗布ローラーと、第1の塗布ローラーに当接すると共に、第1の塗布ローラーの回転方向と逆方向に回転する第2の塗布ローラーと、第2の塗布ローラーに当接すると共に、第2の塗布ローラーの回転方向と同方向に回転する現像剤担持体ローラーと、第1の塗布ローラーに伝達する駆動力を発生させる第1の駆動源と、攪拌部材及び現像剤担持体ローラーに伝達する駆動力を発生させる第2の駆動源と、第1の駆動源からの駆動力により第1の塗布ローラーの回転速度を制御する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体現像剤を用いた現像装置、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体溶媒中に固形成分からなるトナーを分散させた高粘度の液体現像剤を用いた画像形成装置が提案されている。この画像形成装置に用いられる液体現像剤は、シリコンオイルや鉱物油などからなる電気絶縁性を有した不揮発性の有機溶媒中にポリエステル樹脂などからなるトナーを懸濁させたものである。トナー粒径は1μm前後と極めて微細であり、従来のトナー粒径7μm前後を使用する乾式トナーを用いた画像形成装置と比べて高画質化を図ることができる。
【0003】
このような液体現像剤を用いた画像形成装置として、特許文献1には、液体現像剤が供給される第1貯留部と、余剰の液体現像剤が回収される第2貯留部と、第1貯留部から第2貯留部へ余剰の液体現像剤が溢れるように切り欠きが形成された仕切部材を有する現像容器において、螺旋状のリブを有する攪拌オーガーが軸方向両端部に向かって液体現像剤を搬送する現像装置、および画像形成装置が開示されている。第1貯留部と第2貯留部の境界に切り欠きが形成された仕切部材を設けると、第1貯留部に貯留される液体現像剤の余剰分を第2貯留部に溢れさせることで、第1貯留部の液位が一定に保持される。
【0004】
また、特許文献2の実施例には、アニロックスローラーと攪拌オーガーを駆動させるための具体的な駆動構成として、アニロックスローラーの駆動源であるモーターと攪拌オーガーの駆動源であるモーターは共通である現像装置、および画像形成装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、アニロックスローラーの駆動源であるモーターの回転数を制御する制御部を有し、現像ローラーの表面速度に対してアニロックスローラーの表面速度を変えて、現像ローラーへの液体現像剤の塗布量を制御する現像装置、及び画像形成装置が開示されている。
アニロックスローラーから現像ローラーへ供給される液体現像剤の塗布量は画像濃度に影響するので、現像ローラーの表面速度に対してアニロックスローラーの表面速度を変えて液体現像剤の塗布量を制御することは、画像濃度を調節する際に有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−75552号公報
【特許文献2】特開2009−174973号公報
【特許文献3】特開2005−234430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2のように、アニロックスローラーと攪拌オーガーの駆動源であるモーターが共通であると、攪拌オーガーの軸方向両端部に向かって液体現像剤を搬送する搬送力は、アニロックスローラーの回転速度によって変わる。特許文献3のように、画像濃度を調節する場合、アニロックスローラーの回転速度が変化するので、攪拌オーガーによる液体現像剤の軸方向両端部への搬送力が変化する。よって、攪拌オーガーの軸方向の画像濃度が不均一となるおそれがある。
【0008】
具体的には、通常印刷の画像濃度を基準値とし、基準値に対して画像濃度をより高濃度側で印刷する場合、アニロックスローラーの回転数を速くして現像ローラーへの供給量を増加させる。その場合、アニロックスローラーと共通の駆動源を持つ攪拌オーガーの回転速度も速くなり、現像剤の軸方向外側への搬送力が増加する。その結果、隔壁の軸両端付近に設けられた切り欠きから第2貯留部に現像剤が通常印刷時よりも多量に溢れ、第1貯留部における軸方向中央部の液位が下がる。このことから、アニロックスローラーから現像ローラー上へ均一に現像剤を供給できず、軸方向の画像濃度が不均一になるおそれがある。
【0009】
本発明は、前記課題を解決するために、アニロックスローラーが軸方向に安定して液体現像剤を汲み上げることが可能となる現像装置、および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の現像装置は、トナー及びキャリアー液を含む液体現像剤を貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留される前記液体現像剤を攪拌する攪拌部材と、前記貯留部に貯留される前記液体現像剤を担持して回転する第1の塗布ローラーと、前記第1の塗布ローラーに当接すると共に、前記第1の塗布ローラーの回転方向と逆方向に回転する第2の塗布ローラーと、前記第2の塗布ローラーに当接すると共に、前記第2の塗布ローラーの回転方向と同方向に回転する現像剤担持体ローラーと、前記現像剤担持体ローラーをクリーニングして液体現像剤を回収するクリーニング部材と、前記クリーニング部材によって回収される液体現像剤を貯留する回収部と、前記貯留部から前記回収部へ液体現像剤を流動させる流動部を有し、前記貯留部と前記回収部との間を仕切る仕切部材と、前記第1の塗布ローラーに伝達する駆動力を発生させる第1の駆動源と、前記攪拌部材及び前記現像剤担持体ローラーに伝達する駆動力を発生させる第2の駆動源と、前記第1の駆動源からの駆動力により前記第1の塗布ローラーの回転速度を制御する制御部と、を備えることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の画像形成装置は、潜像が形成される潜像担持体と、前記潜像担持体を露光して前記潜像を形成する露光部と、トナー及びキャリアー液を含む液体現像剤を貯留する貯留部、前記貯留部に貯留される前記液体現像剤を攪拌する攪拌部材、前記貯留部に貯留される前記液体現像剤を担持して回転する第1の塗布ローラー、前記第1の塗布ローラーに当接すると共に、前記第1の塗布ローラーの回転方向と逆方向に回転する第2の塗布ローラー、前記第2の塗布ローラーに当接すると共に前記第2の塗布ローラーの回転方向と同方向に回転する液体現像剤担持体ローラー、前記液体現像剤担持ローラーをクリーニングして液体現像剤を回収するクリーニング部材、前記クリーニング部材によって回収される液体現像剤を貯留する回収部、前記貯留部から前記回収部へ液体現像剤を流動させる流動部を有し、前記貯留部と前記回収部との間を仕切る仕切部材を備え、前記潜像担持体に形成された潜像を現像する現像部と、前記第1の塗布ローラーに伝達する駆動力を発生させる第1の駆動源と、前記攪拌部材及び前記現像剤担持体ローラーに伝達する駆動力を発生させる第2の駆動源と、前記第1の駆動源からの駆動力により前記第1の塗布ローラーの回転速度を制御する制御部と、前記現像部で形成された像を転写材に転写する転写部と、を有すること特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、前記第2の駆動源で発生される駆動力により、前記第2の塗布ローラーは駆動することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の画像形成装置は、前記第1の駆動源は、回転軸を有し、前記第1の駆動源の回転軸の回転を前記現像剤担持体ローラーに伝達する駆動伝達ベルトを有することを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の画像形成装置は、前記第1の駆動源は、回転軸を有し、前記第1の駆動源の回転軸の回転を前記現像剤担持体ローラーに伝達する駆動伝達ベルトを有することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の画像形成装置は、前記現像剤担持体ローラーに伝達された駆動力を前記第2の塗布ローラーに伝達する第2の駆動伝達ベルトを有することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の画像形成装置は、前記転写材の種別が入力される転写材種別入力部を有し、前記制御部は、前記転写材種別入力部で第1の種別が入力されたときには、前記第1の塗布ローラーを第1の回転速度で回転させるとともに、前記転写材種別入力部で第1の種別よりも表面粗さが粗い第2の種別が入力されたときには、前記第1の塗布ローラーを第1の回転速度よりも速い第2の回転速度で回転させ、前記攪拌部材は、前記転写材種別入力部で前記第1の種別が入力されたときは第3の回転速度で回転するとともに、前記転写材種別入力部で前記第2の種別が入力されたときは第3の回転速度で回転することを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の主要構成要素を示す断面図である。
【図2】画像形成部、現像装置の主要構成要素を示す断面図である。
【図3】貯留部28内の液体現像剤の移動方向を示す図である。
【図4】現像装置5とそれに係る駆動部を示す図である。
【図5】図4におけるAから見た現像装置5内の駆動部を示す図である。
【図6】貯留部28内の液体現像剤の均一な液位を示す図である。
【図7】貯留部28内の液体現像剤の不均一な液位を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の主要構成要素を示す図である。なお、図1では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)に対応する各構成部位に付す符号を、ブラック(K)の対応箇所に代表記載している。
【0019】
図1に示すように、この例の画像形成装置1は、水平またはほぼ水平にタンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の潜像担持体である感光体2Y,2M,2C,2Kを備えている。これらの感光体2Y,2M,2C,2Kには、それぞれ、対応する色Y,M,C,Kの静電潜像が形成されて担持される。各感光体2Y,2M,2C,2Kは、それぞれ、図示しない駆動源により駆動されて図1において矢印方向(図1において時計回り)に回転する。ここで、各感光体2Y,2M,2C,2Kにおいて、2Yはイエローの感光体、2Mはマゼンタの感光体、2Cはシアンの感光体、2Kはブラックの感光体を表す。また、他の部材についても同じように、部材の符号にそれぞれ各色のY,M,C,Kを添えて各色の部材を表す。
【0020】
各感光体2Y,2M,2C,2Kの周囲には、それぞれ、帯電部3Y,3M,3C,3Kが配設されている。更に、各帯電部3Y,3M,3C,3Kから、それぞれ、各感光体2Y,2M,2C,2Kの回転方向に向かって、順に、露光部4Y,4M,4C,4K、本発明の現像装置である現像部5Y,5M,5C,5K、感光体スクイーズ部6Y,6M,6C,6K、一次転写部7Y,7M,7C,7K、除電部8Y,8M,8C,8K、および感光体クリーニング部9Y,9M,9C,9Kが配設されている。
【0021】
更に、画像形成装置1は、無端状の中間転写ベルト10を備えている。この中間転写ベルト10は、各感光体2Y,2M,2C,2Kの上方に配置されている。そして、中間転写ベルト10は各一次転写部7Y,7M,7C,7Kでそれぞれ各一次転写ローラー7Y1,7M1,7C1,7K1により各感光体2Y,2M,2C,2Kへ当接される。
図示しないが、中間転写ベルト10は、例えば樹脂等の可撓性の基材と、この基材の表面に形成されたゴム等の弾性層と、この弾性層の表面に形成された表層とを有する3層構造の比較的柔らかい弾性ベルトに形成されている。もちろん、これに限定されることはない。中間転写ベルト10は図示しないモーターの駆動力が伝達される中間転写ベルト駆動ローラー11および中間転写ベルトテンションローラー12に巻き掛けられる。そして、中間転写ベルト10はテンションを付与された状態で、矢印方向(図1において反時計回り)に回転(移動)するようにされている。なお、各色Y、M、C、Kに対応する感光体等の部材の配置順は、図1に示す例に限定されることはなく、任意に設定することができる。
【0022】
中間転写ベルト10の中間転写ベルト駆動ローラー11側には二次転写部13が設けられている。二次転写部13は、二次転写ローラー14および二次転写ローラークリーニング部15を有している。二次転写ローラー14は矢印方向(図1において時計回り)に回転する。この二次転写ローラー14は、中間転写ベルト駆動ローラー11に巻き掛けられる中間転写ベルト10に圧接されて二次転写ニップを形成する。また、二次転写ローラークリーニング部15は二次転写ローラー14に付着する液体現像剤等を除去する。
【0023】
更に、中間転写ベルト10の基準位置を検出するレジストセンサー13が配設されている。このレジストセンサー13により、検出された中間転写ベルト10の基準位置に基づいて、レジストローラー対17が転写材18を二次転写部13へ供給する。
【0024】
一方、中間転写ベルト10の中間転写ベルトテンションローラー12側には、中間転写ベルトクリーニング部19が設けられている。中間転写ベルトクリーニング部19は中間転写ベルト10に付着する液体現像剤等を除去する。
【0025】
そして、各感光体2Y,2M,2C,2K、各帯電部3Y,3M,3C,3K、各露光部4Y,4M,4C,4K、各現像部5Y,5M,5C,5K、各感光体スクイーズ部6Y,6M,6C,6K、各一次転写部7Y,7M,7C,7K、各除電部8Y,8M,8C,8K、および各感光体クリーニング部9Y,9M,9C,9Kにより、それぞれ、この例の画像形成装置1における各色の画像形成ステーションが構成される。各色の画像形成ステーションにおいて、それぞれ対応する色のトナー像が各感光体2Y,2M,2C,2Kに形成される。
【0026】
このように構成されたこの例の画像形成装置1においては、従来と同様に各画像形成ステーションの各感光体2Y,2M,2C,2Kに担持された各色のトナー像が各一次転写部7Y,7M,7C,7Kで、中間転写ベルト10に転写される。このとき、この例の画像形成装置1では各色Y,M,C,Kのトナー像はこれらの順に中間転写ベルト10に色重ねされて転写され、中間転写ベルト10にフルカラーのトナー像が形成される。更に、中間転写ベルト10に転写されたトナー像は二次転写部13のニップにおいて、二次転写ローラー14によって中間転写ベルト10に圧接された転写紙等の転写材18に転写される。そして、転写材に転写されたトナー像が図示しない定着部で定着されることで、転写材18に画像が形成される。
【0027】
次に、この例の画像形成装置1の画像形成ステーションについてより詳細に説明する。
図2は、画像形成部、現像装置の主要構成要素を示す図である。なお、各感光体2Y,2M,2C,2K、各帯電部3Y,3M,3C,3K、各露光部4Y,4M,4C,4K、各現像部5Y,5M,5C,5K、各感光体スクイーズ部6Y,6M,6C,6K、各一次転写部7Y,7M,7C,7K、各除電部8Y,8M,8C,8K、および各感光体クリーニング部9Y,9M,9C,9Kは、いずれも各色Y,M,C,Kについて同じ構成を有している。そこで、図2には、各色に共通して説明するため、各色の符号Y,M,C,Kを省略して示す。
【0028】
感光体2は、外周面に感光層が形成された円筒状の部材で、図2に示すように、プロセス速度(周速度200〜250mm/sec)で時計回りの方向に回転する。感光体2の感光層は、有機感光体又はアモルファスシリコン感光体等で構成される。
【0029】
現像部5は、現像剤容器20、攪拌オーガー21、アニロックスローラー22、液体現像剤供給ローラーである中間ローラー23、中間ローラークリーニングブレード24、液体現像剤担持ローラーである現像ローラー25、現像ローラークリーニングブレード26、及び現像剤圧縮部27を有する。現像剤容器20は現像ローラーに供給する液体現像剤を貯留する貯留部28と、クリーニングブレードで回収した液体現像剤を貯留する回収部29とを有する。貯留部28と回収部29の間には仕切部材30が配される。
【0030】
図3は、貯留部28内の液体現像剤の移動方向を示す図である。供給口31は攪拌オーガー21の軸方向における螺旋形状の略中央部(±0〜20mm以内)に設けられ、図示しない液体現像剤のタンクから供給ポンプ32によって汲み上げられた液体現像剤は、供給口31から貯留部28へ流入する。このとき、貯留部28に流入するのは、トナー固形分濃度を20〜30%に調整された高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤である。貯留部28に流入した液体現像剤は、供給口31の上部に設けられた螺旋状の羽を有する攪拌オーガー21の回転によって攪拌されながら、攪拌オーガー21の軸方向の中央部から矢印の両端部方向に広がっていく。貯留部28に貯留された液体現像剤がアニロックスローラー22を浸漬するための必要量に達すると、供給過剰分の液体現像剤は、仕切部材30の軸方向両端付近に設けた切欠部30a、30bから回収部29に向かって溢れ出る。
【0031】
アニロックスローラー22は直径約20mmの円筒状の金属製の部材で、液体現像剤を担持し易いように、表面に微細な螺旋状等の溝による凹部パターンを形成している。アニロックスローラー22は貯留部28に浸漬されており、図2において時計回りに回転することで、貯留部28の液体現像剤を汲み上げる。このとき、現像ローラー25への塗布量を調整するため、アニロックスローラー22の回転数を変化させる制御を行う。この制御は、画像濃度を調節する場合に現像ローラー25上の膜厚を変えることを目的としている。
【0032】
中間ローラー23は直径約30mmの円筒状の部材で、鉄等金属製の内芯の外周部にポリウレタンゴム等の弾性層を設けたものであり、アニロックスローラー22および現像ローラー25に当接される。そして、中間ローラー23は図2において約150rpmでアニロックスローラー22の回転方向とは逆方向である反時計回りに回転して、アニロックスローラー22から所定量の液体現像剤を供給されるとともに供給された液体現像剤を現像ローラー25に供給する。このとき、現像ローラー28と中間ローラー23の周速度は同じであるかまたはほぼ同じである。中間ローラークリーニングブレード24は現像ローラー25とのニップを通過した中間ローラー23をクリーニングして、この中間ローラー23に残留する余剰分の液体現像剤を除去する。
【0033】
現像ローラー25は直径約30mmの円筒状の部材で、鉄等金属製の内芯の外周部にポリウレタンゴム等の弾性層を設けたものであり、さらに表層としてPFAチューブ等で被膜する場合もある。現像ローラー25は図2において約150rpmで中間ローラー23と同じ回転方向である反時計回りに回転して、中間ローラー23から供給された液体現像剤を担持するとともに、担持した液体現像剤のトナーで感光体2の静電潜像を現像して感光体2にトナー像を形成する。現像ローラー25の周速度は感光体2の周速度と同じであるかまたはほぼ同じ(±1〜2%)である。現像ローラークリーニングブレード26は感光体2の静電潜像を現像した後の現像ローラー25をクリーニングして、この現像ローラー25に残留する余剰分の液体現像剤(主にキャリアー液)を除去する。
【0034】
現像剤圧縮部27は中間ローラー23から供給された現像ローラー25上の液体現像剤に対してトナーチャージすることで、キャリア液内に一様に分散したトナーを現像ローラー25側に移動させる。
【0035】
次に、本発明の攪拌オーガー21および、アニロックスローラー22の駆動部について説明する。図4は現像装置5とそれに係る駆動部を示す図である。駆動部の一部は図示しない装置本体に配置される。
【0036】
攪拌オーガー21、アニロックスローラー22、中間ローラー23、および現像ローラー25が、それぞれ互いに平行またはほぼ平行に配設されている。そして、攪拌オーガー21、現像ローラー25および中間ローラー23はモーター41で駆動され、アニロックスローラー22がモーター51で駆動される。モーター41,51はどちらも装置本体に設けられる。
【0037】
攪拌オーガー21に駆動力を伝達する第1の駆動系は、前記モーター41の回転軸41aに固定されて回転するギアー42と、現像ローラー25と平行にまたはほぼ平行に配設されて現像ユニットの揺動支点を兼ねる駆動軸33と、駆動軸33の一端部に固定されるとともにギアー42に常時噛合するギアー43と、図示しない固定軸に設置されると共にギアー43と常時噛合するアイドラー44と、攪拌オーガー21の回転軸21aに固定されるとともにアイドラー44と常時噛合するギアー45と、を有している。
【0038】
アニロックスローラー22に駆動力を伝達する第2の駆動系は、前記モーター52の回転軸52aに固定されて回転するギアー53と、図示しない固定軸に設置されるとともにギアー53と常時噛合するアイドラー54と、図示しない固定軸に設置されるとともにアイドラー54と常時噛合するアイドラー55と、アニロックスローラー22の回転軸22aに固定されるとともにアイドラー55と常時噛合するギアー56とを有している。
【0039】
図5は図4におけるAから見た現像装置5内の駆動部を示す図である。第1の駆動系は、攪拌オーガー21だけでなく、現像ローラー25および中間ローラー23に駆動力を伝達する駆動系も兼ねる。駆動軸33の一端部に固定されて回転するプーリー46と、現像ローラー25の回転軸25aに固定されたプーリー47と、プーリー46とプーリー47の間に掛け渡されてプーリー46の回転をプーリー47に伝達する無端ベルト48と、無端ベルト48のテンションを調整するアイドラー57と、によって現像ローラー25に駆動力を伝達する。また、現像ローラー25の回転軸25aに固定されて回転するプーリー49と、中間ローラー23の回転軸23aに固定されたプーリー50と、プーリー49とプーリー50の間に掛け渡されてプーリー49の回転をプーリー50に伝達する無端ベルト51と、無端ベルト51のテンションを調整するアイドラー58と、によって中間ローラー23に駆動力を伝達する。
【0040】
第1の駆動系において、無端ベルト48を介して駆動力が現像ローラー25に伝達される構成を成すことで、ギアー一歯ピッチの振動がベルトのダンパー効果により吸収されて現像ローラー25に伝播され難くなり、現像ローラー25に生じる回転速度むらを低減することができる。同様に、無端ベルト51を介して駆動力が中間ローラー23に伝達される構成を成すことで、ギアー一歯ピッチの振動がベルトのダンパー効果により吸収されて中間ローラー23に伝播され難くなり、中間ローラー25に生じる回転速度むらを低減することができる。
【0041】
アイドラー57がプーリー46とプーリー47の間において、プーリー46に対して無端ベルト48の進行方向下流側に設けられ、無端ベルト48のテンションの緩みを防いでいる。同様に、アイドラー58がプーリー49とプーリー50の間において、プーリー49に対して無端ベルト51の進行方向下流側に設けられ、無端ベルト51のテンションの緩みを防いでいる。また、現像ローラー25に生じる回転速度むらを低減するために無端ベルト48を平ベルトとすることにより、現像ローラー25の回転を滑らかにすることが可能である。平ベルトの場合、プーリーとのスリップを防ぐために約100Nのテンションを安定して付与する必要があるので、緩みを防ぐことは効果的である。
【0042】
次に、アニロックスローラー22の回転数制御と、攪拌オーガー21、現像ローラー25および中間ローラー23の周速との関係について述べる。
【0043】
現像ローラー25上の膜厚は約6μmで得られる画像濃度をデフォルトとし、アニロックスローラー22の周速Vaを設定する。本発明の実施形態に係る現像装置5において、現像ローラー25および中間ローラー23の回転数は、プロセス速度250mm/secで動作させた時には約150rpmとなり、アニロックスローラー22の回転数は中間ローラー23に対して周速比1倍の関係となる約240rpmが望ましい。周速で説明すると、アニロックスローラー22の周速Vaを現像ローラー25の周速Vd,中間ローラー23の周速Vmと同じにした状態(Va=Vd=Vm)である。この関係を第1の周速比とする。
【0044】
デフォルトの画像濃度に対して高濃度側に調節する場合、アニロックスローラー22の周速Vaは、現像ローラー25上の膜厚が約9μmとなる条件に設定する。現像ローラー25および中間ローラー23の回転数が約150rpmとすると、アニロックスローラー22の回転数は中間ローラー23に対して周速比1.5倍の関係となる約360rpmが望ましい。周速で説明すると、アニロックスローラー22の周速Vaを現像ローラー25の周速Vd,中間ローラー23の周速Vmよりも速くした状態(Va>Vd=Vm)である。この関係を第2の周速比とする。
【0045】
供給ポンプ32による液体現像剤の供給量と、攪拌オーガー21による液体現像剤の搬送量は、貯留部28に貯留される液体現像剤にアニロックスローラー22が十分に浸漬した状態となるように設定する。第1の周速比では約6μmの膜厚を形成するため約25cc/minの液体現像剤が消費され、第2の周速比では約9μmの膜厚形成するため約37.5cc/minの液体現像剤が消費され、どちらの周速比でも余剰現像剤が発生するように供給ポンプ32による液体現像剤の供給量は約50cc/minに設定している。攪拌オーガー21の回転数は約210rpmで、攪拌オーガー21による搬送量と供給ポンプ32による供給量は1:1の関係を常に保つ。
【0046】
本発明の実施形態のようにアニロックスローラー22と攪拌オーガー21の駆動源が別であると、第1の周速比から第2の周速比に変更したときも、液体現像剤の攪拌オーガー21による搬送量と供給ポンプ32による供給量が1:1の関係を維持させることができる。これにより、貯留部28において、図6に示すように攪拌オーガー21の軸方向の液位が均一となりアニロックスローラー22による液体現像剤の汲み上げ量も安定する。よって、現像ローラー25上の膜厚が均一となる。
【0047】
例えば、アニロックスローラー22と攪拌オーガー21の駆動源が特許文献2のように同一であると、第1の周速比から第2の周速比に変更したとき、液体現像剤の攪拌オーガー21による搬送量と供給ポンプ32による供給量が1:1の関係を維持させることができない。これにより、貯留部28において、図7に示すように攪拌オーガー21の軸方向中心部の液位が下がり、アニロックスローラー22による液体現像剤の汲み上げ量も低下する。よって、現像ローラー25上の膜厚が不均一となる。
【0048】
アニロックスローラー22の回転数を制御すると、次のような効果が得られる。現像ローラー25の回転方向に対して、中間ローラー23はカウンター方向に当接して回転するため、仮に現像ローラー25と中間ローラー23の周速差が発生すると、現像ローラー25表面の傷つきにより現像ローラー25上の膜が不均一となる。しかしながら、アニロックスローラー22の回転数を制御すると、現像ローラー25と中間ローラー23の周速差は発生せず、現像ローラー25表面は平滑に保たれるので、現像ローラー25上の膜の均一化が可能である。
【0049】
アニロックスローラー22表面には、前述したように微細な螺旋状等の溝による凹部パターンを形成しており、例えば線数は約200LPIで、45°の多条螺旋で彫刻されている。この螺旋溝による凹部パターンが原因で、液体現像剤の膜に転写パターンが生じる。アニロックスローラー22の周速Vaを現像ローラー25の周速Vd,中間ローラー23の周速Vmよりも速くした場合(Va>Vd=Vm)、アニロックスローラー22上の転写パターンより、中間ローラー23上の転写パターンの方が45°より小さい角度で形成される。転写パターンの角度が小さくなるため、中間ローラー23上での転写パターンは円周方向のピッチ間隔が狭くなり、中間ローラー23と同じ周速である現像ローラー25上の転写パターンも円周方向のピッチ間隔が狭くなる。よって、現像ローラー25上の膜の均一化が可能である。さらに、アニロックスローラー22と中間ローラー23の間で周速差がある場合、ニップ部の液体現像剤がせん断力を受けて低粘度化することにより、現像ローラー25上の膜の均一化を促進できるという効果もある。
【0050】
また、攪拌オーガー21、現像ローラー25および中間ローラー23が第1のモーター41で駆動される構成にすると、現像ローラー25および中間ローラー23の周速は常に一定であるので、攪拌オーガー21の回転数も一定に保持される。これにより、貯留部28で攪拌された液体現像剤は攪拌オーガー21の軸方向に常に一定量で搬送されことで液位が安定する構成を省スペースで実現することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
2…感光体、5…現像装置、21…攪拌オーガー、22…アニロックスローラー、23…中間ローラー、24…中間ローラークリーニングブレード、25…現像ローラー、26…現像ローラークリーニングブレード、27…現像剤圧縮部、28…貯留部、29…回収部、30…仕切部材、30a,30b…切欠部、31…供給口、32…供給ポンプ、33…駆動軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー及びキャリアー液を含む液体現像剤を貯留する貯留部と、
前記貯留部に貯留される前記液体現像剤を攪拌する攪拌部材と、
前記貯留部に貯留される前記液体現像剤を担持して回転する第1の塗布ローラーと、
前記第1の塗布ローラーに当接すると共に、前記第1の塗布ローラーの回転方向と逆方向に回転する第2の塗布ローラーと、
前記第2の塗布ローラーに当接すると共に、前記第2の塗布ローラーの回転方向と同方向に回転する現像剤担持体ローラーと、
前記現像剤担持体ローラーをクリーニングして液体現像剤を回収するクリーニング部材と、
前記クリーニング部材によって回収される液体現像剤を貯留する回収部と、
前記貯留部から前記回収部へ液体現像剤を流動させる流動部を有し、前記貯留部と前記回収部との間を仕切る仕切部材と、
前記第1の塗布ローラーに伝達する駆動力を発生させる第1の駆動源と、
前記攪拌部材及び前記現像剤担持体ローラーに伝達する駆動力を発生させる第2の駆動源と、
前記第1の駆動源からの駆動力により前記第1の塗布ローラーの回転速度を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体を露光して前記潜像を形成する露光部と、
トナー及びキャリアー液を含む液体現像剤を貯留する貯留部、前記貯留部に貯留される前記液体現像剤を攪拌する攪拌部材、前記貯留部に貯留される前記液体現像剤を担持して回転する第1の塗布ローラー、前記第1の塗布ローラーに当接すると共に、前記第1の塗布ローラーの回転方向と逆方向に回転する第2の塗布ローラー、前記第2の塗布ローラーに当接すると共に前記第2の塗布ローラーの回転方向と同方向に回転する液体現像剤担持体ローラー、前記液体現像剤担持ローラーをクリーニングして液体現像剤を回収するクリーニング部材、前記クリーニング部材によって回収される液体現像剤を貯留する回収部、前記貯留部から前記回収部へ液体現像剤を流動させる流動部を有し、前記貯留部と前記回収部との間を仕切る仕切部材を備え、前記潜像担持体に形成された潜像を現像する現像部と、
前記第1の塗布ローラーに伝達する駆動力を発生させる第1の駆動源と、
前記攪拌部材及び前記現像剤担持体ローラーに伝達する駆動力を発生させる第2の駆動源と、
前記第1の駆動源からの駆動力により前記第1の塗布ローラーの回転速度を制御する制御部と、
前記現像部で形成された像を転写材に転写する転写部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の駆動源で発生される駆動力により、前記第2の塗布ローラーは駆動する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の駆動源は、回転軸を有し、
前記第1の駆動源の回転軸の回転を前記現像剤担持体ローラーに伝達する駆動伝達ベルトを有する請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像剤担持体ローラーに伝達された駆動力を前記第2の塗布ローラーに伝達する第2の駆動伝達ベルトを有する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写材の種別が入力される転写材種別入力部を有し、
前記制御部は、前記転写材種別入力部で第1の種別が入力されたときには、前記第1の塗布ローラーを第1の回転速度で回転させるとともに、前記転写材種別入力部で第1の種別よりも表面粗さが粗い第2の種別が入力されたときには、前記第1の塗布ローラーを第1の回転速度よりも速い第2の回転速度で回転させ、
前記攪拌部材は、前記転写材種別入力部で前記第1の種別が入力されたときは第3の回転速度で回転するとともに、前記転写材種別入力部で前記第2の種別が入力されたときは第3の回転速度で回転する請求項2乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−220600(P2012−220600A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84254(P2011−84254)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】