現像装置
【課題】現像剤担持体の表面で見たマグネットローラの端部のN磁極とS磁極における磁束密度の差を少なくして現像剤の担持ムラを軽減できる現像装置を提供することを目的としている。
【解決手段】マグネットローラ29は、現像スリーブ28の内側に非回転に配置され、長手方向に連続したN磁極とS磁極とが外周面に複数配置される。マグネットローラ29の端部の角部における磁極ごとの磁束密度の高まりの差を少なくするように磁極ごとに設定された体積の磁性材料が、マグネットローラ29の端部で部分的に除去されている。マグネットローラ29の外周面に多いN磁極に対応するマグネットローラ29の端部の扇形領域では、マグネットローラ29の外周面に少ないS磁極に対応するマグネットローラ29の端部の扇形領域よりも、除去された磁性材料の体積が大きい。
【解決手段】マグネットローラ29は、現像スリーブ28の内側に非回転に配置され、長手方向に連続したN磁極とS磁極とが外周面に複数配置される。マグネットローラ29の端部の角部における磁極ごとの磁束密度の高まりの差を少なくするように磁極ごとに設定された体積の磁性材料が、マグネットローラ29の端部で部分的に除去されている。マグネットローラ29の外周面に多いN磁極に対応するマグネットローラ29の端部の扇形領域では、マグネットローラ29の外周面に少ないS磁極に対応するマグネットローラ29の端部の扇形領域よりも、除去された磁性材料の体積が大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤担持体の内側にマグネットローラを非回転に配置した現像装置、詳しくはマグネットローラの長手方向の端部の角部に位置する現像剤担持体表面の現像剤の担持ムラを緩和する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現像装置が、トナーを含む一成分現像剤又は二成分現像剤を回転する現像剤担持体に担持させて、像担持体に形成された静電像をトナー像に現像する画像形成装置が広く用いられている。
【0003】
非磁性材料で構成される現像剤担持体(現像スリーブ)の表面に現像剤を磁気的に担持させるために、現像剤担持体の内側には、マグネットローラが非回転に配置されている。マグネットローラは、長手方向に連続したN磁極とS磁極とが外周面に配置され、非磁性体の現像剤担持体を貫通して隣接するN磁極とS磁極との間を連絡する磁束が、現像剤を現像剤担持体の表面に磁気的に担持させる。
【0004】
特許文献1には、扇形断面のマグネットピースを支持シャフトの周囲に接着固定してマグネットローラを形成するマグネットローラの製造方法が示される。
【0005】
ところで、図2に示すように、マグネットローラ29は、回転する円筒状の現像スリーブ(現像剤担持体)28の表面との距離を一定に保てるように、全体が円柱状に形成されている。このため、マグネットローラ29の長手方向の端面の角部では、端面に沿って中心へ向かう磁束の回り込みが発生して、端部の内側の円筒面上よりも磁束が多く発生する。永久磁石の磁極面のエッジ部分では、エッジの内側の磁極面よりも磁束密度が高まって磁力が強くなるからである。
【0006】
このため、マグネットローラ29の長手方向の端面に対応する位置の現像スリーブ28の表面には、局所的に、マグネットローラ29の長手方向中央部に位置する周面よりも多くの現像剤が担持されてしまう。その結果、現像剤が多く担持された部分では、層厚規制ブレード30の摺擦による現像剤の劣化が進んだり、画像面に線状の現像ムラが発生したりする(特許文献2)。
【0007】
そこで、特許文献2では、マグネットローラの長手方向の端面における磁気力の盛り上がりを軽減するために、円柱状のマグネットローラの端部に面取りを施している。図7に示すように、長手方向の外側へ向かってマグネットローラ29の端部の直径を次第に小さくして、マグネットローラ29の表面と現像剤担持体表面との距離を次第に拡大させている。これにより、マグネットローラ29の端部の磁力の盛り上がりを相殺していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平1−115109号公報
【特許文献2】特開平10−91002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図7に示すように、マグネットローラ29の端部の外周を一様な直径に仕上げた場合、マグネットローラ29の端部に位置する現像スリーブ28表面の現像剤の担持ムラが意図せず生じていることが判明した。マグネットローラ29の外周面に多い磁極(図7ではN磁極)の端部に位置する現像スリーブ28の表面では、磁束密度の高まりが残って現像剤の担持ムラが形成されていることが観察された。一方、マグネットローラ29の外周面に少ない磁極(図7ではS磁極)の端部に位置する現像スリーブ28の表面では、磁束密度が周囲よりも低くなって現像剤の担持ムラが形成されていることが観察された。
【0010】
現像スリーブ28の端部表面に現像剤の担持ムラが意図せず形成されると、この影響によって静電像の現像効率の差となって出力画像に濃度ムラが形成される可能性がある。また、層厚規制ブレード30に沿った圧力を局所的に高めて現像剤を劣化させる可能性がある。
【0011】
本発明は、現像剤担持体の周面の磁性部材の端部に相当する位置における現像剤の担持ムラを軽減できる現像装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の現像装置は、現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体の内側に配置され、前記現像剤担持体の周方向に異なる複数の磁極を有する磁性部材とを備えたものである。そして、前記複数の磁極は、一方の極性となる磁極の数の方が他方の極性よりも多く、前記複数の磁極のうち前記一方の極性となる磁極の方が、前記他方の極性となる磁極よりも前記磁性部材の長手方向中央部に対する前記磁性部材の長手方向端部の体積比が小さい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の現像装置では、磁性部材が円柱状のままでは他方の極性となる磁極よりも磁束密度が高くなる一方の磁極では、磁性部材の長手方向中央部に対する磁性部材の長手方向端部の体積比を小さくする。つまり、中央部との比較において、端部を相対的に小さく作って磁化を減らす。一方、円柱状のままでは一方の磁極よりも磁束密度が低くなる他方の磁極では、磁性部材の長手方向中央部に対する磁性部材の長手方向端部の体積比を相対的に大きくして磁化を一方の磁極の水準に近付ける。そのような端部の外観を持たせた磁性部材を使用する。
【0014】
例えば、磁極ごとに設定された体積で端部の磁性材料を部分的に除去することで、端部の角部における磁極ごとの磁束密度の差が少なくなる。これにより、磁性部材の端部に位置する現像剤担持体の表面の現像剤拘束力を磁極ごとに適正に弱めることができる。
【0015】
したがって、現像剤担持体の表面で見た磁性部材の端部のN磁極とS磁極における磁束密度の差を少なくして現像剤の担持ムラを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】長手方向に垂直な断面における現像装置の構成の説明図である。
【図3】長手方向に沿った断面における現像装置の構成の説明図である。
【図4】従来のマグネットローラの構成の説明図である。
【図5】マグネットローラの境界条件の説明図である。
【図6】現像スリーブ表面における長手方向の磁束密度分布の説明図である。
【図7】比較例のマグネットローラの構成の説明図である。
【図8】永久磁石が発生する磁束の説明図である。
【図9】磁化方向に永久磁石を短くする効果の説明図である。
【図10】N磁極とS磁極における長手方向の磁束密度分布の説明図である。
【図11】実施例1のマグネットローラの構成の説明図である。
【図12】実施例2のマグネットローラの構成の説明図である。
【図13】実施例3のマグネットローラの構成の説明図である。
【図14】実施例4のマグネットローラの構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、マグネットローラの外周面のN磁極とS磁極とで異ならせた体積の磁性材料が端部から除かれている限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0018】
従って、二成分現像剤のみならず一成分現像剤を使用する現像装置でも実施できる。二成分現像剤の現像装置においては、現像室と撹拌室を上下に配置する縦型の現像装置のみならず、現像室と撹拌室を水平に並べて配置する横型の現像装置でも実施できる。そのような現像装置は、タンデム型/1ドラム型、中間転写型/記録材搬送型、枚葉転写型の画像形成装置において、区別無く実施できる。
【0019】
本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途の画像形成装置で実施できる。
【0020】
なお、特許文献1、2に示される現像装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
【0021】
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト5に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
【0022】
中間転写ベルト5は、ローラ61、62、63に懸架され、矢印R2方向に移動自在とされる。画像形成部Paでは、感光ドラム1aにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト5に転写される。画像形成部Pbでは、感光ドラム1bにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト5に転写される。画像形成部Pc、Pdでは、それぞれ感光ドラム1c、1dにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト5に転写される。
【0023】
中間転写ベルト5に転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ二次転写される。ピックアップローラ13によって記録材カセット12から取り出された記録材Pは、分離ローラ11で1枚ずつに分離して、レジストローラ14へ給送される。レジストローラ14は、中間転写ベルト5のトナー像にタイミングを合わせて二次転写部T2へ記録材Pを送り出す。トナー像を転写された記録材Pは、定着装置16で加熱加圧を受けて、表面にトナー像を定着された後に、排出トレイ17へ排出される。
【0024】
画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、現像装置4a、4b、4c、4dで用いるトナーの色が異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、画像形成部Paについて説明し、画像形成部Pb、Pc、Pdについては、画像形成部Paの構成部材に付した符号末尾のaをb、c、dに読み替えて説明されるものとする。
【0025】
画像形成部Paは、感光ドラム1aの周囲に、コロナ帯電器2a、露光装置3a、現像装置4a、一次転写ローラ6a、ドラムクリーニング装置19aを配置している。
【0026】
感光ドラム1aは、アルミニウムシリンダの外周面に負極性の帯電極性を持たせた感光層が形成され、所定のプロセススピードで矢印方向に回転する。コロナ帯電器2aは、感光ドラム1aの表面を一様な負極性の暗部電位VDに帯電させる。露光装置3aは、レーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1aの表面に画像の静電像を書き込む。現像装置4aは、トナーとキャリアを含む現像剤を用いて、静電像を現像して、感光ドラム1aの表面にトナー像を形成する。
【0027】
一次転写ローラ6aは、中間転写ベルト5の内側面を押圧して、感光ドラム1aと中間転写ベルト5との間にトナー像の転写部を形成する。一次転写ローラ6aに正極性の直流電圧を印加することにより、感光ドラム1aに担持された負極性のトナー像が中間転写ベルト5へ一次転写される。ドラムクリーニング装置19aは、記録材Pへの転写を逃れて感光ドラム1aに残った転写残トナーを回収する。
【0028】
なお、像担持体として、通常使用されるドラム状の有機感光体である感光ドラム1aを使用したが、アモルファスシリコン感光体等の無機感光体を使用してもよく、ベルト状の感光体を用いることも可能である。帯電方式、現像方式、転写方式、クリーニング方式、定着方式に関しても、上記方式に限られるものではない。
【0029】
<現像装置>
図2は長手方向に垂直な断面における現像装置の構成の説明図である。図3は長手方向に沿った断面における現像装置の構成の説明図である。
【0030】
図2に示すように、現像装置4aは、現像スリーブ28にトナーとキャリアを含む現像剤を担持して感光ドラム1aの静電像を現像する。感光ドラム1aは、矢示R1方向に273mm/secのプロセススピード(周速度)で回転する。現像装置4aは、現像剤として非磁性トナーと磁性キャリアとを混合した二成分現像剤を使用する。
【0031】
現像容器22は、現像スリーブ28に現像剤を供給する現像室23と現像スリーブ28から現像剤を回収する攪拌室24とを縦に並べて配置する。現像容器22の感光ドラム1aに対向する領域に現像スリーブ28が回転可能に配置されている。
【0032】
図3に示すように、現像容器22を隔壁27で仕切って構成される現像室23と攪拌室24は、現像剤を撹拌しつつ搬送する現像剤の循環経路を構成している。現像室23の下方に攪拌室24が配置され、現像室23には現像スクリュー25が回転可能に設けられ、攪拌室24には攪拌スクリュー26が回転可能に設けられている。現像スクリュー25と攪拌スクリュー26は、現像室23と攪拌室24の現像剤を逆方向に搬送して、現像容器22内を循環させる。隔壁27は、長手方向の両端部で垂直方向に現像剤を受け渡す開口部27A、27Bを設けられている。
【0033】
図2に示すように、現像容器22の感光ドラム1aに対向した現像領域に相当する位置に開口部22Aがあり、開口部22Aに現像スリーブ28が感光ドラム1a方向に一部露出するように回転可能に配設されている。現像スリーブ28は、アルミニウムやステンレスのような非磁性材料で構成され、直径は20mm、感光ドラム1aの直径は80mmである。現像スリーブ28と感光ドラム1aとの最近接領域を約300μmの距離とすることによって、現像部に搬送した現像剤の磁気ブラシを感光ドラム1aと接触させた状態で、現像が行なえるように設定されている。
【0034】
現像領域では、現像スリーブ28は、感光ドラム1aの表面の移動方向と順方向で移動し、周速比は、対感光ドラム1.75倍である。この周速比は、0〜3.0倍の間で設定され、好ましくは、0.5〜2.0倍の間に設定される。周速比は、大きくなればなるほど現像効率はアップするが、大きすぎると、トナー飛散、現像剤劣化等の問題点が発生するので、上記の範囲内で設定することが好ましい。
【0035】
非磁性体の現像スリーブ28に現像剤を拘束させるため、表面に複数の磁極N1、S1、N3、N2、S2、N3を配置したマグネットローラ29が現像スリーブ28の内側に非回転に配置される。現像極S2は、現像部における感光ドラム1に対向して配置される。磁極S1は、規制ブレード30に対向して配置される。磁極N2は、磁極S1、S2の間に配置される。磁極N1及びN3は、現像室23及び撹拌室24にそれぞれ対向して配置される。各々の磁極の磁束密度の大きさは40mT〜70mTとしたが、現像に供されるS2極は100mTとした。
【0036】
現像スリーブ28は、マグネットローラ29の磁界によって現像剤を担持して矢印R28方向に回転し、規制ブレード30による磁気ブラシの穂切りによって現像剤の層厚を規制される。
【0037】
規制ブレード30は、現像スリーブ28の長手方向軸線に沿って延在した板状のアルミニウムなどで形成された非磁性材料で構成され、感光ドラム1aよりも現像スリーブ回転方向上流側に配設されている。規制ブレード30の先端部と現像スリーブ28との間を現像剤のトナーとキャリアの両方が通過して現像領域へと送られる。
【0038】
規制ブレード30の現像スリーブ28の表面との間隙(ギャップ)を調整することによって、現像スリーブ28上に担持した現像剤磁気ブラシの穂切り量が規制されて現像領域へ搬送される現像剤量が調整される。
【0039】
規制ブレード30と現像スリーブ28は、間隙を200〜1000μm、好ましくは300〜700μmに設定される。ここでは、500μmに設定して、規制ブレード30によって、現像スリーブ28上の単位面積当りの現像剤コート量を30mg/cm2に規制している。
【0040】
現像スリーブ28は、規制ブレード30によって層厚を規制された二成分現像剤を感光ドラム1aと対向した現像領域に搬送し、感光ドラム1a上に形成された静電像に現像剤を供給してトナー像に現像する。現像部では、マグネットローラ29の磁極S2によって穂立ちした二成分現像剤の磁気ブラシが感光ドラム1aの表面を摺擦する。
【0041】
この時、現像効率、つまり、静電像へのトナーの付与率を向上させるために、電源D28は、直流電圧Vdcに交流電圧を重畳した振動電圧を、現像バイアス電圧として現像スリーブ28に印加する。ここでは、−500Vの直流電圧Vdcと、ピーク・ツウ・ピーク電圧Vppが800V、周波数fが12kHzの交流電圧を用いたが、直流電圧、交流電圧条件は、これに限られるものではない。
【0042】
このような二成分磁気ブラシ現像法においては、一般的に、交流電圧を印加すると現像効率が増して画像は高品位になるが、逆に画像の白地部にトナーが付着するかぶり画像が発生し易くなる。このため、現像スリーブ28に印加する直流電圧Vdcと感光ドラム1aの帯電電位(即ち白地部電位)との間にかぶり取り電位Vbackを設けることにより、かぶり画像を防止している。
【0043】
<従来のマグネットローラ>
図4は従来のマグネットローラの構成の説明図である。図5はマグネットローラの境界条件の説明図である。図6は現像スリーブ表面における長手方向の磁束密度分布の説明図である。
【0044】
図4に示すように、従来のマグネットローラ129は、非磁性体の支持シャフト140の周囲に磁性体からなる複数のマグネットピース141を放射状に貼り付けて構成している。マグネットローラ129は、長手方向のどの部分においても、場所に拠らずほぼ同様の磁極断面パターンが得られる必要がある。このため、複数の磁極マグネットピース141は、各々支持シャフト140の長手方向で磁束密度の大きさが変化しないように磁化を調整されている。
【0045】
図5に示すように、マグネットローラ129の任意の部分を輪切りにして磁界を考えると、マグネットローラ129が周囲の空間に形成する磁力線(磁束)はマグネットローラ129の周方向に形成され、長手方向には形成されない。長手方向に隣接する断面の磁化が等しいため、長手方向の磁化が0となって磁束が形成されないからである。 言い換えれば、マグネットローラ129の磁極の断面構成が支持シャフト140方向で変化しない場合、任意の輪切り断面に対して周期境界条件を適用できるため、マグネットローラ129の長手方向には磁力線が伸びない。なぜなら、仮に長手方向に磁力線が伸びるとすると、周期境界条件が適用可能な対称性が失われることとなり、矛盾が生じるからである。
【0046】
したがって、マグネットローラ129の端部を除いた大部分に関しては、周期境界条件が適用できるため、マグネットローラ129の長手方向に磁力線が伸びない。しかし、マグネットローラ129の端部においては、周期境界条件が適用できないため、上記議論が成り立たない。
【0047】
マグネットローラ129の端部においては、外側に向かって端面を中心側へ回り込む磁力線が追加的に発生する。マグネットローラ129の端部においては、マグネットローラ129の周方向だけでなく、長手方向にも磁力線が形成されるため、内側の部分よりも磁束密度が高くなる。
【0048】
図6に示すように、現像スリーブの表面に沿って長手方向にステラメータ(TM:図10)を移動させて現像スリーブの表面における長手方向の磁束密度を測定した。その結果、マグネットローラ129の端部に対応する長手方向の位置で、磁束密度が局所的に高まって磁気特性が盛り上がっていることが確認された。このような磁気特性の盛り上がりは、エッジ効果と呼ばれている。
【0049】
このようなエッジ効果があると、マグネットローラ129の端部に対応する位置の現像スリーブ表面のみ現像剤の穂立ち量が多くなる。現像剤の穂立ち量が多くなると、その部分のみ現像スリーブに対向する感光ドラムに強く接触して、著しい場合には現像剤が感光ドラム表面を傷付けてしまう恐れがある。
【0050】
仮に感光ドラムが傷つかないとしても、エッジ効果のような急激な磁束密度の変化は、現像スリーブ上の現像剤量の急激な変化を引き起こすので、部分的に現像性の差が生じ、結果として濃度差として認識される不良画像となりやすい。
【0051】
また、現像剤が感光ドラムへ移行し易くなる結果、図1に示すように、現像装置4aよりも下流に存在するドラムクリーニング装置19a、二次転写ローラ10、定着装置16などに影響を与える恐れもある。
【0052】
なお、測定に用いたテスラメータ(TM:図10)は、ホール素子を利用した磁束密度の測定器である。ホール素子は、電流と磁場の両方に直交する方向に電場(ホール電場)が現れるホール効果を利用して磁束密度に応じた電圧を出力する磁気センサである。ホール素子は、磁石が発生する磁界と参照電流の方向と大きさが決まれば、起電力(ホール電場)の向きと大きさが一意に決まることから、参照電流と起電力(ホール電場)の向きと大きさとにより、電流と電場に直交する磁界の大きさと向きを測定することができる。
【0053】
<比較例>
図7は比較例のマグネットローラの構成の説明図である。図8は永久磁石が発生する磁束の説明図である。図9は磁化方向に永久磁石を短くする効果の説明図である。図10はN磁極とS磁極における長手方向の磁束密度分布の説明図である。
【0054】
特許文献1(特開平1−115109号公報)及び特許文献2(特開平10−91002号公報)では、マグネットローラ29の両端部の外径を小径にすることで、エッジ効果による磁気特性の盛り上がりを補正している。
【0055】
図7に示すように、マグネットローラ29の両端部の外径を中央部よりも小径に構成して、エッジ効果の無い平坦な磁気特性が得られるようにしている。マグネットピース41の磁力は、マグネットピース41の体積の増減に対応して変化するため、マグネットピース41の体積を変更することで、磁束密度を減らすことが可能である。マグネットローラ29の両端部でマグネットローラの外径をなだらかに小さくすることで、エッジ効果による両端部の磁気特性を補正して磁気特性の盛り上がりを軽減することが可能である。
【0056】
図8に示すように、この点について詳しく述べると、一般的な永久磁石の磁束密度は磁束線の密度によって定義されるが、磁束線は磁力線と磁化線の(ベクトル的な)足し合わせとして表すことができる。これは、磁束密度Bが磁場Hと磁化M(磁場Hに透磁率μをかけたもの)の足し算(B=H+μM)で表現できることに対応する。図8には棒磁石を例にしてこれらの関係を表現した。
【0057】
磁束線は、その性質として、磁束に関するガウスの法則divB=0(磁束保存の式)を満たすことから、すべての点において湧き出しも吸い込みもない(磁荷が存在しないことと同義)。つまり、永久磁石の内部の磁化Mが変化すると、その分だけ外部の磁化も変化する。
【0058】
図9に示すように、したがって、永久磁石の長さを変化させて、磁石の体積を小さくすると、永久磁石の磁化Mも小さくなるので、永久磁石外部の磁束線も変化し、磁束密度が小さくなる。以上から、マグネットローラ29の両端部の外径を小さくする構成では、両端部においてマグネットピース41の体積が小さくなるので、端部の磁束密度は小さくなり、エッジ効果による磁気特性の盛り上がりが軽減される。
【0059】
しかし、発明者らの検討に拠れば、このような比較例においても、以下のような問題が残る。比較例では、図2に示すように、N1、S1、N2、S2、N3の5つの磁極からなるマグネットローラ29について、いずれの磁極のマグネットピース41に対しても周方向にわたり均一に外径を小さくしている。このため、磁極によってはエッジ効果が残ってしまったり、逆になだらかになりすぎたりと、完全に平坦にはならない磁極が存在することがわかった。
【0060】
図10の(a)に示すように、テスラメータTMを用いて、現像スリーブ28の長手方向の表面に沿ってマグネットローラ29のN磁極とS磁極の磁束密度を測定した。その結果、マグネットローラ29の両端部における磁気特性の変化の特徴は、N磁極とS磁極とで大きく2つに分かれることがわかった。
【0061】
図10の(b)に示すように、マグネットローラ29の磁極N1、N2、N3は、マグネットローラ29の端部の角部のエッジ効果による磁気特性の盛り上がりが大きい。磁極N1、N2、N3では、マグネットローラ29の両端部で一旦磁気特性が盛り上がった後、その外側で急激に逆極のS磁極に一旦変化し、その後、外側に行くに従って磁束密度が0に収束している。
【0062】
これに対して、図10の(c)に示すように、マグネットローラ29の磁極S1、S2は、マグネットローラ29の端部の角部のエッジ効果による磁気特性の盛り上がりがほとんどない。場合によっては、逆に磁気特性がなだらかに落ちている。磁極S1、S2は、マグネットローラ29の両端部の外側で、逆極のN磁極に変化することなく、S磁極のまま磁束密度が0に収束している。
【0063】
このように、外周面のN磁極とS磁極の数が異なるマグネットローラ29の場合、エッジ効果の大きな磁極とエッジ効果がほとんどない磁極の2つに分かれる。このため、マグネットローラ29のN磁極のマグネットピース41とS磁極のマグネットピース41とで均一に外径を小さくすると、N磁極ではエッジ効果が残ってしまい、逆にS磁極ではエッジ効果が除去され過ぎる。
【0064】
その結果、回転する現像スリーブ28の表面がN磁極の端部を通る際には磁束密度が高まって現像剤の担持力が増え、その直後にS磁極の端部を通る際には磁束密度が低下して現像剤の担持力が不足してしまう。これにより、マグネットローラ29の端部では、現像ムラ、トナー飛散、キャリア移転等が発生し易くなる。
【0065】
このような問題が発生した理由は、N磁極とS磁極とで両端部のエッジ効果の様子が異なるにもかかわらず、N磁極とS磁極とに拠らず均一に端部の直径を変化させてしまったことによる。このため、比較例の構成では、エッジ効果による磁気特性の盛り上がりに対する対策としては未だ十分とは言い難い。
【0066】
また、このような現象は、比較例のように外周面のN磁極とS磁極の数が違う場合以外でも発生し得る。同じN磁極同士でも磁化の大きい磁極と小さい磁極との間でも発生する。外周面に占める磁極の長さが大きい磁極と小さい磁極との間でも発生する。
【0067】
いずれにせよ、複数の磁極を備えたマグネットローラにおいては、エッジ効果の比較的強い磁極とエッジ効果があまりない磁極に分かれる。この場合に、両端部の外径を均一に小さくしてしまうと、エッジ効果が残ってしまったり、逆になだらかになりすぎたりと、磁極によっては端部の磁気特性が平坦にならないことが起きる。磁極によって両端部のエッジ効果の様子が異なるにもかかわらず、磁極に拠らず均一に径を変化させてしまうと、エッジ効果の高い磁極にエッジ効果が残ってしまう。そして、両端部の磁気特性の盛り上がりが残ってしまったり、なだらかに落ち過ぎてしまったりすると、各々問題が懸念される。
【0068】
円筒形状の場合にエッジ効果の弱い磁極に合わせてマグネットローラの端部の外径を変化させた場合、元々エッジ効果の強い磁極では、エッジ効果による磁気特性の盛り上がりが残ってしまう。エッジ効果による磁気特性の盛り上がりが残ってしまうと、上述したように、出力画像の濃度ムラや現像剤劣化の原因となる。
【0069】
逆に、エッジ効果の強い磁極に合わせてマグネットローラの端部の外径を変化させた場合、元々エッジ効果の弱い磁極では、両端部の磁気特性がなだらかに落ちすぎる。両端部の磁気特性がなだらかに落ちると、現像スリーブ28の現像剤を保持する力が弱くなり、現像剤が感光ドラム1aに持っていかれたり、端部方向に現像剤が漏れ出したりする懸念がある。また、その部分のみ現像剤のコート量が少なくなってしまうため、現像性が低下して画像濃度が低くなってしまう怖れもある。
【0070】
そこで、以下の実施例では、N磁極とS磁極の両端部のエッジ効果の様子に応じて、マグネットローラ29の両端部における磁性材料の体積の変化の程度を変更している。
【0071】
<実施例1>
図11は実施例1のマグネットローラの構成の説明図である。図2に示すように、磁性部材の一例であるマグネットローラ29は、現像剤担持体の一例である現像スリーブ28の内側に配置され、マグネットローラ29の周方向に異なる複数の磁極を有する。マグネットローラ29は、中心を貫通させた支持シャフト40の周囲に複数の磁極ごとのマグネットピースを配置して構成されている。
【0072】
図10に示すように、現像スリーブ28の中心軸上であってマグネットローラ29の外側の空間において、磁力が0に向かって収束する際の極性は、一の極性の一例であるS極である。このため、図11の(a)に示すように、複数の磁極のうち一の極性と異極となるN磁の方が、一の極性と同極となるS極よりもマグネットローラ29の長手方向中央部に対するマグネットローラ29の長手方向端部の体積比が小さい。
【0073】
また、マグネットローラ29は、外周面において、一方の極性の一例であるN極の数の方が他方の極性の一例であるS極よりも多い。このため、外周面でN極となる磁極の方が、S極性となる磁極よりもマグネットローラ29の長手方向中央部に対するマグネットローラ29の長手方向端部の体積比が小さい。
【0074】
マグネットローラ29の端部の角部における磁極ごとの磁束密度の高まりの差を少なくするように、磁極ごとに設定された体積の磁性材料が、マグネットローラ29の端部で中間部よりも部分的に除去されている。N磁極に対応するマグネットローラ29の端部の扇形領域では、マグネットローラ29の外周面に少ないS磁極に対応するマグネットローラ29の端部の扇形領域よりも、除去された磁性材料の体積が大きい。
【0075】
実施例1のマグネットローラ29の中心部には、丸軸の支持シャフト40が設けられている。図2に示すように、マグネットローラ29の磁極は5個で構成されているので、支持シャフト40の周りに5つの磁極N1、S1、N2、S2、N3を形成すべく、各々の磁極に対応する位置にマグネットピース41を貼り合わせて構成されている。
【0076】
なお、磁極の数が5個でなくとも、また、マグネットピースの数が5個でなくとも、さらに、マグネットピースを貼り合せる構成でなくとも、本発明が適用可能なこことは言うまでもない。
【0077】
支持シャフト40としては、ステンレススチールを用いたが、これに限られるものではなく、例えば鉄のような金属など、ある程度の剛性を持つ材料であれば、何を用いてもかまわない。形状に関しても、実施例1においては丸軸としたが、その他の形でもかまわない。
【0078】
マグネットピース41は、樹脂やゴム等をベースにした樹脂磁石や焼結磁石等の周知の磁石で構成すればよい。実施例1においては、樹脂マグネットピース41を扇形が延伸した形状に形成し、これらを支持シャフト40に接着剤等で放射状に貼り合わせてマグネットローラ29を構成した。
【0079】
ここで、図4のように、マグネットピースの断面形状を中間部から両端部も含めて長手(支持シャフト軸)方向全域にわたり同一形状に形成すると、両端部においてエッジ効果による磁気特性の盛り上がりが発生してしまう。
【0080】
また、図7のように、N磁極のマグネットピース41とS磁極のマグネットピースの両端部の外径を中間部に比較して均一に小さくすると、N磁極のマグネットピース41においてエッジ効果による磁気特性の盛り上がりが残ってしまう。
【0081】
そこで、図10の(a)に示すように、両端部で径を変化させる前に、各々の磁極の長手方向の磁束密度分布を測定し、その測定結果に応じて各々の磁極の端部の外径を設計した。
【0082】
実施例1のマグネットローラ29の5つの磁極のうち、磁極N1、N2、N3の3極はエッジ効果が大きく、磁極S1、S2の2極はエッジ効果が小さい。そこで、磁極N1、N2、N3の各々の両端部におけるマグネットピース41の切り欠きの体積を、磁極S1、S2の各々の両端部における切り欠きの体積より大きくして、極に拠らず各々の磁気特性をより平坦にしている。
【0083】
図11の(a)に示すように、磁極N1、N2、N3のマグネットピース41の両端部のみ中間部よりも外径を小さくし、磁極S1、S2のマグネットピース41の両端部の外径は変化させない構成とした。これにより、エッジ効果の大きい磁極N1、N2、N3については磁極のエッジ効果を大きく抑制し、エッジ効果の小さい磁極S1、S2については端部磁気特性がなだらかになりすぎることを防止した。これにより、N磁極とS磁極の違いに拠らずに、マグネットローラ29の端部に沿った現像スリーブ28の一周の表面における平坦な磁気特性が得られた。
【0084】
なお、磁極S1、S2のいずれかの磁極でエッジ効果による磁気特性の盛り上がりがある場合には、盛り上がりがある磁極について外径を小さくすることになる。その場合も磁極N1、N2、N3よりも外径が大きくなるよう注意すれば、マグネットローラ29の端部に沿った現像スリーブ28の一周の表面における平坦な磁気特性が得られる。
【0085】
また、磁極N1、N2、N3の3極の両端部における外径の変化を実施例1においては同じにしたが、磁極N1、N2、N3のエッジ効果の大小に応じて切り欠きの体積をそれぞれ異ならせても構わない。エッジ効果の大きさに応じて、大きいもの程より両端部における切り欠きの体積を大きく設定することで、より効果的に全体のエッジ効果を低減できる。
【0086】
例えば、磁極N1の磁化の強さが磁極N2の磁化の強さよりも大きい場合、磁極N1の外径は磁極N2の外径よりも小さくすることができる。しかし、磁化の強さとエッジ効果の強さは相関があるが、半値幅や隣接極との関係で逆転する場合もあるので、図10に示すようにエッジ効果を測定し、その測定結果に基づいて切り欠き体積をそれぞれ設定するほうが良い結果が得られる。
【0087】
このように、外周面のN磁極とS磁極の数が異なる等して、外周面のN磁極とS磁極とで磁束がバランスしていないマグネットローラ構成において、磁極ごとのエッジ効果を揃えることができる。
【0088】
磁極のエッジ効果の程度に応じて、マグネットローラの切り欠き量を変えることで、すべての磁極において、端部におけるエッジ効果を抑制しつつ、逆になだらかになりすぎることも防止できる。すべての磁極において、端部におけるエッジ効果を抑制しつつ、逆になだらかになりすぎることも防止することで、現像スリーブにおける現像剤の穂立ちの状態を改善し、良好な画像形成状態を維持することが可能になる。良好な画像形成状態を維持することが可能な現像装置を提供することが可能となる。
【0089】
なお、実施例1においては、マグネットローラ29を構成するマグネットピース41の材質は樹脂マグネットとしたが、焼結フェライトマグネットでもかまわない。ただし、焼結フェライトマグネットはもろく破損しやすい欠点があり、また、焼結時に収縮しやすく、マグネット形状制御に限界がある。
【0090】
そのため、マグネットローラの端部形状を微妙に制御して磁極ごとのエッジ効果の補正を行う構成の場合、切り欠きの形状や体積を制御し易い樹脂マグネットが適しているといえる。
【0091】
また、実施例1においては、複数のマグネットピース41を貼り合わせてマグネットローラ29を構成したが、マグネットローラ29を最初から一体に構成した場合にも、本発明は実施できる。ただし、磁極ごとのエッジ効果の程度に応じてマグネットローラ29の端部形状を変化させる構成においては、磁極ごとにマグネットピース41を設けて貼り合わせる構成のほうが形状の加工が容易で切り欠きの体積の制御もし易い利点がある。
【0092】
また、支持シャフト40が磁性体で構成されていると、マグネットローラ29の端部において磁束密度が0に収束しにくくなる傾向がある。これは、磁性体の支持シャフト40が磁化されて、支持シャフト40自体が磁石のように振舞うからである。そのため、支持シャフト40に関しては非磁性体で構成するほうが好ましく、実施例1においてはステンレススチールで構成した。
【0093】
<実施例2>
図12は実施例2のマグネットローラの構成の説明図である。図11に示すように、実施例1においては、マグネットピース41の外径を両端部から一定の距離まで均一な厚みで変更していた。これに対して、実施例2では、図12に示すように、マグネットピース41の外径を両端部から一定の距離までテーパ状に変化させている。
【0094】
そして、実施例1と同様に、磁極N1、N2、N3の3極のマグネットピース41の両端部における切り欠きの体積を、磁極S1、S2の2極のマグネットピース41の両端部における切り欠きの体積よりも大きくしている。これにより、現像スリーブ28の表面で測定されるマグネットローラ29の端部の各磁極のエッジ効果の影響を揃えることができ、現像スリーブ28の長手方向及び周方向の現像剤担持性能のムラがなくなっている。
【0095】
また、テーパ状に体積を削減する構成においては、マグネットローラ29の端部のエッジ効果が端部に行くほど顕著になることにうまく対応して、現像スリーブの長手方向の磁気特性を平坦化することが可能である。また、マグネットローラ29のエッジ部がなだらかなので、製造中などの取り扱い時の破損を抑制することも可能である。
【0096】
<実施例3>
図13は実施例3のマグネットローラの構成の説明図である。図12に示すように、実施例2では、磁極ごとに設定された体積の磁性材料がマグネットローラ29の端部で部分的に除去されていた。これに対して、実施例3では、磁極ごとに設定された体積の磁性材料がマグネットローラ29の端部で付加されている。
【0097】
N磁極とS磁極のうちでマグネットローラ29の外周面に少ない磁極はS磁極である。S磁極に対応するマグネットローラ29の端部の扇形領域では、磁性材料が部分的に付加されて外径がマグネットローラ29の中央部よりも大きい。
【0098】
磁極S1、S2に関して、マグネットローラ29の端部における磁気特性の落ち込みが特にひどいので、磁極S1、S2の端部の体積を増して、磁化を強めている。これにより、マグネットローラ29の端部の一周における磁気特性をより平坦にすることができた。
【0099】
<実施例4>
図14は実施例4のマグネットローラの構成の説明図である。図12に示すように、実施例2では、マグネットローラ29の端部の外周を切り欠いて永久磁石の長さを短くすることによりエッジ効果を軽減した。これに対して、実施例4では、図14に示すように、マグネットローラ29の端部の中心側を切り欠いて永久磁石の長さを短くすることによりエッジ効果を軽減した。このため、マグネットローラ29の長手方向の端部におけるマグネットローラ29の中心側の体積が、マグネットローラ29の長手方向中央部よりも小さい。
【0100】
図12に示すように、エッジ効果の抑制のためにマグネットの外径を変化させている場合、外径の変化する部分に対応してリップル状の急激な磁気特性の変化が生じ易いことがわかった。リップル形状の急激な磁気特性の変化が生じる理由は、端部と同様に直径の変化する部分では磁力線(磁束線)が集中し易いからである。直径の変化する部分では、周期境界条件が成立しないことから、磁力線(磁束線)が周方向だけでなく長手方向にも回り込み始めるためである。
【0101】
さらに言えば、現像スリーブ28に近いマグネットローラ29の外径部分を変化させているため、磁気特性の変化が現像スリーブ28の表面位置の磁束密度にも影響を与え易いことも大きく関係している。
【0102】
現像スリーブ28が現像剤を保持するのは現像スリーブ28の表面なので、マグネットローラ29によって形成する磁界のうち現像スリーブ28表面位置の磁気特性が最も重要である。したがって、マグネットローラ29の端部に位置する現像スリーブの表面の一周における現像剤の担持性能を均一にするためには、マグネットローラ29のつくる磁束の現像スリーブ28表面での密度を平坦化することが必要である。しかし、マグネットローラ29の外径を変化させた場合、現像スリーブ28の表面位置に近い部分に径の変化するエッジ部分が存在するため、長手方向の磁力線(磁束線)の回り込みが発生して影響を及ぼしてしまう。そのため、直径の変化する部分に対応してリップル状の急激な磁気特性の変化が生じ易くなっている。
【0103】
そこで、実施例4では、マグネットピース41の支持シャフト40に隣接する中心部分を切り欠いて磁化を弱くする一方、マグネットローラ29の外周は端部まで一様な直径の円柱状に仕上げた。マグネットローラ29の外径部分を切り欠くのではなく、中心側を切り欠くことで体積を減らしていることが特徴である。
【0104】
図14に示すように、マグネットローラ29は、中心を貫通させた支持シャフト40の周囲に複数の磁極ごとの扇形断面のマグネットピース41を配置して構成される。マグネットピース41は、長手方向の端面の支持シャフト40に隣接する中心部分で磁性材料が除去されている。
【0105】
実施例4でも、マグネットローラ29の両端部においてマグネットピース41を切り欠くことで、磁性材料の体積を減らし、磁石の長さを短くして、エッジ効果による磁気特性の盛り上がりを軽減している。マグネットピース41の外径部分ではなく内側を切り欠いても、マグネットピース41の体積が減っていることから、外径部分を切り欠いた時と同様に、マグネットピース41の外部における磁束密度を減らすことが可能である。
【0106】
そのため、実施例4の構成においても、両端部において元々存在するエッジ効果による磁気特性の盛り上がりを軽減することができ、平坦な磁気特性を得ることが可能となる。
【0107】
また、実施例4では、外周面が均一な直径の円柱状なので、外径を不規則に変化させた場合のようなリップル状の急激な磁気特性の変化は見られなかった。実施例4においても、マグネットピース41の内側の切り欠き部分では支持シャフト40の軸方向への磁力線(磁束線)の回り込みが存在する。しかしながら、回り込みの存在する位置が現像スリーブ28の表面から大きく離れているため影響がほとんど及ばない。そのため、外径を変化させた場合のようなリップル状の急激な磁気特性の変化は見られない。
【0108】
なお、実施例4においては、エッジ効果の強い磁極N1、N2、N3のみ切り欠く構成とし、エッジ効果の弱い磁極S1、S2は切り欠かない構成とした。これにより、磁極毎にエッジ効果が異なっていても、より平坦な磁気特性を得ることが可能となる。
【0109】
<N磁極とS磁極とでエッジ効果が異なる理由>
ところで、図10の(b)、(c)に示すように、マグネットローラ29の両端部外側では、各磁極はN磁極、S磁極に拠らず、どちらもS磁極から0に徐々に収束している。N磁極とS磁極のどちらもS磁極に収束した理由は以下のように考えられる。
【0110】
N磁極のマグネットピース41は、外周面(現像スリーブ28に近い側の面)がN磁極となるよう構成されているため、支持シャフト40に接する内側はS磁極となっている。単磁極の永久磁石は存在しないからである。同様に、外周面がS磁極のマグネットピース41は、内側がN磁極になっている。そして、マグネットローラ29の端部における磁力線(磁束線)の長手方向への回り込みは、主に外周面の磁極からこの内側の磁極に向かって伸びて発生している。
【0111】
ここで、マグネットローラ29の端部の磁気特性について考えると、マグネットローラ29の端部のすぐ外側における磁気特性は、N磁極かS磁極のどちらかに収束する。このとき、どちらに収束するかはマグネットローラ29の支持シャフト40に接するマグネットピース41の内側面の磁極のバランスによって決定される。
【0112】
その理由は、マグネットピース41の外周面の磁極からは磁力線(磁束線)が比較的周方向に伸びるのに対して、マグネットピース41の内側の磁極からは比較的支持シャフト軸方向に磁力線(磁束線)が伸びるためである。マグネットピース41の内側面の磁極バランスが、支持シャフト方向外側の磁気特性の決定に効いてくるからである。
【0113】
この観点で、図7の比較例を見てみると、マグネットローラ29はN磁極が3極、S磁極が2極の計5極からなっているが、マグネットピース41の内側ではN磁極の逆極のS磁極が3極、S磁極の逆極のN磁極が2極となっている。よって、マグネットピース41の内側面では、バランスとしてS磁極が勝っている状態となっている。
【0114】
したがって、マグネットローラ29の支持シャフト軸方向外側では、N磁極、S磁極に拠らずにS磁極から0に収束していくと考えられる。
【0115】
このように、マグネットローラ29の支持シャフト軸方向外側でS磁極から0に収束する場合、マグネット41端部における支持シャフト軸方向への磁力線(磁束線)の回り込みは、支持シャフト40の軸方向外側では磁極の極性に拠らずS磁極に収束している。
【0116】
このため、外周面がN磁極の場合は、異極同士で磁力線(磁束線)が伸びやすく、エッジ効果が比較的強くでやすい。これに対して、外周面がS磁極の場合は、同極同士で磁力線(磁束線)が伸びにくく、エッジ効果が比較的弱くなり易く、場合によってはむしろなだらかに落ちてしまう。
【0117】
以上のように、複数の磁極を備えた構成においては、エッジ効果の比較的強い磁極とエッジ効果があまりない磁極の2つに大きく分かれる。これらの現象は、マグネットローラのマグネットローラ部分よりも支持シャフト軸方向外側で、マグネットローラの各々の磁極がその極性に拠らず、最終的にどちらかの極性に収束してしまうために生じている。
【0118】
このマグネットローラの軸方向外側で収束する極性を収束極性と呼べば、この収束極性と異なる極性の磁極はエッジ効果が強く出易く、収束極性と同じ極性の磁極はエッジ効果が弱く出易い。
【0119】
収束する極性は、マグネットローラの内側面の磁極バランスで決まっており、バランスが勝っている磁極の極性に収束する。実際には、マグネットローラ端部外側位置の磁束密度をテスラメータで測定してやることで、容易に収束する極性は知ることが可能である。
【0120】
本発明は軸の周りに磁石を配置したマグローラを対象としていることから、磁石の発生する磁界のうち軸に垂直な周方向の磁界を測定して極性を判定している。この場合、磁界の向きが軸より離れる方向の場合はS磁極、軸に向かう方向の場合はN磁極となる。
【符号の説明】
【0121】
1a、1b、1c、1d 感光ドラム
3a、3b、3c、3d 露光装置
4a、4b、4c、4d 現像装置
22 現像容器、23 現像室、24 撹拌室
25 現像スクリュー、26 撹拌スクリュー
28 現像スリーブ、29 マグネットローラ
40 支持シャフト、41 マグネットピース
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤担持体の内側にマグネットローラを非回転に配置した現像装置、詳しくはマグネットローラの長手方向の端部の角部に位置する現像剤担持体表面の現像剤の担持ムラを緩和する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現像装置が、トナーを含む一成分現像剤又は二成分現像剤を回転する現像剤担持体に担持させて、像担持体に形成された静電像をトナー像に現像する画像形成装置が広く用いられている。
【0003】
非磁性材料で構成される現像剤担持体(現像スリーブ)の表面に現像剤を磁気的に担持させるために、現像剤担持体の内側には、マグネットローラが非回転に配置されている。マグネットローラは、長手方向に連続したN磁極とS磁極とが外周面に配置され、非磁性体の現像剤担持体を貫通して隣接するN磁極とS磁極との間を連絡する磁束が、現像剤を現像剤担持体の表面に磁気的に担持させる。
【0004】
特許文献1には、扇形断面のマグネットピースを支持シャフトの周囲に接着固定してマグネットローラを形成するマグネットローラの製造方法が示される。
【0005】
ところで、図2に示すように、マグネットローラ29は、回転する円筒状の現像スリーブ(現像剤担持体)28の表面との距離を一定に保てるように、全体が円柱状に形成されている。このため、マグネットローラ29の長手方向の端面の角部では、端面に沿って中心へ向かう磁束の回り込みが発生して、端部の内側の円筒面上よりも磁束が多く発生する。永久磁石の磁極面のエッジ部分では、エッジの内側の磁極面よりも磁束密度が高まって磁力が強くなるからである。
【0006】
このため、マグネットローラ29の長手方向の端面に対応する位置の現像スリーブ28の表面には、局所的に、マグネットローラ29の長手方向中央部に位置する周面よりも多くの現像剤が担持されてしまう。その結果、現像剤が多く担持された部分では、層厚規制ブレード30の摺擦による現像剤の劣化が進んだり、画像面に線状の現像ムラが発生したりする(特許文献2)。
【0007】
そこで、特許文献2では、マグネットローラの長手方向の端面における磁気力の盛り上がりを軽減するために、円柱状のマグネットローラの端部に面取りを施している。図7に示すように、長手方向の外側へ向かってマグネットローラ29の端部の直径を次第に小さくして、マグネットローラ29の表面と現像剤担持体表面との距離を次第に拡大させている。これにより、マグネットローラ29の端部の磁力の盛り上がりを相殺していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平1−115109号公報
【特許文献2】特開平10−91002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図7に示すように、マグネットローラ29の端部の外周を一様な直径に仕上げた場合、マグネットローラ29の端部に位置する現像スリーブ28表面の現像剤の担持ムラが意図せず生じていることが判明した。マグネットローラ29の外周面に多い磁極(図7ではN磁極)の端部に位置する現像スリーブ28の表面では、磁束密度の高まりが残って現像剤の担持ムラが形成されていることが観察された。一方、マグネットローラ29の外周面に少ない磁極(図7ではS磁極)の端部に位置する現像スリーブ28の表面では、磁束密度が周囲よりも低くなって現像剤の担持ムラが形成されていることが観察された。
【0010】
現像スリーブ28の端部表面に現像剤の担持ムラが意図せず形成されると、この影響によって静電像の現像効率の差となって出力画像に濃度ムラが形成される可能性がある。また、層厚規制ブレード30に沿った圧力を局所的に高めて現像剤を劣化させる可能性がある。
【0011】
本発明は、現像剤担持体の周面の磁性部材の端部に相当する位置における現像剤の担持ムラを軽減できる現像装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の現像装置は、現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体の内側に配置され、前記現像剤担持体の周方向に異なる複数の磁極を有する磁性部材とを備えたものである。そして、前記複数の磁極は、一方の極性となる磁極の数の方が他方の極性よりも多く、前記複数の磁極のうち前記一方の極性となる磁極の方が、前記他方の極性となる磁極よりも前記磁性部材の長手方向中央部に対する前記磁性部材の長手方向端部の体積比が小さい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の現像装置では、磁性部材が円柱状のままでは他方の極性となる磁極よりも磁束密度が高くなる一方の磁極では、磁性部材の長手方向中央部に対する磁性部材の長手方向端部の体積比を小さくする。つまり、中央部との比較において、端部を相対的に小さく作って磁化を減らす。一方、円柱状のままでは一方の磁極よりも磁束密度が低くなる他方の磁極では、磁性部材の長手方向中央部に対する磁性部材の長手方向端部の体積比を相対的に大きくして磁化を一方の磁極の水準に近付ける。そのような端部の外観を持たせた磁性部材を使用する。
【0014】
例えば、磁極ごとに設定された体積で端部の磁性材料を部分的に除去することで、端部の角部における磁極ごとの磁束密度の差が少なくなる。これにより、磁性部材の端部に位置する現像剤担持体の表面の現像剤拘束力を磁極ごとに適正に弱めることができる。
【0015】
したがって、現像剤担持体の表面で見た磁性部材の端部のN磁極とS磁極における磁束密度の差を少なくして現像剤の担持ムラを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】長手方向に垂直な断面における現像装置の構成の説明図である。
【図3】長手方向に沿った断面における現像装置の構成の説明図である。
【図4】従来のマグネットローラの構成の説明図である。
【図5】マグネットローラの境界条件の説明図である。
【図6】現像スリーブ表面における長手方向の磁束密度分布の説明図である。
【図7】比較例のマグネットローラの構成の説明図である。
【図8】永久磁石が発生する磁束の説明図である。
【図9】磁化方向に永久磁石を短くする効果の説明図である。
【図10】N磁極とS磁極における長手方向の磁束密度分布の説明図である。
【図11】実施例1のマグネットローラの構成の説明図である。
【図12】実施例2のマグネットローラの構成の説明図である。
【図13】実施例3のマグネットローラの構成の説明図である。
【図14】実施例4のマグネットローラの構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、マグネットローラの外周面のN磁極とS磁極とで異ならせた体積の磁性材料が端部から除かれている限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0018】
従って、二成分現像剤のみならず一成分現像剤を使用する現像装置でも実施できる。二成分現像剤の現像装置においては、現像室と撹拌室を上下に配置する縦型の現像装置のみならず、現像室と撹拌室を水平に並べて配置する横型の現像装置でも実施できる。そのような現像装置は、タンデム型/1ドラム型、中間転写型/記録材搬送型、枚葉転写型の画像形成装置において、区別無く実施できる。
【0019】
本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途の画像形成装置で実施できる。
【0020】
なお、特許文献1、2に示される現像装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
【0021】
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト5に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
【0022】
中間転写ベルト5は、ローラ61、62、63に懸架され、矢印R2方向に移動自在とされる。画像形成部Paでは、感光ドラム1aにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト5に転写される。画像形成部Pbでは、感光ドラム1bにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト5に転写される。画像形成部Pc、Pdでは、それぞれ感光ドラム1c、1dにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト5に転写される。
【0023】
中間転写ベルト5に転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ二次転写される。ピックアップローラ13によって記録材カセット12から取り出された記録材Pは、分離ローラ11で1枚ずつに分離して、レジストローラ14へ給送される。レジストローラ14は、中間転写ベルト5のトナー像にタイミングを合わせて二次転写部T2へ記録材Pを送り出す。トナー像を転写された記録材Pは、定着装置16で加熱加圧を受けて、表面にトナー像を定着された後に、排出トレイ17へ排出される。
【0024】
画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、現像装置4a、4b、4c、4dで用いるトナーの色が異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、画像形成部Paについて説明し、画像形成部Pb、Pc、Pdについては、画像形成部Paの構成部材に付した符号末尾のaをb、c、dに読み替えて説明されるものとする。
【0025】
画像形成部Paは、感光ドラム1aの周囲に、コロナ帯電器2a、露光装置3a、現像装置4a、一次転写ローラ6a、ドラムクリーニング装置19aを配置している。
【0026】
感光ドラム1aは、アルミニウムシリンダの外周面に負極性の帯電極性を持たせた感光層が形成され、所定のプロセススピードで矢印方向に回転する。コロナ帯電器2aは、感光ドラム1aの表面を一様な負極性の暗部電位VDに帯電させる。露光装置3aは、レーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1aの表面に画像の静電像を書き込む。現像装置4aは、トナーとキャリアを含む現像剤を用いて、静電像を現像して、感光ドラム1aの表面にトナー像を形成する。
【0027】
一次転写ローラ6aは、中間転写ベルト5の内側面を押圧して、感光ドラム1aと中間転写ベルト5との間にトナー像の転写部を形成する。一次転写ローラ6aに正極性の直流電圧を印加することにより、感光ドラム1aに担持された負極性のトナー像が中間転写ベルト5へ一次転写される。ドラムクリーニング装置19aは、記録材Pへの転写を逃れて感光ドラム1aに残った転写残トナーを回収する。
【0028】
なお、像担持体として、通常使用されるドラム状の有機感光体である感光ドラム1aを使用したが、アモルファスシリコン感光体等の無機感光体を使用してもよく、ベルト状の感光体を用いることも可能である。帯電方式、現像方式、転写方式、クリーニング方式、定着方式に関しても、上記方式に限られるものではない。
【0029】
<現像装置>
図2は長手方向に垂直な断面における現像装置の構成の説明図である。図3は長手方向に沿った断面における現像装置の構成の説明図である。
【0030】
図2に示すように、現像装置4aは、現像スリーブ28にトナーとキャリアを含む現像剤を担持して感光ドラム1aの静電像を現像する。感光ドラム1aは、矢示R1方向に273mm/secのプロセススピード(周速度)で回転する。現像装置4aは、現像剤として非磁性トナーと磁性キャリアとを混合した二成分現像剤を使用する。
【0031】
現像容器22は、現像スリーブ28に現像剤を供給する現像室23と現像スリーブ28から現像剤を回収する攪拌室24とを縦に並べて配置する。現像容器22の感光ドラム1aに対向する領域に現像スリーブ28が回転可能に配置されている。
【0032】
図3に示すように、現像容器22を隔壁27で仕切って構成される現像室23と攪拌室24は、現像剤を撹拌しつつ搬送する現像剤の循環経路を構成している。現像室23の下方に攪拌室24が配置され、現像室23には現像スクリュー25が回転可能に設けられ、攪拌室24には攪拌スクリュー26が回転可能に設けられている。現像スクリュー25と攪拌スクリュー26は、現像室23と攪拌室24の現像剤を逆方向に搬送して、現像容器22内を循環させる。隔壁27は、長手方向の両端部で垂直方向に現像剤を受け渡す開口部27A、27Bを設けられている。
【0033】
図2に示すように、現像容器22の感光ドラム1aに対向した現像領域に相当する位置に開口部22Aがあり、開口部22Aに現像スリーブ28が感光ドラム1a方向に一部露出するように回転可能に配設されている。現像スリーブ28は、アルミニウムやステンレスのような非磁性材料で構成され、直径は20mm、感光ドラム1aの直径は80mmである。現像スリーブ28と感光ドラム1aとの最近接領域を約300μmの距離とすることによって、現像部に搬送した現像剤の磁気ブラシを感光ドラム1aと接触させた状態で、現像が行なえるように設定されている。
【0034】
現像領域では、現像スリーブ28は、感光ドラム1aの表面の移動方向と順方向で移動し、周速比は、対感光ドラム1.75倍である。この周速比は、0〜3.0倍の間で設定され、好ましくは、0.5〜2.0倍の間に設定される。周速比は、大きくなればなるほど現像効率はアップするが、大きすぎると、トナー飛散、現像剤劣化等の問題点が発生するので、上記の範囲内で設定することが好ましい。
【0035】
非磁性体の現像スリーブ28に現像剤を拘束させるため、表面に複数の磁極N1、S1、N3、N2、S2、N3を配置したマグネットローラ29が現像スリーブ28の内側に非回転に配置される。現像極S2は、現像部における感光ドラム1に対向して配置される。磁極S1は、規制ブレード30に対向して配置される。磁極N2は、磁極S1、S2の間に配置される。磁極N1及びN3は、現像室23及び撹拌室24にそれぞれ対向して配置される。各々の磁極の磁束密度の大きさは40mT〜70mTとしたが、現像に供されるS2極は100mTとした。
【0036】
現像スリーブ28は、マグネットローラ29の磁界によって現像剤を担持して矢印R28方向に回転し、規制ブレード30による磁気ブラシの穂切りによって現像剤の層厚を規制される。
【0037】
規制ブレード30は、現像スリーブ28の長手方向軸線に沿って延在した板状のアルミニウムなどで形成された非磁性材料で構成され、感光ドラム1aよりも現像スリーブ回転方向上流側に配設されている。規制ブレード30の先端部と現像スリーブ28との間を現像剤のトナーとキャリアの両方が通過して現像領域へと送られる。
【0038】
規制ブレード30の現像スリーブ28の表面との間隙(ギャップ)を調整することによって、現像スリーブ28上に担持した現像剤磁気ブラシの穂切り量が規制されて現像領域へ搬送される現像剤量が調整される。
【0039】
規制ブレード30と現像スリーブ28は、間隙を200〜1000μm、好ましくは300〜700μmに設定される。ここでは、500μmに設定して、規制ブレード30によって、現像スリーブ28上の単位面積当りの現像剤コート量を30mg/cm2に規制している。
【0040】
現像スリーブ28は、規制ブレード30によって層厚を規制された二成分現像剤を感光ドラム1aと対向した現像領域に搬送し、感光ドラム1a上に形成された静電像に現像剤を供給してトナー像に現像する。現像部では、マグネットローラ29の磁極S2によって穂立ちした二成分現像剤の磁気ブラシが感光ドラム1aの表面を摺擦する。
【0041】
この時、現像効率、つまり、静電像へのトナーの付与率を向上させるために、電源D28は、直流電圧Vdcに交流電圧を重畳した振動電圧を、現像バイアス電圧として現像スリーブ28に印加する。ここでは、−500Vの直流電圧Vdcと、ピーク・ツウ・ピーク電圧Vppが800V、周波数fが12kHzの交流電圧を用いたが、直流電圧、交流電圧条件は、これに限られるものではない。
【0042】
このような二成分磁気ブラシ現像法においては、一般的に、交流電圧を印加すると現像効率が増して画像は高品位になるが、逆に画像の白地部にトナーが付着するかぶり画像が発生し易くなる。このため、現像スリーブ28に印加する直流電圧Vdcと感光ドラム1aの帯電電位(即ち白地部電位)との間にかぶり取り電位Vbackを設けることにより、かぶり画像を防止している。
【0043】
<従来のマグネットローラ>
図4は従来のマグネットローラの構成の説明図である。図5はマグネットローラの境界条件の説明図である。図6は現像スリーブ表面における長手方向の磁束密度分布の説明図である。
【0044】
図4に示すように、従来のマグネットローラ129は、非磁性体の支持シャフト140の周囲に磁性体からなる複数のマグネットピース141を放射状に貼り付けて構成している。マグネットローラ129は、長手方向のどの部分においても、場所に拠らずほぼ同様の磁極断面パターンが得られる必要がある。このため、複数の磁極マグネットピース141は、各々支持シャフト140の長手方向で磁束密度の大きさが変化しないように磁化を調整されている。
【0045】
図5に示すように、マグネットローラ129の任意の部分を輪切りにして磁界を考えると、マグネットローラ129が周囲の空間に形成する磁力線(磁束)はマグネットローラ129の周方向に形成され、長手方向には形成されない。長手方向に隣接する断面の磁化が等しいため、長手方向の磁化が0となって磁束が形成されないからである。 言い換えれば、マグネットローラ129の磁極の断面構成が支持シャフト140方向で変化しない場合、任意の輪切り断面に対して周期境界条件を適用できるため、マグネットローラ129の長手方向には磁力線が伸びない。なぜなら、仮に長手方向に磁力線が伸びるとすると、周期境界条件が適用可能な対称性が失われることとなり、矛盾が生じるからである。
【0046】
したがって、マグネットローラ129の端部を除いた大部分に関しては、周期境界条件が適用できるため、マグネットローラ129の長手方向に磁力線が伸びない。しかし、マグネットローラ129の端部においては、周期境界条件が適用できないため、上記議論が成り立たない。
【0047】
マグネットローラ129の端部においては、外側に向かって端面を中心側へ回り込む磁力線が追加的に発生する。マグネットローラ129の端部においては、マグネットローラ129の周方向だけでなく、長手方向にも磁力線が形成されるため、内側の部分よりも磁束密度が高くなる。
【0048】
図6に示すように、現像スリーブの表面に沿って長手方向にステラメータ(TM:図10)を移動させて現像スリーブの表面における長手方向の磁束密度を測定した。その結果、マグネットローラ129の端部に対応する長手方向の位置で、磁束密度が局所的に高まって磁気特性が盛り上がっていることが確認された。このような磁気特性の盛り上がりは、エッジ効果と呼ばれている。
【0049】
このようなエッジ効果があると、マグネットローラ129の端部に対応する位置の現像スリーブ表面のみ現像剤の穂立ち量が多くなる。現像剤の穂立ち量が多くなると、その部分のみ現像スリーブに対向する感光ドラムに強く接触して、著しい場合には現像剤が感光ドラム表面を傷付けてしまう恐れがある。
【0050】
仮に感光ドラムが傷つかないとしても、エッジ効果のような急激な磁束密度の変化は、現像スリーブ上の現像剤量の急激な変化を引き起こすので、部分的に現像性の差が生じ、結果として濃度差として認識される不良画像となりやすい。
【0051】
また、現像剤が感光ドラムへ移行し易くなる結果、図1に示すように、現像装置4aよりも下流に存在するドラムクリーニング装置19a、二次転写ローラ10、定着装置16などに影響を与える恐れもある。
【0052】
なお、測定に用いたテスラメータ(TM:図10)は、ホール素子を利用した磁束密度の測定器である。ホール素子は、電流と磁場の両方に直交する方向に電場(ホール電場)が現れるホール効果を利用して磁束密度に応じた電圧を出力する磁気センサである。ホール素子は、磁石が発生する磁界と参照電流の方向と大きさが決まれば、起電力(ホール電場)の向きと大きさが一意に決まることから、参照電流と起電力(ホール電場)の向きと大きさとにより、電流と電場に直交する磁界の大きさと向きを測定することができる。
【0053】
<比較例>
図7は比較例のマグネットローラの構成の説明図である。図8は永久磁石が発生する磁束の説明図である。図9は磁化方向に永久磁石を短くする効果の説明図である。図10はN磁極とS磁極における長手方向の磁束密度分布の説明図である。
【0054】
特許文献1(特開平1−115109号公報)及び特許文献2(特開平10−91002号公報)では、マグネットローラ29の両端部の外径を小径にすることで、エッジ効果による磁気特性の盛り上がりを補正している。
【0055】
図7に示すように、マグネットローラ29の両端部の外径を中央部よりも小径に構成して、エッジ効果の無い平坦な磁気特性が得られるようにしている。マグネットピース41の磁力は、マグネットピース41の体積の増減に対応して変化するため、マグネットピース41の体積を変更することで、磁束密度を減らすことが可能である。マグネットローラ29の両端部でマグネットローラの外径をなだらかに小さくすることで、エッジ効果による両端部の磁気特性を補正して磁気特性の盛り上がりを軽減することが可能である。
【0056】
図8に示すように、この点について詳しく述べると、一般的な永久磁石の磁束密度は磁束線の密度によって定義されるが、磁束線は磁力線と磁化線の(ベクトル的な)足し合わせとして表すことができる。これは、磁束密度Bが磁場Hと磁化M(磁場Hに透磁率μをかけたもの)の足し算(B=H+μM)で表現できることに対応する。図8には棒磁石を例にしてこれらの関係を表現した。
【0057】
磁束線は、その性質として、磁束に関するガウスの法則divB=0(磁束保存の式)を満たすことから、すべての点において湧き出しも吸い込みもない(磁荷が存在しないことと同義)。つまり、永久磁石の内部の磁化Mが変化すると、その分だけ外部の磁化も変化する。
【0058】
図9に示すように、したがって、永久磁石の長さを変化させて、磁石の体積を小さくすると、永久磁石の磁化Mも小さくなるので、永久磁石外部の磁束線も変化し、磁束密度が小さくなる。以上から、マグネットローラ29の両端部の外径を小さくする構成では、両端部においてマグネットピース41の体積が小さくなるので、端部の磁束密度は小さくなり、エッジ効果による磁気特性の盛り上がりが軽減される。
【0059】
しかし、発明者らの検討に拠れば、このような比較例においても、以下のような問題が残る。比較例では、図2に示すように、N1、S1、N2、S2、N3の5つの磁極からなるマグネットローラ29について、いずれの磁極のマグネットピース41に対しても周方向にわたり均一に外径を小さくしている。このため、磁極によってはエッジ効果が残ってしまったり、逆になだらかになりすぎたりと、完全に平坦にはならない磁極が存在することがわかった。
【0060】
図10の(a)に示すように、テスラメータTMを用いて、現像スリーブ28の長手方向の表面に沿ってマグネットローラ29のN磁極とS磁極の磁束密度を測定した。その結果、マグネットローラ29の両端部における磁気特性の変化の特徴は、N磁極とS磁極とで大きく2つに分かれることがわかった。
【0061】
図10の(b)に示すように、マグネットローラ29の磁極N1、N2、N3は、マグネットローラ29の端部の角部のエッジ効果による磁気特性の盛り上がりが大きい。磁極N1、N2、N3では、マグネットローラ29の両端部で一旦磁気特性が盛り上がった後、その外側で急激に逆極のS磁極に一旦変化し、その後、外側に行くに従って磁束密度が0に収束している。
【0062】
これに対して、図10の(c)に示すように、マグネットローラ29の磁極S1、S2は、マグネットローラ29の端部の角部のエッジ効果による磁気特性の盛り上がりがほとんどない。場合によっては、逆に磁気特性がなだらかに落ちている。磁極S1、S2は、マグネットローラ29の両端部の外側で、逆極のN磁極に変化することなく、S磁極のまま磁束密度が0に収束している。
【0063】
このように、外周面のN磁極とS磁極の数が異なるマグネットローラ29の場合、エッジ効果の大きな磁極とエッジ効果がほとんどない磁極の2つに分かれる。このため、マグネットローラ29のN磁極のマグネットピース41とS磁極のマグネットピース41とで均一に外径を小さくすると、N磁極ではエッジ効果が残ってしまい、逆にS磁極ではエッジ効果が除去され過ぎる。
【0064】
その結果、回転する現像スリーブ28の表面がN磁極の端部を通る際には磁束密度が高まって現像剤の担持力が増え、その直後にS磁極の端部を通る際には磁束密度が低下して現像剤の担持力が不足してしまう。これにより、マグネットローラ29の端部では、現像ムラ、トナー飛散、キャリア移転等が発生し易くなる。
【0065】
このような問題が発生した理由は、N磁極とS磁極とで両端部のエッジ効果の様子が異なるにもかかわらず、N磁極とS磁極とに拠らず均一に端部の直径を変化させてしまったことによる。このため、比較例の構成では、エッジ効果による磁気特性の盛り上がりに対する対策としては未だ十分とは言い難い。
【0066】
また、このような現象は、比較例のように外周面のN磁極とS磁極の数が違う場合以外でも発生し得る。同じN磁極同士でも磁化の大きい磁極と小さい磁極との間でも発生する。外周面に占める磁極の長さが大きい磁極と小さい磁極との間でも発生する。
【0067】
いずれにせよ、複数の磁極を備えたマグネットローラにおいては、エッジ効果の比較的強い磁極とエッジ効果があまりない磁極に分かれる。この場合に、両端部の外径を均一に小さくしてしまうと、エッジ効果が残ってしまったり、逆になだらかになりすぎたりと、磁極によっては端部の磁気特性が平坦にならないことが起きる。磁極によって両端部のエッジ効果の様子が異なるにもかかわらず、磁極に拠らず均一に径を変化させてしまうと、エッジ効果の高い磁極にエッジ効果が残ってしまう。そして、両端部の磁気特性の盛り上がりが残ってしまったり、なだらかに落ち過ぎてしまったりすると、各々問題が懸念される。
【0068】
円筒形状の場合にエッジ効果の弱い磁極に合わせてマグネットローラの端部の外径を変化させた場合、元々エッジ効果の強い磁極では、エッジ効果による磁気特性の盛り上がりが残ってしまう。エッジ効果による磁気特性の盛り上がりが残ってしまうと、上述したように、出力画像の濃度ムラや現像剤劣化の原因となる。
【0069】
逆に、エッジ効果の強い磁極に合わせてマグネットローラの端部の外径を変化させた場合、元々エッジ効果の弱い磁極では、両端部の磁気特性がなだらかに落ちすぎる。両端部の磁気特性がなだらかに落ちると、現像スリーブ28の現像剤を保持する力が弱くなり、現像剤が感光ドラム1aに持っていかれたり、端部方向に現像剤が漏れ出したりする懸念がある。また、その部分のみ現像剤のコート量が少なくなってしまうため、現像性が低下して画像濃度が低くなってしまう怖れもある。
【0070】
そこで、以下の実施例では、N磁極とS磁極の両端部のエッジ効果の様子に応じて、マグネットローラ29の両端部における磁性材料の体積の変化の程度を変更している。
【0071】
<実施例1>
図11は実施例1のマグネットローラの構成の説明図である。図2に示すように、磁性部材の一例であるマグネットローラ29は、現像剤担持体の一例である現像スリーブ28の内側に配置され、マグネットローラ29の周方向に異なる複数の磁極を有する。マグネットローラ29は、中心を貫通させた支持シャフト40の周囲に複数の磁極ごとのマグネットピースを配置して構成されている。
【0072】
図10に示すように、現像スリーブ28の中心軸上であってマグネットローラ29の外側の空間において、磁力が0に向かって収束する際の極性は、一の極性の一例であるS極である。このため、図11の(a)に示すように、複数の磁極のうち一の極性と異極となるN磁の方が、一の極性と同極となるS極よりもマグネットローラ29の長手方向中央部に対するマグネットローラ29の長手方向端部の体積比が小さい。
【0073】
また、マグネットローラ29は、外周面において、一方の極性の一例であるN極の数の方が他方の極性の一例であるS極よりも多い。このため、外周面でN極となる磁極の方が、S極性となる磁極よりもマグネットローラ29の長手方向中央部に対するマグネットローラ29の長手方向端部の体積比が小さい。
【0074】
マグネットローラ29の端部の角部における磁極ごとの磁束密度の高まりの差を少なくするように、磁極ごとに設定された体積の磁性材料が、マグネットローラ29の端部で中間部よりも部分的に除去されている。N磁極に対応するマグネットローラ29の端部の扇形領域では、マグネットローラ29の外周面に少ないS磁極に対応するマグネットローラ29の端部の扇形領域よりも、除去された磁性材料の体積が大きい。
【0075】
実施例1のマグネットローラ29の中心部には、丸軸の支持シャフト40が設けられている。図2に示すように、マグネットローラ29の磁極は5個で構成されているので、支持シャフト40の周りに5つの磁極N1、S1、N2、S2、N3を形成すべく、各々の磁極に対応する位置にマグネットピース41を貼り合わせて構成されている。
【0076】
なお、磁極の数が5個でなくとも、また、マグネットピースの数が5個でなくとも、さらに、マグネットピースを貼り合せる構成でなくとも、本発明が適用可能なこことは言うまでもない。
【0077】
支持シャフト40としては、ステンレススチールを用いたが、これに限られるものではなく、例えば鉄のような金属など、ある程度の剛性を持つ材料であれば、何を用いてもかまわない。形状に関しても、実施例1においては丸軸としたが、その他の形でもかまわない。
【0078】
マグネットピース41は、樹脂やゴム等をベースにした樹脂磁石や焼結磁石等の周知の磁石で構成すればよい。実施例1においては、樹脂マグネットピース41を扇形が延伸した形状に形成し、これらを支持シャフト40に接着剤等で放射状に貼り合わせてマグネットローラ29を構成した。
【0079】
ここで、図4のように、マグネットピースの断面形状を中間部から両端部も含めて長手(支持シャフト軸)方向全域にわたり同一形状に形成すると、両端部においてエッジ効果による磁気特性の盛り上がりが発生してしまう。
【0080】
また、図7のように、N磁極のマグネットピース41とS磁極のマグネットピースの両端部の外径を中間部に比較して均一に小さくすると、N磁極のマグネットピース41においてエッジ効果による磁気特性の盛り上がりが残ってしまう。
【0081】
そこで、図10の(a)に示すように、両端部で径を変化させる前に、各々の磁極の長手方向の磁束密度分布を測定し、その測定結果に応じて各々の磁極の端部の外径を設計した。
【0082】
実施例1のマグネットローラ29の5つの磁極のうち、磁極N1、N2、N3の3極はエッジ効果が大きく、磁極S1、S2の2極はエッジ効果が小さい。そこで、磁極N1、N2、N3の各々の両端部におけるマグネットピース41の切り欠きの体積を、磁極S1、S2の各々の両端部における切り欠きの体積より大きくして、極に拠らず各々の磁気特性をより平坦にしている。
【0083】
図11の(a)に示すように、磁極N1、N2、N3のマグネットピース41の両端部のみ中間部よりも外径を小さくし、磁極S1、S2のマグネットピース41の両端部の外径は変化させない構成とした。これにより、エッジ効果の大きい磁極N1、N2、N3については磁極のエッジ効果を大きく抑制し、エッジ効果の小さい磁極S1、S2については端部磁気特性がなだらかになりすぎることを防止した。これにより、N磁極とS磁極の違いに拠らずに、マグネットローラ29の端部に沿った現像スリーブ28の一周の表面における平坦な磁気特性が得られた。
【0084】
なお、磁極S1、S2のいずれかの磁極でエッジ効果による磁気特性の盛り上がりがある場合には、盛り上がりがある磁極について外径を小さくすることになる。その場合も磁極N1、N2、N3よりも外径が大きくなるよう注意すれば、マグネットローラ29の端部に沿った現像スリーブ28の一周の表面における平坦な磁気特性が得られる。
【0085】
また、磁極N1、N2、N3の3極の両端部における外径の変化を実施例1においては同じにしたが、磁極N1、N2、N3のエッジ効果の大小に応じて切り欠きの体積をそれぞれ異ならせても構わない。エッジ効果の大きさに応じて、大きいもの程より両端部における切り欠きの体積を大きく設定することで、より効果的に全体のエッジ効果を低減できる。
【0086】
例えば、磁極N1の磁化の強さが磁極N2の磁化の強さよりも大きい場合、磁極N1の外径は磁極N2の外径よりも小さくすることができる。しかし、磁化の強さとエッジ効果の強さは相関があるが、半値幅や隣接極との関係で逆転する場合もあるので、図10に示すようにエッジ効果を測定し、その測定結果に基づいて切り欠き体積をそれぞれ設定するほうが良い結果が得られる。
【0087】
このように、外周面のN磁極とS磁極の数が異なる等して、外周面のN磁極とS磁極とで磁束がバランスしていないマグネットローラ構成において、磁極ごとのエッジ効果を揃えることができる。
【0088】
磁極のエッジ効果の程度に応じて、マグネットローラの切り欠き量を変えることで、すべての磁極において、端部におけるエッジ効果を抑制しつつ、逆になだらかになりすぎることも防止できる。すべての磁極において、端部におけるエッジ効果を抑制しつつ、逆になだらかになりすぎることも防止することで、現像スリーブにおける現像剤の穂立ちの状態を改善し、良好な画像形成状態を維持することが可能になる。良好な画像形成状態を維持することが可能な現像装置を提供することが可能となる。
【0089】
なお、実施例1においては、マグネットローラ29を構成するマグネットピース41の材質は樹脂マグネットとしたが、焼結フェライトマグネットでもかまわない。ただし、焼結フェライトマグネットはもろく破損しやすい欠点があり、また、焼結時に収縮しやすく、マグネット形状制御に限界がある。
【0090】
そのため、マグネットローラの端部形状を微妙に制御して磁極ごとのエッジ効果の補正を行う構成の場合、切り欠きの形状や体積を制御し易い樹脂マグネットが適しているといえる。
【0091】
また、実施例1においては、複数のマグネットピース41を貼り合わせてマグネットローラ29を構成したが、マグネットローラ29を最初から一体に構成した場合にも、本発明は実施できる。ただし、磁極ごとのエッジ効果の程度に応じてマグネットローラ29の端部形状を変化させる構成においては、磁極ごとにマグネットピース41を設けて貼り合わせる構成のほうが形状の加工が容易で切り欠きの体積の制御もし易い利点がある。
【0092】
また、支持シャフト40が磁性体で構成されていると、マグネットローラ29の端部において磁束密度が0に収束しにくくなる傾向がある。これは、磁性体の支持シャフト40が磁化されて、支持シャフト40自体が磁石のように振舞うからである。そのため、支持シャフト40に関しては非磁性体で構成するほうが好ましく、実施例1においてはステンレススチールで構成した。
【0093】
<実施例2>
図12は実施例2のマグネットローラの構成の説明図である。図11に示すように、実施例1においては、マグネットピース41の外径を両端部から一定の距離まで均一な厚みで変更していた。これに対して、実施例2では、図12に示すように、マグネットピース41の外径を両端部から一定の距離までテーパ状に変化させている。
【0094】
そして、実施例1と同様に、磁極N1、N2、N3の3極のマグネットピース41の両端部における切り欠きの体積を、磁極S1、S2の2極のマグネットピース41の両端部における切り欠きの体積よりも大きくしている。これにより、現像スリーブ28の表面で測定されるマグネットローラ29の端部の各磁極のエッジ効果の影響を揃えることができ、現像スリーブ28の長手方向及び周方向の現像剤担持性能のムラがなくなっている。
【0095】
また、テーパ状に体積を削減する構成においては、マグネットローラ29の端部のエッジ効果が端部に行くほど顕著になることにうまく対応して、現像スリーブの長手方向の磁気特性を平坦化することが可能である。また、マグネットローラ29のエッジ部がなだらかなので、製造中などの取り扱い時の破損を抑制することも可能である。
【0096】
<実施例3>
図13は実施例3のマグネットローラの構成の説明図である。図12に示すように、実施例2では、磁極ごとに設定された体積の磁性材料がマグネットローラ29の端部で部分的に除去されていた。これに対して、実施例3では、磁極ごとに設定された体積の磁性材料がマグネットローラ29の端部で付加されている。
【0097】
N磁極とS磁極のうちでマグネットローラ29の外周面に少ない磁極はS磁極である。S磁極に対応するマグネットローラ29の端部の扇形領域では、磁性材料が部分的に付加されて外径がマグネットローラ29の中央部よりも大きい。
【0098】
磁極S1、S2に関して、マグネットローラ29の端部における磁気特性の落ち込みが特にひどいので、磁極S1、S2の端部の体積を増して、磁化を強めている。これにより、マグネットローラ29の端部の一周における磁気特性をより平坦にすることができた。
【0099】
<実施例4>
図14は実施例4のマグネットローラの構成の説明図である。図12に示すように、実施例2では、マグネットローラ29の端部の外周を切り欠いて永久磁石の長さを短くすることによりエッジ効果を軽減した。これに対して、実施例4では、図14に示すように、マグネットローラ29の端部の中心側を切り欠いて永久磁石の長さを短くすることによりエッジ効果を軽減した。このため、マグネットローラ29の長手方向の端部におけるマグネットローラ29の中心側の体積が、マグネットローラ29の長手方向中央部よりも小さい。
【0100】
図12に示すように、エッジ効果の抑制のためにマグネットの外径を変化させている場合、外径の変化する部分に対応してリップル状の急激な磁気特性の変化が生じ易いことがわかった。リップル形状の急激な磁気特性の変化が生じる理由は、端部と同様に直径の変化する部分では磁力線(磁束線)が集中し易いからである。直径の変化する部分では、周期境界条件が成立しないことから、磁力線(磁束線)が周方向だけでなく長手方向にも回り込み始めるためである。
【0101】
さらに言えば、現像スリーブ28に近いマグネットローラ29の外径部分を変化させているため、磁気特性の変化が現像スリーブ28の表面位置の磁束密度にも影響を与え易いことも大きく関係している。
【0102】
現像スリーブ28が現像剤を保持するのは現像スリーブ28の表面なので、マグネットローラ29によって形成する磁界のうち現像スリーブ28表面位置の磁気特性が最も重要である。したがって、マグネットローラ29の端部に位置する現像スリーブの表面の一周における現像剤の担持性能を均一にするためには、マグネットローラ29のつくる磁束の現像スリーブ28表面での密度を平坦化することが必要である。しかし、マグネットローラ29の外径を変化させた場合、現像スリーブ28の表面位置に近い部分に径の変化するエッジ部分が存在するため、長手方向の磁力線(磁束線)の回り込みが発生して影響を及ぼしてしまう。そのため、直径の変化する部分に対応してリップル状の急激な磁気特性の変化が生じ易くなっている。
【0103】
そこで、実施例4では、マグネットピース41の支持シャフト40に隣接する中心部分を切り欠いて磁化を弱くする一方、マグネットローラ29の外周は端部まで一様な直径の円柱状に仕上げた。マグネットローラ29の外径部分を切り欠くのではなく、中心側を切り欠くことで体積を減らしていることが特徴である。
【0104】
図14に示すように、マグネットローラ29は、中心を貫通させた支持シャフト40の周囲に複数の磁極ごとの扇形断面のマグネットピース41を配置して構成される。マグネットピース41は、長手方向の端面の支持シャフト40に隣接する中心部分で磁性材料が除去されている。
【0105】
実施例4でも、マグネットローラ29の両端部においてマグネットピース41を切り欠くことで、磁性材料の体積を減らし、磁石の長さを短くして、エッジ効果による磁気特性の盛り上がりを軽減している。マグネットピース41の外径部分ではなく内側を切り欠いても、マグネットピース41の体積が減っていることから、外径部分を切り欠いた時と同様に、マグネットピース41の外部における磁束密度を減らすことが可能である。
【0106】
そのため、実施例4の構成においても、両端部において元々存在するエッジ効果による磁気特性の盛り上がりを軽減することができ、平坦な磁気特性を得ることが可能となる。
【0107】
また、実施例4では、外周面が均一な直径の円柱状なので、外径を不規則に変化させた場合のようなリップル状の急激な磁気特性の変化は見られなかった。実施例4においても、マグネットピース41の内側の切り欠き部分では支持シャフト40の軸方向への磁力線(磁束線)の回り込みが存在する。しかしながら、回り込みの存在する位置が現像スリーブ28の表面から大きく離れているため影響がほとんど及ばない。そのため、外径を変化させた場合のようなリップル状の急激な磁気特性の変化は見られない。
【0108】
なお、実施例4においては、エッジ効果の強い磁極N1、N2、N3のみ切り欠く構成とし、エッジ効果の弱い磁極S1、S2は切り欠かない構成とした。これにより、磁極毎にエッジ効果が異なっていても、より平坦な磁気特性を得ることが可能となる。
【0109】
<N磁極とS磁極とでエッジ効果が異なる理由>
ところで、図10の(b)、(c)に示すように、マグネットローラ29の両端部外側では、各磁極はN磁極、S磁極に拠らず、どちらもS磁極から0に徐々に収束している。N磁極とS磁極のどちらもS磁極に収束した理由は以下のように考えられる。
【0110】
N磁極のマグネットピース41は、外周面(現像スリーブ28に近い側の面)がN磁極となるよう構成されているため、支持シャフト40に接する内側はS磁極となっている。単磁極の永久磁石は存在しないからである。同様に、外周面がS磁極のマグネットピース41は、内側がN磁極になっている。そして、マグネットローラ29の端部における磁力線(磁束線)の長手方向への回り込みは、主に外周面の磁極からこの内側の磁極に向かって伸びて発生している。
【0111】
ここで、マグネットローラ29の端部の磁気特性について考えると、マグネットローラ29の端部のすぐ外側における磁気特性は、N磁極かS磁極のどちらかに収束する。このとき、どちらに収束するかはマグネットローラ29の支持シャフト40に接するマグネットピース41の内側面の磁極のバランスによって決定される。
【0112】
その理由は、マグネットピース41の外周面の磁極からは磁力線(磁束線)が比較的周方向に伸びるのに対して、マグネットピース41の内側の磁極からは比較的支持シャフト軸方向に磁力線(磁束線)が伸びるためである。マグネットピース41の内側面の磁極バランスが、支持シャフト方向外側の磁気特性の決定に効いてくるからである。
【0113】
この観点で、図7の比較例を見てみると、マグネットローラ29はN磁極が3極、S磁極が2極の計5極からなっているが、マグネットピース41の内側ではN磁極の逆極のS磁極が3極、S磁極の逆極のN磁極が2極となっている。よって、マグネットピース41の内側面では、バランスとしてS磁極が勝っている状態となっている。
【0114】
したがって、マグネットローラ29の支持シャフト軸方向外側では、N磁極、S磁極に拠らずにS磁極から0に収束していくと考えられる。
【0115】
このように、マグネットローラ29の支持シャフト軸方向外側でS磁極から0に収束する場合、マグネット41端部における支持シャフト軸方向への磁力線(磁束線)の回り込みは、支持シャフト40の軸方向外側では磁極の極性に拠らずS磁極に収束している。
【0116】
このため、外周面がN磁極の場合は、異極同士で磁力線(磁束線)が伸びやすく、エッジ効果が比較的強くでやすい。これに対して、外周面がS磁極の場合は、同極同士で磁力線(磁束線)が伸びにくく、エッジ効果が比較的弱くなり易く、場合によってはむしろなだらかに落ちてしまう。
【0117】
以上のように、複数の磁極を備えた構成においては、エッジ効果の比較的強い磁極とエッジ効果があまりない磁極の2つに大きく分かれる。これらの現象は、マグネットローラのマグネットローラ部分よりも支持シャフト軸方向外側で、マグネットローラの各々の磁極がその極性に拠らず、最終的にどちらかの極性に収束してしまうために生じている。
【0118】
このマグネットローラの軸方向外側で収束する極性を収束極性と呼べば、この収束極性と異なる極性の磁極はエッジ効果が強く出易く、収束極性と同じ極性の磁極はエッジ効果が弱く出易い。
【0119】
収束する極性は、マグネットローラの内側面の磁極バランスで決まっており、バランスが勝っている磁極の極性に収束する。実際には、マグネットローラ端部外側位置の磁束密度をテスラメータで測定してやることで、容易に収束する極性は知ることが可能である。
【0120】
本発明は軸の周りに磁石を配置したマグローラを対象としていることから、磁石の発生する磁界のうち軸に垂直な周方向の磁界を測定して極性を判定している。この場合、磁界の向きが軸より離れる方向の場合はS磁極、軸に向かう方向の場合はN磁極となる。
【符号の説明】
【0121】
1a、1b、1c、1d 感光ドラム
3a、3b、3c、3d 露光装置
4a、4b、4c、4d 現像装置
22 現像容器、23 現像室、24 撹拌室
25 現像スクリュー、26 撹拌スクリュー
28 現像スリーブ、29 マグネットローラ
40 支持シャフト、41 マグネットピース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の内側に配置され、前記現像剤担持体の周方向に異なる複数の磁極を有する磁性部材と、を備えた現像装置であって、
前記複数の磁極は、一方の極性となる磁極の数の方が他方の極性よりも多く、
前記複数の磁極のうち前記一方の極性となる磁極の方が、前記他方の極性となる磁極よりも前記磁性部材の長手方向中央部に対する前記磁性部材の長手方向端部の体積比が小さいことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記磁性部材の長手方向の端部における前記磁性部材の中心側の体積が、前記磁性部材の長手方向中央部よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記磁性部材は、中心を貫通させた支持シャフトの周囲に複数の磁極ごとのマグネットピースを配置して構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の内側に配置され、前記現像剤担持体の周方向に異なる複数の磁極を有する磁性部材と、を備えた現像装置であって、
前記現像剤担持体の中心軸上であって前記磁性部材の外側の空間において、磁力が0に向かって収束する際の極性を一の極性としたとき、
前記複数の磁極のうち前記一の極性と異極となる磁極の方が、前記一の極性と同極となる磁極よりも前記磁性部材の長手方向中央部に対する前記磁性部材の長手方向端部の体積比が小さいことを特徴とする現像装置。
【請求項1】
現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の内側に配置され、前記現像剤担持体の周方向に異なる複数の磁極を有する磁性部材と、を備えた現像装置であって、
前記複数の磁極は、一方の極性となる磁極の数の方が他方の極性よりも多く、
前記複数の磁極のうち前記一方の極性となる磁極の方が、前記他方の極性となる磁極よりも前記磁性部材の長手方向中央部に対する前記磁性部材の長手方向端部の体積比が小さいことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記磁性部材の長手方向の端部における前記磁性部材の中心側の体積が、前記磁性部材の長手方向中央部よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記磁性部材は、中心を貫通させた支持シャフトの周囲に複数の磁極ごとのマグネットピースを配置して構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の内側に配置され、前記現像剤担持体の周方向に異なる複数の磁極を有する磁性部材と、を備えた現像装置であって、
前記現像剤担持体の中心軸上であって前記磁性部材の外側の空間において、磁力が0に向かって収束する際の極性を一の極性としたとき、
前記複数の磁極のうち前記一の極性と異極となる磁極の方が、前記一の極性と同極となる磁極よりも前記磁性部材の長手方向中央部に対する前記磁性部材の長手方向端部の体積比が小さいことを特徴とする現像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−163584(P2012−163584A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21462(P2011−21462)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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