現像装置
【課題】 現像装置の端部において、端部シール部材である端部マグネットを配置した場合に、トナー漏れが発生する。
【解決手段】 現像スリーブに内包された非回転状態で固定された磁界発生手段(マグネットロール)に対して、前記マグネットロールの磁極と同極が対向するように、端部マグネットの磁極を配置する。
【解決手段】 現像スリーブに内包された非回転状態で固定された磁界発生手段(マグネットロール)に対して、前記マグネットロールの磁極と同極が対向するように、端部マグネットの磁極を配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機やレーザービームプリンタ等の像担持体上に形成された静電潜像をトナー像に現像するための、現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真複写機等の画像形成装置において、従来これら画像形成装置に適用される現像装置としてはパウダークラウド法、カスケード法、磁気ブラシ法等によるものが知られている。このうち、二成分現像方式の磁気ブラシ法の場合は、磁性キャリア、トナー等を混合して含んでいる二成分現像剤を磁界発生手段に吸着し、磁極部分において現像剤をブラシ状に穂立ちさせる。そして、このブラシ状の現像剤で感光体ドラム上の静電潜像を摺擦することにより現像し、画像形成するものである。この時、現像剤中の磁性キャリア自体はやわらかい現像電極として働くため、トナーを静電潜像の電荷密度に比例して付着させることが可能、即ち、階調画像の再生に適しているものである。又、現像装置自体としても小型に構成できるという特徴を有している。
【0003】
この二成分現像方式の磁気ブラシ現像装置としては、現像剤担持体である現像スリーブを用いた磁気ブラシ現像方法が一般化されている。感光体ドラム上の静電潜像を効率よく現像する目的を達成するために、まず、磁性体の粉末、例えばフェライト等である磁性キャリアと、樹脂中に顔料を分散させたトナーと、を含む二成分現像剤を攪拌混合する。そして、互いの摩擦による摩擦帯電によってトナーに電荷を保有させる。一方、この現像剤をその内部に磁極を有する非磁性体で作られた中空の円筒状の現像剤担持体である現像スリーブに保持させる。前記現像スリーブによって、現像剤容器から感光体ドラムに対向する現像領域まで現像剤を搬送させ、この現像領域で上記磁界の作用により現像剤を穂立ちさせて感光体ドラム表面を摺擦させることにより、感光体ドラム上に形成された静電潜像を現像させる。この現像スリーブを用いた二成分磁気ブラシ現像方法は、白黒デジタル複写機や高画質を要求されるフルカラー複写機を中心に多くの製品で用いられている。
【0004】
このような現像スリーブを用いた二成分磁気ブラシ現像方式の現像装置は以下のような部材で構成されている。即ち、二成分現像剤を収容する為の現像容器、該現像容器内において現像剤を攪拌・搬送する為のスクリュー形状等の攪拌搬送部材、現像剤担持体としての磁界発生手段を内包した現像スリーブ、である。ここで通常、前記現像スリーブは、前記現像容器の開口部に設置され、像担持体としての感光体ドラムと対向し回転自在に取り付けられる。このような通常の現像装置において、長手方向の端部に着目すると、現像スリーブと現像容器の間の隙間から現像剤が漏れてしまうことがあった。
【0005】
このような、現像装置の端部からの現像剤漏れに対しては、現像スリーブの両端部に弾性シール部材を取り付け、このシール部材端部から現像剤が漏れないようにシールする方法が提案されている。しかしながら、このシール構成では弾性シール部材を現像スリーブ外周面に圧設しているため、現像スリーブへの負荷が大きく、また弾性シール部材の劣化によりシール性が低下してしまうという問題もある。
【0006】
そこで、磁気吸着するトナーないしキャリアを使用する現像装置にあっては磁力発生手段によって磁気シールすることが考えられている(例えば、特許文献1参照)。例えば、現像スリーブの表面と所定間隔を維持して対向する対向面に着磁した磁気シール部材を設け、現像剤を磁気吸着して保持する構成である。この磁気シール構成は現像スリーブと磁気シール部材とが非接触であるために、現像スリーブの回転負荷を小さくし、また摩耗等による劣化を生じないために長寿命となる利点がある。
【0007】
具体的には、現像スリーブを非接触に周方向から包囲するように板状の端部マグネットを磁気シール部材として貼ると、現像スリーブに内包された磁界発生手段であるマグネットローラと、端部マグネットとの間に現像剤による磁気穂が形成されて漏れを防止できる。この時、端部マグネットとして1面がN極でありその裏面がS極である磁石板を用いた場合は、現像スリーブ内部のマグネットローラの極と異極の面を、現像スリーブ側の面になるように配置するのが望ましい。なぜなら異極で対向させると、磁気シール部材である端部マグネットから、現像スリーブに内包されたマグネットローラの方向へ、磁力線が伸びるので、現像スリーブと端部マグネットの間に現像剤による磁気穂が形成される。この磁気穂が端部方向へ抜けようとする現像剤をシールする役目を担い、現像剤漏れをさらに抑制するからである。特に、現像スリーブ内部のマグネットローラの反発極を形成する領域では、磁極間は低磁場領域となっているために、異極を対向させてシール性を向上する必要がある。
【0008】
また、磁気シール部材としてその内周面にNS極が多磁極に着磁された端部マグネットを用いる構成も提案されている。このような構成では、磁気シール部材の多磁極間で磁力線が伸びるため、磁力線が現像スリーブの長手方向外側に伸び難くなり、現像剤漏れのシール性をより発揮できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−133750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の構成のように端部マグネットを異極で対向させる場合、異極間で磁力線が延び、磁力線に拘束された現像剤によって磁気穂が形成される。この磁気穂を形成している現像剤は、強い磁力によって拘束されている為、現像容器2内を循環している現像剤が侵入して来たとしても、殆ど入れ替わる事無く保持されたままである。そのため、現像スリーブと端部マグネットとの間に拘束された現像剤と、現像スリーブ端部を搬送されてくる現像剤とが摺擦される。最近の複写機においては、市場における高速化の要求に答える為に感光体ドラムの回転速度の高速化が進み、高速回転する感光ドラムに対して、十分な現像効率を得る為に現像スリーブの回転速度も高速化している。このような現像スリーブの回転速度の高速化により、前述した現像装置端部において、現像スリーブと端部マグネットとの間の現像剤の磁気穂に対する摺擦が非常に大きくなってきている。即ち、現像スリーブと端部マグネットとの間に拘束された現像剤と、現像スリーブ端部を搬送されてくる現像剤とが摺擦され、せん断面でトナー遊離が発生し易くなっている。この結果、現像装置の使用期間が長くなるにつれて端部にトナー漏れが発生し、複写機の機内を汚したり、画像上の端部にトナーボタ落ちが発生したりすするという問題が起こる。
【0011】
従って、本発明の目的は、現像装置の端部に磁石部材を配置して磁気的にシールする構成において、現像剤の拘束領域と、流動領域との境界でトナーが遊離して漏れ出してしまうことを抑制可能な現像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的は、本発明に従った以下の現像装置にて達成される。即ち、
磁性粒子を含む現像剤を収容する現像容器と、前記現像容器に回転可能に設けられ、像担持体と対向する領域に現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体の内部に固定配置され、複数の磁極を有する磁界発生手段と、前記現像剤担持体の軸方向端部であって、前記現像容器内で前記現像剤担持体の周方向に沿って対向して設けられ、前記現像剤担持体との間に形成される磁界にて拘束した現像剤を前記現像剤担持体に接触させてシールする磁性シール手段と、を備えた現像装置において、前記磁性シール手段は、前記現像剤担持体との間に現像剤を拘束するための磁石部材を少なくとも備え、前記磁石部材の前記磁界発生手段と対向する面は、前記複数の磁極に対してそれぞれ同極となるように設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、現像装置の端部に磁石部材を配置して磁気的にシールする構成において、現像剤の拘束領域と、流動領域との境界でトナーが遊離して漏れ出してしまうことを抑制可能な現像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用できる画像形成装置の概略図
【図2】本発明を適用できる画像形成装置の感光体ドラム周りの概略図
【図3】本発明の実施例1の現像装置の概略図(断面図)
【図4】本発明の実施例1の現像装置の概略図(長手図)
【図5】本発明の実施例1の現像装置の現像スリーブ周りの概略図
【図6】従来例の現像装置の現像スリーブ端部の概略図(断面図)
【図7】従来例の現像装置の現像スリーブ端部の概略図(長手図)
【図8】本発明の実施例1の現像装置の現像スリーブ端部の概略図(断面図)
【図9】本発明の実施例1の現像装置の現像スリーブ端部の概略図(長手図)
【図10】本発明の実施例2の現像装置の現像スリーブ端部の概略図(長手図)
【図11】本発明の実施例3の現像装置の概略図(断面図)
【図12】本発明の実施例3の現像装置の概略図(長手図)
【図13】本発明の実施例3の現像装置の現像スリーブ周りの概略図1
【図14】本発明の実施例3の現像装置の現像スリーブ周りの概略図2
【図15】本発明の実施例3の現像装置の現像スリーブ周りの概略図3
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例1)
以下に本発明による第1の実施例となる現像装置について詳しく説明する。まず始めに本発明の現像装置を適用できる画像形成装置について説明する。
【0016】
<本発明の現像装置を適用できる画像形成装置の概要>
図1に示すように、本発明を適用できる画像形成装置の画像形成部は、それぞれ潜像担持体としての感光体ドラム101(101Y、101M、101C、101K)を備えている4つの画像形成ステーションY、M、C、K、を有する。各画像形成ステーションの下方には、中間転写装置120が配置されている。中間転写装置120は、中間転写体としての中間転写ベルト121が、ローラ122、123、124に張設されて、矢印方向に走行するように構成されている。
【0017】
本実施例では非接触式帯電であるコロナ帯電方式の一次帯電装置102(102Y、102M、102C、102K)によって感光ドラム101の表面が帯電される。これを、不図示のレーザドライバによっておのおの駆動されるレーザー103(103Y、103M、103C、103K)によって露光することで感光体ドラム101上に静電潜像が形成される。この潜像を現像器104(104Y、104M、104C、104K)によって現像することでそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する。
【0018】
各画像形成ステーションで形成されたトナー像は、一次転写手段としての転写ローラ105(105Y、105M、105C、105K)による転写バイアスによって、ポリイミド系樹脂からなる中間転写ベルト121上に転写され重ね合わせられる。中間転写ベルト121上に形成された4色のトナー像は、ローラ124と対向して配置された二次転写手段としての二次転写ローラ125によって記録紙Pに転写される。記録紙Pに転写されずに中間転写ベルト121に残ったトナーは、中間転写ベルトクリーナー114bによって除去される。トナー像が転写された記録紙Pは、定着ローラ131、132を備えた定着装置130によって加圧/加熱され、永久画像を得る。また、一次転写後に感光体ドラム101上に残った一次転写残トナーは、クリーナー109(109Y、109M、109C、109K)により除去され、次の画像形成に備える。
【0019】
<前記画像形成装置の感光体ドラム周りの構成>
さらに図2にて、本発明の現像装置を適用できる画像形成装置の、潜像担持体である感光体ドラム周りの構成を詳しく説明する。ここで、各色について感光体ドラム回りの構成は同様である為、ある1色について代表して説明する。
【0020】
図2にて、本実施例の画像形成装置においては、静電潜像担持体である感光体ドラム101を回転自在に設けている。非接触帯電式(コロナ式)一次帯電器102によって一様に帯電された該感光体ドラム101の表面を、レーザ発光素子103によって露光することで該感光体ドラム101上に静電潜像が形成される。この静電潜像を現像装置104で可視像化する。次に該可視像を一次転写ローラ105により、中間転写ベルト121上に転写する。また、感光体ドラム101上の転写残トナーはクリーニングブレード接触式のクリーニング装置109により除去され、更に前露光ランプ110にて感光体ドラム101上の電位が消去され、該感光体ドラム101は再び画像形成に供される。
【0021】
<現像装置の構成>
さらに、現像装置104について図3及び図4で詳しく説明する。本実施例において、現像装置104は現像容器2を備え、現像容器2内に、現像剤としてトナーとキャリアを含む2成分現像剤1が収容されている。また、現像容器2内に現像剤担持手段として現像スリーブ6を備えており、前記現像スリーブ6は現像剤搬送方向bの方向へ前記2成分現像剤1を担持搬送する。さらに、現像スリーブ6上に担持された現像剤の穂を規制する穂切り部材5とを有している。
【0022】
本実施例にて、現像容器2の内部は、その略中央部が本稿紙面に垂直方向に延在する隔壁7によって現像室4aと攪拌室4bに水平方向の左右に区画されており、現像剤は現像室4a及び攪拌室4bに収容されている。
【0023】
現像室4a及び攪拌室4bには、現像剤攪拌・搬送手段としての搬送部材である第1及び第2の搬送スクリュー3a、3bがそれぞれ配置されている。第1の搬送スクリュー3aは、現像室4aの底部に現像スリーブ6の軸方向に沿ってほぼ平行に配置されており、回転することで現像室4a内の現像剤を軸線方向に沿って一方向に搬送する。また、第2の搬送スクリュー3bは、攪拌室4b内の底部に第1の搬送スクリュー3aとほぼ平行に配置され、攪拌室4b内の現像剤を第1の搬送スクリュー3aとは反対方向に搬送する。
【0024】
このように、第1及び第2の搬送スクリュー3a、3bの回転による搬送によって、現像剤が、隔壁7の両端部の開口部(即ち、連通部)8、9(図4参照)を通じて現像室4aと攪拌室4bとの間で循環される。
【0025】
本実施例では、現像室4aと攪拌室4bは水平方向の左右に配置されるが、現像室4aと攪拌室4bが上下に配置された現像装置、或いは、その他の形態の現像装置においても、本発明は適用可能である。
【0026】
本実施例においては、現像容器2の感光体ドラム101に対向した現像領域Aに相当する位置には開口部があり、この開口部において現像スリーブ6が感光体ドラム方向に一部露出するように回転可能に配設されている。
【0027】
本実施例にて、現像スリーブ6の直径は20mm、感光体ドラム101の直径は80mm、又、この現像スリーブ6と感光体ドラム101との最近接領域を約300μmの距離とする。この構成によって、現像領域Aに搬送した現像剤1を感光体ドラム101と接触させた状態で、現像が行なえるように設定されている。なお、この現像スリーブ6は、アルミニウムやステンレスのような非磁性材料で構成され、その内部には磁界発生手段であるマグネットローラ6mが非回転状態で設置されている。
【0028】
上記構成にて、現像スリーブ6は、現像時に図3に示したように図示矢印方向b(時計回り方向)に回転し、前記穂切り部材5による磁気ブラシの穂切りによって層厚を規制された2成分現像剤1を担持する。現像スリーブ6は、層厚が規制された現像剤を感光体ドラム101と対向した現像領域Aに搬送し、感光体ドラム101上に形成された静電潜像に現像剤を供給して潜像を現像する。この時、現像効率、つまり、潜像へのトナーの付与率を向上させるために、現像スリーブ6には不図示の電源から直流電圧と交流電圧を重畳した現像バイアス電圧が印加される。本実施例では、−500Vの直流電圧と、ピーク・ツウ・ピーク電圧Vppが1800V、周波数fが12kHzの交流電圧とした。しかし、直流電圧値、交流電圧波形はこれに限られるものではない。
【0029】
一般に、2成分磁気ブラシ現像法においては、交流電圧を印加すると現像効率が増して画像は高品位になるが、逆にカブリが発生し易くなる。このため、現像スリーブ6に印加する直流電圧と感光体ドラム101の帯電電位(即ち白地部電位)との間に電位差を設けることにより、カブリを防止することが行なわれる。
【0030】
前記穂切り部材である規制ブレード5は、現像スリーブ6の長手方向軸線に沿って延在した板状の部材で構成される。この規制ブレード5の材質としては、アルミニウムやステンレス等の非磁性材料、またはSPCC等の磁性低炭素鋼材料、或いは前記非磁性材料と前記磁性材料との張り合わせ部材が用いられる。また、規制ブレード5は、感光体ドラム101よりも現像スリーブ回転方向上流側に配設されている。そして、この穂切り部材5の先端部と現像スリーブ6との間を現像剤のトナーとキャリアの両方が通過して現像領域Aへと送られる。
【0031】
尚、規制ブレード5と現像スリーブ6の表面との間隙を調整することによって、現像スリーブ6上に担持した現像剤磁気ブラシの穂切り量が規制されて現像領域へ搬送される現像剤量が調整される。なお、規制ブレード5と現像スリーブ6は、間隙を200〜1000μm、好ましくは300〜700μmに設定される。本実施例では500μmに設定した。
【0032】
又、現像領域Aにおいては、現像装置104の現像スリーブ6は、共に感光体ドラム101の移動方向と順方向で移動し、周速比は、対感光体ドラム2.0倍で移動している。この周速比に関しては、0〜3.0倍の間で設定され、好ましくは、0.5〜2.0倍の間に設定されれば、何倍でも構わない。移動速度比は、大きくなればなるほど現像効率はアップするが、あまり大きすぎると、トナー飛散、現像剤劣化等の問題点が発生するので、上記の範囲内で設定することが好ましい。
【0033】
<現像装置の現像剤の補給方法>
次に、本実施例における現像剤の補給方法について図3及び図4を用いて説明する。
【0034】
現像装置104の上部には、トナーとキャリアを混合した補給用2成分現像剤(通常はトナー/補給用現像剤=100%〜80%)を収容するホッパー11が配置される。トナー補給手段を構成するこのホッパー11は、下部にスクリュー状の補給部材、即ち、補給スクリュー12を備え、補給スクリュー12の一端が現像装置104の前端部に設けられた現像剤補給口10の位置まで延びている。(図4では便宜上、撹拌室の側面から補給する図となっているが、実際は撹拌室の上方から補給している。)
画像形成によって消費された分のトナーは、補給スクリュー12の回転力と、現像剤の重力によって、ホッパー11から現像剤補給口10を通過して、現像容器2内に補給される。このようにしてホッパー11から現像装置104に補給される補給現像剤の量は、補給スクリュー12の回転数によっておおよそ定められる。この回転数は画像データのビデオカウント値や、現像容器2内に設置された不図示のトナー濃度検知手段の検知結果、等に基づいて、不図示のトナー補給量制御手段によって定められる。
【0035】
<現像装置の現像剤の概要>
ここでさらに本実施例の現像装置104の現像容器2に収容されているトナーとキャリアからなる2成分現像剤1について詳しく説明する。
【0036】
トナーは、結着樹脂、着色剤、そして、必要に応じてその他の添加剤を含む着色樹脂粒子と、コロイダルシリカ微粉末のような外添剤が外添されている着色粒子とを有している。トナーは、負帯電性のポリエステル系樹脂であり、体積平均粒径は4μm以上、10μm以下が好ましい。より好ましくは8μm以下であることが好ましい。また、近年のトナーにおいては、定着性を良くするために低融点のトナー或いは低ガラス転移点Tg(例えばTg≦70℃)のトナーが用いられることが多い。さらに定着後の分離性を良くするためにトナーにワックスを含有させている場合もある。
【0037】
また、キャリアは、例えば表面酸化或は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類などの金属、及びそれらの合金、或は酸化物フェライトなどが好適に使用可能であり、これらの磁性粒子の製造法は特に制限されない。キャリアは、重量平均粒径が20〜60μm、好ましくは30〜50μmであり、抵抗率が10^7Ωcm以上、好ましくは10^8Ωcm以上である。本実施例では10^8Ωcmのものを用いた。
【0038】
尚、本実施例にて用いられるトナーについて、体積平均粒径は、以下に示す装置及び方法にて測定した。測定装置としては、SD−2000シースフロー電気抵抗式粒度分布測定装置(シスメックス社製)を使用した。測定方法は以下に示す通りである。即ち、一級塩化ナトリウムを用いて調製した1%NaCl水溶液の電解水溶液100〜150ml中に、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1ml加え、測定試料を0.5〜50mg加える。試料を懸濁した電解水溶液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行なう。上記のSD−2000シースフロー電気抵抗式粒度分布測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布を求める。こうして求めた体積平均分布より、体積平均粒径を得る。
【0039】
又、本実施例にて用いられるキャリアの抵抗率は、測定電極面積4cm、電極間間隔0.4cmのサンドイッチタイプのセルを用いた。片方の電極に1kgの重量の加圧下で、両電極間の印加電圧E(V/cm)を印加して、回路に流れた電流から、キャリアの抵抗率を得る方法によって測定した。
【0040】
ここから、本発明の最も特徴的な部分である、現像スリーブ内に非回転状態で固定されたマグネットローラの磁極パターンと、現像容器の端部の構成と、の関係性について説明し、トナー漏れ抑制のメカニズムについて説明する。
【0041】
<現像スリーブ内のマグネットローラの磁極パターンと、現像剤の搬送について>
まず、本実施例において、現像スリーブ内に非回転状態で固定されているマグネットローラの詳細と、現像スリーブ上を搬送される現像剤の挙動について、図5を参照にして説明する。
【0042】
現像スリーブ6内にはローラ状の磁界発生手段(マグローラ)6mが固定配置されている。このマグローラ6mは、現像領域Aに対向する現像磁極S1を有している。前記現像磁極S1が現像領域Aに形成する現像磁界により、現像剤の磁気ブラシが形成され、この磁気ブラシが、現像領域Aで矢印a方向に回転する感光体ドラム101に接触して静電潜像を現像する。マグローラ6mは前記現像磁極S1の他にN1、N2、N3、S2極の合計5極を有しており、このうちN2極とN3極は現像剤容器2内において同極で隣り合っており、現像剤1に対してバリアが形成されている。
【0043】
従って、現像剤1の流れをまとめると、まず、第1の搬送スクリューの搬送及び跳ね上げにより、現像スリーブ6のN2(汲み上げ極)に現像剤1はトラップされる。次に、現像スリーブ6の回転に伴って、N2(汲み上げ極)→S2(カット極)→N1(搬送極)→S1(現像極)→N3(剥ぎ取り極)と搬送される。最後に、N3極とN2極は現像剤容器2内において同極で隣り合っており、現像剤1に対してバリアが形成されている為、現像剤は磁極による磁気拘束力から解放されて、第1の搬送スクリューに再び戻ってきて搬送される。
【0044】
ここで、本実施例の現像装置104においては、現像スリーブ6上を搬送される現像剤の単位面積あたりの質量が使用を通して、23〜35mg/cm2の範囲になるように、穂切り部材5と現像スリーブ6のギャップを管理している。また、現像スリーブ6の表面は適度な凹凸があり、この凹凸によって現像剤と現像スリーブ表面との摩擦を意図的に作り出し、現像剤の搬送量を確保している。現像スリーブ表面に適度な凹凸を作成する手法としては一般的に以下の2つの方法があるが、本実施例の現像スリーブ6はブラスト処理を適用している。
【0045】
(1)ブラスト処理
例えば、高温下でスリーブ状に押し出された素管金属に対して、冷間で、所定の粒度分布を有する砥粉やガラスビーズ等の粒子を高圧で吹き付ける加工法。表面の微小な凹凸深さは約5〜15μm程度であり、この凹凸深さが大きいほど現像剤搬送能力が高い。
【0046】
(2)溝加工処理
例えば、高温下でスリーブ状に押し出された素管金属を冷間で引き抜き、ダイスにより溝を形成する。溝の形状としては、V字型、台形型、U字型等(総じて略V字形状)が一般的である。溝の深さは現像スリーブの表面から約50〜150μm程度、溝の本数は、例えば外径φ20のスリーブでは50〜120本程度が一般的である。ここで溝の深さが深いほど、また溝の本数が多いほど搬送能力が高い。
【0047】
<現像装置の端部の構成>
次に、現像装置の端部の構成について説明する。現像剤1は、現像容器2内で循環移動によって現像スリーブ6の表面に沿って、図7に示す現像スリーブ6の軸受けベアリング14の方向へ移送される。このとき、現像剤の開口部からの漏れや、現像剤の軸受けベアリング14への侵入による現像スリーブ6の回転不良の発生を抑制する必要がある。この為に、現像スリーブ6の軸方向端部に、現像スリーブ6の周方向に沿って非接触に所定間隔を維持して板状の磁石部材(端部マグネット13)を磁気シール部材として配置する。
【0048】
ここで、従来の先行技術に従うと、端部マグネット13は、片面がN極でありその裏面がS極である磁石板を用いる。また、図6及び図7に示すように、端部マグネット13は、現像スリーブ6に内包されたマグネットローラ6mの反撥磁界を形成する極(即ち、N2極とN3極)と異極の面を現像スリーブ6側の面とする。この場合には、現像スリーブ6と端部マグネット13との間に磁力線が延びて、現像剤による磁気穂が形成され、現像剤の漏れを防止できる。
【0049】
しかしながら、前述の「発明が解決しようとする課題」の項でも述べたように、上記の従来の構成では、現像剤漏れ防止は良好に達成できるが、トナー漏れが発生してしまう。ここで、本発明の課題であるトナー漏れの発生メカニズムを以下で説明する。従来の構成のように異極で対向している場合、例えば、マグネットローラ6mのN3極においては、図7に示すように、端部マグネット13のS極面との間で磁力線が延び、磁力線に拘束された現像剤によって磁気穂が形成される。この磁気穂を形成している現像剤は、強い磁力によって拘束されている為、現像容器2内を循環している現像剤が侵入して来たとしても、殆ど入れ替わる事無く保持されたままである。ここで、この拘束された現像剤の磁気穂が存在する領域を模式的に表すと、図7において格子でハッチングされた領域15のように表される。一方で、現像スリーブ6の回転によって現像剤が流動・搬送されている領域は、図7において斜線でハッチングされた領域16のように表される。その結果、現像剤が拘束されて停止している領域15と、現像剤が搬送・流動している領域16との境界では、現像剤の流動速度に差が生じる。このような現像剤の流動速度差が生じている境界面では、現像剤同士の摺擦によってせん断面が発生し、トナーの遊離・凝集が起こる。さらに遊離・凝集したトナーは、端部マグネット13と現像スリーブ6との隙間から、現像容器2の外へトナー漏れしてしまう。以上が、従来の先行技術ではトナー漏れが発生してしまうメカニズムである。
【0050】
そこで、本実施例では、図8及び図9で示すような構成にしている。こうすることでトナー漏れを防止し、かつ、現像剤漏れも良好なままの現像装置を提供できる。即ち、端部マグネット13は、現像スリーブ6に内包されたマグネットローラ6mの対向する磁極(即ち、N2極とN3極)に対して、同極の面を現像スリーブ6側の面とする構成にする。具体的には、本実施例では、マグネットローラの各磁極(磁力がピークとなる位置)に対して、対向面が同極となるように端部マグネットを配置している。よりも好ましくは、マグネットローラの各磁極の磁力が半分以上となる領域(半値幅領域)に対して、対向面が同極となるように端部マグネットを配置している。こうすることで各磁極の磁力ピーク領域には少なくとも異極が対向しなくなる構成にすることができ、不動層は生じにくくすることができる。
【0051】
このとき、例えば、マグネットローラ6mのN3極においては、図9に示すように、端部マグネット13のN極面との間で反撥磁界が発生する。この結果、現像スリーブ6の回転によって現像剤が流動・搬送されている領域16に対して、端部マグネット13が保持している現像剤の領域17は、図9に示すように微小な隙間を持って存在するようになる。このとき、前記の領域16と領域17の微小な隙間に侵入した現像剤は、領域16を流れる現像剤の動きに釣られてゆっくりと移動し、最終的には現像容器2内に戻って行く。従って、本発明に従った本実施例の構成においては現像剤同士の摺擦によるせん断面が発生せず、トナーの遊離・凝集が発生しない為、トナー漏れを防止できる。また、現像剤漏れについても、端部マグネット13が保持する現像剤の領域17が、現像スリーブ6と端部マグネット13との隙間を周方向も含めて十分に埋めている為、現像剤が漏れ出す隙間が無く、現像剤漏れも防止できる。
【0052】
尚、本実施例の現像装置について、端部マグネット13の磁束密度は700G(ガウス)、現像スリーブ6と端部マグネット13のギャップg1は650μm、マグネットロール6mと端部マグネット13の長手方向のギャップg2は2.0mmである。ただし、例えば、端部マグネット13の磁力が弱くなると、端部マグネット13に保持されている現像剤の領域17が小さくなる為に、現像スリーブ6と前記領域17との間に隙間が生じ、現像剤漏れが発生する可能性がある。この場合には現像スリーブ6と端部マグネット13のギャップg1、或いは、マグネットロール6mと端部マグネット13の長手方向のギャップg2を狭くする必要がある。従って、本発明の実施例としては、端部マグネット13の磁力と、端部マグネット13と現像スリーブ6との位置関係を所望のものになるように配設することが重要である。
【0053】
但し、端部マグネット13については、例えば磁束密度400〜1000G(ガウス)に着磁されたゴム磁石(磁性粉とゴムを練り合わせて作成する磁石)や、ネオジウム系の磁石を用いることが望ましい。磁束密度400G(ガウス)以下の磁石では現像剤の磁気穂が形成され難く、現像剤漏れが発生する場合があるので望ましく無い。また、現像スリーブに沿って円弧状に貼り付ける為に、適度な弾性をもったゴム磁石が適している。また、現像スリーブ6と端部マグネット13のギャップg1は300〜2000μm程度、マグネットロール6mと端部マグネット13の長手方向のギャップg2は0.5〜2.5mm程度が、同じく現像剤漏れ防止の観点から望ましい。より好ましくは、現像スリーブ6と端部マグネット13のギャップg1は500〜800μm、端部マグネット13については、磁束密度530〜700G(ガウス)
また、N2極(汲み上げ極)の下流側から、S2極(カット極)と穂切り規制部材5に対向する領域までの現像剤シールについては、不図示の磁性板で磁気シールを行なう従来からの技術を、本実施例では適用している。一対の互いに隣接する同極性の反発極(N2極とN3極の反発極)間に関してはゼロ磁界領域が存在するために、磁性板だけでは十分に現像剤の漏れを磁気シールしきれない可能性がある。しかし、N2極から下流側の領域については、ゼロ磁界領域が存在しない為、磁性板によって現像剤漏れの磁気シールが可能である。
【0054】
(実施例2)
本実施例は、前述の実施例1と略同じ構成である。よって以下では、実施例1と異なる点について主に説明する。
【0055】
前述の実施例1では、トナー漏れを防止する一方で、現像剤漏れも防止する為に、磁束密度700G(ガウス)の端部マグネットを使用した。さらに本実施例では、新たに端部磁性板を配置することで、より現像剤漏れに対するラチチュードを広げることが可能となる。以下では図10を参考に本実施例の現像装置の端部構成について説明する。
【0056】
<現像装置の端部の構成>
本実施例においても前述の実施例1と同様に、端部マグネット13は、現像スリーブ6に内包されたマグネットローラ6mの対向する磁極(即ち、N2極とN3極)に対して、同極の面を現像スリーブ6側の面とする構成にする。即ち、現像装置の端部を断面から見た構成としては図8と同様になる。このとき、例えば、マグネットローラ6mのN3極においては、実施例1では図9に示すように、端部マグネット13のN極面との間で反撥磁界が発生する。しかしながら、本実施例では、図10に示すように新たに端部磁性板18を配置することで、端部マグネット13と端部磁性板18の間に現像剤の磁気穂が発生し、また、端部磁性板18とマグネットローラ6mの磁極N3との間にも現像剤の磁気穂が発生する。この結果、端部磁性板18とマグネットローラ6mの間の磁力線によって延びる磁気穂19が現像剤漏れの発生を抑制する。さらに、一部すり抜けて外側に来る現像剤は、端部マグネット13と端部磁性板18の間の磁力線によって拘束され、領域17のように端部マグネット13に保持されて現像剤漏れになるのを抑制される。また、トナー漏れに関しては、端部マグネット13で保持されている現像剤の領域17と、現像スリーブ6の搬送によって流動している現像剤の領域16との間には隙間がある為に、実施例1と同様に現像剤同士の摺擦によるせん断面は発生しない。また、端部磁性板18とマグネットローラ6mとの間の磁気穂19は、現像スリーブ6の搬送によって流動している現像剤の領域16と重なっている為に、常に流動し現像剤が入れ替わっている。その結果、前記磁気穂19の周辺でも現像剤同士の摺擦によるせん断面は発生しない。これは磁性部材の場合は、マグネットでシールする場合に比べて、現像剤の拘束力が弱い為と考えられる。以上のように、端部磁性板18を配置することで、トナー漏れと現像剤漏れを同時に抑制する現像装置を提供できる。
【0057】
尚、本実施例の現像装置について、端部マグネット13の磁束密度は700G(ガウス)、現像スリーブ6と端部マグネット13のギャップg1は650μmに設定されている。マグネットロール6mと端部マグネット13の長手方向のギャップg2は2.0mm、端部磁性板18の厚さは1.0mm、端部磁性板18の長手方向内側端部はマグネットロール6mの外側端部と略同位置である。ただし、例えば、端部マグネット13の磁力が弱くなると、端部マグネット13に保持されている現像剤の領域17が小さくなる為に、現像スリーブ6と前記領域17との間に隙間が生じ、現像剤漏れが発生する可能性がある。この場合には現像スリーブ6と端部マグネット13のギャップg1、或いは、マグネットロール6mと端部マグネット13の長手方向のギャップg2を狭くする必要がある。従って、本発明の実施例としては、端部マグネット13の磁力と、端部マグネット13と現像スリーブ6との位置関係を所望のものになるように配設することが重要である。
【0058】
但し、端部マグネット13については、例えば磁束密度400〜1000G(ガウス)に着磁されたゴム磁石(磁性粉とゴムを練り合わせて作成する磁石)や、ネオジウム系の磁石を用いることが望ましい。磁束密度400G(ガウス)以下の磁石では現像剤の磁気穂が形成され難く、現像剤漏れが発生する場合があるので望ましく無い。また、現像スリーブに沿って円弧状に貼り付ける為に、適度な弾性をもったゴム磁石が適している。また、現像スリーブ6と端部マグネット13のギャップg1は300〜2000μm程度、マグネットロール6mと端部マグネット13の長手方向のギャップg2は0.5〜2.5mm程度が、同じく現像剤漏れ防止の観点から望ましい。
【0059】
また、端部磁性板18については、磁性板は、鉄、ニッケル、コバルト、又は、それらの合金等の強磁性体材料で作製するのが好ましく、厚さは0.2〜1.0mm程度が良い。さらに、端部磁性板18と現像スリーブ6との周方向における隙間g3は、本実施例では500μmであり、端部磁性板18は、端部マグネット13よりも現像スリーブ6の表面に近づけて設けられている。但し、端部磁性板18と現像スリーブ6のギャップはこれに限定されず、0.3〜2.0mm程度の範囲で適宜に設定できる。
【0060】
(実施例3)
本実施例は、実施例1及び2と思想は同様であるが、現像装置として複数の現像スリーブを備えた現像装置の場合を説明する。この場合は現像スリーブのマグネットパターンが異なるので、端部マグネットの配置に工夫が必要である。
【0061】
まず始めに本発明の現像装置を適用できる画像形成装置、感光体ドラム周りの構成、現像剤の構成は、実施例1及び2と同様であるので説明を割愛する。以下では現像装置に焦点を絞り、実施例1及び2と異なる点について説明する。
【0062】
<現像装置の構成>
現像装置104について図11で詳しく説明する。本実施例において、現像装置104は現像容器202を備え、現像容器202内に現像剤としてトナーとキャリアを含む2成分現像剤201が収容されている。また、現像容器202内に現像剤担持手段として2本の現像スリーブを備えており、現像剤搬送方向bに対して上流の現像スリーブ206から下流の現像スリーブ207へと前記2成分現像剤201は搬送される。さらに、現像スリーブ206上に担持された現像剤の穂を規制する穂切り部材205とを有している。
【0063】
本実施例にて、現像容器202の内部は、その略中央部が本稿紙面に垂直方向に延在する隔壁208によって現像室204aと攪拌室204bに水平方向の左右に区画されており、現像剤は現像室204a及び攪拌室204bに収容されている。
【0064】
現像室204a及び攪拌室204bには、現像剤攪拌・搬送手段としての搬送部材である第1及び第2の搬送スクリュー203a、203bがそれぞれ配置されている。第1の搬送スクリュー203aは、現像室204aの底部に現像スリーブ206及び207の軸方向に沿ってほぼ平行に配置されており、回転することで現像室204a内の現像剤を軸線方向に沿って一方向に搬送する。また、第2の搬送スクリュー203bは、攪拌室204b内の底部に第1の搬送スクリュー203aとほぼ平行に配置され、攪拌室204b内の現像剤を第1の搬送スクリュー203aとは反対方向に搬送する。
【0065】
このように、第1及び第2の搬送スクリュー203a、203bの回転による搬送によって、現像剤が、隔壁208の両端部の開口部(即ち、連通部)209、210(図12参照)を通じて現像室204aと攪拌室204bとの間で循環される。
【0066】
本実施例では、現像室204aと攪拌室204bは水平方向の左右に配置されるが、現像室204aと攪拌室204bが上下に配置された現像装置、或いは、その他の形態の現像装置においても、本発明は適用可能である。
【0067】
本実施例においては、現像容器202の感光体ドラム101に対向した現像領域A及び現像領域Bに相当する位置には開口部があり、この開口部において現像スリーブ206及び207が感光体ドラム方向に一部露出するように回転可能に配設されている。
【0068】
本実施例にて、上流の現像スリーブ206の直径は24mm、下流の現像スリーブ207の直径は20mm、感光体ドラム101の直径は80mm、又、この現像スリーブ206及び207と感光体ドラム101との最近接領域を約400μmの距離とする。この構成によって、現像領域Aと現像領域Bに搬送した現像剤を感光体ドラム101と接触させた状態で、現像が行なえるように設定されている。なお、この現像スリーブ206及び207は、アルミニウムやステンレスのような非磁性材料で構成され、その内部には磁界発生手段であるマグネットローラ206m及び207mが非回転状態で設置されている。
【0069】
上記構成にて、現像スリーブ206及び207は、現像時に図11に示したように図示矢印方向b(時計方向)に回転し、前記穂切り部材205による磁気ブラシの穂切りによって層厚を規制された2成分現像剤を担持する。現像スリーブ206及び207は、層厚が規制された現像剤を感光体ドラム101と対向した現像領域Aに搬送し、感光体ドラム101上に形成された静電潜像に現像剤を供給して潜像を現像する。この時、現像効率、つまり、潜像へのトナーの付与率を向上させるために、本実施例では実施例1及び実施例2と同様の現像バイアスを印加している。
【0070】
前記穂切り部材である規制ブレード205は、現像スリーブ206及び207の長手方向軸線に沿って延在した板状の部材で構成される。この規制ブレード205の材質としては、アルミニウムやステンレス等の非磁性材料、またはSPCC等の磁性低炭素鋼材料、或いは前記非磁性材料と前記磁性材料との張り合わせ部材が用いられる。また、規制ブレード205は、感光体ドラム101よりも現像スリーブ回転方向上流側に配設されている。そして、この穂切り部材205の先端部と現像スリーブ206との間を現像剤のトナーとキャリアの両方が通過して現像領域Aへと送られる。
【0071】
尚、規制ブレード205と現像スリーブ206の表面との間隙を調整することによって、現像スリーブ206及び207上に担持した現像剤磁気ブラシの穂切り量が規制されて現像領域へ搬送される現像剤量が調整される。なお、規制ブレード205と現像スリーブ206は、間隙を200〜1000μm、好ましくは300〜700μmに設定される。本実施例では500μmに設定した。
【0072】
又、現像領域A及びBにおいては、現像装置104の現像スリーブ206及び207は、共に感光体ドラム101の移動方向と順方向で移動し、周速比は、対感光体ドラム2.0倍で移動している。この周速比に関しては、0〜3.0倍の間で設定され、好ましくは、0.5〜2.0倍の間に設定されれば、何倍でも構わない。移動速度比は、大きくなればなるほど現像効率はアップするが、あまり大きすぎると、トナー飛散、現像剤劣化等の問題点が発生するので、上記の範囲内で設定することが好ましい。
【0073】
尚、現像剤の補給に関する構成等は実施例1及び2の現像装置と同様である為、説明は割愛する。
【0074】
<現像スリーブ内のマグネットローラの磁極パターンと、現像剤の搬送について>
次に、本実施例において、現像スリーブ内に非回転状態で固定されているマグネットローラの詳細と、現像スリーブ上を搬送される現像剤の挙動について、図13を参照にして説明する。
【0075】
上流の現像スリーブ206内にはローラ状の第1の磁界発生手段(マグローラ)206mが固定配置されている。この第1のマグローラ206mは、第1の現像領域Aに対向する現像磁極S1を有している。現像磁極S1が第1の現像領域Aに形成する現像磁界により現像剤の磁気ブラシが形成され、この磁気ブラシが、第1の現像領域Aで矢印a方向に回転する感光体ドラム101に接触して静電潜像をこの第1の現像領域Aで現像する。第1のマグローラ6mは上記現像磁極S1の他にN1、N2、N3、S2極の合計5極を有しており、このうちN2極とN3極は現像剤容器202内において同極で隣り合っており、現像剤201に対してバリアが形成されている。
【0076】
更に、上記第1の現像スリーブ206の下部で、感光体ドラム101回転方向a下流側に、第2の現像剤担持体である第2の現像スリーブ207を同様な矢印bに回転可能に配設している。第2の現像スリーブ207は、第1の現像スリーブ206及び感光体ドラム101の双方に略対向している。この第2の現像スリーブ207は第1の現像スリーブ206と同様に非磁性材料で構成され、その内部には第2の磁界発生手段であるローラ状の第2のマグローラ207mが非回転状態で設置されている。ここで、前記第2のマグローラ207mは磁極S3、S4、S5、N4、N5の合計5極を有している。
【0077】
従って、現像剤201の流れをまとめると、まず、第1の搬送スクリューの搬送及び跳ね上げにより、第1の現像スリーブ206のN2(汲み上げ極)に現像剤201はトラップされる。次に、第1の現像スリーブ206の回転に伴って、N2(汲み上げ極)→S2(カット極)→N1(搬送極)→S1(第1の現像極)→N3(受け渡し極)と搬送される。その後、第1の現像スリーブ206上の現像剤は第2の現像スリーブ207へと移動し、第2の現像スリーブ207上をS3(受け取り極)→N4(第2の現像極)→S4(搬送極)→N5(取り込み極)→S5(剥ぎ取り極)と搬送される。最後に、S4極とS5極は現像剤容器202内において同極で隣り合っており、現像剤201に対してバリアが形成されている為、現像剤は磁極による磁気拘束力から解放されて、第1の搬送スクリューに再び戻ってきて搬送される。
【0078】
このうち、第2の現像スリーブ207と感光体ドラム101の対向部、つまり第2の現像領域Bにて、N4極は感光体ドラム101に接触しており、第1の現像領域Aを通過後の感光体ドラム101上の静電潜像に対し、更に2度目の現像を実行する。このように、2回目の現像を行なうことにより、高い現像効率が達成される。
【0079】
上述のように、現像スリーブを2本設けた構成をとることで、例えば感光体ドラムの周速度の高速化に伴い現像時間が短くなっても、高い現像効率が可能となり、現像濃度の低下や濃度ムラを発生することなく良好に画像形成ができる。
【0080】
<現像装置の端部の構成>
さらに、現像装置の端部の構成について図14を参照に説明する。本実施例においても前述の実施例1及び2と同様に、端部マグネット213及び214は、現像スリーブ206及び207に内包されたマグネットローラ206m及び207mの対向する磁極に対して、同極の面を現像スリーブ側の面とする構成にする。即ち、端部マグネット213及び214は、N2極とN3極、及び、S3極とS5極とN5極に対して、同極の面を現像スリーブ側の面とする構成にする。特に、下流現像スリーブ207のN5極に対しても同極で対向できるように、端部マグネット214は周方向でSN極の着磁が変化しているのが特徴である。このような構成にすることで、上流現像スリーブ206及び下流現像スリーブ207の端部において、対向する端部マグネットが保持している現像剤の領域と、現像スリーブによって搬送される現像剤の領域との間に、反撥磁界による隙間が存在する。その結果、現像剤同士の摺擦によるせん断面が発生せず、トナー漏れを防止できる。尚、本実施例のように、下流現像スリーブ207のS5極とN5極のように磁極が異極同士で隣り合う領域では、それと対向する端部マグネットの磁極は以下のようになっている。即ち、少なくともマグネットローラの各磁極、もしくは各磁極の半値幅領域に対して端部マグネットが同極で対向するように構成されている。このとき、端部マグネットの極性は、各磁極の半値幅領域の間、即ち各磁極の半値幅領域外で切り替えている。こうすることで少なくとも各磁極の磁力が強い領域に対して同極が対向させることができ、不動層は生じにくくすることができる。
【0081】
尚、本実施例の現像装置について、端部マグネット214は周方向でSN極の着磁が変化する特殊な板状の磁石を用いた。しかし前記のような特殊な磁石を用いなくても、通常の片面がS極で裏面がN極の板状磁石でも、トナー漏れと現像剤漏れを抑制できる構成がある。例えば図15に示すように、端部マグネット214においてN極面で現像スリーブ207対向している部分を切り取り、代わりに端部磁性板215を現像スリーブ206及び207の周方向全体に配置してもよい。端部磁性板215は、太線で囲まれた範囲で、端部マグネット213及び214よりも長手方向の内側に配置する。端部マグネット214について、取り込み極N5に対向する部分を切り取ると、外側に漏れてくる現像剤を保持し難くなるが、端部磁性板215を配置することで現像剤漏れを防止しながら、トナー漏れの発生も防止できる。
【0082】
尚、本実施例の現像装置においては、端部マグネット213及び214の磁束密度は700G(ガウス)、現像スリーブ206及び207とのギャップは各々650μm、マグネットロール206m及び207との長手方向のギャップは各々2.0mm、である。また、端部磁性板215の長手方向内側端部はマグネットロール206m及び207mの外側端部と略同位置である。但し、実施例1及び2の場合と同様に、本発明を適用できる実施例はこれに限らない。端部マグネットの磁束密度や材質、現像スリーブと端部マグネットの位置関係、端部磁性板の材質、現像スリーブと端部磁性板の位置関係、等の条件によって適宜に最適な構成に配設することが重要である。
【符号の説明】
【0083】
101 感光ドラム
104 現像装置
1 2成分現像剤
3a 第1の搬送スクリュー
3b 第2の搬送スクリュー
6 現像スリーブ
6m 現像スリーブ内に固定された非回転のマグネットローラ
13 端部マグネット
18 端部磁性板
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機やレーザービームプリンタ等の像担持体上に形成された静電潜像をトナー像に現像するための、現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真複写機等の画像形成装置において、従来これら画像形成装置に適用される現像装置としてはパウダークラウド法、カスケード法、磁気ブラシ法等によるものが知られている。このうち、二成分現像方式の磁気ブラシ法の場合は、磁性キャリア、トナー等を混合して含んでいる二成分現像剤を磁界発生手段に吸着し、磁極部分において現像剤をブラシ状に穂立ちさせる。そして、このブラシ状の現像剤で感光体ドラム上の静電潜像を摺擦することにより現像し、画像形成するものである。この時、現像剤中の磁性キャリア自体はやわらかい現像電極として働くため、トナーを静電潜像の電荷密度に比例して付着させることが可能、即ち、階調画像の再生に適しているものである。又、現像装置自体としても小型に構成できるという特徴を有している。
【0003】
この二成分現像方式の磁気ブラシ現像装置としては、現像剤担持体である現像スリーブを用いた磁気ブラシ現像方法が一般化されている。感光体ドラム上の静電潜像を効率よく現像する目的を達成するために、まず、磁性体の粉末、例えばフェライト等である磁性キャリアと、樹脂中に顔料を分散させたトナーと、を含む二成分現像剤を攪拌混合する。そして、互いの摩擦による摩擦帯電によってトナーに電荷を保有させる。一方、この現像剤をその内部に磁極を有する非磁性体で作られた中空の円筒状の現像剤担持体である現像スリーブに保持させる。前記現像スリーブによって、現像剤容器から感光体ドラムに対向する現像領域まで現像剤を搬送させ、この現像領域で上記磁界の作用により現像剤を穂立ちさせて感光体ドラム表面を摺擦させることにより、感光体ドラム上に形成された静電潜像を現像させる。この現像スリーブを用いた二成分磁気ブラシ現像方法は、白黒デジタル複写機や高画質を要求されるフルカラー複写機を中心に多くの製品で用いられている。
【0004】
このような現像スリーブを用いた二成分磁気ブラシ現像方式の現像装置は以下のような部材で構成されている。即ち、二成分現像剤を収容する為の現像容器、該現像容器内において現像剤を攪拌・搬送する為のスクリュー形状等の攪拌搬送部材、現像剤担持体としての磁界発生手段を内包した現像スリーブ、である。ここで通常、前記現像スリーブは、前記現像容器の開口部に設置され、像担持体としての感光体ドラムと対向し回転自在に取り付けられる。このような通常の現像装置において、長手方向の端部に着目すると、現像スリーブと現像容器の間の隙間から現像剤が漏れてしまうことがあった。
【0005】
このような、現像装置の端部からの現像剤漏れに対しては、現像スリーブの両端部に弾性シール部材を取り付け、このシール部材端部から現像剤が漏れないようにシールする方法が提案されている。しかしながら、このシール構成では弾性シール部材を現像スリーブ外周面に圧設しているため、現像スリーブへの負荷が大きく、また弾性シール部材の劣化によりシール性が低下してしまうという問題もある。
【0006】
そこで、磁気吸着するトナーないしキャリアを使用する現像装置にあっては磁力発生手段によって磁気シールすることが考えられている(例えば、特許文献1参照)。例えば、現像スリーブの表面と所定間隔を維持して対向する対向面に着磁した磁気シール部材を設け、現像剤を磁気吸着して保持する構成である。この磁気シール構成は現像スリーブと磁気シール部材とが非接触であるために、現像スリーブの回転負荷を小さくし、また摩耗等による劣化を生じないために長寿命となる利点がある。
【0007】
具体的には、現像スリーブを非接触に周方向から包囲するように板状の端部マグネットを磁気シール部材として貼ると、現像スリーブに内包された磁界発生手段であるマグネットローラと、端部マグネットとの間に現像剤による磁気穂が形成されて漏れを防止できる。この時、端部マグネットとして1面がN極でありその裏面がS極である磁石板を用いた場合は、現像スリーブ内部のマグネットローラの極と異極の面を、現像スリーブ側の面になるように配置するのが望ましい。なぜなら異極で対向させると、磁気シール部材である端部マグネットから、現像スリーブに内包されたマグネットローラの方向へ、磁力線が伸びるので、現像スリーブと端部マグネットの間に現像剤による磁気穂が形成される。この磁気穂が端部方向へ抜けようとする現像剤をシールする役目を担い、現像剤漏れをさらに抑制するからである。特に、現像スリーブ内部のマグネットローラの反発極を形成する領域では、磁極間は低磁場領域となっているために、異極を対向させてシール性を向上する必要がある。
【0008】
また、磁気シール部材としてその内周面にNS極が多磁極に着磁された端部マグネットを用いる構成も提案されている。このような構成では、磁気シール部材の多磁極間で磁力線が伸びるため、磁力線が現像スリーブの長手方向外側に伸び難くなり、現像剤漏れのシール性をより発揮できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−133750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の構成のように端部マグネットを異極で対向させる場合、異極間で磁力線が延び、磁力線に拘束された現像剤によって磁気穂が形成される。この磁気穂を形成している現像剤は、強い磁力によって拘束されている為、現像容器2内を循環している現像剤が侵入して来たとしても、殆ど入れ替わる事無く保持されたままである。そのため、現像スリーブと端部マグネットとの間に拘束された現像剤と、現像スリーブ端部を搬送されてくる現像剤とが摺擦される。最近の複写機においては、市場における高速化の要求に答える為に感光体ドラムの回転速度の高速化が進み、高速回転する感光ドラムに対して、十分な現像効率を得る為に現像スリーブの回転速度も高速化している。このような現像スリーブの回転速度の高速化により、前述した現像装置端部において、現像スリーブと端部マグネットとの間の現像剤の磁気穂に対する摺擦が非常に大きくなってきている。即ち、現像スリーブと端部マグネットとの間に拘束された現像剤と、現像スリーブ端部を搬送されてくる現像剤とが摺擦され、せん断面でトナー遊離が発生し易くなっている。この結果、現像装置の使用期間が長くなるにつれて端部にトナー漏れが発生し、複写機の機内を汚したり、画像上の端部にトナーボタ落ちが発生したりすするという問題が起こる。
【0011】
従って、本発明の目的は、現像装置の端部に磁石部材を配置して磁気的にシールする構成において、現像剤の拘束領域と、流動領域との境界でトナーが遊離して漏れ出してしまうことを抑制可能な現像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的は、本発明に従った以下の現像装置にて達成される。即ち、
磁性粒子を含む現像剤を収容する現像容器と、前記現像容器に回転可能に設けられ、像担持体と対向する領域に現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体の内部に固定配置され、複数の磁極を有する磁界発生手段と、前記現像剤担持体の軸方向端部であって、前記現像容器内で前記現像剤担持体の周方向に沿って対向して設けられ、前記現像剤担持体との間に形成される磁界にて拘束した現像剤を前記現像剤担持体に接触させてシールする磁性シール手段と、を備えた現像装置において、前記磁性シール手段は、前記現像剤担持体との間に現像剤を拘束するための磁石部材を少なくとも備え、前記磁石部材の前記磁界発生手段と対向する面は、前記複数の磁極に対してそれぞれ同極となるように設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、現像装置の端部に磁石部材を配置して磁気的にシールする構成において、現像剤の拘束領域と、流動領域との境界でトナーが遊離して漏れ出してしまうことを抑制可能な現像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用できる画像形成装置の概略図
【図2】本発明を適用できる画像形成装置の感光体ドラム周りの概略図
【図3】本発明の実施例1の現像装置の概略図(断面図)
【図4】本発明の実施例1の現像装置の概略図(長手図)
【図5】本発明の実施例1の現像装置の現像スリーブ周りの概略図
【図6】従来例の現像装置の現像スリーブ端部の概略図(断面図)
【図7】従来例の現像装置の現像スリーブ端部の概略図(長手図)
【図8】本発明の実施例1の現像装置の現像スリーブ端部の概略図(断面図)
【図9】本発明の実施例1の現像装置の現像スリーブ端部の概略図(長手図)
【図10】本発明の実施例2の現像装置の現像スリーブ端部の概略図(長手図)
【図11】本発明の実施例3の現像装置の概略図(断面図)
【図12】本発明の実施例3の現像装置の概略図(長手図)
【図13】本発明の実施例3の現像装置の現像スリーブ周りの概略図1
【図14】本発明の実施例3の現像装置の現像スリーブ周りの概略図2
【図15】本発明の実施例3の現像装置の現像スリーブ周りの概略図3
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例1)
以下に本発明による第1の実施例となる現像装置について詳しく説明する。まず始めに本発明の現像装置を適用できる画像形成装置について説明する。
【0016】
<本発明の現像装置を適用できる画像形成装置の概要>
図1に示すように、本発明を適用できる画像形成装置の画像形成部は、それぞれ潜像担持体としての感光体ドラム101(101Y、101M、101C、101K)を備えている4つの画像形成ステーションY、M、C、K、を有する。各画像形成ステーションの下方には、中間転写装置120が配置されている。中間転写装置120は、中間転写体としての中間転写ベルト121が、ローラ122、123、124に張設されて、矢印方向に走行するように構成されている。
【0017】
本実施例では非接触式帯電であるコロナ帯電方式の一次帯電装置102(102Y、102M、102C、102K)によって感光ドラム101の表面が帯電される。これを、不図示のレーザドライバによっておのおの駆動されるレーザー103(103Y、103M、103C、103K)によって露光することで感光体ドラム101上に静電潜像が形成される。この潜像を現像器104(104Y、104M、104C、104K)によって現像することでそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する。
【0018】
各画像形成ステーションで形成されたトナー像は、一次転写手段としての転写ローラ105(105Y、105M、105C、105K)による転写バイアスによって、ポリイミド系樹脂からなる中間転写ベルト121上に転写され重ね合わせられる。中間転写ベルト121上に形成された4色のトナー像は、ローラ124と対向して配置された二次転写手段としての二次転写ローラ125によって記録紙Pに転写される。記録紙Pに転写されずに中間転写ベルト121に残ったトナーは、中間転写ベルトクリーナー114bによって除去される。トナー像が転写された記録紙Pは、定着ローラ131、132を備えた定着装置130によって加圧/加熱され、永久画像を得る。また、一次転写後に感光体ドラム101上に残った一次転写残トナーは、クリーナー109(109Y、109M、109C、109K)により除去され、次の画像形成に備える。
【0019】
<前記画像形成装置の感光体ドラム周りの構成>
さらに図2にて、本発明の現像装置を適用できる画像形成装置の、潜像担持体である感光体ドラム周りの構成を詳しく説明する。ここで、各色について感光体ドラム回りの構成は同様である為、ある1色について代表して説明する。
【0020】
図2にて、本実施例の画像形成装置においては、静電潜像担持体である感光体ドラム101を回転自在に設けている。非接触帯電式(コロナ式)一次帯電器102によって一様に帯電された該感光体ドラム101の表面を、レーザ発光素子103によって露光することで該感光体ドラム101上に静電潜像が形成される。この静電潜像を現像装置104で可視像化する。次に該可視像を一次転写ローラ105により、中間転写ベルト121上に転写する。また、感光体ドラム101上の転写残トナーはクリーニングブレード接触式のクリーニング装置109により除去され、更に前露光ランプ110にて感光体ドラム101上の電位が消去され、該感光体ドラム101は再び画像形成に供される。
【0021】
<現像装置の構成>
さらに、現像装置104について図3及び図4で詳しく説明する。本実施例において、現像装置104は現像容器2を備え、現像容器2内に、現像剤としてトナーとキャリアを含む2成分現像剤1が収容されている。また、現像容器2内に現像剤担持手段として現像スリーブ6を備えており、前記現像スリーブ6は現像剤搬送方向bの方向へ前記2成分現像剤1を担持搬送する。さらに、現像スリーブ6上に担持された現像剤の穂を規制する穂切り部材5とを有している。
【0022】
本実施例にて、現像容器2の内部は、その略中央部が本稿紙面に垂直方向に延在する隔壁7によって現像室4aと攪拌室4bに水平方向の左右に区画されており、現像剤は現像室4a及び攪拌室4bに収容されている。
【0023】
現像室4a及び攪拌室4bには、現像剤攪拌・搬送手段としての搬送部材である第1及び第2の搬送スクリュー3a、3bがそれぞれ配置されている。第1の搬送スクリュー3aは、現像室4aの底部に現像スリーブ6の軸方向に沿ってほぼ平行に配置されており、回転することで現像室4a内の現像剤を軸線方向に沿って一方向に搬送する。また、第2の搬送スクリュー3bは、攪拌室4b内の底部に第1の搬送スクリュー3aとほぼ平行に配置され、攪拌室4b内の現像剤を第1の搬送スクリュー3aとは反対方向に搬送する。
【0024】
このように、第1及び第2の搬送スクリュー3a、3bの回転による搬送によって、現像剤が、隔壁7の両端部の開口部(即ち、連通部)8、9(図4参照)を通じて現像室4aと攪拌室4bとの間で循環される。
【0025】
本実施例では、現像室4aと攪拌室4bは水平方向の左右に配置されるが、現像室4aと攪拌室4bが上下に配置された現像装置、或いは、その他の形態の現像装置においても、本発明は適用可能である。
【0026】
本実施例においては、現像容器2の感光体ドラム101に対向した現像領域Aに相当する位置には開口部があり、この開口部において現像スリーブ6が感光体ドラム方向に一部露出するように回転可能に配設されている。
【0027】
本実施例にて、現像スリーブ6の直径は20mm、感光体ドラム101の直径は80mm、又、この現像スリーブ6と感光体ドラム101との最近接領域を約300μmの距離とする。この構成によって、現像領域Aに搬送した現像剤1を感光体ドラム101と接触させた状態で、現像が行なえるように設定されている。なお、この現像スリーブ6は、アルミニウムやステンレスのような非磁性材料で構成され、その内部には磁界発生手段であるマグネットローラ6mが非回転状態で設置されている。
【0028】
上記構成にて、現像スリーブ6は、現像時に図3に示したように図示矢印方向b(時計回り方向)に回転し、前記穂切り部材5による磁気ブラシの穂切りによって層厚を規制された2成分現像剤1を担持する。現像スリーブ6は、層厚が規制された現像剤を感光体ドラム101と対向した現像領域Aに搬送し、感光体ドラム101上に形成された静電潜像に現像剤を供給して潜像を現像する。この時、現像効率、つまり、潜像へのトナーの付与率を向上させるために、現像スリーブ6には不図示の電源から直流電圧と交流電圧を重畳した現像バイアス電圧が印加される。本実施例では、−500Vの直流電圧と、ピーク・ツウ・ピーク電圧Vppが1800V、周波数fが12kHzの交流電圧とした。しかし、直流電圧値、交流電圧波形はこれに限られるものではない。
【0029】
一般に、2成分磁気ブラシ現像法においては、交流電圧を印加すると現像効率が増して画像は高品位になるが、逆にカブリが発生し易くなる。このため、現像スリーブ6に印加する直流電圧と感光体ドラム101の帯電電位(即ち白地部電位)との間に電位差を設けることにより、カブリを防止することが行なわれる。
【0030】
前記穂切り部材である規制ブレード5は、現像スリーブ6の長手方向軸線に沿って延在した板状の部材で構成される。この規制ブレード5の材質としては、アルミニウムやステンレス等の非磁性材料、またはSPCC等の磁性低炭素鋼材料、或いは前記非磁性材料と前記磁性材料との張り合わせ部材が用いられる。また、規制ブレード5は、感光体ドラム101よりも現像スリーブ回転方向上流側に配設されている。そして、この穂切り部材5の先端部と現像スリーブ6との間を現像剤のトナーとキャリアの両方が通過して現像領域Aへと送られる。
【0031】
尚、規制ブレード5と現像スリーブ6の表面との間隙を調整することによって、現像スリーブ6上に担持した現像剤磁気ブラシの穂切り量が規制されて現像領域へ搬送される現像剤量が調整される。なお、規制ブレード5と現像スリーブ6は、間隙を200〜1000μm、好ましくは300〜700μmに設定される。本実施例では500μmに設定した。
【0032】
又、現像領域Aにおいては、現像装置104の現像スリーブ6は、共に感光体ドラム101の移動方向と順方向で移動し、周速比は、対感光体ドラム2.0倍で移動している。この周速比に関しては、0〜3.0倍の間で設定され、好ましくは、0.5〜2.0倍の間に設定されれば、何倍でも構わない。移動速度比は、大きくなればなるほど現像効率はアップするが、あまり大きすぎると、トナー飛散、現像剤劣化等の問題点が発生するので、上記の範囲内で設定することが好ましい。
【0033】
<現像装置の現像剤の補給方法>
次に、本実施例における現像剤の補給方法について図3及び図4を用いて説明する。
【0034】
現像装置104の上部には、トナーとキャリアを混合した補給用2成分現像剤(通常はトナー/補給用現像剤=100%〜80%)を収容するホッパー11が配置される。トナー補給手段を構成するこのホッパー11は、下部にスクリュー状の補給部材、即ち、補給スクリュー12を備え、補給スクリュー12の一端が現像装置104の前端部に設けられた現像剤補給口10の位置まで延びている。(図4では便宜上、撹拌室の側面から補給する図となっているが、実際は撹拌室の上方から補給している。)
画像形成によって消費された分のトナーは、補給スクリュー12の回転力と、現像剤の重力によって、ホッパー11から現像剤補給口10を通過して、現像容器2内に補給される。このようにしてホッパー11から現像装置104に補給される補給現像剤の量は、補給スクリュー12の回転数によっておおよそ定められる。この回転数は画像データのビデオカウント値や、現像容器2内に設置された不図示のトナー濃度検知手段の検知結果、等に基づいて、不図示のトナー補給量制御手段によって定められる。
【0035】
<現像装置の現像剤の概要>
ここでさらに本実施例の現像装置104の現像容器2に収容されているトナーとキャリアからなる2成分現像剤1について詳しく説明する。
【0036】
トナーは、結着樹脂、着色剤、そして、必要に応じてその他の添加剤を含む着色樹脂粒子と、コロイダルシリカ微粉末のような外添剤が外添されている着色粒子とを有している。トナーは、負帯電性のポリエステル系樹脂であり、体積平均粒径は4μm以上、10μm以下が好ましい。より好ましくは8μm以下であることが好ましい。また、近年のトナーにおいては、定着性を良くするために低融点のトナー或いは低ガラス転移点Tg(例えばTg≦70℃)のトナーが用いられることが多い。さらに定着後の分離性を良くするためにトナーにワックスを含有させている場合もある。
【0037】
また、キャリアは、例えば表面酸化或は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類などの金属、及びそれらの合金、或は酸化物フェライトなどが好適に使用可能であり、これらの磁性粒子の製造法は特に制限されない。キャリアは、重量平均粒径が20〜60μm、好ましくは30〜50μmであり、抵抗率が10^7Ωcm以上、好ましくは10^8Ωcm以上である。本実施例では10^8Ωcmのものを用いた。
【0038】
尚、本実施例にて用いられるトナーについて、体積平均粒径は、以下に示す装置及び方法にて測定した。測定装置としては、SD−2000シースフロー電気抵抗式粒度分布測定装置(シスメックス社製)を使用した。測定方法は以下に示す通りである。即ち、一級塩化ナトリウムを用いて調製した1%NaCl水溶液の電解水溶液100〜150ml中に、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1ml加え、測定試料を0.5〜50mg加える。試料を懸濁した電解水溶液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行なう。上記のSD−2000シースフロー電気抵抗式粒度分布測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布を求める。こうして求めた体積平均分布より、体積平均粒径を得る。
【0039】
又、本実施例にて用いられるキャリアの抵抗率は、測定電極面積4cm、電極間間隔0.4cmのサンドイッチタイプのセルを用いた。片方の電極に1kgの重量の加圧下で、両電極間の印加電圧E(V/cm)を印加して、回路に流れた電流から、キャリアの抵抗率を得る方法によって測定した。
【0040】
ここから、本発明の最も特徴的な部分である、現像スリーブ内に非回転状態で固定されたマグネットローラの磁極パターンと、現像容器の端部の構成と、の関係性について説明し、トナー漏れ抑制のメカニズムについて説明する。
【0041】
<現像スリーブ内のマグネットローラの磁極パターンと、現像剤の搬送について>
まず、本実施例において、現像スリーブ内に非回転状態で固定されているマグネットローラの詳細と、現像スリーブ上を搬送される現像剤の挙動について、図5を参照にして説明する。
【0042】
現像スリーブ6内にはローラ状の磁界発生手段(マグローラ)6mが固定配置されている。このマグローラ6mは、現像領域Aに対向する現像磁極S1を有している。前記現像磁極S1が現像領域Aに形成する現像磁界により、現像剤の磁気ブラシが形成され、この磁気ブラシが、現像領域Aで矢印a方向に回転する感光体ドラム101に接触して静電潜像を現像する。マグローラ6mは前記現像磁極S1の他にN1、N2、N3、S2極の合計5極を有しており、このうちN2極とN3極は現像剤容器2内において同極で隣り合っており、現像剤1に対してバリアが形成されている。
【0043】
従って、現像剤1の流れをまとめると、まず、第1の搬送スクリューの搬送及び跳ね上げにより、現像スリーブ6のN2(汲み上げ極)に現像剤1はトラップされる。次に、現像スリーブ6の回転に伴って、N2(汲み上げ極)→S2(カット極)→N1(搬送極)→S1(現像極)→N3(剥ぎ取り極)と搬送される。最後に、N3極とN2極は現像剤容器2内において同極で隣り合っており、現像剤1に対してバリアが形成されている為、現像剤は磁極による磁気拘束力から解放されて、第1の搬送スクリューに再び戻ってきて搬送される。
【0044】
ここで、本実施例の現像装置104においては、現像スリーブ6上を搬送される現像剤の単位面積あたりの質量が使用を通して、23〜35mg/cm2の範囲になるように、穂切り部材5と現像スリーブ6のギャップを管理している。また、現像スリーブ6の表面は適度な凹凸があり、この凹凸によって現像剤と現像スリーブ表面との摩擦を意図的に作り出し、現像剤の搬送量を確保している。現像スリーブ表面に適度な凹凸を作成する手法としては一般的に以下の2つの方法があるが、本実施例の現像スリーブ6はブラスト処理を適用している。
【0045】
(1)ブラスト処理
例えば、高温下でスリーブ状に押し出された素管金属に対して、冷間で、所定の粒度分布を有する砥粉やガラスビーズ等の粒子を高圧で吹き付ける加工法。表面の微小な凹凸深さは約5〜15μm程度であり、この凹凸深さが大きいほど現像剤搬送能力が高い。
【0046】
(2)溝加工処理
例えば、高温下でスリーブ状に押し出された素管金属を冷間で引き抜き、ダイスにより溝を形成する。溝の形状としては、V字型、台形型、U字型等(総じて略V字形状)が一般的である。溝の深さは現像スリーブの表面から約50〜150μm程度、溝の本数は、例えば外径φ20のスリーブでは50〜120本程度が一般的である。ここで溝の深さが深いほど、また溝の本数が多いほど搬送能力が高い。
【0047】
<現像装置の端部の構成>
次に、現像装置の端部の構成について説明する。現像剤1は、現像容器2内で循環移動によって現像スリーブ6の表面に沿って、図7に示す現像スリーブ6の軸受けベアリング14の方向へ移送される。このとき、現像剤の開口部からの漏れや、現像剤の軸受けベアリング14への侵入による現像スリーブ6の回転不良の発生を抑制する必要がある。この為に、現像スリーブ6の軸方向端部に、現像スリーブ6の周方向に沿って非接触に所定間隔を維持して板状の磁石部材(端部マグネット13)を磁気シール部材として配置する。
【0048】
ここで、従来の先行技術に従うと、端部マグネット13は、片面がN極でありその裏面がS極である磁石板を用いる。また、図6及び図7に示すように、端部マグネット13は、現像スリーブ6に内包されたマグネットローラ6mの反撥磁界を形成する極(即ち、N2極とN3極)と異極の面を現像スリーブ6側の面とする。この場合には、現像スリーブ6と端部マグネット13との間に磁力線が延びて、現像剤による磁気穂が形成され、現像剤の漏れを防止できる。
【0049】
しかしながら、前述の「発明が解決しようとする課題」の項でも述べたように、上記の従来の構成では、現像剤漏れ防止は良好に達成できるが、トナー漏れが発生してしまう。ここで、本発明の課題であるトナー漏れの発生メカニズムを以下で説明する。従来の構成のように異極で対向している場合、例えば、マグネットローラ6mのN3極においては、図7に示すように、端部マグネット13のS極面との間で磁力線が延び、磁力線に拘束された現像剤によって磁気穂が形成される。この磁気穂を形成している現像剤は、強い磁力によって拘束されている為、現像容器2内を循環している現像剤が侵入して来たとしても、殆ど入れ替わる事無く保持されたままである。ここで、この拘束された現像剤の磁気穂が存在する領域を模式的に表すと、図7において格子でハッチングされた領域15のように表される。一方で、現像スリーブ6の回転によって現像剤が流動・搬送されている領域は、図7において斜線でハッチングされた領域16のように表される。その結果、現像剤が拘束されて停止している領域15と、現像剤が搬送・流動している領域16との境界では、現像剤の流動速度に差が生じる。このような現像剤の流動速度差が生じている境界面では、現像剤同士の摺擦によってせん断面が発生し、トナーの遊離・凝集が起こる。さらに遊離・凝集したトナーは、端部マグネット13と現像スリーブ6との隙間から、現像容器2の外へトナー漏れしてしまう。以上が、従来の先行技術ではトナー漏れが発生してしまうメカニズムである。
【0050】
そこで、本実施例では、図8及び図9で示すような構成にしている。こうすることでトナー漏れを防止し、かつ、現像剤漏れも良好なままの現像装置を提供できる。即ち、端部マグネット13は、現像スリーブ6に内包されたマグネットローラ6mの対向する磁極(即ち、N2極とN3極)に対して、同極の面を現像スリーブ6側の面とする構成にする。具体的には、本実施例では、マグネットローラの各磁極(磁力がピークとなる位置)に対して、対向面が同極となるように端部マグネットを配置している。よりも好ましくは、マグネットローラの各磁極の磁力が半分以上となる領域(半値幅領域)に対して、対向面が同極となるように端部マグネットを配置している。こうすることで各磁極の磁力ピーク領域には少なくとも異極が対向しなくなる構成にすることができ、不動層は生じにくくすることができる。
【0051】
このとき、例えば、マグネットローラ6mのN3極においては、図9に示すように、端部マグネット13のN極面との間で反撥磁界が発生する。この結果、現像スリーブ6の回転によって現像剤が流動・搬送されている領域16に対して、端部マグネット13が保持している現像剤の領域17は、図9に示すように微小な隙間を持って存在するようになる。このとき、前記の領域16と領域17の微小な隙間に侵入した現像剤は、領域16を流れる現像剤の動きに釣られてゆっくりと移動し、最終的には現像容器2内に戻って行く。従って、本発明に従った本実施例の構成においては現像剤同士の摺擦によるせん断面が発生せず、トナーの遊離・凝集が発生しない為、トナー漏れを防止できる。また、現像剤漏れについても、端部マグネット13が保持する現像剤の領域17が、現像スリーブ6と端部マグネット13との隙間を周方向も含めて十分に埋めている為、現像剤が漏れ出す隙間が無く、現像剤漏れも防止できる。
【0052】
尚、本実施例の現像装置について、端部マグネット13の磁束密度は700G(ガウス)、現像スリーブ6と端部マグネット13のギャップg1は650μm、マグネットロール6mと端部マグネット13の長手方向のギャップg2は2.0mmである。ただし、例えば、端部マグネット13の磁力が弱くなると、端部マグネット13に保持されている現像剤の領域17が小さくなる為に、現像スリーブ6と前記領域17との間に隙間が生じ、現像剤漏れが発生する可能性がある。この場合には現像スリーブ6と端部マグネット13のギャップg1、或いは、マグネットロール6mと端部マグネット13の長手方向のギャップg2を狭くする必要がある。従って、本発明の実施例としては、端部マグネット13の磁力と、端部マグネット13と現像スリーブ6との位置関係を所望のものになるように配設することが重要である。
【0053】
但し、端部マグネット13については、例えば磁束密度400〜1000G(ガウス)に着磁されたゴム磁石(磁性粉とゴムを練り合わせて作成する磁石)や、ネオジウム系の磁石を用いることが望ましい。磁束密度400G(ガウス)以下の磁石では現像剤の磁気穂が形成され難く、現像剤漏れが発生する場合があるので望ましく無い。また、現像スリーブに沿って円弧状に貼り付ける為に、適度な弾性をもったゴム磁石が適している。また、現像スリーブ6と端部マグネット13のギャップg1は300〜2000μm程度、マグネットロール6mと端部マグネット13の長手方向のギャップg2は0.5〜2.5mm程度が、同じく現像剤漏れ防止の観点から望ましい。より好ましくは、現像スリーブ6と端部マグネット13のギャップg1は500〜800μm、端部マグネット13については、磁束密度530〜700G(ガウス)
また、N2極(汲み上げ極)の下流側から、S2極(カット極)と穂切り規制部材5に対向する領域までの現像剤シールについては、不図示の磁性板で磁気シールを行なう従来からの技術を、本実施例では適用している。一対の互いに隣接する同極性の反発極(N2極とN3極の反発極)間に関してはゼロ磁界領域が存在するために、磁性板だけでは十分に現像剤の漏れを磁気シールしきれない可能性がある。しかし、N2極から下流側の領域については、ゼロ磁界領域が存在しない為、磁性板によって現像剤漏れの磁気シールが可能である。
【0054】
(実施例2)
本実施例は、前述の実施例1と略同じ構成である。よって以下では、実施例1と異なる点について主に説明する。
【0055】
前述の実施例1では、トナー漏れを防止する一方で、現像剤漏れも防止する為に、磁束密度700G(ガウス)の端部マグネットを使用した。さらに本実施例では、新たに端部磁性板を配置することで、より現像剤漏れに対するラチチュードを広げることが可能となる。以下では図10を参考に本実施例の現像装置の端部構成について説明する。
【0056】
<現像装置の端部の構成>
本実施例においても前述の実施例1と同様に、端部マグネット13は、現像スリーブ6に内包されたマグネットローラ6mの対向する磁極(即ち、N2極とN3極)に対して、同極の面を現像スリーブ6側の面とする構成にする。即ち、現像装置の端部を断面から見た構成としては図8と同様になる。このとき、例えば、マグネットローラ6mのN3極においては、実施例1では図9に示すように、端部マグネット13のN極面との間で反撥磁界が発生する。しかしながら、本実施例では、図10に示すように新たに端部磁性板18を配置することで、端部マグネット13と端部磁性板18の間に現像剤の磁気穂が発生し、また、端部磁性板18とマグネットローラ6mの磁極N3との間にも現像剤の磁気穂が発生する。この結果、端部磁性板18とマグネットローラ6mの間の磁力線によって延びる磁気穂19が現像剤漏れの発生を抑制する。さらに、一部すり抜けて外側に来る現像剤は、端部マグネット13と端部磁性板18の間の磁力線によって拘束され、領域17のように端部マグネット13に保持されて現像剤漏れになるのを抑制される。また、トナー漏れに関しては、端部マグネット13で保持されている現像剤の領域17と、現像スリーブ6の搬送によって流動している現像剤の領域16との間には隙間がある為に、実施例1と同様に現像剤同士の摺擦によるせん断面は発生しない。また、端部磁性板18とマグネットローラ6mとの間の磁気穂19は、現像スリーブ6の搬送によって流動している現像剤の領域16と重なっている為に、常に流動し現像剤が入れ替わっている。その結果、前記磁気穂19の周辺でも現像剤同士の摺擦によるせん断面は発生しない。これは磁性部材の場合は、マグネットでシールする場合に比べて、現像剤の拘束力が弱い為と考えられる。以上のように、端部磁性板18を配置することで、トナー漏れと現像剤漏れを同時に抑制する現像装置を提供できる。
【0057】
尚、本実施例の現像装置について、端部マグネット13の磁束密度は700G(ガウス)、現像スリーブ6と端部マグネット13のギャップg1は650μmに設定されている。マグネットロール6mと端部マグネット13の長手方向のギャップg2は2.0mm、端部磁性板18の厚さは1.0mm、端部磁性板18の長手方向内側端部はマグネットロール6mの外側端部と略同位置である。ただし、例えば、端部マグネット13の磁力が弱くなると、端部マグネット13に保持されている現像剤の領域17が小さくなる為に、現像スリーブ6と前記領域17との間に隙間が生じ、現像剤漏れが発生する可能性がある。この場合には現像スリーブ6と端部マグネット13のギャップg1、或いは、マグネットロール6mと端部マグネット13の長手方向のギャップg2を狭くする必要がある。従って、本発明の実施例としては、端部マグネット13の磁力と、端部マグネット13と現像スリーブ6との位置関係を所望のものになるように配設することが重要である。
【0058】
但し、端部マグネット13については、例えば磁束密度400〜1000G(ガウス)に着磁されたゴム磁石(磁性粉とゴムを練り合わせて作成する磁石)や、ネオジウム系の磁石を用いることが望ましい。磁束密度400G(ガウス)以下の磁石では現像剤の磁気穂が形成され難く、現像剤漏れが発生する場合があるので望ましく無い。また、現像スリーブに沿って円弧状に貼り付ける為に、適度な弾性をもったゴム磁石が適している。また、現像スリーブ6と端部マグネット13のギャップg1は300〜2000μm程度、マグネットロール6mと端部マグネット13の長手方向のギャップg2は0.5〜2.5mm程度が、同じく現像剤漏れ防止の観点から望ましい。
【0059】
また、端部磁性板18については、磁性板は、鉄、ニッケル、コバルト、又は、それらの合金等の強磁性体材料で作製するのが好ましく、厚さは0.2〜1.0mm程度が良い。さらに、端部磁性板18と現像スリーブ6との周方向における隙間g3は、本実施例では500μmであり、端部磁性板18は、端部マグネット13よりも現像スリーブ6の表面に近づけて設けられている。但し、端部磁性板18と現像スリーブ6のギャップはこれに限定されず、0.3〜2.0mm程度の範囲で適宜に設定できる。
【0060】
(実施例3)
本実施例は、実施例1及び2と思想は同様であるが、現像装置として複数の現像スリーブを備えた現像装置の場合を説明する。この場合は現像スリーブのマグネットパターンが異なるので、端部マグネットの配置に工夫が必要である。
【0061】
まず始めに本発明の現像装置を適用できる画像形成装置、感光体ドラム周りの構成、現像剤の構成は、実施例1及び2と同様であるので説明を割愛する。以下では現像装置に焦点を絞り、実施例1及び2と異なる点について説明する。
【0062】
<現像装置の構成>
現像装置104について図11で詳しく説明する。本実施例において、現像装置104は現像容器202を備え、現像容器202内に現像剤としてトナーとキャリアを含む2成分現像剤201が収容されている。また、現像容器202内に現像剤担持手段として2本の現像スリーブを備えており、現像剤搬送方向bに対して上流の現像スリーブ206から下流の現像スリーブ207へと前記2成分現像剤201は搬送される。さらに、現像スリーブ206上に担持された現像剤の穂を規制する穂切り部材205とを有している。
【0063】
本実施例にて、現像容器202の内部は、その略中央部が本稿紙面に垂直方向に延在する隔壁208によって現像室204aと攪拌室204bに水平方向の左右に区画されており、現像剤は現像室204a及び攪拌室204bに収容されている。
【0064】
現像室204a及び攪拌室204bには、現像剤攪拌・搬送手段としての搬送部材である第1及び第2の搬送スクリュー203a、203bがそれぞれ配置されている。第1の搬送スクリュー203aは、現像室204aの底部に現像スリーブ206及び207の軸方向に沿ってほぼ平行に配置されており、回転することで現像室204a内の現像剤を軸線方向に沿って一方向に搬送する。また、第2の搬送スクリュー203bは、攪拌室204b内の底部に第1の搬送スクリュー203aとほぼ平行に配置され、攪拌室204b内の現像剤を第1の搬送スクリュー203aとは反対方向に搬送する。
【0065】
このように、第1及び第2の搬送スクリュー203a、203bの回転による搬送によって、現像剤が、隔壁208の両端部の開口部(即ち、連通部)209、210(図12参照)を通じて現像室204aと攪拌室204bとの間で循環される。
【0066】
本実施例では、現像室204aと攪拌室204bは水平方向の左右に配置されるが、現像室204aと攪拌室204bが上下に配置された現像装置、或いは、その他の形態の現像装置においても、本発明は適用可能である。
【0067】
本実施例においては、現像容器202の感光体ドラム101に対向した現像領域A及び現像領域Bに相当する位置には開口部があり、この開口部において現像スリーブ206及び207が感光体ドラム方向に一部露出するように回転可能に配設されている。
【0068】
本実施例にて、上流の現像スリーブ206の直径は24mm、下流の現像スリーブ207の直径は20mm、感光体ドラム101の直径は80mm、又、この現像スリーブ206及び207と感光体ドラム101との最近接領域を約400μmの距離とする。この構成によって、現像領域Aと現像領域Bに搬送した現像剤を感光体ドラム101と接触させた状態で、現像が行なえるように設定されている。なお、この現像スリーブ206及び207は、アルミニウムやステンレスのような非磁性材料で構成され、その内部には磁界発生手段であるマグネットローラ206m及び207mが非回転状態で設置されている。
【0069】
上記構成にて、現像スリーブ206及び207は、現像時に図11に示したように図示矢印方向b(時計方向)に回転し、前記穂切り部材205による磁気ブラシの穂切りによって層厚を規制された2成分現像剤を担持する。現像スリーブ206及び207は、層厚が規制された現像剤を感光体ドラム101と対向した現像領域Aに搬送し、感光体ドラム101上に形成された静電潜像に現像剤を供給して潜像を現像する。この時、現像効率、つまり、潜像へのトナーの付与率を向上させるために、本実施例では実施例1及び実施例2と同様の現像バイアスを印加している。
【0070】
前記穂切り部材である規制ブレード205は、現像スリーブ206及び207の長手方向軸線に沿って延在した板状の部材で構成される。この規制ブレード205の材質としては、アルミニウムやステンレス等の非磁性材料、またはSPCC等の磁性低炭素鋼材料、或いは前記非磁性材料と前記磁性材料との張り合わせ部材が用いられる。また、規制ブレード205は、感光体ドラム101よりも現像スリーブ回転方向上流側に配設されている。そして、この穂切り部材205の先端部と現像スリーブ206との間を現像剤のトナーとキャリアの両方が通過して現像領域Aへと送られる。
【0071】
尚、規制ブレード205と現像スリーブ206の表面との間隙を調整することによって、現像スリーブ206及び207上に担持した現像剤磁気ブラシの穂切り量が規制されて現像領域へ搬送される現像剤量が調整される。なお、規制ブレード205と現像スリーブ206は、間隙を200〜1000μm、好ましくは300〜700μmに設定される。本実施例では500μmに設定した。
【0072】
又、現像領域A及びBにおいては、現像装置104の現像スリーブ206及び207は、共に感光体ドラム101の移動方向と順方向で移動し、周速比は、対感光体ドラム2.0倍で移動している。この周速比に関しては、0〜3.0倍の間で設定され、好ましくは、0.5〜2.0倍の間に設定されれば、何倍でも構わない。移動速度比は、大きくなればなるほど現像効率はアップするが、あまり大きすぎると、トナー飛散、現像剤劣化等の問題点が発生するので、上記の範囲内で設定することが好ましい。
【0073】
尚、現像剤の補給に関する構成等は実施例1及び2の現像装置と同様である為、説明は割愛する。
【0074】
<現像スリーブ内のマグネットローラの磁極パターンと、現像剤の搬送について>
次に、本実施例において、現像スリーブ内に非回転状態で固定されているマグネットローラの詳細と、現像スリーブ上を搬送される現像剤の挙動について、図13を参照にして説明する。
【0075】
上流の現像スリーブ206内にはローラ状の第1の磁界発生手段(マグローラ)206mが固定配置されている。この第1のマグローラ206mは、第1の現像領域Aに対向する現像磁極S1を有している。現像磁極S1が第1の現像領域Aに形成する現像磁界により現像剤の磁気ブラシが形成され、この磁気ブラシが、第1の現像領域Aで矢印a方向に回転する感光体ドラム101に接触して静電潜像をこの第1の現像領域Aで現像する。第1のマグローラ6mは上記現像磁極S1の他にN1、N2、N3、S2極の合計5極を有しており、このうちN2極とN3極は現像剤容器202内において同極で隣り合っており、現像剤201に対してバリアが形成されている。
【0076】
更に、上記第1の現像スリーブ206の下部で、感光体ドラム101回転方向a下流側に、第2の現像剤担持体である第2の現像スリーブ207を同様な矢印bに回転可能に配設している。第2の現像スリーブ207は、第1の現像スリーブ206及び感光体ドラム101の双方に略対向している。この第2の現像スリーブ207は第1の現像スリーブ206と同様に非磁性材料で構成され、その内部には第2の磁界発生手段であるローラ状の第2のマグローラ207mが非回転状態で設置されている。ここで、前記第2のマグローラ207mは磁極S3、S4、S5、N4、N5の合計5極を有している。
【0077】
従って、現像剤201の流れをまとめると、まず、第1の搬送スクリューの搬送及び跳ね上げにより、第1の現像スリーブ206のN2(汲み上げ極)に現像剤201はトラップされる。次に、第1の現像スリーブ206の回転に伴って、N2(汲み上げ極)→S2(カット極)→N1(搬送極)→S1(第1の現像極)→N3(受け渡し極)と搬送される。その後、第1の現像スリーブ206上の現像剤は第2の現像スリーブ207へと移動し、第2の現像スリーブ207上をS3(受け取り極)→N4(第2の現像極)→S4(搬送極)→N5(取り込み極)→S5(剥ぎ取り極)と搬送される。最後に、S4極とS5極は現像剤容器202内において同極で隣り合っており、現像剤201に対してバリアが形成されている為、現像剤は磁極による磁気拘束力から解放されて、第1の搬送スクリューに再び戻ってきて搬送される。
【0078】
このうち、第2の現像スリーブ207と感光体ドラム101の対向部、つまり第2の現像領域Bにて、N4極は感光体ドラム101に接触しており、第1の現像領域Aを通過後の感光体ドラム101上の静電潜像に対し、更に2度目の現像を実行する。このように、2回目の現像を行なうことにより、高い現像効率が達成される。
【0079】
上述のように、現像スリーブを2本設けた構成をとることで、例えば感光体ドラムの周速度の高速化に伴い現像時間が短くなっても、高い現像効率が可能となり、現像濃度の低下や濃度ムラを発生することなく良好に画像形成ができる。
【0080】
<現像装置の端部の構成>
さらに、現像装置の端部の構成について図14を参照に説明する。本実施例においても前述の実施例1及び2と同様に、端部マグネット213及び214は、現像スリーブ206及び207に内包されたマグネットローラ206m及び207mの対向する磁極に対して、同極の面を現像スリーブ側の面とする構成にする。即ち、端部マグネット213及び214は、N2極とN3極、及び、S3極とS5極とN5極に対して、同極の面を現像スリーブ側の面とする構成にする。特に、下流現像スリーブ207のN5極に対しても同極で対向できるように、端部マグネット214は周方向でSN極の着磁が変化しているのが特徴である。このような構成にすることで、上流現像スリーブ206及び下流現像スリーブ207の端部において、対向する端部マグネットが保持している現像剤の領域と、現像スリーブによって搬送される現像剤の領域との間に、反撥磁界による隙間が存在する。その結果、現像剤同士の摺擦によるせん断面が発生せず、トナー漏れを防止できる。尚、本実施例のように、下流現像スリーブ207のS5極とN5極のように磁極が異極同士で隣り合う領域では、それと対向する端部マグネットの磁極は以下のようになっている。即ち、少なくともマグネットローラの各磁極、もしくは各磁極の半値幅領域に対して端部マグネットが同極で対向するように構成されている。このとき、端部マグネットの極性は、各磁極の半値幅領域の間、即ち各磁極の半値幅領域外で切り替えている。こうすることで少なくとも各磁極の磁力が強い領域に対して同極が対向させることができ、不動層は生じにくくすることができる。
【0081】
尚、本実施例の現像装置について、端部マグネット214は周方向でSN極の着磁が変化する特殊な板状の磁石を用いた。しかし前記のような特殊な磁石を用いなくても、通常の片面がS極で裏面がN極の板状磁石でも、トナー漏れと現像剤漏れを抑制できる構成がある。例えば図15に示すように、端部マグネット214においてN極面で現像スリーブ207対向している部分を切り取り、代わりに端部磁性板215を現像スリーブ206及び207の周方向全体に配置してもよい。端部磁性板215は、太線で囲まれた範囲で、端部マグネット213及び214よりも長手方向の内側に配置する。端部マグネット214について、取り込み極N5に対向する部分を切り取ると、外側に漏れてくる現像剤を保持し難くなるが、端部磁性板215を配置することで現像剤漏れを防止しながら、トナー漏れの発生も防止できる。
【0082】
尚、本実施例の現像装置においては、端部マグネット213及び214の磁束密度は700G(ガウス)、現像スリーブ206及び207とのギャップは各々650μm、マグネットロール206m及び207との長手方向のギャップは各々2.0mm、である。また、端部磁性板215の長手方向内側端部はマグネットロール206m及び207mの外側端部と略同位置である。但し、実施例1及び2の場合と同様に、本発明を適用できる実施例はこれに限らない。端部マグネットの磁束密度や材質、現像スリーブと端部マグネットの位置関係、端部磁性板の材質、現像スリーブと端部磁性板の位置関係、等の条件によって適宜に最適な構成に配設することが重要である。
【符号の説明】
【0083】
101 感光ドラム
104 現像装置
1 2成分現像剤
3a 第1の搬送スクリュー
3b 第2の搬送スクリュー
6 現像スリーブ
6m 現像スリーブ内に固定された非回転のマグネットローラ
13 端部マグネット
18 端部磁性板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粒子を含む現像剤を収容する現像容器と、
前記現像容器に回転可能に設けられ、像担持体と対向する領域に現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の内部に固定配置され、複数の磁極を有する磁界発生手段と、
前記現像剤担持体の軸方向端部であって、前記現像容器の内部で前記現像剤担持体の周方向に沿って対向して設けられ、前記現像剤担持体との間に形成される磁界にて拘束した現像剤を前記現像剤担持体に接触させてシールする磁気シール手段と、を備えた現像装置において、
前記磁気シール手段は、前記現像剤担持体との間に現像剤を拘束するための磁石部材を少なくとも備え、前記磁石部材の前記磁界発生手段と対向する面は、前記複数の磁極に対してそれぞれ同極となるように設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記磁界発生手段は、互いに同極性の磁極が隣り合う一対の磁極を備え、前記磁石部材は、少なくとも前記一対の磁極と対向する領域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記磁石部材は、少なくとも前記複数の磁極の半値幅領域と対向する面がそれぞれ対向する磁極と同極となるように設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記磁気シール部材は、前記磁界発生手段の磁界によって磁化する磁性部材を備え、前記磁性部材によって拘束される現像剤を前記現像剤担持体に接触させてシールすることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の現像装置。
【請求項1】
磁性粒子を含む現像剤を収容する現像容器と、
前記現像容器に回転可能に設けられ、像担持体と対向する領域に現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の内部に固定配置され、複数の磁極を有する磁界発生手段と、
前記現像剤担持体の軸方向端部であって、前記現像容器の内部で前記現像剤担持体の周方向に沿って対向して設けられ、前記現像剤担持体との間に形成される磁界にて拘束した現像剤を前記現像剤担持体に接触させてシールする磁気シール手段と、を備えた現像装置において、
前記磁気シール手段は、前記現像剤担持体との間に現像剤を拘束するための磁石部材を少なくとも備え、前記磁石部材の前記磁界発生手段と対向する面は、前記複数の磁極に対してそれぞれ同極となるように設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記磁界発生手段は、互いに同極性の磁極が隣り合う一対の磁極を備え、前記磁石部材は、少なくとも前記一対の磁極と対向する領域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記磁石部材は、少なくとも前記複数の磁極の半値幅領域と対向する面がそれぞれ対向する磁極と同極となるように設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記磁気シール部材は、前記磁界発生手段の磁界によって磁化する磁性部材を備え、前記磁性部材によって拘束される現像剤を前記現像剤担持体に接触させてシールすることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の現像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−50526(P2013−50526A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187326(P2011−187326)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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