説明

現金自動取引装置

【課題】 覗き見防止用の光学フィルタのディスプレイの操作画面からの取外しを簡単に行うことが可能な現金自動取引装置の提供。
【解決手段】 現金自動取引装置1は、筐体2と顧客操作パネル部3とを有する。顧客操作パネル部3がタッチパネル4と液晶ディスプレイ5と光学フィルタ6とを備える。タッチパネル4の下部に配置した液晶ディスプレイ5を顧客操作パネル部3に開閉自在に装着する。光学フィルタ6をタッチパネル4と液晶ディスプレイ5との間に挟持する。タッチパネル4への入力操作時に、利用者はタッチパネル4及び光学フィルタ6を通して液晶ディスプレイ5の操作画面を見ることができる。光学フィルタ6が液晶ディスプレイ5の操作画面全体を覆い、液晶ディスプレイ5の操作画面の覗き見を光学フィルタ6で防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイの操作画面の覗き見を防止するATMやCDなどの現金自動取引装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ATM(Automatic Teller Machine;現金自動預け払い機)やCD(Cash Dispenser;現金自動支払い機)などの金融端末としての現金自動取引装置は、銀行などの金融機関内からコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの小売店舗内にも設置されている。
【0003】
しかしながら、この現金自動取引装置では、現金をキャッシュカードで出金する場合、利用者が個人認証用の暗証番号をタッチパネルで入力操作する時に、液晶ディスプレイの操作画面が利用者の後方や両側方から覗き見され、キャッシュカードの暗証番号を他人に覚えられてしまうおそれがあった。
【0004】
従来、液晶ディスプレイの表示画面前面に取付ける表示画面用光学フィルタが特許文献1,特許文献2,特許文献3に開示されている。
【特許文献1】特開2003−287607号公報
【特許文献2】特開2002−328206号公報
【特許文献3】特開2002−202405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1〜3に開示された表示画面用光学フィルタでは、光学フィルタを液晶ディスプレイの表示画面前面に貼り付けていたので、光学フィルタが外部に露出し、光学フィルタの表面に汚れが付着して、光学フィルタの覗き見防止効果が低下するおそれがあり、光学フィルタの表面が傷付き易く、光学フィルタを液晶ディスプレイの表示画面前面から取外すことが困難であった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、覗き見防止用の光学フィルタをタッチパネルとディスプレイとの間に挟持するのみで、光学フィルタのディスプレイの操作画面への取付け作業を容易に行うことができ、タッチパネルへの入力操作時に、利用者のみがタッチパネル及び光学フィルタを通してディスプレイの操作画面の内容を明確に見ることができ、光学フィルタがディスプレイの操作画面全体を覆っているので、ディスプレイの操作画面の覗き見を光学フィルタにより確実に防止することができ、光学フィルタが外部に露出しないので、光学フィルタの表面が傷付き難く、光学フィルタの表面に汚れが付着しないので、光学フィルタの覗き見防止効果が低下することもなく、弾性シール部材が光学フィルタの外周縁の周囲を取り囲むので、光学フィルタがディスプレイの操作画面からずれることもなく、従来のように光学フィルタをディスプレイ表示画面に貼り付けないので、光学フィルタのディスプレイの操作画面からの取外しを簡単に行うことが可能な現金自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の現金自動取引装置は、現金自動取引装置本体と、前記現金自動取引装置本体に配設され、前記現金自動取引装置本体に対して開閉可能な顧客操作パネル部とを有する現金自動取引装置において、前記顧客操作パネル部が、利用者が入力操作するタッチパネルと、操作画面を表示するディスプレイと、前記ディスプレイの操作画面の可視範囲を光学的に調整する覗き見防止用の光学フィルタとを備えており、前記ディスプレイが、前記タッチパネルの下部に配置され、前記ディスプレイを前記顧客操作パネル部に対して開閉自在に装着し、前記光学フィルタが、前記タッチパネルの下側に重合して配置され、前記光学フィルタを前記タッチパネルと前記ディスプレイとの間に挟持したことを特徴とする構成を有するものである。
【0008】
本発明の現金自動取引装置は、上記光学フィルタの外周縁の周囲に、上記タッチパネル及び上記ディスプレイに密接する弾性シール部材が配設されている。
【0009】
本発明の現金自動取引装置は、上記弾性シール部材が、上記光学フィルタの外周縁に装着されている。
【発明の効果】
【0010】
以上に述べたように、本発明によれば、覗き見防止用の光学フィルタをタッチパネルとディスプレイとの間に挟持するのみで、光学フィルタのディスプレイの操作画面への取付け作業を容易に行うことができ、タッチパネルへの入力操作時に、利用者のみがタッチパネル及び光学フィルタを通してディスプレイの操作画面の内容を明確に見ることができ、光学フィルタがディスプレイの操作画面全体を覆っているので、ディスプレイの操作画面の覗き見を光学フィルタにより確実に防止することができ、光学フィルタが外部に露出しないので、光学フィルタの表面が傷付き難く、光学フィルタの表面に汚れが付着しないので、光学フィルタの覗き見防止効果が低下することもなく、弾性シール部材が光学フィルタの外周縁の周囲を取り囲むので、光学フィルタがディスプレイの操作画面からずれることもなく、従来のように光学フィルタをディスプレイ表示画面に貼り付けないので、光学フィルタのディスプレイの操作画面からの取外しを簡単に行うことが可能な現金自動取引装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0012】
本発明の現金自動取引装置1は、現金自動取引装置本体としての筐体2と、筐体2の前面に配設され、筐体2に対して開閉可能な顧客操作パネル部3とを有している。
【0013】
本発明の現金自動取引装置1は、顧客操作パネル部3が、利用者が入力操作するタッチパネル4と、操作画面を表示する液晶ディスプレイ5と、液晶ディスプレイ5の操作画面の可視範囲を光学的に調整する覗き見防止用の光学フィルタ6とを備えている。
【0014】
本発明の現金自動取引装置1は、液晶ディスプレイ5が、タッチパネル4の下部に配置され、液晶ディスプレイ5を顧客操作パネル部3に対して開閉自在に装着している。
【0015】
本発明の現金自動取引装置1は、光学フィルタ6が、タッチパネル4の下側に重合して配置され、光学フィルタ6をタッチパネル4と液晶ディスプレイ5との間に挟持している。
【0016】
本発明の現金自動取引装置1は、光学フィルタ6の外周縁の周囲に、タッチパネル4及び液晶ディスプレイ5に密接する弾性シール部材であるゴムパッキン7が配設されている。
【0017】
本発明の現金自動取引装置1は、ゴムパッキン7が、光学フィルタ6の外周縁に装着されている。
【0018】
図1は、本発明の実施例に係る現金自動取引装置の外観を示す斜視図、図2は、本発明の実施例に係る現金自動取引装置の要部正断面図、図3は、本発明の実施例に係る現金自動取引装置の要部平面図、図4は、本発明の実施例に係る現金自動取引装置の要部側断面図、図5は、本発明の実施例に係る現金自動取引装置における光学フィルタのタッチパネルへのセット状態を示す要部底面図、図6は、本発明の実施例に係る現金自動取引装置における顧客操作パネル部を筐体に対して持ち上げた状態を示す右側面図、図7は、本発明の実施例に係る現金自動取引装置における液晶ディスプレイをタッチパネルの前方に開いた状態を示す要部側断面図、図8は、本発明の実施例に係る現金自動取引装置におけるタッチパネルへの入力操作時の液晶ディスプレイの操作画面の光学フィルタによる覗き見防止を説明する平面図である。
【0019】
現金自動取引装置1は、図1に示すように、筐体2を有し、現金自動取引装置1の筐体2の前面には開閉可能な略L字形状の顧客操作パネル部3が配置され、顧客操作パネル部3は、垂直パネル3aと、垂直パネル3aの下端から前方に向って斜め下方に僅かに傾斜した水平パネル3bとからなる。
【0020】
顧客操作パネル部3の垂直パネル3aには、取引の取扱いの種類を表示する表示器8,通帳出入口9及びカード出入口10が設けられている。
【0021】
顧客操作パネル部3の水平パネル3bには、紙幣入出金口11,貨幣入出金口12及び光学式のタッチパネル4が設けられている。
【0022】
現金自動取引装置1の筐体2の上壁2aの前縁には、顧客操作パネル部3の垂直パネル3aの上端が開閉自在に蝶着されている。
【0023】
現金自動取引装置1の筐体2は、顧客操作パネル部3を持ち上げたままの姿勢を維持する姿勢維持手段(図示せず)を備えている。
【0024】
光学式のタッチパネル4は、図2,図3及び図4に示すように、平板状の透明な保護フィルタ40と、保護フィルタ40の周囲の上部を囲むように配置されたフロントパネル41と、保護フィルタ40の周囲にフロントパネル41の裏側を覆うように配置されたリヤカバー42と、フロントパネル41の内周縁寄りの内側に配置された保護フィルタ40の外周縁を保持する枠状のベゼル43と、リヤカバー42の上側に配置された枠状の回路基板44と、回路基板44上に配置された赤外線を発光する複数の赤外線発光素子45と、回路基板44上に配置された赤外線を受光する複数の赤外線受光素子46とから構成されている。
タッチパネル4のベゼル43は、赤外線透過性を有している。
47は、タッチパネル4から引き出されたインターフェイスケーブルである。
【0025】
タッチパネル4は、リヤカバー42の四隅がフロントパネル41に対してねじ48により固定されている。
【0026】
タッチパネル4のリヤカバー42には、保護フィルタ40に臨んで開口部42aが形成され、リヤカバー42の開口部42aには、透明フィルタ40の外周縁の下面に密接するゴムパッキン7が嵌合装着されている。
【0027】
タッチパネル4の保護フィルタ40の下側には、リヤカバー42の開口部42aに相当する箇所に平板状の光学フィルタ6が重合して配置され、光学フィルタ6の外周縁の周囲はゴムパッキン7により囲まれており、図5に示すように、光学フィルタ6の外周縁とゴムパッキン7との間には隙間49が形成されている。
【0028】
ゴムパッキン7は、光学フィルタ6の外周縁の周囲を取り囲んでいるので、光学フィルタ6は液晶ディスプレイ5の操作画面に対してずれることがない。
【0029】
タッチパネル4の下部には、間隔を置いてこれと平行な液晶ディスプレイ5が配置され、液晶ディスプレイ5は、顧客操作パネル部3の水平パネル3bの下部に開閉自在に装着されている。
【0030】
顧客操作パネル部3の水平パネル3bの下側には、液晶ディスプレイ5を覆う保護カバー(図示せず)が着脱自在に取付けられている。
【0031】
次に、本発明の実施例に係る現金自動取引装置における光学フィルタの取付け作業について説明する。
まず、係員が現金自動取引装置1の取引の取扱いを中止にした後、現金自動取引装置1の電源を切る。
【0032】
次いで、図6に示すように、係員が手で顧客操作パネル部3を筐体2に対して上方に開くように持ち上げた後、液晶ディスプレイ5を覆う保護カバーを顧客操作パネル部3の水平パネル3bの下側より取り外した後、図7に示すように、液晶ディスプレイ5を顧客操作パネル部3の水平パネル3bに対してタッチパネル4から離間するように前方に開く。
【0033】
次いで、タッチパネル4の内側面及び液晶ディスプレイ5の表示画面を清掃し、次いで、光学フィルタ6をゴムパッキン7の内側にタッチパネル4の保護フィルタ40に重合するようにセットした後、光学フィルタ6を外れないようにタッチパネル4側に押えて、液晶ディスプレイ5を顧客操作パネル部3の水平パネル3bに対してタッチパネル4に向って閉じることにより、覗き見防止用の光学フィルタ6がタッチパネル4の保護フィルタ40と液晶ディスプレイ5との間に挟持され、ゴムパッキン7が液晶ディスプレイ5の表示画面に密接され、光学フィルタ6は液晶ディスプレイ5の操作画面を覆うようにタッチパネル4の下側に取付けられる。
【0034】
次いで、顧客操作パネル部3の水平パネル3bの下部に液晶ディスプレイ5を覆う保護カバーを取付けた後、係員が手で顧客操作パネル部3を筐体2に対して下ろし、光学フィルタ6の取付け作業は終了する。
【0035】
そして、ゴムパッキン7は、タッチパネル4の保護フィルタ40の内側面及び液晶ディスプレイ5の表示画面に密接されるので、タッチパネル4と液晶ディスプレイ5との間への塵埃の侵入は、ゴムパッキン7により確実に防止することができる。
【0036】
次に、本発明の実施例に係る現金自動取引装置の作用について説明する。
この現金自動取引装置1では、現金をキャッシュカードで出金する場合、利用者は現金自動取引装置1のタッチパネル4の真正面に立ち、利用者が個人認証用の暗証番号を液晶ディスプレイ5の操作画面を見ながらタッチパネル4で入力操作する。
【0037】
この時、利用者は現金自動取引装置1のタッチパネル4の真正面の図8に示す位置Aからタッチパネル4及び光学フィルタ6を通して液晶ディスプレイ5の操作画面をはっきり見ることができる。
【0038】
また、覗き見防止用の光学フィルタ6がタッチパネル4と液晶ディスプレイ5との間に介在されているので、光学フィルタ6の構造により液晶ディスプレイ5の操作画面の可視角度の調整が可能となり、光学フィルタ6が液晶ディスプレイ5の操作画面全体を覆っているので、他人が現金自動取引装置1のタッチパネル4の前方の図8に示す位置B,C,Dから液晶ディスプレイ5の操作画面を見ようとしても、位置B,C,Dからは液晶ディスプレイ5の操作画面の内容が光学フィルタ6により見え難くなり、利用者の後方や両側方からの液晶ディスプレイ5の操作画面の覗き見を光学フィルタ6で確実に防止することができる。
【0039】
なお、上述した実施例では、ゴムパッキン7をタッチパネル4側に取付けたが、ゴムパッキン7は、液晶ディスプレイ5の表示画面上に取付けても良く、或いはゴムパッキン7を光学フィルタ6の外周縁に取付けても良い。
また、タッチパネル4は、光学式に限定されるものではなく、静電容量式,抵抗膜式のものでも良い。
さらに、ディスプレイは、CRT(Cathode Ray Tube;ブラウン管)でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施例に係る現金自動取引装置の外観を示す斜視図。
【図2】本発明の実施例に係る現金自動取引装置の要部正断面図。
【図3】本発明の実施例に係る現金自動取引装置の要部平面図。
【図4】本発明の実施例に係る現金自動取引装置の要部側断面図。
【図5】本発明の実施例に係る現金自動取引装置における光学フィルタのタッチパネルへのセット状態を示す要部底面図。
【図6】本発明の実施例に係る現金自動取引装置における顧客操作パネル部を筐体に対して持ち上げた状態を示す右側面図。
【図7】本発明の実施例に係る現金自動取引装置における液晶ディスプレイをタッチパネルの前方に開いた状態を示す要部側断面図。
【図8】本発明の実施例に係る現金自動取引装置におけるタッチパネルへの入力操作時の液晶ディスプレイの操作画面の光学フィルタによる覗き見防止を説明する平面図。
【符号の説明】
【0041】
1 現金自動取引装置
2 筐体(現金自動取引装置本体)
2a 上壁
3 顧客操作パネル部
3a 垂直パネル
3b 水平パネル
4 タッチパネル
5 液晶ディスプレイ
6 光学フィルタ
7 ゴムパッキン(弾性シール部材)
8 表示器
9 通帳出入口
10 カード出入口
11 紙幣入出金口
12 貨幣入出金口
40 保護フィルタ
41 フロントパネル
42 リヤカバー
42a 開口部
43 ベゼル
44 回路基板
45 赤外線発光素子
46 赤外線受光素子
47 インターフェイスケーブル
48 ねじ
49 隙間
A,B,C,D 位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現金自動取引装置本体と、前記現金自動取引装置本体に配設され、前記現金自動取引装置本体に対して開閉可能な顧客操作パネル部とを有する現金自動取引装置において、
前記顧客操作パネル部は、利用者が入力操作するタッチパネルと、操作画面を表示するディスプレイと、前記ディスプレイの操作画面の可視範囲を光学的に調整する覗き見防止用の光学フィルタとを備えており、前記ディスプレイは、前記タッチパネルの下部に配置され、前記ディスプレイを前記顧客操作パネル部に対して開閉自在に装着し、前記光学フィルタは、前記タッチパネルの下側に重合して配置され、前記光学フィルタを前記タッチパネルと前記ディスプレイとの間に挟持したことを特徴とする現金自動取引装置。
【請求項2】
上記光学フィルタの外周縁の周囲に、上記タッチパネル及び上記ディスプレイに密接する弾性シール部材が配設されている請求項1に記載の現金自動取引装置。
【請求項3】
上記弾性シール部材は、上記光学フィルタの外周縁に装着されている請求項2に記載の現金自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−65955(P2007−65955A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−250662(P2005−250662)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000233491)日立電子サービス株式会社 (394)
【Fターム(参考)】