説明

現金自動預払機、詐欺判定方法、現金自動預払機の制御方法、警備システムおよびプログラム

【課題】詐欺行為を首尾よく防止することができる現金自動預払機を提供する。
【解決手段】本発明に係る現金自動預払機100は、上記課題を解決するために、送金指示の入力を受け付ける入力部11と、入力された送金指示に基づいて送金処理を行う送金処理部31と、入力部11が送金指示の入力を受付中であるか否かを判定する送金指示入力判定部32と、電波を検出する電波検出部13と、電波検出部13の検出結果に基づいて、携帯電話による通話が行われているか否かを判定する携帯電話使用判定部33と、送金指示入力判定部32が、入力部11が送金指示の入力を受け付け中であると判定し、かつ、携帯電話使用判定部33が、携帯電話による通話が行われていると判定したときに、上記送金指示が詐欺によるものであると判定する詐欺判定部34とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預払機に関するものであり、特に、詐欺行為を防止するための機能を有する現金自動預払機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、主として判断能力が衰えた高齢者に現金自動預払機(ATM:Automated Teller Machine)を操作させてお金を騙し取る,いわゆる「振り込め詐欺」「還付金詐欺」が増加傾向にある。
【0003】
これらの詐欺では、被害者が持つ携帯電話に対して犯人が指示を行い、現金自動預払機を操作させて送金させるという特徴がある。そのため、現金自動預払機の付近に携帯電話の電波を感知する装置を設置して、携帯電話の電波が検知されると警報が発せられるようにし、警報が発生されたときには警備員が飛んで来て確認する、という警備方法が取られる場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような警備方法では、現金自動預払機の付近で誰かが携帯電話を使っただけで警報が発せられることになり、誤報が多いという問題がある。すなわち、現金自動預払機を利用するため、または現金自動預払機の付近を通行するために、わざわざ携帯電話の電源を切るユーザは僅かであり、たまたまその場所に居る時に外部から電話がかかってきただけで上記のような警報機が作動する。
【0005】
そのため、不必要に警備員が出動することになり、警備員にとっても負担になる上、詐欺とは関係のない多くの利用者にも不快感を与え、銀行側としても客離れの原因になってしまうという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、詐欺行為を首尾よく防止することができる現金自動預払機を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る現金自動預払機は、上記課題を解決するために、送金指示の入力を受け付ける入力部と、入力された送金指示に基づいて送金処理を行う送金処理手段と、上記入力部が送金指示の入力を受付中であるか否かを判定する送金指示入力判定手段と、電波を検出する電波検出部と、上記電波検出部の検出結果に基づいて、携帯電話による通話が行われているか否かを判定する携帯電話使用判定手段と、上記送金指示入力判定手段が、上記入力部が送金指示の入力を受け付け中であると判定し、かつ、上記携帯電話使用判定手段が、携帯電話による通話が行われていると判定したときに、上記送金指示が詐欺によるものであると判定する詐欺判定手段とを備えていることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、本発明に係る現金自動預払機は、送金指示の入力がなされている最中に、携帯電話による通話が行われている場合に、上記送金指示が詐欺によるものであると判定することができる。この判定に基づいて、例えば、警報、妨害電波等の出力、または送金機能の停止等を行うことにより、詐欺行為を首尾よく防止することができる。
【0009】
すなわち、振り込め詐欺、還付金詐欺等の犯人は、被害者に現金自動預払機で送金操作をさせるために、現金自動預払機の前の被害者に対して携帯電話にて指示を与える。裏を返せば、送金操作以外の操作を行っている場合は、詐欺は行われていないと考えることができる。したがって、送金操作以外の操作を行っているときに、警報等を発して警備員を出動させることは、詐欺を防止するためには無意味である。
【0010】
そこで、本発明に係る現金自動預払機は、ユーザが携帯電話を利用している時に送金操作を行ったときだけ上記送金指示が詐欺によるものであると判定する。これにより、詐欺が行われている蓋然性が高い事象を精度高く検出することができるため、詐欺行為を首尾よく防止することができるとともに、不必要な警報等を減らし、警備員の負担を減らすことができる。
【0011】
本発明に係る現金自動預払機では、警報を出力する警報出力部と、上記詐欺判定手段が上記送金指示が詐欺によるものであると判定したときに、上記警報出力部に警報を出力させる警報制御手段とをさらに備えていることが好ましい。
【0012】
上記の構成によれば、詐欺がなされている蓋然性が高い場合に、警報を出力することができるので、例えば、警備員が詐欺を認識することができ、首尾よく詐欺を防止することができる。
【0013】
上記現金自動預払機では、上記警報出力部が、画像を表示する警報表示部、光を出力する警報発光部および音声を出力する警報出音部からなる群より選ばれる少なくとも1つを備えていてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、上記警報出力部が、すくなくとも画像、光または音声により警報を出力することができるので、効果的に警報を出力することができる。
【0015】
本発明に係る現金自動預払機では、携帯電話による通話を妨害する妨害電波を出力する妨害電波出力部と、上記詐欺判定手段が上記送金指示が詐欺によるものであると判定したときに、上記妨害電波出力部に、上記妨害電波を出力させる妨害電波制御手段とをさらに備えていることが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、振り込め詐欺、還付金詐欺等において、携帯電話を介した詐欺を行う者からユーザに対する指示を妨害することができ、詐欺を効果的に防止することができる。
【0017】
本発明に係る現金自動預払機では、上記送金処理部は、上記詐欺判定手段が上記送金指示が詐欺によるものであると判定したときに、上記送金処理を停止することが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、詐欺により実被害が発生することを防止することができ、また、警備員が近くにいない現金自動預払機においても効果的に詐欺を防止することができる。
【0019】
上記現金自動預払機では、画像を表示する表示部と、上記詐欺判定手段が上記送金指示が詐欺によるものであると判定したときに、上記表示部に、携帯電話を使用すると送金が停止されることを示す画像を表示させる警告制御手段とをさらに備えていることが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、携帯電話の通話を検出した場合に上記現金自動預払機が送金を停止することを、ユーザに予め通知することにより余計なトラブルを防ぎ、またユーザがふと携帯を使ってしまうことを抑制し、詐欺で無い場合に警報等が発生することを避け、不必要に警備員が呼ばれること等を防ぐことができる。
【0021】
本発明に係る現金自動預払機では、上記送金処理部は、上記詐欺判定手段が上記送金指示が詐欺によるものであると判定したときに、入力中の上記送金指示を破棄することが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、携帯電話を介した詐欺を行う者からのユーザへの指示を完全にシャットアウトすることができるので、さらに効果的に詐欺を防止することができる。
【0023】
本発明に係る詐欺判定方法は、送金指示の入力を受け付ける入力部を備え、入力された送金指示に基づいて送金処理を行う現金自動預払機において、上記送金指示が詐欺によるものか否かを判定する詐欺判定方法であって、上記入力部が送金指示の入力を受付中であるか否かを判定する送金指示入力判定工程と、電波を検出し、携帯電話による通話が行われているか否かを判定する携帯電話使用判定工程と、上記送金指示入力判定工程において、上記入力部が送金指示の入力を受け付け中であると判定し、かつ、上記携帯電話使用判定工程において、携帯電話による通話が行われていると判定したときに、上記送金指示が詐欺によるものであると判定する判定工程とを包含することを特徴としている。
【0024】
また、本発明に係る現金自動預払機の制御方法は、送金指示の入力を受け付ける入力部を備え、入力された送金指示に基づいて送金処理を行う現金自動預払機の制御方法であって、上記入力部が送金指示の入力を受付中であるか否かを判定する送金指示入力判定工程と、電波を検出し、携帯電話による通話が行われているか否かを判定する携帯電話使用判定工程と、上記送金指示入力判定工程において、上記入力部が送金指示の入力を受け付け中であると判定し、かつ、上記携帯電話使用判定工程において、携帯電話による通話が行われていると判定したときに、上記送金処理を停止する送金停止工程を包含することを特徴としている。
【0025】
上記の構成によれば、本発明に係る現金自動預払機と同様の作用効果を奏することができる。
【0026】
本発明に係る警備システムは、本発明に係る現金自動預払機を備えており、これによって、効果的に詐欺を防止することができる。
【0027】
また、本発明に係る現金自動預払機を動作させるためのプログラムであって、コンピュータを上記の各手段として駆動させることを特徴とするプログラムも本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る現金自動預払機によれば、送金指示の入力がなされている最中に、携帯電話による通話が行われている場合に、上記送金指示が詐欺によるものであると判定するので、詐欺行為を首尾よく防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、現金自動預払機が使用されているときに、他人を騙して振り込みを行わせる、いわゆる「振り込め詐欺」「還付金詐欺」がなされている蓋然性が高いことを検知することができる現金自動預払機を提供する。以下、本発明に係る現金自動預払機について、図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係る現金自動預払機100の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、現金自動預払機100は、送金指示の入力を受け付ける入力部11、入力された送金指示に基づいて送金処理を行う送金処理部(送金処理手段)31、電波を検出する電波検出部13、入力部11が送金指示の入力を受付中であるか否かを判定する送金指示入力判定部(送金指示入力判定手段)32、電波検出部13の検出結果に基づいて、近傍にて携帯電話による通話が行われているか否かを判定する携帯電話使用判定部(携帯電話使用判定手段)33、および上記送金指示が詐欺によるものか否かを判定する詐欺判定部(詐欺判定手段)34を備えている。
【0031】
本明細書において、送金とは、現金自動預払機を用いて、他人に、特定の金銭を譲り渡す行為を指し、例えば、典型的には、電信扱いの振り込みであり、小切手、郵便為替の振り出し、自動振り替えの申し込み等、現金またはユーザの口座に入金されている金銭を、他人の口座等に移す処理が含まれる。送金指示とは、現金自動預払機に対して、送金を行うように指示することを指す。
【0032】
入力部11は、現金の預け入れ、引き出し、振り込み等の指示の入力を受け付けるものであり、例えば、押しボタンとして構成することができ、典型的には表示部12と組み合せたタッチパネルとして構成される。
【0033】
送金処理部31は、送金指示に基づいた送金を実行する他、ユーザによる送金指示の入力を補助するための画像(図3を参照)を表示部12に表示させる。送金の実行は、例えば、通信部14を介して外部のコンピュータ(例えば、銀行のメインフレーム)と通信することにより実現することができる。
【0034】
電波検出部13は、近傍の電波を検出するものであればよく、例えば、一般的な電波受信機を用いることができる。携帯電話使用判定部33は、電波検出部13が検出した電波の周波数、強度等に基づいて、携帯電話の通話によるものであるか否かを判定する。携帯電話が使用する周波数は定められており、周波数に基づいて検出した電波が携帯電話によるものか否かを判定することができる。また、携帯電話は、常時基地局との通信を行っているが、通話時における電波の強度はそれよりもはるかに強いため、検出した電波の強度に基づいて携帯電話の通話がなされているか否かを判定することができる。なお、判定に用いる電波強度の閾値は、その現金自動預払機が設置されている場所で提供されている携帯電話サービスにおいて使用されている通信規格を考慮して、各携帯電話サービスに割り当てられている周波数ごとにそれぞれ規定するのが望ましい。
【0035】
一実施形態において、現金自動預払機100はまた、警報を出力する警報出力部50、および警報出力部50に警報を出力させる警報制御部35を備えている。一実施形態において、警報出力部50は、画像を表示する警報表示部51、光を出力する警報発光部52および音声を出力する警報出音部53を備えているが、特にこれに限定されず警報を発生させることができる機構を備えていればよい。
【0036】
警報は、人間に特定の事象が発生したことを通知するものであり、本実施形態においては、例えば、画像、光、音声等によりなされる。警報表示部51は、例えば、警告画像を表示するディスプレイであり、警報発光部52は、例えば、点灯、点滅等するランプであり、警報発光部52は、例えば、警報音、警告音声等を出力するスピーカである。
【0037】
なお、警報制御部35は、通信部14を介して外部の警報出力装置等と通信するものであってもよい。外部の警報出力装置等としては、例えば、銀行の警備員の有する端末、警備員の詰め所または警備会社に設けられた端末等が挙げられる。
【0038】
一実施形態において、現金自動預払機100はまた、携帯電話による通話を妨害する妨害電波を出力する妨害電波出力部60、および妨害電波出力部60に、妨害電波を出力させる妨害電波制御部36を備えている。一実施形態において、妨害電波出力部60は、例えば、一般的な電波送信機を用いることができ、携帯電話によって使用される周波数の強度の強い電波を発生させることによって、携帯電話の通話を妨げることができる。
【0039】
一実施形態において、現金自動預払機100はまた、必要に応じて表示部12に警告画像を表示させる警告制御部37を備えている。
【0040】
図1に示すように、本実施形態において、現金自動預払機100を構成する部材のうち、警報出力部50および妨害電波出力部60以外の部材は、一般的な現金自動預払機の筐体を有する主装置部10の内部に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、上述の部材の配置は適宜設定することができる。例えば警報出力部50は、現金自動預払機100内部に設けられていても、現金自動預払機100と分離させて、現金自動預払機100が設置されている店舗、ボックス、警備員の控え室に設置されていてもよい。
【0041】
図2は、現金自動預払機100の動作の一例を説明するフローチャートである。以下、入力部11が表示部12とともにタッチパネルを構成している場合について中心に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0042】
現金自動預払機100は、電源が入れたとき、または所定の時刻になったときに動作を開始する。現金自動預払機100の動作が開始すると、表示部12には、図3(a)のような画像が表示される。ユーザは、表示部12上に表示されたボタンを押すことにより、入力部11に対し、現金の預け入れ、引き出し、振り込み(送金)等の指示を入力することができる(ステップS1)。
【0043】
ここで、送金指示を示すボタン80が押されると、送金処理部31に通知され、送金指示の入力モードに移行する。送金処理部31は、表示部12上に送金指示の入力を補助するための、例えば図3(b)に示すような画像を表示させる。図3(b)に示す画像は、送金方法を入力するものであり、現金を送金するか、ユーザの口座に入金されている金銭を送金するかを選択するものである。このほか、送金指示としては、例えば、電信、小切手、郵便為替等の送金手段、送金先、送金金額等を入力させるようになっていてもよく、一部について省略してもよいし、さらなる入力を受け付けるものであってもよい。最終的には、例えば、ユーザの最終確認を得る入力を受け、送金指示が完了する。
【0044】
ステップS1においてユーザの入力がなされると、ステップS2が開始する。ステップS2では、送金指示入力判定部32が、ステップS1におけるユーザの入力が送金指示を入力するものであるか否か(送金指示入力モードに移行しているか否か)を判定する。判定した結果は、詐欺判定部34に伝えられる。
【0045】
例えば、入力部11が、送金指示入力判定部32に、送金指示の入力を開始するための入力(図3(a)におけるボタン80を押す等)がなされたことを示す信号および送金指示の入力を終了するための入力がなされたことを示す信号を伝えるようにすれば、送金指示入力判定部32は、現在ユーザが、送金指示を入力中であるか否かを判定することができる。また、入力部11は、すべての入力を送金指示入力判定部32に伝え、送金指示入力判定部32が、当該入力が送金指示の入力を開始するための入力または送金指示の入力を終了するための入力であるかを判定してもよい。ステップS1におけるユーザの入力が、送金指示を入力するものであった場合には、ステップS3、S4を実行する。そうでなかった場合には、ステップS1に戻る。
【0046】
ステップS3では、一実施形態において、警告制御部37は、図3(b)に示すような、「これから先の操作では携帯電話の電波を検出したら送金操作を止める」旨の警告を表示部12に表示させる。後述するように、一実施形態において、携帯電話の通話を検出した場合、現金自動預払機100は、送金を停止する。そのため、予めそのことをユーザに通知することにより余計なトラブルを防ぎ、またユーザがふと携帯電話を使ってしまうことを抑制し、詐欺で無い場合に後述するような詐欺警戒信号が発生することを避け、不必要に警備員が呼ばれること等を防ぐことができる。なお、ステップS3は省略される場合もある。
【0047】
ステップS4では、詐欺判定部34は、電波検出部13に電波を検出させる。検出結果は、携帯電話使用判定部33に伝えられ、携帯電話使用判定部33は、近傍にて携帯電話による通話が行われているか否かを判定し、詐欺判定部34に伝える。
【0048】
なお、電波検出部13は、詐欺判定部34によらずに、電波を検出して携帯電話使用判定部33に伝えてもよい。すなわち、ステップS1等と並行して、電波の検出から、携帯電話による通話が行われているか否かの判定までを行い、詐欺判定部34に伝えてもよい。
【0049】
続いて、携帯電話使用判定部33が近傍にて携帯電話による通話が行われていると判定した場合にはステップS6に、そうでない場合にはステップS11に移行する。
【0050】
ステップS6では、詐欺判定部34は、上記送金指示が詐欺によるものであるか否かを判定する。詐欺判定部34には、送金指示入力判定部32から、入力部11が送金指示の入力を受け付け中であると判定したことを伝えられており、かつ、携帯電話使用判定部33から、近傍にて携帯電話による通話が行われていると判定したことが伝えられているので、そのような状況では詐欺がなされている蓋然性が高いので、上記送金指示が詐欺によるものであると判定し、詐欺を警戒すべきことを示す信号を生成する。上記信号は、各制御部に伝えられ、ステップS7〜S10において、詐欺を防止するための処理が行われる。その後ステップS1に戻る。なお、詐欺判定部34を各部材が備えており、各部において、上記送金指示が詐欺によるものであるか否かを判定し、詐欺を防止するための処理を行ってもよい。
【0051】
ステップS7では、警報制御部35は、上記信号が発生したことを受けて、警報出力部50から警報を出力させるか、または通信部14を介して外部の警報出力装置等と通信する。これにより、詐欺を警戒すべきことを警備員等に伝え、詐欺を防止することができる。
【0052】
ステップS8では、妨害電波制御部36は、上記信号が発生したことを受けて、妨害電波出力部60から携帯電話の通話を妨害する電波を出力させる。これにより、振り込め詐欺、還付金詐欺等において、携帯電話を介した詐欺を行う者からユーザに対する指示を妨害することができ、詐欺を防止することができる。
【0053】
ステップS9では、送金処理部31は、上記信号が発生したことを受けて、送金処理を停止する。すなわち、上記信号が発生した場合には、送金指示の入力が完了しても、送金を実行しない。これにより、詐欺により実被害が発生することを防止することができる。
【0054】
さらに、ステップS10において、すでに入力された送金指示の入力をすべて破棄することにより、ユーザは、携帯電話の通話をやめてから送金指示をやり直さなければ、送金を行うことはできない。これにより、携帯電話を介した詐欺を行う者からのユーザへの指示を完全にシャットアウトすることができるので、さらに効果的に詐欺を防止することができる。
【0055】
なお、ステップS9およびS10を行う場合には、上述したように、ステップS3において、「これから先の操作では携帯電話の電波を検出したら送金操作を止める」旨の警告
を行うことが好ましい。
【0056】
ステップS9およびS10を行うことにより、警報等により詐欺を防止する方法とは異なり、警備員が近くにいない現金自動預払機100、例えば、店舗外のボックス、大規模なショッピングモール等に設置されている現金自動預払機100において、効果的に詐欺を防止することができる。
【0057】
ステップS11では、詐欺の危険性は少ないとみなされるため、送金指示の入力が完成していた場合には送金を実行する等の送金処理を実行し、ステップS1に戻る。
【0058】
なお、上述したように現金自動預払機100は、詐欺の防止手段として、警報(警報制御部35および警防出力部50)、妨害電波(妨害電波制御部36および妨害電波発生部60)、送金停止または入力破棄を行うが、これらはすべてを行う必要はなく、適宜何れかをまたは組合わせて行うことができる。よって、必要のない部材は現金自動預払機100から省いてもよい。
【0059】
また、現金自動預払機100は、警備システムの一部として組み込んでもよい。現金自動預払機100を組み込んだ警備システムは、詐欺を首尾よく検知することができるため、優れたものとなる。そのような警備システムとしては、例えば、現金自動預払機100の他に、現金自動預払機100と警備員または警備会社とを繋ぐ通信システム等を備えていることが好ましい。
【0060】
最後に、現金自動預払機100に含まれている主制御部30は、例えば次のように、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現することができる。すなわち、主制御部30は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、プログラムや各種データを実行可能な形式に展開するためのRAM(Random Access Memory)、プログラムや各種データを格納するための補助記憶装置を備えている。なお、現金自動預払機の特性上、補助記憶装置は次のように複数ある場合が一般的である。即ち、実行可能なプログラムは、自動預払機の一般的な機能(例えば預入、引出など)を実現するプログラムと共に、現金自動預払機に付属するハードディスクあるいは半導体メモリ等の記憶装置に記憶されている。また、顧客ごとの暗証番号や預金金額等のデータは、専用線によって接続された通信ネットワーク上に設置されている単数又は複数のサーバに記憶されている。また、顧客ごとのIDは、キャッシュカードや通帳などの磁気テープやICチップ等に記憶されている。CPUはそれぞれの補助記憶装置から、必要なプログラムやデータをRAM上に読み出して必要な処理を行うことにより、現金自動預払機100を制御する。
【0061】
なお、上記の主制御部30の実現方法は一例に過ぎず、これに限定されるものではない。例えば、全ての機能を1つのCPUで制御するのではなく、各機能をそれぞれ部品として構成するなど、上記と同一の目的を実現できるのであればどのような構成でもよい。
【0062】
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲において種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、銀行等に備えられる現金自動預払機の製造分野および警備業務の分野において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係る現金自動預払機の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る現金自動預払機の動作の一例を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る現金自動預払機の表示部の画面の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0065】
11 入力部
12 表示部
13 電波検出部
31 送金処理部(送金処理手段)
32 送金指示入力判定部(送金指示入力判定手段)
33 携帯電話使用判定部(携帯電話使用判定手段)
34 詐欺判定部(詐欺判定手段)
35 警報制御部(警報制御手段)
36 妨害電話制御部(妨害電波制御手段)
37 警告制御部(警告制御手段)
50 警報出力部
51 警報表示部
52 警報発光部
53 警報出音部
60 妨害電波出力部
100 現金自動預払機
S1〜S11 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送金指示の入力を受け付ける入力部と、
入力された送金指示に基づいて送金処理を行う送金処理手段と、
上記入力部が送金指示の入力を受付中であるか否かを判定する送金指示入力判定手段と、
電波を検出する電波検出部と、
上記電波検出部の検出結果に基づいて、携帯電話による通話が行われているか否かを判定する携帯電話使用判定手段と、
上記送金指示入力判定手段が、上記入力部が送金指示の入力を受け付け中であると判定し、かつ、上記携帯電話使用判定手段が、携帯電話による通話が行われていると判定したときに、上記送金指示が詐欺によるものであると判定する詐欺判定手段とを備えていることを特徴とする現金自動預払機。
【請求項2】
警報を出力する警報出力部と、
上記詐欺判定手段が上記送金指示が詐欺によるものであると判定したときに、上記警報出力部に警報を出力させる警報制御手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の現金自動預払機。
【請求項3】
上記警報出力部が、画像を表示する警報表示部、光を出力する警報発光部および音声を出力する警報出音部からなる群より選ばれる少なくとも1つを備えていることを特徴とする請求項2に記載の現金自動預払機。
【請求項4】
携帯電話による通話を妨害する妨害電波を出力する妨害電波出力部と、
上記詐欺判定手段が上記送金指示が詐欺によるものであると判定したときに、上記妨害電波出力部に、上記妨害電波を出力させる妨害電波制御手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の現金自動預払機。
【請求項5】
上記送金処理手段は、上記詐欺判定手段が上記送金指示が詐欺によるものであると判定したときに、上記送金処理を停止することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の現金自動預払機。
【請求項6】
画像を表示する表示部と、
上記詐欺判定手段が上記送金指示が詐欺によるものであると判定したときに、上記表示部に、携帯電話を使用すると送金が停止されることを示す画像を表示させる警告制御手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項5に記載の現金自動預払機。
【請求項7】
上記送金処理部は、上記詐欺判定手段が上記送金指示が詐欺によるものであると判定したときに、入力中の上記送金指示を破棄することを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の現金自動預払機。
【請求項8】
送金指示の入力を受け付ける入力部を備え、入力された送金指示に基づいて送金処理を行う現金自動預払機において、上記送金指示が詐欺によるものか否かを判定する詐欺判定方法であって、
上記入力部が送金指示の入力を受付中であるか否かを判定する送金指示入力判定工程と、
電波を検出し、携帯電話による通話が行われているか否かを判定する携帯電話使用判定工程と、
上記送金指示入力判定工程において、上記入力部が送金指示の入力を受け付け中であると判定し、かつ、上記携帯電話使用判定工程において、携帯電話による通話が行われていると判定したときに、上記送金指示が詐欺によるものであると判定する判定工程とを包含することを特徴とする詐欺判定方法。
【請求項9】
送金指示の入力を受け付ける入力部を備え、入力された送金指示に基づいて送金処理を行う現金自動預払機の制御方法であって、
上記入力部が送金指示の入力を受付中であるか否かを判定する送金指示入力判定工程と、
電波を検出し、携帯電話による通話が行われているか否かを判定する携帯電話使用判定工程と、
上記送金指示入力判定工程において、上記入力部が送金指示の入力を受け付け中であると判定し、かつ、上記携帯電話使用判定工程において、携帯電話による通話が行われていると判定したときに、上記送金処理を停止する送金停止工程を包含することを特徴とする現金自動預払機の制御方法。
【請求項10】
請求項1から7の何れか1項に記載の現金自動預払機を備えていることを特徴とする警備システム。
【請求項11】
請求項1から7の何れか1項に記載の現金自動預払機を動作させるプログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−102545(P2010−102545A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274013(P2008−274013)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】