説明

現金自動預払装置及びその制御方法

【課題】本発明は、簡易な構造及び制御によって利用者にカードを返却することができる現金自動預払装置、及び、その制御方法を提供する。
【解決手段】現金自動預払装置3は、媒体8が挿入口203に排出されるように搬送機構を制御した後、媒体8が挿入口203で保持された状態が所定時間継続したと判断された場合に、取引処理を休止するように制御する休止手段3111と、休止手段3111により取引処理が休止された場合に、媒体8が前記保管部に保管されるよう前記搬送機構を制御する保管制御手段3131と、媒体8が挿入口203で保持された状態に関する情報を記憶する記憶手段39と、記憶手段39に記憶した情報をサーバへネットワーク経由で送信された後、取引処理を開始する開始手段3112と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預払装置(ATM)及びその制御方法に関し、特に、カード等の媒体を一時的に現金自動預払装置内部に保管又は退避する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、簡便性の観点から、現金自動預払装置が普及している。利用者は、金融機関等が提供する窓口サービスを利用する代わりに、利用者自身に対して発行されるキャッシュカードやデビットカード等の媒体(以下、単に「カード」という。)を用いて、現金自動預払装置により提供されるサービスを利用することが多くなっている。このため、利用者が、かかるサービスを利用することに伴い、該カードを取り忘れるといったケースが頻繁に見受けられる。
【0003】
カードの取り忘れが発生した場合、現金自動預払装置は、典型的には、一旦カードを装置内部に取り込み、装置内部でカードを保管する必要があるため、数分間、サービスの取り扱いを中止する。利用者が、サービスの取り扱いを中止している間に、カードの取り忘れに気づかなかった場合、現金自動預払装置は、その内部にカードを回収し、サービスを再開する。現金自動預払装置が、一旦、カードを装置内部で回収してしまうと、現金自動預払装置を管理する者(又はその委託者)がカードを現金自動預払装置から取り出し、回収してしまうため、再びカード挿入口を介して利用者に返却することができない構造となっている。
【0004】
このように一旦カードが装置内部で回収されてしまうと、別途、利用者が、発行元の銀行に対して返却手続を行う等、非常に煩雑な手続を経てカードを取り戻す必要がある。そこで、このような煩雑な手続を回避するため、例えば、特許文献1に記載されているように、予め現金自動預払装置の内部に、取引時の読取対象となっていないカードを退避するための退避部を複数設ける現金自動預払装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−299412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1によれば、取引時に、取り忘れたカードを含め、読み取り対象となっていないカードを装置内部に退避できるものの、現金自動預払装置は、利用者が取引を開始する度に、取り忘れたカードが装置内部で退避されているか否かを判断し、この判断に応じて、操作画面に表示するメニュー内容を切り替えなければならない。このように、特許文献1に開示された現金自動預払装置では、取引に際して操作が比較的複雑となってしまうため、さらなる改善が求められている。
【0007】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構造及び制御によって利用者にカードを返却することができる現金自動預払装置、及び、その制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明において、現金自動預払装置の一態様は、ネットワークを介してサーバと通信可能に接続され、取引処理を提供する現金自動預払装置であって、媒体が挿入される挿入口を有し、挿入口を介して媒体を受け付ける受付部と、受付部により受け付けた媒体を搬送路に沿って搬送する搬送機構を有し、搬送機構によって搬送される媒体についての情報を読み取る読取部及び媒体を保管する保管部を含む媒体処理機構と、媒体処理機構を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、媒体が挿入口に排出されるように搬送機構を制御した後、媒体が挿入口で保持された状態が所定時間継続したと判断された場合に、取引処理を休止するように制御する休止手段と、休止手段により取引処理が休止された場合に、媒体が保管部に保管されるよう搬送機構を制御する保管制御手段と、媒体が挿入口で保持された状態に関する情報を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶した情報をサーバへネットワーク経由で送信された後、取引処理を開始する開始手段と、を備える。
【0009】
また、サーバは、制御装置から受信した情報を基に識別される媒体について所定の認証処理を実施し、当該認証処理の成否に関する情報を制御装置へ送信し、制御装置は、認証処理の成功を示す情報をサーバから受信すると、搬送機構を制御して保管部に保管されている媒体を挿入口から排出させる。
【0010】
さらに、保管部は、搬送路に接続され、媒体を回収する回収エリアを有し、制御装置は、保管部における搬送路に第1の媒体が保管されている状態で、第2の媒体が挿入口で保持された状態が所定時間継続したと判断された場合に、第1の媒体を回収エリアに搬送し、且つ、第2の媒体を保管部における搬送路に搬送するよう搬送機構を制御することが好ましい。
【0011】
また、本発明において、現金自動預払装置の制御方法における一態様は、ネットワークを介してサーバと通信可能に接続され、取引処理を提供する現金自動預払装置の制御方法であって、現金自動預払装置は、媒体が挿入される挿入口を有し、挿入口を介して媒体を受け付ける受付部と、受付部により受け付けた媒体を搬送路に沿って搬送する搬送機構を有し、搬送機構によって搬送される媒体についての情報を読み取る読取部及び媒体を保管する保管部を含む媒体処理機構と、媒体処理機構を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、媒体が挿入口に排出されるように搬送機構を制御した後、媒体が挿入口で保持された状態が所定時間継続したと判断された場合に、取引処理を休止するように制御するステップと、取引処理が休止された場合に、媒体が保管部に保管されるよう搬送機構を制御するステップと、媒体が挿入口で保持された状態に関する情報を記憶するステップと、記憶した情報をサーバへネットワーク経由で送信された後、取引処理を開始するステップと、を実行する。
【0012】
また、現金自動預払装置は、認証処理の成功を示す情報をサーバから受信すると、搬送機構を制御して保管部に保管されている媒体を挿入口から排出させるステップを実行するものであって、認証処理の成功を示す情報は、サーバが、現金自動預払装置から受信した情報を基に識別される媒体について所定の認証処理を実施し、当該認証処理を実施することで得られる、当該認証処理の成否に関する情報に含まれるものである。
【0013】
さらに、現金自動預払装置は、保管部における搬送路第1の媒体が保管されている状態で、第2の媒体が挿入口で保持された状態が所定時間継続したと判断された場合に、第1の媒体を、搬送路に接続され、媒体を回収する回収エリアに搬送し、且つ、第2の媒体を保管部における搬送路に搬送するよう搬送機構を制御するステップを実行することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カードの取り忘れが発生すると、まず、現金自動預払装置は、保管部に該カードを保管するとともに該カードに関する情報を記憶し、その後、記憶した情報をサーバに送信するので、直ちに、通常のATMサービスを再開することができる。また、利用者がカードの取り忘れに気づいた場合には、カードを保管部で保管しているため、煩雑な手続を得ることなくカードを返却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるATMシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】現金自動預払装置3の外観斜視図である。
【図3】カード処理機構21の構成を示す模式ブロック図である。
【図4】現金自動預払装置3の内部構成を示すブロック図である。
【図5】カード取り忘れ時の、システムが実行するシーケンス図である。
【図6】カード取り忘れ時の、システムが実行するシーケンス図である。
【図7】記憶処理を示すフローチャートである。
【図8】記憶処理を示す管理画面の模式図である。
【図9】記憶処理を示す管理画面の模式図である。
【図10】記憶処理を示す管理画面の模式図である。
【図11】回収処理を示すフローチャートである。
【図12】回収処理を示す管理画面の模式図である。
【図13】回収処理を示す管理画面の模式図である。
【図14】認証処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
【0017】
(1)システムの構成
図1は、本発明の一実施形態に係る現金自動預払装置を含むATMシステムの概略を示すブロック図である。同図に示すように、ATMシステム1は、勘定系サーバ2及び複数の現金自動預払装置(ATM)3を含み、これらは勘定系ネットワーク4に接続されている。ATMシステム1は、異なる銀行間のATM取引も可能にするものであるが、同図は、説明を簡略にするため、1つの銀行内のATMシステムとして表している。
【0018】
勘定系サーバ2は、各種の銀行取引に基づいて、利用者の銀行口座の預金情報を管理するコンピュータである。例えば、勘定系サーバ2は、信頼性向上のため、冗長的に構成される。
【0019】
現金自動預払装置3は、銀行等の金融機関の店舗やコンビニエンスストア等の店舗、駅構内等に設置され、現金の預け入れや引き出し、振り込み等のATMサービスを利用者に提供する装置である。現金自動預払装置3は、ATMサービスを利用者に提供するのに利用される各種情報を記憶する記憶装置39を備えている。記憶装置39は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等の記憶媒体を用いて実現することができる。
【0020】
各種情報には、異常情報を含めることができる。ここで、異常情報は、利用者がカード挿入口203を通じて返却されたカードを取り忘れた場合に、カード挿入口203にカードが所定時間継続して保持される状態が続くことで、現金自動預払装置3が異常の状態であることを示す情報をいう。本実施形態の異常情報は、例えば、現金自動預払装置3に一意に設けられている装置番号(識別番号)情報、店舗情報、障害発生日時等のエラー内容を含む障害発生情報、カードを使用して取引した取引情報を含めることができる。
【0021】
勘定系ネットワーク4は、勘定系サーバ2と複数の現金自動預払装置3との間で利用者の銀行口座の預金情報を処理し、制御するためのネットワークであり、銀行業務における基幹系ネットワークである。
【0022】
ATMシステム1はまた、コールセンタサーバ6を含む。勘定系サーバ2、コールセンタサーバ6及び現金自動預払装置3は、制御系ネットワーク5に接続されている。
【0023】
制御系ネットワーク5は、勘定系サーバ2と、コールセンタサーバ6と、複数の現金自動預払装置3との間で、現金自動預払装置3に対する所定の制御命令を送受信するネットワークである。
【0024】
コールセンタサーバ6は、コールセンタ内のオペレータが操作するコンピュータである。コールセンタサーバ6は、例えば、現金自動預払装置3から送信される各種の通知に応答して、現金自動預払装置3に所定の制御命令を送信し、現金自動預払装置3を遠隔制御することができる。また、コールセンタサーバ6は、現金自動預払装置3から送信される預金情報や、利用者情報、等の各種情報を記憶する各種データベースを備える他、利用者が取り忘れたカード8(以下、「放置カード8」という。)に関する異常情報を記憶するサーバデータベース69を備えている。
【0025】
なお、各現金自動預払装置3は、同一銀行に属する必要はなく、また、同一銀行が保守・運用・管理する装置でなくてもよい。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態に係る現金自動預払装置3を示す斜視図である。同図に示すように、現金自動預払装置3は、例えば、筐体20の正面に形成されたタッチパネルディスプレイ201と、テンキー202と、カード挿入口203と、通帳挿入口204、現金出入口205と、インターフォン206とを備える。現金自動預払装置3はまた、カメラを内蔵しており、筐体20の正面パネルに形成された撮像口を介して、利用者の顔や上半身を撮影できるように構成されている(図示せず)。筐体20の内部には、制御装置が収容され、また、下部には、紙幣等の現金をその種類ごとに収納した現金ボックスが収容されている(図示せず)。
【0027】
タッチパネルディスプレイ201は、ATMサービスに際して、ガイダンスや必要な情報を表示する画面を有し、当該画面に表示された内容に応じて、利用者のタッチ操作による入力を受け付けるタッチセンサーを有する。テンキー202は、利用者によって操作される複数のボタンからなり、タッチパネルディスプレイ201に代えて、又は補助入力手段として用いられる。
【0028】
カード挿入口203は、利用者のカードを受け付け、又は、ATMサービスの提供後、カードを排出するための出入口である。カード挿入口203には、筐体20の内部に設けられた後述するカード処理機構21(図3参照)が接続されている。
【0029】
通帳挿入口204は、利用者の通帳を受け付け、必要に応じて、利用者の出入金履歴を記帳した通帳を利用者に返却するための出入口である。
【0030】
現金出入口205は、現金の出し入れに応じて開閉する開閉蓋を含み、利用者によって投入される紙幣等の現金を受け入れ、また、利用者に払い出す現金を返却するための出入口である。
【0031】
インターフォン206は、利用者が、ATMサービスに際して、店舗内やコールセンタ内のオペレータと直通通話をするための受話器を含んで構成される。
【0032】
カメラ(図示せず)は、例えばCCD撮像素子を備えるスチルカメラであり、CCD撮像素子から得られる画像信号を筐体20の内部に設けられた制御装置31に出力する。制御装置31は、CCD撮像素子から得られる画像信号に基づきCCD画像を作成する。
【0033】
(2)カード処理機構21の構成
図3は、カード処理機構21の構成を説明するための模式図である。カード処理機構21は、カード読取部413と、これに連結されたカード保管部513とを含んで構成される。本実施形態のカード処理機構21は、カード保管部531を備えることにより、カード読取部413に取り残されたカードをカード保管部531に退避させることができ、これによって、ATMサービスの続行を可能にする。
【0034】
カード読取部413は、カード挿入口203から挿入されたカードのカード情報(例えば、銀行情報、口座番号情報等)を読み取るためのコンポーネントであり、カードを搬送するための搬送機構を有する。この搬送機構は、例えば、カード挿入口203とカード保管部513の入り口との間に、搬送路414を形成するように、所定の間隔で配置された上下一対の複数の搬送ローラ415を含み、上下一対の搬送ローラ415がカードを狭持しながら所定の方向に回転することにより、カードを搬送する。また、カード読取部413には、カード挿入口203の近傍にセンサ416が設けられており、カード挿入口203から挿入されたカードのカード情報(例えば、銀行情報、口座番号情報等)を読み取る。
【0035】
カード保管部513は、カード読取部413から退避させた放置カード8を一時的に保管するための回収庫516を含んで構成されるコンポーネントである。カード保管部513もまた、カードを搬送するための搬送機構を有する。この搬送機構は、搬送路514上に配置された複数の搬送ローラ515を含み、搬送ローラ515の回転により、搬送路514上のカードを搬送する。
【0036】
カード読取部413の搬送機構とカード保管部514の搬送機構とは、一体として、カード処理機構21内の搬送機構を構成するが、これらは、それぞれ独立に制御可能に構成される。
【0037】
(3)現金自動預払装置の機能的要素
図4は、本発明の一実施形態に係る現金自動預払装置3の機能的要素を示すブロック図である。即ち、同図は、機能的な観点で抽出される現金自動預払装置3の要素間の関係を示すものである。いくつかの機能的要素は、個々に又は他と相まって、図2で示した現金自動預払装置の部材及び図3で示したカード処理機構21と関連付けることができる。
【0038】
即ち、同図に示すように、現金自動預払装置3は、例えば、制御装置31と、ユーザインターフェース(UI)部32と、カード受付部33と、通帳受付部34と、現金出納部35と、現金収納部36と、カメラ部37と、通話部38とを含む。
【0039】
制御装置31は、現金自動預払装置3の動作を統括的に制御するコンピュータ回路要素である。例えば、制御装置31のプロセッサは、メモリに記憶された各種のプログラムを実行し、これにより、制御装置31は所定の機能を実現する。本実施形態の制御装置31は、ATM処理部311と、通信制御部312と、カード処理部313と、カメラ制御部314と、記憶制御部315と、といった機能的要素を含むものとして説明される。各部311〜315の詳細は、後述する。
【0040】
ユーザインターフェース部32は、上述したタッチパネルディスプレイ201及びテンキー202を含んで構成され、利用者に対してインタラクティブ環境を提供する。
【0041】
カード受付部33は、利用者によってカード挿入口203に差し込まれるカードを受け付ける。
【0042】
通帳受付部34は、利用者によって差し込まれるカードを受け付けて、ATM処理部311の制御の下、通帳の磁気ストライプに記憶された利用者等に関する情報を読み出し、また、必要に応じて、記帳処理を行う。通帳受付部34はまた、ATM処理部311の制御の下、受け付けた通帳を利用者に返却すべく排出する。なお、ATM取引において、通帳の挿入は必須ではなく、通帳挿入口204及び通帳受付部34は設けなくてもよい。
【0043】
現金出納部35は、ATM処理部311の制御の下、利用者との間で紙幣等の現金を受け渡しするための機構を含んで構成される。現金出納部35は、例えば、利用者により現金の入金を受け付けた場合は、入金された現金を鑑別、計数し、ATM処理部311に入金情報を通知するとともに、ATM処理部311の制御の下、入金された現金を現金収納部36に送出する。また、利用者による出金指示を受け付けた場合は、現金出納部35は、ATM処理部311の制御の下、現金収納部36から取り出される現金を計数し、セットする。
【0044】
カメラ部37は、CCD撮像素子を備えたカメラを含んで構成され、利用者の顔又は上半身を撮影する。
【0045】
通話部38は、インターフォンを含んで構成され、図示しない専用回線を介して、利用者とコールセンタ内のオペレータとの間の通話機能を提供する。
【0046】
ATM処理部311は、ユーザインターフェース部32やカード受付部33、通帳受付部34と相まって、ATM取引を遂行する役割を担っている。また、ATM処理部311は、ATMの取引を休止する休止手段3111と、ATMの取引を開始する開始手段3112とを有する。
【0047】
通信制御部312は、ATM処理部311の制御の下、勘定系サーバ2やコールセンタサーバ6と通信を行うための通信インターフェースである。
【0048】
カード処理部313は、ATM処理部311の制御の下、カードを検知し、検知したカードの情報を読み取る。具体的には、まず、カード受付部33が、カード挿入口203に差し込まれたカードを受け付けると、カード挿入口203近傍に設けられたセンサ416からの信号に基づいて、カード処理部313は、該カードを検知する。
【0049】
その後、カード処理部313は、カード処理機構21に設けられた搬送機構を制御して、カードを取り込み、カードに記憶された利用者等に関するカード情報を読み取る。すなわち、カード処理部313は、搬送ローラ415を回転(図3では、時計回りの回転)させることにより、カード読取部413内にカードを取り込む。
【0050】
また、カード処理部313は、カード処理機構21に設けられた搬送機構を制御して、カード読取部413からカード保管部513に放置カード8を取り込み、保管する保管手段3131を有する。すなわち、カード処理部313は、カード挿入口203近傍に設けられたセンサ416により、カードの取り忘れを検知すると、搬送ローラ415及び515を回転(図3では、時計回りの回転)させ、カード保管部513に設けられた搬送路514上にカードを取り込む。その後、カード処理部313は、搬送ローラ415及び515の回転を停止させ、放置カード8を搬送路514上で一時的に保管する。
【0051】
さらに、カード処理部313は、コールセンタサーバ6からの所定コマンドに応じて、カード処理機構21に設けられた搬送機構を制御し、放置カード8をカード挿入口203に排出し、又は、回収庫516に排出する。すなわち、まず、ATM処理部311が、通信制御部312を介して通信されるコールセンタサーバ6から所定コマンドを受信すると、カード処理部313は、搬送ローラ515を回転(図3では、反時計回りの回転)させ、カード読取部413の搬送路414上に放置カード8を引き戻す。さらに、カード処理部313は、搬送ローラ415を回転(図3では、反時計回りの回転)させ、カード挿入口203を介して、放置カード8を利用者に返却する。このように、放置カード8の返却は、カード処理部313が、既述の搬送機構を制御することにより行われる。また一方では、カード処理部313は、コールセンタサーバ6からの所定コマンドに応じて、搬送ローラ515を回転(図3では、時計回りの回転)させ、放置カード8を回収庫516に排出する。
【0052】
なお、通常の取引処理を行う場合には、カード処理部313は、読み取ったカード情報を、通信制御部312を介して、カードの発行元である金融機関(図示せず)に送信し、金融機関から送信される本人認証結果を受信すると、該結果に基づいて、カード処理機構21に設けられた搬送機構を制御して、カードを返却する。
【0053】
カメラ制御部314は、カメラ部37を制御する。具体的には、カメラ制御部314は、通信制御部312を介して通信されるコールセンタサーバ6からの遠隔制御によって、利用者をカメラ部37で撮影するように制御する。また、カメラ制御部314は、カメラ部37から得られる画像信号に基づいて、画像内の顔の輪郭を抽出し、また、ヒストグラムを算出し、画像を解析する。カメラ制御部314は、解析した画像情報を、ATM処理部311に通知する。
【0054】
記憶制御部315は、ATM処理部311の制御の下、異常情報を記憶装置39に記憶する。なお、記憶装置39は、制御装置31の外部に形成されていてもよい。
【0055】
(4)カード取り忘れ時のシーケンス
利用者が、このように構成された現金自動預払装置3を使用後に、カードを取り忘れた場合において、ATMシステムが実行するシーケンスについて、図5及び図6を用いて説明する。
【0056】
(4−1)保管処理のシーケンス
まず、利用者による現金自動預払装置3の使用後に(S1)、利用者が挿入したカードが一定時間カード挿入口203に差し込まれたままの状態であると、カード処理部313は、カードの取り忘れが発生したことを検知し、カードに関する異常が発生したと判断する(S2)。
【0057】
次に、ATM処理部311は、現金自動預払装置3の取引処理を休止すると(S3)、カード処理部313は、カード挿入口302から放置カード8を内部に引き戻し、放置カード8を、カード保管部513に設けられた搬送路514上で一時的に保管する(S4)。
【0058】
このとき、カード処理部313は、放置カード8の発行元の銀行名、口座情報、放置カード8のエンボスから取得した情報等、放置カード8に関する各種情報を読み取る(S5)。
【0059】
ATM処理部311は、読み取った各種情報の他、障害発生日時情報、ATM処理部311で作成した利用者のCCD画像情報等を含め、放置カード8の異常情報として記憶装置39に記憶し(S6)、この異常情報を、一時保管の通知と共に、コールセンタサーバ6に送信する(S7)。ATM処理部311は、サービスの提供を再開する(S8)。なお、異常情報には、現金自動預払装置3に一意に設けられている装置番号(識別番号)情報を含む店舗情報、障害発生日時等のエラー内容を含む障害発生情報、カードを使用して取引した取引情報等が含まれる。
【0060】
コールセンタサーバ6は、一時保管の通知及び異常情報を受信すると、オペレータがコールセンタサーバ6の管理画面(表示装置)9を操作する。コールセンタサーバ6はこの操作を受け付けると、記憶処理を実行し(S9)、異常情報をサーバデータベース69に記憶する。当該記憶処理の詳細は、後述する。
【0061】
なお、放置カード8が、利用者と銀行との間の契約等、諸理由により、現金自動預払装置3を介して返却することができないものである場合には、コールセンタサーバ6は、現金自動預払装置3に、回収指示を送信する。カード処理部313は、該指示を受信すると、搬送ローラ515を駆動して、放置カード8を回収庫516に回収する。
【0062】
コールセンタサーバ6は、記憶処理を実行すると、所定の時間、利用者からの入電を待機する。入電とは、利用者が現金自動預払装置3のインターフォン206を用いることで、コールセンタサーバ6のオペレータと会話可能な状態になることをいい、現金自動預払装置3がコールセンタサーバ6に対しインターフォン206を介して通信可能な状態になることをいう。また、現金自動預払装置3にはタイマーが設定されており、所定の時間を1時間に設定しているが、特に制限はなく、利用者の動向に合致するようにタイマーを設定する目的から、タイマーは可変設定できるようになっている。タイマー設定は、ATM処理部311及びコールセンタサーバ6のいずれが行ってもよい。
【0063】
所定の時間内に、利用者が、利用したカードの取り忘れに気づき、現金自動預払装置3の所に戻って、インターフォン206を用いた場合、ATM処理部311は、入電を検知し(S10:YES)、電話回線を介してコールセンタサーバ6に接続する(S11)。
【0064】
コールセンタサーバ6は、入電により、返却準備処理を実行する(S12)。すなわち、コールセンタサーバ6は、サーバデータベース69の中から、該当する異常情報を検索し、検索した異常情報に基づいて、現金自動預払装置3に対する動作指示を決定する。返却準備処理のさらなる詳細は、後述する。
【0065】
コールセンタサーバ6は、検索した異常情報に基づいて決定した、現金自動預払装置3に対する動作指示を、現金自動預払装置3に送信する(S13)。現金自動預払装置3に対する動作指示は、現金自動預払装置3の取り扱いを休止する休止指示、及び、カード保管部513の搬送路515上に保管されている放置カード8を、カード読取部413の搬送路415上に搬送する搬送指示、が含まれている。
【0066】
ATM処理部311は、コールセンタサーバ6から動作指示を受信すると、動作指示の内容を実行する(S14)。ATM処理部311は、コールセンタサーバ6から休止指示を受信した場合には、現金自動預払装置3の取り扱いを休止する。更に、コールセンタサーバ6側で一旦本人認証を行うため、カード処理部313は、各搬送ローラ515及び415を駆動して、カード保管部513の搬送路515上に保管されている放置カード8を、カード読取部413の搬送路415上に一旦、搬送する。
【0067】
ATM処理部311又はカード処理部313は、動作指示の内容を実行すると、動作の完了報告をコールセンタサーバ6に送信する(S15)。
【0068】
コールセンタサーバ6は、動作の完了報告を受信すると、現金自動預払装置3の記憶装置39に記憶されている異常情報を送信するように、現金自動預払装置3に指示を送信する(S16)。
【0069】
ATM処理部311は、異常情報の送信指示を受信すると、記憶装置39を検索し、検索した異常情報をコールセンタサーバ6に送信する(S17)。
【0070】
コールセンタサーバ6は、現金自動預払装置3から送信された異常情報を受信すると、受信したカード取り忘れ時の異常情報に基づいて、認証処理を実行する(S18)。認証処理の詳細は、後述する。コールセンタサーバ6は、カードを取り忘れた時の異常情報に基づいて、現金自動預払装置3を利用しようとしている利用者が、放置カード8の本人であると本人認証を行った場合には、現金自動預払装置3にカードの返却指示を送信する(S19)。
【0071】
ATM処理部311は、返却指示を受信すると、カード処理部313が、カード読取部413の搬送ローラ415を駆動し、カード挿入口203を介して利用者にカードを返却する(S20)。利用者は、カード挿入口203から返却された放置カード8を受領すると(S21)、カード処理部313が放置カード8の排出を検知し、本シーケンスが終了する。
【0072】
なお、ステップS8において、所定の時間内に、利用者が、利用したカードの取り忘れに気づかず、現金自動預払装置3に対して何らの操作も行われなかった場合、ATM処理部311は、入電がなかったと判断し(S10:NO)、カード処理部313が搬送ローラ515を駆動し、搬送路514上の放置カード8を回収庫516に回収する(S22)。
【0073】
(4−2)記憶処理
次に、コールセンタサーバ6が実行する記憶処理(S9)を、図7に示すフローチャート及び図8乃至図10に示す管理画面9を用いて具体的に説明する。
【0074】
コールセンタサーバ6は、一時保管の通知及び異常情報を受信すると、記憶処理を開始する。まず、コールセンタサーバ6は、異常情報を管理する管理プログラムを起動し、受信した異常情報を管理画面9に表示する(S31)。
【0075】
図8は、コールセンタサーバ6が、異常情報を受信した際の管理画面9を示している。管理画面9には、例えば、装置番号、店舗住所、障害発生日時、装置の状態を示す状態情報(以下、ステータス情報という。)、オペレータの確認可否を示す確認状態情報(以下、確認ステータス情報という。)等が表示されている。例えば、図8には、異常が発生した現金自動預払装置3は「1234567」、装置が設置されている店舗住所は「○○区××丁目」、カードの取り忘れが発生した障害発生日時は「2010/02/18」、現金自動預払装置3のステータス情報は「一時保管」、オペレータの確認可否を示す確認ステータス情報は「未(未確認)」、であることが表示されている。
【0076】
次に、コールセンタサーバ6のオペレータが、管理画面9の「詳細」ボタンB1を押下すると、コールセンタサーバ6は、異常情報の詳細表示指示を受け付け、詳細な異常情報を管理画面9に表示する(S32)。図9は、コールセンタサーバ6が、詳細な異常情報を表示した際の管理画面9を示している。コールセンタサーバ6は、管理画面9に、店舗情報、障害発生情報、取引情報の詳細を表示する。
【0077】
コールセンタサーバ6のオペレータが、詳細な異常情報を確認し、管理画面9の「確認」ボタンB2を押下すると、コールセンタサーバ6は、詳細な異常情報の確認指示を受け付け、受信した異常情報を新規異常情報としてサーバデータベース69に登録する(S33)。その後、コールセンタサーバ6は、管理画面9の「終了」ボタンB3を押下して、記憶処理を終了する。図10は、新規異常情報がサーバデータベース69に登録(記憶)された際の管理画面9を示している。確認ステータス情報は「済(確認済)」、であることが表示されている。
【0078】
(4−3)返却準備処理
次に、コールセンタサーバ6が実行する返却準備処理(S12)を、図11に示すフローチャート並びに図12及び図13に示す管理画面9を用いて具体的に説明する。
【0079】
まず、コールセンタサーバ6は、入電によりインターフォン206を使用した使用者情報を取得すると、返却準備処理を開始する(S12)。コールセンタサーバ6は、管理プログラムを起動し、放置カード8に関する異常情報の一覧表を管理画面9に出力する(S41)。
【0080】
次に、コールセンタサーバ6は、受信した入電によって取得される使用者情報が、カードに関する異常情報であると判断すると(S42:YES)、取得した使用者情報、及び入電元である店舗情報に基づいて、サーバデータベース69の中から、該当する異常情報を検索する(S43)。図12は、コールセンタサーバ6が入電元である店舗情報を受け付けた際の管理画面9を示している。オペレータが管理画面9の「カード一時保管一覧」ボタンB4を押下すると、コールセンタサーバ6がこの指示を受付け、取得した使用者情報と一致する異常情報を検索する。
【0081】
コールセンタサーバ6は、取得した使用者情報と一致する異常情報を検索すると、検索結果を管理画面9に出力する(S44)。図13は、検索結果を示した管理画面9である。
【0082】
次にコールセンタサーバ6は、検索結果に基づいて、放置カード8が回収済みか否かを判断する(S45)。コールセンタサーバ6は、図13に示す検索結果の中から、現金自動預払装置3のステータス情報が「回収」というステータスになっているか否かを判断する。
【0083】
コールセンタサーバ6は、現金自動預払装置3のステータス情報が「一時保管」になっており、放置カード8が未回収であると判断すると(S45:NO)、検索した異常情報に基づいて、現金自動預払装置3に対する動作指示を決定する(S46)。具体的には、コールセンタサーバ6は、現金自動預払装置3の取り扱いを休止し、カード保管部513の搬送路515上に保管されている放置カード8を、カード読取部413の搬送路415上に搬送する、という動作指示を決定する。
【0084】
一方、コールセンタサーバ6は、現金自動預払装置3のステータス情報が「回収」になっており、放置カード8が回収済であると判断すると(S45:YES)、放置カード8の返却方法をオペレータに指示する(S47)。
【0085】
コールセンタサーバ6は、現金自動預払装置3に対する動作指示を決定し、又は、オペレータへの指示を終了すると、返却準備処理を終了する。
【0086】
なお、ステップS42において、コールセンタサーバ6は、取得した使用者情報が、カードに関する異常情報ではないと判断すると(S42:NO)、通常の照会業務処理を実行後(S48)、終了する。
【0087】
(4−4)認証処理
次に、コールセンタサーバ6が実行する認証処理(S18)を、図14に示すフローチャートを用いて具体的に説明する。
【0088】
コールセンタサーバ6は、現金自動預払装置3から送信された異常情報を受信すると、受信した、カード取り忘れ時の異常情報に基づいて、認証処理を開始する。
【0089】
コールセンタサーバ6は、受信した、カード取り忘れ時の異常情報を管理画面9に表示する(S51)。また、コールセンタサーバ6は、現金自動預払装置3からインターフォン206を使用している使用者の各種情報を取得する。各種情報には、例えば、使用者のCCD画像、放置カード8のエンボスから取得した情報等、の使用者情報が含まれている。
【0090】
コールセンタサーバ6のオペレータは、管理画面9に表示された、カード取り忘れ時の異常情報と、取得した使用者情報とを照合し、使用者がカード取り忘れ時の利用者であり、放置カード8の所有者であると判定すると、照合一致の旨を、入力装置を介してコールセンタサーバ6に入力する。コールセンタサーバ6は、この入力を受け付けると、認証成功と判断し(S52:YES)、現金自動預払装置3に放置カード8の返却指示を行う(S53)。コールセンタサーバ6は、現金自動預払装置3のステータス情報を「返却終了」に更新すると(S55)、認証処理を終了する。
【0091】
一方、コールセンタサーバ6のオペレータは、管理画面9に表示された、カード取り忘れ時の異常情報と、取得した使用者情報とを照合し、使用者が放置カード8の所有者ではないと判定すると、照合不一致の旨を、入力装置を介してコールセンタサーバ6に入力する。コールセンタサーバ6は、この入力を受け付けると、認証失敗と判断して(S52:NO)、現金自動預払装置3に放置カード8の回収指示を行う(S54)。また、コールセンタサーバ6は、現金自動預払装置3のステータス情報を「再保管」に更新し(S55)、認証処理を終了する。
【0092】
なお、上述した照合処理は、オペレータによらずに、コールセンタサーバ6が内部的に自律的に実行することもできる。
【0093】
ここで、ATMシステムが上述の保管処理を実行している間に、新たな利用者によって、カードの取り忘れが発生した場合には、カード処理部313が搬送ローラ515を駆動して、搬送路514上にある保管中の放置カード8を回収庫516に回収し、この旨をコールセンタサーバ6に通知する。
【0094】
この通知を記憶処理(S9)の実行時に受信した場合には、コールセンタサーバ6は、サーバデータベース69に記憶されている異常情報のうち、装置ステータス情報を更新すると、ステップS45で回収済と判断する。一方、この通知を記憶処理(S9)の実行後に受信した場合には、コールセンタサーバ6は、カードの返却指示(S53)、及びカードの回収指示(S54)の何れの指示も行わずに、既に回収済である旨をオペレータに通知する。
【0095】
本実施形態によれば、現金自動預払装置3にカード保管部を設けたので、該カード保管部でカードを一時的に保管することができる。そのため、サービスの提供が滞ることなく、且つ、利用者がカードの取り忘れに気づいた場合であっても煩雑な手続を要することなくカードを取り戻すことができる。これにより、カードを回収する頻度が軽減されるので、現金自動預払装置3を管理する側の管理費用を大幅に軽減することができる。
【0096】
また、現金自動預払装置3及びコールセンタ6のそれぞれのデータベースに、取り忘れたカードの異常情報を記憶することで、利用者が一定時間経過後にカードの取り忘れに気づいた場合であっても、簡易な手続でカードを取り戻すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、銀行等の金融機関の現金自動預払装置に幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0098】
1…ATMシステム、2…勘定系サーバ、3…現金自動預払装置、4…勘定系ネットワーク、5…制御系ネットワーク、6…コールセンタ、20…筐体、201…タッチパネルディスプレイ、202…テンキー、203…カード挿入口、204…通帳挿入口、205…現金出入口、206…インターフォン、21…カード処理機構(媒体処理機構)、31…制御装置、311…ATM処理部、312…通信制御部、313…カード処理部、314…カメラ制御部、32…ユーザインターフェース部、33…カード受付部(受付部)、34…通帳受付部、35…現金出納部、36…現金収納部、37…カメラ部、38…通話部、39…記憶装置、69…サーバデータベース、413…カード読取部、513…カード保管部(保管部)、414,514…搬送路、415,515…搬送ローラ、516…回収庫、8…放置カード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してサーバと通信可能に接続され、取引処理を提供する現金自動預払装置であって、
媒体が挿入される挿入口を有し、前記挿入口を介して前記媒体を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けた前記媒体を搬送路に沿って所定の方向に搬送する搬送機構を有し、前記搬送機構によって搬送される前記媒体についての情報を読み取る読取部及び前記媒体を保管する保管部を含む媒体処理機構と、
前記媒体処理機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記媒体が前記挿入口に排出されるように前記搬送機構を制御した後、前記媒体が前記挿入口で保持された状態が所定時間継続したと判断された場合に、前記取引処理を休止するように制御する休止手段と、
前記休止手段により前記取引処理が休止された場合に、前記媒体が前記保管部に保管されるよう前記搬送機構を制御する保管制御手段と、
前記媒体が前記挿入口で保持された状態に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶した前記情報を前記サーバへ前記ネットワーク経由で送信された後、前記取引処理を開始する開始手段と、
を備えた現金自動預払装置。
【請求項2】
前記サーバは、前記制御装置から受信した前記情報を基に識別される前記媒体について所定の認証処理を実施し、当該認証処理の成否に関する情報を前記制御装置へ送信し、
前記制御装置は、前記認証処理の成功を示す情報を前記サーバから受信すると、前記搬送機構を制御して前記保管部に保管されている前記媒体を前記挿入口から排出させる、請求項1記載の現金自動預払装置。
【請求項3】
前記保管部は、前記搬送路に接続され、前記媒体を回収する回収エリアを有し、
前記制御装置は、前記保管部における搬送路に第1の媒体が保管されている状態で、第2の媒体が前記挿入口で保持された状態が所定時間継続したと判断された場合に、前記第1の媒体を前記回収エリアに搬送し、且つ、前記第2の媒体を前記保管部における搬送路に搬送するよう前記搬送機構を制御する、請求項1又は2に記載の現金自動預払装置。
【請求項4】
ネットワークを介してサーバと通信可能に接続され、取引処理を提供する現金自動預払装置の制御方法であって、
前記現金自動預払装置は、
媒体が挿入される挿入口を有し、前記挿入口を介して前記媒体を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けた前記媒体を搬送路に沿って所定の方向に搬送する搬送機構を有し、前記搬送機構によって搬送される前記媒体についての情報を読み取る読取部及び前記媒体を保管する保管部を含む媒体処理機構と、
前記媒体処理機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記媒体が前記挿入口に排出されるように前記搬送機構を制御した後、前記媒体が前記挿入口で保持された状態が所定時間継続したと判断された場合に、前記取引処理を休止するように制御するステップと、
前記取引処理が休止された場合に、前記媒体が前記保管部に保管されるよう前記搬送機構を制御するステップと、
前記媒体が前記挿入口で保持された状態に関する情報を記憶するステップと、
記憶した前記情報を前記サーバへ前記ネットワーク経由で送信された後、前記取引処理を開始するステップと、を実行する、
現金自動預払装置の制御方法。
【請求項5】
前記現金自動預払装置は、認証処理の成功を示す情報を前記サーバから受信すると、前記搬送機構を制御して前記保管部に保管されている前記媒体を前記挿入口から排出させるステップを実行するものであって、
前記認証処理の成功を示す情報は、前記サーバが、前記現金自動預払装置から受信した前記情報を基に識別される前記媒体について所定の認証処理を実施し、当該認証処理を実施することで得られる、当該認証処理の成否に関する情報に含まれるものである、請求項4記載の現金自動預払装置の制御方法。
【請求項6】
前記現金自動預払装置は、前記保管部における搬送路第1の媒体が保管されている状態で、第2の媒体が前記挿入口で保持された状態が所定時間継続したと判断された場合に、前記第1の媒体を、前記搬送路に接続され、前記媒体を回収する回収エリアに搬送し、且つ、前記第2の媒体を前記保管部における搬送路に搬送するよう前記搬送機構を制御するステップを実行する、請求項4又は5に記載の現金自動預払装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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