説明

球戻り防止装置

【課題】細線を接着した遊技球を用いた不正を防止することが可能な球戻り防止装置を提供する。
【解決手段】球戻り防止装置は、遊技機の遊技盤の前面に設けられた円弧状の発射球通路の内側に固設される内レールの上側端部に設けられ、当該遊技機の遊技領域から当該発射球通路へ遊技球が戻ることを防止する。球戻り防止装置は、球止め片を備える。球止め片は、上側端部に取り付けられた際、常態において発射球通路側へ起立した姿勢となるとともに、発射球通路側から遊技球が当たった場合に当該発射球通路から退避する方向へ傾倒する。球止め片の先端部には、切欠底に向かって漸減的に切欠開口幅が狭くなる形状を有する少なくとも1つの切欠が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に設けられる球戻り防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ遊技機等の遊技機では、当該遊技機の遊技盤上に円弧状に湾曲させた内レールおよび外レールが固設され、当該内レールおよび外レールの間に形成された発射球通路を通って、当該遊技機の遊技領域へ遊技球が発射される。そして、内レールの上端には、遊技領域へ打ち出された遊技球が発射球通路へ戻ることを防止するために、球戻り防止機構が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−158454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の遊技機において、釣り糸やピアノ線等の細線の先端に遊技球を接着し、当該遊技球を遊技領域へ発射して遊技することによって不正な賞球や当たりを発生させる行為が行われている。具体的には、上記不正を行う遊技者は、上記細線を接着した遊技球を遊技領域へ発射し、遊技機に設けられた始動口や普通入賞口へ当該遊技球を入賞させる。そして、当該入賞状態が連続して発生するように細線を出し入れして始動口や普通入賞口の内部で遊技球を往復移動させることによって、賞球や当たり抽選を連続的に発生させる。
【0005】
しかしながら、上記球戻り防止機構では、細線を接着した遊技球を用いた不正を防止することができなかった。
【0006】
それ故に、本発明の目的は、細線を接着した遊技球を用いた不正を防止することが可能な球戻り防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は例えば以下のような構成を採用し得る。なお、特許請求の範囲の記載を解釈する際に、特許請求の範囲の記載によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解され、特許請求の範囲の記載と本欄の記載とが矛盾する場合には、特許請求の範囲の記載が優先する。なお、括弧内の参照符号等は、本発明の理解を助けるために後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0008】
本発明の球戻り防止装置(7)の一構成例は、遊技機(1)の遊技盤(2)の前面に設けられた円弧状の発射球通路(63)の内側に固設される内レール(61)の上側端部に設けられ、当該遊技機の遊技領域(20)から当該発射球通路へ遊技球が戻ることを防止する。上記球戻り防止装置は、球止め片(73、735)を備える。球止め片は、上側端部に取り付けられた際、常態において発射球通路側へ起立した姿勢となるとともに、発射球通路側から遊技球が当たった場合に当該発射球通路から退避する方向へ傾倒する。球止め片の先端部には、切欠底に向かって漸減的に切欠開口幅が狭くなる形状を有する少なくとも1つの切欠が形成される。
【0009】
また、上記切欠は、2つの直線を切欠底で接続して組み合わせたV字形状を有するV字切欠であってもよい。
【0010】
また、上記球止め片は、退避する方向へ傾倒した状態であっても、切欠の開口部が常に外部に露出した状態となるように当該切欠が形成されてもよい。
【0011】
また、上記切欠は、細線を接着した遊技球を用いた不正で想定されている当該細線の直径より最も広い開口幅(W)が大きく設定され、かつ、切欠底が遊技領域側に常に露出する範囲で相対的に小さく切欠開口角度(θ)が設定されてもよい。
【0012】
また、上記切欠は、球止め片の一方主面から他方主面に向かって漸増的に開口幅が拡がるテーパ形状となった切欠面によって当該球止め片に形成されてもよい。
【0013】
また、上記切欠は、少なくとも1箇所が切欠開口側へ凸となる凹凸形状となった切欠面によって球止め片に形成されてもよい。
【0014】
また、上記切欠は、表面粗さが所定の閾値以上に粗い切欠面によって球止め片に形成されてもよい。
【0015】
また、上記球止め片は、上側端部に取り付けられた際に内レールと平行に配置される支軸(731)を有し、当該支軸を支点として傾動可能に構成されてもよい。一例として、球止め片は、支軸を基準とした重量バランスによって常態において発射球通路側へ起立した姿勢となってもよい。他の例として、球止め片は、支軸を基準とした一方に磁力または弾性体の付勢力を加えることによって常態において発射球通路側へ起立した姿勢となってもよい。
【0016】
また、上記球止め片は、弾性板材で構成されてもよい。この場合、球止め片は、上側端部に取り付けられた際に当該上端位置にその一方端が支持されて上向姿勢で取り付けられることによって常態において発射球通路側へ起立した姿勢となってもよい。
【0017】
また、本発明は、上記球戻り防止装置を備える遊技機の形態で実施されてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、細線を接着した遊技球を用いた不正を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊技機1の一例を示す概略正面図
【図2】発射球通路63および球戻り防止装置7を通って遊技領域20へ発射される遊技球の動きの一例を説明するための概要図
【図3】球戻り防止装置7を内レール61に取り付けた状態を上側から見た一例を示す図
【図4】球戻り防止装置7を内レール61に取り付けた状態を下側から見た一例を示す図
【図5】球戻り防止装置7を内レール61に取り付けた状態を側方から見た一例を示す、図3のC−C線断面図
【図6】球戻り防止装置7の内部構造の一例を示す分解斜視図
【図7】傾動部材73の一例を示す上面図
【図8】球止め片735のV字切欠形成部の一例を示す、図7のE−E線断面図
【図9】遊技球が発射された際の球戻り防止装置7の状態の一例を示す球戻り防止装置7の要部断面図
【図10】細線を接着した遊技球を用いた不正が球戻り防止装置7によって防止された一例を示す球戻り防止装置7の要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係る球戻り防止装置が搭載された遊技機について説明する。なお、図1は、本発明の一実施形態に係る球戻り防止装置7が搭載された遊技機1の一例を示す概略正面図である。図2は、発射球通路63および球戻り防止装置7を通って遊技領域20へ発射される遊技球の動きの一例を説明するための概要図である。
【0021】
図1において、遊技機1は、例えば遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたパチンコ遊技機である。この遊技機1は、遊技球が打ち出される遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材5とを備えている。枠部材5は、軸支側に設けられた蝶番を中心に、遊技機1の主部に対して開閉可能に構成され、遊技盤2に対して着脱自在に取り付けられている。そして、枠部材5の前面側となる所定位置(例えば、軸支側とは反対側となる端部)には錠部43が設けられており、錠部43を開錠することによって枠部材5を開くことが可能となる。このように、枠部材5を開くことによって遊技盤2が外部に開放した状態となり、遊技機1が設置されている店の従業員が遊技機1の前面から遊技盤2を直接触るような作業が可能となる。
【0022】
遊技盤2は、その前面に、遊技球により遊技を行うための遊技領域20が形成されている。また、遊技盤2には、下方(発射装置)から発射された遊技球が遊技盤2の前面に沿って上昇して遊技領域20の上部位置へ向かう発射球通路63を形成する内レール61および外レール62が取り付けられている。例えば、外レール62は、ステンレス製帯板によって構成され、遊技盤2の前面の外周部位付近に円弧状に湾曲させて固設される。内レール61は、ステンレス製帯板によって構成され、外レール62の内側に所定の間隔を開けて遊技盤2の前面に円弧状に湾曲させて固設される。そして、遊技球は、内レール61および外レール62の間となる遊技盤2の前面に沿った空間(発射球通路63)を通って、遊技領域20へ打ち出される。ここで、内レール61は、遊技球が打ち出される遊技領域20の上部位置まで設けられて当該上部位置に上側端部が形成されており、当該上側端部が発射球通路63から遊技領域20への遊技球出口として機能する。そして、内レール61の上側端部に、球戻り防止装置7が設けられている。なお、球戻り防止装置7の詳細な構造については、後述する。
【0023】
また、遊技盤2には、遊技者により視認され易い位置に、各種演出のための画像を表示する画像表示部21が配設されている。画像表示部21は、遊技者によるゲームの進行に応じて、例えば、装飾図柄を表示することによって図柄抽選結果(図柄変動結果)を遊技者に報知したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による予告演出を表示したりする。なお、画像表示部21は、液晶表示装置、EL(Electro Luminescence:電界発光)表示装置、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)ドット表示装置、および7セグメントディスプレイ(以下、7セグ表示装置と記載する)等によって構成されるが、他の任意の表示装置を利用してもよい。さらに、遊技盤2の前面には、各種の演出に用いられる可動役物22および盤ランプ23が設けられている。可動役物22は、遊技盤2に対して可動に構成され、遊技者によるゲームの進行に応じて所定の動作で移動させることによって各種の演出を行う。また、盤ランプ23は、遊技者によるゲームの進行に応じて発光することによって光による各種の演出を行う。
【0024】
遊技領域20には、遊技球が下方へ落下する方向を変化させる遊技くぎおよび風車(共に、図示せず)等が配設されている。また、遊技領域20には、入賞や抽選に関する種々の役物が所定の位置に配設されている。なお、図1においては、入賞や抽選に関する種々の役物の一例として、第1始動口25a、第2始動口25b、ゲート27、大入賞口28、および普通入賞口29が遊技盤2に配設されている。さらに、遊技領域20には、遊技領域20に打ち出された遊技球のうち入賞口に入賞しなかった遊技球を、遊技領域20の外に排出する排出口24が配設されている。
【0025】
第1始動口25aおよび第2始動口25bは、それぞれ遊技球が入ると入賞して特別図柄抽選(大当たり抽選)が始動する。第1始動口25aは、予め定められた特別電動役物(大入賞口28)および/または予め定められた特別図柄表示器を作動させることとなる、遊技球の入賞に係る入賞口である。また、第2始動口25bは、上記特別電動役物(大入賞口28)および/または予め定められた特別図柄表示器を作動させることとなる、遊技球の入賞に係る入賞口である。ゲート27は、遊技球が通過すると普通図柄抽選(開閉抽選)が始動する。
【0026】
第2始動口25bは、第1始動口25aの下部に設けられ、普通電動役物の一例として、遊技球の入口近傍に電動チューリップ26を備えている。電動チューリップ26は、チューリップの花を模した一対の羽根部を有しており、後述する電動チューリップ開閉部112(例えば、電動ソレノイド)の駆動によって当該一対の羽根部が左右に開閉し、開閉動作と共に点灯または点滅する。電動チューリップ26は、一対の羽根部が閉じていると、第2始動口25bの入口へ案内される開口幅が極めて狭いため、遊技球が第2始動口25bへ入らない状態となる。一方、電動チューリップ26は、一対の羽根部が左右に開くと、第2始動口25bの入口へ案内される開口幅が拡大するため、遊技球が第2始動口25bへ入り易くなるように構成されている。そして、電動チューリップ26は、ゲート27を遊技球が通過することによって普通図柄抽選に当選すると、点灯または点滅しながら一対の羽根部が規定時間(例えば、0.15秒間または1.80秒間)開き、規定回数(例えば、1回または3回)だけ開閉する。
【0027】
大入賞口28は、第2始動口25bの下方に位置し、特別図柄抽選の結果に応じて開放する。大入賞口28は、通常は閉状態であり遊技球が入ることがない状態となっているが、特別図柄抽選の結果に応じて遊技盤2の主面から突出傾斜して開状態となって遊技球が入り易い状態となる。例えば、大入賞口28は、所定条件(例えば、29.5秒経過または遊技球10個の入賞や開放累積時間が1.8秒以内)を満たすまで開状態となるラウンドを、所定回数(例えば、15回または1回)だけ繰り返す。また、普通入賞口29は、遊技球が入賞しても抽選が始動しない。
【0028】
また、遊技盤2の所定位置(例えば、右下)に、上述した特別図柄抽選や普通図柄抽選の結果や保留数に関する表示を行う表示器3が配設されている。
【0029】
なお、図1に示した遊技機1は、遊技領域20に2つの第1始動口25aおよび第2始動口25bが配設されているが、遊技球が入ると入賞して特別図柄抽選が開始される始動口を1つだけ設けてもかまわない。また、遊技機1は、遊技領域20に1つの大入賞口28が配設されているが、大入賞口28と同様の機能を有する大入賞口を複数設けてもかまわない。
【0030】
また、遊技機1は、所定の条件下で、特別図柄抽選時に大当たりが抽選される大当たり確率が変動することがある。例えば、遊技機1は、上記大当たり確率が相対的に低い状態(低確状態;例えば大当たり確率が300分の1)から上記大当たり確率が相対的に高い状態(高確状態;例えば大当たり確率が30分の1)へ変動することがある。また、遊技機1は、所定の条件下で、特別図柄抽選時の特別図柄変動時間が短縮されたり、普通図柄抽選時の当選する確率が高まったり、普通図柄抽選時の普通図柄変動時間が短縮されたり、電動チューリップ26の羽根部の開時間が延長されたり、電動チューリップ26の羽根部が開閉する回数が増えたりする(電チューサポート)場合がある。
【0031】
ここで、賞球の払い出しについて説明する。第1始動口25a、第2始動口25b、大入賞口28、および普通入賞口29に遊技球が入る(入賞)と、遊技球が入賞した場所に応じて、1つの遊技球当たり規定個数の賞球が払い出される。例えば、第1始動口25aおよび第2始動口25bに遊技球が入賞すると4個の賞球、大入賞口28に遊技球が入賞すると13個の賞球、普通入賞口29に遊技球が入賞すると10個の賞球がそれぞれ払い出される。なお、ゲート27を遊技球が通過したことを検出しても、それに連動した賞球の払い出しは無い。
【0032】
遊技機1の前面となる枠部材5には、ハンドル51、レバー52、停止ボタン53、取り出しボタン54、スピーカ55、枠ランプ56、演出ボタン57、演出キー58、皿59、および錠部43等が設けられている。
【0033】
遊技者がハンドル51に触れてレバー52を時計方向に回転させる操作を行うと、その操作角度に応じた打球力にて所定の時間間隔(例えば、1分間に100個)で、発射装置が遊技球を電動発射する。皿59は、遊技機1の前方に突出して設けられ、発射装置211に供給する遊技球を一時的に溜めておく。また、皿59には、上述した賞球が払い出される。そして、皿59に溜められた遊技球は、遊技者のレバー52による操作と連動したタイミングで、供給装置(図示せず)によって1つずつ発射装置に供給される。なお、皿59は、上下皿一体で構成してもいいし、上皿と下皿とを分離して構成してもかまわない。また、ハンドル51は、所定条件下で発光させてもかまわない。
【0034】
停止ボタン53は、ハンドル51の下部側面に設けられ、ハンドル51に遊技者が触れてレバー52を時計方向に回転させている状態であっても、遊技者に押下されることによって遊技球の発射を一時的に停止させる。取り出しボタン54は、皿59が設けられた位置近傍の前面に設けられ、遊技者に押下されることによって皿59に溜まっている遊技球を箱(図示せず)に落下させる。
【0035】
スピーカ55および枠ランプ56は、それぞれ遊技機1の遊技状態や状況を告知したり各種の演出を行ったりする。スピーカ55は、楽曲や音声、効果音による各種の演出を行う。また、枠ランプ56は、点灯/点滅によるパターンや発光色の違い等によって光による各種の演出を行う。なお、枠ランプ56は、光の照射方向を変更可能にして、当該照射方向を変えることによる演出を行ってもかまわない。
【0036】
次に、図2を参照して、発射装置によって発射された遊技球の動きについて説明する。なお、図2は、遊技機1の発射装置によって発射された遊技球の動きの一例を説明するための概略図である。なお、図2においては、説明を簡単にするために、遊技機1を構成する構成部材のうち、球戻り防止装置7、遊技領域20、内レール61、外レール62、発射球通路63のみを示している。
【0037】
図2において、遊技者が遊技機1に遊技球を供給して発射装置で発射操作を行うと、遊技球は、遊技球発射方向へ所定の時間間隔で1個ずつ発射される。発射装置で発射された遊技球は、遊技盤2の前面に沿った上方へ、内レール61および外レール62の間に形成されている発射球通路63を通って、図示A方向に移動している遊技球のように移動する。内レール61の上側端部に設けられている球戻り防止装置7の配置位置に、球戻り防止装置7の傾動部材73の球止め片735(図3〜図7参照)に当たって当該球止め片を下方へ退避させるための速度以上で到達するような速度で遊技球が発射球通路63へ発射された場合、当該遊技球は、発射球通路63から遊技領域20の上方へ放出される。そして、遊技領域20の上方へ放出された遊技球は、図示B方向に移動している遊技球のように、遊技領域20内を遊技盤前面に沿って自由落下して移動する。このように、遊技機1の発射装置によって発射された遊技球は、発射球通路63を通って球戻り防止装置7の傾動部材73に当たって遊技領域20の上方へ放出される。
【0038】
次に、図3〜図8を参照して、球戻り防止装置7の構造について説明する。なお、図3は、球戻り防止装置7を内レール61に取り付けた状態を上側から見た一例を示す図である。図4は、球戻り防止装置7を内レール61に取り付けた状態を下側から見た一例を示す図である。図5は、球戻り防止装置7を内レール61に取り付けた状態を側方から見た一例を示す、図3のC−C線断面図である。図6は、球戻り防止装置7の内部構造の一例を示す分解斜視図である。図7は、傾動部材73の一例を示す上面図である。図8は、球止め片735のV字切欠形成部の一例を示す、図7のE−E線断面図である。
【0039】
図3〜図6において、球戻り防止装置7は、上側本体71、下側本体72、傾動部材73、支軸731、および錘732を備えている。例えば、上側本体71、下側本体72、および傾動部材73は、例えば合成樹脂により成形されて形成される。また、支軸731は、ステンレス等の金属の棒で構成され、傾動部材73に貫挿される。また、錘732は、金属製ビス等の所定重さの金属部材で構成され、傾動部材73の所定箇所に取り付けられる。そして、大略的には、傾動部材73に貫挿された支軸731の両端部を軸支して挟み込んだ状態で、上側本体71の下面と下側本体72の上面とが接合されて組み立てられる。
【0040】
上側本体71は、その中央部に傾動部材73の一部が配置される開口部が形成された略方形枠状であり、該両側辺部の内面に支軸731の両端部を軸支するための一対の半円状の軸受溝を形成する。また、上側本体71の下辺部の中央から板バネ状の弾性片が延設されており、当該弾性片の下面(すなわち、下側本体72と接合される際の下側本体72側となる面)に円柱状の係合突起711が形成されている。なお、係合突起711は、上側本体71と下側本体72とが接合された際、外部に露出する位置に形成される。また、下側本体72と接合される上側本体71の下面には、下側本体72の上面と嵌合する凹凸部(例えば、凹部)が形成されている。
【0041】
下側本体72は、上側本体71の略方形枠内に係合されて接合可能な板状部材であり、上側本体71と接合される下側本体72の上面には、上側本体71の下面と嵌合する凹凸部(例えば、凸部)が形成されている。また、下側本体72は、上側本体71と接合された際に、上記軸受溝の直下位置に配置される一対の軸受突起が形成されている。
【0042】
傾動部材73は、支軸731を貫挿するための貫挿孔733が形成され、貫挿孔733の下部に錘732が取り付けられる取付孔734が形成されている。また、傾動部材73は、貫挿穴733を挟んで取付孔734と反対側となる、貫挿孔733の斜め上方に球止め片735が形成される。そして、球止め片735の先端は、少なくとも1つのV字切欠が形成されたV字切欠形成部が形成され、最先端部が下方(すなわち、上側本体71側)へ湾曲して形成される。
【0043】
球戻り防止装置7を組み立てる際、錘732を取付孔734に取り付けた後、傾動部材73の下部(貫挿孔733および取付孔734が形成されている部位)を上側本体71の開口部にその上面側から入れて、上側本体71の下面側に当該下部を突出させた状態で貫挿孔733に支軸731を貫挿して、支軸731の両端部を上側本体71の軸受溝内に配置する。そして、接着や溶着等によって下側本体72を上側本体71に接合して固定する。これにより、支軸731の両端部が上側本体71の軸受溝と下側本体72の軸受突起との間でそれぞれ挟持される。また、図5に示したように上側本体71の下部と下側本体72の下部との間に、内レール61の上側端部に挿着されるスリット状の隙間が形成される。さらに、上側本体71の開口部および下側本体72の上面によって囲まれ、球戻り防止装置7が内レール61の上側端部に挿着された際に、発射球通路63に面する空間が形成される。
【0044】
一方、図3および図4に示すように、内レール61は、固定部材(例えば、釘)611によって、遊技盤2の前面に固設される。また、内レール61の上側端部には、当該端面から所定距離の位置となる位置に、係合突起711と係合可能な貫通孔が形成されている。そして、球戻り防止装置7は、上側本体71を上側(すなわち、外レール62側)にして上記スリット状の隙間を内レール61の上側端部に挿入すると、係合突起711と内レール61の貫通孔とが係合して内レール61の上側端部に固定される。
【0045】
内レール61の上側端部に取り付けられた球戻り防止装置7は、傾動部材73が支軸731を中心に傾動可能な状態で発射球通路63側に配置されるとともに、球止め片735の先端部(V字切欠形成部)が最上位置に配置される。これによって、球戻り防止装置7の球止め片735の先端部は、内レール61の上側端部を上方へ延長した最上位置に配置されることになるため、発射球通路63から遊技領域20への遊技球出口の最端に突出した状態で配置されることになる。
【0046】
図5に示すように、傾動部材73は、図示D方向へ傾動可能となっている。例えば、傾動部材73は、錘732が取り付けられる下部側と球止め片735が形成されている上部側との重量バランスによって、常態では球止め片735が発射球通路63側へ起立するように傾動し、錘732が取り付けられる部位が上記空間内に退避する。そして、発射球通路63へ遊技球が発射されて当該遊技球が球止め片735に当たると、傾動部材73が支軸731を支点として球止め片735が発射球通路63から下方へ退避し、錘732が取り付けられる部位が上記空間内から発射球通路63側へ移動するように傾動する。これによって、発射球通路63へ発射された遊技球は、球止め片735に妨げられることなく遊技領域20へ放出される。また、遊技球が発射球通路63から遊技領域20への遊技球出口を通過すると、上記重量バランスによって再び常態となって球止め片735が発射球通路63側へ起立するように傾動部材73が傾動する。この常態において、遊技領域20に一旦放出された遊技球が上記遊技球出口へ跳ね返って球止め片735に当たった場合、錘732が取り付けられる部位が下側本体72の上面等と当接することによって、球止め片735が形成されている上部側が発射球通路63側を遊技球発射方向の反対となる方向へさらに倒れるように傾動部材73が傾動することがない。したがって、遊技領域20に放出された遊技球が球止め片735に当たったとしても、当該遊技球が発射球通路63に戻ることはない。
【0047】
ここで、球止め片735の先端に形成されるV字切欠形成部について説明する。上述したように、球止め片735のV字切欠形成部は、少なくとも1つのV字切欠が形成され、発射球通路63から遊技領域20への遊技球出口の最端に突出した状態で配置される。後述により明らかとなるが、球止め片735の先端に形成されるV字切欠は、細線を接着した遊技球を用いた不正が行われた際、当該細線が食い込ませるために設けられている。したがって、図7に示すように、球止め片735の先端に形成されるV字切欠は、球止め片735の先端が最も広い開口幅となるように形成され、細線を接着した遊技球を用いた不正で想定されている当該細線の直径より少なくとも大きくなるように、最広開口幅Wが設定される。また、V字切欠のV字開口角度θは、できるだけ小さな鋭角にすることによって上記細線が当該V字切欠内に食い込みやすくすることが望ましい。このような最広開口幅WおよびV字開口角度θと球止め片735のサイズとを考慮して、球止め片735の先端に形成されるV字切欠の数を設定すればよい。なお、球止め片735のV字切欠形成部に形成されるV字切欠は、同じ形状のV字切欠を複数形成してもいいし、異なる形状のV字切欠を複数形成してもよい。
【0048】
また、傾動部材73が組み付けられた際に、上側本体71の最上端位置より上記細線が当該V字切欠内に食い込んだ位置が下方(すなわち、上側本体71の最上端位置より上側本体71の中央側)となる場合、傾動部材73の傾動によって上記細線がV字切欠内から外れることが考えられる。したがって、このような問題を解決する効果を期待する場合、V字切欠のV字開口角度θは、上記細線が当該V字切欠内に食い込んだ場合に想定される食い込み位置が、上側本体71の最上端位置より下方とならない範囲(例えば、傾動部材73が組み付けられた際に上側本体71の最上端位置よりV字切欠の切欠底が上方となる範囲)で鋭角に設定してもよい。これによって、球止め片735が発射球通路63から退避した状態であっても、V字切欠の開口部が常に外部に露出した状態(典型的には、遊技領域20側に露出)となるため、傾動部材73の傾動によって上記細線がV字切欠内から外れることがない。
【0049】
また、図8に示すように、球止め片735の先端に形成されたV字切欠のV字面(切欠面)は、テーパ形状で形成されてもかまわない。例えば、球止め片735の上面から下面に向かって漸増的に開口幅が拡がるようなテーパ形状でV字切欠のV字面を形成してもいいし、球止め片735の上面から下面に向かって漸減的に開口幅が縮むようなテーパ形状でV字切欠のV字面を形成してもよい。これによって、球止め片735の先端に形成されるV字切欠に上記細線が食い込んだ場合、当該V字切欠と当該細線との間が点当たりとなるため、線当たりの場合と比較して食い込み力が増加する効果が期待できる。
【0050】
また、球止め片735の先端に形成されたV字切欠のV字面(切欠面)は、平面でなくてもかまわない。例えば、少なくとも1箇所がV字開口側へ凸となった凹凸形状でV字切欠のV字面を形成してもかまわない。また、球止め片735の先端に形成されたV字切欠のV字面の表面粗さが所定の閾値以上の粗い平面となるように、V字切欠のV字面を形成してもかまわない。何れの場合であっても、球止め片735の先端に形成されるV字切欠に上記細線が食い込んだ場合、当該V字切欠と当該細線との間の摩擦力が増加するため、単純な平面でV字面が形成される場合と比較して食い込み力が増加する効果が期待できる。
【0051】
また、球止め片735の先端に形成されたV字切欠のV字面(切欠面)に、摩擦係数が相対的に高い部材を設けてもかまわない。例えば、ゴムやスポンジ等の部材や、粘着性の高い部材(シリコン系の粘着部材や害虫捕獲用の粘着部材等)を、V字切欠の切欠面に設けることが考えられる。このような摩擦係数が相対的に高い部材をV字切欠の切欠面に設けることによって、球止め片735の先端に形成されるV字切欠に上記細線が食い込んだ場合、当該V字切欠と当該細線との間の摩擦力が増加するため、摩擦係数が相対的に低い部材でV字面が形成される場合と比較して食い込み力が増加する効果が期待できる。
【0052】
また、球止め片735の先端に形成されたV字切欠のV字面(切欠面)を用いて、細線を接着した遊技球を用いた不正が行われた際、当該細線を切断するように構成してもかまわない。例えば、上記切欠面に上記細線を切断可能な刃を設ける。これによって、球止め片735の先端に形成されるV字切欠に上記細線が食い込んだ場合、遊技球が打ち出されたことによって上記細線に加わる張力や当該遊技球の重量によって、食い込んだ細線が上記刃によって切断される。また、細線を接着した遊技球を用いた不正を行った不正者が、遊技領域20へ当該遊技球を放出した後、当該細線を引っ張って遊技球を回収しようとした際においても、細線を引き戻す張力によって、食い込んだ細線が上記刃によって切断される。
【0053】
また、球止め片735の先端に形成される切欠は、切欠底に向かって漸減的に開口幅が狭くなる形状であれば、厳密に文字「V」の形状でなくてもかまわない。例えば、切欠を形成する一対の切欠面は、2つの直線を切欠底で接続して組み合わせた上記V字状ではなく、それぞれ円弧状(例えば、切欠開口部側へ凸となった円弧状)に湾曲した2つの曲線を切欠底で接続して組み合わせた形状であってもかまわない。
【0054】
次に、図9および図10を参照して、細線を接着した遊技球を用いた不正が球戻り防止装置7によって防止されるメカニズムの一例について説明する。なお、図9は、遊技球が発射された際の球戻り防止装置7の状態の一例を示す球戻り防止装置7の要部断面図である。図10は、細線を接着した遊技球を用いた不正が球戻り防止装置7によって防止された一例を示す球戻り防止装置7の要部断面図である。
【0055】
図9に示すように、傾動部材73は、常態では球止め片735が発射球通路63側へ起立するように傾動しているため、V字切欠形成部のV字切欠が発射球通路63側に向かって開口している姿勢となる。そして、図示F方向に移動している遊技球のように、発射球通路63へ正規な遊技球や細線が接着された不正遊技球が発射されて当該遊技球が球止め片735に当たると、球止め片735が発射球通路63から下方へ退避するように傾動部材73が傾動するため、発射球通路63へ発射された遊技球は、球止め片735に妨げられることなく遊技領域20へ放出される。
【0056】
ここで、正規の遊技球が発射球通路63から遊技領域20への遊技球出口を通過すると、再び常態となって球止め片735が発射球通路63側へ起立するように傾動部材73が傾動する。これによって、遊技領域20に一旦放出された正規の遊技球が上記遊技球出口へ跳ね返ってきても、当該遊技球が球止め片735に当たって発射球通路63に戻ることはない。一方、図10に示すように、細線が接着された不正遊技球が発射球通路63から遊技領域20への遊技球出口を通過すると、やがてV字切欠形成部に形成されているV字切欠の何れか1つに当該遊技球に接着されている細線が嵌る状態となる。そして、不正遊技球に接着された上記細線の一方端が当該不正遊技球の自由落下によって遊技領域20内を下方へ移動するとともに、上記細線の他方端が不正な遊技者の手元側に維持されているため、V字切欠に嵌った細線は、当該V字切欠に食い込んだ状態となる。V字切欠の何れか1つに上記細線が食い込んだ場合、当該細線の食い込み部が当該V字切欠から抜け出ることができないために移動が不可能となり、当該細線の一方端に接着された不正遊技球も遊技領域20内において移動ができなくなる(図10に示す状態)。例えば、図10に示すように、V字切欠の何れか1つに上記細線が食い込んだ場合、当該細線の一方端に接着された不正遊技球は、遊技領域20内において自由落下(例えば、図示G方向への移動)ができなくなる。これによって、上記不正遊技球を使用した遊技者は、遊技機1に設けられた第1始動口25a等の始動口や普通入賞口29へ入賞するように当該不正遊技球を導いたり、当該入賞状態が連続して発生するように細線を出し入れして当該不正遊技球を往復移動させたりすることができなくなる。
【0057】
上述した細線がV字切欠に食い込んだ状態は、当該細線の他方端側から遊技者が当該細線を操作しても解消することは難しい。例えば、上述した細線がV字切欠に食い込んだ状態で当該細線の他方端側から遊技者が当該細線をゆるめるような操作をしたとしても、細線がV字切欠から外れるような力が当該細線の食い込み部に伝わるようなことがないため、上記食い込んだ状態が解消することはできない。また、上述した細線がV字切欠に食い込んだ状態で当該細線の他方端側から遊技者が当該細線を引っ張るような操作をしたとしても、細線がV字切欠にさらに食い込むような力が当該細線の食い込み部に伝わるため、上記食い込んだ状態を解消することはできない。
【0058】
なお、上述した細線がV字切欠に食い込んだ状態で、当該細線の他方端側から遊技者が当該細線をさらに大きな力で引っ張る操作をして、上記食い込んだ状態を無理に解消しようとすることが考えられる。しかしながら、上記食い込んだ状態を無理に解消するようなことがあったとしても、遊技者は、結果的に遊技機1に設けられた第1始動口25a等の始動口や普通入賞口29へ入賞するように当該不正遊技球を導いたり、当該入賞状態が連続して発生するように細線を出し入れして当該不正遊技球を往復移動させたりするような不正を行っていない状態で不正遊技球を引き戻すことができるだけに過ぎない。
【0059】
このように、本発明の球戻り防止装置によれば、細線を接着した遊技球を用いた不正が行われた場合、当該細線が球止め片の先端部に設けられたV字切欠に食い込むため、当該不正を防止することができる。
【0060】
なお、上述した説明では、錘732が取り付けられる下部側と球止め片735が形成されている上部側との重量バランスによって、常態では球止め片735が発射球通路63側へ起立する傾動部材73が搭載された傾動式の球戻り防止装置を用いたが、他の構成の球戻り防止装置に本発明を適用してもかまわない。
【0061】
第1の例として、上記重量バランスによって球止め片を常態で起立させるのではなく、他の力で球止め片を常態で起立させる方式の球戻り防止装置に本発明を適用することができる。具体的には、磁力、弾性体の付勢力や張力等を作用させることによって、球止め片を常態で起立させる方式の球戻り防止装置に本発明を適用することが考えられる。この場合であっても、球止め片の先端に上述したV字切欠形成部を形成すれば、同様に細線を接着した遊技球を用いた不正を防止することができる。
【0062】
第2の例として、合成樹脂板(合成ゴム板、合成繊維板を含む)、金属板、天然ゴム板等の弾性板材で形成された球止め片を、内レールの上端位置にその一方端を支持して上向姿勢で取り付けた球戻り防止装置に本発明を適用することができる。この場合、上記弾性板材で形成された球止め片の先端に上述したV字切欠形成部を形成すれば、同様に細線を接着した遊技球を用いた不正を防止することができる。
【0063】
また、上述した説明では、遊技者が行う不正行為の例として、細線を接着した不正遊技球を用いて、遊技機1に設けられた第1始動口25a等の始動口や普通入賞口29へ入賞するように当該不正遊技球を導いたり、当該入賞状態が連続して発生するように細線を出し入れして当該不正遊技球を往復移動させたりすることを挙げたが、他の不正行為も防止することができることは言うまでもない。例えば、上記不正遊技球を用いて、遊技機1に設けられた入賞や抽選に関する他の役物(例えば、ゲート27、第2始動口25b、大入賞口28)への不正な入賞や抽選を生じさせるような不正も防止することができる。また、細線に遊技球以外の物体を接着した道具を用いた不正であっても、球戻り防止装置を通過した場合に当該細線が食い込むことによって当該道具を自由に扱うことができなくなるため、当該不正を防止することが可能となる。
【0064】
また、上述した遊技機1に設けられている各構成要素の形状、数、および設置位置等は、単なる一例に過ぎず他の形状、数、および設置位置であっても、本発明を実現できることは言うまでもない。
【0065】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。また、当業者は、本発明の具体的な実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0066】
以下、上記実施形態における作用効果について説明する。なお、特許請求の範囲の記載を解釈する際に、特許請求の範囲の記載によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解され、特許請求の範囲の記載と本作用効果の記載とが矛盾する場合には、特許請求の範囲の記載が優先する。また、本作用効果における括弧内の記載は、本発明の理解を助けるために上記実施形態との対応関係を示したものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0067】
上記実施形態においては、球戻り防止装置(球戻り防止装置7)が備える球止め片(傾動部材73、球止め片735)の先端部には、切欠底に向かって漸減的に切欠開口幅が狭くなる形状を有する少なくとも1つの切欠が形成される。
【0068】
上記によれば、細線を接着した遊技球を用いた不正が行われた場合、当該細線が球止め片の先端部に設けられた切欠に食い込むため、当該不正を防止することができる。
【0069】
上記切欠は、V字切欠であってもよい。
【0070】
上記によれば、細線を接着した遊技球を用いた不正が行われた場合、当該細線が球止め片の先端部に設けられたV字切欠に食い込むため、切欠への食い込み力が強くなり当該不正を確実に防止することができる。
【0071】
上記球止め片は、退避する方向へ傾倒した状態であっても、切欠の開口部が常に外部に露出した状態となるように当該切欠が形成されてもよい。
【0072】
上記によれば、球止め片が発射球通路から退避した状態であっても、切欠の開口部が常に外部に露出した状態となるため、球止め片が傾動した場合であっても、不正遊技球に接着された細線が切欠内から外れることがない。
【0073】
上記切欠は、細線を接着した遊技球を用いた不正で想定されている当該細線の直径より、最も広い開口幅(最広開口幅W)が大きく設定され、かつ、切欠底が遊技領域側に常に露出する範囲で相対的に小さく切欠開口角度(V字開口角度θ)が設定されてもよい。
【0074】
上記によれば、不正遊技球に接着された細線を切欠内で確実に食い込ませることができるとともに、球止め片が傾動した場合であっても当該細線が切欠内から外れることがない。
【0075】
上記切欠は、球止め片の一方主面から他方主面に向かって漸増的に開口幅が拡がるテーパ形状となった切欠面によって当該球止め片に形成されてもよい。
【0076】
上記によれば、球止め片の先端に形成される切欠に細線が食い込んだ場合、当該切欠と当該細線との間が点当たりとなるため、線当たりの場合と比較して食い込み力が増加する。
【0077】
上記切欠は、凹凸形状となった切欠面によって球止め片に形成されてもよい。
【0078】
上記によれば、球止め片の先端に形成される切欠に細線が食い込んだ場合、当該切欠と当該細線との間の摩擦力が増加するため、単純な平面で切欠面が形成される場合と比較して食い込み力が増加する。
【0079】
上記切欠は、表面粗さが所定の閾値以上に粗い切欠面によって球止め片に形成されてもよい。
【0080】
上記によれば、球止め片の先端に形成される切欠に細線が食い込んだ場合、当該切欠と当該細線との間の摩擦力が増加するため、単純な平面で切欠面が形成される場合と比較して食い込み力が増加する。
【0081】
上記球止め片は、支軸(支軸731)を支点として傾動可能に構成されてもよい。
【0082】
上記によれば、支軸を基準とした重量バランスによって常態において球止め片が発射球通路側へ起立した姿勢となる構造の球戻り防止装置や、支軸を基準とした一方に磁力または弾性体の付勢力を加えることによって常態において球止め片が発射球通路側へ起立した姿勢となる構造の球戻り防止装置であっても、細線を接着した遊技球を用いた不正が行われた場合、当該細線が球止め片の先端部に設けられた切欠に食い込むため、当該不正を防止することができる。
【0083】
上記球止め片は、弾性板材で構成されてもよい。
【0084】
上記によれば、上端位置にその一方端が支持されて上向姿勢で取り付けられることによって弾性板材で構成される球止め片が常態において発射球通路側へ起立した姿勢となる構造の球戻り防止装置であっても、細線を接着した遊技球を用いた不正が行われた場合、当該細線が球止め片の先端部に設けられた切欠に食い込むため、当該不正を防止することができる。
【0085】
また、上記球戻り防止装置を備える遊技機(遊技機1)の形態で実施されてもよい。
【0086】
上記球戻り防止装置を備える遊技機であっても、上述した同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0087】
1…遊技機
2…遊技盤
20…遊技領域
21…画像表示部
22…可動役物
23…盤ランプ
24…排出口
25a…第1始動口
25b…第2始動口
26…電動チューリップ
27…ゲート
28…大入賞口
29…普通入賞口
3…表示器
43…錠部
5…枠部材
51…ハンドル
52…レバー
53…停止ボタン
54…取り出しボタン
55…スピーカ
56…枠ランプ
57…演出ボタン
58…演出キー
59…皿
61…内レール
611…固定部材
62…外レール
63…発射球通路
7…球戻り防止装置
71…上側本体
711…係合突起
72…下側本体
73…傾動部材
731…支軸
732…錘
733…貫挿孔
734…取付孔
735…球止め片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の遊技盤の前面に設けられた円弧状の発射球通路の内側に固設される内レールの上側端部に設けられ、当該遊技機の遊技領域から当該発射球通路へ遊技球が戻ることを防止する球戻り防止装置であって、
前記上側端部に取り付けられた際、常態において前記発射球通路側へ起立した姿勢となるとともに、前記発射球通路側から遊技球が当たった場合に当該発射球通路から退避する方向へ傾倒する球止め片を備え、
前記球止め片の先端部には、切欠底に向かって漸減的に切欠開口幅が狭くなる形状を有する少なくとも1つの切欠が形成される、球戻り防止装置。
【請求項2】
前記切欠は、2つの直線を前記切欠底で接続して組み合わせたV字形状を有するV字切欠である、請求項1に記載の球戻り防止装置。
【請求項3】
前記球止め片は、前記退避する方向へ傾倒した状態であっても、前記切欠の開口部が常に外部に露出した状態となるように当該切欠が形成される、請求項1または2に記載の球戻り防止装置。
【請求項4】
前記切欠は、前記球止め片の一方主面から他方主面に向かって漸増的に開口幅が拡がるテーパ形状となった切欠面によって当該球止め片に形成される、請求項1乃至3の何れか1つに記載の球戻り防止装置。
【請求項5】
前記球止め片は、弾性板材で構成され、
前記球止め片は、前記上側端部に取り付けられた際に当該上端位置にその一方端が支持されて上向姿勢で取り付けられることによって前記常態において前記発射球通路側へ起立した姿勢となる、請求項1乃至4の何れか1つに記載の球戻り防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−165802(P2012−165802A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27104(P2011−27104)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】