説明

球状シリカ粒子およびその製造方法

【解決手段】平均粒子径が5〜300nmの範囲にあり、比表面積が50〜1500m2
/gの範囲にあり、中空構造を有する中空シリカ微粒子が集合し、結着してなる中空シリカ微粒子集合体からなる平均粒子径1μm〜50μmの球状シリカ粒子。
【効果】本発明に係る球状シリカ粒子は、平均粒子径1〜50μmの中空シリカ粒子でありながら、嵩比重を0.7〜1.0g/mlの範囲にすることができるので、空隙に富み、その形状も球状であり、単分散性が高い。本発明に係る製造方法により、この様な球状シリカ粒子を製造することができる。本発明に係る球状シリカ粒子は、軽量骨材、インク受容層の成分などに好適に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多数の中空シリカ微粒子の集合体からなる球状シリカ粒子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の微粒子が集合してなる粒子は、断熱性、低屈折率、軽量化等の有用な性質を材料に付与することができるので、このような粒子およびその製造方法に関する研究が多数なされている。
【0003】
酸化物微粒子を噴霧乾燥することにより微粒子の集合体を調製する技術は公知であり、例えば、特許文献1(特開昭61−270201号公報)には、平均粒子径250nm以下の一次粒子を含むコロイド液を噴霧乾燥することにより平均粒子径1〜20μmの無機酸化物粒子を調製する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2(特開2002−160907号公報)には、コロイド液を噴霧乾燥して得られた微粒子集合体に更に酸化物層を被覆することにより、平均粒子径が2〜250nmである無機酸化物微粒子が集まった平均粒子径が1〜100μmである無機酸化物微粒子集合体と、これを被覆する酸化物系層とからなる球状多孔質粒子が開示されている。
【0005】
半導体封止材用の熱硬化性樹脂などに充填材として酸化物微粒子を配合することは公知である。例えば、特許文献3(特開2002−37620号公報)には、合着率が0.1%以下の非合着・非凝集性真球状酸化物粒子の集合体であって、平均粒径が0.6〜6μm、粒径の分布幅が0.3〜10μmおよび粒度分布の分散度(CV値)が10%以上であることを特徴とする真球状酸化物粒子集合体に関する発明が記載されており、半導体封止材料として、樹脂に添加されて使用される旨の記載がある。
【0006】
また、特許文献4(特開2001−220496号公報)には、エポキシ樹脂、硬化剤、無機質充填剤を含有するエポキシ樹脂組成物において、無機質充填剤として、比表面積が6〜200m2/g、真比重が2.0〜2.2であり、平均粒径が2〜50μmである多孔質酸化物を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物に関する発明が開示されている。
【0007】
特許文献5(特開2006−335881号公報)には、中空状シリカの1次微粒子の凝集体からなる凝集体粒子が、分散媒体中に分散した中空状シリカを含有する分散液であって、当該凝集体粒子の平均凝集粒子径が60〜400nmの範囲にあり、かつ、当該平均凝集粒子径は、当該シリカの平均1次粒子径の1.5倍以上の範囲にあることを特徴とする中空状シリカを含有する分散液に関する発明が記載されている。
【0008】
このような中空状シリカの1次微粒子の凝集体からなる凝集体粒子は、特に大きな断熱性、軽量化等の効果が期待される。
しかし、特許文献5に記載された中空状シリカを含有する分散液においては、凝集体粒子が分散媒に分散されたものであり、乾燥などの手段にて、凝集体粒子のみを分離した場合、凝集体粒子は凝集し、不定形になる傾向が強く、そのため粒子径も不均一なものとなることが知られていた。
【0009】
このため、軽量骨材、インク受容層の成分等として利用することができ、球状の中空シ
リカ微粒子からなる粒子であって、粒子径分布についても単分散状態にある球状シリカ粒子が求められていた。
【特許文献1】特開昭61−270201号公報
【特許文献2】特開2002−160907号公報
【特許文献3】特開2002−37620号公報
【特許文献4】特開2001−220496号公報
【特許文献5】特開2006−335881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、軽量骨材、インク受容層の成分等として有用であって、球状で、粒子径分布の単分散性が高く、空隙の割合の高い球状シリカ粒子およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するための本発明は、以下の通りである。
[1]平均粒子径が5〜300nmの範囲にあり、比表面積が50〜1500m2/gの範
囲にあり、中空構造を有する中空シリカ微粒子が集合し、結着してなる中空シリカ微粒子集合体からなる平均粒子径1μm〜50μmの球状シリカ粒子。
[2]嵩比重(CBD)が0.7〜1.0g/mlの範囲にあることを特徴とする[1]記載の球状シリカ粒子。
[3]平均粒子径が5〜300nmの範囲にあり、比表面積が50〜1500m2/gの範
囲にあり、中空構造を有する中空シリカ微粒子が集合し、結着してなる中空シリカ微粒子集合体からなる平均粒子径1μm〜50μmの球状シリカ粒子であって、嵩比重(CBD)が0.7〜1.0g/mlの範囲にあり、粒子破壊強度が0.5〜100Kgf/mm2の範囲にあることを特徴とする球状シリカ粒子。
[4]前記中空シリカ微粒子の粒子径分布が単分散状態にあるものであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の球状シリカ粒子。
[5]中空シリカ微粒子分散液を含む噴霧液を気流中に噴霧して中空シリカ微粒子集合体を調製することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の球状シリカ粒子の製造方法。
[6]下記の各工程を含む[5]記載の球状シリカ粒子の製造方法。
(A):中空シリカ微粒子分散液を含む噴霧液を気流中に噴霧して、中空シリカ微粒子集合体を調製する工程
(B): 前記(A)工程で得られた中空シリカ微粒子集合体を温度150〜600℃の範囲で加熱処理する工程
(C1): 前記(B)工程に続いて、該中空シリカ微粒子集合体を水および/または有機溶媒に分散させ、中空シリカ微粒子集合体分散液を調製する工程
(D): 前記(C)工程に続いて、前記中空シリカ微粒子集合体分散液から、球状シリカ粒子を分離し、乾燥した後、大気圧下または減圧下、400〜1200℃で加熱処理する工程
【0012】
[7]前記(C1)工程に続いて、次の(C2)工程もしくは(C3)工程を経てから、または(C2)工程を行った後(C3)工程を経てから、前記(D)工程を行うことを特徴とする[6]記載の球状中空シリカ粒子の製造方法。
(C2): (C1)工程で調製した中空シリカ微粒子集合体の分散液に、次のi)、ii)またはiii)を添加することにより該中空シリカ微粒子集合体を表面処理する工程i)酸またはアルカリ
ii) 酸またはアルカリと、下記一般式で表される有機ケイ素化合物および/またはそ
の部分加水分解物
一般式: RnSi(OR′)4-n
〔但し、RおよびR′は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアリール基、ビニル基またはアクリル基から選ばれる炭化水素基であり、nは0、1、2または3の整数である。〕
iii) 珪酸液およびアルカリ
(C3): 中空シリカ微粒子集合体分散液を50〜350℃で水熱処理する工程
[8]前記(A)工程における前記噴霧液が、さらに珪酸液を含むものであることを特徴とする[6]または[7]記載の球状シリカ粒子の製造方法。
[9]前記(A)工程における前記中空シリカ微粒子分散液の粒子径分布が単分散状態であることを特徴とする[6]〜[8]のいずれかに記載の球状シリカ粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る球状シリカ粒子は、平均粒子径1〜50μmの中空シリカ粒子でありながら、嵩比重を0.7〜1.0g/mlの範囲にすることができるので、空隙に富み、その形状も球状であり、単分散性が高い。本発明に係る製造方法により、この様な球状シリカ粒子を製造することができる。本発明に係る球状シリカ粒子は、軽量骨材、インク受容層の成分などに好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
1.球状シリカ粒子
本発明は、平均粒子径が5〜300nmの範囲にあり、比表面積が50〜1500m2
/gの範囲にあり、中空構造を有する中空シリカ微粒子が集合してなる中空シリカ微粒子集合体からなる平均粒子径1μm〜50μmの球状シリカ粒子に関する。
【0015】
中空シリカ微粒子
[構造、粒子径および比表面積]
本発明における中空シリカ微粒子としては、公知の中空シリカ微粒子を使用することができる。
【0016】
公知の中空シリカ微粒子の例として、例えば、特開平6ー330606号公報または特開平7ー013137号公報に記載されているような、粒子径が0.1〜380μm程度の中空シリカ粒子、特開平11ー029318号公報に記載されているような、外周部が殻、中心部が中空で、殻は外側が緻密で内側ほど粗な濃度傾斜構造をもったコア・シェル構造であるミクロンサイズの球状シリカ粒子、特開平7ー133105号公報に記載されているような、多孔性の無機酸化物微粒子の表面をシリカ等で完全に被覆することにより得られる中空シリカ微粒子、さらに特開2001−233611号公に記載されているようなシリカとシリカ以外の無機酸化物からなる複合酸化物の核粒子にシリカ被覆層を形成し、ついでシリカ以外の無機酸化物を除去し、必要に応じてシリカを被覆することによって得られたナノメーターサイズの中空シリカ系微粒子などを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0017】
前記中空シリカ微粒子については、粒子内部に空孔構造を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、外殻層を有し、内部が多孔質または空洞となっている微粒子を挙げることができる。本発明においては、中空シリカ微粒子は、それぞれが集合し、結着して球状の集合体を構成するものである。この中空シリカ微粒子としては、平均粒子径が5〜300nmの範囲にあり、比表面積が50〜1500m2/gの範囲にあるものが好適に適用される。平均粒子径が5nm未満の場合は、中空シリカ微粒子の調製が容易ではない。平均粒子径が300nmを越えると、中空シリカ微粒子同士の結合力が弱く、中空シリカ微粒子の集合体が得られ難い。また、そのような集合体は得られたとしても球状シリカ粒子の強度が不充分となる。中空シリカ微粒子の更に好ましい平均粒子径は5〜120nmの範囲である。なお、本願において、中空シリカ微粒子の平均粒子径については、動的光散乱法により測定された平均粒子径または画像解析法により測定された平均粒子径を意味する。動的光散乱法による平均粒子径の測定方法については、実施例の[1A]「動的光散乱法による平均粒子径の測定方法」に記した。また、画像解析法による平均粒子径測定方法については、実施例の[5]「粒度分布の測定」にて記載した平均粒子径の測定方法により測定した。
【0018】
中空構造を有し、かつ、前記平均粒子径範囲にある前記中空シリカ微粒子については、その比表面積が、50〜1500m2/gの範囲となる。前記平均粒子径範囲においては
、比表面積が1500m2/gを超える中空シリカ微粒子を調製することは容易ではない
。他方、比表面積が50m2/g未満の場合、前記平均粒子径範囲の中空シリカ微粒子は
、中空構造を有する場合がない。
【0019】
[粒子径分布]
前記中空シリカ微粒子については、その粒子径分布が単分散状態にあるものが好ましい。具体的には、粒子径変動係数(CV値)が50%以下にあるものが好ましい。本発明に係る球状シリカ粒子は、このような粒子径分布の均一性の高い中空シリカ微粒子が集合し、決着してなる中空シリカ微粒子集合体、または中空シリカ微粒子集合体とその表面に形成された外層とからなるものであり、特に粒子径分布が単分散状態にあるため〔半導体用途〕に適用した場合に〔絶縁性または耐熱性〕の効果が優れるものとなる。粒子径変動係数(CV値)が50%を超える場合は、粒子径の均一性が低いためこのような効果は生じ難くなる。なお、中空シリカ微粒子の粒子径変動係数(CV値)については、10%以上50%以下であれば、〔絶縁性または耐熱性〕の効果が充分に得られるため、10%未満であることは必ずしも求められない。
【0020】
中空シリカ微粒子の粒子径分布の単分散性を高める手段としては、均一なSEED[粒子を
用いて、粒子成長を行なう方法が挙げられる。また、中空シリカ微粒子が分散媒に分散してなる中空シリカゾルについて、精密濾過や遠心分離処理を行うことによって、粗大粒子を除去する方法を挙げることができる。
【0021】
[形状]
前記中空シリカ微粒子の形状については、球状が好ましい。ここで球状については、目視により、棒状、勾玉状、細長い形状、数珠状、卵状などの異形粒子であると認められない程度であれば構わないが、より好適には、真球度が0.90〜1.00の範囲にあるものが推奨される。ここで真球度とは、透過型電子顕微鏡により写真撮影して得られる写真投影図における任意の50個の粒子について、それぞれその最大径(DL)と、これと直交する短径(DS)との比(DS/DL)の平均値を意味する。真球度が0.90未満の場合は、微粒子が球状であるとは云えず、前記の異形粒子に該当するものを含む場合が生じる。 本発明に係る球状シリカ粒子は、前記の粒子径の均一性に加えて、真球度が0.90〜1.00の範囲にあることにより、構造的に安定するため球状シリカ粒子の強度の点で好ましいものとなる。なお、真球度が0.90に満たない中空シリカ微粒子については、いわゆる水熱処理を行って、真球度を0.90〜1.00の範囲に調整してから、本発明における中空シリカ微粒子として適用することができる。水熱処理の条件としては、温度100〜200℃にて、1〜24時間の処理を行う方法を挙げることができる。また、水熱処理には、オートクレーブを使用することも推奨される。
【0022】
[組成]
前記中空シリカ微粒子の組成については、シリカを含有するものであれば格別に制限されるものではなく、中空シリカ微粒子の製造原料に起因してシリカ以外の元素または化合物が残存していても構わない。このような残存する元素および化合物の例としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化セリウム、ナトリウム、カリウムなどを挙
げることができる。
【0023】
[製造方法]
本発明における中空シリカ微粒子については、従来公知の製造方法により調製されたもので構わない。公知の製造方法の例としては、特表2000−500113号公報に記載されたような珪酸アルカリ金属水溶液から活性シリカをシリカ以外の材料からなるコア上に沈殿させ、該材料をシリカシェルを破壊させることなく除去することによって、稠密なシリカシェルからなる中空粒子を製造する方法、特開2001−233611号公報に記載されているようなシリカとシリカ以外の無機酸化物からなる複合酸化物の核粒子にシリカ被覆層を形成し、ついでシリカ以外の無機酸化物を除去し、必要に応じてシリカを被覆してなるナノメーターサイズの中空シリカ系微粒子の製造方法などを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0024】
球状シリカ粒子
本発明に係る球状シリカ粒子は、平均粒子径が5〜300nmの範囲にあり、比表面積が50〜1500m2/gの範囲にあり、中空構造を有するシリカ微粒子が集合し、結着
してなる中空シリカ微粒子集合体からなる平均粒子径1μm〜50μmの球状シリカ粒子である。この球状シリカ粒子は、中空シリカ微粒子の集合体であり、その内部に空隙を有するから、球状多孔質シリカ粒子である。この球状シリカ粒子については、その嵩比重(CBD)が0.7〜1.0g/mlの範囲にあることが好ましい。また、前記中空シリカ微粒子の粒子径分布については、単分散状態にあるものが好ましく、更に具体的には、粒子径変動係数(CV値)が10〜50%の範囲にあることが好ましい。
【0025】
[粒子径]
本発明における球状シリカ粒子の平均粒子径については、0.5〜50μmの範囲が好ましい。後で述べる本発明の製造方法によれば、この範囲であれば、球状で均一な球状シリカ粒子を得ることが可能である。平均粒子径が0.5μm未満の球状シリカ粒子については、本発明の製造方法によれば、調製することが容易ではない。平均粒子径が50μmを超える場合は、本発明の製造方法によれば、異形粒子が発生し易くなるため望ましくない。なお、球状シリカ粒子の平均粒子径については、好適には5〜30μmの範囲が推奨される。
【0026】
本発明に係る球状シリカ粒子の平均粒子径については、遠心沈降法により測定されるものであり、具体的な測定方法については、実施例の[1B]「遠心沈降法による平均粒子径の測定方法」に記した。
【0027】
[嵩比重]
前記球状シリカ粒子の嵩比重(CBD)については0.7〜1.0g/mlの範囲が好ましい。ここで嵩比重は、球状シリカ粒子に占める空隙の割合が大きい程、小さい値をとるものであり、0.7〜1.0g/mlの範囲であれば、例えば、軽量骨材としての適用が可能となる。
【0028】
[表面処理]
本発明に係る球状シリカ粒子は、所望により表面処理されていることが望ましい。表面処理により、1)中空シリカ微粒子の外表面に存在する孔部分の封鎖、2)表面の平坦化、3)表面被覆層の生成などが生じるため、球状シリカ粒子を各種媒体に添加した際に、その固有の特性(屈折率、断熱性など)が損なわれ難いなどの利点がある。
【0029】
前記球状集合体に酸またはアルカリを添加して水熱処理することにより表面処理した場合は、球状集合体の成分(シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアまたはタングステン
から選ばれる1種以上)が酸またはアルカリと反応することにより、球状集合体の表面の孔が封鎖され、表面処理の進行度合によっては、被覆層が形成される。この場合、該被覆層の成分については、球状集合体の成分と概ね同じものとなる。
【0030】
中空シリカ微粒子に酸またはアルカリと下記一般式で表される有機ケイ素化合物および/またはその部分加水分解物を添加して、水熱処理することにより表面処理した場合は、シリカ系被覆層が形成される。
【0031】
一般式: RnSi(OR′)4-n
〔但し、RおよびR′は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアリール基、ビニル基またはアクリル基から選ばれる炭化水素基であり、nは0、1、2または3の整数である。〕
また、中空シリカ微粒子に珪酸液およびアルカリを添加して、水熱処理することにより表面処理した場合は、シリカからなる被覆層が形成される。
【0032】
[球状シリカ粒子の組成]
本発明の球状シリカ粒子の組成については、中空シリカ微粒子の組成により定まるものであり、前記の通り、シリカを含有するものでありその他に、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化セリウム、ナトリウム、カリウムなどを含有しても構わない。
【0033】
球状シリカ粒子の製造方法
本発明の球状シリカ粒子の製造方法は、次の各工程を含むことを特徴とする。
(A)中空シリカ微粒子集合体の調製
中空シリカ微粒子分散液を含む噴霧液を気流中に噴霧して中空シリカ微粒子集合体を調製する。該中空シリカ微粒子分散液の溶媒については、水または有機溶媒が使用される。有機溶媒としては、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの1価アルコール、エチレングリコール等の多価アルコール等を用いることができる。
【0034】
前記噴霧液については、前記中空シリカ微粒子分散液の他に、所望により珪酸液を含んでいても良い。噴霧液として、前記中空シリカ微粒子分散液に珪酸液を添加することにより、粒子の強度が増加する効果がある。珪酸液の添加量については、[中空シリカ微粒子の質量]/珪酸液(シリカ換算)で、1.3以上が望ましい。1.3未満では、珪酸液に由来するシリカの割合が過剰になる。
【0035】
前記噴霧液の濃度については、固形分換算で5〜60重量%、特に、10〜50重量%の範囲にあることが好ましい。噴霧液の固形分濃度が5重量%未満の場合は、集合体が得られ難い。噴霧液の濃度が60重量%を越えると、噴霧液が不安定になり球状の集合体が得難くなる。また、後述する噴霧乾燥を連続的に行えず、集合体の収率が低下する。
【0036】
前記噴霧液の噴霧乾燥方法としては、前記した集合体が得られれば特に制限はなく、回転ディスク法、加圧ノズル法、2流体ノズル法など従来公知の方法を採用することができる。特に、特公平2−61406号公報に開示された2流体ノズル方法は、粒子径分布の均一な中空シリカ微粒子集合体を得ることができ、また平均粒子径をコントロールすることが容易であるので好ましい。
【0037】
このときの乾燥温度は、中空シリカ微粒子分散液の濃度、処理速度等によっても異なるが、スプレードライヤーを使用する場合、例えば、スプレードライヤーの入口温度としては100〜300℃、噴霧速度0.5〜3L/分、出口温度40〜100℃などの条件が好ましい。
【0038】
(A)工程で原料として使用する中空シリカ微粒子については、望ましくは、粒子径分布が単分散相にある中空シリカ微粒子が使用される。この場合、中空シリカ微粒子の粒子径分布が単分散状態にある場合は、そのまま(A)工程に適用される。他方、単分散状態にない場合は、遠心分離処理を行って、粗大粒子の除去および粒子径の均一化を図る。遠心分離処理条件については、粒子径分布が単分散相を示すまで行う。粒子変動係数(CV値)が2〜10%の範囲となるように処理を行うことが望ましい。
【0039】
遠心分離処理条件については、前記いずれの場合においても粗大粒子が除去され、粒子径分布における粒子変動係数が2〜10%となるような処理が行われる限り、格別に限定されるものではない。通常は、中空シリカ微粒子分散液の固形分濃度が1〜50質量%で、遠心力が500〜20000Gの範囲が推奨される。
【0040】
(B)中空シリカ微粒子集合体の加熱処理
(A)工程で得られた中空シリカ微粒子集合体を本発明の球状シリカ粒子とすることもできるが、中空シリカ微粒子同士またはゲル成分との結合力を高めるために、150〜600℃の温度範囲で加熱処理することが好ましい。加熱処理温度が150℃未満では結合力の向上効果が認められず、600℃を越えると中空シリカ微粒子集合体が収縮するおそれがあり、最終的に得られる球状シリカ粒子の空隙が小さくなり、好ましくない。
【0041】
(C1)中空シリカ微粒子集合体分散液の調製
(B)工程で得られた中空シリカ微粒子集合体を、室温〜40℃まで放冷または冷却し、水および/または有機溶媒に分散させてその分散液を調製する。有機溶媒としては、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの1価アルコール、エチレングリコール等の多価アルコール等を用いることができる。分散液の濃度は、中空シリカ微粒子集合体を酸化物に換算した濃度で0.1〜40重量%、特に0.5〜20重量%の範囲にあることが好ましい。濃度が0.1重量%未満の場合は、工程(D)において中空シリカ微粒子集合体の内部にも酸化物系成分が析出し、外表面に選択的に析出させることが困難となり、細孔容積の大きな球状シリカ粒子が得られ難くなる。他方、濃度が40重量%を越えると(D)工程において集合体同士が凝集し易くなるので好ましくない。
【0042】
(C2)表面処理
所望により(C1)工程で得られた集合体分散液に次のi)、ii)またはiii)を添加して中空シリカ微粒子集合体の外表面の表面処理を行う。
i) 酸またはアルカリ
ii) 酸またはアルカリと次の一般式で表される有機ケイ素化合物および/またはその部分加水分解物
一般式: RnSi(OR′)4-n
〔但し、RおよびR′は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアリール基、ビニル基またはアクリル基から選ばれる炭化水素基であり、nは0、1、2または3の整数である。〕
iii) 珪酸液およびアルカリ
前記i)の場合の酸またはアルカリについては、通常は酸またはアルカリの水溶液が使用される。酸またはアルカリの種類については格別制限されるものではないが、塩酸水溶液、ホウ酸水溶液、アンモニウム水溶液などを挙げることができる。処理方法としては、粒子集合体を水とアルコ-ル混合溶媒に分散させ、ii)の有機ケイ素化合物を酸
またはアンモニアを逐次添加して加水分解させることで行なわれる。
【0043】
前記ii)の場合の酸またはアルカリについては、i)の場合と同様に定義される。前記一般式で表される有機ケイ素化合物としては、具体的に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチル
ジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシトリプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロルシラン、トリメチルブロモシラン、ジエチルシラン等が挙げられる。
【0044】
なお、有機ケイ素化合物および/またはその部分加水分解物と共に添加される酸またはアルカリは、加水分解のための触媒としても機能するが、所望により加水分解用の触媒を添加しても良い。加水分解触媒として、アルカリ金属の水酸化物や、アンモニア水、アミン等の塩基性のものを用いた場合、加水分解後これらの塩基性触媒を除去して、酸性溶液にして用いることもできる。また、有機酸や無機酸などの酸性触媒を用いて加水分解物を調製した場合、加水分解後、イオン交換等によって酸性触媒を除去することが好ましい。なお、得られた有機ケイ素化合物の加水分解物は、水溶液の形態で使用することが望ましい。ここで水溶液とは加水分解物がゲルとして白濁した状態になく透明性を有している状態を意味する。
【0045】
球状シリカ粒子を有機樹脂に配合して用いる場合には、上記有機珪素化合物でnが1〜3の化合物あるいはフッ素置換アルキル基含有有機珪素化合物を用いることにより、有機溶媒への分散性がよく、有機樹脂との親和性の高い球状シリカ粒子が得られる。
【0046】
なお、有機ケイ素化合物でnが0の化合物はそのまま用いることができるが、nが1〜3の化合物は親水性に乏しいので、予め加水分解しておくことにより、反応系に均一に混合できるようにすることが好ましい。加水分解には、これら有機ケイ素化合物の加水分解法として周知の方法を採用することができる。
【0047】
前記iii)の場合については、珪酸液を用いる場合には、分散液中に珪酸液を所定量添加し、同時にアルカリ(前記i)の場合と同様に定義される。)を加えて珪酸液を集合体粒子の外表面に沈着させる。珪酸液としては、珪酸アルカリ水溶液を陽イオン交換樹脂で処理すること等によって、アルカリを除去して得られる珪酸液を用いることができ、特に、pH2〜pH4、SiO2濃度が約7重量%以下の酸性珪酸液が好ましい。
【0048】
なお、上記機ケイ素化合物および/またはその部分加水分解物あるいは珪酸液と共に、前述した酸化物以外の無機酸化物の前駆体金属塩を添加して酸化物と酸化物以外の無機酸化物とからなる酸化物系層を形成することもできる。酸化物以外の無機酸化物の原料としては、アルカリ可溶の無機化合物を用いることが好ましく、前記した金属または非金属のオキソ酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩を挙げることができる。
【0049】
酸化物系層で被覆した中空シリカ微粒子集合体の分散液は、限外濾過等の公知の洗浄方法により洗浄することができる。この場合、予め分散液中のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンおよびアンモニウムイオン等の一部をイオン交換樹脂などで除去した後に限外濾過してもよい。
【0050】
次いで、上記分散液から粒子を濾過分離し、乾燥して第1の球状シリカ粒子を得ることができる。この球状シリカ粒子の外表面には酸化物系層が形成されているので、水分子等の微小粒子以外は細孔内部に入り込まず、低屈折率となる。即ち、第1の球状シリカ粒子を有機樹脂のような高分子化合物に分散させて用いる場合、高分子化合物が酸化物系層の細孔を通して粒子内部の空隙に入ることがなく、このため空隙が維持されるために低屈折率や断熱効果を有する。
【0051】
(C3)水熱処理
所望により(C1)工程または(C2)工程で得られた中空シリカ微粒子集合体分散液を、50〜350℃の温度範囲で水熱処理することにより、中空シリカ微粒子集合体を被覆している酸化物系層を緻密化することができる。即ち、酸化物系層の細孔を減少あるいは消失させることにより、球状シリカ粒子の内部空隙には、溶媒および/または気体が残留することになる。
【0052】
水熱処理は、該分散液に必要に応じてアルカリ水溶液を添加して好ましくはpH8〜13の範囲に調整し、加熱処理することにより行われる。このときの加熱処理温度は、特に100〜300℃の範囲が好ましい。加熱処理に際しては、分散液の濃度を予め希釈して、あるいは濃縮して処理することもできる。また、この後、前記工程(C2)と同様にして、水熱処理した分散液の洗浄を行ってもよく、最後に、上記水熱処理した分散液から粒子を濾過分離し、乾燥して第2の球状シリカ粒子を得ることができる。この球状シリカ粒子は、酸化物系被覆層が緻密化されているので、低屈折率化や断熱効果が促進される。
【0053】
(D)加熱処理
さらに(C3)工程で得られた中空シリカ微粒子集合体分散液から中空シリカ微粒子集合体を濾過等により分離し、乾燥した後、大気圧下または減圧下、400〜1200℃で加熱処理して、酸化物系層により内部空隙が密封された第3の球状シリカ粒子を得ることができる。加熱処理温度が400℃未満では、酸化物系層の細孔を完全に閉塞して緻密化することができない。一方、加熱処理温度が1200℃を越えると球状シリカ粒子が互いに融着し易く、球状を保持し難い。この第3の球状シリカ粒子は、空隙に溶媒が存在しないために粒子の屈折率は極めて低い。従って、この粒子を用いて得られる被膜は低屈折率であり、被膜付基材は反射防止性能に優れる。また、この粒子を積層した膜は優れた断熱効果を有する。
【0054】
(実施例)
続いて実施例および比較例を述べるが、その前に実施例および比較例における特性についての測定方法について説明する。
【0055】
[1A] 動的光散乱法による平均粒子径の測定方法
合成例1−1、合成例1−2および合成例1−3で調製した中空シリカ微粒子の平均粒子径については、試料酸化物ゾルを0.58%アンモニア水にて希釈して、酸化物濃度1質量%に調整し、下記粒径測定装置を用いて平均粒子径を測定した。
【0056】
〔粒径測定装置〕
レーザーパーティクルアナライザー(大塚電子社製、レーザー粒径解析システム:LP
−510モデルPAR−III、測定原理: 動的光散乱法、測定角度90°、受光素子 光電子倍増管2インチ、測定範囲3nm〜5μm、光源 He-Neレーザー 5mW 632.8nm、温度
調整範囲5〜90℃、温度調整方式ペルチェ素子(冷却)、セラミックヒーター(加熱)、セル
10mm角 プラスチックセル、測定対象:コロイド粒子)
なお、合成例2−1、合成例2−2および合成例2−3で調製した中空シリカ微粒子の平均粒子径については、後記[5]に記載した平均粒子径の測定方法により測定した。
【0057】
[1B] 遠心沈降法による平均粒子径の測定方法
球状シリカ粒子の平均粒子径については、まず、球状シリカ粒子の分散液(水または40質量%グリセリン溶媒、固形分濃度0.1〜5質量%)を超音波発生機(iuch社製、US-2型)にて5分間分散する。更に、水またはグリセリンを加えて適度に濃度を調節した分散液より、ガラスセル(長さ10mm、幅10mm、高さ45cmのサイズ)に当該分散液の一部を取り、遠心沈降式粒度分布測定装置(堀場製作所製:CAPA−700)を用いて平均粒子径を測定した。
また、中空シリカ微粒子の球状集合体の平均粒子径についても同様に測定した。
【0058】
[2] 比重の測定方法
球状シリカ粒子の比重については、まず、試料10gをルツボに採取し、110℃で2時間乾燥させる。次いで、デシケーターにて冷却後、25mlピクノメーターに3〜4g入れ、蒸留水を加えて懸濁し、60mmHgにて1時間真空脱気を行った後に、25℃恒温槽にて温度調整する。ピクノメーターの標線まで蒸留水を加えて容量を調整し、ピクノメーターの容量(25ml)と蒸留水の容量(ml)の差から試料の容量(ml)を算出する。加えた試料の重量(g)と算出された容量(ml)から密度を求めた。
【0059】
[3] 真球度の測定方法
透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、試料酸化物ゾルを倍率25万倍で写真撮影して得られる写真投影図における、任意の50個の粒子について、それぞれの最大径(DL)と、これと直交する短径(DS)との比(DS/DL)を測定し、それらの平均値を真球度とした。
【0060】
[4] 粒度分布の測定
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−5300型)を用いて粒子を撮影(倍率250,000倍)し、この画像の250個の粒子について、画像解析装置(旭化成株式会社製、IP−1000)を用いて、平均粒子径を測定し、粒子径分布に関する変動係数(CV値)を算定した。具体的には、粒子250個について、それぞれの粒子径を測定し、その値から平均粒子径および粒子径の標準偏差を求め、下記式から算定した。
変動係数(CV値)=(粒子径標準偏差(σ)/平均粒子径(Dn))×100
【0061】
[5] pH測定
測定用サンプル約50gをポリエチレン製のサンプル瓶に採取し、これを25℃の恒温槽に30分以上浸漬した後、pH4、7および9の標準液で更正が完了した株式会社堀場製作所製のpHメータF22のガラス電極を挿入して実施した。
【0062】
[6] 粒子の破壊強度測定
粒子の破壊強度については、球状シリカ粒子(粒子径10±1μm)1個の粒子を試料とし、微小圧縮試験機(島津製作所製、MCTM−200)を用いて、試料に一定の負荷速度で荷重を負荷し、粒子が破壊した時点の加重値を圧縮強度(kgf/mm2)とする
。 さらに、この操作を4回繰り返し、5個の試料について圧縮強度を測定し、その平均値を粒子圧縮強度とした。
【0063】
[7]嵩比重の測定方法
JIS K3362記載の「見掛け密度測定器」を水平に置き、漏斗から秤量済みのカッ
プに約120mLの球状シリカ粒子を自然落下させる。カップから盛り上がった試料をすり落とし、カップの重さを計る。嵩比重は〔カップ中の試料の重量(g)〕/〔カップの容量(mL)〕である。
[合成例1]
【0064】
特開2001−233611号実施例2に準じて、以下の方法にて中空シリカ微粒子を調製した。
平均粒径5nm、SiO2 濃度20重量%のシリカゾル100gと純水1900gの混合物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2 として1.17重量%の珪酸ナトリウム水溶液9000gとAl23 として0.83重量%
のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは添加直後、12.5に上昇し、その後、殆ど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20重量%のSiO2 ・Al2 3 核粒子分散液を調製した。(工程(a) )
【0065】
この核粒子分散液500gに純水1,700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、珪酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られた珪酸液(SiO2 濃度3.5重量%)3,000gを添加して第1シリカ被覆層を形成した核粒子の分散液を得た。(工程(b) )
【0066】
限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13重量%になった第1シリカ被覆層を形成した核粒子分散液500gに純水1,125gを加え、さらに濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、第1シリカ被覆層を形成した核粒子の構成成分の一部を除去したSiO2 ・Al2 3 多孔質粒子の分散液を調製した(工程(c))。上記多孔質粒子分散液1500gと、純水500g、エタノール1
,750gおよび28%アンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO2 28重量%)104gを添加し、第1シリカ被覆層を形成した多孔質粒子の表面をエチルシリケートの加水分解重縮合物で被覆して第2シリカ被覆層を形成した。 次いで、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20重量%のシリカ系微粒子の分散液を調製した。得られたシリカ系微粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、平均粒子径が46nmで、外層の厚さが10nmの中空シリカ微粒子であることが分かった。
[合成例2]
【0067】
特開2001−233611号比較例2に準じて、以下の方法にて中空シリカ微粒子をい調製した。
平均粒径5nm、SiO2 濃度20重量%のシリカゾル10gと純水190gとを混合して反応母液を調製し、95℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2 として1.5重量%の珪酸ナトリウム水溶液24,900gと、Al2 3 として0.5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液36,800gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を95℃に保持した。反応液のpHは、珪酸ナトリウムおよびアルミン酸ナトリウムの添加直後、12.5に上昇し、その後、殆ど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20重量%のSiO2 ・Al2 3 核粒子分散液を調製した。次いで、この核粒子分散液500gを採取し、純水1,700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、珪酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られた珪酸液(SiO2 濃度3.5重量%)3,000gを添加して核粒子表面に第1シリカ被覆層を形成した。得られた核粒子分散液を、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13重量%に調整したのち、核粒子分散液500gに純水1,125gを加え、さらに濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行ったのち、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、第1シリカ被覆層を形成した多孔質粒子分散液を調製した。上記第1シリカ被覆層を形成した多孔質粒子分散液1500gと、純水500g、エタノール1,750gおよび28%アンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO2 28重量%)104gを添加し、第1シリカ被覆層を形成した多孔質粒子の表面にエチルシリケートの加水分解重縮合物で第2シリカ被覆層を形成した。次いで、エバポレーターで固形分濃度5重量%まで濃縮した後、濃度15重量%のアンモニア水を加えてpH10とし、オートクレーブで180℃、2時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20重量%のシリカ系微粒子の分散液を調製した。得られたシリカ系微粒子は、平均粒子径が96nmで、外層の厚さが10nmの中空シリカ微粒子であることが分かった。
【実施例1】
【0068】
合成例1と同様な製造方法で得られたシリカ濃度20質量%の中空シリカゾル5Lを遠心分離機(株式会社コクサン製、連続高速遠心機H−660)のローター(型式:QNS、容量:1L)に連続的に注入し、7000Gにて400g/分の速度で通液し、液を連続して回収することにより、粗大粒子の遠心分離処理を行った。粗大粒子はローター内に沈殿した。
【0069】
この中空シリカゾルは、平均粒子径46nm、比表面積121m2/g、真球度0.9
3のシリカ微粒子が水に分散してなる中空シリカゾルであった。なお、この中空シリカゾルの粒子変動係数(CV値)は、30%であり中空シリカ微粒子が単分散しているものであることが分かった。
【0070】
この中空シリカゾルの水希釈品(シリカ濃度12.6%)2000gに陽イオン交換樹脂50g(三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK−1BH)を加えて撹拌し、pHが3.5以下になったところで該陽イオン交換樹脂を分離した。
【0071】
次いで、珪酸液2625g(シリカ濃度4.8質量%)を陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK−1BH)0.2Lに空間速度3.1で通液させることで得
られた固形分4.8重量%の高純度珪酸液2600gを前記中空シリカゾル1980gに加え([シリカゾル中のシリカ質量]/[珪酸液中のシリカ質量]=2に相当)、攪拌してスラリー(固形分濃度8.2質量%)とした。
【0072】
得られたスラリーをスプレードライヤー(NIRO社製、NIRO ATMIZER)に供し、入口温度240℃、出口温度55℃、噴霧速度2リットル/分の条件で噴霧乾燥を実施し、中空シリカ微粒子集合体を得た。
【0073】
得られた中空シリカ微粒子集合体を温度450℃にて、6時間加熱し、平均粒子径10μmの中空シリカ微粒子集合体260gを得た。
得られた中空シリカ微粒子集合体260gを純水1300gに懸濁させ、撹拌することにより中空シリカ微粒子集合体の分散液を調製した。該分散液のpHが10.5になるまで15%アンモニア水溶液を加えて、この分散液をオートクレーブに充填し、オートクレーブに入れて150℃の温度で16時間水熱処理した後、室温まで冷却して抜き出した。
【0074】
得られたスラリーをヌッチェにて脱水し、得られたケーキに60℃の純水を1500g加えて洗浄し、脱水処理を行った。得られた該洗浄ケーキを110℃の温度で18時間乾燥したところ、球状の粉体を240g得た。更にこの粉体を温度800℃で6時間焼成す
ることにより球状シリカ粒子を得た。この球状シリカ粒子の分析結果を表4に記す。また、使用した中空シリカ微粒子の物性値、および球状シリカ粒子の製造条件を表1〜3に記す。
【実施例2】
【0075】
実施例1における珪酸液の使用量を3465g([中空シリカゾル中のシリカ質量]/[珪酸液中のシリカ質量]=1.5に相当)に変更し、スラリーの固形分濃度を7.6質量%とした他は、実施例1と同様の条件にて中空シリカ微粒子集合体を調製した。得られた中空シリカ微粒子集合体の平均粒子径は48μmであった。得られた球状シリカ微粒子集合体について、実施例1と同様な処理を行って球状シリカ粒子を得た。この球状シリカ粒子の分析結果を表4に示す。また、使用した中空シリカ微粒子の物性値、および球状シリカ粒子の製造条件を表1〜3に記す。
【実施例3】
【0076】
実施例1における珪酸液の使用量を1299g([中空シリカゾル中のシリカ質量]/[珪酸液中のシリカ質量]=4に相当)に変更し、スラリーの固形分濃度を9.5質量%とした他は、実施例1と同様の条件にて中空シリカ微粒子集合体を調製した。得られた中空シリカ微粒子集合体について、実施例1と同様な処理を行って球状シリカ粒子を得た。この球状シリカ粒子の分析結果を表4に示す。また、使用した中空シリカ微粒子の物性値、および球状シリカ粒子の製造条件を表1〜3に記す。
【実施例4】
【0077】
合成例1と同様な製造方法で得られたシリカ濃度20質量%の中空シリカゾル5Lを遠心分離機(株式会社コクサン製、連続高速遠心機H−660)のローター(型式:QNS、容量:1L)に連続的に注入し、7000Gにて400g/分の速度で通液し、液を連続して回収することにより、粗大粒子の遠心分離処理を行った。粗大粒子はローター内に沈殿した。
【0078】
このシリカゾルは、平均粒子径46nm、真球度0.93のシリカ微粒子が水に分散してなるシリカゾルであった。なお、このシリカゾルのCV値は、30%であり球状シリカ微粒子が単分散しているものであることが分かった。
【0079】
このシリカゾルの水希釈品(固形分濃度10.0質量%)1600gをスプレードライヤー(NIRO社製、NIRO ATMIZER)に供し、入口温度240℃、出口温度55℃、噴霧速度2リットル/分の条件で噴霧乾燥を実施し、中空シリカ微粒子集合体180gを得た。 得られた中空シリカ微粒子集合体180gを純水720gに懸濁させ、撹拌することにより中空シリカ微粒子集合体の分散液を調製した。 該分散液のpHが10.5になるまで15%アンモニア水溶液を加え、この分散液をオートクレーブに充填し、オートクレーブに入れて150℃の温度で16時間熟成した後、室温まで冷却して抜き出した。得られたスラリーをヌッチェにて脱水し、得られたケーキに60℃の純水を1500g加えて洗浄し、脱水処理を行った。
【0080】
得られた該洗浄ケーキを110℃の温度で18時間乾燥したところ、球状の粉体を160g得た。更にこの粉体を温度800℃で6時間焼成することにより球状シリカ粒子を得た。この球状シリカ粒子の分析結果を表4に示す。また、使用した中空シリカ微粒子の物性値、および球状シリカ粒子の製造条件を表1〜3に記す。
【実施例5】
【0081】
合成例2と同様な製造方法で得られたシリカ濃度20質量%の中空シリカゾル5Lを遠心分離機(株式会社コクサン製、連続高速遠心機H−660)のローター(型式:QNS、
容量:1L)に連続的に注入し、7000Gにて400g/分の速度で通液し、液を連続して回収することにより、粗大粒子の遠心分離処理を行った。粗大粒子はローター内に沈殿した。
【0082】
この中空シリカゾルは、平均粒子径96nm、比表面積58m2/g、真球度0.95
のシリカ微粒子が水に分散してなる中空シリカゾルであった。なお、この中空シリカゾルの粒子変動係数(CV値)は、30%であり中空シリカ微粒子が単分散しているものであることが分かった。
【0083】
この中空シリカゾルの水希釈品(シリカ濃度12.6%)2000gに陽イオン交換樹脂50g(三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK−1BH)を加えて撹拌し、pHが3.5以下になったところで該陽イオン交換樹脂を分離した。
【0084】
次いで、珪酸液2625g(シリカ濃度4.8質量%)を陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK−1BH)0.2Lに空間速度3.1で通液させることで得
られた固形分4.8重量%の高純度珪酸液2600gを前記中空シリカゾル1980gに加え([シリカゾル中のシリカ質量]/[珪酸液中のシリカ質量]=2に相当)、攪拌してスラリー(固形分濃度8.2質量%)とした。
【0085】
得られたスラリーをスプレードライヤー(NIRO社製、NIRO ATMIZER)に供し、入口温度240℃、出口温度55℃、噴霧速度2リットル/分の条件で噴霧乾燥を実施し、球状中空シリカ微粒子集合体260gを得た。
【0086】
得られた中空シリカ微粒子集合体260gを純水1300gに懸濁させ、撹拌することにより中空シリカ微粒子集合体の分散液を調製した。該分散液のpHが10.5になるまで15%アンモニア水溶液を加えて、分散液の温度を35℃に維持しながら、これに有機ケイ素化合物としてテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:エチルシリケート−A、SiO2 濃度28重量%)20gを14分間で添加した。次いで、この分散液をオートクレーブに充填し、オートクレーブに入れて150℃の温度で16時間水熱処理した後、室温まで冷却して抜き出した。
【0087】
得られたスラリーをヌッチェにて脱水し、得られたケーキに60℃の純水を1500g加えて洗浄し、脱水処理を行った。得られた該洗浄ケーキを110℃の温度で18時間乾燥したところ、球状の粉体を240g得た。更にこの粉体を温度800℃で6時間焼成することにより球状シリカ粒子を得た。この球状シリカ粒子の分析結果を表4に示す。また、使用した中空シリカ微粒子の物性値、および球状シリカ粒子の製造条件を表1〜3に記す。
[比較例1]
【0088】
平均粒子径3.4μm、比重1.1の多孔質シリカ微粒子(溶融シリカ)について、粒子の破壊強度を測定した結果等を表4に示す。
[比較例2]
【0089】
平均粒子径8.1μm、比重2.2の非多孔質シリカ微粒子(溶融シリカ)について、粒子の破壊強度を測定した結果等を表4に示す。
[比較例3]
【0090】
特開2002−160907号記載の実施例6に準じて、球状シリカ粒子を調製した。
具体的には、シリカゾル(触媒化成工業(株)製:Cataloid SI-50、平均粒子径25nm、濃度50重量%)800gに、水450gとを混合しシリカゾルを調製
し、温度105℃の乾燥気流中に、二流体ノズルの一方に5kg/hrの流量で、他方のノズルに気体圧力を2kg/hrの流量で供給して噴霧乾燥した。この粉末を500℃で5時間焼成してシリカ微粒子集合体を得た。このシリカ微粒子集合体の平均粒子径と細孔容積を測定し、結果を表1に示した。
【0091】
次いで、純水1300g、エタノール1100gに濃度29重量%のアンモニア水400gを加えた混合溶媒に、シリカ微粒子集合体20gを分散させ、分散液の温度を35℃に維持しながら、これに有機ケイ素化合物としてテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:エチルシリケート−A、SiO2 濃度28重量%)14gを14分間で添加した。次いで、この分散液をオートクレーブに充填し、180℃で10時間水熱処理し、冷却した後、濾過分離し、乾燥(180℃、16時間)し、更に800℃で6時間焼成することにより多孔質シリカ粒子を得た。この多孔質シリカ粒子の分析結果を表4に示す。また、使用したシリカ微粒子の物性値、および球状シリカ粒子の製造条件を表1〜3に記す。[比較例4]
【0092】
特開2002−160907号記載の実施例7に準じて、球状シリカ粒子(G)を調製した。
具体的には、シリカゾル(触媒化成工業(株)製:Cataloid SI-50、平均粒子径25nm、濃度50重量%)400gに、水60gとアエロジル(日本アエロジル(株)製:平均粒子径0. 05μm)133gを添加し、これに水を加えて濃度が20重量%のシリカゾルを調製し、温度105℃の乾燥気流中に、二流体ノズルの一方に5kg/hrの流量で、他方のノズルに気体圧力を2kg/hrの流量で供給して噴霧乾燥した。この粉末を500℃で5時間焼成してシリカ微粒子集合体を得た。このシリカ微粒子集合体の平均粒子径と細孔容積を測定し、結果を表1に示した。
【0093】
次いで、純水1300g、エタノール1100gに濃度29重量%のアンモニア水400gを加えた混合溶媒に、シリカ微粒子集合体20gを分散させ、分散液の温度を35℃に維持しながら、これに有機ケイ素化合物としてテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製:エチルシリケート−A、SiO2 濃度28重量%)14gを14分間で添加した。次いで、この分散液をオートクレーブに充填し、180℃で10時間水熱処理し、冷却した後、濾過分離し、乾燥(180℃、16時間)し、更に800℃で6時間焼成することにより多孔質シリカ粒子を得た。この多孔質シリカ粒子の分析結果を表4に示す。また、使用したシリカ微粒子の物性値、および球状シリカ粒子の製造条件を表1〜3に記す。
【0094】
【表1】

【0095】
【表2】

【0096】
【表3】

【0097】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の球状シリカ粒子は、低比重で良好な粒子破壊強度を示すものであり、この球状シリカ粒子は断熱特性を有することから、断熱材、消音材、防音材等、軽量骨材として、好適である。また、化粧料に用いれば、非常に軽く、ソフトで伸びのよいファンデーションが得られる。
【0099】
このほか、インク用体質顔料、トナー、剥離性改良剤、潤滑剤、自動車用ワックス等の研磨材、樹脂・ゴム耐摩耗性改良用高硬度フィラー剤、流動性改良剤、艶消フィラー、無収縮フィラー、パテ用充填剤、吸着剤、クロマト用担体、香料包括ビーズ、殺菌剤・殺虫剤・防黴剤包括ビーズ、液晶包括ビーズ等の用途も例示することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が5〜300nmの範囲にあり、比表面積が50〜1500m2/gの範囲
にあり、中空構造を有する中空シリカ微粒子が集合し、結着してなる中空シリカ微粒子集合体からなる平均粒子径1μm〜50μmの球状シリカ粒子。
【請求項2】
嵩比重(CBD)が0.7〜1.0g/mlの範囲にあることを特徴とする請求項1記載の球状シリカ粒子。
【請求項3】
平均粒子径が5〜300nmの範囲にあり、比表面積が50〜1500m2/gの範囲
にあり、中空構造を有する中空シリカ微粒子が集合し、結着してなる中空シリカ微粒子集合体からなる平均粒子径1μm〜50μmの球状シリカ粒子であって、嵩比重(CBD)が0.7〜1.0g/mlの範囲にあり、粒子破壊強度が0.5〜100Kgf/mm2
の範囲にあることを特徴とする球状シリカ粒子。
【請求項4】
前記中空シリカ微粒子の粒子径分布が単分散状態にあるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の球状シリカ粒子。
【請求項5】
中空シリカ微粒子分散液を含む噴霧液を気流中に噴霧して中空シリカ微粒子集合体を調製することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の球状シリカ粒子の製造方法。
【請求項6】
下記の各工程を含む請求項5記載の球状シリカ粒子の製造方法。
(A):中空シリカ微粒子分散液を含む噴霧液を気流中に噴霧して、中空シリカ微粒子集合体を調製する工程
(B): 前記(A)工程で得られた中空シリカ微粒子集合体を温度150〜600℃の範囲で加熱処理する工程
(C1): 前記(B)工程に続いて、該中空シリカ微粒子集合体を水および/または有機溶媒に分散させ、中空シリカ微粒子集合体分散液を調製する工程
(D): 前記(C)工程に続いて、前記中空シリカ微粒子集合体分散液から、球状シリカ粒子を分離し、乾燥した後、大気圧下または減圧下、400〜1200℃で加熱処理する工程
【請求項7】
前記(C1)工程に続いて、次の(C2)工程もしくは(C3)工程を経てから、または(C2)工程を行った後(C3)工程を経てから、前記(D)工程を行うことを特徴とする請求項6記載の球状中空シリカ粒子の製造方法。
(C2): (C1)工程で調製した中空シリカ微粒子集合体の分散液に、次のi)、ii)またはiii)を添加することにより該中空シリカ微粒子集合体を表面処理する工程i)酸またはアルカリ
ii) 酸またはアルカリと、下記一般式で表される有機ケイ素化合物および/またはそ
の部分加水分解物
一般式: RnSi(OR′)4-n
〔但し、RおよびR′は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアリール基、ビニル基またはアクリル基から選ばれる炭化水素基であり、nは0、1、2または3の整数である。〕
iii) 珪酸液およびアルカリ
(C3): 中空シリカ微粒子集合体分散液を50〜350℃で水熱処理する工程
【請求項8】
前記(A)工程における前記噴霧液が、さらに珪酸液を含むものであることを特徴とする請求項6または7記載の球状シリカ粒子の製造方法。
【請求項9】
前記(A)工程における前記中空シリカ微粒子分散液の粒子径分布が単分散状態であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の球状シリカ粒子の製造方法。

【公開番号】特開2009−114010(P2009−114010A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287127(P2007−287127)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】