説明

球状物品の整列装置

【課題】楕円ボール形の物品を所定の向きに揃えられる球状物品の整列装置を提供する。
【解決手段】上面に載置面15を有し、楕円ボール形の物品Pを受け入れる入口から、整列した物品Pを受け渡す出口S2へ向って延び、入口から受け入れた物品Pを載置面15に載せながら出口S2へ搬送する搬送ベルト13を設け、搬送ベルト13の両側に、搬送ベルト13の載置面15の近くを、物品Pの長軸方向長より小さな間隔を保ちながら搬送ベルト13に沿って並行に配置され、搬送ベルト13と同じ速度で、搬送ベルトと共に移動する一対の整列ベルト20を設け、整列ベルト20の入口側の各ベルト部分を交互に上下に振動させて、載置面上の物品Pに対し、長軸方向を搬送方向へ向かせる挙動を与えるベルト振動装置25を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楕円ボール形の物品を所定に向きに揃える球状物品の整列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チョコレート商品では、直交する各方向の長さが異なる球状物品、例えば楕円ボール形に形成されたチョコレート粒を包装箱内に入れて販売することが行われている。
こうした商品では、製造した楕円ボール形のチョコレート粒の品質を検査するために、製造された多数の楕円形チョコレート粒の中から、所定形状より外形が小さいチョコレート粒を分離したり、表面が歪んだチョコレート粒を分離したりして、不良品を除くことが行われている。このような検査は人手作業で行っていた。
【0003】
ところが、人手作業は、効率的ではない。そこで、機械化が考えられる。しかし、機械による検査は、外形が小さいチョコレート粒の分離については対応できるものの、表面が歪んだチョコレート粒の分離については、チョコレート粒の表面や裏面を検査することが求められるため、容易には不良品の検査が行えない。特にこの検査は、チョコレート粒を同じ向きに揃えなければ行えないが、チョコレート粒の形状は、特殊な形状、すなわち楕円ボール形をなしているために、安定性に欠け、特定の方向に揃えるのは難しい。そのため、人手に頼っている。
【0004】
ところで、他の物品を取り扱う分野を見ると、特許文献1に示されるような円筒状のキャップの向き揃える技術はある。これは、円筒状のキャップという、片側に平坦な面をもち、その平坦な面側に重心が偏っているという物品の特徴を利用して、円錐台形状の整列器を回転させ、この整列器の一方から円筒状のキャップを入れて回転させ、他方へ搬送する間で、キャップを所定の向きに揃えるというものである。
【特許文献1】特開2007−145595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
楕円ボール形の物品は、重心が中央にあり、略球状をなしているために、円筒状のキャップとは異なり、転がりやすいという不安定な要素があるので、一つの場所に止めておくのが難しい。特に、品質検査は、一定の止まった姿勢が保たれて、始めて、画像検出などにより表面形状の具合が認識されるので、楕円ボール形の物品には、それに即した整列が求められる。
【0006】
ところが、特許文献1のような円錐台の整列器を用いた技術は、転がりやすい不安定な楕円ボール形の物品を考慮しておらず、楕円ボール形の物品を所定の向きに揃えること自体、かなり難しい。
そこで、本発明の目的は、楕円ボール形の物品を所定の向きに揃えられる球状物品の整列装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、上面に載置面を有し、楕円ボール形の物品を受け入れる入口から、整列した物品を受け渡す出口へ向って延び、入口から受け入れた物品を載置面に載せながら出口へ搬送する搬送ベルトを設け、搬送ベルトの両側に、搬送ベルトの載置面の近くを、物品の長軸方向長より小さな間隔を保ちながら搬送ベルトに沿って並行に配置され、搬送ベルトと同じ速度で、搬送ベルトと共に移動する一対の整列ベルトを設け、整列ベルトの各ベルト部分を交互に上下に振動させて、載置面上の物品に対し、長軸方向を搬送方向へ向かせる挙動を与えるベルト振動装置を設けた。
【0008】
同構成により、入口において、どのように楕円ボール形の物品が、搬送ベルトの幅方向に長軸方向が向いて載せられたとしても、該物品は、整列ベルトの振動により、揺り動かされて、長軸方向が搬送ベルトの搬送方向に向く。
請求項2に記載の発明は、更に、楕円ボール形の物品の長軸方向が搬送方向へ向きやすくするために、整列ベルトが振動する搬送ベルトの両側には、整列ベルトの振動により上下方向に傾く物品の長軸方向の下側部分と接触可能な姿勢変更部を互い違いに配設して、上方に向う挙動や転がる挙動を与えて、向きを変更しやすくする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、更に、ぶれずに楕円ボール形の物品を長軸方向に向く姿勢に保つために、搬送ベルトの出口側において、整列ベルトの一方のベルトを遮るように、該一方のベルトと搬送ベルト間にガイドプレートを配設し、他方の整列ベルトとガイドプレート間で、物品の短軸方向を規制するようにした。
請求項4に記載の発明は、更に、楕円ボール形の物品が、載置面上で安定して止まるよう、搬送ベルトの載置面は、搬送方向とは交差する向きの多数の溝部を有するものとした。
【0010】
請求項5に記載の発明は、更に、傷つけを防ぎながら、楕円ボール形の物品に搬送方向に向う挙動を与えるために、整列ベルトには、断面形状が円形のベルト部材を用いた。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、楕円ボール形の物品は、どのような向きで搬送ベルトに載せられても、整列ベルトの振動により、揺り動かされて、長軸方向が搬送ベルトの搬送方向に向くように揃えられる。
それ故、難しいとされる不安定な楕円ボール形の物品を所定の向きに揃えることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、姿勢変更部は、整列ベルトの振動により、上下方向に傾く物品の長軸方向の下側部分と接触して、同物品に上方へ向う挙動や転がる挙動を与えるので、同物品の向きが揃えやすくなる。
請求項3の発明によれば、ガイドプレートにより、物品は、短軸方向が規制されながら搬送されるので、長軸方向に揃えた楕円ボール形の物品が、ぶれずに、定姿勢を保ったまま、出口へ搬送できる。
【0013】
請求項4の発明によれば、載置面で、楕円ボール形の物品を、姿勢変更の動きを妨げることなく安定して止めることができる。
請求項5の発明によれば、傷つけを防ぎながら、楕円ボール形の物品に、向きを揃える挙動を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図1〜図7に示す一実施形態にもとづいて説明する。
図1は、直交する各方向の長さが異なる球状の物品、例えばラグビーボール形状に似た楕円ボール形状の物品、具体的には短軸方向と長軸方向の球面の形状が異なる楕円ボール形のアーモンドチョコレート粒P(以下、単にチョコレート粒Pという)の品質を検査する品質検査装置1の概略的な構成を示している。また図2は、同装置1に組み込まれた整列装置10を説明する斜視図を示し、図3は、同整列装置10の一部平面図を示し、図4は、図2中のA−A線に沿う断面図を示し、図5は、図2中のB−B線に沿う断面図を示し、図6は、チョコレート粒Pの向きが揃えられるときの状況を示し、図7は、図2中のC−C線に沿う断面図を示している。
【0015】
品質検査装置1は、例えば多数のチョコレート粒Pを繰り出す繰出部2の後に続いて、順に、ロープコンベア3で外形が小さいチョコレート粒Pを分離する小粒排除装置4、分離後のチョコレート粒Pの外形をネットコンベア5と該コンベア5の上部並びに裏面の照明下で画像検出するカメラ6とを用いて検査する外形検査装置7、異形な外形のチョコレート粒Pをエアの噴射で排除するエア噴射式排除装置8、排除後のチョコレート粒Pを所定の向きに揃える整列装置10、2組のカメラ30で所定の向きに揃えたチョコレート粒Pの表と裏の面状態を検査する表・裏面検査装置31、歪んだ面をもつチョコレート粒Pをエアの噴射で排除するエア噴射式排除装置33、出口コンベア35を配設して構成される。
【0016】
本発明の要部となるチョコレート粒Pの向きを揃える整列装置10には、図2に示されるような整列装置10のフレーム部品などで構成される上面10aに、多数の小幅のロープコンベアSを並行に配設した構造が用いられる。ロープコンベアSは、いずれも整列装置10の搬送方向である左右方向に沿って延びている。
以下、同ロープコンベアSの構造を説明すると、図1および図2中11は、表・裏面検査装置31の入口側に配置した複数の出口ローラ、12は、これら出口ローラ11と対となる複数の入口ローラである。入口ローラ12は、いずれも外形検査装置7の出口側に配置してある(図1だけ図示)。出口ローラ11および入口ローラ12は、いずれも所定の間隔で、多数、並行に配置してある。
【0017】
図2に示されるように各出口ローラ11と各入口ローラ12間には、それぞれ搬送ベルト、例えば無端状の平ベルトで構成されるタイミングベルト13が掛け渡されている。これにより、図1に示されるように各タイミングベルト13の往側をなす往区間のベルト部分13aは、上面10aに沿って、コンベアSの入口S1となる外形検査装置7の出口から、ロープコンベアSの出口S2となる表・裏面検査装置31の入口までに配置させてある。また復側をなす上面10aから下方へ反転する各タイミングベルト13の復区間のベルト部分13bは、いずれも共通な駆動装置、例えば電動モータで構成されるタイミングベルト送り用駆動装置14(図2に図示)の出力部とつながっていて、同装置14の作動により、それぞれタイミングベルト13が、所定の一定な速度で駆動されるようにしている。なお、図1中、16aは、往区間のベルト部分13aの中間を案内するガイドローラ(図2にも図示)、16bは、復区間のベルト部分13bを案内するガイドローラを示す。
【0018】
図2に示されるように各タイミングベルト13の上面は、載置面15となっていて、タイミングベルト13の周回により、入口S1からの外形検査を終えたチョコレート粒Pを受け取って、出口S2へ搬送できるようにしている。なお、載置面15には、搬送方向とは交差する向きで、多数の小溝部15aが形成してある。
図1および図2に示されるように出口ローラ11を挟んだ両側には、それぞれ出口プーリ17が並行に配置されている。また入口ローラ12を挟んだ両側には、出口プーリ17と対となる入口プーリ18(図1だけ図示)がそれぞれ並行に配置されている。これら出口プーリ17と入口プーリ18間には、それぞれ整列ベルトが掛け渡されている。なお、整列ベルトには、商品が不用意に傷つかないよう、断面形状が円形のベルト部材、例えば丸ベルト20が用いてある。こうしたプーリ掛けにより、タイミングベルト13の両側にそれぞれ一対の丸ベルト20を配置させている。各丸ベルト20の往側をなす往区間のベルト部分20aは、いずれも図4〜図6に示されるように載置面15に載置されたチョコレート粒Pの長軸方向端の下を通るよう、載置面15の近くに配置してある。具体的には、ベルト部分20aは、チョレート粒Pの姿勢が揃えやすいよう、図3〜図6に示されるように載置面15の近くの高さで、チョコレート粒Pの長軸方向長P2(図3に図示)より、やや小さい間隔を保ちながら、タイミングベルト13のベルト部分13aと並行に配置させてある。また往側をなす各丸ベルト20の上面10aから下方へ反転する復区間のベルト20bは、いずれも図2に示されるように共通な駆動装置、例えば電動モータで構成される丸ベルト送り用駆動装置22の出力部とつながっていて、同装置22の作動により、タイミングベルト13の両側の丸ベルト20,20が、タイミングベルト13と同じ速度で駆動されるようにしている。つまり、タイミングベルト13の両側の丸ベルト20,20は、タイミングベルト13と共に、同速度で移動する。なお、図2中、24aは、ガイドローラ16aと一緒に、往区間のベルト部分20aの中間を案内するガイドプーリ、24bは、復区間のベルト部分20bを案内するガイドプーリ(図1に図示)を示す。
【0019】
また往区間には、タイミングベルト13両側の丸ベルト10を交互に振動させるベルト振動装置25が設けられている。ベルト振動装置25には、例えば図1、図2および図5に示されるように入口S1側の各ベルト部分20aを、所定の間隔で配置された複数、例えば3組の偏心プーリ26(図2では2個しか図示せず)で振動させる構造が用いられている。
【0020】
同構造を具体的に説明すると、タイミングベルト13の両側の3組の偏心プーリ26は、それぞれタイミングベルト13を挟んだ一方のプーリと他方のプーリとで位相が異なるように組み付けてある。例えば180度位相するタイミングで配置してある。さらに3組の偏心プーリ26は、搬送方向に対しても、位相が異なるように設けてある。例えば搬送方向で隣り合う偏心プーリ26,26間は、180度位相するタイミングにしてある。これら3組の偏心プーリ26は、図5に示されるように、軸受27を介して、組毎に共通な駆動用シャフト28で偏心回転自在に支持されている。これら3本の駆動用シャフト28は、いずれも図2に示されるように共通な駆動装置、例えば電動モータで構成される丸ベルト振動用駆動装置29の出力部とつながっていて、同装置29の作動により、各偏心プーリ28の偏心運動がもたらす丸ベルト20の押し上げと戻りとの繰り返しにより、ベルト部分13aを挟んだ両側のベルト部分20a、20aを交互に振動させるようにしてある。この丸ベルト20の振動により、載置面15に、長軸方向が搬送方向と違う方向に向いてチョコレート粒Pが載せられると、チョコレート粒Pを交互に端から押し上げるという挙動で、チョコレート粒Pを揺り動かして、該チョコレート粒Pの長軸方向を搬送方向へ向かせるようにしてある。
【0021】
また図2および図3に示されるように振動する丸ベルト20が配置される上面10a部分には、姿勢変更部であるところの複数の小ガイド突起40が配置されている。すなわち、小ガイド突起40は、それぞれガイドプーリ24a〜偏心プーリ28間、偏心プーリ28〜偏心プーリ28間といった部位の各ベルト部分13aの両側の上面10a部分に、互い違いに所定の間隔で2個ずつ配設されている。これら小ガイド突起40は、いずれも図6に示されるように上部に丸ベルト20をガイドする溝状のガイド部41を有し、下部に同ガイド部41から下側へ向うにしたがい下るテーパ面42を有して形成してある。テーパ面42は、チョコレート粒Pが、丸ベルト20の振動によって長軸方向が上下方向に傾くときだけ、その長軸方向の下側部分と接触可能な大きさに設定してある。この傾くチョコレート粒Pを、搬送中、テーパ面42と接触させる構造により、整列中のチョコレート粒Pに、上方へ向う挙動や、転がる挙動を与えて、チョコレート粒Pの長軸方向が搬送方向へ向きやすくしている。
【0022】
また図2、図3および図7に示されるように丸ベルト20の出口側には、タイミングベルト13毎、タイミングベルト13の一側方にガイドプレート45が立設されている。具体的には、ガイドプレート45は、一対の丸ベルト20,20のうちの一方のベルトと、それと隣り合うタイミングベルト13との間にそれぞれ立設してある。ガイドプレート45は、いずれも、出口S1から所定の範囲、例えば出口S1から振動の影響が少ないガイドローラ16aやガイドプーリ24aの付近までの範囲に設けてある。これらガイドプレート45は、いずれも丸ベルト20が通る高さよりも高い寸法をもち、搬送方向へ延びた細長の壁プレートから形成されている。これで、ガイドプレート45は、一対の丸ベルト20,20の一方のベルトを遮るように、往区間のベルト部分13aの片側に設置される。これらガイドプレート45と、ベルト部分13aを挟んで対向する他方の丸ベルト20との間の距離α(図7に図示)は、いずれもチョコレート粒Pの短軸方向の下部分を両側から規制するのに適した寸法に設定されていて、チョコレート粒Pの短軸方向に対する規制から、向き揃えを終えたチョコレート粒Pを、出口S2まで定姿勢を保ちながら導き、出口コンベア35へ受け渡せるようにしている。
【0023】
つぎに、このように構成された整列装置の10の作用を、品質検査装置1の作用と共に説明する。
今、図1に示されるように多数の楕円ボール形のチョコレート粒Pが繰出部2から、小粒排除装置4へ供給されたとする。すると、同小粒排除装置4のロープコンベア3を通過する間に、多数のチョコレート粒Pの中から、通常より小さな外形のチョコレート粒Pn(不良品)が分離される。これにより、通常の大きさのチョコレート粒Pだけが、続く外形検査装置7のネットコンベア5に送られる。
【0024】
このネットコンベア5を通過する間に、ネットコンベア5上のチョコレート粒Pは、ネットコンベア5の上部並びに裏面から行われる照明下で、上面がカメラ6で撮像される。このカメラ6で捕らえた画像により、歪な外形のチョコレート粒Pの検出が行われる。続くエア噴射式排除装置8により、整列装置10の入口S1へ落下する前に、通常の外形形状とは異なるチョコレート粒Pm(不良品)が取り除かれ、通常の正規な外形形状のチョコレート粒Pだけが、整列装置10のロープコンベアSの入口S1に送られる。
【0025】
各ロープコンベアSのタイミングベルト13とその両側の丸ベルト20、20は、同じ速度で移動しているから、ネットコンベア5からのチョコレート粒Pは、図3に示されるように長軸方向がタイミングベルト13の幅方向に向くなど、多くは搬送方向とは異なる姿勢で、タイミングベルト13の載置面15上に横たわる。載置面15には、多数の小溝部15aが形成されているので、チョコレート粒Pは、不安定な球面形状であるが、転がらずに、載置面15の一個所の地点に止まる。このとき、両側の丸ベルト20,20は、載置面15の近くに配置されているため、横たわるチョコレート粒Pの長軸方向端の下側を通る。
【0026】
ここで、両側の丸ベルト20,20うち、複数の偏心プーリ26で支えられる領域は、図5に示されるように3個の偏心プーリ26の回転駆動によって上下方向に振動している。詳しくは、タイミングベルト13の両側のベルト部分20aが、3個の偏心プーリ26の偏心回転によって、交互に、上下に振動させられている。
この丸ベルト20,20の振動により、載置面15上で、搬送方向とは異なる方向に長軸方向が向いて横たわるチョコレート粒Pは、図5に示されるようにチョコレート粒Pの長軸方向の各端部が、交互に、ベルト部分20aの上方への移動で持ち上げられるという挙動により、揺り動かされる。
【0027】
この挙動により、載置面15上のチョコレート粒Pは、次第に長軸方向が搬送方向へ向く。この際、図6に示されるように上下方向に傾くチョコレート粒Pの長軸方向の下側部分は、搬送中、偏心プーリ26間や偏心プーリ16とガイドプーリ24a間に設置されている小ガイド突起40,40のテーパ面42と当接して、上方へ向う挙動や転がる挙動が与えられる。これにより、チョコレート粒Pは、向きの変更がしやすくなり、速やかに長軸方向が搬送方向へ向く。
【0028】
こうした挙動により、楕円ボール形のチョコレート粒Pは、図3中の左側に示されるように、所定の向き、すなわち長軸方向が搬送方向と同じ方向に向く姿勢に揃えられる。
このようにして所定の向きに揃え終わったチョコレート粒Pは、続く、互いに向き合うガイドプレート45と丸ベルト20とが有る出口側の区間を通過する。ここで、ガイドプレート45と丸ベルト20間の距離αは、チョコレート粒Pの短軸方向を規制する寸法に定められているから、チョコレート粒Pは、短軸方向が両側から規制され続けながら、出口S2へ搬送される。これにより、向きを揃えた終えたチョコレート粒Pは、所定の定姿勢を保ちながら、出口S2から搬出される。
【0029】
なお、整列された多数のチョコレート粒Pは、出口S2から出コンベア35へ落下により受け渡される間に、表・裏面検査装置31の2組のカメラ30により、チョコレート粒Pの載置面側の面と、反対側の面とがそれぞれ撮像されて、チョコレート粒Pの表と裏の面状態が検査される。歪んだ面をもつチョコレート粒Po(不良品)があると、エア噴射式排除装置33で排除され、正規の楕円形のチョコレート粒Pだけが選ばれる。
【0030】
このように、所定の向きに揃えるのが難しいとされる楕円形ボール形のチョコレート粒Pは、該チョコレート粒Pの両側を通る丸ベルト20の振動により、どのような向きでタイミング1に載置されても、振動による揺り動かしにより、長軸方向が搬送方向に向くように揃えられる。
したがって、不安定な楕円ボール形のチョコレート粒P(物品)を所定の向きに揃えることができる。これは、機械によってチョコレート粒Pの品質検査を行う上で重要である。しかも、多数の小溝部15aを有する載置面15を採用すると、不安定な楕円ボール形のチョコレート粒P(物品)でも安定して止めておける。そのうえ、丸ベルト20の採用により、チョコレート粒Pに対する傷つけを防ぎながら、チョコレート粒Pの向きが揃えられる。
【0031】
特に、小ガイド突起40を用いて、上下方向に傾くチョコレート粒Pに上方へ向う挙動や転がる挙動を与えるようにすると、所定の向きに揃えやすくできる。
加えて、ガイドプレート45により、出口側の丸ベルト間で、チョコレート粒Pの短軸方向を規制したので、揃え終えた後のチョコレート粒Pは、ぶれずに、定姿勢を保ったまま出口S2へ搬送でき、どのような工程にも対応できる。
【0032】
なお、本発明は上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。例えば一実施形態では、楕円ボール形の物品として、楕円ボール状のチョコレート粒を用いた例を挙げたが、これに限らず、他の楕円ボール形の物品を所定の向きに揃えるようにしてもよい。もちろん、ベルト振動装置も、偏心プーリを用いた以外の構造で構成しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態の球状物品の整列装置を、同装置を組み込んだ品質検査装置と共に示す概略的な正面図。
【図2】同整列装置の構造を示す斜視図。
【図3】同整列装置の一部の平面図。
【図4】図2中のA−A線に沿う側断面図。
【図5】図2中のB−B線に沿う側断面図。
【図6】姿勢変更部の作用を説明する側断面図。
【図7】図2中のC−C線に沿う側断面図。
【符号の説明】
【0034】
10 整列装置
13 タイミングベルト(搬送ベルト)
15 載置面
15a 小溝部(溝部)
20 丸ベルト(整列ベルト)
25 ベルト振動装置
40 小ガイド突起(姿勢変更部)
45 ガイドプレート
P チョコレート粒(楕円ボール形の物品)
S1 入口
S2 出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に載置面を有し、楕円ボール形の物品を受け入れる入口から、整列した物品を受け渡す出口へ向って延び、前記入口から受け入れた前記物品を載置面に載せながら前記出口へ搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの両側に、前記搬送ベルトの載置面の近くを、前記物品の長軸方向長より小さな間隔を保ちながら前記搬送ベルトに沿って並行に配設され、前記搬送ベルトと同じ速度で、前記搬送ベルトと共に移動する一対の整列ベルトと、
前記整列ベルトの各ベルト部分を交互に上下に振動させて、載置面上の物品に対し、長軸方向を搬送方向へ向かせる挙動を与えるベルト振動装置と
を具備したことを特徴とする球状物品の整列装置。
【請求項2】
更に、前記整列ベルトが振動する前記搬送ベルトの両側には、前記整列ベルトの振動により上下方向に傾く物品の長軸方向の下側部分と接触可能な姿勢変更部が互い違いに配設されることを特徴とする請求項1に記載の球状物品の整列装置。
【請求項3】
更に、前記搬送ベルトの出口側には、前記整列ベルトの一方のベルトを遮るように該一方のベルトと前記搬送ベルト間に配設され、他方の整列ベルトとの間で物品の短軸方向を規制するガイドプレートを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の球状物品の整列装置。
【請求項4】
前記搬送ベルトの載置面は、搬送方向とは交差する向きの多数の溝部を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の球状物品の整列装置。
【請求項5】
前記整列ベルトは、断面形状が円形のベルト部材から形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の球状物品の整列装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−23807(P2009−23807A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189985(P2007−189985)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(592118686)ジェイティエンジニアリング株式会社 (15)
【Fターム(参考)】