説明

球送り装置及びこの球送り装置を備えるパチンコ遊技機

【課題】球受け皿から球発射装置への遊技球の送り構成に工夫を凝らし、糸付き遊技球を用いた遊技盤の盤面における不正行為を未然に防止するようにした球送り装置及びこの球送り装置を備えるパチンコ遊技機を提供する。
【解決手段】糸付き遊技球が、案内路部24fにより傾動板26に向け案内されると、傾動板26は、当該糸付き遊技球によりその自重でもって凹所24h内に向け捩りばね26aに抗して傾動した後、当該糸付き遊技球の自重から開放されて、凹所24hから上方へ傾動する。このような過程にては、糸付き遊技球は、傾動板26を介し糸101を付随させながら案内されることになる。一方、長手状挟み込み部材40cが球導入部材24の左側壁部24eの長手状開口部24iを通り案内路部24fに向け進入して、各挟み込み部44を通り案内路部24fの上面に糸を介して対向させることとなる。このため、糸が、各挟み込み部44の間に挟み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球送り装置及びこの球送り装置を備えるパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の球送り装置としては、下記特許文献に記載の球送り装置が提案されている。この球送り装置においては、球送り部材が、その磁性板にて電磁石によりそのオンのもとに吸引されて回動し、球受け皿から導入口を通して送り込まれた球列の先頭球を球受け部に取り込んだ後、電磁石のオフに伴い上記球受け部を下方に回動して、上記先頭球を送出口から球発射レールに送出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−331080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の球送り装置において、糸の先端部を遊技球の外面に固着した糸付き遊技球が、不正遊技者等により、球受け皿から球送り装置内に送り込まれると、当該糸付き遊技球は、球送り部材を介しその球受け部内に取り込まれた後、送出口から球発射レールに送出されて、発射装置により遊技盤の遊技領域に向けて発射される。これに伴い、糸付き遊技球は、その糸とともに遊技盤の盤面に沿い移動していくこととなる。このとき、上記糸の後端部は、球受け皿内にて、不正遊技者等により把持されている。
【0005】
このため、不正遊技者等が、糸の後端部を把持しながら、上述のような糸付き遊技球の遊技盤の盤面に沿う転動状態にて、当該遊技球を不正に操ることで、遊技球を電動チューリップ等へ入賞を画策するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、球受け皿から球発射装置への遊技球の送り構成に工夫を凝らし、糸付き遊技球を用いた遊技盤の盤面における不正行為を未然に防止するようにした球送り装置及びこの球送り装置を備えるパチンコ遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決にあたり、本発明に係る球送り装置は、請求項1の記載によれば、
パチンコ遊技機に設けられて遊技球を貯留する球受け皿(S)と、球発射装置(10)との間に配設されるものである。
【0008】
当該球送り装置において、球受け皿から遊技球を順次導入する球導入口部(24c)と、上記球導入口部から球案内路により案内される遊技球を球発射装置側に送る球送り口部(22f)とを有する筐体(21、22、23、24)と、
当該筐体内に設けられて上記球導入口部により導入された遊技球を案内方向に案内する球案内路(24g)と、
球案内路の案内方向の一部(24h)内に納まったり当該案内方向の一部から突出したりするように設けられる可動部材(26)と、
当該可動部材を突出する方向に付勢するばね手段(26a)と、
筐体内に設けられる回動手段(B、C)及び挟み込み手段(D)とを備える。
【0009】
ここで、回動手段は、
支持軸(29)と、
この支持軸に回動可能に支持される基部と、この基部から球案内路上に沿い上記球導入口部に向けて開口可能に凹部(27a)を形成してなる受承部(27a、27b、27c)とを有する球受け部材(27)とを具備して、
球受け部材が上記受承部を上記凹部にて上記球導入口部に向け開口させる回動位置にあるとき、上記球導入口部により導入される遊技球を上記受承部により上記凹部にて受承し、然る後、球受け部材が上記受承部を上記凹部にて上記球導入口部から回動することで、上記遊技球に後続する遊技球の上記球導入口部による導入を上記受承部により上記凹部の開口端部にて阻止するとともに、上記受承遊技球を球案内路上に放出して球案内路により上記球送り口部から球発射装置側へ送るようになっており、
可動部材は、球案内路による上記受承遊技球の案内過程において当該受承遊技球によりその自重のもとにばね手段に抗して押動されて球案内路の上記案内方向の上記一部内に納まり、上記受承遊技球の自重からの開放に伴いばね手段により上記案内方向の上記一部から突出されるようになっており、
挟み込み手段は、
可動部材に連動して傾動する長手状挟み込み部材(42)を有して、
当該長手状挟み込み部材を、可動部材の上記案内方向の上記一部内への納まりに応じ筐体を通り傾動させて球案内路を塞ぎ、また、長手状挟み込み部材を、可動部材の上記案内方向の上記一部からの突出に応じて筐体を通り傾動させて球案内路を解放するようにしたことを特徴とする。
【0010】
これによれば、球導入口部により導入される遊技球が、回動手段の球受け部材によりその受承部の凹部内に受承された後、球受け部材が、その受承部を回動することで、上記遊技球に後続する遊技球の球導入口部による導入を受承部により凹部の開口端部にて阻止するとともに、上記受承遊技球を球案内路上に放出して当該球案内路により球送り口部から前記球発射装置側へ送る。
【0011】
ここで、傾動部材は、球案内路による上記受承遊技球の案内過程において当該受承遊技球によりその自重のもとにばね手段に抗して押動されて球案内路の案内方向の一部内に納まり、前記受承遊技球の自重からの開放に伴いばね手段により上記案内方向の上記一部から突出される。
【0012】
一方、挟み込み手段の長手状挟み込み部材は、可動部材の上記案内方向の上記一部内への納まりに応じ筐体を通り傾動させて球案内路を塞ぎ、然る後、可動部材の上記案内方向の上記一部からの突出に応じて筐体を通り傾動させて球案内路を解放する。
【0013】
従って、上述のように球導入口部により導入される遊技球が、糸付き遊技球であっても、当該糸付き遊技球は、球案内路により可動部材に向けて案内される。すると、可動部材は、糸付き遊技球によりその自重のもとにばね手段に抗して押動されて球案内路の案内方向の一部内に納まった後、当該糸付き遊技球の自重から開放されて、上記案内方向の上記一部から突出する。
【0014】
このような過程においては、糸付き遊技球は、可動部材を介し糸を付随させながら案内されることになる。一方、長手状挟み込み部材が、可動部材の上記案内方向の上記一部内への納まりに応じ筐体を通り傾動させて糸を介し球案内路を塞ぐ。
【0015】
これに伴い、長手状挟み込み部材が、糸付き遊技球の糸を挟み込むこととなる。従って、このように挟み込まれた糸付き遊技球は、自由に移動できなくなり、球発射装置側へは移動することができなくなったり、また、発射されても遊技領域まで到達することが困難になる。その結果、糸付き遊技球を用いた不正行為が未然に防止され得る。
【0016】
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載の発明において、
挟み込み手段は、可動部材と一体的に回動する一側傘歯車であって、可動部材の球案内路の上記案内方向の上記一部内への納まりに応じて一方向に回動し、可動部材の上記案内方向の上記一部からの突出に応じて他方向へ回動する一側傘歯車(40a)と、この一側傘歯車に噛合するように筐体の一部に回動可能に支持される他側傘歯車であって一側傘歯車の一方向或いは他方向への回動に応じて一方向或いは他方向へ回動する他側傘歯車(40b)とを備えて、
長手状挟み込み部材は、他側傘歯車の一方向或いは他方向への回動に応じて筐体を通り球案内路を塞ぎ或いは解放するように傾動することを特徴とする
このように構成することで、請求項1に記載の発明の作用効果がより一層確実に達成され得る。
【0017】
また、本発明は、請求項3の記載によれば、球受け皿(S)と球発射装置(10)との間に介装してなる球送り装置を備えるパチンコ遊技機において、
前記球送り装置は、請求項1または2に記載の球送り装置(20)であり、
前記球発射装置は、前記球送り装置により前記球送り口部から送られる遊技球を発射するようにしたものである。
【0018】
これにより、請求項1或いは2に記載の発明の作用効果を達成し得る球送り装置を備えたパチンコ遊技機の提供が可能となる。
【0019】
なお、請求項1に記載の発明は、パチンコ遊技機に設けられる遊技球を貯留する球受け皿(S)と、球発射装置(10)との間に配設される球送り装置において、
球受け皿から遊技球を順次導入する球導入口部(24c)と、上記球導入口部により導入された遊技球を案内方向に案内する球案内路(24g)と、上記球導入口部の開口方向から横方向に位置ずれして設けられて球案内路により案内される遊技球を球発射装置側に送る球送り口部(22f)とを有して、
当該球送り口部を、上記球導入口部の開口方向から横方向に位置ずれして設け、また、球案内通路を、上記球導入口部により導入された遊技球を上記球導入口部の上記開口方向から上記横方向に案内する第1案内路部(24d)と、この第1案内路部により案内された遊技球を上記球送り口部に向けて案内する第2案内路部(24f)とにより構成してなる筐体(21、22、24)と、
上記第2案内路部の案内方向の一部に上方から形成された凹所(24h)内にて筐体の上記凹所に対する対応部位及び上記凹所に挿通支持してなる横方向軸(26b)により一体的に支持されて上下方向に傾動可能に上記案内方向に向け延出する傾動板(26)と、
当該傾動板を上方に向けて付勢するばね手段(26a)と、
筐体内に設けられる横方向回動手段(B、C)及び挟み込み手段(D)とを備えて、
横方向回動手段は、
上記球導入口部に対向する位置にて上下方向に延在するように支持される支持軸(29)と、
この支持軸に横方向に回動可能に支持される板状基部と、この板状基部から上記第1案内路部上に沿い上記球導入口部に向けて開口可能に凹部(27a)を形成してなる受承部(27a、27b、27c)とを有する球受け板(27)とを具備して、
球受け板が上記受承部を上記凹部にて上記球導入口部に向け開口させる回動位置にあるとき、上記球導入口部により導入される遊技球を上記受承部により上記凹部にて受承し、然る後、球受け板が上記受承部を上記凹部にて上記球導入口部から上記第1及び第2の案内路部の境界側へ回動することで、上記遊技球に後続する遊技球の上記球導入口部による導入を上記受承部により上記凹部の開口端部にて阻止するとともに、上記受承遊技球を上記第1案内路部上に放出して上記第2案内路部により上記球送り口部から球発射装置側へ送るようになっており、
傾動板は、上記第2案内路部による上記受承遊技球の案内過程において当該受承遊技球によりその自重でもってばね手段に抗して上方から押動されて上記凹所内へ傾動し、上記受承遊技球の自重からの開放に伴いばね手段により上記凹所から上方へ傾動するようになっており、
挟み込み手段は、
上記横方向軸の回動に連動して傾動する長手状挟み込み部材(42)を有して、
当該長手状挟み込み部材がその挟み込み部(44)にて上記第2案内路部にその上面から対向するように、長手状挟み込み部材を、傾動板の上記凹所内への傾動に伴う上記横方向軸の回動に応じ筐体の上記凹所に対する対応部位に形成した挟み込み開口部を通して傾動させ、また、長手状挟み込み部材がその挟み込み部にて上記第2案内路部の上面から離れるように、長手状挟み込み部材を、傾動板の上記凹所から上方への傾動に伴う上記横方向軸の回動に応じて上記挟み込み開口部から脱出する向きに傾動させるようにしたことを特徴とする球送り装置であってもよい。
【0020】
ここで、挟み込み手段は、上記横方向軸に同軸的に支持されて当該横方向軸と一体的に回動する一側傘歯車であって、傾動板の上記凹所内への傾動に伴う上記横方向軸の回動に応じて一方向に回動し、傾動板の上記凹所から上方への傾動に伴う上記横方向軸の回動に応じて他方向へ回動する一側傘歯車(40a)と、この一側傘歯車に噛合するように筐体の一部に回動可能に支持される他側傘歯車であって一側傘歯車の一方向或いは他方向への回動に応じて一方向或いは他方向へ回動する他側傘歯車(40b)とを備えて、
長手状挟み込み部材は、その傾動基部にて他側傘歯車に支持されて、当該他側傘歯車の一方向或いは他方向への回動に応じて筐体の上記挟み込み開口部を通り或いは当該挟み込み開口部から脱出するように傾動するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、糸付き遊技球が、導入口部により導入されて球案内路により案内されても、糸付き遊技球の糸が、球案内路の案内方向の一部内への納まりに応じて傾動する長手状挟み込み部材により挟み込まれる。従って、糸付き遊技球が発射装置側へ送られることがなく、当該糸付き遊技球を用いた不正行為が未然に防止され得る。
【0022】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明が適用されるパチンコ遊技機の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示すパチンコ遊技機において、球送り装置及び球発射装置の組付位置を表した拡大斜視図である。
【図3】図1に示すパチンコ遊技機において、球送り装置と球発射装置との位置関係を示す斜視図である。
【図4】図3において、球送り装置を球発射装置から分解した状態を示す分解斜視図である。
【図5】図3の球送り装置の斜視図である。
【図6】図3の球送り装置の分解斜視図である。
【図7】図3の球送り装置の要部を前側から見た状態で示す斜視図である。
【図8】図7の球送り装置の要部を後側から見た状態で示す斜視図である。
【図9】図7の球送り装置の要部を後側から見た状態で示す斜視図である。
【図10】図7の球送り装置の要部を後側から見た状態で示す拡大図である。
【図11】図10の球送り装置の要部の側面図である。
【図12】図3の球送り装置の要部を後側から見た状態で示す斜視図である。
【図13】図3の球送り装置の動作説明図である。
【図14】図3の球送り装置の動作説明図である。
【図15】図3の球送り装置の動作説明図である。
【図16】図3の球送り装置の動作説明図である。
【図17】図3の球送り装置の動作説明図である。
【図18】(a)及び(b)は、それぞれ、図3の球送り装置の動作を、傾動板及び球挟み込み機構の動作との関係にて示す動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を図面により説明する。
【0025】
図1は、本発明が適用されるパチンコ遊技機の一実施形態を示している。当該パチンコ遊技機は、パチンコホール(図示しない)内の島(図示しない)に立設されるもので、このパチンコ遊技機は、機枠PFと、この機枠PFに対し前後方向に開閉可能に支持してなる遊技機本体BD及び前扉FDとにより構成されている。
【0026】
なお、図1において、図示左側斜め後方及び図示右側斜め前方は、当該パチンコ遊技機の左方及び右方に対応し、図示左側斜め前方及び図示右側斜め後方は、当該パチンコ遊技機の前方及び後方に対応し、図示上下方向は、当該パチンコ遊技機の上下方向に対応する。
【0027】
遊技機本体BDは、機枠PFに前後方向へ回動可能に支持してなる本体枠BFと、この本体枠BFにその前面側から嵌装してなる遊技盤BBとにより構成されている。
【0028】
前扉Dは、図1にて示すごとく、前枠FD1と、窓ガラスFD2と、球受け皿Sとを備えており、前枠FD1は、その左縁部にて、遊技機本体BDの左縁部を介し、機枠PFの左縁部に前後方向に回動可能に支持されている。
【0029】
球受け皿Sは、前枠FD1の下部から前方へ突出するように形成されており、この球受け皿Sには、凹状貯留部S1が、上方に向けて開口するように設けられている。
【0030】
しかして、この球受け皿Sは、遊技機本体BDの本体枠BF(後述する)の上部内に設けた球タンク(図示しない)から、遊技球を、本体枠BF内の球通路(図示しない)を通して順次供給されて、凹状貯留部S1内に貯留する。
【0031】
また、当該球受け皿Sは、その凹状貯留部S1の下流部位である底壁右側部位に左右方向に長手凹状に形成してなる球整列部(図示しない)にて、凹状貯留部S1の右側壁部に形成した開口部(図示しない)から、凹状貯留部S1内の各遊技球を順次球送り装置20に向け導出するようになっている。
【0032】
遊技盤BBには、ガイドレール、多数の遊技釘、大入賞口装置や始動入賞口装置など遊技者に有利な遊技状態を与えるための装置、その他の各種の盤面部品(図示しない)が設けられている。
【0033】
ここで、上記ガイドレールは、内側レール部及び外側レール部を有しており、これら内側レール部及び外側レール部は、遊技盤BBの盤面の外周部に沿い組み付けられて、その内周側において、遊技盤BBの盤面上に遊技領域を形成している。なお、上記内側レール部は、上記外側レール部の内周側に位置している。また、多数の遊技釘は、遊技盤BBの盤面に上記遊技領域内にて分散して打ち込まれている。
【0034】
当該パチンコ遊技機は、図1或いは図2にて示すごとく、ハンドルH、球発射装置10及び球送り装置20を備えている。ハンドルHは、図1にて示すごとく、遊技機本体BDの本体枠BFの右下側隅角部にその前面側から回動操作可能に支持されている。
【0035】
球発射装置10は、遊技盤BBの右下部にその前面側から組み付けられており、この球発射装置10は、ロータリーソレノイド11(図2参照)、ケーシング12、球発射レール13(図3及び図4)や、ケーシング12内に収容してなる長手状の槌(図示しない)などを備えて構成されている。なお、図2では、球発射装置10は、球送り装置20と共に、便宜状、実線により描かれている。
【0036】
ロータリーソレノイド11は、ハンドルHの後述する操作に伴い動作状態におかれて、上記槌を、その後退回動位置から球発射レール13に向け傾動させ、当該槌の槌部を球発射レール13の球発射端部に対向させる。
【0037】
これにより、上記槌は、その槌部にて、球発射レール13の球発射端部に球送り装置20から後述のように送られる遊技球を打って、球発射レール13に沿い発射させる。これに伴い、このように発射された遊技球は、上記ガイドレールの内側レール部及び外側レール部の間に沿い上記遊技領域内に向け案内される。
【0038】
球発射レール13は、その球発射端部にて、ケーシング12内の上記槌の槌部に対向し得るように、遊技盤BBの盤面にケーシング12から上記ガイドレールに向けて左側上方へ傾斜状に配設されている。
【0039】
球送り装置20は、図2或いは図3から分かるように、球受け皿Sと球発射装置10との間において、前枠FD1の右側下部にその後面側から球発射装置10に対向可能に組み付けられている。
【0040】
当該球送り装置20は、図2〜図6のいずれかに示すごとく、ケーシング23を備えており、このケーシング23は、前側ケーシング部材21及び後側ケーシング部材22でもって構成されている。
【0041】
これら前側ケーシング部材21及び後側ケーシング部材22は、それぞれ、球受け皿S側及び球発射装置10側に位置するようにケーシング23を2分割して形成されており、当該前側ケーシング部材21及び後側ケーシング部材22は、互いにその開口部にて係合されて、ケーシング23を構成している。
【0042】
具体的には、前側ケーシング部材21は、その各筒部a〜e(図6参照)を、それぞれ、当該各筒部a〜eに対する後側ケーシング部材22の各対応部位f〜j(図6参照)に前側から当接させることで、前側ケーシング部材21は、その後端開口部にて、後側ケーシング部材22の前端開口部に係合されて、各筒部a〜eを介し各対応のねじ(図示しない)の締着でもって、後側ケーシング部材22に組み付けられている。
【0043】
前側ケーシング部材21は、図6にて示すごとく、その底壁であるL字状前壁の外周縁部から周壁部を後方へ屈曲するように延出させて形成されている。ここで、前側ケーシング部材21のL字状前壁は、上側前壁部及び下側前壁部でもって形成されており、当該下側前壁部は、上記上側前壁部の下縁に沿い左側へ延出されて、当該上側前壁部と共に、上記L字状前壁を構成している。
【0044】
当該前側ケーシング部材21の上記下側前壁部は、図6にて示すごとく、後側ケーシング部材22の逆L字状開口部22a(後述する)に対向するように、逆L字状開口部21aを有しており、この逆L字状開口部21aは、前側ケーシング部材21の上記下側前壁部の左右方向中央部位に形成してなる中央側開口部位と、この中央側開口部位と一体となって上記下側前壁部の左側部位に形成してなる左側開口部位とでもって構成されている。
【0045】
ここで、当該左側開口部位は、上記中央側開口部位の左縁に沿い下側へ延出されて、当該中央側開口部位と共に逆L字状開口部21aを構成するように上記下側前壁部の左側部位に形成されている。
【0046】
後側ケーシング部材22は、図6にて示すごとく、その底壁であるL字状後壁の外周縁部から周壁部を前方へ屈曲するように延出させて形成されている。ここで、後側ケーシング部材22のL字状後壁は、前側ケーシング部材21の上記上側前壁部及び上記下側前壁部にそれぞれ対向する上側後壁部及び下側後壁部でもって形成されており、当該下側後壁部は、上記上側後壁部の下縁に沿い左側へ延出されて、当該上側後壁部と共に、上記L字状後壁を構成している。
【0047】
当該後側ケーシング部材22の上記下側後壁部は、図6にて示すごとく、前側ケーシング部材21の開口部21aに対向するように逆L字状開口部22aを有しており、この逆L字状開口部22aは、後側ケーシング部材22の上記下側後壁部の左右方向中央部位に形成してなる中央側開口部位と、この中央側開口部位と一体となって上記下側後壁部の左側部位に形成してなる左側開口部位22bとでもって構成されている。
【0048】
ここで、当該後側ケーシング部材22の左側開口部位22bは、前側ケーシング部材21の開口部21aの左側開口部位に対向するように当該後側ケーシング部材22の上記中央側開口部位の左縁に沿い下側へ延出され、かつ、当該中央側開口部位と共に逆L字状開口部22aを構成するように当該後側ケーシング部材22の上記下側後壁部の左側部位に形成されている。なお、左側開口部位22bは、その右上側隅角部にて、後側ケーシング部材22の上記中央側開口部位の左下側隅角部と一体となって相互に連通している。
【0049】
本実施形態では、後側ケーシング部材22の開口部22aのうちの左側開口部位22bが、その球導入体A(後述する)の対応部位と共に、球発射レール13の前側にて、当該球発射レール13の球発射端部の直上に位置して、球送り装置20の球送り口部22f(後述する)を構成しており、この球送り口部22fが、遊技球を球発射装置10の球発射レール13の球発射端部側に送る役割を果たす。
【0050】
また、当該球送り装置20は、図6にて示すごとく、球導入体A、横方向回動体B及び電磁駆動体Cを備えており、これら球導入体A、横方向回動体B及び電磁駆動体Cは、ケーシング23内に収容されている。
【0051】
球導入体Aは、図5或いは図6から分かるように、前側ケーシング部材21のL字状開口部21aと後側ケーシング部材22のL字状開口部22aとの間に位置するように、後側ケーシング部材22の後壁の上記下側後壁部にその前側から組み付けられている。
【0052】
当該球導入体Aは、図6にて示すごとく、球導入部材24を備えている。この導入部材24は、球導入壁部24a及び環状壁部24bを有しており、球導入壁部24aには、球導入口部24cが、球受け皿Sからの遊技球を球導入部材24内に導入するように形成されている。
【0053】
環状壁部24bは、球導入壁部24aの外周縁部から後方へ環状に延出するように形成されている。ここで、この環状壁部24bは、その右壁部、上壁部及び下壁部(以下、案内路部24dともいう)にて、球導入壁部24aの右縁部、上縁部及び下縁部からそれぞれ後方へL字状に延出されており、当該環状壁部24bの左壁部は、球導入壁部24aの左縁部を前方に緩やかに凸な湾曲状に後方へ延出させることで形成されている。
【0054】
また、導入部材24は、左側壁部24eと、環状壁部24bの下壁部である案内路部24dと共に球案内路24gを構成する案内路部24fとを有する。ここで、左側壁部24eは、環状壁部24bの左壁部から後方へ延出されている。また、案内路部24fは、左側壁部24eの下縁部から右側へL字状に延出されており、当該案内路部24fは、案内路部24dの左端部から左側壁部24eの下縁部に沿うように後方へ延出されて、さらに、後側ケーシング部材22の逆L字状開口部22aの左側開口部位22bを通り球発射レール13の発射端部側へ延出している。これにより、本実施形態では、案内路部24fの延出端部、左側壁部24e及び左側開口部位22bの右側内縁部22cでもって形成れるU字状開口部が、球送り口部22f(図5参照)を構成する。
【0055】
本実施形態では、後述のごとく、球導入口部24cから導入される遊技球を案内路部24dから案内路部24fにかけてその上面に沿い円滑に案内するため、案内路部24fは、その上面にて、案内路部24dとの境界部位にて、案内路部24dよりも下方へ階段状に低く位置するように当該案内路部24dから延出されている。また、案内路部24fは、その延出方向に沿い順次下方へ傾斜している。なお、導入路24fは、球導入口部24c内に導入される遊技球を、案内路部24dから案内路部24fにかけて後述のように球発射レール13側へ案内する役割を果たす。
【0056】
また、当該球導入体Aは、図6にて示すごとく、球導入部材24と一体的に形成した収容部材25を備えており、この収容部材25は、横方向回動体Bを横方向に回動可能に収容する役割を果たす。当該収容部材25は、底壁部25aを有しており、この底壁部25aは、導入部材24の案内路部24dの後縁下端部から後方へ案内路部24dと平行に延出されている。なお、底壁部25aは、その上面にて、導入部材24の案内路部24fの上面よりも上方へ高く位置するように形成されている。
【0057】
また、当該収容部材25は、図6にて示すごとく、両L字状壁部25b、25cを有しており、L字状壁部25bは、底壁部25aの右端部から上方及び左方へL字状に延出されている。L字状壁部25cは、底壁部25aの左端部から下方及び左方へL字状に延出されており、当該L字状壁部25cは、その延出端部にて、案内路部24fの左縁下部と一体となっている(図12参照)。
【0058】
ここで、上述した後側ケーシング部材22における左側開口部位22bの右側内縁部22cを形成する突出壁部22e(図6参照)が、L字状壁部25cの下方への延出壁部と導入部材24の案内路部24fとの間にて、L字状壁部25cの左方への延出壁部上に沿い介装されている。これにより、突出壁部22eが、導入部材24の左側壁部24eの右側面及び案内路部24fの上面に沿い案内される遊技球を案内路部24fの上面から右側へ外れないように円滑に球送り口部22fに向けて案内する役割を兼ねている。
【0059】
本実施形態では、突出壁部22eは、後側ケーシング部材22のL字状開口部22aにおいてその上記中央側開口部位の下側内縁部22dの左端部(図6参照)と左側開口部位22bの右端部との間において、後側ケーシング部材22の上記下側後壁部から前方へ突出形成されており、当該突出壁部22eは、その上面にて、収容部材25の底壁部25aの上面と同一平面状に位置して、球受け板27(後述する)の左方への回動の邪魔にならないように形成されている。
【0060】
また、当該球導入体Aは、図6にて示すごとく、矩形板状傾動板26を備えており、この傾動板26は、案内路部24fの球案内方向中間部位に形成してなる凹所24h(図6参照)内にて、コイル状捩りばね26aを介し次のようにして上下方向に傾動可能に支持されて、後方に向け延出している。なお、凹所24hは、案内路部24fの球案内方向中間部位にその上面から下方に向けコ字状に形成されている。
【0061】
当該傾動板26は、左右両側円筒部26b(図6参照)を有しており、当該左右両側円筒部26bは、互いに左右に同軸的に対向するように、傾動板26の基端部のうちその左右両側部位に下方へ突出して形成されている。
【0062】
また、ピン26bは、その基端部にて、左側壁部24eのうち凹所24h内空所前部に対する対応部位に形成した貫通孔部に回動可能に挿通され、かつ、凹所24h内空所前部内に位置する傾動板26の左側円筒部26b、コイル状捩りばね26aのコイル部及び傾動板26の右側円筒部26bに挿通されており、このピン26bの挿通先端部は、ケーシング部材22におけるその左側開口部位22bの右側内縁部(以下、右側内縁部22cともいう)に回動可能に支持されている。ここで、傾動板26の左右両側円筒部26bは、ピン26bの基端部に相対回動不能に支持されている。このことは、ピン26bが、傾動板26と一体となって、当該傾動板26の傾動方向に回動することを意味する。
【0063】
また、コイル状捩りばね26aは、上述のごとく凹所24h内にてピン26bの基端部に同軸的に嵌装されており、当該コイル状捩りばね26aは、その両端部にて、凹所24hの底面部及び傾動板26の下面部に係止している。これにより、傾動板26は、ピン26bを軸として、上方に向け傾動するように、コイル状捩りばね26aにより付勢されている。
【0064】
しかして、傾動板26は、コイル状捩りばね26aに抗して凹所24hの底面部に向けて、ピン26bの軸周りに傾動することで、凹所24h内に収容されるようになっている。また、当該傾動板26は、コイル状捩りばね26aの付勢力により、ピン26bの軸周りに上方へ傾動することで、凹所24hから上方へ傾斜状に突出するようになっている。なお、傾動板26が上述のごとく凹所24h内に収容された状態では、当該傾動板26の上面は、案内路部24fの上面と同一面を構成するようになっている。
【0065】
横方向回動体Bは、図6にて示すごとく、球受け板27を有しており、この球受け板27は、円筒状ボス28にて、支持軸29を介し、横方向に回動可能となるように、後側ケーシング部材22のL字状開口部22aのうちの上記中央側開口部位の下側内縁部22dの左端部(図6参照)に支持されている。支持軸29は、その基端部にて、L字状開口部22aのうちの上記中央側開口部位の下側内縁部22dに上方から支持されており、当該支持軸29は、その基端部から上方へ延出している。
【0066】
ここで、円筒状ボス28は、球受け板27の基端部から下方へ円筒状に延出されている。これに伴い、当該球受け板27は、その下面にて、支持軸29により、円筒状ボス28を介し、球導入部材24の案内路部24dの上面に平行となるように維持されている。なお、球受け板27は、その基端部から球導入部材24の環状部24b内に延出している。
【0067】
当該球受け板27は、凹部27aを有しており、この凹部27aは、球受け板27の延出端側中間部位を球受け板27の基端部側へ湾曲凹状に切り欠くことで、形成されている。これに伴い、球受け板27の延出端部には、凹部27aを挟んでその左右両側において、左右両側腕部27b、27cが形成されている。なお、凹部27aは、その内部に遊技球を受承可能に形成されている。このことは、当該凹部27aは、球受け部としての役割を有することを意味する。
【0068】
このように構成した横方向回動体Bにおいては、球受け板27は、凹部27aにて、球導入部材24の球導入口部24cに対向しているとき、当該球受け板27は、球導入口部24cから導入される遊技球を案内路部24d上にて凹部27a内に受承する。また、当該球受け板27は、その左側への回動に伴い、右側腕部27cにて、球導入口部24cに対向して当該球導入口部24cからの後続の遊技球の導入を阻止しつつ、上述のように受承した遊技球を案内路部24f上に放出する。
【0069】
電磁駆動体Cは、ケーシング23内にて前側ケーシング部材21の上記上壁部側に収容されている(図6参照)。当該電磁駆動体Cは、図6にて示すごとく、電磁石30aと、鉄板等の磁性板からなる傾動レバー30bと、圧縮コイルスプリング30cとにより構成されており、電磁石30aは、その前壁にて、前側ケーシング部材21の上記上壁部に組み付けられている。
【0070】
ここで、当該電磁石30aは、ソレノイドを棒状鉄心に同軸的に巻装してなるもので、この電磁石30aは、その棒状鉄心の軸にて、左右方向に沿うように前側ケーシング部材21の上記上壁部に組み付けられている。これに伴い、当該電磁石30aは、その棒状鉄心の左側端部(吸引端部)にて、左方を臨んでいる。
【0071】
このように構成した電磁石30aにおいては、そのソレノイドが、制御回路30d(図7参照)からの電圧の印加により励磁されたとき、上記棒状鉄心が、その吸引端部にて、吸引力を発生する。また、この吸引力は、上記ソレノイドが、制御回路30dからの電圧の印加の停止により消磁されたとき、消滅する。
【0072】
傾動レバー30bは、その基端部にて、電磁石30aの上壁右端部に左右方向に傾動可能に支持されており、当該傾動レバー30bは、その基端部から下方に向けて長手状に延出している。
【0073】
しかして、当該傾動レバー30bは、その長手方向中間部位にて、電磁石30aのソレノイドの励磁に伴い、上記棒状鉄心の吸引端部により吸引される。また、この吸引は、電磁石30aのソレノイドの消磁により、停止される。
【0074】
本実施形態において、当該傾動レバー30bは、係止端部31を有しており、この係止端部31は、傾動レバー30bの延出端部の幅方向両側部を切除することで形成されている。しかして、この傾動レバー30bは、その係止端部31にて、球受け板27の上面に形成した左右両側円弧状係止片27dの間に介装されている。ここで、当該左右両側係止片27dは、球受け板27の上面にその左右方向に互いに所定間隔(係止端部31の板厚よりも幾分広い間隔)をおいて突設されている。なお、当該左右両側係止片27dは、その各円弧面の頂部を対向させるように突設されている。
【0075】
圧縮コイルスプリング30cは、その両端部にて、傾動レバー30bの基端部に形成した突起32と電磁石30aの上壁に形成した突起33との間に張設されている。なお、突起32は、傾動レバー30bの基端部をその幅方向中間部位にて突起32に相当する部位を残すように切り欠くことで形成されている。また、突起33は、電磁石30aの上壁の中間部位を切り起こすことで形成されている。
【0076】
これによれば、傾動レバー30bは、その基端部にて、電磁石30aの吸引力の消滅のもとに、圧縮コイルスプリング30cにより右方へ引っ張られて、係止端部31にて、左側斜め下方に向け延出するように傾動する。このことは、横方向回動体Bの球受け板27が、支持軸29の軸周りに左方へ回動して、右側腕部27cを球導入口部24cに対向させることを意味する。
【0077】
また、当該傾動レバー30bは、電磁石30aによりその吸引力にて吸引されて、圧縮コイルスプリング30cに抗して傾動する。このことは、横方向回動体Bの球受け板27が、支持軸29の軸周りに左方へ回動して、凹部27aを球導入口部24cに対向させることを意味する。
【0078】
また、当該球送り装置20は、図6にて示すごとく、挟み込み機構Dを備えており、この挟み込み機構Dは、球導入部材24の左側にて、ケーシング23内に収容されており、当該挟み込み機構Dは、両傘歯車40a、40b及び長手状挟み込み部材40cを具備している。
【0079】
傘歯車40aは、その歯部を、図6、図7、図9、図10或いは図11にて示すごとく、球導入部材24の左側壁部24eにその左側から対向させて、ピン26bの延出端部に同軸的にかつ相対回動不能にスプライン結合により支持されている。このことは、当該傘歯車40aは、その歯部を左側壁部24eに向けながら、ピン26bとともに一体的に回動することを意味する。なお、当該傘歯車40aは、各ストップリング26cによりピン26bの延出端部に抜け止めされている。
【0080】
傘歯車40bは、傘歯車40aと噛合するように、支持軸41を介し前側ケーシング部材21の前壁のうち左下側隅角部に回動可能に支持されている。ここで、支持軸41は、その基端部にて、前側ケーシング部材21の前壁のうち左下側隅角部に固着されており、当該支持軸41は、その基端部から後方へ延出している。
【0081】
しかして、傘歯車40bは、支持軸41の延出端部に回動可能にかつ同軸的に支持されており、当該傘歯車40bは、その歯部にて、傘歯車40aの歯部に噛合している。換言すれば、傘歯車40bは、その軸にて、傘歯車40aの軸に対し直交するように位置して、当該傘歯車40aに噛合している。なお、傘歯車40bは、ストップリング41bにより支持軸41の延出端部に抜け止めされている。
【0082】
長手状挟み込み部材40cは、図6、図7、図10及び図11のいずれかにて示すごとく、後述のように傘歯車40bにその前側から相対移動不能に支持されており、この長手状挟み込み部材40cは、傘歯車40bの一方向への回動に連動して同一方向へ傾動して、長手状先端側傾動部43(後述する)及び複数の挟み込み部44(後述する)にて、球導入部材24の左側壁部24eに形成してなる長手状開口部24i(図6、図11或いは図12参照)を通り案内路部24fに向け進入し、また、傘歯車40bの他方向への回動に連動して同一方向へ傾動して、長手状開口部24iから脱出するようになっている。
【0083】
但し、長手状開口部24iは、図7にて例示するごとく、球導入部材24の左側壁部24eにその前下側隅角部から斜め上側後方へ所定の傾斜角度にて長手状に延在するように形成されている。
【0084】
当該長手状挟み込み部材40cは、長手状基端側傾動部42、長手状先端側傾動部43及び複数の挟み込み部44からなるもので、長手状基端側傾動部42は、その基端部に突設した凸部42a(図6参照)にて、ねじ42bにより、傘歯車40bの後端部に相対回動不能に締着されている。この締着は、ねじ42bを、凸部42aに前後方向に形成した貫通孔部にその前方から挿通して傘歯車40bの後端部に形成した雌ねじ孔部に螺着することで、なされている。なお、凸部42aは、支持軸41の直下にて長手状基端側傾動部42の基端部にその右側へ突出するように形成されている。
【0085】
従って、長手状基端側傾動部42は、その基端部にて、支持軸41の左側に位置するように凸部42aを介し傘歯車40bの後端部に支持されており、当該長手状基端側傾動部42は、その基端部から支持軸41の軸に対し上記所定の傾斜角度をなすように上側後方へ傾斜状に延出している。
【0086】
長手状先端側傾動部43は、長手状基端側傾動部42の延出端部から当該長手状基端側傾動部42に対し所定の鈍角をなすように左側へ屈曲して延出されている。本実施形態では、上記所定の鈍角は、案内路部24fの延出方向への傾斜度合いにあわせて、長手状先端側傾動部43を、長手状基端側傾動部42の延出方向に対し下方に向け屈曲させるように設定されている。このことは、長手状挟み込み部材40cが、上述のごとく、長手状先端側傾動部43にて、長手状開口部24iを通り案内路部24fに向け進入したとき、長手状先端側傾動部43と案内路部24fとの各対向面の間隔は均一になることを意味する。
【0087】
複数の挟み込み部44は、本実施形態では、3つの挟み込み部44かなるもので、当該3つの挟み込み部44は、図6にて示すごとく、長手状先端側傾動部43の傾動方向端面(長手状開口部24i側の端面)にその長手方向に沿い順次隣接して突設されている。3つの挟み込み部44は、それぞれ、円柱台の外周部の一部位を当該円柱台の半径に直交するように切除して形成されており、各挟み込み部44は、その切除端面にて、長手状先端側傾動部43の傾動方向端面に固着されて長手状開口部24i側へ突設されている。
【0088】
ここで、3つの各挟み込み部44のうち互いに隣接する各両挟み込み部44は、その外周面の各対向最接近部位の間に対し、糸を挟み込む程度の狭隙を付与されている。
【0089】
以上のように構成した本実施形態において、当該パチンコ遊技機が、遊技者による遊技可能状態にあるものとする。このような状態において、遊技者がハンドルHを操作していなければ、球発射装置10は、そのロータリーソレノイド11(図2参照)にて消磁のもとに、停止状態にある。
【0090】
また、球送り装置20において、球導入体Aの傾動板26は、コイル状捩りばね26aの捩り力を受けて、ピン26bを基準として、案内路部24fの凹所24hの開口面から上方へ突出して上方傾動端に位置している(図図13〜図15のいずれか参照)。
【0091】
これに伴い、挟み込み機構Dでは、長手状挟み込み部材40cが、傾動板26の上方傾動端に対応したピン26b及び傘歯車40aの回動位置に応じて、球導入部材24の長手状開口部24iからその左方へ最も離れた傾動端(左方傾動端)に位置している(図6参照)。
【0092】
また、電磁駆動体Cでは、現段階において、電磁石30aは、そのソレノイドの消磁のもとに、吸引力を発生していないため、傾動レバー30bは、圧縮コイルスプリング30cの引っ張り力を受けて、左方傾動端に位置する。
【0093】
これに伴い、横方向回動体Bにおいては、球受け板27が、左側円弧状係止片27dにて、左方傾動端に位置する傾動レバー30bの係止端部31により左側へ押動されて、円筒状ボス28を軸として、図6にて図示時計方向へ回動している。
【0094】
従って、球受け板27の凹所27が導入部材24の球導入口部24cから左側に外れて、当該球受け板27の右側腕部27cが、導入部材24の球導入壁部24aの球導入口部24cに対向して位置する。このため、球導入口部24cからの遊技球の導入が阻止されている(図14参照)。なお、図14にて示す遊技球は、現段階では、存在しないものとする。
【0095】
このような状態において、ハンドルHが遊技者により回動操作されると、球発射装置10が、そのロータリーソレノイド11にて、槌駆動回路(図示しない)により駆動されて、ハンドルHの回動操作角度に応じて、上記槌を発射レール13の球発射端部に向けて回動させる。
【0096】
現段階において、遊技球が、先行遊技球として、既に球発射レール13の球発射端部上に位置していれば、当該先行遊技球は、上記槌の上記槌部によって打たれて球発射レール13に沿い上記ガイドレールに向けて発射される。このように発射された先行遊技球は上記ガイドレールの内側レール部及び外側レール部の間を通り上記遊技領域内に案内される。これに伴い、当該先行遊技球は、遊技盤BBの盤面に沿い各種の盤面部品のいずれかに向け或いはこの盤面部品からそれて転動していく。
【0097】
然る後、上記先行遊技球に後続する遊技球が、後続遊技球として、球受け皿Sから球送り装置20の球導入口部24cに向けて導出される。このような段階にて電磁駆動体Cの電磁石30aが、そのソレノイドにて、制御回路30dから電圧を印加されると、電磁石30aは、そのソレノイドの励磁のもとに、傾動レバー30bを圧縮コイルスプリング30cに抗して傾動させる。これに伴い、傾動レバー30bは、左側傾動端から右方へ傾動し、その係止端部31にて、係止片27dを介して、横方向回動体Bの球受け板27を、支持軸29の軸周りに右側へ回動させて、凹部27aを球導入口部24cに対向させる。
【0098】
このような段階において、上述の後続遊技球が、球導入口部24cにより導入されると、当該後続遊技球は、球受け板27の凹部27aにより受承される。然る後、電磁石30aのソレノイドが、制御回路30dからの電圧印加停止により消磁されると、球受け板27が、左側へ回動して、右側腕部27cにて、球導入口部24cに対向してその後の遊技球の導入を阻止するとともに、凹部27aにて球導入口部24cから左方へ外れて、上述の受承後続遊技球を案内路部24d上に放出する。これに伴い、当該後続遊技球は、さらに案内路部24fにより案内されて、球送り口部22fから発射レール13の球発射端部側に送られる(図13〜図18参照)。なお、このような段階では、後続遊技球は、糸付き遊技球ではない。
【0099】
このような案内路部24fによる案内過程において、傾動板26は、上記後続遊技球によりその自重でもって捩りばね26aに抗して上方から押動されて凹所24h内へ傾動し、前記受承遊技球の自重からの開放に伴い捩りばね26aにより凹所4hから上方へ傾動する。
【0100】
また、ピン26bが、上述のような傾動板26の凹所24h内への傾動に伴い回動し、この回動に応じた挟み込み機構Dの両傘歯車40a、40bの回動のもとに、長手状挟み込み部材40cが、球導入部材24の左側壁部24eの長手状開口部24iを通り案内路部24fに向け進入する。また、ピン26bは、上述のような傾動板26の凹所24hから上方への傾動に伴い逆回動し、この逆回動に応じた両傘歯車40a、40bの逆回動のもとに、長手状挟み込み部材40cが、球導入部材24の左側壁部24eの長手状開口部24iから脱出する方向に傾動する。
【0101】
ここで、上述の後続遊技球が不正な糸付き遊技球100である場合、この糸付き遊技球100が、上述のように案内路部24fにより傾動板26に向け案内されると、傾動板26は、当該糸付き遊技球100によりその自重でもって凹所24h内に向け捩りばね26aに抗して傾動した後、当該糸付き遊技球100の自重から開放されて、凹所24hから上方へ傾動する。なお、糸付き遊技球100は、遊技球に糸101の一端部を固着してなるもので、当該糸101の他端部は、受け皿S内にて遊技者により把持されているものとする。
【0102】
このような過程においては、糸付き遊技球100は、傾動板26を介し糸101を付随させながら案内されることになる。一方、長手状挟み込み部材40cが球導入部材24の左側壁部24eの長手状開口部24iを通り案内路部24fに向け進入して、各挟み込み部44を通り案内路部24fの上面に糸101を介して対向させることとなる。このため、糸101が、各挟み込み部44の間に挟み込まれる。
【0103】
従って、このように挟み込まれた糸付き遊技球100は、自由に移動できなくなり、球発射装置10の球発射レール13上の発射位置まで移動することができなくなったり、発射位置まで移動して発射されても遊技領域まで到達することが困難になる。その結果、遊技者が、糸付き遊技球100の糸の他端部を用いて不正行為を行おうとしても、当該不正行為が不能となり未然に防止され得る。
【0104】
なお、本発明の実施にあたり、上記実施形態にて述べた球送り装置20において、球案内路24g、即ち、両案内路部24d、24fは、導入部材24の環状壁部24bとは別体に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0105】
B…横方向回動体、C…電磁駆動体、D…挟み込み機構、S…球受け皿、
10…球発射装置、20…球送り装置、21…前側ケーシング部材、
22…後側ケーシング部材、22f…球送り口部、24…球導入部材、
24c…球導入口部、24h…凹所、24d、24f…案内路部、
24g…球案内路、26…傾動板、26a…捩りばね、
29…支持軸、27…球受け板、27a…凹部、27b…左側腕部、
27c…右側腕部、40a、40b…傘歯車、40c…長手状挟み込み部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ遊技機に設けられて遊技球を貯留する球受け皿と、球発射装置との間に配設される球送り装置において、
前記球受け皿から遊技球を順次導入する球導入口部と、前記球導入口部から前記球案内路により案内される遊技球を前記球発射装置側に送る球送り口部とを有する筐体と、
当該筐体内に設けられて前記球導入口部により導入された遊技球を案内方向に案内する球案内路と、
前記球案内路の案内方向の一部内に納まったり当該案内方向の一部から突出したりするように設けられる可動部材と、
当該可動部材を突出する方向に付勢するばね手段と、
前記筐体内に設けられる回動手段及び挟み込み手段とを備えて、
前記回動手段は、
支持軸と、
この支持軸に回動可能に支持される基部と、この基部から前記球案内路上に沿い前記球導入口部に向けて開口可能に凹部を形成してなる受承部とを有する球受け部材とを具備して、
前記球受け部材が前記受承部を前記凹部にて前記球導入口部に向け開口させる回動位置にあるとき、前記球導入口部により導入される遊技球を前記受承部により前記凹部にて受承し、然る後、前記球受け部材が前記受承部を前記凹部にて前記球導入口部から回動することで、前記遊技球に後続する遊技球の前記球導入口部による導入を前記受承部により前記凹部の開口端部にて阻止するとともに、前記受承遊技球を前記球案内路上に放出して前記球案内路により前記球送り口部から前記球発射装置側へ送るようになっており、
前記可動部材は、前記球案内路による前記受承遊技球の案内過程において当該受承遊技球によりその自重のもとに前記ばね手段に抗して押動されて前記球案内路の前記案内方向の前記一部内に納まり、前記受承遊技球の自重からの開放に伴い前記ばね手段により前記案内方向の前記一部から突出されるようになっており、
前記挟み込み手段は、
前記可動部材に連動して傾動する長手状挟み込み部材を有して、
当該長手状挟み込み部材を、前記可動部材の前記案内方向の前記一部内への納まりに応じ前記筐体を通り傾動させて前記球案内路を塞ぎ、また、前記長手状挟み込み部材を、前記可動部材の前記案内方向の前記一部からの突出に応じて前記筐体を通り傾動させて前記球案内路を解放するようにしたことを特徴とする球送り装置。
【請求項2】
前記挟み込み手段は、前記可動部材と一体的に回動する一側傘歯車であって、前記可動部材の前記球案内路の前記案内方向の前記一部内への納まりに応じて一方向に回動し、前記可動部材の前記案内方向の前記一部からの突出に応じて他方向へ回動する一側傘歯車と、この一側傘歯車に噛合するように前記筐体の一部に回動可能に支持される他側傘歯車であって前記一側傘歯車の一方向或いは他方向への回動に応じて一方向或いは他方向へ回動する他側傘歯車とを備えて、
前記長手状挟み込み部材は、前記他側傘歯車の一方向或いは他方向への回動に応じて前記筐体を通り前記球案内路を塞ぎ或いは解放するように傾動することを特徴とする請求項1に記載の球送り装置。
【請求項3】
球受け皿と球発射装置との間に介装してなる球送り装置を備えるパチンコ遊技機において、
前記球送り装置は、請求項1または2に記載の球送り装置であり、
前記球発射装置は、前記球送り装置により前記球送り口部から送られる遊技球を発射するようにしたパチンコ遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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