説明

環境測定装置

【課題】大気環境を短時間で容易に測定する。
【解決手段】大気環境から収集した大気に酸化剤として金属を酸化させるガスを添加する酸化部12と、金属部分を有する測定素子15と、大気と添加された酸化剤とを含む気体を金属部分15cに放出する放出管14と、金属部分15cの腐食状態を測定することで大気環境を測定する測定部18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気環境を測定する環境測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器および電気機器等の機器は、設置される大気環境に含まれる二酸化硫黄ガス(SO2)、硫化水素ガス(H2S)、二酸化窒素ガス(NO2)、塩素ガス(Cl2)等のような腐食性ガスの影響を受けるとその特性が変化する。したがって、機器が設置される大気環境を測定し、大気環境を評価することは、機器の製造業者および機器の利用者にとって重要である。
【0003】
一方、機器が設置される大気環境の腐食性ガス濃度は、一般的には1ppm以下と低濃度であり、汎用されるガス検知器等を利用して簡便に測定することはできない。したがって、従来の腐食性ガス濃度の測定は、「対象とする大気を採取して科学的にガスを分析する方法」や「対象とする大気中に特定の物質を一定期間暴露してその物質変化を調べる方法」が利用されている。
【0004】
従来行なわれていた「対象とする大気を採取する方法」では、機器の設置される環境で採取した大気を実験室等へ持ち帰り、実験室で大気に含有される腐食性ガスを分析している。また、ガスの分析は専門的であるため、専門家が行なっている。したがって、機器の設置場所において、容易かつ短時間で大気環境の測定結果を得ることができない問題があった。
【0005】
また、「特定の物質を大気中に暴露する方法」では、機器の設置される大気環境中に金属板やガスを吸着する薬剤を染み込ませたろ紙を一定期間暴露し、その金属板の重量変化または薬剤へのガスの吸着量を調べている。しかしながら、金属の重量変化や薬剤への吸着の変化が生じるまでには数週間から数ヶ月程度の期間が必要となる。また、この方法でも、測定対象である大気中に暴露した金属やろ紙を実験室等へ持ち帰り、専門家が測定結果を得ている。したがって、機器の設置場所において容易かつ短時間で測定結果を得ることができない問題があった。
【0006】
これに対し、近年では、水晶振動子上に成膜された物質の重量変化を振動数の変化量から求めて環境を評価する技術もある(例えば、特許文献1参照)。また、2種類以上の金属薄膜を1枚の絶縁基板上に形成し、その透過光、反射光および電気抵抗の変化量から環境を評価する技術もある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001-99777号公報
【特許文献2】特開2003-294606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および2で記載されている水晶振動子を用いた方法や絶縁基板を用いた方法では、従来の測定方法で必要としていたように数週間から数ヶ月程の長時間は要していない。この引用文献1および2に記載される方法では、従来必要としていた程の期間は必要としないものの、水晶振動子や絶縁基板に成膜した金属を短時間で変化させることはできず、大気環境の測定結果を短時間(例えば、2〜3時間)で得ることはできない。また、薄膜を形成する複数種類の金属の選定作業や、複雑な構成の装置の製造作業により、高コストであるという問題があった。さらに、水晶振動子を使用した場合にも構成が複雑になり、コストの削減を図ることはできない問題があった。
【0008】
上記課題に鑑み、本発明は、大気環境を短時間で容易に測定することのできる環境測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴に係る環境測定装置は、周囲の大気環境に含まれる腐食性ガスの含有状態を測定する環境測定装置であって、前記大気環境から収集した大気に酸化剤として金属を酸化させるガスを添加する酸化部と、金属部分を有する測定素子と、前記大気と添加された前記酸化剤とを含む気体を前記金属部分に放出する放出管と、前記金属部分の腐食状態を測定することで前記大気環境を測定する測定部とを備えている。
【0010】
また、本発明の他の特徴に係る環境測定装置は、周囲の大気環境に含まれる腐食性ガスの含有状態を測定する環境測定装置であって、前記大気環境から収集した大気に湿度を与える加湿部と、金属部分を有する測定素子と、前記大気に湿度が与えられた気体を前記金属部分に放出する放出管と、前記金属部分の腐食状態を測定することで前記大気環境を測定する測定部とを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、大気環境を短時間で容易に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の最良の実施形態に係る環境測定装置は、大気中に含まれる腐食性ガスの影響を受けると特性が変化して機能が低下する電子機器や電気機器等の機器の付近に設置され、機器に影響を与えるガスの含有状態(含有の有無や含有率)を測定する。
【0013】
図1に示すように、本発明の最良の実施形態に係る環境測定装置1は、導入管11から導入された大気に酸化剤を導入する酸化部12と、大気に湿度を与える加湿部13と、酸化剤が与えられ又は加湿された大気をチャンバー16内の測定素子15に放出する放出管14と、測定素子15の状態変化を測定して大気中に含まれるガスの量を求める測定部18とを備えている。
【0014】
導入管11は、一端が環境を測定する大気中に存在しており、他端が環境測定装置1内に存在している。環境測定装置1では、この導入管11から測定対象となる大気が導入される。
【0015】
酸化部12は、金属の酸化剤となるガスを予め保持しており、導入管11を介して採取された大気に対し、適量のガス(酸化剤)を導入する。ここで酸化剤は、測定素子15の材質によって定められる。例えば、過酸化水素ガス(H22)やオゾンガス(O3)は、多種の金属の腐食反応を加速させるとともに、低コストで収集および保持することができるため、酸化部12が保持する酸化剤に好ましいガスである。
【0016】
加湿部13は、図2に一例を示すように、水が貯えられる水槽13aに気体が通過可能な通過管13bが設置され、導入管11から湿度の低い気体が導入されると通過管13bを通過する気体に湿度を与え、湿度の高い気体として放出管14から放出する。図2(a)は、加湿部13の側面図であり、図2(b)は、加湿部13の水槽13aの上面図である。
【0017】
具体的には、水槽13a内には恒温の水が貯えられており、水槽13aの内部には、図2に示すように、シリコンチューブで構成される通過管13bが複数配置されている。加湿部13に導入された気体は分流して入口13cから通過管13bに導入される。シリコンは、気体の透過性が大きい物質であるため、気体が通過管13bを通過する際、水槽13aに貯えられる水の一部は通過管13bの側面を浸透する。したがって、通過管13bを通過する気体には湿度が与えられる。また、加湿部13は、通過管13bの出口13dから排出された湿度の与えられた気体を、放出管14に供給する。
【0018】
このとき、気体への水蒸気の供給を短時間で行うためには、水槽13aに貯えられる水の水温を上げる方法や、シリコンと気体との接触面積を増加させるために径の小さい多数のマイクロシリコンチューブを通過管13bとして用いる方法が考えられる。また、水槽13aに貯えられる水の水温やシリコンチューブの性質(径や成分)を調整することにより、気体へ供給する水蒸気の量を一定に保つことができる。なお、通過管13bには、シリコンのチューブの他、透過性ポリウレタン樹脂のチューブを利用することもできる。
【0019】
放出管14は、加湿部13から供給された気体を放出して測定素子15に気体を送風する。
【0020】
測定素子15は、一定の気圧に保持されたチャンバー16内の放出管14から放出される気体が当たる位置に載置されている。例えば、チャンバー16内から、ポンプ17によって一定量の気体が排出されると、所定速度で放出管14から気体が放出された気体が測定素子15に送風される。
【0021】
図3で一例を示すように、測定素子15は、ガラス基板等の基板15aの表面15b上に金属15cがコーティングされた構成である。ここで、図3(a)は、測定素子15の上面図であり、図3(b)は、測定素子15の側面図である。
【0022】
測定素子15にコーティングされる金属15cは、測定対象であるガスの種類によって定められる。銅(Cu)は比較的低コストであるとともに、二酸化硫黄ガス、硫化水素ガス、二酸化窒素ガス、塩素ガス、アンモニアガス等の一般的な腐食性ガスとの反応性が高い金属である。したがって、基板15aには、銅をコーティングすることが好ましく、以下では銅をコーティングした場合を例にして説明する。
【0023】
なお、「電子情報技術産業協会」の「IT−1004 産業用情報処理・制御機器設置環境基準」でも上述した二酸化硫黄ガス、硫化水素ガス、二酸化窒素ガス、塩素ガス、アンモニアガスを測定して腐食性のレベルを想定している。また、銅の他には、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Ai)等もコーティングの金属として利用することができる。
【0024】
ここで、環境測定装置1による測定時間は、酸化剤や湿度の有無の他、測定素子15にコーティングされている金属15cの形状、膜厚によって左右される。また、測定素子15に気体が放出される際の流速(気体量)によっても測定時間が左右される。
【0025】
まず、測定時間を左右する金属15cのコーティングの形状について説明する。測定素子15は、例えば、図3(a)に示すように、基板15aの表面15b上にH型に金属15cをコーティングして幅(面積)の狭い部分を反応スポット15dとし、放出管14から放出される気体を反応スポット15dに集中的に当てることで、金属15cの腐食速度を促進させて短時間で測定結果を得ることができる。すなわち、放出管14から気体が放出される金属15cの範囲が広い場合、気体の当たり方が不均一となるとともに金属15cが腐食するまでに時間を要する。一方、狭い範囲の反応スポット15dに集中的に気体を当てれば、気体の当たり方も均一であるとともに金属15cが短時間で腐食する。なお、放出管14から気体が送風される反応スポット15dの幅や長さ、コーティングの形状は限定されず、図3(a)に示すようなH型でなくてもよい。
【0026】
次に、測定時間に影響する金属15cのコーティングの膜厚について説明する。測定素子15の金属15cの膜厚は、薄いと測定対象のガス以外によって金属が酸化し、厚いと酸化に長時間を要するため、適当な膜厚にする必要がある。図4は、横軸を膜厚(μm)、縦軸を測定開始から経過した時間(分)として、膜厚0.1〜0.5μmの銅の電気抵抗の変化量が400mΩに達するまでの経過時間を表わすグラフである。なお、図4に示す測定結果は、大気中に0.1ppmの二酸化窒素ガスを含み、酸化剤として0.3ppmの過酸化水素ガスを添加し、湿度を80%にした場合の一例である。
【0027】
図4に示す例では、測定開始時からの電気抵抗の変化量が400Ωになるまでには、例えば、膜厚が0.3μmのときには240分(4時間)以内であるが、膜厚が0.4μmのときには約360分(6時間)かかり、膜厚が0.5μmのときには約480分(8時間)かかっている。すなわち、膜厚が厚いときには腐食が進む速度が遅いため、電気抵抗の変化にも時間がかかることがわかる。
【0028】
また、図5は、横軸を膜厚(μm)、縦軸を電気抵抗(Ω)として、膜厚0.02〜0.1μmの銅の電気抵抗を表わすグラフである。図5に示す例では、膜厚が薄くなるにつれて、電気抵抗が高くなっている傾向にある。これは、膜厚を薄くしたときには、基板の表面上に均一に金属をコーティングするのが困難となり、基板の表面上で金属が不連続となる部分が生じて電気抵抗が高くなるためである。
【0029】
図4および図5で示したように、測定素子15の金属15cの膜厚は、厚すぎても薄すぎても電気抵抗の変化量を正確かつ短時間で求めるのは困難である。図4および図5に示すグラフから、膜厚は0.05〜0.3μm程度であるのが最適であり、以下では、膜厚0.1μmの銅をコーティングにした測定素子15を例にして説明する。
【0030】
続いて、測定時間に影響する気体の流速(気体の放出量)について説明する。例えば、放出管14から放出される気体の流速が小さいと測定素子15にコーティングされた銅の腐食反応速度は小さくなり、流速が大きすぎる場合にも銅の腐食反応速度は小さくなる。図6は、横軸を電気抵抗の変化量(mΩ)、縦軸を気体の流速(ml/分)として、酸化剤として0.3ppmの過酸化水素ガスを添加したときの、0.1μmの膜厚でコーティングした銅の測定開始前と測定開始から4時間後との電気抵抗の変化量を表わしている。図6によれば、放出管14から放出する気体の流速が1000ml/分を超えると、電気抵抗の変化量が小さくなっており、流速が大きすぎると腐食速度が小さくなることが分かる。したがって、ポンプ17は、放出管14から放出される気体の流速が、銅の腐食反応速度を最短にするように制御するのが望ましく、図6の条件と同一の条件の場合、流速が400〜1000ml/分が適当であり、腐食反応速度を最短に調整することができることが分かる。
【0031】
測定部18は、測定素子15の電気抵抗の変化量に基づいてガスの量を測定する。例えば、測定部18は抵抗測定器であって、測定素子15にコーティングされた金属15cの電気抵抗を測定している。測定部18によって測定される金属15c電気抵抗の変化量により、大気環境に含まれる腐食性ガスの含有状態を測定することができる。すなわち、大気環境で腐食性ガスを含有しているときには短時間で電気抵抗が変化し、大気環境で腐食性ガスを大量に含有しているときには、電気抵抗の変化時間がさらに短縮される。したがって、大気環境中における腐食性ガスの含有率や、含有される腐食性ガスの種類等の詳細なデータを得ることは困難であるが、腐食性ガスの含有状態(含有の有無や含有量の大小)を測定することができる。
【0032】
環境測定装置1は、酸化部12および加湿部13を有し、気体に酸化剤を添加するとともに蒸気を添加しているが、酸化部12または加湿部13のいずれか一方のみを有する構成でもよい。なお、湿度が低いよりも高い場合のほうが腐食反応は加速され、酸化剤は基板の表面15bにコーティングされた金属と反応しやすい状態になるため、より短時間で環境測定を行なうためには、酸化部12および加湿部13の両方を備えることが好ましいことが、図7の測定結果から明らかである。
【0033】
図7は、腐食性ガスとして二酸化硫黄ガス、硫化水素ガス、二酸化窒素ガスまたは塩素ガスを含む大気環境において、0.1μmの膜厚で銅をコーティングした測定素子15を有する環境測定装置1を用いて、測定開始前の銅の電気抵抗と測定開始から4時間後の銅の電気抵抗の変化量が200mΩ以上であるか200mΩ以下であるかをて表わしている。なお、図7の例は、酸化剤として0.6ppmのオゾンを追加し、大気中に腐食性ガスとして0.1ppmの二酸化硫黄ガス、0.01ppmの硫化水素ガス、0.05ppmの二酸化窒素ガス、0.01ppmの塩素ガスが含まれる一例である。
【0034】
図7によれば、例えば、湿度が40%であり、酸化剤を添加していないときには、測定開始前と測定開始から4時間後との電気抵抗の変化量は200mΩ以下である。一方、湿度40%であり、酸化剤を添加したときには、大気環境に含まれる腐食性ガスによって測定開始前と測定開始から4時間後の電気抵抗の変化量が異なっている。すなわち、腐食性ガスが硫化水素ガスの場合には200mΩ以上の電気抵抗の変化量を生じているが、二酸化硫黄ガス、二酸化窒素ガスおよび塩素ガスの場合には200mΩ以上の電気抵抗の変化量は生じていない。
【0035】
また、湿度が80%であり、酸化剤を添加していないときには、測定開始前と測定開始から4時間後との電気抵抗の変化量は200mΩ以下である。一方、湿度が80%であり、酸化剤を添加したときには、測定開始前と測定開始から4時間後との電気抵抗の変化量は200mΩ以上である。
【0036】
なお、図示を用いた説明を省略するが、実験からは、湿度が60%以下の場合には、金属の腐食速度が小さく、長い測定時間が必要であるという結果を得ている。
【0037】
図8は、横軸を測定時間(分)、縦軸を電気抵抗の変化量(mΩ)として、環境測定装置1で硫化水素ガス濃度がそれぞれ0.1ppm、0.05ppm、0.01ppmのときの測定開始から240分間(4時間)後までの測定素子15にコーティングされている銅の電気抵抗の変化量を表わしている。図8は、酸化部12は酸化剤として0.6ppmの過酸化水素ガスを用い、加湿部13は気体の湿度を80%に加湿した状態で電気抵抗の変化量を測定した一例である。図8に示す結果から、約120分(2時間)で電気抵抗の変化が表れているのがわかる。
【0038】
また、図9は、横軸を測定時間(分)、縦軸を電気抵抗の変化量(mΩ)として、環境測定装置1で塩素ガス濃度がそれぞれ0.1ppm、0.05ppm、0.02ppmのときの測定開始から240分間(4時間)後までの測定素子15にコーティングされている銅の電気抵抗の変化量を表わしている。図9は、酸化部12は酸化剤として0.6ppmの過酸化水素ガスを用い、加湿部13は気体の湿度を80%に加湿した状態で電気抵抗の変化量を測定した一例である。図9に示す結果から、約120分(2時間)で電気抵抗の変化が表れているのがわかる。
【0039】
上述した図8および図9によれば、酸化剤や水蒸気(湿度)等を有効に利用すれば、2時間程度の短時間でも環境大気に含まれる腐食性ガスによって金属を腐食させ、電気抵抗として腐食性ガスによる影響を測定することができることが分かる。
【0040】
上述したように、本発明の最良の実施形態に係る環境測定装置によれば、測定対象である大気に対して酸化剤または蒸気を添加して、測定素子の金属の腐食を促進している。したがって、従来の測定方法と比較して、4時間程度と短時間で測定結果を得ることができる。
【0041】
すなわち、機器は定期的なメンテナンスなどを行うことが一般的であるが、これらのメンテナンスには4時間程度の時間を要している。したがって、上述した環境測定装置1を利用すれば、メンテナンスを行う時間内で機器周囲の大気環境を測定することも可能である。メンテナンス時間を利用して上述した環境測定装置を利用した簡単な測定よって大気環境中に腐食性ガスが含まれることが明らかになった後で、必要な場合にのみ詳細な測定を行なうことで、従来のように全ての大気環境で測定時間の長い大掛かりな測定を行えばよく、測定の手間を軽減することができる。
【0042】
〈変形例〉
放出管14は、図10に一例を示すように、隔壁14aを設けることもできる。放出管14に隔壁14aを設けた場合、気体の乱流を防止することとなり測定素子15では基板の表面15bには放出管14から放出される気体が均一に当たるため、基板15aの表面15bにおいて腐食反応を均一にすることができる。このとき、放出する気体の圧損を最小限にするため、隔壁には薄い板を用いるのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の最良の実施形態に係る環境測定装置を表わす図である。
【図2】図1の環境測定装置の加湿部を説明する図である。
【図3】図1の環境測定装置の測定素子を説明する図である。
【図4】膜厚と所定の電気抵抗の変化量を生じるまでの時間を表すグラフである。
【図5】膜厚と電気抵抗の関係を表わすグラフである。
【図6】流速と電気抵抗の関係を表わすグラフである。
【図7】酸化剤および湿度による電気抵抗の変化量への影響について説明する図である。
【図8】硫化水素ガスによる影響を測定した一例である。
【図9】塩素ガスによる影響を測定した一例である。
【図10】変形例に係る環境測定装置の放出管を説明する図である。
【符号の説明】
【0044】
1…環境測定装置
11…導入管
12…酸化部
13…加湿部
13a…水槽
13b…通過管
13c…入口
13d…出口
14…放出管
14a…隔壁
15…測定素子
15a…基板
15b…表面
15c…金属(金属部分)
15d…反応スポット
16…チャンバー
17…ポンプ
18…測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の大気環境に含まれる腐食性ガスの含有状態を測定する環境測定装置であって、
前記大気環境から収集した大気に酸化剤として金属を酸化させるガスを添加する酸化部と、
金属部分を有する測定素子と、
前記酸化部において前記大気に前記酸化剤が添加された気体を前記金属部分に放出する放出管と、
前記金属部分の腐食状態を測定することで前記大気環境を測定する測定部と、
を備えることを特徴とする環境測定装置。
【請求項2】
周囲の大気環境に含まれる腐食性ガスの含有状態を測定する環境測定装置であって、
前記大気環境から収集した大気に湿度を与える加湿部と、
金属部分を有する測定素子と、
前記加湿部において前記大気に湿度が与えられた気体を前記金属部分に放出する放出管と、
前記金属部分の腐食状態を測定することで前記大気環境を測定する測定部と、
を備えることを特徴とする環境測定装置。
【請求項3】
収集した前記大気に、湿度を与える加湿部を更に備え、
前記放出管は、前記酸化部において前記酸化剤が添加されるとともに前記加湿部において湿度が与えられた気体を前記金属部分に放出する
ことを特徴とする請求項1に記載の環境測定装置。
【請求項4】
前記金属部分は、前記測定素子の表面に、亜硫酸ガス、硫化水素ガス、窒素酸化物ガス、塩素ガス又はアンモニアガスのうち少なくともいずれかのガスと反応が高い単一金属または合金でコーティングされた薄膜であり、
前記測定部は、前記金属部分の電気抵抗の変化量を測定して前記大気環境における腐食性ガスの含有状態を測定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の環境測定装置。
【請求項5】
前記金属部分は、前記測定素子の表面に、銅でコーティングされた薄膜であり、
前記測定部は、前記金属部分の電気抵抗の変化量を測定して前記大気環境における腐食性ガスの含有状態を測定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の環境測定装置。
【請求項6】
前記薄膜の膜厚は、0.05〜0.3μmであることを特徴とする請求項4又は5に記載の環境測定装置。
【請求項7】
前記加湿部は、
水の充填される水槽と、
前記水槽に配置され、前記気体が通過可能であるとともに前記水槽中の水が水蒸気として透過し、通過する前記気体に湿度を与える通過管と、
が設けられることを特徴とする請求項2又は3に記載の環境測定装置。
【請求項8】
前記測定素子は一定気圧のチャンバー内に設置され、
前記放出管から400〜1000ml/分の流速で前記金属部分に前記気体を放出するようにチャンバー内の気圧を制御するポンプを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1に記載の環境測定装置。
【請求項9】
前記放出管は、気体を放出する放出口に前記放出管の壁面と並行方向の隔壁を設けて放出する気体の方向を制御することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1に記載の環境測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−145146(P2009−145146A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321527(P2007−321527)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(595019599)芝府エンジニアリング株式会社 (40)
【Fターム(参考)】