説明

環形ランプの包含梱包箱

【課題】保管や運搬の効率が良く、梱包作業およびランプ取出し作業が簡単となる環形蛍光ランプの包含梱包箱を提供する。
【解決手段】外径の異なる環形蛍光ランプ2a,2bの組を梱包するための包含梱包箱であって、前記環形蛍光ランプの組を保持するスペーサー3と、スペーサー3が多段に重ねて入れられる外装箱1と、を具備するものである。外装箱1は、スペーサー3の一端の側からスペーサー3を挿入できる開放可能な第一の側面と、スペーサー3が前記一端の側から前記第一の側面を経て外装箱1内に挿入されたときに、当該スペーサー3の、前記環形蛍光ランプの組を保持する面が対向する第二の側面1aと、前記第一の側面がシール4で封緘された状態で、第二の側面1aの側を切り取ることが可能な切り取り部5と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きさの異なる環形ランプの組を梱包する梱包形態に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光ランプには市販用の梱包形態と、照明器具メーカーなどへ製品を届けるときの簡易的な梱包形態(以後、簡易梱包という)がある。また、製品梱包として、単品ごとに梱包する場合と、大きさの異なる製品を組み合わせて梱包する場合(以後、包含梱包という)がある。
【0003】
特に環形の蛍光ランプの梱包において、大きさの異なる環形ランプが照明器具に組み合わせて使用されるときは、それらのランプ一式は“包含梱包”の形態で市販されることが一般的になっている。このときの包含梱包としては、ランプの環の内側の空洞部分へそれより小さい製品が収められている(特許文献1参照)。
【0004】
一方、照明器具メーカー側でランプが照明器具に組み付けられる場合、当該ランプは簡易梱包の形態で照明器具メーカーに届けられている。よって、大きさの異なる環形ランプが照明器具に組み合わせて使用されるときでも、市販の場合と異なり、ランプ一個一個に対して簡易梱包が行われていた。
【0005】
この場合、照明器具メーカー側では製品の種類毎に置き場が必要な他、流通や保管のときにおいても場所が必要である。そのため、簡易梱包においても“包含梱包”の形態を採用したいという要求がある。
【特許文献1】特開2002-37337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大きさの異なる環形蛍光ランプの包含梱包では、一のランプの環の内側の空洞部分へそれより小さい別のランプが収められるので、ランプ単品をそれぞれ梱包する場合に比べて容積が小さくでき、保管や運搬の効率が良い。
【0007】
しかしその反面、二重に収められた製品同士が当たらないような緩衝材を使用しなければならない。その結果、各ランプを取り出す際はランプ箱入れ時と同じ手間が発生し、片手で簡単に取り出せないものとなる。
【0008】
照明器具メーカーにおけるランプの組み付け作業場所では作業性も重視されるので、ランプの取り出しが容易でなければならず、それぞれのランプを片手で取り出せるという要求がある。
【0009】
そのために、複雑な形状の梱包となり、梱包作業が複雑になったり、過剰な梱包形態になる。つまり、包含梱包での簡易梱包が困難であった。
【0010】
そこで本発明は、上記背景技術の課題を解決することができる環形蛍光ランプの包含梱包箱を提供することを目的とする。その目的の一例は、保管や運搬の効率が良く、梱包作業およびランプ取出し作業が簡単となる環形蛍光ランプの包含梱包箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、外径の異なる環形蛍光ランプの組を梱包するための包含梱包箱に係るものである。
【0012】
この包含梱包箱は、前記環形蛍光ランプの組を保持する保持部材と、前記保持部材が多段に重ねて入れられる外装箱と、を具備する。
【0013】
前記外装箱は、第一の側面と第二の側面と切り取り部を少なくとも有する。
【0014】
特に、前記第一の側面は、前記保持部材の一端の側から前記保持部材を挿入できる開放可能な面である。
【0015】
前記第二の側面は、前記保持部材が前記一端の側から前記第一の側面を経て前記外装箱内に挿入されたときに、当該保持部材の、前記環形蛍光ランプの組を保持する面が対向する面である。
【0016】
前記切り取り部は、前記第一の側面が封緘された状態で、前記第二の側面の側を切り取ることが可能な部分である。
【0017】
このような構成により、上記背景技術の課題が解決される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、大きさの異なる環形ランプ一式の保管や運搬の効率が良く、梱包作業およびランプ取出し作業が簡単となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施形態による包含梱包箱を天面側から見た斜視図であり、(a)はランプを箱に入れるときの様子を示し、(b)は箱の底面および天面が封緘された状態を示している。
【0021】
この図に示すように、本実施形態の包含梱包箱は、方形な6面で構成されて箱の天面および底面が両開きで開放できる外装箱1を備える。この外装箱1は図から分かるように一般的な箱の形態である。この外装箱1の中に、天面より、大きさの異なる環形ランプ2a,2bの組を保持した部材(以後、スペーサーという)3が入れられ、底面、天面ともテープ4で封緘され、この状態で保管されたり運搬される。
【0022】
図2はスペーサー3の構成を説明するための図で、(a)はランプ保持前の様子、(b)はランプ保持後の状態を示している。
【0023】
環外径の異なる環形蛍光ランプの組を梱包する包含梱包では環の内側に外径の小さなランプを収めて包装する方法が一般的である。この梱包方法では大径の環形ランプ2aと小径のランプ2bが衝突して破損しないよう、それぞれを固定しつつランプ間隙間へ緩衝材を入れる必要がある。そのため、図2に示されるような形状のスペーサー3が使用されている。
【0024】
具体的に述べると、スペーサー3は、矩形または方形状の板部材の対角方向に沿って折り曲げられた少なくとも2箇所の山形状の突出部3aを有する。該突出部3aに対して直角方向に複数の切り込み溝3bを設けることで、切り込み溝3bにて、大径及び小径のサイズの異なる2つの環形蛍光ランプ2a,2bを保持することが可能となっている。勿論、切り込み溝3bは環形蛍光ランプ2a,2bの各々の外径に合わせて配設されている。
【0025】
環形蛍光ランプ2a,2bの組の数のスペーサー3が用意され、各スペーサー3上に大径の蛍光ランプ2aが固定され、このランプ2aの内側のスペーサー3上に、小径の蛍光ランプ2bが固定される。
【0026】
そして、図1(a)に示すように、外装箱1の天面が開放されており、蛍光ランプ2a,2bが固定されたスペーサー3はそれぞれ、外装箱1の中にその天面から底面へと挿入される。
【0027】
このとき、図3に示されるX方向にスペーサー3は挿入される。その上、図3に示されるZ方向(スペーサー3のランプ保持面に対して直角な向き)が、外装箱1の一側面1aの側に向けられている(図1(a)参照)。つまり、外装箱1の一側面1aにスペーサー3のランプ保持面が対向する。
【0028】
そして複数のスペーサー3が外装箱1の中に詰められた後、外装箱1の天面がテープ4で封緘される。
【0029】
このような梱包状態から照明器具メーカー側でそれぞれのランプを取り出すには、外装箱1からスペーサー3を出して図2の状態にする必要が生じる。
【0030】
そこで、図1(a)(b)に示されるように外装箱1の側面には、スペーサー3の挿入時に使用された天面とは異なる側面1aの側を切り取ることが可能な切り取り部5が設けられている。
【0031】
切り取り部5の例としては、外装箱1の、ランプ箱入れ時の天面および底面を通る円周上の4側面にわたって、ミシン目からなるジッパー式切り取りが設けられる。そして、外装箱1における製造時の箱材料同士の接合面が、開梱のために該ジッパー式切り取りを引き剥がすときの開始端に使われる。
【0032】
したがって、テープ4で封緘された外装箱1からランプを取り出す際は切り取り部5の部分を用いて外装箱1が開けられる。
【0033】
照明器具メーカー側での器具組立作業で製品を取り出す際には、図4(a)(b)に示すように外装箱1の向きが90度変えられて、側面1aが上に向けられる。このように外装箱1の設置姿勢を変えることで箱内の製品は上向きになる。つまり、スペーサー3のランプ保持面の向き(図3のZ方向)が上向きになるので、開梱時の製品取り出しが容易になる。
【0034】
ここで図5を参照して、本発明の包含梱包箱からの製品取り出し手順を説明する。
【0035】
器具組立装置または作業者は図4(b)に示される状態に外装箱1を置き、図5(1)(2)のように切り取り部5を取り去って外装箱1の上部を開放させる。このとき、外装箱1内に上下に積層されたスペーサー3が現れ、最上段のスペーサー3上の大小のランプ全てが露出する。
【0036】
そのため、図5(3)(4)に示すように、器具組立装置または作業者は、取り出したい大きさのランプを持つだけで取り出すことが出来る。またこのとき、スペーサー3からランプを取り出す順番は外側のランプ2aおよび内側のランプ2bのどちらが先でもよい
そして、最上段のスペーサー3からのランプ取り出しが終わったら、器具組立装置または作業者は、図5(5)(6)に示すように、ランプの無いスペーサー3を取り除き、次の段のスペーサー3を露出させる。
【0037】
その後、図5の(3)から(6)の手順が全てのスペーサー3に対して行われ、箱内の製品取り出し作業が終了する。
【0038】
以上に開示したように本発明は、梱包作業でのランプ挿入方向と開梱作業でのランプ取り出し方向とが変えられるように包含梱包箱を構成したことで、背景技術の課題を解決した。
【0039】
すなわち、照明器具に使用される大きさの異なる環形蛍光ランプの一式を梱包する包含梱包において、大きいランプの環の内側に小さいランプを収める方法が採られている。この梱包方法により、蛍光ランプの置き場と輸送コストを低減することが出来る。
【0040】
そして、このような包含梱包のランプ一式を入れるための外装箱は、ランプ一式を箱内に入れるときの方向と箱から取り出すときの方向が変わるように、箱入れ時と異なる側面を開放できる構造を持つ。
【0041】
このような構造の外装箱により、包含梱包のランプ一式が開梱時に露出されるので、内側のランプおよび外側のランプのどちらも簡単に取り出すことが出来る。その上、照明器具の組み付け工程では流れに沿って作業が可能となる。
【0042】
また、本発明の包含梱包箱に用いられるスペーサーは、四角形の板部材の対角方向に沿って折り曲げられた少なくとも2箇所の山形状の突出部3aを有する。そして、該突出部3aに対して、環形ランプを保持するための複数の切り込み溝3bが設けられている。このように簡単な形状であるため製作が容易である。その上、このようなスペーサーはランプ同士の衝突を防止する機能を果たすと同時に、ランプ取り出しも片手で容易に行えるものである。
【0043】
以上、図面を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記の実施形態例に限定されるものではない。本願発明の形や細部には、本願発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態による包含梱包箱を天面側から見た斜視図である。
【図2】本発明の包含梱包箱の中においてランプ同士が衝突しないようにランプを保持する部材(スペーサー)を説明するための図である。
【図3】図2のスペーサーを箱に挿入するときの向きを説明するための図である。
【図4】本発明の包含梱包箱の開梱時の向きを説明するための図である。
【図5】本発明の包含梱包箱の開梱時におけるランプの取り出し手順を説明するための図である。
【符号の説明】
【0045】
1 外装箱
1a 開梱時に天面にされる側面
2a 環形蛍光ランプ(大径)
2b 環形蛍光ランプ(小径)
3 スペーサー
3a 突出部
3b 切り込み溝
4 テープ
5 切り取り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外径の異なる環形ランプの組を梱包するための包含梱包箱であって、
前記環形ランプの組を保持する保持部材と、
前記保持部材が多段に重ねて入れられる外装箱と、を具備し、
前記外装箱は、
前記保持部材の一端の側から前記保持部材を挿入できる開放可能な第一の側面と、
前記保持部材が前記一端の側から前記第一の側面を経て前記外装箱内に挿入されたときに、当該保持部材の、前記環形ランプの組を保持する面が対向する第二の側面と、
前記第一の側面が封緘された状態で、前記第二の側面の側を切り取ることが可能な切り取り部と、を有する環形ランプの包含梱包箱。
【請求項2】
前記保持部材上には、一の環形ランプと、当該一の環形ランプの環の内側に収められた当該一の環形ランプよりも外径の小さい別の環形ランプとが保持可能であることを特徴とする請求項1に記載の環形ランプの包含梱包箱。
【請求項3】
前記保持部材は、矩形または方形状の板部材の対角方向に沿って折り曲げられた少なくとも2箇所の山形状の突出部を有し、該突出部に対して直角方向に複数の切り込み溝を設けることで、該切り込み溝にて、外径の異なる複数の環形ランプをそれぞれ保持することが可能となっている請求項1または2に記載の環形ランプの包含梱包箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−214915(P2009−214915A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61467(P2008−61467)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】