説明

環状アミン誘導体の製造方法

【課題】 高収率・高純度の3−置換アミノ環状アミン誘導体を安全かつ安価に製造する方法を提供する。
【解決手段】
式(1):


[式中、mは、1、2、3、または4を表し、R1およびR3は、それぞれ独立して、水素原子等を表し、Arは、置換されてもよいアリール基を表し、R2は、存在しないか、1つまたは2つ存在し、各々独立して、ハロゲン原子等をし、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子または置換されてもよいアルキル基を表す。]で表される化合物をボラン系還元剤で処理することを特徴とする環状アミン誘導体の製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3−置換アミノ置換ラクタム誘導体を原料とし、種々の合成中間体、医薬品原料等として工業的に非常に有用な3−置換アミノ環状アミン誘導体を製造する方法に関する。特に、本方法はキノロン系合成抗菌剤および糖尿病治療剤等の合成中間体として、3−置換アミノ環状アミン誘導体を製造するのに適している。
【背景技術】
【0002】
3−置換アミノ環状アミン誘導体は、例えば抗菌剤の合成中間体(特許文献1参照)、2型糖尿病治療剤の合成中間体(特許文献2参照)等として使用できる。
3−置換アミノ環状アミン誘導体の製造方法としては、例えば、下記に示す(A)または(B)による方法が知られている。
(A)3−アミノピリジン(1−1)を出発原料に、当該化合物のアミノ基をベンジルオキシカルボニル(以下、Cbzと略すこともある。)化し、化合物(1−2)へと変換し、水素加圧下、酸化白金にて水素添加を実施し、化合物(1−3)を製造することができる (非特許文献1参照)。
【0003】
【化1】

【0004】
(B)化合物(2−1)を出発原料に、当該化合物の2つの水酸基をメシル化し、化合物(2−2)へと変換した後、アンモニアとの反応によって、化合物(2−3)を製造することができる (特許文献3参照)。
【0005】
【化2】

【0006】
一方、式(6)で表される化合物の1級アミノ基が保護されていない化合物として例示される、化合物(3−2)は、L−オルニチン塩酸塩から製造される(3S)−アミノピペリジン−2−オン(3−1)を水素化リチウムアルミニウムにて還元することによって、製造することができる (例えば、特許文献4参照)。
【0007】
【化3】

【特許文献1】国際公開第99/14214号パンフレット
【特許文献2】国際公開第04/33455号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02/100886号パンフレット
【特許文献4】国際公開第01/27082号パンフレット
【非特許文献1】J. Med. Chem. 14, 357 (1971)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記(A)法は全工程の化学収率が良く、優れた製造方法と言えるが、化合物(1−2)から化合物(1−3)の工程において、高額な酸化白金の使用量が多いことから、汎用的とは言えず、工業的な還元手段としては不向きである。また、化合物(1−3)は、光学活性体ではなく、当該化合物の光学活性体を製造するためには、光学分割の工程がさらに必要となる。前記(B)法も優れた製造方法と言えるが、化合物(2−1)は高価であり、また化合物(2−2)から化合物(2−3)の工程では、反応温度を−78℃で制御する必要があり、工業的なスケールで製造するには不向きである。前記、化合物(3−1)から化合物(3−2)の工程において使用される水素化リチウムアルミニウムは、発火性があり、工業的な還元手段としては不向きであり、これを実施するためには、工場施設において特殊な環境が必要となり、工業的な製法としては非経済的なものである。従って、安全、入手容易、安価な原料から、汎用的な製造装置を使用し、3−置換アミノ環状アミン誘導体、更には光学活性な3−置換アミノ環状アミン誘導体を製造する工業的に有利な方法が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは前記課題を解決する方法について鋭意検討した結果、本発明に達した。すなわち、本発明は:
〔1〕 式(1):
【0010】
【化4】

[式中、mは、1、2、3、または4を表し;
1およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、置換されてもよいアシル基、置換されてもよいアロイル基、置換されてもよいアルコキシカルボニル基、または置換されてもよいアラルキルオキシカルボニル基を表し;
Arは、置換されてもよいアリール基を表し;
2は、存在しないか、1つまたは2つ存在し、各々独立して、ハロゲン原子、水酸基、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアルコキシ基、置換されてもよいシクロアルキルオキシ基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよいアミノ基を表すか、または2つのR2が一緒になってメチレンもしくはエチレンを表し、環を構成する2つの炭素原子と結合し新たな環を形成することもできる。
4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子または置換されてもよいアルキル基を表す。
]で表される化合物をボラン系還元剤で処理することを特徴とする
式(2):
【0011】
【化5】

[式中、m、R1、R2、R3、R4、R5およびArは、前記と同義である。]で表される化合物の製造法、
〔2〕 式(3):
【0012】
【化6】

[式中、mは、1、2、3、または4を表し;
1およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、置換されてもよいアシル基、置換されてもよいアロイル基、置換されてもよいアルコキシカルボニル基、または置換されてもよいアラルキルオキシカルボニル基を表し;
Arは、置換されてもよいアリール基を表し;
2は、存在しないか、1つまたは2つ存在し、各々独立して、ハロゲン原子、水酸基、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアルコキシ基、置換されてもよいシクロアルキルオキシ基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよいアミノ基を表すか、または2つのR2が一緒になってメチレンもしくはエチレンを表し、環を構成する2つの炭素原子と結合し新たな環を形成することもできる。
4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子または置換されてもよいアルキル基を表す。]で表される化合物をボラン系還元剤で処理することを特徴とする
式(4):
【0013】
【化7】

[式中、m、R1、R2、R3、R4、R5およびArは、前記と同義である。]で表される化合物の製造法、
〔3〕 式(5):
【0014】
【化8】

[式中、mは、1、2、3、または4を表し;
1およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、置換されてもよいアシル基、置換されてもよいアロイル基、置換されてもよいアルコキシカルボニル基、または置換されてもよいアラルキルオキシカルボニル基を表し;
Arは、置換されてもよいアリール基を表し;
2は、存在しないか、1つまたは2つ存在し、各々独立して、ハロゲン原子、水酸基、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアルコキシ基、置換されてもよいシクロアルキルオキシ基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよいアミノ基を表すか、または2つのR2が一緒になってメチレンもしくはエチレンを表し、環を構成する2つの炭素原子と結合し新たな環を形成することもできる。
4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子または置換されてもよいアルキル基を表す。]で表される化合物をボラン系還元剤で処理することを特徴とする
式(6):
【0015】
【化9】

[式中、m、R1、R2、R3、R4、R5およびArは、前記と同義である。]で表される化合物の製造法、
〔4〕 ボラン系還元剤が、ジボラン、ボラン−テトラヒドロフラン錯体またはボラン−ジメチルスルフィド錯体である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造法、
〔5〕 ボラン系還元剤が、ジボラン、またはボラン−テトラヒドロフラン錯体である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造法、
〔6〕 ボラン−テトラヒドロフラン錯体が、テトラヒドロフラン中において、水素化ホウ素金属および三フッ化ホウ素−ジアルキルエーテル錯体から調製される、〔5〕記載の製造法、
〔7〕 ボラン−テトラヒドロフラン錯体が、テトラヒドロフラン中において、水素化ホウ素金属および三フッ化ホウ素から調製される、〔5〕記載の製造法、
〔8〕 ボラン−テトラヒドロフラン錯体が、テトラヒドロフラン中において、水素化ホウ素ナトリウムおよび三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体から調製される、〔5〕記載の製造法、
〔9〕 式(1)、式(3)または式(5)で表される化合物、および水素化ホウ素金属のテトラヒドロフラン溶液に、三フッ化ホウ素−ジアルキルエーテル錯体を加えることにより、反応を行うことを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造法、
〔10〕 式(1)、式(3)または式(5)で表される化合物、および水素化ホウ素ナトリウムのテトラヒドロフラン溶液に、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体を加えることにより、反応を行うことを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造法、
〔11〕 R2が存在しない、〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の製造法、または
〔12〕 mが2または3である、〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の製造法に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高収率・高純度の3−置換アミノ環状アミン誘導体を、安全かつ安価に製造することができる。特に、本発明は、カラム精製を行うことなく、実用的に合成することの可能な方法を提供することができる。また、光学活性な3−置換アミノ置換ラクタム誘導体を使用した場合、高い光学純度を有する3−置換アミノ環状アミン誘導体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
なお、本明細書において、「置換されてもよい」もしくは「置換された」で定義される基における置換基の数は、置換可能であれば特に制限はなく、1または複数である。また、特に指示した場合を除き、各々の基の説明はその基が他の基の一部分または置換基である場合にも該当する。
【0018】
「ハロゲン原子」としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等が挙げられる。
「アルキル基」としては、例えば、直鎖または分枝状の炭素数1から6のアルキル基等が挙げられ、具体的には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。好ましくは、直鎖または分枝状の炭素数1から4のアルキル基等が挙げられ、具体的には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルまたはtert-ブチル等が挙げられる。
「アルケニル基」としては、例えば炭素数2から6のアルキニル基等が挙げられ、具体的には、例えば、ビニル、プロペニル、メチルプロペニル、ブテニルまたはメチルブテニル等が挙げられる。
「シクロアルキル基」としては、例えば炭素数3から10のシクロアルキル基等が挙げられ、具体的には、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチルまたはノルボルニル等が挙げられる。好ましくは、炭素数3から6のシクロアルキル基等が挙げられ、具体的には、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル等が挙げられる。
【0019】
「アリール基」としては、例えば、炭素数6から10個のアリール基等が挙げられ、具体的には、例えば、フェニル、1−ナフチルまたは2−ナフチル等が挙げられる。
「アラルキル基」としては、例えばアルキル基にアリール基が結合したもの等が挙げられる。具体的には、例えば、ベンジル、2−フェニルエチルまたは1−ナフチルメチル等が挙げられる。
「ヘテロアリール基」としては、例えば窒素原子、硫黄原子、酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1個以上(例えば1ないし4個)を含む5ないし10員、単環または多環式の基等が挙げられる。具体的には、ピロリル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンズオキサゾリル、ベンズチアゾリル、フリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジル、ピリミジル、ピリダジル、キノリル、イソキノリル、トリアゾリル、トリアジニル、テトラゾリル、インドリル、イミダゾ[1,2-a]ピリジル、ジベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、キノキサリル、シンノリル、キナゾリル、インダゾリル、ナフチリジル、キノリノリルまたはイソキノリノリル等が挙げられる。好ましくは、例えば窒素原子、硫黄原子、酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1個含む5ないし6員の基等が挙げられ、具体的には、例えばピリジル、チエニルまたはフリルなどが挙げられる。
【0020】
「アルコキシ基」としては、例えば、炭素数1から4のアルコキシ基等が挙げられ、具体的には例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等が挙げられる。
「シクロアルキルオキシ基」としては、例えば炭素数3から10のシクロアルキルオキシ基等が挙げられ、具体的には、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、アダマンチルオキシまたはノルボルニルオキシ等が挙げられる。好ましくは、例えば炭素数3から6のシクロアルキルオキシ基等が挙げられ、具体的には、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシまたはシクロヘキシルオキシ等が挙げられる。
【0021】
「アシル基」としては、例えば炭素数1から4のアシル基等が挙げられ、具体的には例えば、ホルミルまたはアセチル等が挙げられる。
「アロイル基」としては、例えば炭素数7から11のアロイル基等が挙げられ、具体的には例えば、ベンゾイル、1−ナフチルカルボニルまたは2−ナフチルカルボニル等が挙げられる。
「アルコキシカルボニル基」としては、例えば炭素数2から5のアルコキシカルボニル基等が挙げられ、具体的には例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル等が挙げられる。
「アラルキルオキシカルボニル基」としては、例えば炭素数8から13のアラルキルオキシカルボニル基等が挙げられ、具体的には例えば、ベンジルオキシカルボニル、2−フェニルエチルオキシカルボニルまたは1−ナフチルメチルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0022】
「置換されてもよいアルキル基」または「置換されてもよいアルコキシ基」における置換基としては、例えば(1)ハロゲン原子、(2)水酸基、(3)置換されてもよいアルコキシ基、(4)置換されてもよいアミノ基等が挙げられる。
【0023】
上記(3)「置換されてもよいアルコキシ基」における置換基としては、例えば、
(a)水酸基、
(b)アルコキシ基、
(c)アルキル基で置換されてもよいアミノ基(例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等が挙げられる)、
(d)ハロゲン原子またはアルコキシ基で置換されたアルコキシ基(例えば、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、パーフルオロエトキシ、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エトキシ、1−(ジフルオロメチル)−2,2−ジフルオロエトキシ、メトキシメトキシ、エトキシメトキシ、メトシキエトキシ、エトキシエトキシ、メトキシプロポキシまたはエトキシプロポキシ等が挙げられる。)、または
(e)ハロゲン原子等が挙げられる。
上記(4)「置換されてもよいアミノ基」の置換基としては、例えば
(a)アルキル基、
(b)アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニルまたはエタンスルホニル等が挙げられる。)、
または(c)アラルキル基等が挙げられる。また、該アルキル基の2個の置換基が結合して、例えば、ピロリジン(該ピロリジンはさらに水酸基で置換されていてもよい。)、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンオキシド、チオモルホリンジオキシド、または、ピペラジン(該ピペラジンの窒素原子は、メチル、エチルで置換されていてもよい)等の、炭素原子、窒素原子、酸素原子を含んでいてもよい脂肪族ヘテロ環を形成していてもよい。
【0024】
「置換されてもよいアシル基」および「置換されてもよいアルコキシカルボニル基」における置換基としては、上記の「置換されてもよいアルキル基」または「置換されてもよいアルコキシ基」における置換基として例示されたものが挙げられる。
「置換されてもよいシクロアルキル基」および「置換されてもよいシクロアルキルオキシ基」における置換基としては、上記の「置換されてもよいアルキル基」または「置換されてもよいアルコキシ基」における置換基の他、ハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基等が挙げられる。
【0025】
「置換されてもよいアルケニル基」の置換基としては、例えば、
(1)水酸基、
(2)ハロゲン原子、
(3)アルキル基、
(4)ハロゲン原子またはアルコキシ基で置換されたアルキル基(例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エチル、1−(ジフルオロメチル)−2,2−ジフルオロエチル、メトキシメチル、エトキシメチル、メトシキエチル、エトキシエチル、メトキシプロピルまたはエトキシプロピル等が挙げられる。)、
(5)アルコキシ基、
(6)ハロゲン原子またはアルコキシ基で置換されたアルコキシ基(例えば、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、パーフルオロエトキシ、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エトキシ、1−(ジフルオロメチル)−2,2−ジフルオロエトキシ、メトキシメトキシ、エトキシメトキシ、メトシキエトキシ、エトキシエトキシ、メトキシプロポキシまたはエトキシプロポキシ等が挙げられる。)、
または(13)フェニルオキシ等が挙げられる。
【0026】
「置換されてもよいアリール基」における置換基としては、例えば、
(1)水酸基、
(2)ハロゲン原子、
(3)アルキル基、
(4)ハロゲン原子、アルコキシ基またはシクロアルキル基で置換されたアルキル基(例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エチル、1−(ジフルオロメチル)−2,2−ジフルオロエチル、メトキシメチル、エトキシメチル、メトシキエチル、エトキシエチル、メトキシプロピルまたはエトキシプロピル等が挙げられる。)、
(5)ニトロ基、
(6)アルキルスルホニル基、
(7)C13アルキレンジオキシ基、
(8)アルキル基で置換されてもよいアミノ基(例えば、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノまたはジエチルアミノ等が挙げられる。)、
(9)ハロゲン原子で置換されてもよいアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、またはトリフルオロメトキシ等が挙げられる。)、または
(10)含窒素飽和ヘテロ環基(例えば、窒素原子を1から2個有し、更に酸素原子または硫黄原子を有してもよい、5から6員環の飽和ヘテロ環基等が挙げられ、具体的には、例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキソチオモルホリニル、ヘキサメチレンイミニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、オキソイミダゾリジニル、ジオキソイミダゾリジニル、オキソオキサゾリジニル、ジオキソオキサゾリジニル、ジオキソチアゾリジニル、テトラヒドロフラニルまたはテトラヒドロピリジニル等が挙げられる。)等が挙げられる。
【0027】
「置換されてもよいヘテロアリール基」、「置換されてもよいアラルキル基」、「置換されてもよいアロイル基」および「置換されてもよいアラルキルオキシカルボニル基」における置換基としては、前記「置換されてもよいアリール基」における置換基として例示されたものが挙げられる。
【0028】
「置換されてもよいアミノ基」の置換基としては、前記「置換されてもよいアルキル基」もしくは「置換されてもよいシクロアルキル基」における置換基としての(4)「置換されてもよいアミノ基」における置換基として例示されたものが挙げられる。
【0029】
本発明における式(1)で表される化合物としては、例えば式(7)
【0030】
【化10】

[式中、mおよびArは、前記と同義である。]で表される化合物などが好ましく、具体的には、下記に示す、式(8)、式(9)、式(10)、または式(11)
【0031】
【化11】

[式中、Yは存在しないか、1つまたは2つ存在し、ニトロ基を表す。]で表される化合物などが挙げられる。また、これら化合物の3位が(R)体構造、あるいは(S)体構造の光学活性体であっても良い。ここで、光学活性体としては(R)体、あるいは(S)体のいずれか一方の光学純度が90%以上の化合物が挙げられる。
式(1)、式(3)および式(5)で表される化合物は公知化合物であるか、公知化合物から公知の方法により合成することができる。具体例として、化合物(12)から化合物(21)の合成例を以下に示す。化合物(12)から化合物(21)は、薬学上許容される塩を含む。
【0032】
【化12】

【0033】
ボラン系還元剤としては、ボラン錯体およびジボラン等が挙げられる。具体的には、ボラン錯体としては、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、またはボラン−ジメチルスルフィド錯体等が挙げられる(例えば、新実験化学講座(日本化学会編、丸善)15巻、第4版実験化学講座(日本化学会編、丸善)26巻等を参照)。ジボランは、例えば、文献(新実験化学講座(日本化学会編、丸善)15巻)に記載された方法に準じて、水素化ホウ素ナトリウムおよび三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体から調製することができる。また、ボラン−テトラヒドロフラン錯体は、例えば、文献(US3634277)に記載された方法に準じて、テトラヒドロフラン中、水素化ホウ素金属および三フッ化ホウ素-ジアルキルエーテル錯体から調製することができる。好ましい還元剤としては、ジボラン、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体等が挙げられ、より好ましくは、テトラヒドロフラン中、水素化ホウ素ナトリウムおよび三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体から調製されたボラン−テトラヒドロフラン錯体が挙げられる。
水素化ホウ素金属とは、具体的には水素化ホウ素ナトリウムもしくは水素化ホウ素カリウムが挙げられる。
三フッ化ホウ素-ジアルキルエーテルとしては、具体的には三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル、三フッ化ホウ素-ジブチルエーテルまたは三フッ化ホウ素-tert-ブチルメチルエーテル等が挙げられる。
【0034】
本発明は有機溶媒中で実施するが、好ましい有機溶媒としては、エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテルまたはジオキサン等が挙げられる。より好ましい有機溶媒としては、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0035】
式(1)、式(3)、または式(5)で表される化合物を、ボラン錯体にて還元し、対応する式(2)、式(4)、または式(6)で表される化合物とする製法について、以下に詳細を述べる。
ボラン錯体の使用量は、式(1)、式(3)、または式(5)で表される化合物に対して、通常1〜10当量(モル比)の範囲が挙げられ、好ましくは、1〜6当量(モル比)の範囲が挙げられる。反応温度としては、例えば、−40〜100℃の範囲が挙げられ、好ましくは、−20〜40℃の範囲が挙げられる。
【0036】
反応方法として、式(1)、式(3)、または式(5)で表される3−置換アミノ置換ラクタム誘導体の有機溶媒溶液を攪拌しながら、ボラン系還元剤もしくはその溶液を滴下することができ、滴下において、逆の方式もとることができる。
式(1)、式(3)、または式(5)で表される化合物とボラン錯体を反応させた後、無機酸、アルコール系溶媒、または混合溶媒による処理を実施する。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸またはリン酸等が挙げられ、好ましくは、塩酸等が挙げられる。酸の使用量としては、式(1)、式(3)、または式(5)で表される化合物に対して、通常1〜大過剰(モル比)の範囲の範囲が挙げられる。アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノールまたは2−プロパノール等が挙げられる。混合溶媒としては、アルコール系溶媒に、トリエチルアミンおよび/または水を添加したものが挙げられる。好ましい混合溶媒としては、トリエチルアミン、水、およびエタノールから成る混合溶媒が挙げられる。これらの処理における反応温度としては、10〜100℃の範囲が挙げられ、好ましくは、40〜80℃の範囲が挙げられる。
【0037】
式(1)、式(3)、または式(5)で表される化合物を、テトラヒドロフラン中、水素化ホウ素ナトリウムおよび三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体から調製されたボラン−テトラヒドロフラン錯体にて還元し、対応する式(2)、式(4)、または式(6)で表される化合物とする製法について、以下に詳細を述べる。
水素化ホウ素ナトリウムの使用量は、式(1)、式(3)、または式(5)で表される化合物に対して、通常1〜5当量(モル比)の範囲が挙げられ、好ましくは、1〜3.5当量(モル比)の範囲が挙げられ、また、三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体の使用量は、式(1)、式(3)、または式(5)で表される化合物に対して、通常1.5〜5.25当量(モル比)の範囲が挙げられ、好ましくは、1.3〜4.7当量(モル比)の範囲が挙げられる。この場合、三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体の使用量は、1当量の水素化ホウ素ナトリウムに対して、通常1〜1.5当量(モル比)の範囲が挙げられ、好ましくは、1.33当量(モル比)が挙げられる。反応温度としては、例えば、−40〜100℃の範囲が挙げられ、好ましくは、−20〜40℃の範囲が挙げられる。
【0038】
反応系中において、ボラン−テトラヒドロフラン錯体を発生させ反応を行う際には、式(1)、式(3)、または式(5)で表される3−置換アミノ置換ラクタム誘導体および水素化ホウ素ナトリウムの有機溶媒溶液に三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体を滴下することもできる。
式(1)、式(3)、または式(5)で表される化合物およびボラン−テトラヒドロフラン錯体を反応させた後、無機酸による処理を実施するが、無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸またはリン酸等が挙げられ、好ましくは、塩酸等が挙げられる。酸の使用量としては、式(1)、式(3)、または式(5)で表される化合物に対して、通常1〜大過剰(モル比)の範囲の範囲が挙げられる。本処理における反応温度としては、10〜100℃の範囲が挙げられ、好ましくは、40〜80℃の範囲が挙げられる。
【0039】
こうして得られた、式(2)、式(4)および式(6)で表される化合物は、公知の方法、例えば、国際公開第99/14214号パンフレットまたは国際公開第04/33455号パンフレット等に記載された方法により、それぞれ抗菌剤または2型糖尿病治療剤等へと導くことができる。
【0040】
実施例
以下に本発明を、実施例および参考例により、さらに具体的に説明するが、本発明はもとよりこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例および参考例において示された化合物名は、必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。なお、記載の簡略化のために以下の略号を使用することもある。
Bz:ベンゾイル基
Cbz:ベンジルオキシカルボニル基
【実施例1】
【0041】
実施例1
(3R)-ピペリジン-3-イルカルバメート
【0042】
【化13】

ベンジル [(3R)-2-オキソピペリジン-3-イル]カルバメート(50.1 g)のテトラヒドロフラン(340 mL)溶液に、0℃にて水素化ホウ素ナトリウム(8.57 g)を加えた後、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(42.9 g)を10分かけ滴下した。滴下終了後、0℃で30分攪拌し、さらに、室温で21時間攪拌した。反応溶液を0℃に冷却し、3N 塩酸(300 mL)を加えた後、60℃で2時間攪拌した。溶媒を留去後、酢酸エチル(400 ml)を加え分液し、水層に0℃で炭酸カリウム(70 g)、2N 水酸化ナトリウムを加え、液性をpH10〜11とした。水層をクロロホルムで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をクロロホルムに溶解させ、ヘキサンを加え、結晶し表題の化合物(32.7 g)を白色固体として得た。
1H NMR (300 Hz, CDCl3) δ 7.37-7.27 (m, 5H), 5.09 (m, 3H), 3.66(brs 1H), 3.05 (dd, J = 2.9, 11.5 Hz, 1H), 2.82-2.53 (m, 3H), 1.81-1.48 (m, 5H).
MS (ESI+) 235(M++1, 100%)
【0043】
実施例2
(3R)-ピペリジン-3-イルカルバメート
【0044】
【化14】

ベンジル [(3R)-2-オキソピペリジン-3-イル]カルバメート(1.0 g)のテトラヒドロフラン(10 mL)溶液に、0℃にて水素化ホウ素ナトリウム(457 mg)を加え、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(2.0 mL)を加え、室温で3時間攪拌した。反応溶液に3N 塩酸(10 mL)を加え、50℃で1時間攪拌した。溶媒を留去後、クロロホルムを加え分液し、水層に10%炭酸カリウム水溶液を加えた。クロロホルムで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をトルエンに溶解させ、再結晶することにより表題の化合物(694 mg)を白色固体として得た。
【0045】
実施例3
(3R)-ピペリジン-3-イルカルバメート
【0046】
【化15】

ベンジル [(3R)-2-オキソピペリジン-3-イル]カルバメート(3.0 g)のテトラヒドロフラン(24 mL)溶液に、0℃にて1.0 Mボラン−テトラヒドロフラン錯体のテトラヒドロフラン溶液(14.5 mL)を滴下し、室温で21.5時間攪拌した。反応混合物にメタノール(25 mL)を滴下し溶媒を留去後、残渣にエタノール(24 mL)、水(6 mL)、トリエチルアミン(3 mL)を加え4時間加熱還流を行った。溶媒を留去後、飽和食塩水を加え、クロロホルムで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をヘキサン、クロロホルムから再結晶し表題の化合物(916 mg)を白色固体として得た。
【0047】
実施例4
(3R)-ピペリジン-3-イルカルバメート
【0048】
【化16】

ベンジル [(3R)-2-オキソピペリジン-3-イル]カルバメート(1.0 g)のテトラヒドロフラン(8 mL)溶液に、0℃にて2.0 Mボラン−ジメチルスルフィド錯体のテトラヒドロフラン溶液(10 mL)を滴下し、室温で2日間攪拌した。反応混合物に3N塩酸を加え1時間加熱還流を行った。溶媒を留去後、クロロホルムを加え分液し、水層に10%炭酸カリウム水溶液、2N水酸化ナトリウム水溶液を加えた。水層をクロロホルムで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をヘキサン、クロロホルムから再結晶し表題の化合物(431 mg)を白色固体として得た。
【0049】
参考例1
メチル D-オルニチン ジヒドロクロライド
【0050】
【化17】

D-オルニチン一塩酸塩(100 g)をメタノール(590 mL)に溶かし、-78℃にて塩化チオニル(108 mL)を滴下した。4時間かけ室温まで昇温した後、室温で18時間攪拌した。溶媒を留去後、メタノール(140 mL)を加え、減圧下、濃縮した。さらに、減圧下、乾燥することで表題の化合物(123 g)を白色アモルファスとして得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 8.82 (brs, 3H), 8.29 (brs, 3H), 3.98 (m, 1H), 3.70 (s, 3H), 2.73 (brs, 2H), 1.87-1.60 (m, 4H).
MS (ESI+) 147(M++1, 100%)
【0051】
参考例2
ベンジル [(3R)-2-オキソピペリジン-3-イル]カルバメート
【0052】
【化18】

メチル D-オルニチン ジヒドロクロライド(100 g)を水(1.0 L)に溶かし、0℃で炭酸水素ナトリウム(175 g)を加えた。室温で16時間攪拌した後、ジオキサン(500 mL)、クロロぎ酸ベンジル(89 mL)を加え室温で3時間攪拌した。溶媒を留去後、食塩(125 g)を加えクロロホルムで抽出、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル、ヘキサンから再結晶し表題の化合物(123 g)を白色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.37-7.27 (m, 5H), 6.17 (brs, 1H), 5.75 (brs, 1H), 5.11 (s, 2H), 4.14-4.06 (m, 1H), 3.33-3.32 (m, 2H), 2.50 (m, 1H), 2.05-1.91 (m, 2H), 1.68-1.55 (m, 1H).
MS (ESI+) 249(M++1, 100%)
【0053】
参考例3
ベンジル [(3R)-1-ベンゾイルピペリジン-3-イル]カルバメート
【0054】
【化19】

実施例1の化合物(50.0 mg)をジクロロメタン(2.0 mL)に溶かし、ジメチルアミノピリジン(3.0 mg)、トリエチルアミン(120 μL)、ベンゾイルクロライド(50 μL)を加えて室温で2時間撹拌した。反応後、反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、減圧濃縮した。残渣をPTLC(展開溶媒:クロロホルム/メタノール = 10/1)で精製し、表題の化合物(62.1 mg)を白色固体として得た。この物質のHPLCでの光学純度は99% eeであった。
HPLC条件
カラム:AD-H (CHIRALPACK(登録商標))
検出波長 (UV):254 nm
流速:0.5mL/min
移動層:イソプロピルアルコール/ヘキサン/ジエチルアミン = 20/80/0.2
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.39-7.29 (m, 10H), 5.05 (brs, 2H), 4.86 (m, 1H), 3.88-3.45 (m, 4H), 1.96 (brs, 1H), 1.75 (m, 4H).
MS (ESI+) 339(M++1, 100%).



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

[式中、mは、1、2、3、または4を表し;
1およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、置換されてもよいアシル基、置換されてもよいアロイル基、置換されてもよいアルコキシカルボニル基、または置換されてもよいアラルキルオキシカルボニル基を表し;
Arは、置換されてもよいアリール基を表し;
2は、存在しないか、1つまたは2つ存在し、各々独立して、ハロゲン原子、水酸基、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアルコキシ基、置換されてもよいシクロアルキルオキシ基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよいアミノ基を表すか、または2つのR2が一緒になってメチレンもしくはエチレンを表し、環を構成する2つの炭素原子と結合し新たな環を形成することもできる。
4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子または置換されてもよいアルキル基を表す。
]で表される化合物をボラン系還元剤で処理することを特徴とする
式(2):
【化2】

[式中、m、R1、R2、R3、R4、R5およびArは、前記と同義である。]で表される化合物の製造法。
【請求項2】
式(3):
【化3】

[式中、mは、1、2、3、または4を表し;
1およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、置換されてもよいアシル基、置換されてもよいアロイル基、置換されてもよいアルコキシカルボニル基、または置換されてもよいアラルキルオキシカルボニル基を表し;
Arは、置換されてもよいアリール基を表し;
2は、存在しないか、1つまたは2つ存在し、各々独立して、ハロゲン原子、水酸基、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアルコキシ基、置換されてもよいシクロアルキルオキシ基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよいアミノ基を表すか、または2つのR2が一緒になってメチレンもしくはエチレンを表し、環を構成する2つの炭素原子と結合し新たな環を形成することもできる。
4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子または置換されてもよいアルキル基を表す。]で表される化合物をボラン系還元剤で処理することを特徴とする
式(4):
【化4】

[式中、m、R1、R2、R3、R4、R5およびArは、前記と同義である。]で表される化合物の製造法。
【請求項3】
式(5):
【化5】

[式中、mは、1、2、3、または4を表し;
1およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアルケニル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、置換されてもよいアシル基、置換されてもよいアロイル基、置換されてもよいアルコキシカルボニル基、または置換されてもよいアラルキルオキシカルボニル基を表し;
Arは、置換されてもよいアリール基を表し;
2は、存在しないか、1つまたは2つ存在し、各々独立して、ハロゲン原子、水酸基、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいシクロアルキル基、置換されてもよいアルコキシ基、置換されてもよいシクロアルキルオキシ基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよいアミノ基を表すか、または2つのR2が一緒になってメチレンもしくはエチレンを表し、環を構成する2つの炭素原子と結合し新たな環を形成することもできる。
4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子または置換されてもよいアルキル基を表す。]で表される化合物をボラン系還元剤で処理することを特徴とする
式(6):
【化6】

[式中、m、R1、R2、R3、R4、R5およびArは、前記と同義である。]で表される化合物の製造法。
【請求項4】
ボラン系還元剤が、ジボラン、ボラン−テトラヒドロフラン錯体またはボラン−ジメチルスルフィド錯体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造法。
【請求項5】
ボラン系還元剤が、ジボラン、またはボラン−テトラヒドロフラン錯体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造法。
【請求項6】
ボラン−テトラヒドロフラン錯体が、テトラヒドロフラン中において、水素化ホウ素金属および三フッ化ホウ素−ジアルキルエーテル錯体から調製される、請求項5記載の製造法。
【請求項7】
ボラン−テトラヒドロフラン錯体が、テトラヒドロフラン中において、水素化ホウ素金属および三フッ化ホウ素から調製される、請求項5記載の製造法。
【請求項8】
ボラン−テトラヒドロフラン錯体が、テトラヒドロフラン中において、水素化ホウ素ナトリウムおよび三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体から調製される、請求項5記載の製造法。
【請求項9】
式(1)、式(3)または式(5)で表される化合物、および水素化ホウ素金属のテトラヒドロフラン溶液に、三フッ化ホウ素−ジアルキルエーテル錯体を加えることにより、反応を行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造法。
【請求項10】
式(1)、式(3)または式(5)で表される化合物、および水素化ホウ素ナトリウムのテトラヒドロフラン溶液に、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体を加えることにより、反応を行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造法。
【請求項11】
2が存在しない、請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造法。
【請求項12】
mが2または3である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造法。


【公開番号】特開2007−1874(P2007−1874A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180299(P2005−180299)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】