説明

環状物品のカバー

【課題】タイヤ等の物品全体の汚損を防止でき、しかも物品もよく見えて、更に複数のサイズの物品に対応することができる環状物品のカバーを提供する。
【解決手段】環状物品のカバーの本体部3の長手方向の両端部分を重ね合わせ、且つ幅方向の両端部をタイヤTの穴Ta内で重ね合わせる。そして、チャックテープ7の雄側部7aと雌側部7bとを重ね合わせて押圧して、雄側部7aが雌側部7bに嵌り込んで連結される。これにより、本体部3を幅方向の中心部分で曲げた状態で幅方向の両端部分が連結されて、環状物品のカバーがタイヤTに装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタイヤ等の環状物品のカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カー用品の小売店等においてタイヤを陳列する場合に、汚損防止のためタイヤをプラスチック製の袋に収容することがある。このようにタイヤを袋に収容すると、タイヤが見え難くなってしまう不都合がある。また、タイヤには種々のサイズがあるため、それに応じて種々のサイズの袋を準備しなくてはならないという問題もある。
これに対応したものとして特許文献1に記載された陳列用タイヤカバーがある。このものは帯状体をタイヤ外周接地面に巻き、幅方向の両端部に形成された袋状穴に通された紐体を、袋状穴に複数配設された引出穴から引き出して結束することにより、タイヤに取り付けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−40375
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の陳列用タイヤカバーでは、タイヤ外周接地面のみを覆うので、タイヤ側面の汚損を防止することができないという問題がある。
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、タイヤ等の物品全体の汚損を防止でき、しかも物品もよく見えて、更に一つで複数のサイズの物品に対応することができる環状物品のカバーの提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、長手方向へ湾曲面が連続し、且つ円弧を描くように連続して曲がっている形状に形成された帯状の本体部と、前記本体部を幅方向の中心部分で曲げた状態で幅方向の両端部分を連結するチャック手段とを有することを特徴とする環状物品のカバーである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載した環状物品のカバーにおいて、本体部には長手方向へ並ぶ多数の小孔が形成されていることを特徴とする環状物品のカバーである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2記載した環状物品のカバーにおいて、本体部は透明プラスチックシートによって構成されていることを特徴とする環状物品のカバーである。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1から3に記載した環状物品のカバーにおいて、一端部から引き出し自在に巻かれていることを特徴とする環状物品のカバーである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の環状物品のカバーによれば、タイヤ等の物品全体の汚損を防止でき、しかも包まれた物品も外部からよく見える。更に一つの環状物品のカバーで、複数のサイズの物品に対応することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る環状物品のカバーが巻かれた状態の斜視図である。
【図2】図1の環状物品のカバーを所定の長さに切断してタイヤに巻き付ける作業を示す斜視図である。
【図3】図1の環状物品のカバーを所定の長さに切断してタイヤに巻き付けた状態を示す斜視図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図1の環状物品のカバーを所定の長さに切断してタイヤを包んだ状態を示す平面図である。
【図6】図5に示すタイヤより一回り大きいタイヤを包んだ状態を示す平面図である。
【図7】図5に示すタイヤより一回り小さいタイヤを包んだ状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係る環状物品のカバー1を図面にしたがって説明する。
符号3は本体部を示し、この本体部3は、滑り止め剤が混入された透明なポリエチレン、塩化ビニル等の熱可塑性プラスチック製シートによって構成されている。
本体部3は長尺な帯状に形成され、幅方向へ湾曲していて、長手方向へ湾曲面5が連続している。しかも、本体部3は、長手方向へ円弧を描くように連続して曲がっている形状に形成されている。すなわち、本体部3は長手方向へ連続してカーブする形状となっている。
【0012】
また、本体部3は、その幅方向の両端部分を連結するチャック手段としてのチャックテープ7が形成されており、このチャックテープ7は雄側部7aと雌側部7bとよって構成されている。チャックテープ7は雄側部7aと雌側部7bとを重ね合わせて押圧することにより、雄側部7aが雌側部7bに嵌り込んで連結でき、ある程度の力で引っ張れば連結を解除することができる。雄側部7aは本体部3の図1において上端側(本体部3の幅方向の一端側)に形成され、雌側部7bは下端側(本体部3の幅方向の他端側)に形成されている。雄側部7aと雌側部7bは本体部3の長手方向に連続して延びている。
【0013】
本体部3には、その長手方向に多数の小孔11が等間隔に二列に並んで配設されている。小孔11の一列は雄側部7aから幅方向の中心へ僅かに寄った位置に備えられ、他の一列は雌側部7bから幅方向の中心へ僅かに寄った位置に備えられている。
【0014】
図1に示すように、環状物品のカバー1は所定の円環状に巻かれており、その一端部を引っ張ることにより、引き出すことができるようになっている。なお、この巻かれた状態の環状物品のカバー1は、図示しない上面が開口する浅い段ボール箱等に入れておく。
【0015】
次に、環状物品のカバー1によって環状物品としての自動車用のタイヤTを包む作業について説明する。
まず、図1に示すように、円環状に巻かれた環状物品のカバー1をタイヤTのサイズに応じた長さ寸法、すなわちタイヤTの外周の寸法より多少長い寸法を引き出して切断する。
【0016】
そして、図2に示すように、環状物品のカバー1をタイヤTの外周面側から被せる。環状物品のカバー1の本体部3は湾曲面5が連続して形成され、しかも、長手方向へ円弧を描くように連続して曲がっている形状となっているので、環状物品のカバー1をタイヤTの湾曲に沿うように、スムーズに巻き付けることができる。
【0017】
次いで、図3、図5に示すように、環状物品のカバー1の本体部3の長手方向の両端部分を重ね合わせ、且つ幅方向の両端部をタイヤTの穴Ta内で重ね合わせる。そして、チャックテープ7の雄側部7aと雌側部7bとを重ね合わせて押圧して、雄側部7aが雌側部7bに嵌り込んで連結される(図4参照)。これにより、本体部3を幅方向の中心部分で曲げた状態で幅方向の両端部分が連結されて、環状物品のカバー1がタイヤTに装着される。なお、必要に応じてタイヤTに装着した環状物品のカバー1の本体部3の一端部を本体部3の他端部に止めるため、当該本体部3の一端部と他端部に跨るように粘着テープ等を巻き付けてもよい。
【0018】
このように環状物品のカバー1によってタイヤTを包めば、タイヤTの一部が露出することなく、隙間なく全体を覆うことができるので、タイヤT全体の汚損を防止することができる。しかも本体部3はタイヤTを、その形状に沿う状態で覆い、且つ本体部3は透明なプラスチック製シートによって構成されているので、環状物品のカバー1内のタイヤTは外部からよく見える。従って、環状物品のカバー1はカー用品の小売店等においてタイヤTを陳列する場合に使用するのに好適である。
また、本体部3は滑り止め剤が混入されたプラスチック製シートによって構成されているので、環状物品のカバー1によって包んだタイヤTどうしを互いに重なるように積んだ場合でも、滑ってずれるなどの不都合を防止することができる。
【0019】
本体部3には小孔11が形成されており、この小孔11は図4に示すようにタイヤTの内周面の開口に対応して位置するので、環状物品のカバー1内に水蒸気が発生した場合でも、小孔11から外部へ放出することができる。従って、環状物品のカバー1の内面が水滴によって曇るのを防止することが可能である。
また、この環状物品のカバー1は、連結されている雄側部7aが雌側部7bをある程度の力で引っ張れば、その連結を解除することができる。従って、タイヤTから環状物品のカバー1を簡単に外すことが可能である。このように、環状物品のカバー1をタイヤTに対し容易に着脱することができる。
更に、タイヤTから外した環状物品のカバー1は、別のタイヤに装着することもできる。すなわち、環状物品のカバー1は再利用することができる。
【0020】
図6に示すように、この環状物品のカバー1を用いれば、タイヤTより一回り大きいサイズのタイヤT2または図7に示すタイヤTより一回り小さいサイズのタイヤT3を包む場合にも適用することができる。この場合でも、環状物品のカバー1はタイヤT2、T3を、その形状に沿う状態で覆うので、環状物品のカバー1内のタイヤT2、T3は外部からよく見える。このように環状物品のカバー1では、複数のサイズのタイヤに対応することが可能である。
【0021】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、環状物品としてタイヤを示したが、タイヤ以外の環状物品、例えば電線やホースを環状に巻いて束ねたもの等、中心部分に中空の穴があるものであれば如何なるものであってもよい。
また、上記実施の形態では、本体部3を透明なポリエチレン、塩化ビニル等の熱可塑性プラスチック製シートによって構成したが、本発明はこれに限定されず、他のプラスチック製シートによって構成してもよい。
なお、上記実施の形態では、環状物品のカバー1を円環状に巻いておき、それを適当な寸法に切断して使用したが、予め切断しておいて、それを使用してもよいのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の環状物品のカバーは、包装材料製造業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0023】
1…環状物品のカバー
3…本体部 5…湾曲面
7…チャックテープ 7a…チャックテープの雄側部
7b…チャックテープの雌側部 11…小孔
T…タイヤ Ta…タイヤの穴 T2…大きいサイズのタイヤ
T3…小さいサイズのタイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向へ湾曲面が連続し、且つ円弧を描くように連続して曲がっている形状に形成された帯状の本体部と、前記本体部を幅方向の中心部分で曲げた状態で幅方向の両端部分を連結するチャック手段とを有することを特徴とする環状物品のカバー。
【請求項2】
請求項1に記載した環状物品のカバーにおいて、本体部には長手方向へ並ぶ多数の小孔が形成されていることを特徴とする環状物品のカバー。
【請求項3】
請求項1または2記載した環状物品のカバーにおいて、本体部は透明プラスチックシートによって構成されていることを特徴とする環状物品のカバー。
【請求項4】
請求項1から3に記載した環状物品のカバーにおいて、一端部から引き出し自在に巻かれていることを特徴とする環状物品のカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−25412(P2012−25412A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164399(P2010−164399)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(599128077)有限会社中原化成 (1)
【Fターム(参考)】